説明

揮発成分放出装置

【課題】薄型であって、かつ、内部に粒体よりなる担持体が分散して安定配置され、揮発成分の放出が良好に行われる芳香剤や消臭剤の発生装置を提供する。
【解決手段】扁平形態の外装体3、4内に、揮発成分が含有される多数の粒体10が収納され、粒体10からの揮発成分が外装体3、4に設けられた通気開口6を通して外部に放出される揮発成分放出装置1であり、粒体10を外装体3、4内空間に分散配置させる分散配置手段8を備えてなることを特徴とする揮発成分放出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、揮発性の芳香剤や消臭剤等を収納し、その成分を外部に放出させる揮発成分放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房やトイレ、また、リビング等の家屋内、さらには自動車内において、その空間の居心地を良くするよう芳香剤や消臭剤がひろく用いられている。そのような芳香剤や消臭剤は、一般に液状のものがビンに収納され通気開口から揮発成分が外部に放出されるようになっている。上記のように芳香剤や消臭剤が液状となったものは、こぼれやすくてその取り扱いが難しいとともに、ビンや容器に付着して汚れとなりやすく、また、一般に揮発度合いが高く消耗が速いという傾向があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、最近においては芳香剤や消臭剤の揮発成分を各種の担持体に含浸保持させることが行われ、例えばその担持体として樹脂製の3mm径程度の粒体よりなる揮発成分の発生性能に優れるものが提供されている。一方、最近この種の芳香剤や消臭剤の発生装置としては、貼り付けタイプや吊り下げタイプ等の薄型でコンパクトなのものの提供が増えている。
【0004】
この発明は上記の点に鑑みて行ったもので、薄型であって、かつ、内部に粒体よりなる担持体が分散して安定配置され、揮発成分の放出が良好に行われる芳香剤や消臭剤の発生装置を提供することを目的とする。
【0005】
請求項1の発明では、扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させる分散配置手段を備えてなることを特徴とする揮発成分放出装置を提供する。
【0006】
上記構成によれば、粒体は分配配置手段により分散配置されることで、内部空間の下部に粒体が偏り固まって位置することが回避され、これにより、全ての粒体の表面が空気に触れやすくなって効率良く揮発成分の放出が行われ、かつ、その揮発成分の揮発成分放出装置からの放出も外装体の全体の通気開口を通して効率良く行われる。
【0007】
請求項2の発明では、扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、前記外装体の内面に、前記外装体内空間を仕切って前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させる仕切り部が一体に突設されてなることを特徴とする揮発成分放出装置を提供する。
【0008】
上記構成によれば、粒体は仕切り部それぞれで仕切られた空間内に分散配置されることで、内部空間の下部に粒体が偏り固まって位置することが回避され、これにより、全ての粒体の表面が空気に触れやすくなって効率良く揮発成分の放出が行われ、かつ、その揮発成分の揮発成分放出装置からの放出も外装体の全体の通気開口を通して効率良く行われる。
【0009】
請求項3の発明では、扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、前記外装体内の全体にわたって、前記外装体内空間の厚みをより小さくするスペーサーが配置され、その残る空間に前記粒体を収納することで、前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させてなることを特徴とする揮発成分放出装置を提供する。
【0010】
上記構成によればスペーサーが配置され、内部空間の厚さが薄くされることで粒体は内部空間全体にわたって配置され、内部空間の下部に粒体が偏り固まって位置することが回避され、これにより、全ての粒体の表面が空気に触れやすくなって効率良く揮発成分の放出が行われ、かつ、その揮発成分の揮発成分放出装置からの放出も外装体の全体の通気開口を通して効率良く行われる。スペーサーはプレート状のものが別途配置されてもよく、また、外装体内部に一体に設けられてもよい。
【0011】
請求項4の発明では、扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、前記外装体内に、前記粒体を通気性を有する扁平形態袋内に納める状態で収納することで、前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させてなることを特徴とする揮発成分放出装置を提供する。
【0012】
上記構成によれば、粒体が扁平形態袋内に位置決めされる状態で内部空間内に配置されるので、内部空間の下部に粒体が偏り固まって位置することが回避され、これにより、全ての粒体の表面が空気に触れやすくなって効率良く揮発成分の放出が行われ、かつ、その揮発成分の揮発成分放出装置からの放出も外装体の全体の通気開口を通して効率良く行われる。
【発明の効果】
【0013】
この発明のそれぞれによれば、薄型であって、かつ、内部に粒体よりなる担持体が分散して安定配置され、揮発成分の放出が良好に行われる芳香剤や消臭剤の発生装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図
【図2】請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の分解構成図
【図3】請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の変形例の縦方向断面図
【図4】請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の変形例の分解構成図
【図5】請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図
【図6】請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の分解構成図
【図7】請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の変形例の縦方向断面図
【図8】請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の変形例の分解構成図
【図9】請求項1及び請求項4の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図
【図10】請求項1及び請求項4の発明の揮発成分放出装置の分解構成図
【図11】請求項1及び請求項4の発明の揮発成分放出装置において用いる扁平形態袋の変形例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図、図2は同分解構成図である。揮発成分放出装置1はプラスチックス製で、後部プレート3の前面に前方に突出する前部カバー4が取り付けられるとともに、内部に粒体10が収納されて構成されている。上記後部プレート3と前部カバー4とが扁平な外装体を構成する。前部カバー4には多数の2mm径程度の小形の通気開口6が設けられるとともに、後方へ凹む3本の仕切り部(分散配置手段)8が水平方向に設けられている。仕切り部8は内部空間を上下方向において4個に仕切るように位置する。粒体10は仕切り部8それぞれで仕切られた4個の空間内に分散配置され、これにより内部空間の下部に粒体10が偏り固まって位置することが回避される。粒体10径は3mm程度と通気開口6径より大きく、通気開口6から外部にこぼれ出ることはない。
【0016】
上記構成により、全ての粒体10の表面が空気に触れやすくなって効率良く揮発成分の放出が行われ、かつ、その揮発成分の揮発成分放出装置1からの放出も前部カバー4の全体の通気開口6を通して効率良く行われる。
【0017】
図3は請求項1及び請求項2の発明の揮発成分放出装置の変形例の縦方向断面図、図4は同分解構成図である。この実施形態では、後部プレート3面に前方に突出する3本の仕切り部(分散配置手段)12が水平方向に設けられている。仕切り部12は上記実施形態のものと同様に内部空間を上下方向において4個に仕切るように位置する。粒体10は仕切り部12それぞれで仕切られた4個の空間内に分散配置され、これにより内部空間の下部に粒体10が偏り固まって位置することが回避される。上記構成により、上記実施形態のものと同様の作用効果を発揮する。
【0018】
図5は請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図、図6は同分解構成図である。揮発成分放出装置1はプラスチックス製で、後部プレート3の前面に前方に突出する前部カバー4が取り付けられ、内部にプラスチックス製のプレート状のスペーサー(分散配置手段)14が配置されるとともに粒体10が収納されて構成されている。上記後部プレート3と前部カバー4とが扁平な外装体を構成する。前部カバー4には多数の小形の通気開口6が設けられている。プレート状のスペーサー14が後部プレート3の前面に沿うように配置されることで、内部空間の厚さは5mm程度と薄くされ、これにより3mm径の粒体10は内部空間の全体にわたって配置され、その結果、内部空間の下部に粒体10が偏り固まって位置することが回避される。上記構成により、上記それぞれの実施形態のものと同様の作用効果を発揮する。
【0019】
図7は請求項1及び請求項3の発明の揮発成分放出装置の変形例の縦方向断面図、図8は同分解構成図である。この実施形態ではスペーサー(分散配置手段)17を後部プレート3の前面に一体に設けて、上記それぞれのものと同様の作用効果を発揮している。
【0020】
図9は請求項1及び請求項4の発明の揮発成分放出装置の縦方向断面図、図10は同分解構成図である。揮発成分放出装置1はプラスチックス製で、後部プレート3の前面に前方に突出する前部カバー4が取り付けられるとともに、その内部に粒体10を収納する不織布よりなる扁平形態袋(分散配置手段)20が納められて構成されている。上記後部プレート3と前部カバー4とが扁平な外装体を構成する。扁平形態袋20は通気性を持つとともにある程度の剛性を持って外形を保ち、その内部空間厚みを5mm程度とし、これにより3mm径の粒体10はその内部に全体にわたって位置決めされる状態に配置され、その結果、揮発成分放出装置1の内部空間の下部に粒体10が偏り固まって位置することが回避される。上記構成により、上記それぞれの実施形態のものと同様の作用効果を発揮する。不織布よりなる扁平形態袋20をプラスチックス製の密閉袋内に納めて提供し、それを取り出して揮発成分放出装置1において装着使用する。
【0021】
図11は上記扁平形態袋20の変形例を示す。扁平形態袋(分散配置手段)23はプラスチックフィルムよりなりその一面に複数の放出穴21を備え、その放出穴21それぞれの全体を覆うように取り剥がしシール22が貼り付けられている。このような構成とされることで、提供時に扁平形態袋23を密閉袋内に納める必要がなく、揮発成分の放出が使用時に取り剥がしシール22を剥がした際に始まるので、揮発成分が十分に、かつ、無駄なく放出される。
【符号の説明】
【0022】
1 揮発成分放出装置
3 後部プレート(外装体)
4 前部カバー(外装体)
6 通気開口
8 仕切り部(分散配置手段)
10 粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、
前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させる分散配置手段を備えてなることを特徴とする揮発成分放出装置。
【請求項2】
扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、
前記外装体の内面に、前記外装体内空間を仕切って前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させる仕切り部が一体に突設されてなることを特徴とする揮発成分放出装置。
【請求項3】
扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、
前記外装体内の全体にわたって、前記外装体内空間の厚みをより小さくするスペーサーが配置され、その残る空間に前記粒体を収納することで、前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させてなることを特徴とする揮発成分放出装置。
【請求項4】
扁平形態の外装体内に、揮発成分が含有される多数の粒体が収納され、前記粒体からの揮発成分が前記外装体に設けられた通気開口を通して外部に放出される揮発成分放出装置であり、
前記外装体内に、前記粒体を通気性を有する扁平形態袋内に納める状態で収納することで、前記粒体を前記外装体内空間に分散配置させてなることを特徴とする揮発成分放出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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