説明

揺動傾斜を制止したひさし付き帽子

【課題】風に脱がされる事がなく、整えた髪形を乱す事もなく、大きめの作業用ヘルメットにも前方視界が遮られる事のないひさし付き帽子を提供する。
【解決手段】ひさし付き帽子1の後頭部側の裏面または表面に、ひさし部分と同じ重量の揺動傾斜制止パッド7を収納するポケット5を装着する。ひさし付き帽子の後頭部側に人が動く度に上下に揺動する事を制止する機能を有する揺動傾斜制止部材を取り付けた機構をもたせる事によって人の頭に確実に装着され、吹く風に脱がされる事もなく、頭が多少大きい方や整えた髪型の乱れを嫌う方にも着用され、大き目の作業用ヘルメットに前方視界が遮られる事もなくまた不快な思いもする事なく多くの人が利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球帽やヘルメットの様に前頭部側から差し出した部分をつばまたはブリムとも呼ばれるひさしの付いた帽子が帽子の前後の重量不整合の原因と、風や人の動きによっって上下に揺れ動き傾斜する事を制止した、ひさし付き帽子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人は男女を問わず幼年期から大人になるまで必ず帽子を使用する時がある。帽子はS.M.L表示または代表的なインチ数値で製作されるため、人の成長に合わせて変化する頭の大きさも対応してその都度合致いるサイズの帽子を選んでかぶる事のできない問題がある。この事から以前は成長の著しい少年期においては大きいサイズの学生帽の汗取りバンドに新聞紙を折り畳んでサイズを調整し着用していた。帽子の中でも最も身近なものとして野球帽子がある、野球帽子を使用していると野球帽前頭部側に付いているひさしの僅かな重量差であるが野球帽前後の重量不整合による前頭部側への揺動傾斜が起こる、ひさしの重量の原因する野球帽の前のめり揺動傾斜の手直し動作は野球帽使用中ずっとしていなければならない。又、最近では危険な作業環境においては安全確保から頑丈な顎紐を装着したヘルメットの着用が義務付けられる様になったが、激しく動き廻る作業や常に上下を見渡しながら作業する高所作業においてはかぶったヘルメットが上下に揺れ動き、ときには視界を遮る危険な状態に遭遇する事さえあった。この問題を解決したヘルメットも開発されている。例えば特開2003−129323号公報は「ヘルメットに装着された釣り合い錘の変位を光学装置の使用中断の際に光学装置の変位に対応して自動的に移動させる事によりヘルメットの重心位置を適切な位置に調整する事によってヘルメット装着者に掛かる全体重量の負荷を軽減するもので、単対物双接眼鏡やヘルメット装着ディスプレー等の光学装置に旋回軸と旋回可能レバーと回動する2個の溝付ホイールを取付け、さらに引っ張りバネの両端に接続した2個の釣り合い錘、さらにケーブルなどを一連に組み合わせ構成し釣り合い錘変位自動調整装置を装着したヘルメット」がある。しかしながら、この様な釣り合い錘自動調整装置の効果は、特殊な作業環境のヘルメット装着者によって認められるものであって、野球帽子の様に日常かぶる帽子まで取り付ける必要性がない。また日常着用される帽子にも幾多の改善をした公報も有る。例えば特開平7−42011号公報の「顎に帽子または顎を掛ける面倒さをなくしかつ風などによって飛ばされるのを防止するため、帽子の内周部に金属製またはプラスチック製のゴムバンド頭髪係止部材を装着した帽子またはサンバイザーなどの頭部着用具」、実用新案登録第3076389号公報の「フリーサイズの帽子を提供するもので、後頭部側のクラウン部材切欠部を形成すると共に、前記クラウン部材と該クラウン部材の内周方向に沿って配置された汗受けとの間に設けた複数個の調節用バンドを弾性体に連結して長いサイズに調節できる様にしたフリーサイズの帽子」、特開2005−29911号公報の「帽子が運動時や風によって脱げ落ちるのを防止するため、帽子本体の左右両側周縁部の後方につばに対向して帽子本体から連続して左右両側周縁部よりも下方へ向けて延びた両側周縁部を形成した特徴の帽子」、さらには実用新案登録第3081722号公報の「風などによる脱げ易さと髪型の潰れ易さを防止した帽子を提供するもので、クラウン部材の内側に凹凸状の突起物を2列設けたヘアバンドを付けたヘアバンド付き帽子」など、風などによる脱げ易さを防止し髪型を崩さない各種の帽子が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2003−129323号公報
【特許文献2】特開平7−42011号公報
【特許文献3】実用新案登録第3076389号公報
【特許文献4】特開2005−29911号公報
【特許文献5】実用新案登録第3081722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の様に今日まで開発された何れの帽子もそれぞれの目的に適うものであるが、例えば野球の試合を行なっている時の野球帽の前頭部側から差し出した部分に付いているつば又はブリムと呼ばれるひさしの重量による野球帽子前後の重量不整合の原因による重量方向への野球帽子の揺動傾斜の手直し動作、丁度よいサイズの帽子がないため夏の暑い日でも帽子を装着(着用)しないで運動する方、好んで帽子を装着するが折角整えた髪型が帽子で押さえ付けられて髪の身嗜みに気使う方も多い。また工事現場において安全対策から被せられた大きいサイズの作業用ヘルメットは、歩く度に揺動傾斜して前方の視界を遮り、事故を誘発する問題があった。また作業用ヘルメットに付けられた頭囲調製具やバンドによって頭や顔を締め付けて固定すれば、不快な圧迫惑を抱き、快適に作業が行なえない問題があった。
【0004】
本発明者はこうした問題を解消する事を目的に種々検討した結果、サイズが大きめのひさし付き帽子の後頭部側に人が動く度に上下に揺動する事を制止する機能を有する揺動傾斜制止部材を取り付けた機構をもたせる事によって人の頭に確実に装着されるため吹く風に脱がされる事もなく、頭が多少大きい方や整えた髪型の乱れを嫌う方にも着用され、突然渡された大き目の作業用ヘルメットに前方視界が遮られる事もなくまた不快な思いもする事なく多くの人が利用できる、揺動傾斜を制止したひさし付きの帽子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨とは、ひさし付き帽子の後頭部側の裏面または表面に、ひさし部分と同じ重量の揺動傾斜制止パッドを収納するポケットを装着したひさし付きの帽子である。
【発明の効果】
【0006】
本発明はサイズが大きめのひさし付き帽子であっても、既に着用時に前方に揺動傾斜制止する様にバランスよく調整されているため、運動中や作業中やあるいは強い風に煽られて前方視界を遮る事なくまた不快な思いを起す事もなく安心して着用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ひさし付き帽子の一実施例を野球帽子で示したもので、表面側斜視図(a)と裏面側斜視図(b)を示す。
【図2】揺動制止板の一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のひさし付き帽子について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1はひさし付き帽子の一実施例を野球帽子で示したもので、表面側斜視図(a)と裏面側斜視図(b)を示す。図1において1は、ひさし付き帽子である。本発明においてひさし付き帽子1とは、トップとも呼ばれるクラウン2とツバとも呼ばれるひさし3さらにスエットバンドとも呼ばれる汗取りバンド4の部分を一体的に縫い合わせて作られた帽子で、形状や構造について特に限定するものでなく、一般に着用される野球帽子やその他の運動用帽子の他に作業用ヘルメットなどが該当するものである。5はポケットで、ひさし付き帽子1の後頭部側に該当するクラウン2の表面または裏面に縫付けられたり貼り付けられたり、あるいはひさし付き帽子の縫製過程で装着されるものである。7は揺動傾斜制止パッドである。揺動傾斜制止パッド7はひさし3と同じ重量に作られ、人体後頭部と相対向する側のひさし付き帽子1の後頭部側との間隔を詰めるもので、しかもポケット5に収納する構造に作られている。揺動傾斜制止パッド7の大きさ重さが決まった時点で揺動傾斜制止パッド7はボケット5に収納されポケット蓋6によりポケット5内に人の動きで脱落しない様に固定される。図1(a)ではポケット5とポケット蓋6とは面ファスナーを使用してポケット蓋6は固定している、固定の仕方は適当な方法があればいずれの方法でもよい、ひさし付き帽子1の後頭部側にひさし3と同じ重さに作られた揺動傾斜制止パッド7をポケット5に収納する事によって、着用した際にひさし付き帽子1の前頭部側と後頭部側の重量バランスの整合をとり、人が頭を前後に傾ける前後する度にシーソーの様に揺動傾斜するひさし付き帽子1の揺動傾斜を制止(または抑制)する作用効果により、強い風に脱がされる事もなく前方視界を遮られる事もなく、上記した本発明の目的が満足に達成される。揺動傾斜制止パッド7は、ひさし3が重い場合には鉄や銅などの比較的比重の高い金属を使用しまたひさし3が軽い場合にはアルミニウムやプラスチックや木などの様に比重の低い軽量材料を使用し、しかも着用するひさし付き帽子1ががたつかない程度の厚みに作られる。またこれらの材料で作った揺動傾斜制止パッド7が、何かの衝撃を受けて人体の頭部に傷を負わせない様に、角部を丸く加工したりまた柔らかい布や皮の他にゴムなどの弾性材料で包み込んで作ってもよい。さらには揺動傾斜制止パッド7や、ひさし付き帽子1が装着し易い様に、揺動傾斜制止パッド7の形状を後頭部形状に沿って湾曲形状に成型してもよい。図2は揺動傾斜制止パッド7の一実施例で、揺動傾斜制止パッド7を包み込む布8の一部を切り開いて内部構造を斜視図で判り易く示したもので、小さな金属板9の個々を糸10で縦横に繋ぎながら可撓性で平面上に並べると共に、個々の小さな金属板9が動かぬ様に固定するため両面から挟み込む布8に接着した場合の断面状況を示す。すなわち、本発明における揺動傾斜制止パッド7は、ひさしつき帽子1の前方揺動傾斜を制止または抑制する作用を奏するものであれば、如何なる構造であってもよく又、ひさしと同じ重さでなくてもよい。また必要によっては揺動傾斜制止パッド7の後頭部側を膨縮構造にする事によって、大きなサイズの帽子まで生じる大きな隙間が詰められ安定して着用できる。揺動傾斜制止パッド7はひさし付き帽子あるいはヘルメットの後頭部側の裏面または表面に、ポケット無しでも装着可能である。
【0009】
上記の様に構成された本発明のひさし付き帽子1は、従来の運動帽子や作業用のヘルメットなどと同様に着用されて使用される。
【産業上の利用可能性】
【0010】
揺動傾斜制止パッドを付けた本発明のひさし付き帽子は、従来から着用されていたひさし付き帽子の欠点を解消したものであり、動いても前方視界を遮ることもなく、整えた髪の形を乱す事がない利点から、激しく動くスポーツにおいてまた風の強い高所作業時の安全ヘルメットなど各方面で多く着用されるものと判断される。
【符号の説明】
【0011】
1 ひさしつき帽子
2 クラウン
3 ひさし
4 汗取りバンド
5 ポケット
6 ポケット蓋
7 揺動傾斜制止パッド
8 布
9 金属板
10 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひさし付き帽子1の後頭部側の裏面または表面に、ひさし部分と同じ重量の揺動傾斜制止パッド7を装着した事を特徴とする揺動傾斜を制止したひさし付き帽子。
【請求項2】
ひさし付き帽子1の後頭部側の裏面または表面に、ひさし部分と同じ重量の揺動傾斜制止パッド7を収納するポケット5を装着した事を特徴とする揺動傾斜を制止したひさし付き帽子。
【請求項3】
ひさし付き帽子1の後頭部側の裏面または表面に、揺動および傾斜を抑制できる効果を有する重量の揺動傾斜制止パッド7を装着した事を特徴とする揺動傾斜を制止したひさし付き帽子とヘルメット。
【請求項4】
ひさし付き帽子1の後頭部側の裏面または表面に、揺動および傾斜を抑制できる効果を有する重量の揺動傾斜制止パッド7を収納するポケット5を装着した事を特徴とする揺動傾斜を制止したひさし付き帽子とヘルメット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−214213(P2011−214213A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71035(P2011−71035)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(595016141)
【Fターム(参考)】