説明

揺動型運動装置

【課題】 安全性が向上した揺動型運動装置を提供する。
【解決手段】 床面に設置される基台部1と、使用者が着座する座部2と、基台部1と座部2との間に介在し基台部1に対して座部2を揺動させることにより座部2に着座した使用者に運動負荷を付与する駆動部3とを備える。さらに、使用状態が反映される出力を生成する使用状態検出部と、使用状態検出部の出力に基いて使用状態が安全であるか危険であるかを判定するとともに、使用状態が危険であると判定されたときには座部2の揺動を停止又は緩和させるように駆動部3を制御する安全動作を行う制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動型運動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者が着座した座部を揺動させることで、乗馬を模した運動負荷を使用者に与える揺動型運動装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の揺動型運動装置では、使用者が不慣れにより又はふざけて危険な使用状態で使用すると、座部からの使用者の転落や揺動型運動装置自体の転倒などの事故が発生することが考えられる。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、安全性が向上した揺動型運動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、床面に設置される基台部と、使用者が着座する座部と、基台部と座部との間に介在し基台部に対して座部を揺動させることにより座部に着座した使用者に運動負荷を付与する駆動部と、使用状態が反映される出力を生成する使用状態検出手段と、使用状態検出手段の出力に基いて使用状態が安全であるか危険であるかを判定するとともに、使用状態が危険であると判定されたときには座部の揺動を停止又は緩和させるように駆動部を制御する安全動作を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、安全動作が行われない場合に比べ、安全性が向上する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御手段によって制御されて視覚と聴覚との少なくとも一方により安全動作の開始を報知する報知手段を備え、制御手段は、使用状態が危険であると判定された後、安全動作を開始する前に、報知手段を制御して安全動作の開始を報知することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、安全動作の開始が報知されない場合に比べ、安全動作の開始直後に使用者が体勢を崩しにくくなるから、安全性がより向上する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、使用状態検出手段は、座部に着座した使用者が接触する部位にかかる力を検出する力学センサと、座部に着座した使用者の足裏の向きを検出する足向きセンサと、水平面に対する基台部の傾きを検出する全体傾きセンサとのうち、少なくとも1個を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかの発明において、基台部と座部とに対して変位可能な形で座部に対して連結された把持部であって座部に着座した使用者によって把持される把持部と、座部に対する把持部の変位量を検出する使用状態検出手段としての把持部変位検出手段とを備え、把持部変位検出手段により所定のパターンでの変位が検出されたとき、制御手段は、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いずに把持部変位量検出手段の出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、使用者は把持部から手を離すことなく駆動部の動作を変更することができるから、駆動部の動作の変更時に把持部から手を離す必要がある場合に比べて安全性が向上する。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、座部は使用者が跨る形で着座するものであって、座部において使用者の内腿が接触する部位には、座部に着座した使用者の内腿から受ける圧力を検出する使用状態検出手段としての内腿圧力センサが設けられていて、内腿圧力センサにより所定のパターンでの圧力の変化が検出されたとき、制御手段は、内腿圧力センサの出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、内腿圧力センサの出力を使用状態の判定に用いずに内腿圧力センサの出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、座部に着座した使用者の足裏から受ける圧力を検出する使用状態検出手段としての足裏圧力センサを備え、足裏圧力センサにより所定のパターンでの圧力の変化が検出されたとき、制御手段は、足裏圧力センサの出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、足裏圧力センサの出力を使用状態の判定に用いずに足裏圧力センサの出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、使用状態検出手段の出力に基いて使用状態が危険であると判定されたときには座部の揺動を停止又は緩和させるように駆動部を制御する安全動作が行われるので、安全動作が行われない場合に比べ、安全性が向上する。
【0016】
請求項2の発明によれば、制御手段によって制御されて視覚と聴覚との少なくとも一方により安全動作の開始を報知する報知手段を備え、制御手段は、使用状態が危険であると判定された後、安全動作を開始する前に、報知手段を制御して安全動作の開始を報知するので、安全動作の開始が報知されない場合に比べ、安全動作の開始直後に使用者が体勢を崩しにくくなるから、安全性がより向上する。
【0017】
請求項4の発明によれば、基台部と座部とに対して変位可能な形で座部に対して連結された把持部であって座部に着座した使用者によって把持される把持部と、座部に対する把持部の変位量を検出する使用状態検出手段としての把持部変位検出手段とを備え、把持部変位検出手段により所定のパターンでの変位が検出されたとき、制御手段は、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いずに把持部変位量検出手段の出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えるので、使用者は把持部から手を離すことなく駆動部の動作を変更することができるから、駆動部の動作の変更時に把持部から手を離す必要がある場合に比べて安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の構造を示す説明図である。
【図2】同上の使用形態を示す説明図である。
【図3】同上の概略構成を示すブロック図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ同上における使用状態検出部の一例を示す説明図であり、(a)は左側面図、(b)は平面図である。
【図5】同上における使用状態検出部の別の例を示す説明図である。
【図6】同上における使用状態検出部の更に別の例を示す説明図である。
【図7】同上における使用状態検出部の別の例を示す説明図である。
【図8】(a)(b)はそれぞれ同上の変更例の使用形態の例を示す説明図である。
【図9】図8の変更例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態は、図1に示すように、床面上に設置される基台部1と、使用者Mが跨る形で着座する座部2と、基台部1と座部2との間に介在し基台部1に対して座部2を揺動させることにより座部2に着座した使用者に運動負荷を付与する駆動部3とを備える。以下、前後左右上下の方向の表現については、基台部1が水平面に正しく設置され且つ駆動部3が動作していない初期位置での座部2に着座した使用者Mにとっての前後左右上下方向を基準として説明する。
【0021】
駆動部3は、座部2に対して固定される台座30と、モーター(図示せず)と、このモーターの回転力を基台部1に対して台座30を変位させる駆動力に変換することで基台部1に対し座部2を揺動させるクランクやギア等の適宜のリンク31とからなる。
【0022】
駆動部3の駆動により、図2に示すように、座部2は、基台部1に対し、水平前後方向への直線運動(以下、「前後直線運動」と呼ぶ。)Xと、前後方向から見た面内での(つまり左右方向への)回転運動(以下、「左右回転運動」と呼ぶ。)θXと、左右方向から見た面内での(つまり前後方向への)回転運動(以下、「前後回転運動」と呼ぶ。)θYとがそれぞれ可能となっている。上記3種の運動が組み合わされることで、歩行中又は走行中の馬の背の動きを模した揺動が実現され、座部2に着座した使用者Mには、乗馬を模した運動負荷が与えられる。上記のような駆動部3は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0023】
また、本実施形態は、図3に示すように、使用状態が反映される出力を生成する使用状態検出部4と、使用状態検出部4の出力に基いて使用状態が安全であるか危険であるかを判定するとともに、使用状態が危険であると判定されたときには座部2の揺動を停止又は緩和させるように駆動部3を制御する安全動作を行う制御部5とを備える。ここで、座部2の揺動を緩和させる具体的な手段としては、具体的には例えば、座部2の揺動の速度を低下させるという手段のほか、上記3種の運動のうち1種又は2種を停止させて例えば基台部1に対する座部2の向き(傾き)のみを初期位置に維持しつつ前後直線運動のみを継続するという手段も考えられる。駆動部3には、基台部1に対する座部2の傾きを検出する座部傾きセンサ(図示せず)が設けられており、制御部5は、駆動部3を停止させて基台部1に対する座部2の揺動を停止させる際には、基台部1に対する座部2の姿勢を上記の初期位置に戻すように駆動部3を制御する。上記の座部傾きセンサは例えばポテンショメータや赤外線測距装置を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0024】
制御部5は、具体的には例えば、駆動部3の動作中には所定の判定時間おきに使用状態が安全であるか危険であるかを判定する。また、制御部5が基台部1に対する座部2の揺動の速度を複数段階に可変制御するものである場合、安全動作は、基台部1に対する座部2の揺動の速度が最も遅い段階以外の段階であるときには基台部1に対する座部2の揺動の速度を1段階遅くするように駆動部3を制御し、基台部1に対する座部2の揺動の速度が最も遅い段階であるときには基台部1に対する座部2の揺動を停止させるように駆動部3を制御するものとしてもよい。
【0025】
さらに、本実施形態は、制御部5によって制御されて聴覚と視覚との少なくとも一方による報知を行う報知部6を備える。聴覚によって報知を行う報知部6としては例えばブザーやスピーカを用いることができ、視覚によって報知を行う報知部6としては例えば発光ダイオードや液晶パネルを用いることができ、いずれの場合にも周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。報知部6のうち、視覚による報知に用いられる表示部61(図9参照)は、例えば座部2の上面において座部2に跨った使用者Mの脚の間から上方に露出する部位に設けられる。制御部5は、使用状態が危険であると判定された後、安全動作を開始する前に、安全動作の開始を報知するように報知部6を制御する。これにより、報知を確認した使用者Mは、安全動作の開始時にかかる慣性力に備えて身構えることができるから、使用状態が危険であると判定された直後に即座に安全動作が開始される場合に比べ、安全動作の開始時に使用者Mが体勢を崩しにくくなることにより安全性がより向上する。上記のような制御部5は周知の電子回路で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0026】
以下、使用状態検出部4の構成及び使用状態の判定方法の具体例を説明する。
【0027】
使用状態検出部4としては、例えば、図4に示すように、座部2の上面において使用者Mの臀部が載置される領域に設けられた圧力分布センサ41を用いることができる。図4の圧力分布センサ41は、前後方向と左右方向とに2列ずつに分けられた計4個の単位圧力センサ41a〜41dを備える。各単位圧力センサ41a〜41dは、それぞれ、かかった圧力に応じた出力を生成する。例えば、前側の2個の単位圧力センサ41a,41cの出力の平均値と、後側の2個の単位圧力センサ41b,41dの出力の平均値とを比較することで、使用者Mの重心が前後方向のどちらにどの程度偏っているかを検出することができる。また、左側の2個の単位圧力センサ41a,41bの出力の平均値と、右側の2個の単位圧力センサ41c,41dの出力の平均値とを比較することで、使用者Mの重心が左右方向のどちらにどの程度偏っているかを検出することができる。この場合、制御部5は、前側の2個の単位圧力センサ41a,41cの出力の平均値と、後側の2個の単位圧力センサ41b,41dの出力の平均値との差(以下、「前後重心偏り値」と呼ぶ。)を、所定の前後重心偏り上限値及び前後重心偏り下限値と比較し、前後重心偏り値が前後重心偏り上限値以上又は前後重心偏り下限値未満であれば使用者Mの重心が前後方向のいずれかに過剰に偏った危険な使用状態であると判定する。また、制御部5は、左側の2個の単位圧力センサ41a,41bの出力の平均値と、右側の2個の単位圧力センサ41c,41dの出力の平均値との差の絶対値(以下、「左右重心偏り絶対値」と呼ぶ。)を、所定の左右重心偏り上限値と比較し、左右重心偏り絶対値が左右重心偏り上限値以上であれば使用者Mの重心が左右方向のいずれかに過剰に偏った危険な使用状態であると判定する。
【0028】
また、使用状態検出部4の他の例としては、図5に示すように、基台部1の下面の複数個所に設けられてそれぞれ床面に対する基台部1の接触圧を検出する荷重センサ43a,43bを用いてもよい。例えば基台部1の下面の四隅付近にそれぞれ荷重センサ43a,43bを設ければ、制御部5は、荷重センサ43a,43bの出力を上記の圧力分布センサ41の出力と同様に用いて、使用者Mの重心が前後左右のいずれかに過剰に偏った危険な使用状態を判定することができる。
【0029】
さらに、使用状態検出部4の他の例としては、基台部1の水平面に対する傾斜を検出する傾斜センサ(図示せず)を用いることができる。ここで、基台部1の水平面に対する傾斜とは、厳密には、水平な床面に正しく設置された場合における基台部1の向きに対する実際の基台部1の傾きを指す。この場合、制御部5は、水平面に対する基台部1の傾斜角度が所定の上限角度以上であることが上記の傾斜センサにより検出されたときに、基台部1自体が傾いた危険な使用状態であると判定する。
【0030】
また、本実施形態のように使用者Mが座部2に跨る形で着座する場合、使用状態検出部4としては、図6に示すように、座部2の左右の側面において使用者Mの内腿が当接(接触)する部位に、使用者Mの内腿から受ける圧力に応じた出力を生成する内腿圧力センサ42を設けてもよい。この場合、制御部5は、内腿圧力センサ42によって検出された圧力を所定の下限圧力と比較し、検出された圧力が下限圧差未満であれば、内腿に力が入っておらず身体のバランスがとりにくい危険な使用状態であると判定する。
【0031】
さらに、図6や図7に示すように使用者Mの片足ずつが載置される鐙71が座部2の左右両側にそれぞれ設けられる場合、この鐙71に、使用者Mの足裏から受ける圧力を検出する足裏圧力センサ44を設けてこの足裏圧力センサ44を使用状態検出部4に用いてもよい。この場合、制御部5は、左右の鐙71の足裏圧力センサ44によって検出された圧力の差の絶対値(以下、「足裏圧差絶対値」と呼ぶ。)を所定の上限圧差と比較し、足裏圧差絶対値が上限圧差以上であれば使用者Mの重心が左右いずれかに過剰に偏った危険な使用状態であると判定する。
【0032】
また、鐙71の向きすなわち鐙71に載置された足裏の向きを検出する足向きセンサ(図示せず)を設け、これを使用状態検出部4に用いてもよい。例えば、一端が座部2に対して回転自在に連結され他端が鐙71に連結された吊り紐72を介して鐙71が座部2から吊下げ支持されている場合、座部2に対する吊り紐72の傾きは略そのまま足裏の向きを反映したものとなるので、座部2と吊り紐72との連結部に設けられて座部2に対する吊り紐72の向きを検出するポテンショメータを用いて上記の足向きセンサを実現することができる。この場合、制御部5は例えば、足裏が向けられた方向が鉛直下方向に対してなす角が所定の上限角以上となるほど足裏が後方へ向けられていることが足向きセンサによって検出されたとき、足が過剰に曲げられていて身体のバランスが取りにくい危険な使用状態であると判定する。
【0033】
さらに、図8(a)(b)や図9に示すように、座部2に対して変位可能に連結されるとともに使用者Mによって把持される把持部8を設けてもよい。把持部8は具体的には例えば両端部がそれぞれ座部2に対して枢着されることで座部2に対し左右方向から見た面内で回転可能とされる。把持部8は手綱を模した柔軟な紐状としてもよいし、例えば合成樹脂からなるU字形状の部品で構成してもよい。この場合、使用状態検出部4としては、図9に示すように、把持部8において使用者Mが握る位置に設けられて使用者Mによる握力を検出する握力センサ45や、把持部8の両端部にそれぞれ設けられて把持部8に作用する引張り力を検出する引張り力センサ46や、座部2に対する把持部8の傾きを検出する把持部傾きセンサ(請求項における把持部変位量検出手段。図示せず)を用いることができる。握力センサ45には既に述べた圧力センサと同様に周知の感圧素子を用いることができ、引張り力センサ46には例えば周知の歪みセンサを用いることができ、把持部傾きセンサは例えば座部2と把持部8との連結部に設けられたポテンショメータで構成することができる。制御部5は、握力センサ45によって検出された握力が所定の上限圧力以上であるときや、引張り力センサ46によって検出された引張り力が所定の上限引張り力以上であるときに、それぞれ使用者Mが過剰に把持部8に頼っている危険な使用状態であると判定する。また、制御部5は、使用者Mが把持部8を握った手を過剰に前方に突き出していること、又は、使用者Mが把持部8を握った手を過剰に後方に引いていることが把持部傾きセンサによって検出されると、使用者Mが不自然な体制で着座している危険な使用状態であると判定する。
【0034】
使用状態検出部4を構成する上記各種のセンサの出力による判定は、論理和や論理積として適宜組み合わせて、使用状態が安全か危険かの最終的な判定に用いることができる。
【0035】
また、図8(a)(b)や図9のような把持部8を設ける場合、把持部8に設けられて使用状態検出部4を構成する各種のセンサを、使用者Mによる操作入力に使用可能としてもよい。具体的には例えば、制御部5は、把持部傾きセンサによって所定のパターンでの変位が検出されたとき、把持部8に設けられた上記各種のセンサの出力を使用状態の判定に使用する通常モードと、把持部8に設けられた上記各種のセンサの出力を使用状態の判定に使用せず上記各種のセンサの出力に応じて駆動部3を制御する操作モードとの間で動作モードを切り替える。誤って操作モードに移行してしまうような誤動作を避けるためには、制御部5を通常モードから操作モードに移行させる上記所定のパターンは、通常の使用状態では発生し得ないようなパターンであることが望ましく、例えば、把持部8が所定の操作時間以内の間隔で大きく上下に2回振られたことが把持部傾きセンサによって検出されたとき、制御部5は動作モードの切り替えを行う。
【0036】
動作モードが操作モードであるときの制御部5の動作としては、例えば、把持部8が操作時間以内の間隔で2回右側に引かれたことが引張り力センサ46によって検出されたときに基台部1に対する座部2の揺動の速度を1段階上昇させ、把持部8が操作時間以内の間隔で2回左側に引かれたことが引張り力センサ46によって検出されたときに基台部1に対する座部2の揺動の速度を1段階低下させる。また、基台部1に対する座部2の揺動に前後回転運動を含まない場合、基台部1に対して前後方向への座部2の傾きは操作モードにおいて制御部5が変化させるものとしてもよく、制御部5は例えば図8(a)のように把持部8が持ち上げられていることが把持部傾きセンサによって検出されている期間には座部2を徐々に前方へ傾けるように回転運動させ、図8(b)のように把持部8が下げられていること(つまり中央部が両端部よりも後方に向けられていること)が把持部傾きセンサによって検出されている期間には座部2を徐々に後方へ傾けるように回転運動させる。さらに、操作モードにおいて、制御部5が、可能な操作の選択肢及び該選択肢を指定するために使用者Mが行うべき動作(例えば把持部8の引張り操作や把持部8の上げ下げ動作)をそれぞれ報知部4によって音声やテキスト表示で報知し、その後に使用者Mの動作によって指定された選択肢に応じた動作(例えば、駆動部3の動作の変更や、報知部4により提示する選択肢の変更や、操作モードから通常モードへの復帰)を行うようにしてもよい。
【0037】
さらに、電源がオフされている間にも、制御部5が、使用状態検出部4を構成するいずれかのセンサの出力を監視し、該センサの出力が所定の条件を満たしたときに電源をオンさせてもよい。つまり、使用状態検出部4の上記センサを、電源をオンさせる操作入力に使用可能とするのである。具体的には例えば、制御部5は、電源がオフされている状態で、把持部8が所定の操作時間以内の間隔で2回引かれたことが引張り力センサ46によって検出されたとき、電源をオンさせる。
【0038】
なお、把持部8に設けられたセンサの代わりに、使用者Mの内腿が当接する部位の内腿圧力センサ42や、鐙71に設けられた足裏圧力センサ44が、動作モードの切り替えや操作モードにおける動作や電源のオンのための操作入力に用いられるようにしてもよい。この場合において、動作モードの切り替えや電源のオンは、上記の圧力センサ42,44のいずれかにおいて所定のパターンでの圧力の変化が検出されたとき(例えば、所定の閾値を上回る圧力が所定時間内に2回検出されたとき)に行われるようにする。
【符号の説明】
【0039】
1 基台部
2 座部
3 駆動部
4 使用状態検出部
5 制御部
8 把持部
42 内腿圧力センサ
44 足裏圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置される基台部と、
使用者が着座する座部と、
基台部と座部との間に介在し基台部に対して座部を揺動させることにより座部に着座した使用者に運動負荷を付与する駆動部と、
使用状態が反映される出力を生成する使用状態検出手段と、
使用状態検出手段の出力に基いて使用状態が安全であるか危険であるかを判定するとともに、使用状態が危険であると判定されたときには座部の揺動を停止又は緩和させるように駆動部を制御する安全動作を行う制御手段とを備えることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項2】
制御手段によって制御されて視覚と聴覚との少なくとも一方により安全動作の開始を報知する報知手段を備え、
制御手段は、使用状態が危険であると判定された後、安全動作を開始する前に、報知手段を制御して安全動作の開始を報知することを特徴とする請求項1記載の揺動型運動装置。
【請求項3】
使用状態検出手段は、座部に着座した使用者が接触する部位にかかる力を検出する力学センサと、座部に着座した使用者の足裏の向きを検出する足向きセンサと、水平面に対する基台部の傾きを検出する全体傾きセンサとのうち、少なくとも1個を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の揺動型運動装置。
【請求項4】
基台部と座部とに対して変位可能な形で座部に対して連結された把持部であって座部に着座した使用者によって把持される把持部と、
座部に対する把持部の変位量を検出する使用状態検出手段としての把持部変位検出手段とを備え、
把持部変位検出手段により所定のパターンでの変位が検出されたとき、制御手段は、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、把持部変位量検出手段の出力を使用状態の判定に用いずに把持部変位量検出手段の出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の揺動型運動装置。
【請求項5】
座部は使用者が跨る形で着座するものであって、
座部において使用者の内腿が接触する部位には、座部に着座した使用者の内腿から受ける圧力を検出する使用状態検出手段としての内腿圧力センサが設けられていて、
内腿圧力センサにより所定のパターンでの圧力の変化が検出されたとき、制御手段は、内腿圧力センサの出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、内腿圧力センサの出力を使用状態の判定に用いずに内腿圧力センサの出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の揺動型運動装置。
【請求項6】
座部に着座した使用者の足裏から受ける圧力を検出する使用状態検出手段としての足裏圧力センサを備え、
足裏圧力センサにより所定のパターンでの圧力の変化が検出されたとき、制御手段は、足裏圧力センサの出力を使用状態の判定に用いる通常モードと、足裏圧力センサの出力を使用状態の判定に用いずに足裏圧力センサの出力に応じて駆動部の動作を変更させる操作モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の揺動型運動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−227270(P2010−227270A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77677(P2009−77677)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)