説明

損傷部位への活性剤の優先的分配のための組成物および方法

損傷部位への、活性剤の優先的分配のための組成物が提供される。このような組成物は、親水性を有するリガンドと、親水性の金属イオンを含む化合物などの1以上の活性剤とを含んでもよい。これらの送達用リガンドおよび活性剤は、それらの間の相互作用が主にイオン性であるように特に選択されるので、そのため、この送達用リガンドへの活性剤の結合および標的部位へのこの活性剤の放出は酵素による活性に依存しない。このような組成物の使用方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷部位への活性剤の優先的分配のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の器官への、治療薬の標的化送達は、非常に難しいが重要であり、飛躍的に発展している実験的生物医学およびトランスレーショナル生物医学の領域である。これまでの薬物送達システムでは、患者が治療薬を投与された後、その薬剤は、全身の血液循環を介して患者のからだ全体に分配される。治療薬が作用する必要がある器官へはその治療薬の少量だけしか到達できないので、その治療薬の高い初期用量が、患者に投与される必要がある。高用量の治療薬を患者に投与することは、その治療薬の全身濃度を上昇させる可能性が高く、これは、患者の健康な器官に対して悪影響を及ぼす可能性がある。標的化送達が成功すれば、薬物毒性の著しい低減、薬物用量の減少、および治療の有効性の増大がもたらされるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、当該技術分野において、特定の器官への、治療薬の標的化送達を可能にする組成物および方法についてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様は、損傷の部位への、1以上の活性剤の優先的分配のための組成物を提供する。このような組成物は、送達用リガンド、およびこの送達用リガンドとイオン結合を形成することができる少なくとも1つの活性剤、好ましくは金属イオンを含んでもよい。
【0005】
種々の実施形態では、この組成物は、体積あたりの重量で約10〜約60%の間の当該送達用リガンドを含み、この送達用リガンドは親水性を有するリガンドから選択されてもよい。
【0006】
この活性剤は、キレート化部位、すなわち送達用リガンドの特定のヘテロ原子、例えば送達用リガンドのN、O、およびS原子、への静電的引力を介して送達用リガンドとイオン結合を形成することができる金属イオンを含むことができる。イオン結合の種類は、1以上の金属分子と1以上のリガンド分子上に存在する1以上のサブユニットとの間の電子共有を含めて、様々でありうる。いくつかの実施形態では、この活性剤は、体積あたりの重量で約0.1〜約20%の濃度で存在するマグネシウムイオンを含む。
【0007】
本発明の組成物中での送達用リガンドの濃度は、キレート化部位の数に依存する。送達用リガンドは1以上のサブユニット(モノマー)の繰り返しから構成されるので、キレート化部位の数は、このリガンドの分子量に比例し、損傷部位への活性剤の優先的分配を成し遂げるためには、より低分子量のリガンドほどより高い濃度が必要である。1つの適切な送達用リガンドはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0008】
別の態様は、損傷部位への、1以上の活性剤の優先的分配の方法を提供する。この方法は、器官に供給している血管を漏出させることが公知の生物学的状態に罹患している器官を有する患者を特定することと、治療上有効量の上記の組成物をその患者に投与することとを含む。
【0009】
さらに別の態様は、器官に供給している血管を漏出させることが公知の1以上の生物学的状態に罹患している器官を、その1以上の生物学的状態を治療することが公知の1以上の活性剤を優先的に分配させることにより治療する方法を提供する。このような方法は、このような器官を有する患者を特定することと、治療上有効量の上記の組成物をその患者に、好ましくは非経口的に、投与することとを含む。
【0010】
この治療上有効量は、患者の体重に基づいて算出することができる。一般に、患者は、患者の体重1kgあたり少なくとも約0.5〜約10mlの組成物の用量を投与される必要がある。本発明の方法では、少なくとも1つの用量は、送達用リガンドの2半減期以内に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの用量は、送達用リガンドの1半減期以内に投与されてもよい。
【0011】
様々な実施形態のさらなる特徴および利点について、一部は下記に記載され、一部は当該記載から明らかであるか、または様々な実施形態の実施によって知ることができる。様々な実施形態の目的および他の利点は、本願明細書および請求項で具体的に記載された要素および組み合わせによって認識でき、かつ、実現できる。
【0012】
実施形態の他の態様、特徴、恩恵および利点は、一部は以下の説明、添付の請求項および添付の図面の参照から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】損傷から数時間後に開始される、PEG製剤中でのマグネシウムの非経口投与後の、非損傷部位に対する、中枢神経系組織の損傷部位におけるPEGの優先的分配を比較するグラフを提示する。
【図2】損傷から数時間後に開始される、生理食塩水製剤中でのマグネシウムに対する、PEG製剤中でのマグネシウムの非経口投与後の脳脊髄液(CSF)中へのマグネシウムの優先的分配を示すグラフを提示する。
【図3】種々の濃度のPEGを含有する製剤中でのマグネシウムの非経口投与後の、マグネシウムのCSFレベルを比較するグラフを提示する。
【図4】種々の分子量のPEGを含有する製剤中でのマグネシウムの非経口投与後の、マグネシウムのCSFレベルを比較するグラフを提示する。
【図5】種々の速度で送達されるPEG溶液中でのマグネシウムの非経口投与後の、マグネシウムのCSFレベルを比較するグラフを提示する。
【図6】損傷から数時間後に開始される生理食塩水製剤またはPEG製剤中でのマグネシウムの非経口投与後の、マグネシウムの血清レベルを示すグラフを提示する。
【図7】損傷から数時間後に開始されるPEG製剤中でのマグネシウムの投与後の、PEG血漿レベルを示すグラフを提示する。
【図8】PEG製剤中でのマグネシウムの投与後のPEG全身曝露および半減期を示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は原寸で描かれていないことが理解されるはずである。さらに、図面中の物体間の関係は原寸通りではない可能性があり、実際はサイズについて逆の関係性を有する可能性がある。図面は、示された各物体の構造についての理解および明確さをもたらすことを意図しており、従って、いくつかの特徴は、構造についての特定の特徴を示すために誇張される可能性がある。
【0015】
本願明細書および添付の請求項について、別段の記載がない限り、本願明細書および請求項において使用される成分の量、物質の割合または比率、反応条件を表す全ての数および他の数値は、用語「約」によって、全ての例において改変されるものとして理解されるはずである。従って、別段の記載がない限り、本願明細書および請求項に記載された数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変わる可能性がある近似値である。請求項の範囲への均等論の適用を制限することを意図することないが、最低限でも、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の値に基づいて、通常の丸め方を適用することによって解釈されなければならない。
【0016】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるかに関わらず、特定の実施例に記載された数値は可能な限り正確に報告される。しかし、全ての数値は、各試験の測定値において認められる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本願明細書に開示される全ての範囲は、これらに包含されるいずれか、および全ての部分的な範囲を含むものと理解されるはずである。例えば、「1〜10」という範囲は、最小値1と最大値10との間(およびこれらを含む)のうちのいずれか、および全ての部分的な範囲、すなわち、1に等しいか、もしくはこれよりも大きい最小値、および10に等しいか、またはそれ未満の最大値を有するいずれか、および全ての部分的な範囲(例えば、5.5〜10)を含む。
【0017】
本願明細書および添付の請求項において使用される場合、単数形「1つの(a、an)」および「その、当該(the)」には、1つの参照対象にはっきりと明示して制限されていない限り、複数形の参照対象が含まれることに注意されたい。
【0018】
本発明の1つの態様は、活性剤を損傷部位に優先的に分配するための組成物を提供する。用語「損傷部位」は、本願明細書で使用する場合、器官に供給している血管を漏出させることが公知の生物学的状態に罹患している器官を指す。漏出性の血管は、血液およびタンパク質に富む滲出液などの流体物質の血管への異常な流入、またはその管からの異常な漏れを起こしやすい。血管の漏出を引き起こすことが公知の生物学的状態としては、急性の組織もしくは骨の損傷後の数時間〜数週間に観察することができる急性炎症、または変性疾患(加齢性黄斑変性症および糖尿病性網膜症など)に付随するとき数年間にわたって発達する可能性がある慢性炎症などの腫脹を引き起こす状態、あるいは血管新生を引き起こす状態(癌など)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の組成物は、送達用リガンドおよび少なくとも1つの活性剤を含み、当該送達用リガンドと、当該少なくとも1つの活性剤との間の相互作用は、主にイオン性のものである。これらの相互作用は、「キレート化」様の効果として定義することもできよう。この活性剤の陽イオンは、送達用リガンドの特定のヘテロ原子への、例えば当該送達用リガンドのN、O、およびS原子への静電的引力を形成しうる。このような結合部位は、本願明細書では、キレート化部位と呼ばれる。例えば、親水性ポリマーPEG全体は非イオン性であるが、PEG鎖上のエーテル酸素上の非共有電子対は、ポリマーに陰イオン性の特質を与え、金属イオン(Mg2+またはMgClのような陽イオンを介した塩化マグネシウムなど)に結合できる。1つの実施形態では、送達用リガンドおよび活性剤は、それらの間の相互作用が主にイオン性のものであるように特に選択され、そのため送達用リガンドの活性剤の結合および標的部位への活性剤の放出は酵素による活性に依存しない。
【0020】
本発明の組成物のための送達用リガンドは、下記の基準を満たしてもよい:(1)送達用リガンドは水溶性である、(2)送達用リガンドは、無傷な血管から迅速に除去され排泄される、(3)送達用リガンドは、血管が漏出している場所で優先的に蓄積する、(4)送達用リガンドは親水性を有する、ならびに(5)送達用リガンドは、陽イオンとのイオン結合に適したキレート化部位を有する。
【0021】
上記のように、当該送達用リガンドは、血管が無傷である場合は、体内から迅速に排泄されうる。従って、送達用リガンドは、3時間未満、2時間未満、または1時間未満の半減期を有することができる。送達用リガンドの全除去の速度(または半減期)および排泄の速度は、リガンドの分子量に関連し、より高い分子量のリガンドは、より長い半減期を有する。さらに、同じ分子量については、親水性リガンドは、より疎水性のリガンドよりも短い半減期を有する。ほとんど変化せずに尿から排泄されうる親水性リガンドは、排泄の前に何らかの変換が要求されるリガンドよりも、半減期が短い。例えば、糸球体濾過のカットオフ値は24,000Daであるため、24,000Daよりも重い全てのリガンドは、排泄されうる前に、ある程度まで分解される必要があり、これによってその半減期が延びる。従って、送達用リガンドは、好ましくは、24,000Da未満の分子量を有する親水性を有するポリマーから選択されてもよい。
【0022】
当該送達用リガンドは、親水性または両親媒性ポリマーから選択されてもよい。本願明細書で使用される用語「親水性ポリマー」は、水分子への親和性や誘引を示し、鎖状および/または分岐状の構造において互いに結合する同一のサブユニット(「モノマー」)についての複数の例を含む全ての高分子(200ダルトン以上の分子量)を意味する。親水性ポリマー成分は、合成の親水性ポリマーまたは天然に存在する親水性ポリマーであってもよい。
【0023】
天然に存在する親水性の化合物としては下記が挙げられるが、これらに限定されない:コラーゲンおよびその誘導体、フィブロネクチン、アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンおよびフィブリンなどのタンパク質;ポリマンヌロン酸およびポリガラクツロン酸などのカルボキシル化ポリサッカライド;アミノ化ポリサッカライド、特にグリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸、キチン、コンドロイチン硫酸A、B、またはC、硫酸ケラチン、ケラタン硫酸およびヘパリン;メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムおよび活性化ポリサッカライド(デキストランなど)およびデンプン誘導体。
【0024】
有用な合成親水性化合物としては下記が挙げられるが、これらに限定されない:ポリアルキレンオキシド、特にポリエチレングリコールおよびポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)コポリマー(ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーなど);グリセロール、ポリグリセロール(特に高度分岐ポリグリセロール)、ポリ(メタクリル酸ポリエチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸グリセロール)、ポリ(アクリル酸グリセロール)、ポリ(アクリル酸ポリエチレングリコール)、ポリ(アルキルオキサゾリン)、ホスホリルコリンポリマー、ポリメタクリル酸ナトリウムおよびポリメタクリル酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸およびポリアクリル酸、1以上のポリアルキレンオキシドで置換されたプロピレングリコールおよびトリメチレングリコール(例えば、モノ−、ジ−およびトリ−ポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジ−ポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジ−ポリオキシエチル化トリメチレングリコール)などのポリオール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース;アクリル酸ポリマーならびにその類似体およびコポリマー(例えば、ポリアクリル酸それ自体、ポリメタクリル酸、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メチルアルキルスルホキシド)、ポリ(アクリル酸メチルアルキルスルホキシド)および上述のうちいずれかのコポリマー)、ならびに/またはさらなるアクリレート化学種(アクリル酸アミノエチルなど)を含むもの、ならびにモノ−2−(アクリルオキシ)−エチルコハク酸エステル;ポリマレイン酸;ポリアクリルアミドそれ自体、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、およびポリ(N−イソプロピル−アクリルアミド)などのポリ(アクリルアミド);ポリ(ビニルアルコール)などのポリ(オレフィンアルコール);ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)およびそのコポリマーなどのポリ(N−ビニルラクタム);ポリ(メチルオキサゾリン)およびポリ(エチルオキサゾリン)などのポリオキサゾリン;ならびにポリビニルアミン。
【0025】
本願明細書で使用される用語「両親媒性ポリマー」とは、極性部分構造および非極性部分構造を生じさせる局所的な電荷量の変化を有する全ての高分子(200ダルトン以上の分子量)を指す。極性部分構造は、他の極性分子構造(水分子など)への親和性または誘引を示す(親水性)一方で、非極性部分構造は、非極性分子(例えば、脂質、油脂、グリース、脂肪など)への親和性または誘引を示す(親油性)。適した両親媒性ポリマーとしては、ポロキサマー P−188、ポリエーテルエステルコポリマー(ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのコポリマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロックコポリマーなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
両親媒性ポリマーはまた、Jeffamine(登録商標)として知られるポリエーテルアミンのファミリーを含む。これらのポリエーテルアミンは、典型的にはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、またはその混合物に基づくポリエーテル骨格の末端に結合した一級アミノ基を含む。Jeffamine(登録商標)ファミリーは、モノアミン、ジアミン、トリアミンおよび第二級アミンを含む。Jeffamine(登録商標)は、ハンツマン・コーポレーション(Huntsman Corporation)(本社;テキサス州、ザ ウッドランド)から購入できる。
【0027】
一般に、本発明の組成物中での送達用リガンドの濃度は、体積あたりの重量で約10〜60%、すなわち、100ml溶液に対して10〜60gのリガンド、体積あたりの重量で約20〜約40%、または体積あたりの重量で約30%〜約40%の範囲にある。本発明の組成物中での送達用リガンドの濃度は、送達用リガンド中のキレート化部位の数に依存する。この送達用リガンドは、1以上の種類の繰り返しサブユニットから構成され、その繰り返しサブユニットのうちの少なくともいくつかは、キレート化部位を含む。より高分子量の送達用リガンドはより多い数のサブユニットから構成され、従ってより高分子量の送達用リガンドは、より低分子量の送達用リガンドよりも多い数のキレート化部位を有する可能性が高い。従って、一般的に、当該組成物中のより高分子量の送達用リガンドの濃度は、同じサブユニットを含むがより低分子量を有する送達用リガンドの濃度よりも低くてもよい。例えば、3350Daの分子量の送達用リガンドを利用する場合、当該組成物は、少なくとも20%(重量/体積)の当該送達用リガンドを含むことが好ましい。別の例では、300Daの分子量の送達用リガンドを利用する場合、当該組成物は、少なくとも30%(重量/体積)の当該送達用リガンドを含むことが好ましい。
【0028】
種々の実施形態では、当該送達用リガンドは、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでいてもよい。本発明の組成物中の送達用リガンドとしての使用のためには、分子量が約100〜20,000Da、より好ましくは約300〜9000Da、最も好ましくは約2,000Da〜約4,000DaであるPEGが適している。異なる分子量のPEGは、例えば、(Sigma−Aldrich)シグマアルドリッチ(米国、ミズーリ州、セントルイス)から得てもよい。
【0029】
本願明細書で使用する用語「活性剤」は、標的とされる器官に影響を及ぼして血管を漏出させる生物学的状態の徴候または症候を軽減する化学元素または化合物を指す。いくつかの実施形態では、当該送達用リガンドおよび活性剤の化学構造は、主にイオン性の相互作用に基づいて複合体を形成することができるように、選択される。本発明の組成物中のこの活性剤の濃度は、体積あたりの重量で約0.1%〜約20%の間の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物中のこの活性剤の濃度は、体積あたりの重量で0.8〜20%の間の範囲であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、当該活性剤は、一価の金属イオン(カリウムおよびリチウムなど);二価の金属イオン(マグネシウムおよびカルシウムなど);遷移金属(鉄、亜鉛、および銅など);より複雑な金属イオン(アルミニウムなど)を含めた(これらに限定されない)金属イオン;ならびにこのような金属イオンを含む化合物から選択されてもよい。このような金属イオンは、送達用リガンドの特定のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄原子などへの静電的引力を介してイオン結合を形成することにより、送達用リガンドと複合体を形成する。イオン結合の種類は、1以上の金属イオンと送達用リガンドの1以上のサブユニットとの間の電子共有を含め、様々である可能性がある。この金属対イオンは、送達用リガンドとの複合体の形成に関与してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、とりわけ、親水性の疾患修飾剤、神経伝達物質、神経ペプチドおよび神経受容体調節因子、抗炎症剤および免疫調節剤、抗酸化剤、抗アポトーシス剤;向知性薬および成長剤、脂質の形成および輸送の調節因子、血流および血管形成の調節因子、血流および血管形成の調節因子、鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤(副腎皮質ステロイドなど)、非ステロイド系抗炎症剤(サリチル酸エステルなど)、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、TNFα阻害剤、アヘン剤およびモルヒネ様作用薬をも含んでもよい。
【0032】
1つの実施形態では、当該生物活性剤は、マグネシウム化合物を含む。本発明の組成物の中でのマグネシウムの濃度は、体積あたりの重量で約0.1%〜約20%の間、より好ましくは体積あたりの重量で約0.1%〜約10%の範囲であってもよい。最も好ましくは、本発明の組成物の中でのマグネシウムの濃度は、体積あたりの重量で約0.4〜約4%の間であり、通常0〜10mMの間で変わる血清、緩衝液または電解質溶液で見出されるマグネシウムの濃度よりも高い。種々のマグネシウム塩が、マグネシウム化合物の供給源をもたらしうる。適切なマグネシウム塩としては、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、例えば、シグマアルドリッチ(米国、ミズーリ州、セントルイス)から容易に購入できる。
【0033】
当該送達用リガンドおよび活性剤に加えて、本発明の組成物は、1以上の薬学的に許容できる担体を含んでいてもよい。本発明の組成物は、賦形剤(例えば、溶媒、結合剤、フィラー、崩壊剤、潤滑剤、懸濁剤、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、抗菌剤など)を含んでいてもよい。多くの異なる薬学的に許容できる担体および賦形剤が知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Lippincott Williams & Wilkins;第21版(2005年5月1日)に開示されている。
【0034】
非限定的な例として、米国特許出願第11/418,153号明細書および米国特許出願第11/418,152号明細書(これらは参照により、その全体が本願明細書に援用される)に開示された組成物を使用してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、非経口投与用に調製される。非経口投与は、一般に、皮下、筋肉内、または静脈内注射によって特徴づけられる。非経口投与用の本発明の組成物は、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中の溶液にするのに適した固形形態として調製してもよい。
【0036】
本発明の別の態様は、活性剤を損傷部位に優先的に分配するための方法に関する。このような方法は、器官に供給している血管を漏出させることが公知の生物学的状態に罹患している器官を有する患者を特定することと、患者に、治療上有効量の本発明の組成物を投与することとを含む。
【0037】
本発明のさらに別の態様は、器官に供給している血管を漏出させることが公知の1以上の生物学的状態に罹患している器官を、その1以上の生物学的状態を治療することが公知の1以上の活性剤を優先的に分配することにより、治療する方法に関する。このような方法は、このような罹患した器官を有する患者を特定することと、その患者に治療上有効量の本発明の組成物を投与することとを含む。
【0038】
用語「治療する(こと)」または「治療」は、1以上の薬物を、患者(ヒトまたはその他)に、疾患の徴候または症候を軽減するために投与する工程を含んでもよい手順を実行することを指す。軽減は、現れつつある疾患の徴候または症候に先立って、および徴候または症候が現れた後に、起こってもよい。従って、「治療する(こと)」または「治療」は、その疾患を「予防する(こと)」または「予防」を包含する。加えて、「治療する(こと)」または「治療」は、徴候または症候の完全な軽減を要求せず、治癒を要求せず、患者に対するわずかの効果しか有しない手順を特に含む。
【0039】
用語「治療有効量」は、患者に投与した場合に、患者の状態の改善をもたらすのに十分な本発明の組成物の量を意味する。改善は治癒を意味するのではなく、患者の状態におけるマージナルな変化のみ含んでもよい。これはまた、状態を予防する、またはその進行を停止もしくは遅延させる活性剤の量を包含してもよい。一般に、本発明の組成物の治療有効量は、患者の体重に基づいて見積もられてもよい。ある実施形態では、患者は、患者の体重1kgあたり少なくとも約0.5〜約20mlの組成物、より好ましくは患者の体重1kgあたり約0.5〜10mlの間、最も好ましくは約1および8mlの間の組成物の用量を投与されることが好ましい。1つの実施形態では、当該患者は、患者の体重1kgあたり約0.1〜約3gの送達用リガンドおよび約4〜約80mgの当該活性剤、最も好ましくは患者の体重1kgあたり約0.3〜約2.5gの間の送達用リガンドおよび約8〜約65mgの間の活性剤の用量を投与される必要がある。必要に応じて反復用量を投与してもよい。いくつかの特定の非限定的な実施形態では、患者に投与される組成物は、上に列挙した量のPEG 3350および塩化マグネシウム六水和物を含んでもよい。
【0040】
器官に供給している血管を漏出させることが公知の生物学的状態に罹患している器官を特定するために、当該技術分野で公知かつ使用されるいずれの診断方法を利用してもよい。適切な診断方法としては、血液検査、尿検査、組織腫脹、疼痛、機能評価または神経学的評価または医用イメージング検査(X線、超音波、CATスキャンまたはMRIなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
上述の通り、好ましい送達用リガンドは、漏出性の血管の部位に蓄積しない限り、無傷の血管から迅速に除去され、患者の体内から排出される。このようなリガンドは、身体内での半減期が短い可能性が高いため、患者に、迅速に投与する必要がある。さらに具体的には、本発明の組成物の1用量を、患者に、当該送達化合物の2半減期以内、より好ましくは1半減期以内に投与することが望ましい。例えば、いくつかの場合、1000〜6000Daの間の分子量を有するPEGが利用されてもよい。ヒトにおけるこのようなPEGの半減期は、約30〜約90分の間であり、従って、このようなPEGを含む本発明の組成物の1用量を、個体のばらつきを考慮に入れると180分間以内、最も好ましくは90分間以内に投与することが望ましい。別の例では、MW 3350のPEGは、ラットにおいて29〜42分という半減期を有し、このPEG 3350溶液中のマグネシウムが60分未満の期間のうちに投与されるとき、より良好な優先的分配が観察される。
【0042】
以上で本発明の全般について記載した。本発明は、例証として与えられ、特段の記載がない限り本発明を制限する意図ではない下記の実施例への参照によってさらに容易に理解できるであろう。
【実施例】
【0043】
図1〜7のデータに関する方法および検査:
各々体重250〜300グラムの雌のスプラグドーリー(Sprague−Dawley)ラット(ハーラン・スプラグ・ドーリー社(Harlan Sprague−Dawley)、インディアナ州、インディアナポリス)を、実験前に、自由に食餌および水を摂らせた。これらの動物をケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)で麻酔した。直腸温度計を使用して脳温度をモニターした。水ジャケット付きの加熱パッドを使用することによって、動物の体温を37℃に維持した。脳温度を、損傷の1時間から損傷後6時間の間モニターし、30分間隔で記録した。
【0044】
この研究で利用した脊髄傷害モデルは、詳細に記載されている(Rabchevskyら、2002)。若い成体の雌のスプラグドーリーラットに、プレシジョン・システムズ・アンド・インスツルメンテーション・エルエルシー(Precision Systems and Instrumentation,LLC)(バージニア州、フェアファックス・ステーション(Fairfax Station))製の空気式インパクターを使用して、脊髄挫傷を与えた。外科手術に先立ち、いずれの所定の外科手術の日でも全ての処置群が含まれるように、乱塊法に基づいて、ラットを異なる処置群に割り当てた。これらのラットをケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)で麻酔し、その後、第10胸椎(T10)で椎弓切除術を行った。脊柱を、曲がったクランプを用いて、上部胸椎(T8)および腰椎(T11)レベルで固定し、2mmの先端直径を有するインパクターをおよそ150キロダインで、脊髄背側部に重なる露出した、無傷の硬膜に当てた。このインパクターを直ちに取り除き、その創傷を生理食塩水で洗浄し、筋肉および皮膚の開口部を一緒に縫合した。
【0045】
損傷から2時間後、生理食塩水、生理食塩水中の0.8%マグネシウムまたは20もしくは30%のPEG 300Daもしくは3350Da製剤中0.8%マグネシウムを、10〜60分間にわたって、5mL/kgの静脈内注入によって投与した。静脈内(iv)投与のために、右頸静脈を、PE 50管を用いてカニューレ処置した。このカニューレを、頸背部を通して固定し、注入期間と注入期間との間はキャップをした。化合物の再投与のために、動物を再度麻酔した。注入バイアルの中身は、注入および分析の両方を行う研究者に知らせなかった。
【0046】
図8のデータに関する方法および検査:
ラットにおいて、30分間にわたって送達される、30% PEG3350製剤中の0.8%マグネシウムの10〜20ml/kgの毎日の静脈内投与後にPEG成分の全身曝露および半減期を評価した。
【0047】
図1〜8のデータに関する方法および検査:
注入後の種々の時間点で、脳脊髄液および/または血液試料および/または損傷部位があるもしくは損傷部位がない脊髄組織を集めた。血液試料を、マグネシウムアッセイのために血清へと、またはPEGアッセイのために血漿へと処理した。
【0048】
血清試料およびCSF試料を、マグネシウム濃度について、オハイオ州44805、アッシュランド(Ashland)、ジョージ・ロード(George Road) 1407のダブリューアイエル・リサーチ・ラボラトリーズ・エルエルシー(WIL Research Laboratories,LLC)の病理部(Clinical Pathology Department)で分析した。血清試料およびCSF試料を、エチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EGTA)を含有するアルカリ溶液の中でキシリジルブルーと反応させ、紫色の発色団を形成させた。この発色団の形成(それゆえ、キシリジルブルーの還元)は、上記機器によってキシリジルブルー吸光度(600nm)の減少として測定されるMg2+の濃度に比例する。血清およびCSF中のマグネシウムの測定のために、Hitachi 912臨床化学分析装置アッセイを使用した。
【0049】
ラット血漿中のPEG−3350の組織中濃度および血漿中濃度を、検証された高性能液体クロマトグラフィタンデム質量分析(HPLC/MS/MS)法を使用して陽イオンエレクトロスプレーイオン化法で測定した。PEG−3350の測定のための方法では、200μLの血漿を除タンパクするためにアセトニトリルを使用した。血漿または組織ホモジネートの遠心分離後に、各試料からの上清分画をエバポレーションによって濃縮し、分析に先立って移動相Aを用いて再構成した。これらの試料を、Thermo Hypersil ODSカラムを使用するHPLC/MS/MSアッセイを用いて分析した。PEG−3350のピーク面積および較正標準の理論上の濃度は、原点を除いて二次関数に合わせた。
【0050】
結果:
(1)PEGは、非経口投与後に、損傷の部位に優先的に蓄積する。
HPLC/MS/MSアッセイを使用するPEGの脊髄組織レベルの定量的評価も、PEGは損傷の部位に優先的に蓄積し、非損傷部位での1238μg/mlに対し、注入から30分後に損傷の部位で3198μg/mlのPEG組織レベルが見出されるということを示した。このPEGの脊髄組織レベルは、経時的に急速に減少し、例えば注入から3時間後には損傷の部位で1431μg/mlが認められ、非損傷部位では519μg/mlが認められた。これらの結果を図1に提示する。しかしながら、特定量のPEGは損傷の部位の残留したに違いない。なぜなら、PEGレベルは、注入の回数とともに上昇したからである。注入から3時間後には、損傷の部位でのPEG組織レベルは、1回の注入および5回の注入後でそれぞれ1431μg/ml、および3891μg/mlであった。
【0051】
(2)PEGは、SCIラットにおいて、CNS区画でのマグネシウムの蓄積を増加させる。
生理食塩水溶液中のマグネシウムまたはPEG溶液中のマグネシウムの静脈内投与後の、SCIラットにおける脳脊髄液(CSF)中のマグネシウムレベルを、比色分析を使用して評価した。図2に提示するように、注入から30分後、マグネシウムのCSFレベルは、両方の製剤について同様であり、0.29〜0.34mmol/Lの範囲であった。しかしながら、注入から3時間後、マグネシウムのCSFレベルは、生理食塩水群におけるマグネシウムに変化がなかった(0.28mmol/L)のに対して、PEG群ではマグネシウムは2倍に増加した(0.58mmol/L)。PEG脊髄組織レベルと同様に、マグネシウムのCSFレベルは、PEG中のマグネシウムの注入の回数とともに増加した。注入から3時間後には、マグネシウムのCSFレベルは、1回の注入および5回の注入後でそれぞれ、0.58mmol/Lおよび0.97mmol/Lを記録した。図3〜5に提示するように、PEG成分の濃度およびMW、ならびに送達の速度は、PEG製剤中のマグネシウムの静脈内投与後に達成されるマグネシウムのCSFレベルに影響を及ぼしうる。
【0052】
(3)当該PEG製剤は、マグネシウムの全除去に影響を及ぼさない
図6を参照すると、PEG溶液中のマグネシウムの製剤は、生理食塩水溶液中のマグネシウムと比べて、マグネシウムの全身分布を変えなかった。注入の終わり(t=0)にCmaxレベルを観察し、生理食塩水中のマグネシウムまたはPEG溶液中のマグネシウムの投与後に約2.00mmol/Lに到達した。マグネシウムの血清レベルは、経時的に急速に減少し、注入からほぼ1〜2時間後には、ベースラインレベルに戻った。
【0053】
(4)PEGは、全身循環から急速に除去される
図7を参照すると、損傷を受けた動物において、PEG血漿レベルについてのCmax値を注入の終わりに観察し、レベルは、注入から30分後に、ベースラインレベルへと急速に減少した。同様に、損傷を受けていないラットにおいて(図8)、PEG血漿レベルについてのCmax値を注入の終わりに観察し、レベルは急速に減少し、これから、雌および雄のラットにおいて0.49〜0.69時間の間で変わる半減期が導かれる。7日間にわたって毎日繰り返した注入は、PEGの全身曝露および全除去特性に影響を及ぼさなかった。
【0054】
本発明は、特定の実施形態を参照して本願明細書に記載されてきたが、これらの実施形態は本発明の原理および応用を説明するものでしかないことが理解されるはずである。従って、説明した実施形態に多数の改変を行ってもよく、請求項によって画定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の組み合わせを考案してもよいことが理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
損傷の部位への、1以上の活性剤の優先的分配の方法であって、
器官に供給している血管を漏出させることが公知の生物学的状態に罹患している器官を有する患者を特定することと、
送達用リガンドおよび1以上の活性剤を含む組成物を、患者の体重1kgあたり約0.5〜約10mlの組成物の用量で前記患者に投与することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記組成物は、患者の体重1kgあたり約0.1〜約3gのリガンドおよび約4〜約80mgの前記活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送達用リガンドと前記1以上の活性剤との間の相互作用は主にイオン性のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送達用リガンドは、親水性を有するリガンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送達用リガンドは、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送達用リガンドは、約300Da〜約9000Daの間の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
単回用量は、前記送達用リガンドの1半減期以内に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記活性剤は金属イオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記活性剤の濃度は、体積あたりの重量で約0.1〜20%の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記活性剤は、マグネシウムイオンを含む化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は、体積あたりの重量で約10〜約60%の間の前記送達用リガンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
器官に供給している血管を漏出させることが公知の1以上の生物学的状態に罹患している器官を、前記1以上の生物学的状態を治療することが公知の活性剤を優先的に分配することにより治療する方法であって、
このような器官を有する患者を特定することと、
送達用リガンドおよび1以上の活性剤を含む組成物を、患者の体重1kgあたり約0.5〜約10mlの組成物の用量で前記患者に投与することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記組成物は、患者の体重1kgあたり約0.1〜約3gのリガンドおよび約4〜約80mgの前記活性剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記送達用リガンドと前記1以上の活性剤との間の相互作用は、主にイオン性のものである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記送達用リガンドはポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記活性剤は、約300Da〜約9000Daの間の分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
単回用量は、前記送達用リガンドの2半減期以内に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記活性剤は金属イオンである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記活性剤の濃度は、体積あたりの重量で約0.1〜20%の間である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記活性剤は、マグネシウムイオンを含む化合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は、約10〜約60%の間の前記送達用リガンドを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
ニューロン損傷の部位にマグネシウムを優先的に分配する方法であって、
PEGと、体積あたりの重量で約0.1%〜約20%の間のマグネシウムを含む化合物とを含む組成物を投与すること
を含み、前記マグネシウムを含む化合物は、PEGによって、前記損傷の部位を取り囲む領域へと分配される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−521440(P2012−521440A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502157(P2012−502157)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/028235
【国際公開番号】WO2010/111221
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】