説明

搬送ガイド及びそれを備えた画像形成装置

【課題】容易にジャム処理を行うと共に、構成部材に損傷を与えることを防止することをも可能な搬送ガイド及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100のレジストローラ13と感光体ドラム5との間には、搬送ガイド33が配置されており、搬送ガイド33の表面におけるレジストローラ13のレジストニップN1を通過した用紙Sの先端が当接する当接部分Bよりも搬送方向下流側に、搬送方向とは垂直方向に延設された突出部34a、34bが搬送方向上流側から順に形成されており、突出部34a、34bの搬送方向と垂直方向の断面は、搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状に形成され、突出部34a、34bの傾斜部34aa、34baの頂部34ab、34bbは、用紙Sの搬送面Aに沿って配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法を用いた画像形成装置に関するものであり、特に用紙を案内する搬送ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザービームプリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置は、コンピュータから送られた画像信号に基づき、レーザ光により感光体ドラム(像担持体)に静電潜像を形成し、現像装置により静電潜像をトナー像とする。一方、用紙収納カセット内に収納された転写材としての用紙(記録媒体)は、給紙ローラによって1枚ずつ取り出され、レジストローラによってトナー像の形成と同期が取られる。そして、転写ローラによって感光体上のトナー像が用紙に転写される。その後、熱ローラ、加圧ローラを有する定着装置を経て、用紙にトナー像が定着され、排出される。
【0003】
このような画像形成装置、特に小型プリンタ等では、給紙カセットから上方に送り出された用紙の搬送経路は、画像形成部に向かって略水平となるよう湾曲し、画像形成部及び定着部を経た後さらに上方の排出部に向かって湾曲している。このように用紙が略S字状に搬送される場合、レジストローラのニップと転写部との間でジャムが発生した際、給紙カセットを引き抜いてジャム処理を行うことが多い。
【0004】
通常、レジストローラの上流側直近の搬送経路には、構成部材として例えばマイラー等の案内部材が設けられ、レジストローラのニップに用紙をスムーズに案内できるようになっている。しかし、用紙のジャム状態が悪いと、上記したジャム処理時に用紙を引き抜く際、用紙の折れ曲がり部分が引っ掛かってマイラーを曲げたりするおそれがある。
【0005】
一方、例えば特許文献1には、転写ローラと感光体ドラムと間の間隔規制コロを感光体ドラムに押圧するコロ付勢手段と、転写前ガイドを該転写前ガイドの感光体に対する位置決め機構と係合させるように付勢するガイド付勢手段とを、間隔規制コロと感光体との圧接ポイントと、転写前ガイドの位置決め位置とが同一平面上に位置するように付勢することにより、圧接ポイントでの当接を安定に確実に維持してそのぶれを防止し、転写ローラと感光体ドラムとの間隔規制を安定且つ確実に行い、優れた転写画像を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2000−250335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に示さされたようなレジストローラの上流側に、マイラー等が設けられた場合、上記した様に、ジャム処理時に用紙を引き抜く際、例えばマイラーを損傷するおそれがある。そこで、例えばレジストローラが逆回転しない構成にし、用紙を引き抜く際、レジストローラのニップで用紙のしわや折れを伸ばすことも考えられる。しかし、かかる構成では、ローラの抵抗があるため用紙を強く引き抜く必要があり、ジャム処理中に用紙が破れるおそれがある。また、力の弱い人ではジャム処理が困難となる。
【0008】
さらに、封筒などの折り目のあるものや、ジャム等で先端が折れた用紙のジャム処理においては、用紙を搬送方向上流側から引き抜くと、折れ曲がった部分がレジストローラの上流側に配置されたマイラーに引っ掛かり、マイラーがめくり上がることがある。これが繰り返されると、マイラーが損傷したり、曲がったりして適切な用紙の搬送が困難となるおそれがある。このように、ジャム処理時に用紙を引き抜く際、マイラー等の構成部材に損傷を与えるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、容易にジャム処理を行うと共に、構成部材に損傷を与えることを防止することをも可能な搬送ガイド及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体を搬送する搬送ローラの搬送方向下流側直近に配置され、前記搬送ローラから搬送される記録媒体を下流側に案内する搬送ガイドであって、前記搬送ガイドの表面における前記搬送ローラのニップを通過した記録媒体の先端が当接する部分よりも前記搬送方向下流側に少なくとも、前記搬送方向とは垂直方向に延設され且つ先端部が記録媒体の搬送面に沿って配置される突出部が1つ以上形成されたことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、前記突出部の前記搬送方向とは垂直方向に見た断面は、前記搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状に形成され、前記突出部は前記搬送方向下流側に向かって上り傾斜の傾斜部を有しており、且つ前記傾斜部の頂部が前記搬送面に沿って配置されることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、前記突出部は、複数形成されたことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、前記搬送ローラの前記搬送方向上流側直近に、前記搬送ローラに対して記録媒体を案内可能な弾性材料から成る案内部材が配置されたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、前記搬送ガイドと、像担持体、現像手段及び転写手段を有し記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、記録媒体の搬送を行う搬送ローラと、を備えた画像形成装置である。
【0015】
また本発明は、前記搬送ローラは、記録媒体先端を突き当てて記録媒体の斜行を補正後、画像形成タイミングに合わせて前記画像形成部に記録媒体の搬送を行うレジストローラであり、前記搬送ガイドは、前記レジストローラと前記画像形成部との間に配置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、搬送ローラの搬送方向下流側直近に配置された搬送ガイドの表面における搬送ローラのニップを通過した記録媒体の先端が当接する部分よりも搬送方向下流側に少なくとも、搬送方向とは垂直方向に延設され且つ先端部が記録媒体の搬送面に沿って配置される突出部を1つ以上形成することができる。
【0017】
これにより、記録媒体の搬送時には、その搬送を可能としつつ、ジャム処理時には、記録媒体を搬送ローラの上流側から引き抜くと、記録媒体の先端が折れ曲がっていても、折れ曲がり部分が突出部に引っ掛かり、かかる引っ掛かり部分を支点として折れ曲がり部分を開くことができる。従って、容易にジャム処理を行うことが可能となる。加えて、ジャム処理時に用紙を引き抜く際、記録媒体の折れ曲がり部分が構成部材に損傷を与えることを防止することもできる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の搬送ガイドにおいて、突出部の搬送方向とは垂直方向に見た断面を、搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状に形成し、突出部が搬送方向下流側に向かって上り傾斜の傾斜部を有することとし、且つ傾斜部の頂部を搬送面に沿って配置することにより、ジャム処理時に搬送ローラの上流側から記録媒体を引き抜く際、記録媒体の折れ曲がり部分が突出部に、より引っ掛かり易くなるため、より容易にジャム処理を行うことが可能となる。加えて、折れ曲がり部分が構成部材に損傷を与えることを、より防止することもできる。また、記録媒体の下流側への搬送時には、その搬送を、より安定且つ確実なものとすることができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の搬送ガイドにおいて、突出部を複数形成することにより、ジャム処理時に記録媒体の折れ曲がり部分が突出部に引っ掛かる頻度を高くすることができるため、かかる折れ曲がり部分が突出部に、より引っ掛かり易くなる。これにより、より容易にジャム処理を行うと共に、構成部材に損傷を与えることを、より防止することができる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の搬送ガイドにおいて、搬送ローラの搬送方向上流側直近に、搬送ローラに対して記録媒体を案内可能な弾性材料から成る案内部材を配置することにより、ジャム処理時に案内部材の損傷を防止することができるため、搬送ローラへの記録媒体の案内を安定に維持することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の搬送ガイドと、像担持体、現像手段及び転写手段を有し記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、記録媒体の搬送を行う搬送ローラと、を備えた画像形成装置とすることにより、画像形成時にジャムが発生しても、ジャム処理を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の画像形成装置において、搬送ローラを、記録媒体先端を突き当てて記録媒体の斜行を補正後、画像形成タイミングに合わせて前記画像形成部に記録媒体の搬送を行うレジストローラとし、搬送ガイドを、レジストローラと画像形成部との間に配置することにより、ジャム処理時に、折れ曲がった記録媒体をレジストローラの上流側から引き抜くと、かかる折れ曲がり部分を開くことができる。これにより、容易にジャム処理を行うことが可能となると共に、特にレジストローラの上流側に配置された構成部材に損傷を与えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送ガイドを備えた画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】本実施形態に係る搬送ガイド周辺の構成を示す部分拡大断面図
【図3】本実施形態に係る搬送ガイド周辺の構成を示す斜視図
【図4】本実施形態に係る搬送ガイド周辺における用紙の搬送状態を示す概略部分側面断面図
【図5】図4の搬送ガイドを示す部分拡大断面図
【図6】本実施形態の搬送ガイドに形成された突出部に対する用紙の折れ曲がり部分の当接状態を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置(例えばプリンタ)100内には、画像形成部Pが配置されている。画像形成部Pには、帯電器4、感光体ドラム(像担持体)5及びクリーニング装置6、露光ユニット7、現像装置(現像手段)8、転写ローラ(転写手段)14が配置されており、帯電、露光、現像及び転写の各工程により画像を形成する。
【0026】
画像形成装置100では、画像形成動作を行う場合、帯電器4により図中時計回りに回転する感光体ドラム5が一様に帯電され、入力された画像データに基づく露光ユニット(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像装置8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付与されてトナー像が形成される。なお、ここでは正帯電トナーを用いることとする。
【0027】
この現像装置8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。なお、画像データはパーソナルコンピュータ(図示せず)等から送信される。また、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置(図示せず)がクリーニング装置6の感光体ドラム5回転方向下流側に設けられている。
【0028】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、用紙(記録媒体)Sが給紙カセット10又は手差しトレイ11から用紙搬送路12及びレジストローラ(搬送ローラ)13を経由して搬送され、転写ローラ14の作用により感光体ドラム5の表面に形成されたトナー像が用紙Sに転写される。なお、レジストローラ13は、一対の駆動ローラ及び従動ローラから構成され、用紙Sの先端を突き当てて用紙Sの斜行を補正後、画像形成タイミングに合わせて画像形成部Pに用紙Sの搬送を行うことができる。
【0029】
そして、トナー像が転写された用紙Sは感光体ドラム5から分離され、加熱ローラ15a及び加圧ローラ15bを有する定着部15に搬送され、定着部15で加熱及び加圧されてトナー像が定着される。定着部15を通過した用紙Sは、用紙搬送路16により装置上部に搬送され、排出ローラ対17より排出トレイ18に排出される。
【0030】
また、給紙カセット10に収容された用紙Sは、ピックアップローラ21によって通常上段の複数枚がフィードローラとリタードローラとから構成された給紙ローラ対22に送られる。給紙ローラ対22に送られた複数枚の用紙Sは、ニップ通過速度がフィードローラよりも抑制されたリタードローラの回転によって生じる摩擦により、最上の1枚のみが分離されて用紙搬送路12に向けて搬送される。
【0031】
図2は、本実施形態に係る搬送ガイド周辺の構成を示す部分拡大断面図であり、図3は、本実施形態に係る搬送ガイド周辺の構成を示す斜視図であり、図4は、本実施形態に係る搬送ガイド周辺における用紙の搬送状態を示す概略部分側面断面図であり、図5は、図4の搬送ガイドを示す部分拡大断面図である。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0032】
図2及び図3に示すように、用紙搬送路12の搬送方向下流側端部であってレジストローラ13の上流側(図2の右側)直近には、レジシトローラ対13へと用紙Sを案内するためのマイラー(案内部材)31が、レジシトローラ対13に向かって斜め上方に突設されている。マイラー31は、用紙搬送路12からレジシトローラ対13に用紙Sをスムーズに案内するためのものであり、その上面は用紙搬送路12の搬送面と面一となるように、例えば両面テープ等により用紙搬送路12に固定されている。
【0033】
マイラー31は、ポリエステルフィルム等の弾性材料から形成されている。図2及び図4に示すように、用紙Sは、用紙搬送路12からレジストローラ13のレジストニップ(ニップ)N1よりも上方を狙って搬送され、用紙Sは一対のレジストローラ13のうち上側に配置されたローラに当接する。かかる当接後、該ローラの回転(図4の時計回り方向)により用紙Sの先端は下方へと方向転換しながら下流側に移動し、レジストニップN1に挿通される。
【0034】
従って、マイラー31を配置することにより、用紙Sの先端の移動軌跡に合わせてマイラー31が撓むことができるため、用紙搬送路12から下流側に搬送された用紙SのレジストニップN1への挿通を妨げず、用紙Sの搬送を安定させることができる。このように、用紙搬送路12から下流側に搬送された用紙Sは、マイラー31に案内されて、レジストローラ13のレジストニップN1に挿通される。
【0035】
図2及び図3に示すように、レジストローラ13と感光体ドラム5との間には、レジストニップN1を通過した用紙Sを、感光体ドラム5と転写ローラ14との間の転写ニップN2へと案内するための搬送ガイド33が配置されている。搬送ガイド33には、搬送方向とは垂直方向(図2の紙面とは垂直方向)に沿って用紙Sの通過領域よりも長く形成され、且つ搬送方向上流側から下流側に向かって順に並んだ2つの突出部34a及び34bが形成されている。
【0036】
突出部34a、34bは、搬送ガイド33の表面が搬送方向とは垂直方向に沿って切り欠かれることにより、該垂直方向に延設されている。また、図5に示すように、突出部34a、34bの搬送方向とは垂直方向に見た断面は、搬送方向下流側(図の白抜き矢印)に向かって傾斜する鋸刃状に形成されており、突出部34a、34bは、搬送方向下流側に上り傾斜の傾斜部34aa、34baを有している。
【0037】
傾斜部34aa、34baの頂部(先端部)34ab、34bbは、突出部34a、34bにおいて搬送方向下流側に配置され、且つ、図4及び図5に示すように、用紙Sの搬送面A(図4及び図5の一点鎖線)に沿って配置されている。また、図5に示すように、突出部34a、34bには、頂部34ab、34bbから搬送方向とは略垂直方向下側に向かって壁部34ac及び34bcが形成されている。かかる壁部34ac、34bcの高さDは、突出部34a、34bの高さを表している。
【0038】
また、突出部34bの形成により、搬送方向に対し突出部34bの下流側端部と搬送ガイド33の下流側端部との間には、傾斜部34aa、34baと略平行な傾斜面35が形成されている。また、搬送方向に対し突出部34aの上流側端部と搬送ガイド33の上流側端部との段差によって搬送方向とは略垂直な壁部36が形成されている。
【0039】
このように形成された突出部34a、34bにより、用紙Sは、傾斜部34aa、34baに沿って斜め上方に案内され、各頂部34ab、34bbを乗り越えて搬送方向下流側に案内されるようになっている。また、頂部34ab、34bbは、傾斜部34aa、34baよりも傾斜が緩く、搬送面Aと略平行に形成されている。これにより、傾斜部34aa、34baに沿って上った用紙Sが、頂部34ab、34bbを乗り越え易くなっている。
【0040】
また、図4及び図5に示すように、レジストローラ13により搬送された用紙Sの先端は、最も搬送方向上流側(レジストローラ13側、図の右側)に配置された突出部34aの傾斜部34aaと当接するようになっている。かかる当接部分をBとする。図5に示すように当接部分Bと当接した用紙Sの先端は、突出部34aの傾斜部34aaに沿って斜め上方に案内された後、頂部34abを乗り越え、突出部34aの搬送方向下流側に配置された突出部34bの傾斜部34baと当接する。
【0041】
用紙Sがさらに下流側に搬送されると、突出部34bの傾斜部34baと当接した用紙Sの先端は、傾斜部34baに沿って斜め上方に案内された後、頂部34bbを乗り越え、突出部34bの搬送方向下流側に配置された傾斜面35と当接する。用紙Sがさらに下流側に搬送されると、傾斜面35と当接した用紙Sの先端は、傾斜面35に沿って案内され、搬送ガイド33の下流側端部を乗り越え、感光体ドラム5と転写ローラ14との間の転写ニップN2(図4参照)に挿通される。
【0042】
そして、転写ニップN2で感光体ドラム5上に形成されたトナー像が用紙Sに転写される。このように、搬送ガイド33に突出部34a、34bを形成することにより、レジストニップN1を通過した用紙Sの搬送方向下流側への搬送を妨げることなく、用紙Sを転写ニップN2に向かって下流側へと案内することができる。
【0043】
図6は、本実施形態の搬送ガイドに形成された突出部に対する用紙の折れ曲がり部分の当接状態を示す部分拡大断面図である。ここで、例えば、搬送ガイド33に案内された用紙Sが転写ニップN2(図4参照)に挿通される際、その先端が折れ曲がってジャムが発生したとする。
【0044】
このとき、図6に示すように、ジャム処理のためにレジストローラ13(図4参照)の上流側から用紙Sを引き抜くと(図の実線矢印方向)、用紙Sの折れ曲がり部分は、突出部34bの壁部34bcに対して搬送方向(図の白抜き矢印)下流側から当接し、その上流側(図の右側)への移動が規制される。
【0045】
これにより、用紙Sの折れ曲がり部分は、壁部34bcとの引っ掛かり部分を支点として図の時計回りに回動し(図の点線矢印)、かかる回動により、折れ曲がり部分を開くことができる。さらに、壁部34bcとの当接によっては折れ曲がり部分が開かなかった場合であっても、用紙Sの折れ曲がり部分が引き続き、壁部34bcよりも搬送方向上流側に配置された突出部34aの壁部34acに対して搬送方向下流側から当接することができる。
【0046】
これにより、上記と同様にして、壁部34acとの引っ掛かり部分を支点として、折れ曲がり部分を開くことが可能となる。なお、壁部34bcとの当接により折れ曲がり部分が開いた場合であっても、再度、突出部34の壁部34ac若しくは頂部34abと当接することにより、折れ曲がり部分を一層十分に開くことができる。なお、用紙Sの腰の強さ等によっては、用紙Sの折れ曲がり部分が、突出部34aよりも搬送方向上流側に形成された壁部36に対して搬送方向下流側から当接することにより、折れ曲がり部分を開くこともできる。
【0047】
このように、ジャム処理時にレジストローラ13の搬送方向上流側から用紙Sを引き抜く際、用紙Sの先端が折れ曲がっていても、折れ曲がり部分が突出部34a、34bの壁部34ac、34bcと当接することにより、Z折れや耳折れ等の折れ曲がり部分を開くことができる。また、封筒や折り目のある用紙Sの折れ曲がり部分を開くこともできる。従って、ジャム処理時に用紙Sを引き抜くための負荷を軽減することができるため、ジャム処理を容易に行うことが可能となる。
【0048】
加えて、レジストローラ13の上流側に配置されたマイラー31(図2〜図4参照)に、用紙Sの折れ曲がり部分が引っ掛かることを防止することができるため、マイラー31の変形や、その弾性力の消失や、その表面が傷つく等、マイラー31の損傷を防止することができる。
【0049】
このように、レジストローラ13の搬送方向下流側直近に配置された搬送ガイド33の表面における当接部分Bよりも搬送方向下流側に少なくとも、搬送方向とは垂直方向に延設された突出部34a、34bを1つ以上形成し、且つ突出部34a、34bの頂部34ab、34bbを用紙Sの搬送面Aに沿って配置した。
【0050】
これにより、用紙Sの搬送時には、その搬送を可能とすることができる。また、ジャム処理時には、用紙Sをレジストローラ13の上流側から引き抜くと、用紙Sの先端が折れ曲がっていても、折れ曲がり部分が突出部34a、34bに搬送方向下流側から当接して引っ掛かり、引っ掛かり部分を支点として折れ曲がり部分を開くことができる。従って、容易にジャム処理を行うと共に、ジャム処理時に用紙Sを引き抜く際、用紙Sの折れ曲がり部分がマイラー31に損傷を与えることを防止することができる。
【0051】
なお、当接部分Bは、用紙Sの腰等に応じて予備実験等により適宜設定することができる。また、突出部34a、34bの高さDは、用紙Sの下流側への搬送が可能であり、ジャ処理時に用紙Sが下流側から当接して用紙Sの折れ曲がり部分を開くことが可能であれば、特に限定されない。
【0052】
しかし、高さDが大きくなると、用紙Sの上り傾斜がきつくなり下流側への搬送の妨げとなるおそれがあり、小さくなると、用紙Sが突出部34a、34bに引っ掛かり難くなるおそれがある。従って、突出部34a、34bの高さDは、例えばかかる観点を考慮して、また用紙Sの種類、厚さや腰等も考慮して適宜設定することができ、例えば、厚さが0.1mm〜0.5mmの用紙Sに対して高さDを0.5mm〜1mm程度とすることもできる。
【0053】
また、ここでは、突出部34a、34bの搬送方向とは垂直方向に見た断面を、搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状とし、突出部34a、34bが搬送方向下流側に上り傾斜の傾斜部34aa、34baを有することとし、且つ傾斜部34aa、34baの頂部34ab、34bbを搬送面Aに沿って配置した。
【0054】
これにより、ジャム処理時にレジストローラ13の上流側から用紙Sを引き抜く際、用紙Sの折れ曲がり部分が突出部34a、34bに、より引っ掛かり易くなるため、より容易にジャム処理を行うことが可能となる。加えて、折れ曲がり部分がマイラー31に損傷を与えることを、より防止することもできる。また、用紙Sの下流側への搬送時には、その搬送の妨げを、より回避して、用紙Sを、より安定且つ確実に搬送することができる。
【0055】
しかし、突出部34a、34bの形状は、用紙Sを下流側に案内可能であり、且つレジストローラ13の上流側から用紙Sを引き抜いたとき、下流側から用紙Sの折れ曲がり部分と当接して該折れ曲がり部分を開くことが可能であれば、上記実施形態に特に限定されるものではない。
【0056】
例えば、上記実施形態では、突出部34a、34bの壁部34ac、34bcを搬送方向と略垂直に形成したが、その他、壁部34ac、34bcを搬送方向下流側に向かって傾斜させることもできる。これにより、ジャム処理時に、用紙Sが突出部34a、34bに、より引っ掛かり易くなる。
【0057】
また例えば、上記実施形態では、頂部34ab、34bbを搬送面と略平行に形成したが、かかる頂部34ab、34bbを傾斜部34aa、34baと同一平面上となるよう形成してもよい。また、突出部34a、34bの形状や大きさは、頂部34ab、34bbを搬送面Aに沿って配置可能であれば、同じ形状とすることも異なる形状とすることもでき、また、大きさ(高さDや搬送方向長さ)等も、用紙Sの種類等に応じて適宜設定することができる。
【0058】
また、ここでは、突出部34a、34bを複数形成したため、ジャム処理時に用紙Sの折れ曲がり部分が突出部34a、34bに引っ掛かる頻度を高くすることができる。これにより、かかる折れ曲がり部分が突出部34a、34bに、より引っ掛かり易くなり、折れ曲がり部分を開き易くすることができる。従って、より容易にジャム処理を行うと共に、マイラー31に損傷を与えることを、より防止することができる。
【0059】
しかし、突出部34a、34bの数は、少なくとも当接部分Bよりも下流側の搬送ガイド33に1つ以上形成されているのであれば、特に限定されない。例えば、突出部34a若しくは34bのいずれか1つのみを形成することもできる。ここで、突出部34a、34bの数が少なくなると、ジャム処理時に用紙Sの折れ曲がり部分が突出部34a、34bに引っ掛かり難くなって、折り曲げ部分を十分に開くことができないおそれがあり、多くなると、用紙Sの搬送の妨げとなるおそれがある。従って、突出部34a、34bの数は、例えばかかる観点を考慮して適宜設定することができる。
【0060】
また、ここではジャム処理時にマイラー31の損傷を防止することができるため、マイラー31による用紙搬送路12からレジストローラ13への用紙Sの案内を安定に維持することが可能となる。しかし、本発明の搬送ガイド33により損傷を防止することができる構成部材は、マイラー31に特に限定されない。例えばその他、用紙Sをレジストローラ13の上流側から引き抜くことにより用紙Sの折り曲げ部分によって損傷を受け得る構成部材であれば、その他の構成部材の損傷も防止することができる。
【0061】
また、ここでは、搬送ガイド33と、感光体ドラム5、現像装置8及び転写ローラ14を有し用紙Sにトナー像を形成する画像形成部Pと、レジストローラ13と、を備えた画像形成装置100としたため、画像形成時にジャムが発生しても、ジャム処理を容易に行うことができる。
【0062】
また、ここでは本発明の搬送ローラをレジストローラ13に適用し、搬送ガイド33を、レジストローラ13と画像形成部Pとの間に配置したため、ジャム処理時に、折れ曲がった用紙Sをレジストローラ13の上流側から引き抜くと、かかる折れ曲がり部分を開くことができる。これにより、より容易にジャム処理を行うことが可能となると共に、特に、レジストローラ13の上流側に配置されたマイラー31に損傷を与えることを防止することができる。
【0063】
しかし、本発明の搬送ガイドは、上記実施形態に特に限定されるものではなく、上記実施形態と同様に、搬送ローラの下流側直近に搬送ガイドが配置され、搬送ローラの上流側から用紙Sを引き抜いてジャム処理可能な構成であれば、レジストローラ13の下流側のみならず、他の位置に搬送ガイドを配置することもできる。
【0064】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の搬送ガイドを、水平搬送方式の画像形成装置100に適用したが、その他、垂直搬送方式にも適用可能である。かかる場合、例えば、用紙Sが垂直搬送される際、搬送ガイド側に沿って搬送されるように付勢等する機構等を適宜設けることによって、ジャム処理の際、用紙Sの折り曲げ部分を開くことが可能となる。
【0065】
また本発明は、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザプリンタ等、帯電装置を用いて感光体表面を帯電させる種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、記録媒体を搬送する搬送ローラの搬送方向下流側直近に配置され、前記搬送ローラから搬送される記録媒体を下流側に案内する搬送ガイドであって、前記搬送ガイドの表面における前記搬送ローラのニップを通過した記録媒体の先端が当接する部分よりも前記搬送方向下流側に少なくとも、前記搬送方向とは垂直方向に延設され且つ先端部が記録媒体の搬送面に沿って配置される突出部が1つ以上形成されたものである。
【0067】
これにより、記録媒体の搬送時には、その搬送を可能としつつ、ジャム処理時には、折れ曲がり部分を開くことができるため、容易にジャム処理を行うと共に、ジャム処理時に用紙を引き抜く際、記録媒体の折れ曲がり部分が構成部材に損傷を与えることを防止することもできる。
【0068】
また、突出部の搬送方向とは垂直方向に見た断面を、搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状に形成し、突出部が搬送方向下流側に向かって上り傾斜の傾斜部を有することとし、且つ傾斜部の頂部を搬送面に沿って配置することにより、ジャム処理時に記録媒体の折れ曲がり部分が突出部に、より引っ掛かり易くなるため、より容易にジャム処理を行うと共に、折れ曲がり部分が構成部材に損傷を与えることを、より防止することもでき、記録媒体の下流側への搬送を、より安定且つ確実なものとすることもできる。
【0069】
また、突出部を複数形成することにより、ジャム処理時に記録媒体の折れ曲がり部分が突出部に引っ掛かる頻度が高くなり、かかる折れ曲がり部分が突出部に、より引っ掛かり易くなるため、より容易にジャム処理を行うと共に、構成部材に損傷を与えることを、より防止することができる。また、搬送ローラの搬送方向上流側直近に、搬送ローラに対して記録媒体を案内可能な弾性材料から成る案内部材を配置することにより、ジャム処理時に案内部材の損傷を防止することができるため、搬送ローラへの記録媒体の案内を安定に維持することができる。
【0070】
また、上記搬送ガイドと、像担持体、現像手段及び転写手段を有し記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、記録媒体の搬送を行う搬送ローラと、を備えた画像形成装置とすることにより、画像形成時にジャムが発生しても、ジャム処理を容易に行うことができる。
【0071】
また、搬送ローラを、記録媒体先端を突き当てて記録媒体の斜行を補正後、画像形成タイミングに合わせて画像形成部に記録媒体の搬送を行うレジストローラとし、搬送ガイドを、レジストローラと画像形成部との間に配置することにより、容易にジャム処理を行うことが可能となると共に、特にレジストローラの上流側に配置された構成部材に損傷を与えることを防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
5 感光体ドラム(像担持体)
8 現像装置(現像手段)
12 用紙搬送路
13 レジストローラ(搬送ローラ)
14 転写ローラ(転写手段)
31 マイラー(案内部材)
33 搬送ガイド
34a、34b 突出部
34aa、34ba 傾斜部
34ab、34bb 頂部(先端部)
34ac、34bc 壁部
100 画像形成装置
A 搬送面
B 当接部分
D 高さ
N1 レジストニップ(ニップ)
N2 転写ニップ
P 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送ローラの搬送方向下流側直近に配置され、前記搬送ローラから搬送される記録媒体を下流側に案内する搬送ガイドであって、
前記搬送ガイドの表面における前記搬送ローラのニップを通過した記録媒体の先端が当接する部分よりも前記搬送方向下流側に少なくとも、前記搬送方向とは垂直方向に延設され且つ先端部が記録媒体の搬送面に沿って配置される突出部が1つ以上形成されたことを特徴とする搬送ガイド。
【請求項2】
前記突出部の前記搬送方向とは垂直方向に見た断面は、前記搬送方向下流側に傾斜する鋸刃状に形成され、前記突出部は前記搬送方向下流側に向かって上り傾斜の傾斜部を有しており、且つ前記傾斜部の頂部が前記搬送面に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の搬送ガイド。
【請求項3】
前記突出部は、複数形成されたことを特徴とする請求項1また2に記載の搬送ガイド。
【請求項4】
前記搬送ローラの前記搬送方向上流側直近に、前記搬送ローラに対して記録媒体を案内可能な弾性材料から成る案内部材が配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送ガイド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の搬送ガイドと、
像担持体、現像手段及び転写手段を有し記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、記録媒体の搬送を行う搬送ローラと、を備えた画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送ローラは、記録媒体先端を突き当てて記録媒体の斜行を補正後、画像形成タイミングに合わせて前記画像形成部に記録媒体の搬送を行うレジストローラであり、
前記搬送ガイドは、前記レジストローラと前記画像形成部との間に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate