説明

搬送コンベア

【課題】 複数の被搬送体を水平方向に対して斜め方向に搬送するとともに被搬送体が傾斜状態となり荷崩れ等のトラブルが発生することを確実に抑止することができる搬送コンベアを提供すること。
【解決手段】 搬送コンベア10は、搬送コンベア部分10a、10b、10cを直列状に複数備えている。各搬送コンベア部分(例えば10a)は、一対のスプロケット11a、11aと、無端状の循環チェーン12aと、循環チェーン12aに対して外方に向かって取り付けられ鉛直方向に各々異なる長さで延びる複数のアタッチメント13aとを有している。複数のアタッチメント13aは、載置される被搬送体40が水平状態となるよう循環チェーン12aの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化している。一の搬送コンベア部分の各アタッチメントと他の搬送コンベア部分の各アタッチメントとの間の位相は所望の位相に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被搬送体を水平状態に保ちながら水平方向に対して斜め方向に順次搬送する搬送コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばパレット上の荷物(ワーク)を貯留するために、ローラーを利用するグラビティコンベアを用いた貯留設備が実用化されている。
この貯留設備に用いられるグラビティコンベアとしては、例えば荷物(ワーク)を載置したパレットからなる複数の被搬送体を水平方向に対して斜め方向(前方上方または前方下方)に順次搬送する搬送コンベアが知られている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−267352号公報
【特許文献2】特開平8−40520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の貯留設備においては、荷物(ワーク)は自工場においてすぐに再利用されるため、パレット上の荷物(ワーク)は厳重な荷崩れ対策が施されることはなかった。このため、ローラーを利用する従来のグラビティコンベアにおいては、被搬送体を傾斜させることにより荷崩れが発生してしまうという問題があった。とりわけ、この問題は載荷時およびストッパーでの停止時に発生しがちである。
このため、水平に延びるローラーコンベアを用いて貯留を行う貯留設備が使用されているが、荷物(ワーク)の移動に重力を用いることが困難な場合が多く、人力により移動させたり電動で動かしたりする等、管理に手間やコストがかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数の被搬送体を水平方向に対して斜め方向に搬送するとともに被搬送体が傾斜状態となり荷崩れ等のトラブルが発生することを確実に抑止することができる搬送コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の被搬送体を水平状態に保ちながら水平方向に対して斜め方向に順次搬送する搬送コンベアにおいて、搬送コンベア部分を直列状に複数備え、各搬送コンベア部分は、一対のスプロケットと、前記一対のスプロケットに掛け渡され斜め方向に延びる無端状の循環チェーンと、前記循環チェーンに対して外方に向かって取り付けられ鉛直方向に各々異なる長さで延びる複数のアタッチメントとを有し、各搬送コンベア部分における複数のアタッチメントは、被搬送体を載置するとともにこの被搬送体が水平状態となるよう循環チェーンの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化しており、一の搬送コンベア部分から下流側の他の搬送コンベア部分に被搬送体が受け渡される際に被搬送体を載置している一の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルと当該被搬送体を載置する他の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルとが略同一となるよう、一の搬送コンベア部分の各アタッチメントと他の搬送コンベア部分の各アタッチメントとの間の位相が定められていることを特徴とする搬送コンベアである。
このような搬送コンベアによれば、各搬送コンベア部分において被搬送体を確実に平行状態に維持して順次搬送することができるとともに、各被搬送体が搬送コンベア部分間で受け渡される際においても当該被搬送体の平行状態を確実に維持することができ、このことにより被搬送体が傾斜状態となり荷崩れ等のトラブルが発生することを確実に抑止することができる。
【0007】
本発明の搬送コンベアにおいては、被搬送体の搬送方向における各搬送コンベア部分の一対のスプロケット間の距離をL、当該搬送方向における被搬送体の長さをP、当該搬送方向における一の被搬送体と後続の他の被搬送体との間の距離をS、各搬送コンベア部分のスプロケットの半径の大きさをrとしたとき、下記式(1)の関係が成り立つことが好ましい。
L−P+πr=S ・・・式(1)
このような搬送コンベアによれば、被搬送体の所定の位置(例えば先端)とこの被搬送体に後続する他の被搬送体の同じ所定の位置(例えば先端)との間の搬送方向(斜め方向)における離間距離(P+S)と、搬送コンベア部分の循環チェーンの全長の半分の長さ(L+πr、すなわち循環チェーンにおける対向する位置間の距離)とを同一の大きさとすることができ、複数の被搬送体が順次送られる場合であっても、搬送コンベア部分の各アタッチメントに対するそれぞれの被搬送体の位相をほぼ同一とすることができるので、複数の被搬送体を確実に平行状態に維持しながら順次搬送することができる。
【0008】
本発明の搬送コンベアにおいては、一の被搬送体が最も下流側にある搬送コンベア部分に載置されているときに後続の他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に載置されているか否かの判定を行う判定部と、この判定部により前記他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に載置されていないことが判定されたときに、この他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に到達するまで一の被搬送体を載置している最も下流側にある搬送コンベア部分の駆動を停止させる制御部と、を有する制御装置を更に備えたことが好ましい。
このような搬送コンベアによれば、搬送されるべき被搬送体の数が少ない場合であっても、最も下流側にある搬送コンベア部分近傍において前後の被搬送体間に大きな間隙が生じることを抑止することができ、より効率良く複数の被搬送体を順次搬送コンベアから出荷することができる。
【0009】
本発明の搬送コンベアにおいては、制御装置は、各搬送コンベア部分間において、一の搬送コンベア部分のスプロケットと他の搬送コンベア部分のスプロケットとの間に設置され両スプロケットの駆動を連動させるクラッチをそれぞれ更に有することが好ましい。
このような搬送コンベアによれば、一の搬送コンベア部分のスプロケットの駆動と他の搬送コンベア部分のスプロケットの駆動とを連動させることにより、この一の搬送コンベア部分のアタッチメントと他の搬送コンベア部分のアタッチメントとの間の位相を一定に維持し続けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の搬送コンベアによれば、各搬送コンベア部分における複数のアタッチメントは、載置される被搬送体が水平状態となるよう循環チェーンの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化しており、しかも、一の搬送コンベア部分から下流側の他の搬送コンベア部分に被搬送体が受け渡される際に被搬送体を載置している一の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルと当該被搬送体を載置している他の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルとが略同一となるよう、一の搬送コンベア部分の各アタッチメントと他の搬送コンベア部分の各アタッチメントとの間の位相が定められている。このため、各搬送コンベア部分において被搬送体を確実に平行状態に維持して順次搬送することができるとともに、各被搬送体が搬送コンベア部分間で受け渡される際においても当該被搬送体の平行状態を確実に維持することができ、このことにより被搬送体が傾斜状態となり荷崩れ等のトラブルが発生することを確実に抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は本発明による搬送コンベアの実施の形態を示す図である。
このうち、図1は本実施の形態の搬送コンベアの全体の構成を示す全体構成図であり、図2は、図1の搬送コンベアの運転の制御を行う制御装置の構成を示す全体構成図である。また、図3(a)〜(d)は、図1の搬送コンベアによる複数の被搬送体の搬送方法を示す説明図であり、図4(a)〜(d)は、図1の搬送コンベアによる複数の被搬送体の他の搬送方法を示す説明図であり、図5は、図1の搬送コンベアの制御装置の各構成要素の状況を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態による搬送コンベア10は、例えば荷物(ワーク)を載置したパレットからなる複数の被搬送体40を水平状態に保ちながら水平方向に対して斜め方向(図1の矢印Fの方向)に順次搬送するものである。
ここで、図1に示すように各被搬送体40の斜め方向Fにおける長さをPとする。
【0013】
この搬送コンベア10は、3つの搬送コンベア部分10a、10b、10cを直列状に備えている。ここで、最も下流側にある搬送コンベア部分10aは出荷コンベアとして用いられ、最も上流側にある搬送コンベア部分10cは入荷コンベアとして用いられる。また、中間にある搬送コンベア部分10bは、入荷コンベア10cから出荷コンベア10aへの被搬送体40の搬送の中継を行う中間コンベアとして用いられる。図1において中間コンベアの数は1つのみとなっているが、この中間コンベアを直列状に複数設けてもよく、このことにより搬送コンベア10の搬送距離の調整を行うことができる。
【0014】
搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aは、図1に示すように、一対のスプロケット11a、11aと、これらの一対のスプロケット11a、11aに掛け渡されて斜め方向Fに延びる無端状の循環チェーン12aと、この循環チェーン12aに対して外方に向かって取り付けられて鉛直方向に各々異なる長さで延びる複数のアタッチメント13aとを有している。
搬送コンベア部分(中間コンベア)10bおよび搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cも搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aと略同一の構成を有している。
搬送コンベア10は、更に各搬送コンベア部分10a、10b、10cの運転の制御を行う制御装置20を備えている(図2参照)。
【0015】
以下、搬送コンベア10の各搬送コンベア部分10a、10b、10cおよび制御装置20の各構成要素について更に詳しく説明する。
まず、搬送コンベア10の各搬送コンベア部分10a、10b、10cの各構成要素について、最も下流側にある搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aを用いて説明する。
【0016】
搬送コンベア部分10aの一対のスプロケット11a、11aは、各々循環チェーン12aを掛ける歯を有する歯車から構成されている。図1に示すように、各スプロケット11a、11aの半径の大きさをrとする。
ここで、これらのスプロケット11a、11aの中心(軸)の斜め方向Fにおける離間距離の大きさをLとする。また、搬送コンベア部分10aの一方のスプロケット11aの中心と、この搬送コンベア部分10aの上流側にある他の搬送コンベア部分10bの一方のスプロケット11bの中心との斜め方向Fにおける離間距離の大きさをSとする(図1参照)。
【0017】
循環チェーン12aは、前述のように一対のスプロケット11a、11aに掛け渡されており、図1の矢印方向に循環移動するようになっている。
【0018】
搬送コンベア部分10aの複数のアタッチメント13aは、被搬送体40を載置するとともに、この被搬送体40が水平状態となるよう循環チェーン12aの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化している。具体的には、図1に示すように、循環チェーン12aにおけるある対向する2カ所の位置A、Aにおいてはアタッチメント13aの延びる長さはほぼゼロとなっており、これらの位置A、Aから当該循環チェーン12の進行方向(図1の矢印方向)に沿ってアタッチメント13aの延びる長さが等差数列で段階的に大きくなっている。
【0019】
また、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aの各アタッチメント13aと上流側にある他の搬送コンベア部分(中間コンベア)10bの各アタッチメント13bとの間の位相は以下のように定められている。すなわち、搬送コンベア部分10bから搬送コンベア部分10aに被搬送体40が受け渡される際に、被搬送体40を載置している搬送コンベア部分10bのアタッチメント13bの先端のレベル(高さ)と当該被搬送体40を載置する搬送コンベア部分10aのアタッチメント13aの先端のレベル(高さ)とが略同一となるよう、各アタッチメント13aと各アタッチメント13bとの間の位相が定められている。
搬送コンベア部分(中間コンベア)10bの各アタッチメント13bと更に上流側にある他の搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cの各アタッチメント13cとの間の位相も同様に定められている。
【0020】
さらに、被搬送体40の搬送方向F(斜め方向)における搬送コンベア部分10aの一対のスプロケット11a、11a間の距離L、当該搬送方向Fにおける被搬送体40の長さP、当該搬送方向Fにおける一の被搬送体40と後続の他の被搬送体40との間の距離S、搬送コンベア部分10aのスプロケット11aの半径の大きさrは下記式(1)の関係を満たすようになっている。
L−P+πr=S ・・・式(1)
すなわち、被搬送体40の所定の位置(例えば先端)およびこの被搬送体40に後続する他の被搬送体40の同じ所定の位置(例えば先端)の間の搬送方向F(斜め方向)における離間距離(P+S)と、搬送コンベア部分10aの循環チェーン12aの全長の半分の長さ(L+πr、すなわち例えば循環チェーン12aにおける対向する位置A、A間の距離)とが同一の大きさとなっている。
【0021】
以上、最も下流側にある搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aの構成要素の詳細について説明したが、搬送コンベア部分10b、10cの各構成要素も搬送コンベア部分10aの構成要素と略同一となっている。
【0022】
制御装置20は、図2に示すように、搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cに設けられた入荷材荷センサ21、入荷完了レバー22および入荷ブレーキ23と、搬送コンベア部分(中間コンベア)10bに設けられた中間停止センサ25および中間ブレーキ26と、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10cに設けられた出荷停止センサ28、出荷完了レバー29および出荷ブレーキ30とを有している。
また、搬送コンベア部分10cのスプロケット11cと搬送コンベア部分10bのスプロケット11bとの間には入荷クラッチ24が設けられており、さらに搬送コンベア部分10bのスプロケット11bと搬送コンベア部分10aのスプロケット11aとの間には中間クラッチ27が設けられている。
【0023】
搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cに設けられた入荷完了レバー22は、入荷口より被搬送体40を投入した後に当該搬送コンベア部分10cの移動開始のトリガとして用いられるレバーである。
入荷材荷センサ21は、入荷口の被搬送体40の有無を判別し、この被搬送体40がない時に入荷完了レバー22を操作しても異常動作を行わないよう機能するようになっている。
入荷ブレーキ23は、被搬送体40の入荷作業中に後続の被搬送体40の移動を規制するために搬送コンベア部分10cの循環チェーン12cを停止させるブレーキである。
入荷クラッチ24は、搬送コンベア部分10cのスプロケット11cと搬送コンベア部分10bのスプロケット11bとの駆動を連動させるようになっており、このことにより搬送コンベア部分10bの各アタッチメント13bと搬送コンベア部分10cの各アタッチメント13cとの間の位相を保つことができるようになっている。
ここで、入荷完了レバー22および入荷材荷センサ21は、搬送コンベア部分10cに係る情報の入力手段であり、この情報に基づいて入荷クラッチ24および入荷ブレーキ23により搬送コンベア部分10cの実際の動作を制御している。
【0024】
搬送コンベア部分(中間コンベア)10bに設けられた中間停止センサ25は、上流側の搬送コンベア部分(入荷コンベア)10aから搬送された被搬送体40を定位置で停止させるためのセンサである。
中間ブレーキ26は、被搬送体40の移動を規制するために搬送コンベア部分10bの循環チェーン12bを停止させるブレーキである。
中間クラッチ27は、搬送コンベア部分10bのスプロケット11bと搬送コンベア部分10aのスプロケット11aとの駆動を連動させるようになっており、このことにより搬送コンベア部分10aの各アタッチメント13aと搬送コンベア部分10bの各アタッチメント13bとの間の位相を保つことができるようになっている。
ここで、中間停止センサ25は、搬送コンベア部分10bに係る情報の入力手段であり、中間ブレーキ26および中間クラッチ27により搬送コンベア部分10bの実際の動作を制御している。
【0025】
搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aに設けられた出荷完了レバー29は、被搬送体40の出荷完了時に操作されるものであり、当該被搬送体40の移動のトリガとなっている。
出荷ブレーキ30は、被搬送体40の出荷作業中に後続の被搬送体40の移動を規制するために搬送コンベア部分10aの循環チェーン12aを停止させるブレーキである。
出荷停止センサ28は、搬送コンベア部分10aに搬送された被搬送体40を定位置で停止させるためのセンサである。
ここで、出荷完了レバー29および出荷停止センサ28は、搬送コンベア部分10aに係る情報の入力手段であり、この情報に基づいて出荷ブレーキ30により搬送コンベア部分10aの実際の動作を制御している。
【0026】
さらに、制御装置20は、ある被搬送体40が搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aに載置されているときに後続の他の被搬送体40が二番目に下流側にある搬送コンベア部分(中間コンベア)10bに載置されているか否かの判定を行う判定部31を有している。
また、この制御装置20は、前述の判定部31により後続の他の被搬送体40が二番目に下流側にある搬送コンベア部分10bに載置されていないことが判定されたときに、この他の被搬送体40が当該搬送コンベア部分10bに到達するまで搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aの駆動を停止させる制御部32を有している。
【0027】
上述した各構成要素を有する制御装置20による被搬送体40の搬送の制御方法については後に詳述する。
【0028】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図3乃至図5を用いて説明する。
【0029】
まず、搬送コンベア10による被搬送体40の通常の搬送方法について図3(a)〜(d)を用いて説明する。
本実施の形態においては、搬送コンベア部分(入荷コンベア)10c上の被搬送体40を搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aまで搬送している。
【0030】
図3(a)は、搬送コンベア10および各被搬送体40のある配置状態を示している。具体的には、搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cおよび搬送コンベア部分(中間コンベア)10b上に被搬送体40が載置されている。
図3(a)に示す状況において、各搬送コンベア部分10a、10b、10cの循環チェーン12a、12b、12cが循環移動し、搬送コンベア部分10b、10cのアタッチメント13b、13c上に各々載置された被搬送体40が図3(b)に示すように下流側に移動する。この際に、各々の複数のアタッチメント13b、13cの延びる長さは循環チェーン12b、12cの進行方向に沿って等差数列で段階的に大きくなっているので、図3(b)に示すように被搬送体40は移動中も水平状態を保つことができる。
【0031】
その後、例えば搬送コンベア部分10b上で移動する被搬送体40の一部が搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aに差し掛かる。この際に、搬送コンベア部分10bのアタッチメント13bの先端のレベル(高さ)と搬送コンベア部分10aのアタッチメント13aの先端のレベル(高さ)とが略同一となるよう、各アタッチメント13aと各アタッチメント13bとの間の位相が定められているので、被搬送体40は、図3(b)および(c)に示すように水平状態を保ちながら搬送コンベア部分10bの各アタッチメント13bから搬送コンベア部分10aの各アタッチメント13aに乗り移ることができる。
【0032】
このようにして、図3(d)に示すように、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aまで被搬送体40が搬送され、しかもこの搬送の間に被搬送体40を常に水平状態に維持することができる。
【0033】
次に、搬送コンベア10による被搬送体40の他の搬送方法について図4(a)〜(d)および図5を用いて説明する。図5は、搬送コンベア10の制御装置20の各構成要素の状況を示す説明図であり、被搬送体40の配置状況の欄において「白抜きの正方形の印」は各搬送コンベア部分(10a、10b、10c)に被搬送体40が載置されていないことを示し、「黒ベタの正方形の印」は各搬送コンベア部分(10a、10b、10c)に被搬送体40が載置されていることを示している。
【0034】
図5に示すように、まず被搬送体40が搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cに入荷され、搬送コンベア部分(中間コンベア)10bを経て搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aまで搬送される(図5の工程I参照)。
このときに、まず搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cにおいて、被搬送体40の搬送状況を入荷材荷センサ21が「通過、停止または空」として検知するとともに作業者が入荷完了レバー22を操作し、このことにより入荷ブレーキ23および入荷クラッチ24を図5に示すように自動的に作動させ、搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cの動作が図5に示すようなものとなる。
次に、搬送コンベア部分10bにおいて被搬送体40の搬送状況を中間停止センサ25が「通過、停止または空」として検知し、このことにより中間ブレーキ26および中間クラッチ27を図5に示すように自動的に作動させ、搬送コンベア部分(中間コンベア)10bの動作が図5に示すようなものとなる。
最後に、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aにおいて、被搬送体40の搬送状況を出荷停止センサ28が「停止または空」として検知するとともに作業者が出荷完了レバー29を操作し、このことにより出荷ブレーキ30を図5に示すように自動的に移動させ、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aの動作が図5に示すようなものとなる。
【0035】
そして、被搬送体40を載置した状態で搬送コンベア部分10aが停止したまま、次の新たな被搬送体40が搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cに入荷される(図4(a)および図5の工程II参照)。
【0036】
図4(a)の状況において、搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aは被搬送体40を載置した状態で停止したままとなり、一方、搬送コンベア部分(入荷コンベア)10cは、搬送コンベア部分(中間コンベア)10bへの被搬送体40の搬送を開始する。
具体的には、制御装置20の判定部31により、搬送コンベア部分10aに被搬送体40が載置されているが搬送コンベア部分10bには被搬送体40が載置されていないことが判定され、この判定情報が制御装置20の制御部32に送られる。そして、制御部32は、被搬送体40が搬送コンベア部分10bに到達するまで搬送コンベア部分10aの駆動を停止させている。
この際、搬送コンベア部分10cに設けられた制御装置20の入荷材荷センサ21、入荷完了レバー22、入荷ブレーキ23、入荷クラッチ24の状況および搬送コンベア部分10bに設けられた制御装置20の中間停止センサ25、中間ブレーキ26、中間クラッチ27の状況は図5の工程IIに示すようになっている。
【0037】
その後、各搬送コンベア部分10a、10b、10cにおける被搬送体40の配置状況は図5の工程IIに示す通りとなり、このような工程IIを繰り返すことにより搬送コンベア10において複数の被搬送体40を順次搬送することができる。
【0038】
以上のように本実施の形態の搬送コンベア10によれば、各搬送コンベア部分10a、10b、10cにおける複数のアタッチメント13a、13b、13cは、載置される被搬送体40が水平状態となるよう循環チェーン12a、12b、12cの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化している。しかも、搬送コンベア部分(例えば10b)から下流側の搬送コンベア部分(例えば10a)に被搬送体40が受け渡される際に被搬送体40を載置している搬送コンベア部分10bのアタッチメント13bの先端のレベルと当該被搬送体40を載置する他の搬送コンベア部分10aのアタッチメント13aの先端のレベルとが略同一となるよう、各アタッチメント13bと各アタッチメント13aとの間の位相が定められている。
このため、各搬送コンベア部分10a、10b、10cにおいて被搬送体40を確実に平行状態に維持して順次搬送することができるとともに、各被搬送体40が搬送コンベア部分間で受け渡される際においても当該被搬送体40の平行状態を確実に維持することができ、このことにより被搬送体40が傾斜状態となり荷崩れ等のトラブルが発生することを確実に抑止することができる。
【0039】
また、被搬送体40の搬送方向F(斜め方向)における各搬送コンベア部分(例えば10a)の一対のスプロケット11a、11a間の距離をL、当該搬送方向Fにおける被搬送体40の長さをP、当該搬送方向における一の被搬送体40と後続の他の被搬送体40との間の距離をS、各搬送コンベア部分(例えば10a)のスプロケット11aの半径の大きさをrとしたとき、下記式(1)の関係が成り立っている。
L−P+πr=S ・・・式(1)
このため、被搬送体40の所定の位置(例えば先端)およびこの被搬送体40に後続する他の被搬送体40の同じ所定の位置(例えば先端)との間の搬送方向F(斜め方向)における離間距離(P+S)と、搬送コンベア部分10aの循環チェーン12aの全長の半分の長さ(L+πr、すなわち循環チェーン12aにおける対向する位置A、A間の距離)とを同一の大きさとすることができ、複数の被搬送体40が順次送られる場合であっても、搬送コンベア部分10aの各アタッチメント13aに対するそれぞれの被搬送体40の位相をほぼ同一とすることができるので、複数の被搬送体40を確実に平行状態に維持しながら順次搬送することができる。
【0040】
また、制御装置20において、一の被搬送体40が最も下流側にある搬送コンベア部分(出荷コンベア)10aに載置されているときに後続の他の被搬送体40が二番目に下流側にある搬送コンベア部分(中間コンベア)10bに載置されているか否かの判定を判定部31により行い、この判定部31により他の被搬送体40が搬送コンベア部分10bに載置されていないことが判定されたときに、制御部32によりこの他の被搬送体40が搬送コンベア部分10bに到達するまで一の被搬送体40を載置している搬送コンベア部分10aの駆動を停止させている。
このため、搬送されるべき被搬送体40の数が少ない場合であっても、最も下流側にある搬送コンベア部分10a近傍において前後の被搬送体40間に大きな間隙が生じることを抑止することができ、より効率良く複数の被搬送体40を順次搬送コンベア10から出荷することができる。
【0041】
また、制御装置20は、各搬送コンベア部分10a、10b、10c間において、一の搬送コンベア部分のスプロケットと他の搬送コンベア部分のスプロケットとの間に設置され両スプロケットの駆動を連動させるクラッチ24、27をそれぞれ更に有している。
このため、一の搬送コンベア部分のスプロケットの駆動と他の搬送コンベア部分のスプロケットの駆動とを連動させることにより、この一の搬送コンベア部分のアタッチメントと他の搬送コンベア部分のアタッチメントとの間の位相を一定に維持し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態の搬送コンベアの全体の構成を示す全体構成図である。
【図2】図1の搬送コンベアの運転の制御を行う制御装置の構成を示す全体構成図である。
【図3】(a)〜(d)は、図1の搬送コンベアによる複数の被搬送体の搬送方法を示す説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、図1の搬送コンベアによる複数の被搬送体の他の搬送方法を示す説明図である。
【図5】図1の搬送コンベアの制御装置の各構成要素の状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
10 搬送コンベア
10a、10b、10c 搬送コンベア部分
11a、11b、11c スプロケット
12a、12b、12c 循環チェーン
13a、13b、13c アタッチメント
20 駆動装置
21 入荷材荷センサ
22 入荷完了レバー
23 入荷ブレーキ
24 入荷クラッチ
25 中間停止センサ
26 中間ブレーキ
27 中間クラッチ
28 出荷停止センサ
29 出荷完了レバー
30 出荷ブレーキ
31 判定部
32 制御部
40 被搬送体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被搬送体を水平状態に保ちながら水平方向に対して斜め方向に順次搬送する搬送コンベアにおいて、
搬送コンベア部分を直列状に複数備え、
各搬送コンベア部分は、一対のスプロケットと、前記一対のスプロケットに掛け渡され斜め方向に延びる無端状の循環チェーンと、前記循環チェーンに対して外方に向かって取り付けられ鉛直方向に各々異なる長さで延びる複数のアタッチメントとを有し、
各搬送コンベア部分における複数のアタッチメントは、被搬送体を載置するとともにこの被搬送体が水平状態となるよう循環チェーンの進行方向に沿って段階的にその延びる長さが変化しており、
一の搬送コンベア部分から下流側の他の搬送コンベア部分に被搬送体が受け渡される際に被搬送体を載置している一の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルと当該被搬送体を載置する他の搬送コンベア部分のアタッチメントの先端のレベルとが略同一となるよう、一の搬送コンベア部分の各アタッチメントと他の搬送コンベア部分の各アタッチメントとの間の位相が定められていることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項2】
被搬送体の搬送方向における各搬送コンベア部分の一対のスプロケット間の距離をL、当該搬送方向における被搬送体の長さをP、当該搬送方向における一の被搬送体と後続の他の被搬送体との間の距離をS、各搬送コンベア部分のスプロケットの半径の大きさをrとしたとき、下記式(1)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1記載の搬送コンベア。
L−P+πr=S ・・・式(1)
【請求項3】
一の被搬送体が最も下流側にある搬送コンベア部分に載置されているときに後続の他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に載置されているか否かの判定を行う判定部と、この判定部により前記他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に載置されていないことが判定されたときに、この他の被搬送体が二番目に下流側にある搬送コンベア部分に到達するまで一の被搬送体を載置している最も下流側にある搬送コンベア部分の駆動を停止させる制御部と、を有する制御装置を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送コンベア。
【請求項4】
制御装置は、各搬送コンベア部分間において、一の搬送コンベア部分のスプロケットと他の搬送コンベア部分のスプロケットとの間に設置され両スプロケットの駆動を連動させるクラッチをそれぞれ更に有することを特徴とする請求項3記載の搬送コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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