説明

搬送システム

【課題】被搬送物を下降させる際に複雑に移動を制御することなく、コンベア上の所定の載置位置に被搬送物を正確に載置しやすい。
【解決手段】容器Fの載置領域A1に隣接するように案内部材401及び402を配置する。案内部材401及び402には、案内面401a及び402aが形成されている。上方から容器Fが下降してくるとき、容器Fが幅方向Wに関してずれると、容器Fの底面が案内面401a及び402aのいずれかに当接し、載置領域A1に近づくように案内される。これによって、容器Fは、搬送ベルト101及び102上の載置領域A1の近傍に載置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア上に被搬送物を載置する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造工場において、半導体基板が収容されたフープ(FOUP;Front Opening Unified Pod)などを搬送する搬送システムが設けられていることがある。この搬送システムには、例えばローラやコンベアベルトを有するコンベアを備えているものがある。特許文献1はこのようにコンベアを用いて物品を搬送する搬送装置の一例である。かかるコンベアに対しては、例えば、別の搬送装置などが被搬送物を下降させ、上記のローラやコンベアベルト上に載置する。コンベアは、その上面に載置された被搬送物を所定の搬送方向に沿って搬送する。
【0003】
上記のように被搬送物が上方からコンベア上に載置される場合に、工場内で発生した気流などの影響で、被搬送物の載置位置がコンベアの幅方向に関してずれることがある。このような場合、コンベアは被搬送物を正常に搬送できないおそれがある。特許文献2は、コンベアサドルへと下降されるクレーンの吊荷の側面と向かい合う高さ位置に設置された当て板部材を有している。そして、吊り具で吊るした鋼帯コイルを水平移動させて当て板部材に当て、その板面に沿ってコンベアサドル上に載置する。これによって、コンベアサドル上の所定位置に正しく一致して吊荷を着座させるというものである。
【0004】
【特許文献1】特表2003−506289号公報
【特許文献2】実公平7−419号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2によると、吊荷が下ろされる際に当て板部材に衝突しないように、当て板部材の板面から水平方向に離隔した位置に吊荷を下降させ、そこから水平移動させて当て板部材に当てなければならない。したがって、吊り荷を載置するために複雑な制御が必要である。
【0006】
本発明の目的は、被搬送物を下降させる際に複雑に移動を制御することなく、コンベア上の所定の載置位置に被搬送物を正確に載置しやすい搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の搬送システムは、水平方向に関する載置領域が上面に設定され、前記載置領域内に載置された被搬送物を所定の搬送方向に沿って搬送するコンベアと、前記載置領域の上方から前記被搬送物を下降させると共に、水平方向に関して第1の位置において、前記コンベア上に前記被搬送物を載置する下降装置と、前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域に隣接するように固定されている部材であって、前記下降装置が下降させた前記被搬送物が上方から当接した際に、前記被搬送物が下降するのに従って前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域に近づくような抗力を前記被搬送物に印加する当接面が、鉛直方向に関して前記載置領域より上方の位置に形成された当接部材とを備えている。
【0008】
本発明によると、仮に下降装置が載置領域からコンベアの幅方向に関してずれた位置に被搬送物を下降させたとしても、被搬送物が当接部材の当接面に上方からに当接すると、載置領域に向かうような抗力が被搬送物に印加される。したがって、被搬送物を当接面に沿って下降させつつ載置領域に近づけさせることができる。これによって、被搬送物を水平方向に移動させるなどの複雑な制御を追加することなく被搬送物を所定の載置領域に正確に載置しやすい搬送システムが実現する。
【0009】
また、本発明においては、前記当接面が、概略的に平面に沿っていることが好ましい。さらに、前記平面が前記所定の搬送方向に平行であることがより好ましい。これらの構成によると、上方から被搬送物が当接した際に被搬送物を載置領域へと案内するような抗力を印加する当接面が簡易に実現する。
【0010】
また、本発明においては、前記下降装置が、前記被搬送物を鉛直方向に移動させる昇降手段と、前記被搬送物を下降させる際に前記被搬送物を水平方向に関して移動する水平移動手段と、鉛直方向に関して前記第2の位置に至るまでに前記被搬送物を水平方向に関して前記第1の位置に配置させると共に、その後に鉛直方向に沿って前記被搬送物を下降させるように、前記昇降手段及び水平移動手段を制御する制御手段とを有している場合に、平面視において前記載置領域に最も近い前記当接面上の点が、前記載置領域より上方の第2の位置又は前記第2の位置より下方に位置していることが好ましい。
【0011】
この構成のように、被搬送物を下降させる際に、水平方向に関して被搬送物の下降位置を調整する水平移動手段が下降装置に設けられている場合がある。そして、かかる下降位置の調整を載置位置より所定の距離だけ上方の第2の位置に至るまでに完了させ、その後に鉛直下方へと被搬送物を下降させるような制御手段が下降装置に設けられている場合がある。この場合、水平移動手段が被搬送物を第2の位置まで下降させた際に、被搬送物が当接面に当接すると、その後に昇降手段が被搬送物を鉛直下方に移動させるため、被搬送物が当接面に沿って載置領域に近づくように移動する。そして、当接面において載置領域に最も近い点が第2の位置より下方にある場合には、被搬送物がその点を通過した時点が、水平方向に関して被搬送物が載置領域に最も近づく時点である。
【0012】
つまり、本発明の上記の構成によると、当接面において載置領域に最も近い点が第2の位置より下方に配置されている。したがって、水平方向に関する被搬送物の位置の調整が完了した後に、載置領域に最も近い点に向かうように当接面に沿って被搬送物を案内することができる。これによって、被搬送物を確実に案内する構成が実現する。
【0013】
また、本発明においては、前記コンベアが、前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域を挟むように、前記コンベアの上面から前記第2の位置より下方の位置まで突出する一対の突出部を有しており、平面視において前記載置領域に最も近い前記当接面上の点が、前記コンベアの幅方向に関して前記一対の突出部のいずれかと前記載置領域との間に位置していることが好ましい。この構成によると、被搬送物を保護する一対の突出部が形成されている。しかし、平面視において載置領域に最も近い当接面上の点が、水平方向に関して突出部と載置領域との間に位置していることによって、被搬送物が突出部に引っ掛かることなくコンベア上に載置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の搬送システム1は、例えば半導体製造ラインの一部として設置されるものである。かかる半導体製造ラインには、半導体基板に種々の処理を施す複数の装置が設置される。搬送システム1は、このような複数の装置間に設置され、半導体基板が収容された容器Fを各装置へと搬送する。
【0015】
図1は搬送システム1の概略的な構成を示す図である。なお、図1においては、図を見やすくするため、後述の案内部材401及びフレーム410が省略されている。図2は、図1のII−II線断面図である。搬送システム1は、工場等の天井付近に設置される搬送車両200と、その下方に設置されるコンベア装置100とを有している。
【0016】
搬送車両200は、天井に敷設された軌道300に吊り下げられており、軌道300に沿って走行する。搬送車両200は、半導体基板が収容される容器Fを把持する把持ユニット203と、把持ユニット203を吊り下げる吊り下げユニット204(下降装置)とを有している。把持ユニット203は、懸垂ベルト202を介して、吊り下げユニット204に吊り下げられている。吊り下げユニット204は、懸垂ベルト202を上方へと巻き取ったり下方へと繰り出したりすることによって、把持ユニット203を鉛直方向に移動させる(昇降手段)。これによって、搬送車両200は、搬送してきた容器Fを下方のコンベア装置100上に載置する。また、吊り下げユニット204は、懸垂ベルト202を水平方向に移動することができる。これによって、搬送車両200は、容器Fを下降させる際に水平方向の位置を微調整する。
【0017】
コンベア装置100は所定の搬送方向に沿って容器Fを搬送する装置である。コンベア装置100は、搬送方向に沿って配列された複数のコンベアユニット100aを有している。これらのコンベアユニット100aは、図2に示されるフレーム410を介して工場内の所定の位置に固定されている。フレーム410は縦断面がコの字型を有する上方に開口した箱型の形状を有している。コンベアユニット100aは、フレーム410のコの字型の内部に収容されている。
【0018】
各コンベアユニット100aは、搬送ローラ103と複数の従動ローラ104及び105と、これらのローラの周囲に巻き掛けられた無端の搬送ベルト101及び102とを有している。搬送ベルト101及び102は、図2に示されるように、コンベアユニット100aの幅方向Wに関して互いに離隔するように配置されている。容器Fは、搬送ベルト101及び102を幅方向Wに関して跨ぐようにこれらのベルトの上面に載置される。搬送ローラ103が回転すると、搬送ベルト101及び102が搬送ローラ及び従動ローラの周囲を走行し、搬送ベルト101及び102上に載置された容器Fが搬送方向に沿って移動する。そして、各コンベアユニット100aが容器Fを次のコンベアユニット100aへと次々に搬送していくことにより、容器Fが搬送先の目的地へと搬送される。
【0019】
搬送ベルト101及び102のそれぞれの上面には、上方に向かって突出する突出部101a及び102aが形成されている。突出部101a及び102aは、図2に示されるように、コンベアユニット100aの幅方向に関して容器Fの幅より大きく互いに離隔するように配置されており、容器Fは突出部101a及び102aの間に載置される。これによって、容器Fが搬送される際に、搬送ベルト101及び102上から転落したりはみ出したりしにくくなっている。
【0020】
搬送システム1は、搬送車両200及びコンベア装置100を制御する搬送制御装置500を有している。搬送制御装置500は、搬送車両200が被搬送物を回収したり開放させたりする位置、コンベア装置100の駆動開始や駆動停止のタイミング等を調整する。例えば、搬送制御装置500は、搬送車両200を制御して、所定地に載置された容器Fを把持させるとともに、コンベア装置100への所定の載置位置の上方へと軌道300に沿って移動させる。そして、搬送車両200が所定の載置位置の上方に達すると、搬送車両200に容器Fを下方へと移動させて、コンベア装置100上に容器Fを載置させる。さらに、コンベア装置100を制御して、所定の搬送方向に沿って容器Fを搬送させる。
【0021】
以下、搬送車両200が容器Fを搬送ベルト101及び102上に載置する際の載置位置と搬送制御装置500の制御についてより詳細に説明する。図3は、図2のコンベアユニット100a周辺の拡大図である。図3において、領域A1は幅方向Wに関する容器Fの載置領域を示している。かかる載置領域はあらかじめ設定されているものであり、コンベアユニット100aの幅方向に関して容器Fの幅と同じ幅を有している。
【0022】
ところで、本実施形態において、容器Fの底面には、位置合わせ穴f1〜f3が形成されている。かかる位置合わせ穴f1〜f3は、容器Fが載置される載置面上に形成された位置合わせ突起と共に、容器Fを載置する際の水平方向に関する位置合わせに用いられる。例えば、所定の装置の載置台上に容器Fを位置合わせして載置する場合には、その載置台上の所定の位置に、位置合わせ穴f1〜f3とちょうど嵌まり合うような位置合わせ突起を固定しておく。そして、容器Fを載置台上に載置する際に、その位置合わせ穴f1〜f3と位置合わせ突起とが互いに嵌まり合うように載置台上に容器Fを載置する。これによって、容器Fを位置合わせしつつ載置することができる。
【0023】
搬送車両200が容器Fを位置合わせしつつ載置する場合にも、上記のような位置合わせ穴f1〜f3と位置合わせ突起とが用いられる。したがって、搬送車両200に容器Fを位置合わせさせつつ載置させる場合には、所定の形状を有する位置合わせ突起の高さよりも上方において水平位置の調整を完了させなければならない。本実施形態においては、いずれの場所に容器Fを載置する場合にも、搬送車両200に、位置合わせ突起の高さよりも上方において容器Fの水平方向の位置を調整させた後に容器Fを載置させるように構成されている。つまり、搬送車両200は、搬送ベルト101及び102の上方の高さH3に容器Fの底面が至るまでに、水平方向に関して容器Fの位置の調整を完了する。そして、高さH3は、搬送ベルト101及び102の上面の高さH4から、容器Fの底面に形成された位置合わせ穴f1〜f3の深さよりもさらに長い距離だけ上方に設定されている。なお、突出部101a及び102aは、搬送車両200が容器Fの水平位置を微調整するのを妨げないように、上端が高さH3より下方に位置するように配置されている。
【0024】
具体的には、搬送システム1は以下の構成を有している。搬送制御装置500は所定の位置データを記憶している。この位置データは、搬送車両200を制御して容器Fを搬送ベルト101及び102上に載置させる際の目標位置を示しており、目標位置の水平位置(第1の位置)を示すデータと高さH4を示すデータとを含んでいる。搬送制御装置500は、搬送車両200を上記の位置データが示す水平位置の近傍に移動させると共に、上記の位置データが示す位置に向かって容器Fを下降させるように搬送車両200に制御信号を送信する。
【0025】
一方、搬送車両200の吊り下げユニット204は、搬送制御装置500からの制御信号に従って把持ユニット203を下降させる。吊り下げユニット204は、高さH3に容器Fの底面が到達するまで把持ユニット203を下降させる。H3は、位置合わせ穴f1〜f3の深さよりも長い所定の距離だけ位置データが示す高さH4より上方の高さ(第2の位置)である。ここで、容器Fの底面が高さH3に至るまでに、水平方向に関して上記の位置データが示す位置に容器Fが配置されるように、容器Fの水平位置を微調整する。そして、容器Fの底面が図3の高さH3に至ると、容器Fを鉛直方向に沿って下降させる。これによって、搬送ベルト101及び102上の水平方向に関して上記の位置データが示す位置に容器Fが載置される。
【0026】
ところで、搬送車両200が容器Fを下降させる際に、搬送制御装置500が記憶している位置データが載置領域から元々ずれていたり、搬送システム1の周辺に気流が発生したりすると、高さH3に達した際の容器Fの水平位置が、搬送ベルト101及び102上の規定の載置領域からずれる場合がある。
【0027】
そこで、搬送システム1は、図2及び図3に示すように、案内部材401及び402(当接部材)を有している。案内部材401及び402は、搬送車両200が容器Fを搬送ベルト101及び102の上面へと下降させる際に容器Fの移動を案内するものである。案内部材401及び402は、容器Fの載置位置を幅方向Wに関して挟むように互いに離隔してフレーム410の内側面に固定されている。本実施形態において、案内部材401及び402同士の幅方向Wに関する離隔距離は、容器Fの幅よりわずかに大きく設定されている。案内部材401及び402には、ほぼ平面に沿って延びる案内面401a及び402a(当接面)が形成されている。案内面401a及び402aは、それぞれ斜め上方に面しており、コンベア装置100の搬送方向に平行に形成されている。そして、それぞれが、下方に向かうにつれて幅方向Wに関してフレーム410の内側面から容器Fの載置領域に近づくように傾斜している。
【0028】
案内部材401及び402は、搬送車両200が下降させた容器Fを適切に案内するために、図3に示す所定の位置に配置されるようにフレーム410に固定されている。つまり、案内部材401及び402は、以下の第1〜第4の条件を満たすように配置されている。
【0029】
第1に、幅方向Wに関して、点401bが位置P1と領域A1との間に配置され、点402bが位置P2と領域A1との間に配置されている。点401b及び402bは、それぞれ案内面401a及び402a上において最も下方且つ水平方向に関して最も載置領域A1に近い位置の点である。また、位置P1及び位置P2は、突出部101及び102の幅方向Wに関する位置である。第2に、点401b及び402bが、高さH3より下方の高さH2に配置されている。第3に、点401c及び402cが、高さH3より上方の高さH1に配置されている。点401c及び402cは、それぞれ案内面401a及び402a上において最も上方且つ水平方向に関して最も載置領域A1から遠い位置の点である。
【0030】
第4に、幅方向Wに関する点401cの位置は、高さH1において容器Fの水平方向の位置が図3の右方に最大限にずれた場合でも、容器Fの底面が案内面401aに適切に当接するように調整されている。つまり、容器Fの底面が高さH1に達した際に、容器Fの水平方向の位置が図3の右方に最大限にずれていても、容器Fの底面のさらに右方に点401cが位置するように調整されている。これと同様に、幅方向Wに関する点402cの位置も、高さH1において容器Fの水平方向の位置が図3の左方に最大限にずれた場合でも、容器Fの底面が案内面402aに適切に当接するように調整されている。
【0031】
なお、上記の第4の条件において、容器Fの幅方向Wに関する最大のずれ幅は、搬送システム1の周囲に発生する気流によって容器Fが水平方向にずれる量を実測したり、搬送制御装置500に記憶させる位置データの規定の載置領域からの誤差を算出したりすることによって取得されるものである。
【0032】
上記の第1〜第4の条件によって、容器Fを突出部101a及び102aに引っ掛けることなく所定の載置領域へと適切に案内するような構成が実現している。以下、搬送車両200が下降させた容器Fが、案内部材401及び402によってどのように案内されるかについて説明する。図4(a)〜図4(c)は、コンベアユニット100a周辺において、搬送車両200が下降させた容器Fが案内部材401及び402に案内されて搬送ベルト101及び102上に載置されるまでの一連の状態を示す図である。
【0033】
搬送車両200が容器Fを下降させる際に、吊り下げユニット204は、上記の通り搬送制御装置500からの制御信号に従って、所定の位置データが示す位置に向かうように容器Fの水平位置を微調整する。このとき、図4(a)の白抜き矢印に示すように、容器Fが高さH3において水平位置に関して規定の載置領域A1からずれ、領域A2に配置されたとする。ここで、領域A2の位置で鉛直下方の搬送ベルト101及び102上に載置されると、容器Fが突出部101aに引っ掛かった状態で搬送ベルト101及び102上に載置されるおそれがある。
【0034】
これに対して、本実施形態は、上記の第2〜第4の条件により、容器Fの底面が、高さH3に至るまでに確実に案内面401a及び402aのいずれかに当接するように構成されている。例えば、図4(b)に示すように、容器Fの底面は、高さH3に至るまでに案内部材401の案内面401aに当接する。そして、搬送車両200が容器Fをさらに下降させると、容器Fは案内面401aに沿って、図4(b)の白抜き矢印の方向に移動する。これによって、容器Fは領域A2から領域A1に近づくように移動する。容器Fの底面が高さH2に達すると、容器Fは点401b及び402bの間を鉛直下方に向かって下降する。
【0035】
ここで、点401b及び402bは、水平方向に関して上記の第1の条件を満たすように配置されている。つまり、点401bは位置P1と領域A1との間に配置され、点402bは位置P2と領域A1との間に配置されている。また、本実施形態においては上記の通り、点401b及び402bの離隔距離が領域A1の幅よりわずかに大きく設定されている。これによって、容器Fは、突出部101a及び102aのいずれにも引っ掛かることなく、搬送ベルト101及び102上の領域A1とほぼ重なり合う位置に適切に載置される。
【0036】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0037】
例えば、上述の実施形態においては、案内面401a等において最も下方の点401b等が、吊り下げユニット204が容器Fの水平位置の微調整を完了する高さH3より下方に配置されている。しかし、点401b等が高さH3より上方に配置されていてもよい。この場合には、容器Fの底面が高さH3に達してもその底面が未だ案内面401a及び402aのいずれにも当接していない場合もある。つまり、容器Fの底面が高さH3に達するまでに、案内面401a及び402aのいずれにも当接することなく点401b及び402bの間を通過することが考えられる。このような場合には、容器Fの底面が点401b及び402bを通過した後にさらに吊り下げユニット204が容器Fを水平移動させようとするおそれがある。しかし、容器Fの底面が高さH3を通り過ぎた後に容器Fが水平移動されると、容器Fの側面が点401b等に当接する。そして、本実施形態においては容器Fの側面が鉛直方向に沿っているので、その側面が点401bに沿うように鉛直下方に容器Fが案内される。したがって、結局この場合でも容器Fを適切に載置領域の近傍に載置することができる。
【0038】
一方で、容器Fとは異なる形状の被搬送物を下降させる場合や、案内面401b等とは異なる形状の面が案内部材に形成されている場合には、案内面の最も下方の点が高さH3より下方に位置していることが好ましい場合がある。つまり、被搬送物の側面が鉛直方向に沿っていない場合や案内面が搬送方向に平行でない場合などの場合には、案内面の最も下方の点が高さH3より上方に位置していると、被搬送物が高さH3を通過した後に吊り下げユニット204が被搬送物を水平移動させることによって被搬送物の水平位置がずれることも考えられる。したがって、このような場合には、案内面の最も下方の点を高さH3より下方に配置することによって、被搬送物の底面が案内面に確実に当接するように構成することが好ましい。
【0039】
また、上述の実施形態において、点401b及び402bの幅方向Wに関する離隔距離は、容器Fの幅、つまり載置領域A1の幅よりわずかに大きく設定されている。しかし、突出部101a及び102aの間に容器Fが載置されるのであればどのように設定されていてもよい。例えば、容器Fが規定の載置領域A1より10mm程度幅方向にずれた位置に載置されるような離隔距離に設定されていてもよい。
【0040】
また、上述の実施形態は、コンベア装置100として搬送ベルトを利用したものが採用されている。しかし、コンベア装置としては、搬送方向に沿って配列された複数のローラを有しており、かかるローラを回転させることによってローラ上に載置された容器Fを搬送するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送システムの概略的な構成を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のコンベアユニット周辺の拡大図である。
【図4】図2のコンベアユニット周辺において、搬送車両が下降させた容器が案内部材に案内されて搬送ベルト上に載置されるまでの一連の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 搬送システム
100 コンベア装置
200 搬送車両
401 案内部材
500 搬送制御装置
F 容器
101、102 搬送ベルト
101a、102a 突出部
401a、402a 案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に関する載置領域が上面に設定され、前記載置領域内に載置された被搬送物を所定の搬送方向に沿って搬送するコンベアと、
前記載置領域の上方から前記被搬送物を下降させると共に、水平方向に関して第1の位置において、前記コンベア上に前記被搬送物を載置する下降装置と、
前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域に隣接するように固定されている部材であって、前記下降装置が下降させた前記被搬送物が上方から当接した際に、前記被搬送物が下降するのに従って前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域に近づくような抗力を前記被搬送物に印加する当接面が、鉛直方向に関して前記載置領域より上方の位置に形成された当接部材とを備えていることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記当接面が、概略的に平面に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記平面が前記所定の搬送方向に平行であることを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
平面視において前記載置領域に最も近い前記当接面上の点が、前記載置領域より上方の第2の位置又は前記第2の位置より下方に位置しており、
前記下降装置が、
前記被搬送物を鉛直方向に移動させる昇降手段と、
前記被搬送物を下降させる際に前記被搬送物を水平方向に関して移動する水平移動手段と、
鉛直方向に関して前記第2の位置に至るまでに前記被搬送物を水平方向に関して前記第1の位置に配置させると共に、その後に鉛直方向に沿って前記被搬送物を下降させるように、前記昇降手段及び水平移動手段を制御する制御手段とを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記コンベアが、前記コンベアの幅方向に関して前記載置領域を挟むように、前記コンベアの上面から前記第2の位置より下方の位置まで突出する一対の突出部を有しており、
平面視において前記載置領域に最も近い前記当接面上の点が、前記コンベアの幅方向に関して前記一対の突出部のいずれかと前記載置領域との間に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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