説明

搬送システム

【課題】加工装置の設置スペースを増大させることなく、かつワークを損傷することなく、加工装置に対するワークの投入および回収を円滑かつ確実に実現する。
【解決手段】パレット70においてレンズ1が収容されるワーク収納部72の周囲に収納部位置決め部73を設け、レンズ1のピックアップ搬送を行うワーク搬送部40には、レンズ1を吸着保持するワーク保持部材43の周囲に同軸に、収納部位置決め部73のテーパ面73aに嵌合する外テーパ面44aと、加工軸の加工軸位置決め部に嵌合する内テーパ面44bを備えた位置決め部材44を、弾性部材46を介して軸方向に緩衝可能に設け、パレット70からのレンズ1のピックアップ時のワーク保持部材43とワーク収納部72の位置決めと、加工軸のワーク保持部へのレンズ1の受け渡しにおけるワーク保持部材43とワーク保持部との位置決めを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関し、たとえば、様々な加工装置に対するワークの供給等に用いられる搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、多数のワークを順次加工する加工装置等においては、トレイ等に収載された複数のワークを個別に取り出して順次、加工装置に供給するワーク搬送技術が用いられる場合がある。
【0003】
従来、このようなワーク搬送技術としては、特許文献1に開示された技術が知られている。
すなわち、ワークテーブルの周方向に、ワークであるレンズが底部に収納されるレンズ挿入穴および研磨ホルダ位置決め穴を同軸の段付き穴として形成する。そして、このワークテーブル上からレンズを真空吸着でピックアップするための搬送ヘッドを兼ねる研磨ホルダの先端部には、ワークテーブルの研磨ホルダ位置決め穴に嵌合する略球形の大径部を設け、研磨ホルダによってワークテーブルのレンズをピックアップしたり、加工後のレンズを戻す際に、研磨ホルダの先端部がレンズ挿入穴と同軸になるように位置決めされるようにしたものである。
【0004】
上記従来技術においては、以下の技術的課題があった。
(1)パレットとしてのワークテーブルから直接、搬送ヘッドを兼ねる研磨ホルダにレンズを挿入するため、研磨ホルダの周辺には、ワークテーブルが構成されるだけのスペースが必要であり、パレットを大きくすると、装置も必要以上に大きくなってしまう。装置が大きくなると、スペース効率が悪くなり、コスト増をまねく。
【0005】
(2)研磨ホルダに、レンズを吸引保持する際に、吸引で吸い上げるために、うまく吸いあがらず、全く吸引できないエラーや、斜めに吸引してしまう不具合も生じることがある。これを回避するために研磨ホルダをレンズに直接あてつけると、レンズに傷や欠けなどの破損が生じる懸念がある。
【0006】
特に斜めに研磨ホルダに吸着した場合は、加工時に砥石の破損を招く重大な損害が生じる。
(3)ワークテーブルから加工後のレンズを取り出して回収する際に、段付き穴の底部に沈みこんだ状態でレンズが収納されているため取り出しにくい。
【特許文献1】特公昭63−17587号公報(第4図等)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加工装置の設置スペースを増大させることなく、かつワークを損傷することなく、加工装置に対するワークの投入および回収を円滑かつ確実に実現することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加工装置に投入されるワークの搬送を行う搬送システムであって、
収納主面に、少なくとも一つの前記ワークが収納されるワーク収納部と、前記ワーク収納部の回りに所定の位置関係で形成された収納部位置決め部とが設けられたワーク配置部と、
先端部に前記ワークを着脱自在に保持するワーク保持軸と、前記ワーク保持軸の回りに所定の位置関係で形成され、前記収納部位置決め部および前記加工装置の加工軸に設けられた加工軸位置決め部に嵌合する搬送部位置決め部とを備え、前記ワーク配置部と前記加工軸との間で前記ワークの搬送を行うワーク搬送部と、
を含む搬送システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加工装置の設置スペースを増大させることなく、かつワークを損傷することなく、加工装置に対するワークの投入および回収を円滑かつ確実に実現することが可能な技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施の形態の第1態様では、ワークを配置するワーク配置部と、ワーク配置部から、ワークを加工部に搬送するためのワーク搬送部、および、ワーク搬送部と、加工部上のワーク保持部のそれぞれについて位置決め手段を設けている。
【0011】
これにより、加工部周辺は加工に際して最低限の空間があればよく、搬送部が位置決めされた後に、ワークと搬送部が関わりあうため、ワークに不要な応力を生じさせない。また、ワーク配置部の構成に自由度が増し、ワークの供給排出作業がしやすい位置にワークを配置する構成も可能となる。
【0012】
また、本実施の形態の第2態様では、上述の第1態様における個々の位置決め手段が、互いに嵌合する相対的なテーパ形状を備えた構造とする。
これにより、ワーク以外の部分で単独で位置決め可能であり、高速に動作させても、確実に位置決めが可能である。
【0013】
また、本実施の形態の第3態様では、上述の第1および第2態様のワーク搬送部において、ワーク保持部と位置決め部が軸方向に相対的に摺動可能な構成とする。
これにより、位置決めと、ワークの保持の動作を完全に分離できるので、ワークのばらつきなどが激しい場合においても、確実に効果を得られる。
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である搬送システムの一部を示す略断面図、図2は、本実施の形態の搬送システムを備えた加工設備の全体構成の一例を示す略平面図、図3は、本実施の形態の搬送システムの一部を拡大して示す略断面図、図4は、本実施の形態の搬送システムを備えた加工設備を構成する加工装置に備えられた加工軸の構成例を示す略断面図である。
【0015】
まず、図2を参照して、本実施の形態の搬送システムHを含む加工設備の全体構成について説明する。
図2に例示されるように、本実施の形態の加工設備では、加工装置20と少なくとも1つ以上のワークを配置可能になっているワーク配置部60とを結ぶように、アクチュエータ50が構成してある。アクチュエータ50には、ワーク搬送部40が、アクチュエータ50によって任意の位置に移動可能になっている。
【0016】
ワーク配置部60は、たとえば、X−Yテーブル等で構成され、載置される後述のパレット70やパレット80を、アクチュエータ50によるワーク搬送部40の移動方向に直交する方向に移動して位置決めすることが可能になっている。
【0017】
そして、ワーク搬送部40、アクチュエータ50、ワーク配置部60によって本実施の
形態の搬送システムHが構成されている。
これらの搬送システムHおよび加工装置20の全体は、制御部10にて制御される。
【0018】
図4は、加工装置20に備えられた加工軸30の先端部を示している。加工軸30の先端部には凹形のワーク保持部32が設けられ、このワーク保持部32には、軸方向の任意の位置に開口する吸引穴31が形成されており、真空引きによりレンズ1(ワーク)を吸引保持可能にしてある。ワーク保持部32を備えた加工軸30の全体は、上下に移動可能な図示しない機構を備えている。
【0019】
この場合、加工軸30の先端部において、ワーク保持部32の周囲には、先端に向けて外径が小さくなるように傾斜したテーパ面33aを有する加工軸位置決め部33が設けられている。
【0020】
一方、図1は、ワーク搬送部40のワークを保持する部分の構成例を示している。
本実施の形態のワーク搬送部40は、アクチュエータ41、押圧棒42、ワーク保持部材43(ワーク保持軸)、位置決め部材44(搬送部位置決め部)、弾性部材45(第1緩衝部材)、弾性部材46(第2緩衝部材)を備えている。
【0021】
なお、図1では、図示を分かりやすくするため、ワーク保持部材43と位置決め部材44の径方向の隙間は誇張して図示されているが、両者の相対的な変位を確保可能な最小限の隙間でよい。
【0022】
ワーク搬送部40の全体は、専用のステー51を介してアクチュエータ50に支持され、ワーク配置部60と加工装置20との間を往復移動される。
ステー51には、アクチュエータ41が固定されている。押圧棒42は、アクチュエータ41により、上下方向へ駆動される。押圧棒42の先端側には保持穴42aがあり、軸状のワーク保持部材43の上端に設けられたフランジ部43aが、落下しないような引っ掛かりをもって、その保持穴42aに通されている。
【0023】
軸形状のワーク保持部材43は、中間にフランジ部43bが設けられ、このフランジ部43bと、先述の押圧棒42との間には、コイルバネなどの弾性部材45が介設されている。この弾性部材45の伸縮により、ワーク保持部材43に対して下側から突き上げる方向に作用する力や衝撃(換言すれば、後述のようにワーク保持部材43に当接して保持されるレンズ1に作用する力や衝撃)が緩和される。
【0024】
軸状のワーク保持部材43の断面は丸でも四角でもどのような形でもよい。また、ワーク保持部材43の下端部は段差部43dをもつように拡径され、下端面にはレンズ保持穴43cが設けられている。
【0025】
レンズ保持穴43cの中央部には、ワーク保持部材43を軸方向に貫通し、真空吸着のための吸引穴43eが開口している。
拡径されたワーク保持部材43の下端部には、同軸に位置決め部材44が挿通されている。
【0026】
そして、弾性部材45と逆側(位置決め部材44の側)にもコイルバネなどの弾性部材46が設けられており、弾性部材46の別端は位置決め部材44に当接している。この弾性部材46の付勢力により、位置決め部材44はワーク保持部材43の先端から突出する方向に常時付勢されている。
【0027】
位置決め部材44は、ワーク保持部材43と同軸に嵌合しており、弾性部材46により
抜ける方向に常に付勢力が生じているが、ワーク保持部材43の先端が大径の段差部43dを持つ段付きになっており、脱落することは無い。
【0028】
また、本実施の形態の場合、位置決め部材44の先端は、少なくとも一部には、外周面に形成された外テーパ面(先端に向けて外径が小さくなるように傾斜した面)44aおよび内周面側に設けられた内テーパ面(先端に向けて内径が大きくなるように傾斜した面)44bを備えた構成となっている。
【0029】
位置決め部材44の外テーパ面44aは、後述のパレット70の収納部位置決め部73に嵌合するように構成されている。
この位置決め部材44の内テーパ面44bは、上述の加工軸30の加工軸位置決め部33におけるテーパ面33aと傾斜角度が同一となるように形成され、位置決め部材44と加工軸位置決め部33の嵌合による、加工軸30のワーク保持部32とワーク搬送部40のワーク保持部材43の位置決めが行われる。
【0030】
なお、弾性部材46のバネ定数は、弾性部材45のバネ定数よりも小さく設定され、弾性部材46の付勢力は、弾性部材45の付勢力よりも弱く設定されている。
そして、上述のように、ワーク保持部材43の軸と同軸になるように、その軸の先端には、レンズ保持穴43cが構成されている。なお、レンズ保持穴43cや、位置決め部材44は、一例として図1では丸形状になっているが、ワークの形状に合わせて、より複雑な形状のものにしてもよい。
【0031】
ここで、ワーク保持部材43の少なくともレンズ1に当接する部分の素材は、レンズ1を傷つけないように、樹脂,ゴム,など、ワークよりも柔らかい材料を使用するのが好ましい。
【0032】
図3に例示されるように、ワーク配置部60に配置されるパレット70(ワーク配置部)の収納主面71には、レンズ1の投入取り出しを可能とするため、レンズ1の外径より若干広い寸法の穴としてワーク収納部72が設けられ、このワーク収納部72の同軸の外周方向には、少なくとも一部が、上方に広がる形状のテーパ面73aを構成する収納部位置決め部73が形成されている。
【0033】
この収納部位置決め部73のテーパ面73aは、上述の位置決め部材44の外テーパ面44aに嵌合し、ワーク搬送部40のワーク保持部材43と、パレット70のワーク収納部72との位置決めが行われる。
【0034】
また、ワーク収納部72の回りに収納部位置決め部73のテーパ面73aが設けられていることにより、ワーク搬送部40以外の手段でも、ワーク収納部72からレンズ1が取り出しやすい構造となっている。
【0035】
(作用)
アクチュエータ50およびワーク配置部60の変位により、ワーク配置部60上に載置されたパレット70に収納された一つのワークであるレンズ1の上に、ワーク搬送部40に設けられたワーク保持部材43が位置決めされる。
【0036】
但し、ワークであるレンズ1は、パレット70に設けられたワーク収納部72の穴に対して隙間を持たせておかないと、挿入取出しが困難なので、ワーク収納部72とレンズ1の外周との間には隙間が生じており、この時点では、ワーク保持部材43をレンズ1の上部に大して隙間分だけ、完全に正確には位置決めできていない。
【0037】
次にアクチュエータ41が押圧棒42を下降動作させる。これにより、ワーク保持部材43および当該ワーク保持部材43に同軸に挿通された位置決め部材44は下降していく。
【0038】
そして、図3に例示されるように、最初に位置決め部材44の外テーパ面44aがパレット70のレンズ1が収容されたワーク収納部72の外周に設けられた収納部位置決め部73のテーパ面73aと当接および嵌合して下降を停止すると同時に、ワーク保持部材43をワーク収納部72に対して同軸上に位置決めする。
【0039】
この状態で、弾性部材46の付勢力に抗して更に押圧棒42が下降してくると、弾性部材46が圧縮され、位置決め部材44は停止したまま、内部のワーク保持部材43が、位置決め部材44の内部、つまりパレット70のワーク収納部72と同軸上を下降する。
【0040】
そして、ワーク保持部材43のレンズ保持穴43cが、パレット70のワーク収納部72に収納されているレンズ1に接触すると、上側の弾性部材45が収縮変形して緩衝し、レンズ1への不要な押圧力を上方に逃がすことで、レンズ1への傷発生などの不具合を生じさせない。
【0041】
この後、ワーク保持部材43の吸引穴43eから、真空引きすることで、レンズ1をレンズ保持穴43cに確実に吸着保持する。
この後、アクチュエータ41が上昇すると、レンズ1は、位置決め部材44の内部に収納される形で引き上げられる。
【0042】
ワーク搬送部40は、レンズ1を保持した後、アクチュエータ50により、加工装置20の加工軸30上に向かって移動し、図示しないワーク搬送部40の反転機構によって、ワーク搬送部40の全体が180度反転され、位置決め部材44内のレンズ1を上方にある加工装置20の加工軸30のワーク保持部32に向けて対面させる。
【0043】
この後、アクチュエータ41により、ワーク保持部材43を上昇させ、上述のパレット70のときと同様に、加工軸30の加工軸位置決め部33のテーパ面33aに位置決め部材44の内テーパ面44bを嵌合させることで、ワーク保持部材43のワーク保持部32に対する位置決めを行い、レンズ1をワーク保持部32の中心部に確実に吸着保持させる。
【0044】
加工軸30における加工が完了したレンズ1は、上述と全く逆の手順で、加工軸30から元のパレット70に収納される。
この実施の形態においては、ワーク保持部材43が、位置決め部材44に対して摺動するように構成しているが、これらの部材を一体で成形し、テーパ部で位置決めが終了した状態で、レンズ1が、レンズ保持穴43cにやや入り込んでいる状態を作ってもよい。この場合も、レンズ1の高さのばらつき等を逃がすため、ワーク保持部材43は、バネなどの弾性部材や、アクチュエータ41の推力を抑えることで、必要以上にレンズ1を押圧しないようにするのが好ましい。
【0045】
(効果)
上述のように、本実施の形態の場合には、ワーク搬送部40に設けられた外テーパ面44aをもつ位置決め部材44の外テーパ面44aを、パレット70の収納部位置決め部73と嵌合させること、および位置決め部材44の内テーパ面44bを加工装置20の加工軸30に設けられた加工軸位置決め部33と嵌合させることにより、パレット70と加工軸30との間におけるレンズ1の搬送および受け渡しを、レンズ1を損傷させることなく確実に行うことができる。
【0046】
また、ワーク搬送部40の位置決め部材44と、パレット70の収納部位置決め部73および加工軸30の加工軸位置決め部33との間では、テーパ面で広く嵌合させるので、位置決めを高速に行うことができ、動作のリードタイムを短縮することが出来る。
【0047】
また、パレット70と加工装置20の加工軸30とのテーパによる位置決め構造を同じ形状にすれば、ワークとしてのレンズ1を受渡しする際のワーク搬送部40側の位置決めテーパを共通で使用することが可能となる。
【0048】
さらに、加工装置20の加工軸30を、ワーク搬送部40として用いないので、加工軸30の可動範囲を必要以上に広くする必要がなく、加工装置20の設置スペースを削減して低コスト化できる。
【0049】
この結果、本実施の形態の搬送システムHによれば、加工装置20の設置スペースやコストを増大させることなく、かつワーク(レンズ1)を損傷することなく、加工装置20に対するワークの投入および回収を円滑かつ確実に実現することができる。
【0050】
図5は、本実施の形態の搬送システムHにおけるワーク搬送部およびパレットの変形例を示す断面図である。
この変形例では、収納主面81から突出して形成されたワーク収納凸部83の上端にワーク収納部82が設けられたパレット80(ワーク配置部)を用いる点が異なっている。
【0051】
すなわち、このパレット80の場合、加工軸30の加工軸位置決め部33と同様に、収納部位置決め部84は、ワーク収納凸部83の外周に凸型(先端に向けて外径が小さくなるように傾斜させた形状)のテーパ面84aを有するように形成されている。
【0052】
換言すれば、上述の加工軸30の先端部と等価な形状を、パレット80の収納主面81に所望のピッチで配列した構成となっている。
これに対応して、ワーク搬送部40の側では、上述の位置決め部材44の代わりに、パレット80の収納部位置決め部84、および加工軸30の加工軸位置決め部33に共通に嵌合するように、内側にのみ内テーパ面47aを有する位置決め部材47(搬送部位置決め部)を備えている。
【0053】
こ図5の変形例の場合には、上述の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、パレット80の収納主面81から突出したワーク収納凸部83にワーク収納部82が設けられているので、加工済みのレンズ1をパレット80から回収する際に、レンズ1をワーク収納部82から取り出しやすい、という利点がある。
【0054】
さらに、パレット80において、ワーク収納凸部83にワーク収納部82を設けたことにより、同一の口径のレンズ1を収納する場合でも、ワーク収納部82の配列ピッチを小さくでき、搬送システムHの小型化、ひいては、搬送システムHを含む製造設備の小型化を実現できる。
【0055】
さらに、ワーク搬送部40における位置決め部材47のテーパ面の数を減らして、形状を簡略化できる利点がある。
図6は、本実施の形態の搬送システムHにおけるワーク搬送部の他の変形例を示す断面図である。
【0056】
この変形例では、ワーク保持部材143(ワーク保持軸)と位置決め部材144(搬送位置決め部)とを一体化し、図1におけるフランジ部43bと弾性部材46(第2緩衝部
材)を排除している。
【0057】
すなわち、このワーク搬送部140は、押圧棒42、ワーク保持部材143(ワーク保持軸)、位置決め部材144(搬送部位置決め部)、弾性部材45(第1緩衝部材)、を備えている。
【0058】
その他の構成は、図1における本発明の一実施の形態と同一であるので、同一部分に同一番号を付して説明を省略する。
この変形例によれば、ワーク搬送部の構成を簡略化することができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、外径寸法にバラツキがあるレンズ1等のワークに対しても、ワーク自体には位置決めのための余計な操作を行うことなく、また、傷の付きやすいやわらかい材料のワークにおいても、傷を生じさせること無く受け渡しが可能であり、しかも、これを安価に実現することが出来る。
【0060】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
[付記1]
加工機に投入するワークの自動供給を行い、そのワークを吸引保持して加工工具へ搬送を行う装置の搬送システムであり、前記ワークを少なくとも1ヶ以上配置可能である、ワーク配置用の穴を持ったワーク配置部と、ワーク配置部に構成されたワーク配置用の穴の外周方向に配置され、ワーク配置用の穴と同軸など、一定の位置関係で構成されたワーク配置部の位置決め部と、ワークを加工する際に、該ワークを保持するための加工軸のワーク保持部と、加工軸のワーク保持部の外周であり、ワーク位置よりも奥側に構成された、ワーク保持部の位置決め部と、ワーク配置部とワーク保持部との間で、ワークを搬送するワーク搬送部と、ワーク搬送部に構成され、ワークの吸引保持をするワーク搬送部のワーク保持部材と、ワーク保持部の外周方向に少なくとも1つ以上構成され、ワーク搬送部がワーク配置部の位置決め部、もしくは、ワーク保持部の位置決め部と位置決めを行った後に、ワークに勘合もしくは接触するよう構成された、ワーク搬送部の位置決め部と、で構成されたことを特徴とするワークの自動搬送装置。
【0061】
[付記2]
付記1記載のワークの自動搬送装置において、各ワークの位置決め部の少なくとも一部がテーパ形状を形成していることを特徴とするワークの自動搬送装置。
【0062】
[付記3]
付記1および2に記載のワーク自動搬送装置において、ワーク搬送部のワーク保持部材と、ワーク搬送部の位置決め部が、軸方向に相対的に摺動可能になっていることを特徴とするワークの自動搬送装置。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態である搬送システムの一部を示す略断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である搬送システムを備えた加工設備の全体構成の一例を示す略平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である搬送システムの一部を拡大して示す略断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である搬送システムを備えた加工設備を構成する加工装置に備えられた加工軸の構成例を示す略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態である搬送システムにおけるワーク搬送部およびパレットの変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態である搬送システムにおけるワーク搬送部の他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 レンズ
10 制御部
20 加工装置
30 加工軸
31 吸引穴
32 ワーク保持部
33 加工軸位置決め部
33a テーパ面
40 ワーク搬送部
41 アクチュエータ
42 押圧棒
42a 保持穴
43 ワーク保持部材
43a フランジ部
43b フランジ部
43c レンズ保持穴
43d 段差部
43e 吸引穴
44 位置決め部材
44a 外テーパ面
44b 内テーパ面
45 弾性部材
46 弾性部材
47 位置決め部材
47a 内テーパ面
50 アクチュエータ
51 ステー
60 ワーク配置部
70 パレット
71 収納主面
72 ワーク収納部
73 収納部位置決め部
73a テーパ面
80 パレット
81 収納主面
82 ワーク収納部
83 ワーク収納凸部
84 収納部位置決め部
84a テーパ面
H 搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置に投入されるワークの搬送を行う搬送システムであって、
収納主面に、少なくとも一つの前記ワークが収納されるワーク収納部と、前記ワーク収納部の回りに所定の位置関係で形成された収納部位置決め部とが設けられたワーク配置部と、
先端部に前記ワークを着脱自在に保持するワーク保持軸と、前記ワーク保持軸の回りに所定の位置関係で形成され、前記収納部位置決め部および前記加工装置の加工軸に設けられた加工軸位置決め部に嵌合する搬送部位置決め部とを備え、前記ワーク配置部と前記加工軸との間で前記ワークの搬送を行うワーク搬送部と、
を含むことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1記載の搬送システムにおいて、
前記ワーク保持軸と前記搬送部位置決め部は一体化されていることを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
請求項2記載の搬送システムにおいて、
前記ワーク搬送部において、前記搬送部位置決め部は、前記ワーク保持軸の軸方向に変位自在に設けられ、
前記ワークに対する前記ワーク保持軸の緩衝を行う第1緩衝部材をさらに具備したことを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
請求項1記載の搬送システムにおいて、
前記ワーク搬送部において、前記搬送部位置決め部は、前記ワーク保持軸に対して軸方向に変位自在に設けられ、
前記ワークに対する前記ワーク保持軸の緩衝を行う第1緩衝部材と、
前記ワーク保持軸に対する前記搬送部位置決め部の緩衝を行う第2緩衝部材と、
をさらに具備したことを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の搬送システムにおいて、
収納部位置決め部、前記搬送部位置決め部、前記加工軸位置決め部の各々の嵌合部の少なくとも一部がテーパ面を呈していることを特徴とする搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−89171(P2010−89171A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258495(P2008−258495)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】