説明

搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置

【課題】搬送物(メール便、封筒類等)を仕分ける装置に関するものであり、作業能率を向上させると共に、作業の確実性を確保する。
【解決手段】チェーン本体に垂直軸と水平軸を設けて、垂直軸には案内ローラを、水平軸には走行ローラと駆動ローラを取り付け、メール類の入口と出口を持つ搬送ボックスBをチェーン本体に取り付け、案内ローラを規制案内する案内ローラ用レールと走行ローラを支持する走行ローラ用レールをフレームに取り付け、メール類投入位置に最も近い個所における案内ローラ用レールに第2円弧cdeを形成し、第2円弧cdeの第2中心Oを案内ローラ用レールのメール類投入位置側に位置させ、案内ローラが第2円弧cdeのc点、d点、e点を順次通過する期間中、当該案内ローラを支持するチェーン本体に取り付けた搬送ボックスの入口を第2円弧cdeの第2中心Oの近傍においてほぼ停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物(メール便、封筒類等)を宛先別に仕分ける装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各走行ブロックに搬送物を受取るボックスを取り付け、隣接する走行ブロック同士をチェーンで連結して、走行路(軌道)に沿って走行させ、移載区間において搬送物を投入し、排出区間において搬送物を排出して仕分けをする仕分装置は公知である。
【特許文献1】 特願2003−320374
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
メール類を投入位置から搬送ボックスに確実に投入するためには搬送ボックスの移動速度(すなわちチェーン本体の移動速度)がある程度低速であることを要する。そうすると、仕分作業の能率が低下する。
仕分作業の能率を低下させないためには、搬送ボックスの移動速度を高速に維持する必要があり、そのためには、メール類を投入する装置を搬送ボックスとほぼ同じ速度で伴走させながらメール類を投入することが考えられるが、搬送ボックスと同期する装置を製作しなければならないからコスト高になる。
本発明は、チェーン本体を移動させるレールに細工を施すことにより搬送ボックスの移動速度を高速に維持したまま、メール類を確実に搬送ボックスに投入できる装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記の目的を達成するものであって、請求項1に係る搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置は、チェーン本体(2)に垂直軸(25)と水平軸(21)を設けて、垂直軸(25)には案内ローラ(26)を取り付け、水平軸(21)には走行ローラ(22)と駆動ローラ(24)を取り付け、メール類の入口と出口を持つ搬送ボックス(B)をチェーン本体(2)に取り付け、各チェーン本体(2)をチェーン連結板(3)で連結し、案内ローラ(26)を規制案内する案内ローラ用レール(X)と走行ローラ(22)を支持する走行ローラ用レール(Y)をフレーム(F)に取り付け、メール類投入位置(P)に最も近い個所における案内ローラ用レール(X)に第2円弧(cde)を形成し、第2円弧(cde)の第2中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)側に位置させ、案内ローラ(26)が第2円弧(cde)のc点、d点、e点を順次通過する期間中、当該案内ローラ(26)を支持するチェーン本体(2)に取り付けた搬送ボックス(B)の入口を第2円弧(cde)の第2中心(O)の近傍においてほぼ停止させることを特徴とする。
請求項2に係る搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置は、案内ローラ用レール(X)に形成した第3円弧(efg)の第3中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)の反対側に位置させ、搬送ボックス(B)を第2円弧(cde)の第2中心(O)から急速に離脱させることを特徴とする。
請求項3に係る搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置は、案内ローラ用レール(X)に形成した第1円弧(abc)の第1中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)の反対側に位置させ、後続の搬送ボックス(B)をメール類投入位置(P)において停止している搬送ボックス(B)に衝突しない姿勢に維持することを特徴とする。
請求項4に係る搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置は、第1円弧(abc)の第1中心(O)、第2円弧(cde)の第2中心(O)又は第3円弧(efg)の第3中心(O)の位置を選定することにより、第1円弧(abc)、第2円弧(cde)又は第3円弧(efg)の長さ、曲率(1/r)又は曲率半径(r)を所望の値に設計することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に係る発明は、メール類投入位置(P)に最も近い個所における案内ローラ用レール(X)に第2円弧(cde)を形成し、第2円弧(cde)の第2中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)側に位置させ、案内ローラ(26)が第2円弧(cde)のc点、d点、e点を順次通過する期間中、当該案内ローラ(26)を支持するチェーン本体(2)に取り付けた搬送ボックス(B)の入口を第2円弧(cde)の第2中心(O)の近傍においてほぼ停止させることができるので、メール類を確実に搬送ボックス(B)に投入することができる。よって、仕分作業の高能率化を実現できると共に、装置の製作コストを大幅に削減することができる。
請求項2及び請求項3に係る発明は、メール類投入位置(P)に最も近い個所における案内ローラ用レール(X)に第1円弧(abc)又は第3円弧(efg)を形成し、第1円弧(abc)の第1中心(O)及び第3円弧(efg)の第3中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)の反対側に位置させることにより、搬送ボックス(B)の入口が第2円弧(cde)の第2中心(O)の近傍においてほぼ停止している期間中、上流側又は下流側の隣接する搬送ボックス(B)が、メール類の受け渡しをしている搬送ボックス(B)に衝突することがない。
請求項4に係る発明は、第1中心(O)、第2中心(O)又は第3中心(O)の位置を選定することにより、第1円弧(abc)、第2円弧(cde)又は第3円弧(efg)の長さ、曲率半径(r)又は曲率(1/r)を所望の値に設計して、搬送ボックスBの端縁Eを第2中心Oの近傍において停止させる時間を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を実施するための最良の形態を、以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置である。符号1は仕分装置の概略を示す平面図である。符号Xは、ほぼ環状に設けられた案内ローラ用レールを示し、多数の搬送ボックスB、B、・・・がこの案内ローラ用レールXに沿って矢印i方向に移動する。供給装置に蓄積されているメール類を投入位置Pから1通ずつ搬送ボックスBへ投入し、行先別に仕分けることができる。
【0007】
図2は、案内ローラ用レールを模式図的に描いた説明用図面である。Xは環状に設けられた外側の案内ローラ用レールであり、XはXの内側に設けられた案内ローラ用レールである。多数の案内ローラ26、26、・・・はXとXに沿って規制案内される。
1対のXとXの下方に1対のレールXとXが設けられており、レールXはレールXと同形であり、レールXはレールXと同形である(図7参照)。以下、Xを総称してXという。
【0008】
図3は、チェーン本体2とチェーン連結板3を連結して環状に構成したものの一部を示す。図3は4個のチェーン本体2がメール類の投入位置P(図1参照)の前を通過して行く状態を示す。各チェーン本体2には1個の搬送ボックスBが取り付けられている。供給装置の投入位置Pからメール類Mが搬送ボックスBの中に投入される。符号Eは搬送ボックスBの端縁である(図4参照)。図4は、図3において矢印IV方向から視た正面図である。
図5は、図4における矢印V方向から視た側面図である。
図6は図3の拡大図である。チェーン本体2同士はチェーン連結板3によって連結されている。チェーン本体に設けた水平軸21に走行ローラ22、23を取り付け、さらに水平軸21の軸端に駆動ローラ24を取り付ける。
図7は図6において矢印VII方向から視た正面図である。チェーン本体2に設けた垂直軸25に案内ローラ26を取り付ける。案内ローラ26、26、・・・は上方の案内ローラ用レールX及びXに規制案内されて移動する。上方のレールX及びXの下方にも案内ローラ27、27、・・・を案内する案内ローラ用レールX及びXが設けられている。Yは走行ローラ22を支持するレールである。
【0009】
図1におけるA部拡大図に示すとおり、スクリューSにはらせん状の溝が設けてあり、この溝に駆動ローラ24(図6参照)が係合しているので、モータMを起動すると、駆動ローラ24、24、・・・はスクリューSから動力を受け取り、チェーン本体2、2、・・・は環状のレールXに案内されて連続的に回転運動を行う。
供給装置内にはメール類が蓄積されていて、メール類を1通ずつ投入位置Pから各搬送ボックスB内に投入する。各搬送ボックスBには排出機構のラッチL(図5参照)が取り付けられており、ラッチLは読取装置からの信号によって作動(開蓋)されるので、メールは搬送ボックスB、B、・・・の下に設けてある行先別の箱に仕分けされる。(以上に述べた手順を行う仕分装置は従来から知られているものであるから、図面及び文章による説明は省略する。)
【0010】
図8−1〜図8−3は、図2における案内ローラ用レールXのD部を拡大しかつ模式図的に描いた説明用図面である。案内ローラ用レールX(X、X、X、X)には、メール類の投入位置Pに最も近い個所において第1円弧(abc)、第2円弧(cde)、第3円弧(efg)を形成する。このうち最も重要な構成は第2円弧(cde)である。
任意の案内ローラ26がレールXに沿って矢印i方向に移動してレールX上のc点の位置に来たとしよう。そのとき、当該案内ローラ26が取り付けられているチェーン本体2が支持している搬送ボックスBは図8−1において太線で描いたとおりの姿勢になる。このとき、搬送ボックスBの端縁E(図3、図4参照)の位置を第2円弧(cde)の第2中心Oに一致させる。
続いて、当該案内ローラ26が第2円弧(cde)のd点に来たときの搬送ボックスBの姿勢は図8−2に示すとおりである。このときも、搬送ボックスBの端縁Eの位置は第2中心Oに一致している。
さらに、当該案内ローラ26が第2円弧(cde)のe点に来たときの搬送ボックスBの姿勢は、図8−3示すとおり、搬送ボックスBの端縁Eは第2中心Oに一致している。
すなわち、当該案内ローラ26が第2円弧(cde)に沿って移動する期間中、搬送ボックスBの入口は第2中心Oの近傍位置に停止しているから、メール類の投入位置Pから投入されたメール類は確実に搬送ボックスB内に受け取ることができる。
【0011】
案内ローラ用レールXの第2円弧(cde)に隣接して第1円弧(abc)及び第3円弧(efg)を形成し、第1円弧(abc)の第1中心(O)及び第3円弧(efg)の第3中心(O)を案内ロール用レールXのメール類投入位置Pの反対側に位置させることにより、第1円弧(abc)又は第3円弧(efg)に案内されて移動中の搬送ボックスBが第2円弧(cde)においてメール類受取中の搬送ボックスBに衝突するのを防止することができる。(図8−4、図8−5参照)
【0012】
本発明は、第1中心O、第2中心O及び第3中心Oの位置を選定することにより、第1円弧(abc)、第2円弧(cde)及び第3円弧(efg)の曲率半径(r)又は曲率(1/r)を所望の値に設計することができる。
【0013】
図9は本発明の他の実施例である。
図1に示す案内ローラ用レールXはほぼ環状に形成されている。そうすると、メール類の仕分け先の数は搬送ボックスBの数によって限定される。搬送ボックスBの数を増やせば仕分け先の数も増えるのであるから、図9の仕分装置は、案内ローラ用レールXに長い直線部を設けることにより搬送ボックスBの数を増大したものであり、これにより仕分け先の数を飛躍的に増大することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明に係る仕分装置の全体的概略図である。
【図2】 案内ローラ用レールの模式図的説明図である。
【図3】 図4における矢印III方向から視た平面図であり、チェーン本体と搬送ボックスの連鎖の一部を示す。
【図4】 図3における矢印IV方向から視た正面図であり、チェーン本体と搬送ボックスの連鎖の一部を示す。
【図5】 図4における矢印V方向から視た側面図である。
【図6】 図3におけるチェーン本体及びそれに取り付けられたローラの拡大図である。
【図7】 図6における矢印VII方向から視た正面図である。
【図8−1】 図2における案内ローラ用レールのD部を矢印VIII方向に視た平面図を模式図的に描いた説明用図面である。
【図8−2】 図8−1と同じ。
【図8−3】 図8−1と同じ。
【図8−4】 図8−1と同じ。
【図8−5】 図8−1と同じ。
【図9】 本発明の他の実施例である。
【符号の説明】
【0015】
2 チェーン本体
22 走行ローラ
23 走行ローラ
26 案内ローラ
27 案内ローラ
3 チェーン連結板
X 案内ローラ用レール
Y 走行ローラ用レール
abc 第1円弧
cde 第2円弧
efg 第3円弧
第1中心
第2中心
第3中心
P メール類投入位置
B 搬送ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン本体(2)に垂直軸(25)と水平軸(21)を設けて、垂直軸(25)には案内ローラ(26)を取り付け、水平軸(21)には走行ローラ(22)と駆動ローラ(24)を取り付け、メール類の入口と出口を持つ搬送ボックス(B)をチェーン本体(2)に取り付け、各チェーン本体(2)をチェーン連結板(3)で連結し、案内ローラ(26)を規制案内する案内ローラ用レール(X)と走行ローラ(22)を支持する走行ローラ用レール(Y)をフレーム(F)に取り付け、メール類投入位置(P)に最も近い個所における案内ローラ用レール(X)に第2円弧(cde)を形成し、第2円弧(cde)の第2中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)側に位置させ、案内ローラ(26)が第2円弧(cde)のc点、d点、e点を順次通過する期間中、当該案内ローラ(26)を支持するチェーン本体(2)に取り付けた搬送ボックス(B)の入口を第2円弧(cde)の第2中心(O)の近傍においてほぼ停止させることを特徴とする搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置。
【請求項2】
案内ローラ用レール(X)に形成した第3円弧(efg)の第3中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)の反対側に位置させ、搬送ボックス(B)を第2円弧(cde)の第2中心(O)から急速に離脱させることを特徴とする請求項1に記載の搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置。
【請求項3】
案内ローラ用レール(X)に形成した第1円弧(abc)の第1中心(O)を案内ローラ用レール(X)のメール類投入位置(P)の反対側に位置させ、後続の搬送ボックス(B)をメール類投入位置(P)においてほぼ停止している搬送ボックス(B)に衝突しない姿勢に維持することを特徴とする請求項1に記載の搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置。
【請求項4】
第1円弧(abc)の第1中心(O)、第2円弧(cde)の第2中心(O)又は第3円弧(efg)の第3中心(O)の位置を選定することにより、第1円弧(abc)、第2円弧(cde)又は第3円弧(efg)の長さ、曲率(1/r)又は曲率半径(r)を所望の値に設計することができることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送ボックスをレールに沿って移動させる仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【図9】
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