説明

搬送台車装置

【課題】本道から分岐道へのセグメント等の資材運搬を効率よく行える様にした搬送台車を提供する。
【解決手段】本道1に本道レール3が敷設され、前記本道から分岐する分岐道2に分岐道レール4が敷設され、前記本道レールを走行可能な走行台車5と、前記分岐道レールを走行可能で、資材を載置可能な分岐道台車とを具備し、前記走行台車に回転可能にターンテーブル6が設けられ、該ターンテーブルの上面に前記分岐道レールと同レベルで該分岐道レールと連続可能な誘導レール8を設け、該誘導レールに前記分岐道台車を軌乗可能とし、前記走行台車が前記本道レールと前記分岐道との交点に位置した状態で、前記ターンテーブルの回転で前記誘導レールと前記分岐道レールとが連続し、前記誘導レールと前記分岐道レールとの間を前記分岐道台車が乗移り可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内でセグメント、配管、枕木レール等の資材を搬送する搬送台車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル、例えば下水道のトンネルを掘削する場合、シールド掘進機により掘進しつつ、掘削後のトンネル壁面にセグメントを組付けていく。シールド掘進機には通常複数の後続台車が連結される。又セグメント等の資材は搬送台車に積載され、トンネル掘進に必要な資材が搬送台車によって運搬される。搬送台車は、掘削済のトンネルに敷設されたレールに軌乗し、レール上を走行する様になっている。
【0003】
下水道等では、大径のトンネルである本道から小径のトンネルである分岐道が分岐する。本道、分岐道共にセグメント等の資材は搬送台車によって切羽の場所迄運搬されるが、本道及び分岐道は径が異なる為、又搬送台車が走行する軌条のレベルも異なる為、本道用の搬送台車が分岐道に進入することはできない。従って、本道、分岐道それぞれに専用の搬送台車が設けられている。
【0004】
従来では、分岐道に用いられるセグメント等は、本道用の搬送台車により分岐道分岐点迄搬送され、分岐点でホイスト等の荷役機械で、本道用の搬送台車から分岐道用の搬送台車に1つずつ移替えられていた。この為、移替えに時間が掛り、作業能率が悪いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、本道から分岐道へのセグメント等の資材運搬を効率よく行える様にした搬送台車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本道に本道レールが敷設され、前記本道から分岐する分岐道に分岐道レールが敷設され、前記本道レールを走行可能な走行台車と、前記分岐道レールを走行可能で、資材を載置可能な分岐道台車とを具備し、前記走行台車に回転可能にターンテーブルが設けられ、該ターンテーブルの上面に前記分岐道レールと同レベルで該分岐道レールと連続可能な誘導レールを設け、該誘導レールに前記分岐道台車を軌乗可能とし、前記走行台車が前記本道レールと前記分岐道との交点に位置した状態で、前記ターンテーブルの回転で前記誘導レールと前記分岐道レールとが連続し、前記誘導レールと前記分岐道レールとの間を前記分岐道台車が乗移り可能とした搬送台車装置に係るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本道に本道レールが敷設され、前記本道から分岐する分岐道に分岐道レールが敷設され、前記本道レールを走行可能な走行台車と、前記分岐道レールを走行可能で、資材を載置可能な分岐道台車とを具備し、前記走行台車に回転可能にターンテーブルが設けられ、該ターンテーブルの上面に前記分岐道レールと同レベルで該分岐道レールと連続可能な誘導レールを設け、該誘導レールに前記分岐道台車を軌乗可能とし、前記走行台車が前記本道レールと前記分岐道との交点に位置した状態で、前記ターンテーブルの回転で前記誘導レールと前記分岐道レールとが連続し、前記誘導レールと前記分岐道レールとの間を前記分岐道台車が乗移り可能としたので、前記分岐道用セグメントの移替えが必要なく、又レール間のレベル合せも必要なく、単に前記ターンテーブルを回転させるだけで、簡単に、而も円滑に且つ短時間で前記分岐道台車の前記分岐道レールへの乗移りが可能で、作業者の負担が軽減され、作業能率が著しく向上するという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る搬送台車装置の全体を示す平面図である。
【図2】同前搬送台車装置の全体を示す正面図である。
【図3】同前搬送台車装置の斜視図である。
【図4】図1のA−A矢視図である。
【図5】図1のB−B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0010】
先ず、図1、図2に於いて本発明の実施例に係る搬送台車装置の概略を説明する。
【0011】
図中、1は本道、2は分岐道を示し、又3は本道1に敷設された本道レール、4は前記分岐道2に敷設された分岐道レールを示しており、該分岐道レール4は前記分岐道2の始端を超えて前記本道レール3の近傍迄延出している。
【0012】
前記本道レール3に軌乗し、該本道レール3上を走行する走行台車5にターンテーブル6が垂直軸7を中心に回転可能に設けられ、又ターンテーブル6は前記走行台車5に固定可能となっている。該ターンテーブル6上には誘導レール8が前記分岐道レール4と同一レベルとなる様に設けられ、前記誘導レール8は前記分岐道レール4と同一のレール部材が用いられ、同一のレール幅となっている。
【0013】
又、前記誘導レール8は前記ターンテーブル6より延出しており、該ターンテーブル6が90°回転することで、前記分岐道レール4との延長上に位置し、前記分岐道レール4と前記誘導レール8とは連続可能となる。
【0014】
尚、前記誘導レール8が前記分岐道レール4の延長上に合致した場合に、該誘導レール8の先端と前記分岐道レール4の始端間の間隙を少なくする為、前記分岐道レール4の始端、及び前記誘導レール8の先端は、前記垂直軸7を中心とする円弧面となっていることが好ましい。
【0015】
前記誘導レール8上に分岐道台車9が軌乗し、又該分岐道台車9は前記ターンテーブル6に固定可能となっている。尚、図1は、前記分岐道台車9が省略して描かれている。
【0016】
前記分岐道台車9には本道用セグメント、分岐道用セグメント11等の資材を積載可能であり、前記分岐道2に分岐道用セグメント11を運搬する時は、前記ターンテーブル6を前記走行台車5に固定し、前記誘導レール8に前記分岐道台車9を軌乗させ、該分岐道台車9を前記ターンテーブル6に固定し、前記分岐道台車9に分岐道用セグメント11を載置する。
【0017】
前記走行台車5を前記分岐道2の分岐点迄走行させると、前記分岐道台車9と前記走行台車5との固定を解除し、前記ターンテーブル6を回転させ、前記誘導レール8と前記分岐道レール4とを連続状態とする。前記分岐道台車9と前記ターンテーブル6との固定を解除し、前記分岐道台車9を走行させ、前記誘導レール8から前記分岐道レール4に乗移らせる。前記分岐道台車9を前記分岐道レール4上を走行させ、所定の場所迄分岐道用セグメント11を運搬する。
【0018】
而して、分岐道用セグメント11の前記分岐道2への運搬について、分岐道用セグメント11の移替えはなく、前記分岐道台車9を前記誘導レール8から前記分岐道レール4へと、同一軌道上を走行させるだけですむので、短時間で前記分岐道2への運搬が極めて円滑に行え、作業能率は極めてよい。
【0019】
次に、図3〜図5を参照して、前記走行台車5、前記分岐道台車9について説明する。
【0020】
前記走行台車5は台車本体13を具備し、該台車本体13は走行車輪14を介して前記本道レール3に軌乗し、該本道レール3上を走行可能となっている。前記台車本体13上に前記ターンテーブル6が設けられ、該ターンテーブル6の中心から下方に前記垂直軸7が延出し、該垂直軸7は前記台車本体13の中心を貫通し、軸受15を介して回転自在に支持されている。又、前記台車本体13の上面には前記垂直軸7を中心とした円周上にガイドレール16が設けられ、前記ターンテーブル6の下面には前記垂直軸7を中心とした円周上の所要等分した位置、例えば円周6等分の位置にガイドローラ、例えばカムフォロア17が設けられ、該カムフォロア17は前記ガイドレール16上を転動可能となっている。
【0021】
従って、前記ターンテーブル6の垂直荷重は、前記軸受15及び前記カムフォロア17を介して前記台車本体13によって支持され、前記ターンテーブル6は前記垂直軸7を中心として回転自在となっている。
【0022】
又、前記台車本体13の上面には固定ストッパ18が設けられ、前記ターンテーブル6の下面には可動ストッパ19が設けられ、該可動ストッパ19と前記固定ストッパ18とは当接可能となっており、前記ターンテーブル6が前記走行台車5と同じ方向(前記本道レール3と前記誘導レール8とが平行な状態)で前記固定ストッパ18と前記可動ストッパ19とが突当り、或は前記ターンテーブル6が90°回転した状態で前記固定ストッパ18と前記可動ストッパ19とが突当り、或は前記固定ストッパ18が2箇所に設けられ、前記ターンテーブル6が前記走行台車5と同じ方向で、更に前記ターンテーブル6が90°回転した状態で前記固定ストッパ18と前記可動ストッパ19とが突当る様になっている。尚、前記固定ストッパ18は、前記可動ストッパ19が突当った際の衝撃を緩衝する為、ゴム等の緩衝剤が用いられることが好ましい。
【0023】
前記ターンテーブル6と前記台車本体13が同方向、及び90°回転した各位置で、第1ストッパピン21が前記ターンテーブル6と前記台車本体13とをそれぞれ貫通する様に設けられ、該第1ストッパピン21は着脱可能となっている。前記ターンテーブル6と前記台車本体13が同方向、及び90°回転した各位置で前記第1ストッパピン21を貫通させることで前記ターンテーブル6のそれぞれの位置での姿勢が固定できる。
【0024】
上記した様に、前記ターンテーブル6の上面には前記誘導レール8が設けられており、該誘導レール8には車輪23を介して前記分岐道台車9が載置され、該分岐道台車9は前記誘導レール8上を走行可能となっている。該誘導レール8には車止め24が設けられ、該車止め24によって前記分岐道台車9の後退方向の動きが規制される様になっている。
【0025】
前記分岐道台車9の前端、後端にはそれぞれ固定ピン保持部25が設けられており、前記誘導レール8の前端、後端にはそれぞれ固定ピン受け26、前記ターンテーブル6と前記台車本体13とが同方向で、前記固定ピン保持部25と前記固定ピン受け26とを貫通する様に第2ストッパピン27が設けられる。該第2ストッパピン27は着脱可能となっいる。尚、図示では該第2ストッパピン27は前記固定ピン受け26を貫通して、更に、先端部が前記台車本体13と嵌合している。従って、前記第2ストッパピン27は前記ターンテーブル6、前記分岐道台車9を同時に台車本体13に固定している。従って、前記第2ストッパピン27を前記台車本体13に嵌合する場合は、前記第1ストッパピン21を省略することができる。
【0026】
前記分岐道台車9の上面には凹部28が形成されている。該凹部28は等脚台形を倒立させた形状となっており、台形の脚部にはゴム等の高弾性材料のセグメント受け29が設けられている。
【0027】
前記分岐道用セグメント11は、前記凹部28に嵌込む様に載置される。載置された状態では、前記分岐道用セグメント11の円筒曲面が前記セグメント受け29に当接し、前記凹部28の底面とは離反した状態となる。前記セグメント受け29の傾斜と前記分岐道用セグメント11の円筒面との当接による楔効果で前記分岐道用セグメント11は前記分岐道台車9に安定して保持される。
【0028】
前記分岐道台車9が前記台車本体13から前記分岐道レール4に乗移る作動について更に説明する。
【0029】
前記走行台車5の中心、即ち前記垂直軸7が前記本道レール3と前記分岐道レール4との交点に位置する(図1参照)と、前記走行台車5を所要の固定手段(図示せず)で固定し、前記第1ストッパピン21を抜去する。尚、前記第2ストッパピン27が前記台車本体13迄到達している場合は、該第2ストッパピン27も抜去する。
【0030】
前記ターンテーブル6が回転可能となるので、該ターンテーブル6を90°回転させる。前記誘導レール8と前記分岐道レール4とが一直線上となったところで、前記ターンテーブル6を停止し、90°回転の姿勢を保持して前記第2ストッパピン27を抜去し、前記分岐道台車9を前進させれば、該分岐道台車9は前記誘導レール8から前記分岐道レール4へ円滑に乗移り、該分岐道レール4に沿って前記分岐道台車9を走行させることで、前記分岐道用セグメント11を所定の位置迄運搬することができる。
【0031】
分岐道用セグメント11を運搬後の前記分岐道台車9を回収する場合は、前記走行台車5を前記本道レール3と前記分岐道レール4との交点の位置で、前記ターンテーブル6を90°回転させた姿勢で待機し、上記した作動と逆の手順を実行することで、前記分岐道台車9を前記走行台車5上に載置させることができる。
【0032】
上述した様に、分岐道用セグメント11を前記分岐道2内に運搬する場合、前記分岐道用セグメント11の移替えが必要なく、又レール間のレベル合せも必要なく、単に前記ターンテーブル6を回転させるだけで、簡単に、而も円滑に且つ短時間で前記分岐道台車9の前記分岐道レール4への乗移りが可能である。従って、作業者の負担が軽減され、作業能率が著しく向上する。
【0033】
尚、前記分岐道台車9の乗移り作動で、前記ターンテーブル6を90°回転させたが、前記分岐道2が前記本道1に対して90°以外の角度で交差していた場合は、交差角度に合わせて前記ターンテーブル6を回転させることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0034】
1 本道
2 分岐道
3 本道レール
4 分岐道レール
5 走行台車
6 ターンテーブル
7 垂直軸
8 誘導レール
9 分岐道台車
11 分岐道用セグメント
13 台車本体
17 カムフォロア
18 固定ストッパ
19 可動ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本道に本道レールが敷設され、前記本道から分岐する分岐道に分岐道レールが敷設され、前記本道レールを走行可能な走行台車と、前記分岐道レールを走行可能で、資材を載置可能な分岐道台車とを具備し、前記走行台車に回転可能にターンテーブルが設けられ、該ターンテーブルの上面に前記分岐道レールと同レベルで該分岐道レールと連続可能な誘導レールを設け、該誘導レールに前記分岐道台車を軌乗可能とし、前記走行台車が前記本道レールと前記分岐道との交点に位置した状態で、前記ターンテーブルの回転で前記誘導レールと前記分岐道レールとが連続し、前記誘導レールと前記分岐道レールとの間を前記分岐道台車が乗移り可能としたことを特徴とする搬送台車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−162904(P2012−162904A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23524(P2011−23524)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(511033069)キザイ工業株式会社 (1)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【Fターム(参考)】