説明

搬送振り分け装置

【課題】複雑な機構を用いることなく、安定した振り分けが可能で、かつ高速運転を実現することのできる搬送振り分け装置を提供すること。
【解決手段】被搬送物を搬送する第1コンベアと、前記被搬送物を所定のタイミングで自動的に振り分ける第2コンベアと、前記第1コンベアの搬出端と前記第2コンベアの搬入端との継ぎ目に介装する渡り部材と、前記第1コンベア、渡り部材及び第2コンベアの上部にまたがって前記被搬送物を所定の間隔及び所定の速度に搬送するタイミングスクリューと、からなる搬送振り分け装置であって、前記タイミングスクリュー及び第2コンベアの駆動源を同一とし、前記タイミングスクリューの被搬送物搬出タイミングと第2コンベアの振り分けタイミングを同期してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらゆる産業分野において用いられる、搬送振り分け装置に関し、特に、食料品や工業部品などの小型の物品である被搬送物を高速かつ確実に振り分け可能な搬送振り分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振り分け装置への被搬送物の代表的な搬入方法としては、振り分け装置の手前に被搬送物の搬入を遮る壁止めを設け、前記壁止めを周期的あるいはセンサ制御などによって開閉をコントロールし、被搬送物の搬入タイミングを制御している。
【0003】
また、被搬送物を振り分ける代表的な分離方法としては、被搬送物が搬送されるコンベアの側部にプッシャーを設け、当該プッシャーによって被搬送物を選択的に左右に押し出して振り分けている。
【特許文献1】特開2001−048345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の搬送方法、振り分け方法では以下の問題があった。
<1>高速運転が困難である。
壁止めによる搬入タイミングの制御は、被搬送物が相対的に停止している状態から動かすため、必要トルクが大きく搬入精度が低い。当該搬入精度の誤差は、振り分け装置が高速になればなるほど、振り分けタイミングの誤差が大きくなり、作業の安定性に欠ける。
また、プッシャーによる振り分け制御も、被搬送物が押し出される箇所によって、移動位置が定まらないため不安定であり、高速運転には不向きである。
<2>高コスト化、装置全体の複雑化
前記の振り分け作業に用いる案内溝部の選択機構やプッシャー機構は、ゲート等による選別機構や、各種センサなどを使用して行われるのが一般的であり、振り分け装置全体として機構が複雑になるほか、コストも高価で非経済的である。
【0005】
したがって、本発明の目的は複雑な機構を用いることなく、安定した振り分けが可能で、かつ高速運転を実現することのできる搬送振り分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するためになされた本願の第1発明は、被搬送物を搬送する第1コンベアと、前記被搬送物を所定のタイミングで自動的に振り分ける第2コンベアと、前記第1コンベアの搬出端と前記第2コンベアの搬入端との継ぎ目に介装する渡り部材と、前記第1コンベア、渡り部材及び第2コンベアの上部にまたがって前記被搬送物を所定の間隔及び所定の速度に搬送するタイミングスクリューと、からなる搬送振り分け装置であって、前記タイミングスクリュー及び第2コンベアの駆動源を同一とし、前記タイミングスクリューの被搬送物搬出タイミングと第2コンベアの振り分けタイミングを同期してあることを特徴とする、搬送振り分け装置を提供するものである。
また、本願の第2発明は、前記タイミングスクリューは、各被搬送物を1個ずつに分離する入口部と、各被搬送物を所定の間隔に広げると同時に被搬送物の搬送速度を上げる中間部と、各被搬送物を所定の搬送速度で搬出する出口部と、からなり、前記出口部の搬送速度が第2コンベアの被搬送物搬送速度と等速であって、前記出口部が前記第2コンベアと重複した位置に配設してあることを特徴とする、本願の第1発明に記載の搬送振り分け装置を提供するものである。
また、本願の第3発明は、前記出口部が、前記渡り部材と重複した位置にも配設してあることを特徴とする、本願の第1発明又は第2発明に記載の搬送振り分け装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>高速運転が可能。
タイミングスクリューと、第2コンベアの駆動源を同一にすることにより、タイミングスクリューの搬出タイミングと第2コンベアの搬入タイミング(振り分けタイミング)を完全同期させることができる。
また、タイミングスクリューの搬出速度と、第2コンベアの搬入速度とを等速にし、かつラップする部分を設けることにより、被搬送物の受け渡しの際のずれを無くすことができる。
<2>低コストで汎用性が高い。
センサなどの電子機器が不要で、駆動源とタイミングスクリューとの間の回転比と、第2コンベアの振り分けピッチ幅を変更するだけで、搬入速度及び振り分けタイミングを容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0009】
<1>全体構成
本実施例の搬送振り分け装置の振り分け方法は、1列に搬送されてくる被搬送物Wを左右に分岐し、2列に繰り返し振り分ける場合の例である。
図1は、本発明における搬送振り分け装置の機能概略図であり、図2は本発明の搬送振り分け装置の部分詳細図である。
本実施例の搬送振り分け装置は、被搬送物Wを搬送する第1コンベア1と、前記被搬送物Wを所定のタイミングで自動的に振り分ける第2コンベア2と、前記第1コンベアの搬出端と前記第2コンベアの搬入端との継ぎ目に介装する渡り部材3と、前記第1コンベア1、渡り部材3及び第2コンベア2の上側部にまたがって前記被搬送物Wを所定の間隔及び所定の速度に搬送するタイミングスクリュー4と、を少なくとも含んで構成される。以下に各部品を説明する。
【0010】
<2>第1コンベア1
第1コンベア1は、被搬送物Wをタイミングスクリュー4に搬入するために用いられるコンベアで、当該コンベアのプーリ11にはコンベアベルト12が渡設されており、コンベアベルト12は、プーリ11に連繋された駆動モータMの回転駆動力を受けて回転し、一定の速度で図示する矢印方向Aに回動するように構成される。
【0011】
<3>第2コンベア2
第2コンベア2は、一般的な無端コンベアであって、無端コンベアの内側には、被搬送物Wを分岐振り分け方向に案内する案内溝231を有するガイド部材23を有する(図3参照)。
駆動チェーン車との回転を伝導する展張チェーン(図示せず)に多数の平行板21が嵌め込まれており、前記平行板21には当該平行板21の長手方向(左右方向)に沿って摺動可能な搬送板22を設けてあり、前記搬送板22の上に被搬送物Wが載置されて振り分け搬送可能に構成される。
【0012】
また、前記搬送板22の下部にはピン、ベアリングなどの突出部221を設け、当該突出部221が、前記ガイド部材23の案内溝231に係合或いは摺動して、搬送板22の左右方向への移動を可能とする。
【0013】
前記ガイド部材23の案内溝231は、振り分ける列の数だけ分離独立して設けてある。したがって、被搬送物Wの振り分け前には互いの案内溝231が接近した状態であり、次第に互いの案内溝231が離れることにより、搬送板22が左右方向に移動し、被搬送物Wの振り分けを実行する。本実施例においては、搬送板22を4枚ごとに突出部221の位置を切り替えて並べることにより、周期的に被搬送物Wを振り分けている。
【0014】
なお、同じ位置に突出部221を設けた搬送板22を連続的に配置することにより、被搬送物Wの全長の変化に対応可能である。
【0015】
以上第2コンベア2の往路について説明したが、第2コンベア2の復路については、搬送板22が一列上に並ぶ位置に復元するように案内溝231が形成されていることは言うまでもない。
【0016】
本実施例における第2コンベア2は、センサなどによって搬送板22の振り分け方向を制御するものではなく、突出部221が異なる位置に取り付けられた搬送板22を並べる順番を予め特定しておくことによって強制的に振り分け作業を実行するものである。
【0017】
<4>タイミングスクリュー4
タイミングスクリュー4は、不規則に離間した状態あるいは互いに密接した状態で搬送されてくる複数の被搬送物Wを所定の間隔に整列させると同時に、所定の速度で搬出するように制御可能な部材である。
【0018】
タイミングスクリュー4の駆動源は、周知の伝動機構7を用いて、第2コンベア2を駆動する駆動モータMから得るように構成し、伝動機構7のギヤ比とタイミングスクリューと搬送板の初期位置をあらかじめ調整しておき、タイミングスクリュー4からの被搬送物Wの搬出タイミングと、第2コンベア2の搬送板22の振り分けタイミングを完全に同期させる。
【0019】
本実施例のタイミングスクリュー4では、被搬送物Wをねじ溝で噛み合わせて各1個ずつに分離する入口部41と、前記入口部41において分離された各被搬送物Wを所定の間隔に広げつつ被搬送物Wの速度を上げる中間部42と、中間部42での最終ピッチを保持するように形成し、各被搬送物を等速及び等間隔で次工程に搬出する出口部43の3箇所に便宜上区分けする。
【0020】
前記出口部43は、同一のピッチ幅を複数設けるように構成することが望ましい。
【0021】
タイミングスクリュー4は、前記第1コンベア1、渡り部材3及び第2コンベア2の上部にまたがる位置に取り付け、出口部43が第2コンベア2の搬送路と重複する位置に配設する。
なお、本実施例においては、同一のタイミングスクリュー4を前記第1コンベア1、渡り部材3及び第2コンベア2の上側部に2箇所設け、被搬送物Wを左右側面から把持してより安定性の向上を図っている。
【0022】
また、前記出口部43を、第2コンベア2の搬送路に重複する位置に配設するだけでなく、前記渡り部材3とも重複する位置に配設してもよい。被搬送物Wの渡り部材3上の搬送速度を等速にすることにより、コンベア間の載せかえをより安定させることができる。
【0023】
なお、渡り部材3は、渡り板やコロなどその他種々の部材を使用することができ、安定して被搬送物を搬送できる部材であればよく、特に限定するものではない。
【0024】
次に、本発明の振り分け装置が稼働したときの被搬送物Wの搬送状態を説明する。
【0025】
<1>第1コンベア上の搬送
第1コンベア1から連続的に搬送されてくる被搬送物Wは、タイミングスクリュー4のねじ溝に噛み合うまでわずかな時間停止する。この停止時間によって被搬送物Wはタイミングスクリュー4の手前で密接状態で滞留しつつ、第1コンベア1の搬送速度より遅い速度で前進することになる。
【0026】
<2>タイミングスクリュー上の搬送
前記入口部41では、被搬送物Wをねじ溝で噛み合わせて各1個ずつに分離する。前記中間部42では、ピッチ(スクリュー1回転における被搬送物の移動距離)を上昇させて、被搬送物Wの移動速度と第2コンベア2の搬送速度を等速にする。出口部43は中間部42の最終ピッチを保持するように形成されているため、被搬送物Wの移動速度は、第2コンベア2の搬送速度と等速に保持される。
【0027】
<2>タイミングスクリューから第2コンベアへの載せかえ
タイミングスクリュー4と、第2コンベア2とは同一の駆動源である駆動モータMを使用し、かつ伝動機構7のギヤ比とタイミングスクリュー4及び搬送板22の初期位置とがあらかじめ調整されているため、タイミングスクリュー4からの被搬送物Wの搬出タイミングと、第2コンベア2の搬送板22の移動が完全に同期しており、常に決まったタイミングで被搬送物Wが搬送板22に載せかえられる。
タイミングスクリュー4と第2コンベア2の回転数は比例関係にあるため、駆動モータMの回転数の変化によって、タイミングスクリュー4と第2コンベア2間の同期は崩れることがなく、高速運転においても安定した振り分け作業が実現できる。
【0028】
また、駆動源とタイミングスクリューとの間の回転比と、第2コンベアの振り分けピッチ幅を変更するだけで、搬入速度及び振り分けタイミングを容易に変更することができ、汎用性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の搬送振り分け装置の機能概略図。
【図2】本発明の搬送振り分け装置の部分詳細図。
【図3】本発明の搬送板の案内構造を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 第1コンベア
11 プーリ
12 コンベアベルト
2 第2コンベア
21 平行板
22 搬送板
221 突出部
23 ガイド部材
231 案内溝
3 渡り部材
4 タイミングスクリュー
41 入口部
42 中間部
43 出口部
7 伝動機構
W 被搬送物
M 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送する第1コンベアと、前記被搬送物を所定のタイミングで自動的に振り分ける第2コンベアと、前記第1コンベアの搬出端と前記第2コンベアの搬入端との継ぎ目に介装する渡り部材と、前記第1コンベア、渡り部材及び第2コンベアの上部にまたがって前記被搬送物を所定の間隔及び所定の速度に搬送するタイミングスクリューと、からなる搬送振り分け装置であって、
前記タイミングスクリュー及び第2コンベアの駆動源を同一とし、
前記タイミングスクリューの被搬送物搬出タイミングと第2コンベアの振り分けタイミングを同期してあることを特徴とする、
搬送振り分け装置。
【請求項2】
前記タイミングスクリューは、各被搬送物を1個ずつに分離する入口部と、各被搬送物を所定の間隔に広げると同時に被搬送物の搬送速度を上げる中間部と、各被搬送物を所定の搬送速度で搬出する出口部と、からなり、前記出口部の搬送速度が第2コンベアの被搬送物搬送速度と等速であって、前記出口部が前記第2コンベアと重複した位置に配設してあることを特徴とする、請求項1に記載の搬送振り分け装置。
【請求項3】
前記出口部が、前記渡り部材と重複した位置にも配設してあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の搬送振り分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−106582(P2007−106582A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301721(P2005−301721)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000189844)植原樹脂工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】