説明

搬送波型動ひずみ測定器

【課題】 測定ブリッジの4辺に含まれる浮遊容量による不平衡成分を自動的に常時打消し、測定ブリッジを形成するひずみゲージに応じた抵抗値変化に伴う実際の抵抗成分を精度よく測定する。
【解決手段】 搬送波型動ひずみ測定器は、測定ブリッジ11と、搬送波増幅回路21a、21bと、抵抗分位相検波回路22と、位相のずれを補償量に変換する第1および第2の容量分打消し駆動回路24a、24bと、位相のずれの基準となる基準電圧を容量分打消し駆動回路24a、24bにそれぞれ供給する第1および第2の移相回路25a、25bと、搬送波を生成する発振回路26と、を備える。さらに、帰還用の第1および第2のコンデンサCb,Cdを備え、該コンデンサCb、Cdの作用により、測定ブリッジ11の4辺の各々の抵抗に並列的に混入する浮遊容量(Cu1〜Cu4)による不平衡成分を全て自動的に打ち消す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送波型動ひずみ測定器に係り、より詳しくは、電源ノイズの影響を阻止しつつ、測定ブリッジを構成するひずみゲージの4辺(抵抗)のうち、1辺乃至4辺の各々に並列的に発生する浮遊容量成分による容量不均衡成分を、常に自動的に、全て打消すことができる搬送波型動ひずみ測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ひずみゲージを使用した応力測定には、搬送波型動ひずみ測定器が多用されている。その理由は、電源などのハムノイズに原理的に強く、また、測定ブリッジまでの接続配線に接点などを使用しても熱起電力に影響されず、高精度の測定ができるからである。
また、ひずみゲージを使用して応力測定をする場合、ひずみゲージは、小型、軽量であり、測定対象物に殆ど影響を与えないことが最大の特徴である。
一般に、測定点からひずみ測定器まで入力ケーブルを延長する必要があるが、搬送波型動ひずみ測定器を使用する場合、前記入力ケーブルによる分布容量(浮遊容量とも称される)が生じる。
前記分布容量は、測定ブリッジの抵抗値の初期不平衡値と共に、容量分の初期不平衡値として現れる。ひずみゲージの抵抗変化分は測定に必要なものであるが、容量分は、正確な測定を妨げる要因(測定精度阻害要因)となる。
この容量分に関しては、入力ケーブルの長さ、周囲の温度、湿度などの環境で常時変化する。
ここで、容量不平衡成分がいかに正確な測定を得ることの阻害となるかについて、図18(a)、図18(b)を用いて説明する。
【0003】
図18(a)は、一般的な搬送波型動ひずみ測定器において、ひずみ測定器からホイートストンブリッジ回路構成の測定ブリッジに至るまでの回路構成を図式化した説明図であり、図18(b)は、図18(a)の等価回路図である。
図18(a)において、搬送波型動ひずみ測定器83に、測定ブリッジ81の固定抵抗R1,R2,R3およびひずみゲージR4(測定箇所の抵抗)で構成されるホイートストンブリッジ回路を、入力ケーブル82で接続した状態を示すものである。ホイートストンブリッジ回路構成の測定ブリッジ81には、小型、軽量であって、測定対象物の変形に殆ど影響を与えないひずみゲージR4が使用されるが、入力ケーブル82には、分布容量(浮遊容量とも称される)が生じる。この分布容量は、固定抵抗R1,R2,R3およびひずみゲージR4からなる測定ブリッジ81の出力中に、初期不平衡値と共に、容量分の不平衡値としても現れる。このひずみゲージR4の抵抗変化分は測定に必要なものであるが、容量分およびその変化は、上述したように、正確な測定を妨げる要因(測定精度阻害要因)となる。
【0004】
以下、この測定精度阻害要因についてさらに詳しく分析する。
図18(a)に示すひずみ測定器83からホイートストンブリッジ回路構成の測定ブリッジ81までの間の回路構成では、入力ケーブル82が介在することにより、測定ブリッジ81の各辺と接地(GND)との間にC分が存在する。
測定ブリッジ81の4辺の抵抗は、R1〜R4とし、該4辺のC分をC1〜C4とすると図18(b)のような等価回路となる。さらに、測定ブリッジ81の4辺は、抵抗値Rとし、4辺の容量の不平衡分を容量値Caとし、GNDとの間のC分を容量値Cgとすると、図19に示すような等価回路となる。但し、図19に示す等価回路では、A−C間に搬送波電圧Eを印加し、測定ブリッジ81の出力電圧をEoutとしている。
以下の説明では、GNDとの間のC分(即ちCg)は、GNDとの絶縁が十分であれば、Cgは、無視することができる。
搬送波電圧Eの角周波数をωとすると、図19に示す等価回路の出力電圧Eoutは、(1)式で示される。
【0005】
【数1】

また、ひずみ量をεとし、ゲージ率をKsとすると、1枚ゲージである場合の等価ブリッジの出力電圧Eoutは、(2)式で示される。
【0006】
【数2】

(1)式および(2)式から(3)式が得られる。
【0007】
【数3】

ゲージ率Ks=2.00として、(3)式をひずみ量εに関して解くと、(4)式を得る。
【0008】
【数4】

さらに、(4)式を実数部と虚数部とに分けると、(5)式に変形される。
【0009】
【数5】

(5)式において、aを(6)式、bを(7)式と置くと、(8)式を得る。
【0010】
【数6】

【0011】
【数7】

【0012】
【数8】

但し、(8)式において、cosθ、sinθおよびzは、それぞれ(9)式で示される。
【0013】
【数9】

(8)式は、位相のずれた正弦波の合成波形の式となることを示している。
【0014】
以下、等価ブリッジのC分の不平衡分(容量値Ca)と、ひずみ量εとの関係を説明する。
図20は、ひずみゲージの抵抗値が120Ωの場合と350Ωの場合において、それぞれ容量値Caと、ひずみεとの関係を(5)式と(8)式とから求めてグラフで示したグラフ図である。
図20に示すグラフからは、測定ブリッジのC分の不平衡分(容量値Ca)が2000〔PF〕のとき、ひずみゲージの抵抗値が120Ωの場合は約4000〔μ〕のひずみが測定値として出力されるのに対し、ひずみゲージの抵抗値が350Ωの場合には約11000〔μ〕ものひずみが測定値として出力されることが理解される。
このように、容量分に関しては、入力ケーブルの長さ、周囲の温度、湿度の他、ひずみゲージの抵抗値によっても大きな影響を受けることが明らかとなった。
ところで、測定ブリッジに容量不平衡分が発生してもそれを打消し得る搬送波型のひずみ測定器として、本件出願人は、特許文献1(特公平2−16441号公報)に記載のひずみ増幅器を先に提案した。
この特許文献1の正弦波搬送波方式のひずみ増幅器は、検出部ブリッジの出力側に該検出部ブリッジの容量変化分に対応する出力成分を抽出する回路と、この回路の出力振幅でブリッジ電源から得た電圧を制御しコンデンサを介して前記検出部ブリッジに帰還する回路とを設け、前記検出部ブリッジに容量Cが混入したとき、
【0015】
【数10】

なる電圧を前記コンデンサに与える構成とし、検出部ブリッジに容量不平衡分が発生してもそれを完全に打消すことができるようにしたものである。
また、抵抗式ひずみゲージを含むブリッジ回路の初期不平衡の影響を補償しつつ、ブリッジ回路とひずみ測定器との間の接続線間の浮遊容量などによる位相のずれの影響を補償し、ひずみゲージのひずみに応じた抵抗値変化に伴う実際の抵抗成分を検波するようにした発明として特許文献2(特開2005−195509号公報)に記載されたものがある。
【0016】
この特許文献2に係る発明は、抵抗式ひずみゲージを含むブリッジ回路に交流電源電圧を付与しつつ、該ブリッジ回路の出力電圧信号を交流増幅器に入力して増幅すると共に、該交流増幅器の出力電圧信号から、前記交流電源電圧に対して所定の位相関係を有する信号成分を前記ブリッジ回路の抵抗値変化に応じた抵抗成分として検波し、その検波した抵抗成分から前記ひずみゲージのひずみ値に応じたひずみ測定信号を生成するようにした搬送波型ひずみ測定方法において、
前記ひずみゲージの無ひずみ状態での前記ブリッジ回路の出力電圧信号を前記交流増幅器に入力しつつ、該交流増幅器の出力電圧信号の抵抗成分と該抵抗成分に対して90°の位相差を有する容量成分とが零になるように該交流増幅器に付加的に入力する初期不平衡補償信号を決定する初期不平衡調整ステップと、
この初期不平衡補償信号の決定後に、前記ブリッジ回路に固定抵抗値の抵抗体を接続して、該ブリッジ回路の出力電圧信号と前記初期不平衡補償信号とを前記交流増幅器に入力しつつ、前記交流増幅器の出力電圧信号の前記交流電源電圧に対する位相のずれ量を決定する位相ずれ決定ステップとを備え、
この位相ずれの決定後に、前記固定抵抗値の抵抗体を前記ブリッジ回路から切り離してひずみ測定を行う時に、前記交流増幅器の出力電圧信号のうち、前記位相ずれ決定ステップで決定したずれ量だけ前記交流電源電圧に対して位相差を有する信号成分を前記ブリッジ回路の抵抗値変化に応じた抵抗成分として検波するようにした搬送波型ひずみ測定方法を提案するものである。
【0017】
さらに、本件出願人は、測定ブリッジに容量不平衡分が発生してもそれを打消し得る搬送波型のひずみ測定器として、特許文献3(特開2010−266408号公報)に記載の正弦波搬送波方式のひずみ測定装置を先に提案している。
この正弦波搬送波方式のひずみ測定装置は、使用回路は、環境問題にも配慮したRoHS対応部品で構成し、電源ノイズの低減を図りつつ、浮遊容量などによる不平衡成分を自動的に常時打消し、測定ブリッジに含まれるひずみゲージに応じた抵抗値変化に伴う実際の抵抗成分を精度よく測定する技術である。具体的には、搬送波型動ひずみ測定装置は、測定ブリッジと、該ブリッジの出力を入力する入力トランスと、該ブリッジの出力を帰還された補償量で補正する打消し回路と、1次側電源回路とを含む1次側の回路系統と、該測定ブリッジの出力から前記補償量を作り出す搬送波増幅回路と、容量分位相検波回路と、容量分打消し駆動回路と、搬送波発振回路および2次側電源とを含む2次側の回路系統とに分けて構成されている。1次側の回路系統と2次側の回路系統とは、磁気的な結合手段と、光学的な結合手段である光信号伝達手段とを介してのみ結合され、電気的な接続部分は有しないことを特徴としている。
【0018】
測定用ブリッジには抵抗値の初期不平衡分と共に、このC分の初期不平衡値(アンバランス値)が現れる。ひずみゲージの抵抗変化分は測定に必要なものであるが、C分は測定に不必要なものである。このC分はケーブルの長さや材質により変わり、周囲の温度、湿度などの環境で変化する。従来、これが測定器の安定性の低下の原因となっていた。
この変化分を測定に影響しないようにすることができれば、高精度なひずみ測定が可能となる。そこで、このC分を常に検知し、その分量を打消し、自動追尾して安定度を高める測定方式として、いわゆるCST方式(Capacitance Self Tracing)が提案されている。この方式では、測定用ブリッジの隣り合う2辺にC分が入っても、零点が変化しないので、安定度が向上する。
そこで本発明に際しての課題は、隣り合う辺だけではなく、それぞれの対辺にC分が入っても零点が変化しないCST方式の動ひずみ測定器を提供することにあった。つまり、測定ブリッジの4辺のどこにC分が入っても零点に影響しない測定方法が必要とされた。
ひずみゲージを使用した応力測定には、搬送波型動ひずみ測定器が多く使用される。その理由は測定現場において、外乱ノイズや電源ノイズにあまり影響されずに測定ができるからである。
ひずみゲージは、小型、軽量で測定対象物にほとんど影響しないが、使用するゲージと測定器までの間を入力ケーブルで接続する必要がある。このゲージと測定器を接続する方法には種々の方法が考えられる。使用ゲージの枚数や測定場所により、ケーブルの長さや配線ルートが変わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特公平2−16441号公報
【特許文献2】特開2005−195509号公報
【特許文献3】特開2010−266408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記特許文献1におけるひずみ増幅器では、測定ブリッジや該測定ブリッジに発生する容量成分を打消す容量分打消し回路や1次側電源回路等の1次側回路部分と、搬送波増幅回路、容量分位相検波回路、搬送波発振回路および2次側電源等の回路部分とが、直接電気的に接続されているため電源ノイズがひずみ測定値に影響を与え、S/N比が充分とはいえず、さらに高精度での測定の実現が望まれている。
また、特許文献1(特公平2−16441号公報)においては、虚数項検波回路の出力を、ローパスフィルタを介して振幅制御回路に与えて打消し回路を制御するように構成されており、該振幅制御回路は、ローパスフィルタから得られた信号に応じて発光ダイオードを駆動する回路であり、打消し回路は、抵抗と発光ダイオードからの入射光により抵抗値が変化する、例えば、Cdsセル等のような受光素子との直列回路の両端をブリッジ電源に接続し、前記直列回路の接続点からとり出した信号を増幅器を介して前記コンデンサCoに与えるように構成されている。
しかしながら、打消し回路に含まれるCdsは、RoHS(Restriction of Hazardous Substances:危険物質に関する制限の頭文字をとったもの)、即ち「電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合による指令」において規制物質に指定されているカドミウムを含有している。
【0021】
カドミウムは、腎臓に対して、機能障害を起こす恐れがある危険物質であり、100ppm以下(2007年7月現在)に規制されているため、光電変換素子としてCdsを使用することに問題がある。
また、特許文献2(特開2005−195509号公報)においても、測定ブリッジが含まれる1次側回路部分と、搬送波発振回路、搬送波増幅回路、90°位相検波回路、90°位相バランス回路およびこれら回路部分に電源を供給する電源等が電気的に接続されているため、上述したように、電源ノイズが、ひずみ測定値に混入し測定精度を低下させる、という問題点がある。
しかしながら、特許文献3(特開2010−266408号公報)に記載の正弦波搬送波方式のひずみ測定装置にあっては、測定ブリッジを構成するひずみゲージの4辺(抵抗)に各々並列に発生する浮遊容量による不均衡までは消すことができない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、使用回路は、環境問題にも配慮したRoHS対応部品で構成し、電源ノイズの低減を図りつつ、測定ブリッジとひずみ測定回路との間の接続線間の浮遊容量などによる不平衡成分を自動的に打消し、測定ブリッジに含まれるひずみゲージに応じた抵抗値変化に伴う実際の抵抗成分を精度よく測定し得る搬送波型動ひずみ測定器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に記載した発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、上記の目的を達成するために、
搬送波型動ひずみ測定器において、
ひずみゲージを含む測定ブリッジと、
前記測定ブリッジに印加される搬送波に重畳された測定信号を増幅する搬送波増幅回路と、
前記搬送波増幅回路の出力を受けて前記測定ブリッジの容量変化分に対応する不平衡成分を抽出し、前記不平衡成分に対応した補償量の信号を出力する容量分位相検波回路と、
前記容量分位相検波回路の出力を受けて前記測定ブリッジに発生する容量成分による不平衡成分を自動的に打消す2系統の容量分打消し駆動回路と、
前記測定ブリッジの抵抗の不平衡分を抽出して、搬送波成分を除去する抵抗分位相検波回路と、
位相のずれの基準となる基準電圧を前記容量分位相検波回路に供給する移相回路と、
前記測定ブリッジに印加する搬送波を発生する搬送波発振回路と、
前記測定ブリッジの2つの出力端子と、前記2系統の容量分打消し駆動回路との間にそれぞれ接続された2系統の帰還用のコンデンサと、を備え、
前記測定ブリッジの4辺の1辺乃至はすべての辺の抵抗に並列的に混入する浮遊容量成分による不平衡成分を前記2系統の容量打消し駆動回路から前記2系統の帰還用コンデンサに逆位相の電圧を印加することにより自動的に打ち消すように構成したことを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載した発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、上記の目的を達成するために、
前記測定ブリッジの一方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu1およびCu2とし、前記測定ブリッジの他方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu3およびCu4とし、
前記帰還用の第1コンデンサおよび第2のコンデンサをCbおよびCdとし、 前記測定ブリッジの入力端に印加される搬送波電圧をEとし、
前記測定ブリッジを形成する抵抗成分が平衡している場合において、下記[数1]式によって求められる打消し電圧Vbcおよび下記[数2]式によって求められる打消し電圧Vdc:
【0024】
【数11】

【0025】
【数12】

を、前記測定ブリッジの一方の出力端および他方の出力端に、それぞれ印加するように構成したことを特徴としている。
【0026】
請求項3に記載した発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、上記の目的を達成するために、前記帰還用コンデンサが、所定の複数の容量値のうち、いずれかを選択して設定することが可能なコンデンサであることを特徴としている。
請求項4に記載した発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、上記の目的を達成するために、2次側の各回路に電力を供給する2次側電源と、前記2次側電源から電力トランスを介して電力を受けて1次側の各回路に電力を供給する1次側電源回路とをさらに備えると共に、前記搬送波発振回路の出力を、結合トランスを介して測定ブリッジに印加する構成としたことを特徴としている。
請求項5に記載した発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、上記の目的を達成するために、前記1次側の回路と前記2次側の回路との間に、少なくとも1つの発光ダイオードと、これと対峙するように配置された受光ダイオードからなる光信号伝達手段とをさらに備え、前記測定ブリッジ、前記容量分打消し回路、前記受光ダイオードおよび前記1次側電源回路は、前記搬送波増幅回路、前記容量分位相検波回路、前記容量分打消し駆動回路、前記発光ダイオード、前記搬送波発振回路および前記2次側電源に対し、前記入力トランス、前記光信号伝達手段、前記結合トランスおよび前記電力トランスからなる電磁的手段および前記光信号伝達手段により接続され、電気的には絶縁された状態で接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の請求項1の搬送波型動ひずみ測定器によれば、
搬送波型動ひずみ測定器において、
ひずみゲージを含む測定ブリッジと、
前記測定ブリッジに印加される搬送波に重畳された測定信号を増幅する搬送波増幅回路と、
前記搬送波増幅回路の出力を受けて前記測定ブリッジの容量変化分に対応する不平衡成分を抽出し、前記不平衡成分に対応した補償量の信号を出力する容量分位相検波回路と、
前記容量分位相検波回路の出力を受けて前記測定ブリッジに発生する容量成分による不平衡成分を自動的に打消す2系統の第1および第2の容量分打消し駆動回路と、
前記測定ブリッジの抵抗の不平衡分を抽出して、搬送波成分を除去する抵抗分位相検波回路と、
位相のずれの基準となる基準電圧を前記容量分位相検波回路に供給する移相回路と、
前記測定ブリッジに印加する搬送波を発生する搬送波発振回路と、
前記測定ブリッジの2つの出力端子と、前記2系統の前記第1および第2の容量分打消し駆動回路との間にそれぞれ接続された2系統の帰還用の第1および第2のコンデンサと、を備え、
前記測定ブリッジの4辺の1辺乃至はすべての辺の抵抗に並列的に混入する浮遊容量成分による不平衡成分を打消す打消し電圧を前記2系統の前記第1および第2の容量打消し駆動回路から前記第1および第2の帰還用コンデンサを介して前記測定ブリッジの各出力端子にそれぞれ印加することにより前記容量による不平衡成分を自動的に打ち消すように構成したので、測定ブリッジを構成するひずみゲージの4辺(抵抗)の各々に並列に発生する浮遊容量成分による不均衡成分を、常に自動的に、全て打消すことができる。
【0028】
本発明の請求項2の搬送波型動ひずみ測定器によれば、前記測定ブリッジの一方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu1およびCu2とし、前記測定ブリッジの他方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu3およびCu4とし、
前記帰還用の第1コンデンサおよび第2のコンデンサをCbおよびCdとし、 前記測定ブリッジの入力端に印加される搬送波電圧をEとし、
前記測定ブリッジを形成する抵抗成分が平衡している場合において、下記[数1]式によって求められる打消し電圧Vbcおよび下記[数2]式によって求められる打消し電圧Vdc:
【0029】
【数13】

【0030】
【数14】

を、前記測定ブリッジの一方の出力端および他方の出力端に、それぞれ印加するように構成したので、測定ブリッジを構成するひずみゲージ(抵抗)の1辺乃至4辺のすべてに含まれる浮遊量成分による不均衡成分を、常に自動的に、全て打消すことができる。
【0031】
本発明の請求項3の搬送波型動ひずみ測定器によれば、前記帰還用コンデンサが、所定の複数の容量値のうち、いずれかを選択して設定することが可能なコンデンサであるとしたので、予め測定された前記浮遊容量成分による不均衡成分を広範囲打ち消すことができる容量値を選択して設定することが可能となる。
本発明の請求項4の搬送波型動ひずみ測定器によれば、
2次側の各回路に電力を供給する2次側電源と、前記2次側電源から電力トランスを介して電力を受けて1次側の各回路に電力を供給する1次側電源回路とをさらに備えると共に、前記搬送波発振回路の出力を、結合トランスを介して測定ブリッジに印加する構成としたので、1次側と2次側とを電気的に絶縁された状態で接続することができる。
本発明の請求項5の搬送波型動ひずみ測定器によれば、
前記1次側の回路と前記2次側の回路との間に、少なくとも1つの発光ダイオードと、これと対峙するように配置された受光ダイオードからなる光信号伝達手段とをさらに備えたので、前記測定ブリッジ、前記容量分打消し回路、前記受光ダイオードおよび前記1次側電源回路は、前記搬送波増幅回路、前記容量分位相検波回路、前記容量分打消し駆動回路、前記発光ダイオード、前記搬送波発振回路および前記2次側電源に対し、前記入力トランス、前記光信号伝達手段、前記結合トランスおよび前記電力トランスからなる電磁的手段および前記光信号伝達手段により接続され、電気的には絶縁された状態で接続される効果が有る。
さらには、測定ブリッジが出力側(2次側)と絶縁されていることによる電源ノイズの低減と高電位な場所でのひずみ測定を可能としつつ、併せて、測定ブリッジに生じる容量不平衡分を常時完全に打消すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の主要部の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す本発明の第1の実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の基本構成として一系統のみの詳細構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器における打消し回路からの出力電圧(補償量)を、帰還するための回路構成の1例を示す回路図である。
【図4】測定ブリッジと測定器と入力ケーブルとを接続する回路を示す回路図であり、図4(a)は、測定ブリッジと測定器と入力ケーブルとの接続を示し、図4(b)は、ゲージ抵抗R1と並列にC分(浮遊容量Cu1)が生じている場合の、その等価回路を示すものである。
【図5】C分(浮遊容量Cu1)(横軸)の容量を変化させた場合の出力振幅値を、実測値と計算値とで比較した結果を示すグラフ図である。
【図6】図6(a)、(b)は、C分を打消す波形をVbcとしてそれぞれB点に印加する場合の等価回路を示す。
【図7】R分がバランスしている場合の打消し波形(電圧)Vbcを示す算式の検証に使用した回路のブロック構成図である。
【図8】図7に示す回路におけるC分によって出力するひずみ量(=出力電圧Eout)とCST方式を適用していない場合との比較データを示すグラフ図である。
【図9】測定ブリッジのAB辺とBC辺の対辺であるCD辺とAD辺に、C分として浮遊容量Cu3と浮遊容量Cu4とが混入した場合の測定ブリッジの等価回路を示す。
【図10】図9と(25)式に示すCu3、Cu4を変化させた場合のEout(ひずみ量)の計算値と実験値との比較データを示すグラフ図である。
【図11】測定ブリッジの4辺にC分が混入した場合の打消し方法を説明するための等価回路の回路図である。
【図12】図11に示す等価回路を分解した第1の回路の回路図である。
【図13】図11に示す等価回路を分解した他の第2の回路の回路図である。
【図14】図11に示す等価回路を分解したさらに他の第3の回路の回路図である。
【図15】図11に示す等価回路を分解した他の第4の回路の回路図である。
【図16】(a)、(b)は、測定ブリッジとして120Ωの抵抗を用いた場合の測定ブリッジの各辺に、C分として、0から約2000pFまでを加えて測定した零点変化のグラフを示す特性図である。
【図17】(a)、(b)は、測定ブリッジとして350Ωの抵抗を用いた場合の測定ブリッジの各辺にC分として0から約2000pFまでを加えて測定した零点変化の特性図を示す。
【図18】(a)は、一般的な搬送波型動ひずみ測定器において、ひずみ測定器からホイートストンブリッジ回路構成の測定ブリッジに至るまでの回路構成を図式化した説明図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
【図19】ホイートストンブリッジ回路構成で、容量分を含んだ等価回路である。
【図20】ひずみゲージの抵抗値が120Ωの場合と350Ωの場合で搬送波周波数5KHzを使用したときのそれぞれの容量値ΔCと、ひずみ量εとの関係を示したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係る搬送波型動ひずみ測定器は、2系統(但し部分的に1系統としたものも含む)のCST(Capacitance Self Tracing)方式回路を備え、測定ブリッジ4辺のどこにC分が入っても零点の変動を無くすことができる。
以下、本発明の搬送波型動ひずみ測定器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の主要部の回路構成を示す回路図である。
同図に示す本実施形態の搬送波型動ひずみ測定器の回路は、独立したCST回路を2系統設けて、測定ブリッジのB点とD点に帰還用のキャパシタンスCb、Cdを接続し、それぞれ隣辺のC分を打消すようにした回路である。
第1の本実施の形態の搬送波型動ひずみ測定器の回路は、より具体的には、図1に示すひずみゲージをもって構成されたホイートストンブリッジ回路(以下、「測定ブリッジ」と略称する)11と、測定ブリッジ11の出力電圧(B−D間の電圧)を搬送波出力として増幅する搬送波増幅回路21a、21bと、搬送波出力のうち、抵抗の不平衡分(上記(5)式の実数項分)を抽出し、さらに、搬送波成分を除去する抵抗分位相検波回路22と、容量分の不平衡成分による位相のずれを補償量に変換する容量分打消し駆動回路24a、24bと、容量分の不平衡成分による位相のずれの基準となる基準電圧(搬送波と位相が90度ずれた電圧波形)を容量分打消し駆動回路24a、24bに供給する移相回路25a、25bと、測定ブリッジ11に入力する搬送波(例えば、5kHz〜28kHz)を出力する搬送波発振回路としての発振回路26と、を備える。
【0034】
この他に、図1には図示していないが、図2に示すように、搬送波電力の励振電力として電力トランス20(1次コイル)に供給するパワーアンプ27と、測定ブリッジ11の各端子と接地との間に生じる浮遊容量分の不平衡成分による位相のずれを補償量に変換する容量分位相検波回路23、光信号伝達手段13等を備えることができる。
尚、上述した第1の実施の形態においては、CST回路を構成する回路のうち、搬送波増幅回路21a、21bと、容量分打消し駆動回路24a、24bのうち、後述する容量分位相検波回路23と、移相回路25a、25bを、それぞれ2系統用いる構成として示してあるが、必ずしも2系統用いることなく、これらの各回路は、1系統用いる構成とすることができる。
また、本発明に特徴的な構成として、測定ブリッジ11の一方の出力端子Bと第1の容量分打消し駆動回路24aの1系統分との間には帰還用の第1のコンデンサCbを接続し、測定ブリッジ11の他方の出力端子Dと第2の容量分打消し駆動回路24の他の1系統分との間には帰還用の第2のコンデンサCdを接続している。
この帰還用の第1、第2のコンデンサCb,Cdは、所定の複数の容量値のうち、後述するいずれかを選択して設定することが可能なコンデンサを用いることができる。第1、第2のこれらのコンデンサの機能については図6以下に示す図を参照して後述する。
図2は、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器のより具体的且つ詳細な構成を示す第2の実施の形態に係る回路図である。
但し、図2は、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の詳細回路構成を示すものであるが、形態上は、同一回路を2系統有する2次側の回路(図1)については1系統分だけ示している。
【0035】
図2において、第2の実施の形態の搬送波型動ひずみ測定器は、ひずみゲージをもって構成されたホイートストンブリッジ回路(以下、「測定ブリッジ」と略称する)11と、該測定ブリッジ11の出力を後述する帰還された補償量で補正する回路とから成る1次側回路系統(以下、「1次側」と略称する)と、該測定ブリッジ11の出力から前記補償量を生成する補償量検出回路を有する2次側回路系統(以下、「2次側」と略称する)とに分けられる。1次側と2次側は、磁気的な結合手段、例えば、入力トランス12、結合トランス19、電力トランス20と光学的な結合手段、例えば、光信号伝達手段13とを介してのみ結合され、電気的に直接接続されていない。
まず、1次側として、ホイートストンブリッジ回路で構成されている測定ブリッジ11と、測定ブリッジ11の出力を受けて磁気結合により2次側に伝える入力トランス12(1次コイル)と、光信号伝達手段13を構成する受光ダイオード13b側と、測定ブリッジ11に入力する搬送波と同じ搬送波を受けて打消し回路14にリファレンス電圧を供給するB.V波形供給回路15と、が含まれる。
【0036】
さらに、1次側には、特定の1または複数の較正値を搬送波に重畳して入力トランス12に供給する較正値発生回路16と、無ひずみ状態において、測定ブリッジ11の出力に含まれる抵抗分の初期平衡成分による誤差を調整する電圧を搬送波に重畳させて入力トランス12に注入する抵抗分調整回路17と、1次側の回路が使用する電力を供給する1次側電源回路18と、2次側の搬送波(この場合、正弦波)発振回路としての発振回路26から出力される搬送波を測定ブリッジ11に伝達する結合トランス19(2次コイル)と、2次側のパワーアンプ回路27から出力される搬送波の電力を受けて、1次側電源回路18に伝達する電力トランス20(2次コイル)と、を備える。
次に、2次側として、入力トランス12(2次コイル)から出力される搬送波出力を増幅する搬送波増幅回路21と、搬送波出力のうち、抵抗の不平衡分(上記(5)式の実数項分)を抽出し、さらに、搬送波成分を除去する抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路22と、搬送波出力のうち容量不平衡分(即ち、上記(5)式の虚数項成分)を抽出し、さらに、搬送波成分を除去する容量分位相検波回路、キャリアフィルタ回路23と、容量分の不平衡成分による位相のずれを補償量に変換する容量分打消し駆動回路24と、容量分の不平衡成分による位相のずれの基準となる基準電圧(搬送波と位相が90度ずれた電圧波形)を容量分位相検波回路23に供給する移相回路25と、を備える。
【0037】
さらに、2次側として、測定ブリッジ11に入力する搬送波(例えば、5kHz)を出力する搬送波発振回路としての発振回路26と、発振回路26の出力を1次側の測定ブリッジ11に搬送波ブリッジ電圧として供給する結合トランス19の1次コイルと、搬送波電力の励振電力として電力トランス20(1次コイル)に供給するパワーアンプ27と、2次側に含まれるすべての回路が使用する電力を供給する2次側電源28と、を備える。
以下、図1,2を参照しながら、第1および第2の実施形態の搬送波型動ひずみ測定器が有する各回路構成要素について説明する。
先ず、1次側において、測定ブリッジ11は、ひずみゲージをもってホイートストンブリッジ回路に構成されており、当該ひずみゲージは、被測定対象物に接着、融着、蒸着、スパッタリング等の手段により、添着されて、そのひずみを検出する。
入力トランス12(1次コイル)は、被測定対象物のひずみに比例する測定ブリッジからの出力(電圧値)を1次側(1次コイル)で受け、磁気結合により2次コイルに伝える。
B.V波形供給回路15は、測定ブリッジ11に入力する搬送波と同じ搬送波を受けて、容量分打消し回路14に搬送波のリファレンスとして供給する。
【0038】
較正値発生回路16は、ひずみゲージに実際に負荷を掛けることなく、特定の1つまたは複数の較正値に対応する較正電圧を発生して入力トランス12に印加する。
抵抗分調整回路17は、ひずみゲージに負荷をかけない状態における測定ブリッジ11の出力に含まれる抵抗分の初期不平衡成分を調整する(打消す)ことができる電圧値に対応する電圧を発生して搬送波に重畳して入力トランス12に伝達する。
1次側電源回路18は、2次側電源28から電源の供給を受けて駆動するパワーアンプ回路27によって励振される電力トランス20(2次コイル)に接続されている。この1次側電源回路18は、1次側の全ての回路要素が使用する電力を供給するためのものである。
結合トランス19(2次コイル)は、2次側の発振回路26で生成される搬送波(例えば、5kHzの発振周波数)をひずみの測定時に測定ブリッジ11に入力する搬送波電源(いわゆるブリッジ電源)を、磁気結合で受けて測定ブリッジ11に伝達する。
また、2次側において、搬送波増幅回路21は、入力トランス12(2次側コイル)から出力される測定ひずみを含む搬送波出力を増幅する増幅回路であり、この増幅結果の出力を、抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路22と、容量分位相検波回路、キャリアフィルタ回路23とに送出する。
【0039】
抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路22は、前記測定ひずみを含む搬送波出力から、測定ブリッジ11のホイートストンブリッジを構成する4辺の抵抗分の初期不平衡成分を抽出し、さらに搬送波成分を除去してひずみに対応した信号を出力する。但し、この抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路22が検出した抵抗分の初期不平衡成分を打消して、これを補償する回路部分は、本発明の範囲外であるので、ここでの図示及び説明は省略する。
容量分位相検波回路、キャリアフィルタ回路23は、前記測定ひずみを含む搬送波出力を搬送波増幅回路21から受けると共に、発振回路26の出力に対して90°位相をずらせた出力を移相回路25から受けて、容量不平衡成分を抽出し、搬送波を除去して容量分打消し駆動回路24に送出する。
移相回路25は、発振回路26の出力に対し位相を90°ずらせて、容量分位相検波回路、キャリアフィルタ回路23に送出する。また、発振回路26は、結合トランス19を介して1次側の測定ブリッジ11に印加する搬送波出力を生成する。この発振回路26の出力は、上記移送回路25と2次側の抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路22とパワーアンプ回路27にも送出される。
パワーアンプ27は、発振回路26が生成する搬送波(正弦波波形)の出力を増幅し、この増幅で得られた励振電圧を、電力トランス20(1次コイル)に供給する。
【0040】
電力トランス20の2次コイルには、1次側電源回路18が接続されている。この1次側電源回路18からは、平滑化された直流電圧が生成され、1次側に含まれる回路要素へと供給される。
2次側電源28は、2次側の全ての回路要素が使用する電力を供給する。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器における打消し回路からの出力電圧(補償量)を、帰還するための回路構成の一例を示す回路図である。
図3に示す回路図において、例えば、第1の容量分打消し駆動回路24aの出力は、帰還用の第1のコンデンサCbを介して、入力トランス12の一方の入力端に供給されると共に、測定ブリッジ11の一方の出力端子Bに供給される。また、第2の容量分打消し駆動回路24bの出力は、帰還用の第2のコンデンサCdを介して入力トランス12の他の入力端に供給されると共に、測定ブリッジ11の他方の出力端Dに供給される。
上記測定ブリッジの一方の出力端子Bには、後述する式(38)または式(42)のVbcを供給し、他方の出力端子Dには、後述する式(37)または式(41)のVdcを供給する。
【0041】
即ち、第2の実施の形態の場合、容量分打消し駆動回路24aの出力を受けて、これを増幅する第1の打消し回路14aは、第1のコンデンサCbを介して入力トランス12の1次側コイルの一端に打消し電圧を搬送波に重畳させて供給する。
さらに、第2の容量分打消し駆動回路24の出力を受けて、これを増幅する第2の打消し回路14bからの出力を、入力トランス12の1次側コイルの他端に、搬送波打消し電圧を重畳させて供給する。
このように構成することにより、打消し電圧の振幅が図2に示す構成のものに対して1/2ですみ、これにより直線性の良好なところが使用することができ、打消し波形が歪むことなく、きれいな波形で注入されるため、より高精度に容量不平衡分を常に打消し得る搬送波型動ひずみ測定器を提供することができる。
さらに、本発明の実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器は、前述の特許文献3(特開2010−216408号公報)に記載の搬送波型動ひずみ測定器と同様に、2次側から1次側へのフィードバック結合を発光ダイオード13aと受光ダイオード13bのような光信号伝達手段13を介して実現することも可能である。
【0042】
以下、本発明の第1および第2の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器に特徴的な構成要素である第1および第2のコンデンサCbおよびCdの機能について説明する。
まず、測定ブリッジの等価回路について説明し、浮遊容量によるC分がどの程度の零点変化を及ぼすのか、その概略を示す。
図4は、測定ブリッジと測定器と入力ケーブルとを接続する回路を示す回路図であり、図4(a)は、測定ブリッジと測定器と入力ケーブルとの接続を示し、図4(b)は、ゲージ抵抗R1と並列にC分(浮遊容量Cu1)が生じている場合の、その等価回路を示すものである。
同図に示す測定ブリッジでは、C分(浮遊容量Cu1)をC分のアンバランス、Rl〜R4をRとし、AC間に搬送波を印加する。搬送波周波数をωで表し、振幅電圧をEとすると、ブリッジの出力電圧Eoutは(11)式となる。
【0043】
【数15】

ここで、ひずみをε、ゲージ率をKsとすると、1枚ゲージの場合のブリッジの出力電圧は、(12)式で示される。
【0044】
【数16】

よって、(11)式及び(12)より、(13)式が得られる(但し、Ks=2.00としている)。
【0045】
【数17】

この式を実数部と虚数部に分けると、(14)式となる。
【0046】
【数18】

図5は、C分(浮遊容量Cu1)(横軸)の容量を変化させた場合の出力振幅値を、実測値と計算値とで比較した結果を示すグラフ図である。
同図に結果を示す測定において、ひずみゲージの抵抗値として120Ωを使用し、ブリッジ電圧を2Vとし、搬送波周波数として5kHz,12Mz,28kHzを、それぞれ印加した(ブリッジ電圧が2Vのとき、1με=1μVに相当する)。
同図に示す測定結果からは、計算値と実測値とはほぼ合致していることが分かる。
また、28kHzの搬送波でC分アンバランスが2000pFの時、出力は、20000με以上、5kHzの場合でも4000με以上となっている。
同図に示すように、測定ブリッジの初期不平衡値は、C分のアンバランス容量と搬送波周波数とに大きく影響を受けていることが分かる。
測定に使われるひずみゲージは、抵抗変化分が低抗値の1%以下の微小変化を検出し、利用する。このため、測定ブリッジからの出力電圧は数百μεから数千με(数mV)と小さい。よって、浮遊容量Cu1で発生する出力が数mV以上となると、R分の出力を超えてしまって、入力に非常に大きな影響を与えることになる。
さらに判定器の増幅回路は、数千倍の増幅度を持たせるため、C分で増幅回路が飽和しないように、増幅回路に入る前にバランスさせる必要がある。抵抗であるR分は、ひずみゲージであるので、被測定体に取付けてから、別途調整するものとする。
【0047】
以下、一般的なCST方式のひずみ測定器における不要波形打消し方法について説明する。
測定ブリッジのC分による不要電圧は虚数部分として現わされる。従って、虚数部分を検出して入力側に戻し、位相が180°ずれた波形として加えれば打消すことができることになる。前述のとおり、この方法はCST方式と呼ばれている。
以下、一般的なCST方式の搬送波型動動ひずみ測定器における不要波形打消し方法の計算式を示す。
図6は、C分を打消す波形をVbcとしてB点に印加する場合の等価回路を示す。
同図では、センサーである測定ブリッジの隣り合った辺にC分が有り、このC分を打消す波形をVbcとしてB点に印加する場合の等価回路を示している。(このとき、4辺に分布するC分容量は少なく、バランスしているものとする。)
まず、図6(a)において、AB間に浮遊容量Cu1が加わった場合、出力電圧Eoutは(15)式で示される。
【0048】
【数19】

(15)式から実数部と虚数部とを求め、虚数部を零にするVbcを求めると、Vbcは(16)式として求まる。
【0049】
【数20】

(16)式を(15)式に代入すると、(17)式が得られる。
【0050】
【数21】

(17)式は、Vbcを(16)式で示されるようにコントロールすると、出力電圧Eoutは、測定ブリッジに印加する搬送波周波数に関係しないで、R分である抵抗値だけの式になることを示している。
次に、図6(b)に示す等価回路についても上記と同様に出力電圧Eoutを算出する。
まず、図6(b)において、BC間に浮遊容量Cu2が加わった場合、出力電圧Eoutは(18)式で示される。
【0051】
【数22】

(18)式から実数部と虚数部とを求め、虚数部を零にするVbcを求めると、Vbcは(19)式として求まる。
【0052】
【数23】

(19)式を(18)式に代入すると、(20)式が得られる。
【0053】
【数24】

(20)式は、Vbcを(19)式で示されるようにコントロールすると、出力電圧Eoutは測定ブリッジに印加する搬送波周波数に関係しないで、R分である抵抗値だけの式になることを示している。
ここで(16)式と(19)式に注目し、R1=R2とすると、(16)式は、(21)式になる。
【0054】
【数25】

また、(19)式は(22)式となる。
【0055】
【数26】

(21)式と(22)式とから解るように、R分がバランスしている場合は、ブリッジ電圧(E/2)と不平衝C分(浮遊容量Cu1または浮遊容量Cu2)とを乗算して成る逆位相の電圧を加えれば良いことが解る。
以下、これを実際の回路で検証した結果を示す。
図7は、R分がバランスしている場合のVbcを示す算式の検証に使用した回路のブロック構成図である。
同図に示す回路において、測定ブリッジAB間のC分を変化させ、CST動作をさせた場合と、CST動作をしない場合とを比較した。
図8は、図7に示す回路におけるC分によって出力するひずみ量(=出力電圧Eout)の比較データを示すグラフ図である。
同図に示すデータは、CST動作をさせた場合と、CST動作をしない場合とで、搬送波周波数を5kHz、12kHz、28kHzとし、ブリッジ抵抗を120Ωとして、それぞれ取得したものである。同図から解るように、CST方式では零点がほとんど変化しない。C分によって出力するひずみ量はグラフ上では零に近く、改善度は非常に大きい。この動作で、搬送波型動ひずみ測定器の測定ブリッジの初期不平衡の調整は、R分のみで済むことが理解される。
【0056】
次に、測定ブリッジのAB辺とBC辺の対辺であるCD辺とAD辺に、C分として浮遊容量Cu3および浮遊容量Cu4が混入した場合を考える。(このとき、ブリッジの4辺に分布するC分容量は少なく、バランスしているものとする。)
図9は、測定ブリッジのAB辺およびBC辺の対辺であるCD辺およびAD辺に、C分として浮遊容量Cu3および浮遊容量Cu4が入った場合の測定ブリッジの等価回路を示す。
この場合、まず、図9(a)に示す等価回路について出力電圧Eoutを求め、その虚数部を零にする電圧Vbcを算出する。
出力電圧Eoutは、(23)式で示され、電圧Vbcは(24)式で示される。(24)式を(23)式に代入すると、(25)式が求められる。
【0057】
【数27】

【0058】
【数28】

【0059】
【数29】

(25)式から解るように、出力電圧Eoutは、印加する搬送波の周波数と抵抗値にも依存し、C分の変化では零にならない。
次に、図9(b)に示す等価回路についても同様な計算をして出力電圧Eoutを求める。
求められた式で、R=120Ω(R1=R2=R3=R4)とし、辺ADと辺CDにC分である浮遊容量Cu4と浮遊容量Cu3とが加わり、その変化量を0〜2200pFまで変えた場合の出力電圧Eoutを算出した。
搬送波周波数には、5kHz、12kHz、28kHzの3種類を用いた。その結果は図10に示す。
図10は、図9に示す等価回路についての、ひずみ量(=出力電圧Eout)の比較データを示すグラフ図である。
同図に示すグラフを見ても解るように、120Ωのブリッジ抵抗で搬送波周波数が28kHzのとき、1300μεも変化する(この時、容量値Cbは、2200pFである)。
【0060】
AB、BC辺のC分がアンバランスなら初期不平衡値は零になるが、AD、CD辺は、C分による初期不平衡値が零にならないので、改善しなければならない。
この改善方法としては、測定ブリッジのD点に、B点と同じようにC分を打消す電圧発生部分Vdcを用いることができる。
以下、本発明のCST方式動ひずみ測定器に適用される測定ブリッジの4辺にC分が有る場合の不要波形打消し方法について説明する。
まず、この方法を計算式で示すために、モデルの等価回路を設定する。
測定ブリッジのB点を中心にして、AB辺、BC辺は、電圧Vbcと容量Cbの回路で受け持たせ、AD辺、CD辺は、D点を中心にして、新しく設ける電圧Vdcと容量Cdの回路で受け持たせれば、測定ブリッジのどの辺にC分が加わっても零点変化を抑えることができる(その等価回路は図11に示す)。
図11は、測定ブリッジの4辺に浮遊容量C分(Cu1〜Cu4)が有る場合の打消し方法を説明するための等価回路の回路図である。
同図に示す等価回路において、出力電圧Eoutを算出するには、重ね合わせの原理から、以下に示すように第1〜第4の回路に分解することができる(分解結果を図12〜図15に示す)。
【0061】
図12は、図11に示す等価回路を分解した第1の回路の回路図である。
図13は、図11に示す等価回路を分解した第2の回路の回路図である。
図14は、図11に示す等価回路を分解した第3の回路の回路図である。
図15は、図11に示す等価回路を分解した第4の回路の回路図である。
即ち、出力電圧Eoutは、Eout=(VD1+VD2+VD3+VD4)−(VB1+VB2+VB3+VB4)となる。
ここで、図12のVD1とVB1、図13のVD2とVB2、図14のVD3とVB3および図15のVD4とVB4を計算する。
まず、VD1は、(26)式で求められる。
【0062】
【数30】

(26)式を整理すると、(27)式が得られる。
【0063】
【数31】

同様にVB1は、(28)式で求められる。
【0064】
【数32】

VD2は、(29)式で求められる。
【0065】
【数33】

VB2は、(30)式で求められる。
【0066】
【数34】

VD3は(31)式で求められる。
【0067】
VD3=0 ‥……(31)
VB3は、(32)式で求められる。
【0068】
【数35】

VD4は、(33)式で求められる。
【0069】
【数36】

また、VB4は、(34)式で求められる。
【0070】
VB4=0 ‥……(34)
ここで、VDとVBを求める。
VD=VD1+VD2+VD3+VD4であるから、(27)式、(29)式、(31)式および(33)式を加算し、(35)式を得る。
【0071】
【数37】

次に、VBを算出する。
VB=VB1+VB2+VB3+VB4であるから、(28)式、(30)式、(32)式および(34)式を加算し、(36)式を得る。
【0072】
【数38】

(35)式と(36)式とを、それぞれ実数部と虚数部に分けて、虚数部を零にする電圧Vdcと電圧Vbcを算出すると、電圧Vdcは(37)式となり、電圧Vbcは(38)式となる。
【0073】
【数39】

【0074】
【数40】

‥……(38)
以上により、図11に示した等価回路の出力電圧Eoutは、(39)式として求まる。
【0075】
【数41】

(39)式に、前述の虚数部を零にする(37)式と(38)式とを、それぞれ電圧Vdcと電圧Vbcの項に代入すると、(40)式が得られる。
【0076】
【数42】

(40)式は、抵抗Rだけの式であることが理解される。
以上の結果から、測定ブリッジのD点とB点に、それぞれ独立したC分の打消し回路を設けて、電圧Vdcと電圧Vbcとを(37)式と(38)式のようにコントロールすれば、測定ブリッジの4辺にC分が加わっても零点変動は生じなくなることになる。
抵抗R分は別途バランスさせるので、測定ブリッジ4辺の抵抗R分は全て等しいとして、R=R1=R2=R3=R4と置くと、(37)式と(38)式は(41)式と(42)式となる。
【0077】
【数43】

【0078】
【数44】

また、(41)式と(42)式とから解るように、抵抗R分が平衡していれば、ブリッジのD点とB点の隣辺のC分の差分のE/2の打消し波形を加えればよいことが理解される。即ち、抵抗R分に関係せず、また、搬送波周波数にも関係しないで、C分は打消すことが可能となる。
【0079】
(実施例)
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の実施回路において、ひずみゲージの抵抗変化に見立てて、ひずみの変化量を発生させる機器をSSG(Standard Strain Generator)とし、測定器の基準入力とする。これが測定ブリッジに相当する。このSSG入力を基準とし、ひずみ量を測定した。
測定ブリッジの各辺に、C分として、0から約2000pFまでを加えて測定した零点変化のデータを図16及び図17に示す。
図16(a)、(b)は、実施回路におけるA−B間およびB−C間の零点変化のデータを示すグラフ図である。
同図は、測定ブリッジ各辺の抵抗値を120Ωとし、搬送波の周波数を5kHz、12kHzおよび28kHzと変化させた場合の測定結果を示すものである(但し、この実験では0と2200pFで出力が零になるように調整した)。
図17は、実施回路におけるA−B間およびC−D間の零点変化の他のデータを示すグラフ図である。
同図は、測定ブリッジ各辺の抵抗値を350Ωとし、同様に搬送波の周波数を5kHz、12kHz、及び28kHzと変化させた場合の測定結果を示すものである。
【0080】
図16(a)、(b)および図17(a)、(b)に示す測定結果から解るように、搬送波周波数が5kHzの場合、測定ブリッジ各辺の抵抗値が、120Ωであっても、また350Ωであっても、さらに測定フリッジの4辺にC分が入っていても、実施回路における出力電圧Eoutの変化分はほとんど零に近い。
また、12kHzの場合は、実施回路における出力電圧Eoutの変化分は十数μεである。
さらに、28kHzの場合、測定ブリッジ各辺の抵抗値が120Ωでは40με以下であるが、35OΩの場合では約100μεである。
この残差の原因としては、微少電圧を扱うため、搬送波の周波数が高く、また抵抗値も高いほど、電磁ノイズが回路構成部品や、回路パターンから浮遊容量を介して入力に影響してしまうためである。浮遊容量を少なくするための部品配置や、シールドの取り方を改善すれば、もう少し良い結果になると考えられる。
図10からも理解されるように、従来の通常の装置では、出力電圧Eoutの変化分が、ブリッジの各辺の抵抗が120Ω、搬送波の搬送周波数が28kHzの場合で、1200με以上変化しているのに対し、本実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器は、図16に示すように、40με以下になっているので、顕著な改善効果が得られている。
【0081】
なお、応力測定で使用するひずみ測定量は数百から数千μεであるから、本実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器を使用することにより、測定ブリッジの初期不平衡値を十分抑えることができる。従って、本実施形態に係る搬送波型動ひずみ測定器の特徴である2系統のCST動作は、十分機能していると言える。
また、従来のCST方式の搬送波型動ひずみ測定器と同様に、搬送波を使用することにより、極めて変化の早い動的現象を測定することが可能であり、また、各種の容量不平衡分を瞬時に、且つ高精度に打ち消すことが可能である。さらに、測定ブリッジや打ち消し回路、2次側電源回路が含まれる1次側回路部分と、搬送波増幅回路、容量分位相検波回路、容量分打ち消し駆動回路、発振回路及び2次側電源が含まれる回路部分とを直接接続しない構成とすることも可能である。例えば、前述の特許文献3(特開2010−266408号公報)に記載の搬送波型動ひずみ測定器と同様に、2次側から1次側へのフィードバック結合を発光ダイオード13aと受光ダイオード13bのような光信号伝達手段を介して実現する構成とすることも可能であるので、ノイズの混入、特に2次側回路からのノイズが混入することがなく、高精度な動的ひずみの測定が可能となる。
【符号の説明】
【0082】
11 測定ブリッジ
12 入力トランス
14、14a、14b 打消し回路
15 B.V波形供給回路
16 較正値発生回路
17 抵抗分調整回路
18 1次側電源回路
19 結合トランス
20 電力トランス
21、21a、21b 搬送波増幅回路
22 抵抗分位相検波回路、キャリアフィルタ回路
23 容量分位相検波回路、キャリアフィルタ回路
24、24a、24b 容量分打消し駆動回路
25、25a、25b 移相回路
26 発振回路
27 パワーアンプ回路
28 2次側電源
Cb、Cd、帰還用コンデンサ(打ち消し用)
R1〜R4 抵抗
Cu1〜Cu4 浮遊容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波型動ひずみ測定器において、
ひずみゲージを含む測定ブリッジと、
前記測定ブリッジに印加される搬送波に重畳された測定信号を増幅する搬送波増幅回路と、
前記搬送波増幅回路の出力を受けて前記測定ブリッジの容量変化分に対応する不平衡成分を抽出し、前記不平衡成分に対応した補償量の信号を出力する容量分位相検波回路と、
前記容量分位相検波回路の出力を受けて前記測定ブリッジに発生する容量成分による不平衡成分を自動的に打消す2系統の第1および第2の容量分打消し駆動回路と、
前記測定ブリッジの抵抗の不平衡分を抽出して、搬送波成分を除去する抵抗分位相検波回路と、
位相のずれの基準となる基準電圧を前記容量分位相検波回路に供給する移相回路と、
前記測定ブリッジに印加する搬送波を発生する搬送波発振回路と、
前記測定ブリッジの2つの出力端子と、前記2系統の前記第1および第2の容量分打消し駆動回路との間にそれぞれ接続された2系統の帰還用の第1および第2のコンデンサと、を備え、
前記測定ブリッジの4辺の1辺乃至はすべての辺の抵抗に並列的に混入する浮遊容量成分による不平衡成分を打消す打消し電圧を前記2系統の前記第1および第2の容量打消し駆動回路から前記第1および第2の帰還用コンデンサを介して前記測定ブリッジの各出力端子にそれぞれ印加することにより前記容量による不平衡成分を自動的に打ち消すように構成したことを特徴とする搬送波型動ひずみ測定器。
【請求項2】
前記測定ブリッジの一方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu1およびCu2とし、前記測定ブリッジの他方の出力端の隣辺に含まれる前記不均衡成分の容量をそれぞれCu3およびCu4とし、
前記帰還用の第1コンデンサおよび第2のコンデンサをCbおよびCdとし、
前記測定ブリッジの入力端に印加される搬送波電圧をEとし、
前記測定ブリッジを形成する抵抗成分が平衡している場合において、下記[数1]式によって求められる打消し電圧Vbcおよび下記[数2]式によって求められる打消し電圧Vdc:
【数1】

【数2】

を、前記測定ブリッジの一方の出力端および他方の出力端に、それぞれ印加するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送波型動ひずみ測定器。
【請求項3】
前記帰還用の第1および第2のコンデンサは、所定の複数の容量値のうち、いずれかを選択して設定することが可能なコンデンサであることを特徴とする請求項1記載の搬送波型動ひずみ測定器。
【請求項4】
2次側の各回路に電力を供給する2次側電源と、前記2次側電源から電力トランスを介して電力を受けて1次側の各回路に電力を供給する1次側電源回路とをさらに備えると共に、前記搬送波発振回路の出力を、結合トランスを介して測定ブリッジに印加する構成としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送波型動ひずみ測定器。
【請求項5】
前記1次側の回路と前記2次側の回路との間に、少なくとも1つの発光ダイオードと、これと対峙するように配置された受光ダイオードからなる光信号伝達手段とをさらに備え、前記測定ブリッジ、前記容量分打消し駆動回路、前記受光ダイオードおよび前記1次側電源回路は、前記搬送波増幅回路、前記容量分位相検波回路、前記容量分打消し駆動回路、前記発光ダイオード、前記搬送波発振回路および前記2次側電源に対し、前記入力トランス、前記光信号伝達手段、前記結合トランスおよび前記電力トランスからなる電磁的手段および前記光信号伝達手段により接続され、電気的には絶縁された状態で接続されていることを特徴とする請求項4記載の搬送波型動ひずみ測定器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate