搬送装置およびそれを用いた記録装置
【課題】高記録品位での記録が可能であり、記録ヘッドの損傷を防ぐことができる搬送装置およびそれを用いた記録装置を提供すること。
【解決手段】搬送ベルトの吸着孔およびプラテンの吸引孔で記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。
【解決手段】搬送ベルトの吸着孔およびプラテンの吸引孔で記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体を搬送ベルトにより吸引吸着搬送する搬送手段を備えた搬送装置およびその搬送装置を用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記録装置では、使用する記録媒体の記録面を被接触状態に保つ搬送装置として、無端状の搬送ベルトを使用し、記録媒体を搬送ベルトに吸着させる吸引吸着装置が提案されている。
【0003】
図7は、従来の搬送装置を示した斜視図である。無端状の搬送ベルト41は、ベルト厚み方向に貫通した複数の通気孔を備えており、同じ高さに配置された互いに平行な駆動ローラ43と従動ローラ44との間に掛け渡されている。搬送ベルト41の内周には、内部に吸引室が形成されたプラテン42が備えられている。ファン等(不図示)の負圧発生手段は、プラテン42内部の吸引室内に負圧を発生させ、搬送ベルト41の通気孔を通じて搬送ベルト41の表面に吸引力を発生させることができる。搬送ベルト41はこのようにして発生させた吸引力によって記録媒体を吸着させて搬送する。
【0004】
記録装置においては、搬送装置41に給紙された記録媒体に対して正確な記録を行うために、記録媒体の先端を検出する必要がある。
【0005】
図8は、記録媒体の例を示しており、ラベル紙等の連続紙を示した図である。図のようなラベル紙等の連続紙およびカット紙の先端を検出する方法として、透過型のセンサを用いて先端検出を行う方法がある。透過センサは発光部と受光部とで構成されており、発光部から発せられた光がラベル紙の台紙部45では透過し、ラベル部46では光を遮光することによって先端検出を行っている。
【0006】
図9は、記録媒体の例を示しており、発光部からの光を透過させる領域の無いタグ紙47のような連続紙を示した図である。図9に示すように、タグ紙47は、マーク部48を有している。タグ紙記録面の反対側に、予め光を吸収するような色でマーク部48を設けておき、反射型のセンサによってマーク部48とそれ以外の領域での反射光の状態によって先端検出を行うものである。
【0007】
高画質を要求されるインクジェット記録装置においては、記録媒体の記録面と記録ヘッドのインク吐出口形成面との相互間距離は、極力短い方が有利となる。また、この相互間距離は、安定した記録を維持するために所定の短い距離に常に維持されなければならない。
【0008】
ラベル等の連続紙を搬送して記録を行う記録装置では、記録媒体をカットした後に、記録媒体の先端を先端検出センサ位置まで戻す動作、いわゆるバックフィード動作が必要となる。この先端検出センサが記録ヘッドから離れた位置に設置されていると、バックフィード量が長くなり、ジャム発生の原因となる。また、先端検出センサを記録ヘッドから離れた位置に設けると、搬送距離が長くなってしまうため、搬送装置が大きくなる。そのため、記録媒体の先端を検出するセンサは記録ヘッド近傍に設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−302406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸着穴を有した無端状の搬送ベルトを用いて記録媒体を吸着して搬送し、記録ヘッド近傍に設けられた透過型センサが記録媒体先端を検出する場合、以下の問題点がある。透過型センサの発光部及び受光部は、一方は記録媒体の一方の面側に配置され、他方は記録媒体の他方の面側に配置されなければならない。このため、発光部が光を当てる記録媒体領域は、搬送ベルトが接している領域以外の領域でなければならない。しかし、記録媒体の搬送ベルト上に接していない領域は、湿気や記録装置の記録動作によって、カールや変形が生じることがある。このようなカールや変形が生じた場合、記録媒体の搬送ベルト41に密着していない部分が浮いてしまい、浮いた部分が記録ヘッドのインク吐出面に接触してしまうおそれがある。記録媒体がインクの吐出面に接触すると、記録品位の低下や記録ヘッドの損傷等の問題が生じる。
【0011】
また、反射型センサを用いて記録媒体の先端を検出する場合も、記録面の裏側にマーク部を設けて、マーク部とそれ以外の領域での反射光の状態によって先端検出を行っているので、反射型センサが配置される位置は、記録媒体に対して、記録媒体の裏面側、つまり、搬送ベルトが配置されている側でなければならない。つまり、記録媒体のセンサ検出領域は搬送ベルトに接していない領域でなければならない。したがって、反射型センサを用いた場合においても上記の問題を生じるおそれがある。
【0012】
さらに、無端状の搬送ベルトは、図7のように一体に形成される場合もあるが、装置のコストを削減等の理由により、搬送方向に関して交差する方向において、幅の狭い搬送ベルトを複数設ける場合がある。このような場合においても、記録媒体が搬送ベルトに接しない領域以外の領域において、上記の問題を生じるおそれがある。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するものであり、高記録品位での記録が可能な、搬送装置およびそれを用いた記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の搬送装置は、複数の吸着孔を備えた無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の記録装置は、記録媒体に記録を行う記録部と、複数の吸着孔を備え記録媒体を前記記録部へ搬送する無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有している。これによって、高記録品位での記録が可能な搬送装置を実現することができる。
【0017】
また本発明によれば、記録装置の搬送部には、搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有している。これによって、高記録品位での記録が可能な記録装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の記録装置の、搬送ユニットの近傍の構成を示した側面図である。
【図2】搬送ユニットの構成を示した側面図である。
【図3】先端検出センサの構成を示す図である。
【図4】本発明の搬送ユニットの斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る図4A部の詳細図である。
【図6】第1の実施形態に係る図4のb−bにおける断面を示した図である。
【図7】従来の搬送装置を示した斜視図である。
【図8】ラベル紙等の連続紙およびカット紙を示した図である。
【図9】タグ紙のような発光部からの光を透過させる領域の無い連続紙を示した図である。
【図10】第1の実施形態に係る連続記録動作の際の搬送ユニットの制御フローチャートである。
【図11】第1の実施形態に係る制御手段を示したブロック図である。
【図12】第2の実施形態に係る搬送ユニットの斜視図である。
【図13】図12のA部の詳細図である。
【図14】図12のb−bにおける断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態である記録装置の、搬送ユニット20の構成を示した側面図である。本実施形態の記録装置は、記録媒体30を吸着して搬送する搬送ベルト1を備えた搬送ユニット20、矢印α方向(本実施形態においてα方向を搬送方向とする)に搬送される記録媒体30にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド21、搬送ベルト1に記録媒体30を給紙する不図示の給紙ユニットを備えている。ここでは、記録ヘッド21として、搬送方向に交差する方向における使用される記録媒体の最大記録幅と実質的に同じ長さで構成され、複数のノズルが並んだラインヘッドを用いている。ただし、これに限定するものではなく、記録ヘッドが記録媒体に沿って移動することで記録を行うシリアルタイプの記録ヘッドを用いてもよい。給紙ユニットによって搬送ユニット20へ給紙された記録媒体30は、先端検出センサ24によって先端が検出され、所定の位置に記録が行われる。
【0020】
図2は、搬送ユニット20の構成を示した側面図である。搬送ユニット20は、給紙ユニットから給紙された記録媒体30を空気で吸着して搬送する搬送ベルト1と、不図示のモータと連結され搬送ベルト1を駆動する駆動プーリ2と、従動プーリ3、4とにより構成されている。搬送ベルト1は、駆動プーリ2、従動プーリ3及び4により張架されて回転するように構成されている。従動プーリ3の搬送方向下流側には搬送ベルト1との間に記録媒体30を挟み込むピンチローラ5が配置されており、矢印β方向に搬送ベルト1が押圧されている。搬送ベルト1の内側にはプラテン6が備えられており、ダクト7を介して吸引ファン8と接続されている。ピンチローラ5の搬送ベルト1を挟んだ対向側には、ピンチローラ5の押圧力により搬送ベルト1のへこみを防ぐためにコロ9が配置されている。ピンチローラ5に対して記録媒体30の搬送方向下流側には記録媒体30の先端を検出するための先端検出センサ24が配置されており、これによって記録媒体30の先端を検出している。先端を検出された記録媒体30には、その後、記録部に設けられた記録ヘッドによって所定の箇所に記録が行われる。
【0021】
図3は、先端検出センサ24の構成を示す図である。先端検出センサ24は、反射型センサ10と透過型センサ11とを備えている。透過型センサ11は発光部11aと受光部11bとに分かれており、記録媒体30をその厚み方向に挟み込むように設置されている。透過型センサ11では、記録媒体30が無い状態では発光部11aから発せられた光は受光部11bまで届く。しかし、記録媒体30が透過型センサ11に差し掛かると、発光部11aから発せられた光は、記録媒体30によって遮られて遮光状態となり、受光部11bには届かない。よって受光部11bにて受け取る光の強弱によって記録媒体30の先端を検出することができる。反射型センサ10は、タグ紙などの発光部からの光を透過する部分が無い連続紙の先端を検出する場合に用いる。なお、反射型センサ10は、光を発光させる発光部と記録媒体で反射した光を受け取る受光部とを一体に構成したセンサである。記録媒体30がタグ紙の場合には、記録面の反対側に予めマークが設けられており、反射型センサ10は、マーク部とそれ以外の領域での反射光の違いによって先端検出を行っている。
【0022】
図4は、本発明の第1の実施形態の搬送ユニット(搬送部)の斜視図である。本実施形態では、搬送ベルト1の本数は3本用いている。搬送ベルト1の本数は記録媒体30の最大幅に応じて決定されており、適宜本数を増減することができ、単数でもよい。本実施形態の記録装置は、記録媒体を片側基準で記録するように構成されている。つまり、搬送方向に関して交差する方向(記録媒体幅方向)において、記録媒体の一方の端部が一致した状態で搬送されるように構成されている。先端検出センサ24は、記録媒体30の通紙基準側(記録媒体幅方向の基準とする一方の端部側)で、かつ搬送ベルト1の搬送方向上流端部近傍に設置されている。また、先端検出センサ24は、記録ヘッド21の搬送方向上流に配置されている。記録媒体30は、先端検出センサ24にて検出される箇所が、搬送ベルト1の上面から外れた状態で搬送される。搬送ベルト1はプラテン6によって支持されており、搬送ベルト1がプラテン6の上を摺動することによって記録媒体30が搬送される。
【0023】
図5は、図4におけるA部の詳細図である。無端状の搬送ベルト1には全周に亘って複数の吸着孔12が列をなして形成されており、個々の吸着孔12は搬送ベルト1をその厚み方向に貫通している。また吸着孔12は搬送ベルト1の幅方向に対して等間隔のピッチで設けられている。プラテン6の搬送ベルト1の走行部には、搬送ベルト1の吸着孔12の位置に合わせて、通気孔13が搬送方向に途切れることなく形成されているので、搬送方向に対して吸引が途切れることは無い。通気孔13を通して吸引ファン8によって吸引して減圧することで、通気孔13および吸着孔12を介して搬送ベルト1に記録媒体30を吸着させる。
【0024】
先端検出センサ24は、記録媒体30の通紙基準側であり、かつ搬送ベルト1の端部近傍に設置されている。記録媒体30は、先端検出センサ24にて検出される箇所が、搬送ベルト1の上面から外れた状態で搬送される。つまり、搬送ベルト1に接していない記録媒体の通紙基準側の領域が先端検出センサ24により検出される領域となる。そして、先端検出センサ24が設けられている部分のプラテン6には、先端検出センサ24の光が通過する検知窓23が設けられており、搬送ベルト1の上面から外れた記録媒体30は、この検知窓23の上を通過するように構成されている。また、15は後述する溝部である。22は後述するリブである。25は後述する幅方向リブである。
【0025】
図6は、図4のb−bにおける断面(記録媒体幅方向に沿った断面)を示した図である。搬送ベルト1はプラテン6に当接して走行している。また、プラテン6には搬送方向に沿って複数の当接部であるリブ22が設けられており、このリブ22の上面(当接面)によって搬送中の記録媒体30を支持している。リブ22は、隣り合う搬送ベルト1の間に配置されている。また、リブ22は、記録媒体幅方向に関して通紙基準側に位置する搬送ベルト1の通紙基準側に配置され、搬送ベルト1に接していない、記録媒体30の幅方向端部を支持するように配置されている。リブ22は搬送中の記録媒体30が搬送ベルト1同士の間あるいは搬送ベルト1からはみ出した部分で大きく撓むことを防止している。また、搬送ベルト1の搬送面の法線方向において、リブ22の記録媒体に当接する当接面は、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面(搬送ベルト1の記録媒体を吸着する面)よりも若干低くなるように構成されている。リブ22の当接面が、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも高い場合は、プラスチック等のように記録媒体30自体の平面度が0に近く、紙などに比べ硬い記録媒体30を搬送する際、搬送ベルト1と記録媒体30との間に隙間ができ、記録媒体30が搬送ベルト1に吸着されない不具合が発生するおそれがある。しかし、本実施形態のように、リブ22の高さを、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも若干低くすることにより上記不具合を解消することができる。
【0026】
プラテン6の、リブ22と搬送ベルト1との間には、溝部15が形成されている。16は、搬送ベルト1の搬送面の法線方向において、リブ22の当接面及び搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも低い底部である。この溝部15は、底部16、搬送ベルト1及びリブ22により囲われた空間である。溝部15は、記録媒体30が搬送ベルト1及びリブ22に当接している場合においても空間が維持されるように構成されている。このように溝部15を設けることにより、吸引ファン8により、通気孔13及び吸着孔12を介して搬送ベルト1により記録媒体30を吸着させる際、搬送ベルトとプラテン6との間の隙間から溝部15内の空気が通気孔13の方向へ移動する(図6のC方向)。このように、溝部15内の空気が通気孔13の方向へ移動することにより溝部15に大気圧より低い圧力が発生する。発生したこの圧力により、記録媒体30の、搬送ベルト1に接していない領域がプラテン6方向へ吸着される。このように溝部15を設けることにより、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた部分の吸引可能としている。図5に示すように、溝部15を形成するリブ22に、記録媒体幅方向に延びる幅方向リブ25を接続することで箱型空間を形成し、この箱型空間を記録ヘッド21の下部に位置する領域に設けてもよい。このように幅方向リブ25を設けることで、記録ヘッド21の下部を通過する記録媒体30の、搬送ベルト1に接していない領域を効果的に吸引することができる。図10は、本実施形態の記録装置における連続記録動作の際の搬送ユニット20の制御フローチャートである。以下、このフローチャートに沿って搬送ユニット20の制御を説明する。ステップS1でユーザーによってステップS1で記録開始の信号が発信されると、ステップS2で吸引ファンをONにし、その後、ステップS3で駆動部の搬送モータを駆動してステップS4で搬送開始となる。そして、ステップS5で先端検出センサによって搬送ベルト1に吸着された記録媒体の先端を検出し、ステップS6で記録媒体を所定量搬送し、記録動作を行う。
【0027】
図11は、本発明における制御手段を示したブロック図である。搬送ユニットの駆動手段、吸引ファン、先端検出センサおよび記録手段は制御手段とつながれており、それぞれが制御手段によって制御されている。
【0028】
このように、浮きや変形が生じた記録媒体が給紙された場合であっても、搬送ベルトの吸着孔およびプラテンで記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。これによって、高記録品位での記録が可能であり、記録ヘッドの損傷を防ぐことができる搬送装置およびそれを用いた記録装置を実現することができた。
【0029】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態に対しプラテン6に吸引孔14を設けている点で相違するが、他の構成は第1の実施形態と同じであり、説明は省略する。
【0030】
図12は、本発明の第2の実施形態の搬送ユニットの斜視図である。また、図13は、図12A部の詳細図である。プラテン6には、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた箇所を吸引するため、溝部15の底部に、搬送ベルト1の摺動面に対して垂直方向に開けられた吸引孔14が設けられている。搬送ベルト1の端部近傍で、搬送ベルト1に沿って複数の吸引孔14が列を成して設けられている。これらの吸引孔14は、紙先端検出センサ24よりも搬送方向下流側に吸引孔14が設けられており、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた部分を吸引可能としている。本実施形態は、搬送ベルト1が3本の構成であるので、吸引孔14は搬送ベルトの両側に設けられているが、搬送ベルト1が1本の場合などは、搬送ベルト1の片側だけに吸引孔14が設けられていてもよい。
【0031】
図14は、図12のb−bにおける断面を示した図である。記録媒体30が吸引孔14で吸引される際、記録媒体30はリブ22に当接しているので、吸引孔14と当接することはない。
【0032】
このように、浮きや変形が生じた記録媒体が給紙された場合であっても、搬送ベルトの吸着孔およびプラテンの吸引孔で記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。これによって、高記録品位での記録が可能であり、記録ヘッドの損傷を防ぐことができる搬送装置およびそれを用いた記録装置を実現することができた。
【符号の説明】
【0033】
1 搬送ベルト
6 プラテン
8 吸引ファン
12 吸着孔
13 通気孔
14 吸引孔
20 搬送ユニット
21 記録ヘッド
22 リブ
23 検知窓
24 先端検出センサ
30 記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体を搬送ベルトにより吸引吸着搬送する搬送手段を備えた搬送装置およびその搬送装置を用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記録装置では、使用する記録媒体の記録面を被接触状態に保つ搬送装置として、無端状の搬送ベルトを使用し、記録媒体を搬送ベルトに吸着させる吸引吸着装置が提案されている。
【0003】
図7は、従来の搬送装置を示した斜視図である。無端状の搬送ベルト41は、ベルト厚み方向に貫通した複数の通気孔を備えており、同じ高さに配置された互いに平行な駆動ローラ43と従動ローラ44との間に掛け渡されている。搬送ベルト41の内周には、内部に吸引室が形成されたプラテン42が備えられている。ファン等(不図示)の負圧発生手段は、プラテン42内部の吸引室内に負圧を発生させ、搬送ベルト41の通気孔を通じて搬送ベルト41の表面に吸引力を発生させることができる。搬送ベルト41はこのようにして発生させた吸引力によって記録媒体を吸着させて搬送する。
【0004】
記録装置においては、搬送装置41に給紙された記録媒体に対して正確な記録を行うために、記録媒体の先端を検出する必要がある。
【0005】
図8は、記録媒体の例を示しており、ラベル紙等の連続紙を示した図である。図のようなラベル紙等の連続紙およびカット紙の先端を検出する方法として、透過型のセンサを用いて先端検出を行う方法がある。透過センサは発光部と受光部とで構成されており、発光部から発せられた光がラベル紙の台紙部45では透過し、ラベル部46では光を遮光することによって先端検出を行っている。
【0006】
図9は、記録媒体の例を示しており、発光部からの光を透過させる領域の無いタグ紙47のような連続紙を示した図である。図9に示すように、タグ紙47は、マーク部48を有している。タグ紙記録面の反対側に、予め光を吸収するような色でマーク部48を設けておき、反射型のセンサによってマーク部48とそれ以外の領域での反射光の状態によって先端検出を行うものである。
【0007】
高画質を要求されるインクジェット記録装置においては、記録媒体の記録面と記録ヘッドのインク吐出口形成面との相互間距離は、極力短い方が有利となる。また、この相互間距離は、安定した記録を維持するために所定の短い距離に常に維持されなければならない。
【0008】
ラベル等の連続紙を搬送して記録を行う記録装置では、記録媒体をカットした後に、記録媒体の先端を先端検出センサ位置まで戻す動作、いわゆるバックフィード動作が必要となる。この先端検出センサが記録ヘッドから離れた位置に設置されていると、バックフィード量が長くなり、ジャム発生の原因となる。また、先端検出センサを記録ヘッドから離れた位置に設けると、搬送距離が長くなってしまうため、搬送装置が大きくなる。そのため、記録媒体の先端を検出するセンサは記録ヘッド近傍に設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−302406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸着穴を有した無端状の搬送ベルトを用いて記録媒体を吸着して搬送し、記録ヘッド近傍に設けられた透過型センサが記録媒体先端を検出する場合、以下の問題点がある。透過型センサの発光部及び受光部は、一方は記録媒体の一方の面側に配置され、他方は記録媒体の他方の面側に配置されなければならない。このため、発光部が光を当てる記録媒体領域は、搬送ベルトが接している領域以外の領域でなければならない。しかし、記録媒体の搬送ベルト上に接していない領域は、湿気や記録装置の記録動作によって、カールや変形が生じることがある。このようなカールや変形が生じた場合、記録媒体の搬送ベルト41に密着していない部分が浮いてしまい、浮いた部分が記録ヘッドのインク吐出面に接触してしまうおそれがある。記録媒体がインクの吐出面に接触すると、記録品位の低下や記録ヘッドの損傷等の問題が生じる。
【0011】
また、反射型センサを用いて記録媒体の先端を検出する場合も、記録面の裏側にマーク部を設けて、マーク部とそれ以外の領域での反射光の状態によって先端検出を行っているので、反射型センサが配置される位置は、記録媒体に対して、記録媒体の裏面側、つまり、搬送ベルトが配置されている側でなければならない。つまり、記録媒体のセンサ検出領域は搬送ベルトに接していない領域でなければならない。したがって、反射型センサを用いた場合においても上記の問題を生じるおそれがある。
【0012】
さらに、無端状の搬送ベルトは、図7のように一体に形成される場合もあるが、装置のコストを削減等の理由により、搬送方向に関して交差する方向において、幅の狭い搬送ベルトを複数設ける場合がある。このような場合においても、記録媒体が搬送ベルトに接しない領域以外の領域において、上記の問題を生じるおそれがある。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するものであり、高記録品位での記録が可能な、搬送装置およびそれを用いた記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の搬送装置は、複数の吸着孔を備えた無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の記録装置は、記録媒体に記録を行う記録部と、複数の吸着孔を備え記録媒体を前記記録部へ搬送する無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有している。これによって、高記録品位での記録が可能な搬送装置を実現することができる。
【0017】
また本発明によれば、記録装置の搬送部には、搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有している。これによって、高記録品位での記録が可能な記録装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の記録装置の、搬送ユニットの近傍の構成を示した側面図である。
【図2】搬送ユニットの構成を示した側面図である。
【図3】先端検出センサの構成を示す図である。
【図4】本発明の搬送ユニットの斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る図4A部の詳細図である。
【図6】第1の実施形態に係る図4のb−bにおける断面を示した図である。
【図7】従来の搬送装置を示した斜視図である。
【図8】ラベル紙等の連続紙およびカット紙を示した図である。
【図9】タグ紙のような発光部からの光を透過させる領域の無い連続紙を示した図である。
【図10】第1の実施形態に係る連続記録動作の際の搬送ユニットの制御フローチャートである。
【図11】第1の実施形態に係る制御手段を示したブロック図である。
【図12】第2の実施形態に係る搬送ユニットの斜視図である。
【図13】図12のA部の詳細図である。
【図14】図12のb−bにおける断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態である記録装置の、搬送ユニット20の構成を示した側面図である。本実施形態の記録装置は、記録媒体30を吸着して搬送する搬送ベルト1を備えた搬送ユニット20、矢印α方向(本実施形態においてα方向を搬送方向とする)に搬送される記録媒体30にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド21、搬送ベルト1に記録媒体30を給紙する不図示の給紙ユニットを備えている。ここでは、記録ヘッド21として、搬送方向に交差する方向における使用される記録媒体の最大記録幅と実質的に同じ長さで構成され、複数のノズルが並んだラインヘッドを用いている。ただし、これに限定するものではなく、記録ヘッドが記録媒体に沿って移動することで記録を行うシリアルタイプの記録ヘッドを用いてもよい。給紙ユニットによって搬送ユニット20へ給紙された記録媒体30は、先端検出センサ24によって先端が検出され、所定の位置に記録が行われる。
【0020】
図2は、搬送ユニット20の構成を示した側面図である。搬送ユニット20は、給紙ユニットから給紙された記録媒体30を空気で吸着して搬送する搬送ベルト1と、不図示のモータと連結され搬送ベルト1を駆動する駆動プーリ2と、従動プーリ3、4とにより構成されている。搬送ベルト1は、駆動プーリ2、従動プーリ3及び4により張架されて回転するように構成されている。従動プーリ3の搬送方向下流側には搬送ベルト1との間に記録媒体30を挟み込むピンチローラ5が配置されており、矢印β方向に搬送ベルト1が押圧されている。搬送ベルト1の内側にはプラテン6が備えられており、ダクト7を介して吸引ファン8と接続されている。ピンチローラ5の搬送ベルト1を挟んだ対向側には、ピンチローラ5の押圧力により搬送ベルト1のへこみを防ぐためにコロ9が配置されている。ピンチローラ5に対して記録媒体30の搬送方向下流側には記録媒体30の先端を検出するための先端検出センサ24が配置されており、これによって記録媒体30の先端を検出している。先端を検出された記録媒体30には、その後、記録部に設けられた記録ヘッドによって所定の箇所に記録が行われる。
【0021】
図3は、先端検出センサ24の構成を示す図である。先端検出センサ24は、反射型センサ10と透過型センサ11とを備えている。透過型センサ11は発光部11aと受光部11bとに分かれており、記録媒体30をその厚み方向に挟み込むように設置されている。透過型センサ11では、記録媒体30が無い状態では発光部11aから発せられた光は受光部11bまで届く。しかし、記録媒体30が透過型センサ11に差し掛かると、発光部11aから発せられた光は、記録媒体30によって遮られて遮光状態となり、受光部11bには届かない。よって受光部11bにて受け取る光の強弱によって記録媒体30の先端を検出することができる。反射型センサ10は、タグ紙などの発光部からの光を透過する部分が無い連続紙の先端を検出する場合に用いる。なお、反射型センサ10は、光を発光させる発光部と記録媒体で反射した光を受け取る受光部とを一体に構成したセンサである。記録媒体30がタグ紙の場合には、記録面の反対側に予めマークが設けられており、反射型センサ10は、マーク部とそれ以外の領域での反射光の違いによって先端検出を行っている。
【0022】
図4は、本発明の第1の実施形態の搬送ユニット(搬送部)の斜視図である。本実施形態では、搬送ベルト1の本数は3本用いている。搬送ベルト1の本数は記録媒体30の最大幅に応じて決定されており、適宜本数を増減することができ、単数でもよい。本実施形態の記録装置は、記録媒体を片側基準で記録するように構成されている。つまり、搬送方向に関して交差する方向(記録媒体幅方向)において、記録媒体の一方の端部が一致した状態で搬送されるように構成されている。先端検出センサ24は、記録媒体30の通紙基準側(記録媒体幅方向の基準とする一方の端部側)で、かつ搬送ベルト1の搬送方向上流端部近傍に設置されている。また、先端検出センサ24は、記録ヘッド21の搬送方向上流に配置されている。記録媒体30は、先端検出センサ24にて検出される箇所が、搬送ベルト1の上面から外れた状態で搬送される。搬送ベルト1はプラテン6によって支持されており、搬送ベルト1がプラテン6の上を摺動することによって記録媒体30が搬送される。
【0023】
図5は、図4におけるA部の詳細図である。無端状の搬送ベルト1には全周に亘って複数の吸着孔12が列をなして形成されており、個々の吸着孔12は搬送ベルト1をその厚み方向に貫通している。また吸着孔12は搬送ベルト1の幅方向に対して等間隔のピッチで設けられている。プラテン6の搬送ベルト1の走行部には、搬送ベルト1の吸着孔12の位置に合わせて、通気孔13が搬送方向に途切れることなく形成されているので、搬送方向に対して吸引が途切れることは無い。通気孔13を通して吸引ファン8によって吸引して減圧することで、通気孔13および吸着孔12を介して搬送ベルト1に記録媒体30を吸着させる。
【0024】
先端検出センサ24は、記録媒体30の通紙基準側であり、かつ搬送ベルト1の端部近傍に設置されている。記録媒体30は、先端検出センサ24にて検出される箇所が、搬送ベルト1の上面から外れた状態で搬送される。つまり、搬送ベルト1に接していない記録媒体の通紙基準側の領域が先端検出センサ24により検出される領域となる。そして、先端検出センサ24が設けられている部分のプラテン6には、先端検出センサ24の光が通過する検知窓23が設けられており、搬送ベルト1の上面から外れた記録媒体30は、この検知窓23の上を通過するように構成されている。また、15は後述する溝部である。22は後述するリブである。25は後述する幅方向リブである。
【0025】
図6は、図4のb−bにおける断面(記録媒体幅方向に沿った断面)を示した図である。搬送ベルト1はプラテン6に当接して走行している。また、プラテン6には搬送方向に沿って複数の当接部であるリブ22が設けられており、このリブ22の上面(当接面)によって搬送中の記録媒体30を支持している。リブ22は、隣り合う搬送ベルト1の間に配置されている。また、リブ22は、記録媒体幅方向に関して通紙基準側に位置する搬送ベルト1の通紙基準側に配置され、搬送ベルト1に接していない、記録媒体30の幅方向端部を支持するように配置されている。リブ22は搬送中の記録媒体30が搬送ベルト1同士の間あるいは搬送ベルト1からはみ出した部分で大きく撓むことを防止している。また、搬送ベルト1の搬送面の法線方向において、リブ22の記録媒体に当接する当接面は、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面(搬送ベルト1の記録媒体を吸着する面)よりも若干低くなるように構成されている。リブ22の当接面が、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも高い場合は、プラスチック等のように記録媒体30自体の平面度が0に近く、紙などに比べ硬い記録媒体30を搬送する際、搬送ベルト1と記録媒体30との間に隙間ができ、記録媒体30が搬送ベルト1に吸着されない不具合が発生するおそれがある。しかし、本実施形態のように、リブ22の高さを、搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも若干低くすることにより上記不具合を解消することができる。
【0026】
プラテン6の、リブ22と搬送ベルト1との間には、溝部15が形成されている。16は、搬送ベルト1の搬送面の法線方向において、リブ22の当接面及び搬送ベルト1の記録媒体30搬送面よりも低い底部である。この溝部15は、底部16、搬送ベルト1及びリブ22により囲われた空間である。溝部15は、記録媒体30が搬送ベルト1及びリブ22に当接している場合においても空間が維持されるように構成されている。このように溝部15を設けることにより、吸引ファン8により、通気孔13及び吸着孔12を介して搬送ベルト1により記録媒体30を吸着させる際、搬送ベルトとプラテン6との間の隙間から溝部15内の空気が通気孔13の方向へ移動する(図6のC方向)。このように、溝部15内の空気が通気孔13の方向へ移動することにより溝部15に大気圧より低い圧力が発生する。発生したこの圧力により、記録媒体30の、搬送ベルト1に接していない領域がプラテン6方向へ吸着される。このように溝部15を設けることにより、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた部分の吸引可能としている。図5に示すように、溝部15を形成するリブ22に、記録媒体幅方向に延びる幅方向リブ25を接続することで箱型空間を形成し、この箱型空間を記録ヘッド21の下部に位置する領域に設けてもよい。このように幅方向リブ25を設けることで、記録ヘッド21の下部を通過する記録媒体30の、搬送ベルト1に接していない領域を効果的に吸引することができる。図10は、本実施形態の記録装置における連続記録動作の際の搬送ユニット20の制御フローチャートである。以下、このフローチャートに沿って搬送ユニット20の制御を説明する。ステップS1でユーザーによってステップS1で記録開始の信号が発信されると、ステップS2で吸引ファンをONにし、その後、ステップS3で駆動部の搬送モータを駆動してステップS4で搬送開始となる。そして、ステップS5で先端検出センサによって搬送ベルト1に吸着された記録媒体の先端を検出し、ステップS6で記録媒体を所定量搬送し、記録動作を行う。
【0027】
図11は、本発明における制御手段を示したブロック図である。搬送ユニットの駆動手段、吸引ファン、先端検出センサおよび記録手段は制御手段とつながれており、それぞれが制御手段によって制御されている。
【0028】
このように、浮きや変形が生じた記録媒体が給紙された場合であっても、搬送ベルトの吸着孔およびプラテンで記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。これによって、高記録品位での記録が可能であり、記録ヘッドの損傷を防ぐことができる搬送装置およびそれを用いた記録装置を実現することができた。
【0029】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態に対しプラテン6に吸引孔14を設けている点で相違するが、他の構成は第1の実施形態と同じであり、説明は省略する。
【0030】
図12は、本発明の第2の実施形態の搬送ユニットの斜視図である。また、図13は、図12A部の詳細図である。プラテン6には、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた箇所を吸引するため、溝部15の底部に、搬送ベルト1の摺動面に対して垂直方向に開けられた吸引孔14が設けられている。搬送ベルト1の端部近傍で、搬送ベルト1に沿って複数の吸引孔14が列を成して設けられている。これらの吸引孔14は、紙先端検出センサ24よりも搬送方向下流側に吸引孔14が設けられており、記録媒体30の搬送ベルト1から外れた部分を吸引可能としている。本実施形態は、搬送ベルト1が3本の構成であるので、吸引孔14は搬送ベルトの両側に設けられているが、搬送ベルト1が1本の場合などは、搬送ベルト1の片側だけに吸引孔14が設けられていてもよい。
【0031】
図14は、図12のb−bにおける断面を示した図である。記録媒体30が吸引孔14で吸引される際、記録媒体30はリブ22に当接しているので、吸引孔14と当接することはない。
【0032】
このように、浮きや変形が生じた記録媒体が給紙された場合であっても、搬送ベルトの吸着孔およびプラテンの吸引孔で記録媒体の吸着を行い、記録ヘッド−記録媒体間距離を一定に保ち、安定した記録動作を行う。これによって、高記録品位での記録が可能であり、記録ヘッドの損傷を防ぐことができる搬送装置およびそれを用いた記録装置を実現することができた。
【符号の説明】
【0033】
1 搬送ベルト
6 プラテン
8 吸引ファン
12 吸着孔
13 通気孔
14 吸引孔
20 搬送ユニット
21 記録ヘッド
22 リブ
23 検知窓
24 先端検出センサ
30 記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸着孔を備えた無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、
前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、前記記録媒体を吸引するための吸引孔が、前記溝部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記吸引孔は前記搬送ベルトの片側もしくは両側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトは複数のベルトにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトの記録媒体を吸着する面の法線方向において、前記当接部の記録媒体が当接する当接面は、前記搬送ベルトの記録媒体を吸着する面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
透過型センサまたは反射型センサを用いて前記記録媒体の検出を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
記録媒体に記録を行う記録部と、前記記録部に記録媒体を搬送する請求項1ないし請求項6のいずれか1項の搬送装置とを備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項1】
複数の吸着孔を備えた無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部と、を備え、前記吸着孔を通じて、記録媒体を前記搬送ベルトに吸引して搬送する搬送装置において、
前記支持部は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、記録媒体の前記搬送ベルトにより吸着される面と同じ側の面が当接する、当接部を有し、前記搬送ベルトと前記当接部との間に溝部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトの搬送方向に沿って、前記記録媒体を吸引するための吸引孔が、前記溝部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記吸引孔は前記搬送ベルトの片側もしくは両側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトは複数のベルトにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトの記録媒体を吸着する面の法線方向において、前記当接部の記録媒体が当接する当接面は、前記搬送ベルトの記録媒体を吸着する面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
透過型センサまたは反射型センサを用いて前記記録媒体の検出を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
記録媒体に記録を行う記録部と、前記記録部に記録媒体を搬送する請求項1ないし請求項6のいずれか1項の搬送装置とを備えたことを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−245793(P2011−245793A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122910(P2010−122910)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]