説明

搬送装置及び画像記録装置

【課題】トレイを搬送ローラへ確実に案内でき、且つ搬送路で詰まったトレイやシートを容易に取り除くことができる画像記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録装置は、トレイを搬送する第2搬送ローラ対と、トレイを第2搬送ローラ対へ案内する左右一対の支持端部97が設けられたトレイガイド90とを備える。一対の支持端部97の間において第1搬送路の直線部が露出される。一対の支持端部97の離間距離W1は、トレイの幅よりも狭い。一対の支持端部97により、直線部が露出されるとともに、ユーザにより挿入されるトレイが第2搬送ローラ対のニップ位置へ案内される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体が載置されたトレイを搬送する搬送装置、及びこの搬送装置により搬送される被記録媒体に画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどの記録メディアである被記録媒体が載置されたトレイを搬送装置により搬送して被記録媒体に画像を記録する画像記録装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された搬送装置は、トレイが通過可能な搬送路と、搬送路においてトレイを搬送する搬送ローラと、ユーザにより搬送路へ挿入されるトレイの挿入向き下流端を搬送ローラへ案内するトレイガイドと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−30224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレイガイドによりトレイの挿入向き下流端を搬送ローラの近くまで案内すると、搬送路においてトレイが詰まった場合にトレイガイドが邪魔になりトレイを取り除くことが難しくなる。トレイガイドを搬送ローラから離すと、搬送路で詰まったトレイを取り除き易くなるが、トレイの挿入向き下流端を搬送ローラへ確実に案内できなくなり、トレイが搬送ローラで詰まるおそれが高くなる。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トレイを搬送ローラへ確実に案内でき、且つ搬送路で詰まったトレイを容易に取り除くことができる機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の搬送装置は、被記録媒体が載置されるトレイと、上記トレイが挿入される第1向きへ延びており、上記トレイが通過可能な第1搬送路と、上記第1搬送路に設けられており、上記トレイを上記第1搬送路において搬送する第1搬送ローラと、上記第1搬送路よりも上記第1向き上流側に配置されており、上記トレイの上記第1搬送ローラへの挿入を案内するトレイガイドと、を備える。上記トレイガイドは、上記トレイを支持する支持面を有するベースプレートを有する。上記ベースプレートの上記第1向き下流端は、上記第1向きと直交する第2方向の両端部が上記第1向きへ突出された形状である。
【0008】
第1搬送ローラの第1向き上流側からユーザにより第1搬送路へ挿入されたトレイの第1向き下流端は、ベースプレートの第1向き下流側の両端部により第1搬送ローラへ案内される。第1搬送路においてトレイが詰まった場合は、ユーザは、ベースプレートの第1向き下流側の両端部の間に手を入れてトレイを移動させる。つまり、ベースプレートは、トレイの第1向き下流端を第1搬送ローラへ案内でき、且つ、詰まったトレイをユーザに容易に取り除かせることができる。
【0009】
(2) 本発明の搬送装置は、上記第1搬送路において、上記第1搬送ローラよりも上記第1向き上流側に配置された第2搬送ローラと、シートが通過可能であって、上記第1搬送ローラと上記第2搬送ローラとの間において上記第1搬送路から分岐して下方へ延びる第2搬送路と、上記第2搬送路の下側のガイド面を構成しており、上記第2方向を軸として回動可能であって、上記第2搬送路の下側のガイド面となる第1姿勢、及び上記第2搬送路を開放して上記ベースプレートの一対の両端部間に進入した第2姿勢に姿勢変化可能なガイド部材と、を更に備えたであってもよい。ガイド部材が第2姿勢に姿勢変化されることにより第2搬送路が開放される。ユーザは、ガイド部材をベースプレートの一対の両端部間に進入させ、手を入れる経路からガイド部材を退避させ、第2搬送路で詰まったシートを取り除く。したがって、詰まったシートの除去が容易である。
【0010】
(3) 上記ガイド部材は、上記第2搬送ローラの軸に回動可能に支持されたものであってもよい。第2搬送ローラの前後において第1搬送路や第2搬送路を開放することができる。
【0011】
(4) シートを載置可能であって、上記ガイド部材の下方に着脱自在に配置されてシートを上記第1搬送路へ供給可能とするシート収容カセットを更に有し、上記シート収容カセットは、上記ガイド部材の下方に装着されることにより、上記ガイド部材を支持して上記第1姿勢に保持するものであってもよい。ユーザによりシート収容カセットが取り外されることにより第1搬送路及び第2搬送路が開放される。
【0012】
(5) 上記トレイガイドは、上記トレイを上記第1搬送ローラへ案内可能な第1位置と、上記第1搬送路から退避した第2位置とに移動可能であって、上記第1搬送ローラは、シートを搬送する第3位置と、上記第3位置から下降する第4位置とに移動可能であって、上記第2搬送ローラは、シートを搬送する第5位置と、上記第5位置から下降する第6位置とに移動可能であって、上記トレイガイドの上記第2位置から上記第1位置への移動と、上記第1搬送ローラの上記第3位置から上記第4位置への移動と、上記第2搬送ローラの上記第5位置から上記第6位置への移動と、を連動させる連動機構を更に備えるものであってもよい。第1搬送ローラ及び第2搬送ローラが移動可能に設けられたことにより、第1搬送路においてシート及びトレイを搬送することができる。また、シートが詰まった場合に、第1搬送ローラ及び第2搬送ローラが下降されることにより、詰まったシートの除去が更に容易になる。
【0013】
(6) 本発明は、上記搬送装置と、上記第1搬送路に設けられており、上記トレイに載置されて上記第1搬送路を搬送される被記録媒体に画像記録を行う記録部と、を備える画像記録装置として把握されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、トレイを支持するベースプレートの両端部が上記第1向きへ突出された形状であるから、トレイを第1搬送ローラへ確実に案内でき、且つ第1搬送路で詰まったトレイをユーザに容易に取り除かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の画像記録装置の斜視図である。
【図2】実施形態1のプリンタ部の模式的な断面図である。
【図3】実施形態1のプリンタ部の後部の斜視図である。
【図4】実施形態1の給紙カセットの斜視図である。
【図5】実施形態1のトレイの斜視図である。
【図6】実施形態1のプリンタ部の前部の斜視図である。
【図7】実施形態1の可動フラップの動作説明図である。
【図8】実施形態1のトレイの動作を説明する説明図である。
【図9】実施形態2のプリンタ部の模式的な断面図である。
【図10】実施形態2の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態1、2について説明がされる。なお、以下に説明される実施形態1、2は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態1、2を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、画像記録装置10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、表示部13が設けられている側を前側(正面側)として前後方向8が定義され、画像記録装置10を前側(正面側)から見て左右方向9が定義される。
【0017】
[実施形態1]
画像記録装置10は、下部のプリンタ部11と上部のスキャナ部12とを備えた概ね直方体の外形を呈しており、プリント、スキャン、コピー機能を有する複合機である。なお、スキャナ部12は任意の構成である。
【0018】
プリンタ部11の制御は不図示の制御部により行われる。制御部は、例えば基板に実装されたマイコンなどにより実現される。制御部は、不図示の入力部やパソコンなどの外部機器から入力された情報によりプリンタ部11の動作を制御してシート14(図2)や、トレイ80に載置された記録メディア84(図5)に画像を記録する。シート14は、記録用紙、光沢紙、葉書、封書などである。記録メディア84は、CD−ROMやDVD−ROMなどである。また、制御部は、プリンタ部11の動作を制御してシート14の表裏両面に画像を記録する。シート14は本発明のシートに相当する。記録メディア84が本発明の被記録媒体に相当する。トレイ80は本発明のトレイに相当する。
【0019】
シート14は、図1に示される給紙カセット15に収容される。給紙カセット15は、プリンタ部11の前面に設けられた開口19から前方へ引き出し可能にプリンタ部11の下部に収容されている。給紙カセット15は、上部が開口する扁平な直方体状の外形を呈している。給紙カセット15の上部に排紙受け18が設けられている。
【0020】
図2に示されるように、シート14は、給紙カセット15の底部16に載置される。給紙カセット15の後壁17は、底部16の後端から後方斜め上へ向かって延びている。後述の給送部20により送り出されるシート14は後壁17に案内されて後方斜め上へ向かう。
【0021】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送部20、搬送装置30、記録部40、及び不図示の駆動部を備える。駆動部は、制御部により駆動制御される複数個の駆動モータと、この駆動モータの駆動力を給送部20や搬送装置30や記録部40のキャリッジ41等に伝達する駆動伝達機構と、を備える。
【0022】
[給送部20]
給送部20は、フレーム27(図3)に回転可能に支持された支軸21、支軸21から後方斜め下へ向かって伸びるアーム22、及びアーム22に設けられた左右一対の給送ローラ23を備える。支軸21は、左右方向9に沿って延び、不図示の第1駆動モータにより回転される。アーム22は、支軸21に回動可能に一端が支持されており、他端において給送ローラ23を回転可能に支持している。アーム22は、給紙カセット15が前後方向8へスライドされる際に給紙カセット15に設けられた傾斜面49(図4)に摺接することにより回動され、給送ローラ23を給紙カセット15に収容されたシート14に押し付ける。給送ローラ23は、複数個の伝達ギア24により支軸21の回転が伝達されることにより回転され、給紙カセット15に収容されたシート14を後方へ送り出す。後方へ送り出されたシート14は搬送装置30により搬送される。
【0023】
[搬送装置30]
図2に示されるように、搬送装置30は、シート14を挟んで搬送する第1搬送ローラ対50、第2搬送ローラ対54及びスイッチバックローラ対58と、シート14が通過する空間である第1搬送路31及び第2搬送路32と、を備える。第1搬送路31及び第2搬送路32は、プラテン38や複数個のガイド部材33や後述の可動フラップ100により区画された空間である。
【0024】
第1搬送路31は、シート14が湾曲されて第1搬送向き36へ搬送される湾曲部34と、第1搬送向き36における湾曲部34の下流端から前方へ向かって直線状に延びる直線部35とを備える。直線部35は本発明の第1搬送路に相当する。
【0025】
第2搬送路32は、給紙カセット15の上方に配置されたプラテン38と給紙カセット15との間を通過し、第1搬送向き36におけるプラテン38の上流側の第1接続位置45と、下流側の第2接続位置46とにおいて第1搬送路31と接続している。第2搬送路32は本発明の第2搬送路に相当する。
【0026】
第1搬送ローラ対50は、第1搬送向き36における第1接続位置45とプラテン38との間となる位置に配置されている。第1搬送ローラ対50は、駆動部の第2駆動モータ(不図示)により回転される第1回転軸53に設けられた第1駆動ローラ51と、ばねにより第1駆動ローラ51に押圧された第1従動ローラ52と、を備える。第1駆動ローラ51は直線部35の上側に配置されている。第1従動ローラ52は直線部35の下側に配置されている。
【0027】
第2搬送ローラ対54は、第1搬送向き36におけるプラテン38と第2接続位置46との間となる位置に配置されている。第2搬送ローラ対54は、駆動部の第2駆動モータにより回転される第2回転軸57に設けられた第2駆動ローラ55と、ばねにより第2駆動ローラ55に押圧された第2従動ローラ56と、を備える。第2駆動ローラ55は直線部35の下側に配置されている。第2従動ローラ56は直線部35の上側に配置されている。第2駆動ローラ55は本発明の第1搬送ローラに相当する。
【0028】
スイッチバックローラ対58は、第1搬送向き36における第2接続位置46より下流側に配置されている。また、スイッチバックローラ対58は、排紙受け18の上方に配置されている。スイッチバックローラ対58は、駆動部の第2駆動モータにより回転される第3回転軸61に設けられた第3駆動ローラ59と、ばねにより第3駆動ローラ59に押圧された第3従動ローラ60と、を備える。第3駆動ローラ59は直線部35の下側に配置されている。第3従動ローラ60は直線部35の上側に配置されている。第3駆動ローラ59は第2搬送ローラに相当する。第3回転軸61は本発明の軸に相当する。
【0029】
給紙カセット15から給送部20により送り出されたシート14は、第1搬送ローラ対50及び第2搬送ローラ対54により第1搬送向き36へ搬送される。シート14は、プラテン38上において、後述される記録部40により画像が記録される。記録部40により一面(表面)に画像が記録されたシート14は、片面印刷の場合、スイッチバックローラ対58から排紙受け18に排出される。両面印刷の場合、記録部40により一面に画像が記録されたシート14は、第1搬送向き36における上流端(後端)が第2接続位置46を越えるまでスイッチバックローラ対58の一方の向きの回転により第1搬送向き36へ搬送された後、スイッチバックローラ対58の他方の向きの回転により第2接続位置46から第2搬送路32に進入する。シート14は、スイッチバックローラ対58により第2搬送路32を第2搬送向き39へ搬送され、第1接続位置45から第1搬送路31に進入し、表裏が反転されて第1搬送路31を第1搬送向き36へ搬送される。シート14は、記録部40により裏面に画像が記録された後、スイッチバックローラ対58から排紙受け18へ排出される。
【0030】
プラテン38、第2回転軸57及び第3回転軸61は、上下方向7へ移動可能に図3に示される左右一対のリンクプレート26に支持されている。第1従動ローラ52はプラテン38に支持されており、プラテン38と共に移動される。
【0031】
第2回転軸57に支持された第2駆動ローラ55は、第2回転軸57が下方へ移動されることにより、図2に実線で示された第3位置から図2に破線で示された第4位置へ移動される。第3回転軸61に支持された第3駆動ローラ59は、第3回転軸61が下方へ移動されることにより、図2に実線で示された第5位置から図2に破線で示された第6位置へ移動される。第3回転軸61の移動量は、第2回転軸57の移動量よりも大きく設定されており、後述されるように、ユーザにより挿入されたトレイ80は、スイッチバックローラ対58には挟まれず、第2搬送ローラ対54に挟まれて搬送される(図8(C))。第3位置及び第4位置は本発明の第3位置及び第4位置に相当する。第5位置及び第6位置は本発明の第5位置及び第6位置に相当する。
【0032】
図2に破線で示されるように、プラテン38、第2駆動ローラ55及び第3駆動ローラ59が下方へ移動されることにより第1搬送路31の直線部35が上下方向7に拡張され、直線部35においてトレイ80が通過可能となる。
【0033】
プラテン38、第2回転軸57及び第3回転軸61は、図3に示されるリンクプレート26により上下方向7へ移動される。リンクプレート26は、前後方向8に移動可能にフレーム27とプラテン38との間に設けられている。リンクプレート26は、例えば、プラテン38と、第2回転軸57を保持する第1ホルダと、第3回転軸61を保持する第2ホルダとを支持する3つの傾斜面を備える。傾斜面は、後方へ向かうにつれて下がるように形成されている。リンクプレート26が前方へ移動すると、プラテン38、第2回転軸57及び第3回転軸61が傾斜面を滑って下がる。リンクプレート26が後方へ移動すると、プラテン38、第2回転軸57及び第3回転軸61が傾斜面を滑って上がる。リンクプレート26は、後述されるトレイガイド90により前後方向8へ移動される。リンクプレート26の前端部には、トレイガイド90の第1軸93(図6)と係合する不図示の係合部が設けられている。図2に実線で示される第2位置にあるトレイガイド90がユーザにより前方へ引き出されて図2に破線で示される第1位置に移動されると、図3に示されるリンクプレート26が係合部においてトレイガイドに90に引っ張られ、図3に示された位置から前方へ移動される。トレイガイド90が第1位置から第2位置へ戻されると、係合部においてリンクプレート26はトレイガイド90に後方へ向かって押され、図3に示された位置へ戻される。リンクプレート26は本発明の連動機構に相当する。
【0034】
[記録部40]
図2に示されるように、記録部40は、プラテン38の上方に配置されたキャリッジ41と、キャリッジ41に搭載された記録ヘッド42と、を備える。キャリッジ41は、不図示のレール部材により左右方向9へ沿って移動可能に支持されている。キャリッジ41は、駆動部の第3駆動モータにより移動される。記録ヘッド42は、電力が供給されることにより、プラテン38上を通過するシート14、及びトレイ80に載置された記録メディア84へ向けてインク滴を吐出する。記録部40は本発明の記録部に相当する。
【0035】
[給紙カセット15]
給紙カセット15は、図4に示されるように、上部が開口する直方体状の外形を呈する。給紙カセット15の上部には排紙受け18が設けられている。排紙受け18の前後方向8の長さは、給紙カセット15の前後方向8の長さよりも短く、給紙カセット15の前端に寄せて配置されている。つまり、給紙カセット15の後部は上方に開放されている。この開放された空間から給送ローラ23が進入する。排紙受け18は、スイッチバックローラ対58(図2)から排出されたシート14を上面18Aで支持する。上面18Aの後端部からは、後述の可動フラップ100を支持する左右一対の支持凸部28が突出されている。給紙カセット15は本発明のシート収容カセットに相当する。
【0036】
[可動フラップ100]
図6(B)に示されるように、可動フラップ100は、スイッチバックローラ対58の第3回転軸61に回動可能に支持される左右一対の回動アーム102を備える。また、図2に示されるように、可動フラップ100は、第2搬送路32の下側ガイド面の一部を形成するガイド面101を備える。図7に示されるように、可動フラップ100は、回動されることにより、第2搬送路32の下側ガイド面を形成する第1姿勢(図7(A))、第3回転軸61から下方へ向かって垂れ下がった第3姿勢(図7(B))、及び後述のトレイガイド90の左右一対の支持端部97の間に進入した第2姿勢(図7(C))に姿勢変化する。可動フラップ100が本発明のガイド部材に相当する。第1姿勢は本発明の第1姿勢に相当する。第2姿勢は本発明の第2姿勢に相当する。
【0037】
図7(A)、(B)に示されるように、第1姿勢にある可動フラップ100は、排紙受け18に設けられた支持凸部28に支持されている。給紙カセット15がプリンタ部11から取り外されると、給紙カセット15による支持を失った可動フラップ100は、自重により第1姿勢から第3姿勢に姿勢変化する。可動フラップ100が第3姿勢に姿勢変化することにより、第2接続位置46の近傍において第1搬送路31及び第2搬送路32が露出される。
【0038】
[トレイ80]
図5に示されるように、トレイ80は、板状の樹脂成型品である。トレイ80の上面81には、記録メディア84が嵌め込まれる円形状の凹部82が設けられている。凹部82の底面の中央部からは、記録メディア84の中央部に形成された孔85に挿通される円形状の凸部83が突出されている。記録メディア84は、凹部82に嵌め込まれ、図8(C)に示されるようにトレイ80と共に搬送装置30により直線部35を搬送される。
【0039】
[トレイガイド90]
図6に示されるように、トレイガイド90は、矩形板状のベースプレート91と、ベースプレート91の上面92側に設けられた左右一対のサイドガイド95とを備える。トレイガイド90は、プリンタ部11の開口19から後方へ向かって挿入されるトレイ80をベースプレート91で支持し、左右一対のサイドガイド95によりトレイ80の斜行を防止する。トレイガイド90が本発明のトレイガイドに相当する。トレイガイド90は本発明のトレイガイドに相当する。ベースプレート91は本発明のベースプレートに相当する。上面92は本発明の支持面に相当する。トレイ80が挿入される向きである後向き47(図2)は本発明の第1向きに相当する。
【0040】
ベースプレート91の左右の側端面の後部からは、左右一対の第1軸93が突出されている。ベースプレート91の左右の側端面の前部からは、左右一対の第2軸94が突出されている。トレイガイド90は、第1軸93及び第2軸94により左右一対のサイドフレーム70に姿勢変化可能に支持されている。サイドフレーム70は、左右方向9から見て矩形且つ板状の外形を呈している。サイドフレーム70は、第1軸93が挿通される第1カム溝71、及び第2軸94が挿通される第2カム溝72を備える。トレイガイド90は、ユーザにより前方へ向かって引き出されることにより、図6(A)及び図2に実線で示された第2位置から、図6(B)及び図2に破線で示された第1位置に移動される。第1位置及び第2位置は本発明の第1位置及び第2位置に相当する。
【0041】
トレイガイド90の上面92は、図8(A)に示されるように、第2位置において第1搬送路31の直線部35の上側に位置し、図8(B)に示されるように、第1位置において直線部35の下側に位置している。図8(A)に示されるように、第2位置はシート14が搬送される姿勢である。図8(C)に示されるように、第1位置はトレイ80が搬送される姿勢である。
【0042】
図6に示されるように、トレイガイド90のベースプレート91の後端の左右両端部からは、後方へ向かって延びる左右一対の支持端部97が突出されている。支持端部97は、トレイ80の左右方向9の幅W2(図5)よりも狭い離間距離W1で離間されている。したがって、トレイ80は一対の支持端部97の間から脱落することがない。また、離間距離W1は、図6(B)に示される可動フラップ100の左右方向9の幅W3よりも広い。つまり、左右一対の支持端部97の間に可動フラップ100が進入可能である。可動フラップ100は、トレイガイド90が第1位置にある場合に一対の支持端部97の間に進入して第2姿勢となる。トレイガイド90が第2位置にあって直線部35の上側にある場合は、当然ながら、支持端部97はトレイガイド90と当接することなく第2姿勢となることができる。一対の支持端部97が離間された左右方向9は本発明の第2方向に相当する。
【0043】
図8(C)に示されるように、支持端部97は、第1位置において、開口19(図1)からユーザにより挿入されたトレイ80がスイッチバックローラ対58の第3駆動ローラ59と第3従動ローラ60との間を通過して第2搬送ローラ対54のニップ位置へ到達するようにトレイ80を案内する。一対の支持端部97は、左右方向9へ離間されているから、給紙カセット15がプリンタ部11から取り外されると、直線部35の一部を下方へ露出させる。
【0044】
[動作]
シート14への画像記録の場合、図2に示される給送ローラ23により給紙カセット15に収容されたシート14が第1搬送路31へ送り出される。送り出されたシート14は、第1搬送ローラ対50及び第2搬送ローラ対54により第1搬送向き36へ搬送される。シート14は、プラテン38上において記録部40により1行の印刷が行われた後、所定の移動量で搬送される改行が行われる。1行の印刷と改行とが交互に繰り返されてシート14に画像が記録される。
【0045】
画像が記録されたシート14は、片面印刷の場合、スイッチバックローラ対58から排出される。両面印刷の場合、記録部40により一面に画像が記録されたシート14は、スイッチバックローラ対58により第2搬送路32に送られ、第1接続位置45から第1搬送路31に進入し、表裏が反転されて第1搬送路31を第1搬送向き36へ搬送される。シート14は、記録部40により裏面に画像が記録された後、スイッチバックローラ対58から排紙受け18へ排出される。
【0046】
記録メディア84への画像記録の場合、図8(A)の第2位置にあるトレイガイド90がユーザにより前方へ引き出されて図8(B)の第1位置に姿勢変化される。図8(C)に示されるように、プリンタ部11の開口19(図1)から後方へ向かって挿入されたトレイ80は、第1位置にあるトレイガイド90のベースプレート91に支持され、且つサイドガイド95(図6)により斜行が防止される。また、トレイ80は、左右一対の支持端部97により案内されてスイッチバックローラ対58の第3駆動ローラ59と第3従動ローラ60との間を通過して第2搬送ローラ対54のニップ位置へ到達する。第2搬送ローラ対54に到達したトレイ80は、第2搬送ローラ対54により第1搬送ローラ対50へ向かって搬送され、第1搬送ローラ対50及び第2搬送ローラ対54によりプラテン38上を搬送される。記録メディア84(図5)は、記録部40の下方を通過する際に記録部40により画像が記録される。記録メディア84に画像が記録された後、トレイ80は、第2搬送ローラ対54により前方へ向かって搬送されてトレイガイド90上に戻される。
【0047】
直線部35や第2搬送路32においてシート14が詰まったときは、ユーザによりトレイガイド90が図8(A)の第2位置から図8(B)の第1位置に姿勢変化される。つまり、直線部35を上下方向7に拡張してシート14を除去し易くする。図7(A)、(B)に示されるように、ユーザは、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外す。給紙カセット15がプリンタ部11から取り外されると、給紙カセット15により支持されて第1姿勢にあった可動フラップ100が自重により回動して第3姿勢に姿勢変化する。ユーザは、図7(C)に示されるように、第3姿勢にある可動フラップ100を第2姿勢にして手を入れる経路を確保し、露出された第1搬送路31の直線部35及び第2搬送路32に手を入れ、詰まったシート14を取り除く。
【0048】
シート14がスイッチバックローラ対58で詰まった場合は、ユーザは、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外し、可動フラップ100を図7(B)の第3姿勢にし、一対の支持端部97の間から直線部35に手を入れ、詰まったシート14を取り除く。
【0049】
トレイ80が直線部35で詰まった場合は、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外し、シート14の場合と同様にしてスイッチバックローラ対58の前後において直線部35を露出させ、詰まったトレイ80を前方へ移動させて取り除く。
【0050】
[実施形態1の効果]
本実施形態では、トレイガイド90に左右一対の支持端部97が設けられたことにより、ユーザにより挿入されたトレイ80をスイッチバックローラ対58の第3駆動ローラ59と第3従動ローラ60との間を通過させて第2搬送ローラ対54のニップ位置に到達するように案内でき、且つ、スイッチバックローラ対58の前方において直線部35を露出させることができる。その結果、トレイ80を案内でき、且つ詰まったシート14やトレイ80を取り除きやすい画像記録装置10が実現される。
【0051】
また、本実施形態では、可動フラップ100が設けられることにより、スイッチバックローラ対58の後方において直線部35及び第2搬送路32を露出させることができる。また、本実施形態では、可動フラップ100を左右一対の支持端部97の間に進入させることにより、ユーザが手を入れる経路から可動フラップ100を退避させることができる。その結果、詰まったシート14やトレイ80を更に取り除き易くなる。
【0052】
また、本実施形態では、給紙カセット15により第1姿勢にある可動フラップ100を支持するから、給紙カセット15がプリンタ部11から取り外されることで可動フラップ100が第1姿勢から第3姿勢に自動的に姿勢変化する。つまり、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外すだけで直線部35及び第2搬送路32を露出させることができ、使い勝手が良い。
【0053】
[実施形態2]
実施形態2では、両面印刷機能を有さず、スイッチバックローラ対58、第2搬送路32及び可動フラップ100が設けられていない構成の画像記録装置10が説明される。本実施形態では、図9に示されるように、トレイガイド90は、第2搬送ローラ対54より第1搬送向き36の下流側であって、第2搬送ローラ対54の近くに配置されている。トレイガイド90は、実施形態1と同様に、図9に実線で示される第1位置及び図9に破線で示される第2位置に姿勢変化可能にサイドフレーム70(図6)に支持されている。一対の支持端部97は、第1位置においてトレイ80を第2搬送ローラ対54のニップ位置へ案内するように設けられている。図10(A)に示されるように、第2位置は、シート14が搬送される姿勢である。図10(C)に示されるように、第1位置は、トレイ80が搬送される姿勢である。
【0054】
[動作]
図10(A)に示されるように、画像が記録されたシート14は第2搬送ローラ対54から排紙受け18(図9)に排出される。記録メディア84(図5)に画像が記録される場合は、ユーザによりトレイガイド90が引き出され、図10(B)に示される第1位置にトレイガイドが移動される。図10(C)に示されるように、開口19(図1)から挿入されたトレイ80は、トレイガイド90の一対の支持端部97により第2搬送ローラ対54のニップ位置へ案内される。トレイ80は、第2搬送ローラ対54により第1搬送ローラ対50(図9)へ搬送され、第1搬送ローラ対50及び第2搬送ローラ対54に搬送される。記録メディア84は、記録部40(図9)の下方を通過する際に記録部40によりインク滴が吐出され、画像が記録される。記録メディア84に画像が記録されると、トレイ80は、第2搬送ローラ対54により前方へ搬送されてトレイガイド90上に戻される。
【0055】
直線部35においてシート14が詰まったときは、ユーザによりトレイガイド90が第2位置から第1位置に姿勢変化される。つまり、直線部35を上下方向7に拡張してシート14を除去し易くする。ユーザは、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外し、開口19(図1)を介してトレイガイド90の一対の支持端部97間に手を入れ、詰まったシート14を除去する。トレイ80が直線部35において詰まったときは、シート14の場合と同様に、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外し、開口19を介して一対の支持端部97間に手を入れ、詰まったトレイ80を前方へ移動させて除去する。
【0056】
[実施形態2の効果]
本実施形態では、トレイガイド90に左右一対の支持端部97が設けられたことにより、ユーザにより挿入されたトレイ80を第2搬送ローラ対54のニップ位置へ案内でき、且つ、第2搬送ローラ対54の前方において直線部35を露出させることができる。その結果、トレイ80を案内でき、且つ詰まったシート14やトレイ80を取り除きやすい画像記録装置10が実現される。
【0057】
[変形例]
実施形態1では、スイッチバックローラ対58に可動フラップ100が回動可能に支持された例が説明されたが、可動フラップ100は、他の部材に回動可能に支持されてもよい。
【0058】
また、実施形態1では、第1姿勢にある可動フラップ100が給紙カセット15に支持される構成が説明されたが、例えば、第1姿勢にある可動フラップ100を係止する係止部材がプリンタ部11に設けられてもよい。ユーザは、給紙カセット15をプリンタ部11から取り外した後、係止部材による可動フラップ100の係止を解除して、可動フラップ100を姿勢変化させる。
【0059】
また、実施形態1、2では、トレイガイド90が移動可能に設けられた例が説明されたが、トレイガイド90がトレイを案内する第1位置に固定された構成を採用することもできる。この構成では、トレイガイド90は、スイッチバックローラ対58(実施形態1の場合)又は第2搬送ローラ対54(実施形態2の場合)から離間されて配置されており、第1搬送路31を搬送された画像記録後のシート14は、トレイガイド90と、スイッチバックローラ対58又は第2搬送ローラ対54との間の隙間から排紙受け18に排出される。この構成においても、実施形態1や2と同様に、直線部35や第2搬送路32を露出されて詰まったシート14やトレイ80を容易に除去することができる。
【符号の説明】
【0060】
9・・・左右方向(第2方向)
10・・・画像記録装置
14・・・シート
15・・・給紙カセット(シート収容カセット)
31・・・第1搬送路
32・・・第2搬送路
40・・・記録部
55・・・第2駆動ローラ(第1搬送ローラ)
59・・・第3駆動ローラ(第2搬送ローラ)
80・・・トレイ
84・・・記録メディア(被記録媒体)
90・・・トレイガイド
91・・・ベースプレート
92・・・上面(支持面)
97・・・一対の支持端部
100・・可動フラップ(ガイド部材)
101・・ガイド面(下側ガイド面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が載置されるトレイと、
上記トレイが挿入される第1向きへ延びており、上記トレイが通過可能な第1搬送路と、
上記第1搬送路に設けられており、上記トレイを上記第1搬送路において搬送する第1搬送ローラと、
上記第1搬送路よりも上記第1向き上流側に配置されており、上記トレイの上記第1搬送ローラへの挿入を案内するトレイガイドと、を備えており、
上記トレイガイドは、上記トレイを支持する支持面を有するベースプレートを有しており、
上記ベースプレートの上記第1向き下流端は、上記第1向きと直交する第2方向の両端部が上記第1向きへ突出された形状である搬送装置。
【請求項2】
上記第1搬送路において、上記第1搬送ローラよりも上記第1向き上流側に配置された第2搬送ローラと、
シートが通過可能であって、上記第1搬送ローラと上記第2搬送ローラとの間において上記第1搬送路から分岐して下方へ延びる第2搬送路と、
上記第2搬送路の下側のガイド面を構成しており、上記第2方向を軸として回動可能であって、上記第2搬送路の下側のガイド面となる第1姿勢、及び上記第2搬送路を開放して上記ベースプレートの一対の両端部間に進入した第2姿勢に姿勢変化可能なガイド部材と、を更に備えた請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記ガイド部材は、上記第2搬送ローラの軸に回動可能に支持されたものである請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
シートを載置可能であって、上記ガイド部材の下方に着脱自在に配置されてシートを上記第1搬送路へ供給可能とするシート収容カセットを更に有し、
上記シート収容カセットは、上記ガイド部材の下方に装着されることにより、上記ガイド部材を支持して上記第1姿勢に保持するものである請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記トレイガイドは、上記トレイを上記第1搬送ローラへ案内可能な第1位置と、上記第1搬送路から退避した第2位置とに移動可能であって、
上記第1搬送ローラは、シートを搬送する第3位置と、上記第3位置から下降する第4位置とに移動可能であって、
上記第2搬送ローラは、シートを搬送する第5位置と、上記第5位置から下降する第6位置とに移動可能であって、
上記トレイガイドの上記第2位置から上記第1位置への移動と、上記第1搬送ローラの上記第3位置から上記第4位置への移動と、上記第2搬送ローラの上記第5位置から上記第6位置への移動と、を連動させる連動機構を更に備える請求項2から4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置と、
上記第1搬送路に設けられており、上記トレイに載置されて上記第1搬送路を搬送される被記録媒体に画像記録を行う記録部と、を備える画像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−152912(P2012−152912A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11369(P2011−11369)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】