説明

搬送装置

【課題】物品の搬送時に、搬送ベルト上における物品の位置がずれるのを確実に防止することのできる搬送装置を提供する。
【解決手段】少なくとも磁性体により形成された磁性部5aを具備する物品Wを、間欠駆動される搬送ベルト11の表面上に載置して搬送する搬送装置1において、搬送ベルト11の裏面側に、搬送ベルト11による物品Wの搬送方向Aに沿って所定長さに亘って固定配置された磁石14を設け、磁石11の磁力によって搬送ベルト11上に物品Wを吸着保持した状態で搬送可能に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に係り、特に、少なくとも磁性体により形成された磁性部を具備する物品を搬送ベルト上に載置して撮影位置まで搬送し、撮影位置において物品をカメラで撮影して検査を行う検査装置に好適な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の搬送を搬送ベルトにより行う搬送装置が知られている。この搬送装置は、例えば、物品を搬送ベルト上に載置して撮影位置まで搬送し、撮影位置において物品をカメラで撮影して検査(良否の判定)を行う検査装置に用いられている。
【0003】
このような検査装置は、物品を載置して搬送するための搬送ベルトを備えた搬送装置と、物品を撮影するためのカメラとを主として構成されている。また、カメラは、搬送ベルトによる物品の搬送経路を臨むように固定配置されている。そして、搬送ベルトを間欠駆動することにより、搬送ベルトの表面上に物品を所定の間隔で載置して搬送方向に沿って搬送するとともに、載置した物品を搬送経路の途中に向けられたカメラによる撮影位置まで搬送し、撮影位置において物品を順次撮影して検査を行うようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−021308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の搬送装置においては、搬送ベルトが間欠駆動されるので、特に物品が軽量の場合、搬送ベルトの駆動時および停止時の一方あるいは双方で、物品の慣性により搬送ベルトの表面上で物品が滑ってしまい、カメラによる撮影位置に対して物品を正確に停止させることができない場合があるという問題点があった。
【0006】
そして、物品が撮影位置に正確に停止せずに、撮影位置がずれた場合、カメラにより物品を撮影したときに、物品の一部がカメラによる撮影範囲から外れてしまい、物品の正確な画像を得ることができず、物品の正確な検査を行うことができない場合があるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、物品の搬送時に、搬送ベルト上における物品の位置がずれるのを確実に防止することのできる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の搬送装置の特徴は、少なくとも磁性体により形成された磁性部を具備する物品を、間欠駆動される搬送ベルトの表面上に載置して搬送する搬送装置において、前記搬送ベルトの裏面側に、前記搬送ベルトによる物品の搬送方向に沿って所定長さに亘って固定配置された磁石を備えており、前記物品は、前記磁石の磁力によって前記搬送ベルト上に吸着保持された状態で搬送可能に形成されている点にある。
【0009】
本発明の搬送装置においては、前記磁石の前記搬送ベルトによる搬送経路の末尾側の後端部は、搬送方向に対して直交する幅方向の寸法が搬送方向の下流側に向かうにしたがって漸減するように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明の搬送装置によれば、磁石は、搬送ベルトを介して物品の磁性部を吸引するので、物品を搬送ベルトの表面上に吸着保持させることができる。そして、搬送ベルトは、物品を搬送ベルトの表面上に吸着保持させた状態で搬送するので、搬送ベルトの駆動時および停止時の一方あるいは双方で、物品の慣性により搬送ベルトの表面上で物品が滑るのを確実に防止することができる。その結果、物品の搬送時に、搬送ベルト上における物品の位置がずれるのを確実に防止することができるなどの優れた効果を奏する。
【0011】
請求項2に記載の本発明の搬送装置によれば、物品を搬送ベルトの表面上に吸着保持させるための磁石の磁力による吸引力を、搬送方向の下流側に向かうにしたがって徐々に小さくすることができる。その結果、搬送ベルトにより搬送される物品は、搬送方向の下流側において、磁石の磁力による吸引力から徐々に解放されるので、磁石の後端で搬送ベルトから置き去りにされることなく、搬送経路の最後まで円滑に搬送されることになるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る搬送装置の実施形態を検査装置に設置した状態の要部を示す構成図
【図2】図1の固定支持板の要部を示す平面図
【図3】図1のZ−Z線に沿った断面図
【図4】物品を倒立状態に載置した状態を示す図3と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0014】
図1から図4は本発明に係る搬送装置の実施形態を示すものであり、図1は検査装置に設置した状態の要部を示す構成図、図2は図1の固定支持板の要部を示す拡大平面図、図3は図1のZ−Z線に沿った断面図、図4は物品を倒立状態に載置した状態を示す図3と同様の図である。
【0015】
本実施形態は、バルブステムシールの検査(良否の判定)を行う検査装置に用いられる搬送装置を例示している。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の検査装置1は、搬送装置2と、撮像装置3とを有している。
【0017】
ここで、本実施形態の検査装置により検査する物品について図1および図3により説明する。
【0018】
本実施形態の検査装置1により検査する物品Wとしては、自動車などの内燃機関に搭載されているエンジンのバルブガイドに装着され、バルブステムとバルブガイドとの焼き付きを防止するために適量の潤滑油を供給するバルブステムシール4が用いられている。このバルブステムシール4は、図1および図3に示すように、断面ほぼ倒立L字状に形成された補強環5を有している。この補強環5は、冷間圧延鋼板(SPCC)により形成されており、磁石により吸引可能な磁性体により形成された磁性部5aとされている。そして、補強環5の図3上方に示す内向きフランジ部5bの内周部には、ゴム様弾性体などで形成されたシールリップ6が一体に形成されている。また、シールリップ6のリップ先端部6aの背面には、シールリップ6をバルブステムに向けて常に確実に付勢するための環状に形成されたガータースプリング7が装着されている。このガータースプリングは、硬鋼線(SWB)により形成されており、磁石により吸引可能な磁性体により形成された磁性部7aとされている。
【0019】
すなわち、本実施形態の物品Wとしてのバルブステムシール4には、補強環5およびガータースプリングの2つの磁性部5a、7aを備えている。
【0020】
なお、物品Wとしては、バルブステムシール4に限らず、少なくとも磁石により吸引可能な磁性体により形成された磁性部を具備するものであればよい。
【0021】
図1に戻って、搬送装置2は、検査に供する物品Wとしてのバルブステムシール4を表面上に載置して搬送する搬送ベルト11を備えている。この搬送ベルト11は、布、ゴムを単独あるいは組み合わせた非磁性体により無端環状に形成されている。また、搬送ベルト11は、図1に示す駆動プーリ12および図示しない従動プーリからなる1対のベルトプーリのそれぞれの外周に掛け回されている。
【0022】
前記駆動プーリ12には、図示しない駆動モータが接続されており、駆動モータの駆動力によって間欠駆動可能に形成されている。そして、駆動モータの駆動力をもって駆動プーリ12を間欠駆動させることにより、搬送ベルト11を間欠駆動させることができるようになっている。そして、搬送ベルト11を間欠駆動させることにより、搬送ベルト11の表面上に所定の間隔でバルブステムシール4を載置して、この所定の間隔に対応したピッチで搬送ベルト11による搬送経路(以下、単に、搬送経路と記す。)を図1の矢印にて示す搬送ベルト11による搬送方向A(以下、単に、搬送方向Aと記す。)に沿って順次搬送することができるように形成されている。なお、駆動モータの駆動タイミングおよび駆動時間などの動作制御は、例えば、図示しないCPUおよびメモリを備えた制御部によって行われるように形成されている。
【0023】
前記搬送ベルト11の裏面側、詳しくは搬送ベルト11の内部空間における駆動プーリ12と従動プーリとの間には、固定支持板16がベルト11の長手方向に固定されており、この固定支持板16の上面にバルブステムシール4の補強環5を吸引するための磁石としての磁石板14が固定されている。この磁石板14は、搬送方向Aに沿って所定長さに亘って配置されている。また、磁石板14の搬送方向Aに沿った長さ方向の両端、すなわち、搬送経路の先頭側の端部である先端部と、搬送経路の末尾側の端部である後端部14aとの位置としては、図示しない先端部を搬送ベルト11にバルブステムシール4を載置する載置位置(図示せず。図1の右側)よりも搬送方向Aの上流側に配置し、後端部14aを後述するカメラでバルブステムシール4を撮影する撮影位置PPよりも搬送方向Aの下流側に配置されている。
【0024】
なお、この構成においては、磁石板14がバルブステムシール4を吸引する吸引力が強すぎると、バルブステムシール4は搬送ベルト11とともに搬送されず置き去りにされてしまうことになるので、吸引力を適当な強さ、すなわち吸引時に搬送ベルト11とバルブステムシール4との間に生じる摩擦力よりも小さく設定することが、搬送ベルト11上に載置されたバルブステムシール4を搬送ベルト11とともに円滑に搬送させるために肝要である。
【0025】
前記磁石板14の搬送方向Aに対して直交する幅方向(図2の上下方向:図3の左右方向)の寸法である磁石幅MWは、図3に示すように、搬送ベルト11の幅方向(図2の上下方向:図3の左右方向)の寸法であるベルト幅BWより小さく形成されている。また、磁石板14の後端部14aは、その磁石幅MWが搬送方向Aの下流側に向かうにしたがって漸減するように形成されている。本実施形態における磁石板14の後端部14aは、図2に示すように、図2の左端を長さの短い上辺とする平面ほぼ左横向き台形をなすように形成されている。すなわち、磁石板14の相対する幅方向の両端面が、搬送経路の末尾側(図2の左側)に向かうにともなって幅方向の中央側に傾斜したテーパをなすように形成されている。
【0026】
前記磁石板14と固定支持板16とをさらに説明すると、固定支持板16の上面に磁石板14の上面が面一になるように配設されている。そして、図3に示すように、固定支持板16の幅方向(図2の上下方向:図3の左右方向)の寸法である支持板幅PWは、ベルト幅BWより大きく形成されている。また、固定支持板16は、取付板を介してフレーム(共に図示せず。)に着脱可能に取り付けられており、搬送ベルト11の裏面側に、搬送ベルト11によるバルブステムシール4の搬送方向Aに沿って所定長さに亘って磁石板14を固定配置できるように形成されている。なお、固定支持板16としては、磁性体および樹脂などの非磁性体のどちらでもよい。また、磁石板14および固定支持板16は、搬送ベルト11を裏面側から支持するので、搬送経路を直線状に規制するガイドとして機能もする。
【0027】
図1に戻って、前記撮像装置3は、検査に供するバルブステムシール4を撮影するためのカメラ18を備えている。このカメラ18は、搬送経路を上方から臨むように配置されている。このカメラ18は、取付板を介してフレーム(共に図示せず。)に着脱可能に取り付けられている。そして、搬送ベルト11により搬送されるバルブステムシール4は、カメラ18の下方に設けられた撮影位置PPで停止可能に形成されている。
【0028】
したがって、カメラ18は、撮影位置PPで停止するバルブステムシール4を順次撮影することができるように形成されている。
【0029】
前記カメラ18は、例えば、CCDイメージセンサあるいはCMOSイメージセンサなどの撮像素子と撮像レンズ(共に図示せず。)を主として形成されている。このカメラ18としては、バルブステムシール4を撮影することのできるものであればよく、アナログおよびデジタルのいずれでもよいし、カラーカメラおよびモノクロカメラのどちらでもよい。そして、カメラ18で撮影されたバルブステムシール4の画像の画像データは、図示しない画像処理装置に送出され、画像データに基づいて各種の検査が行われることになる。
【0030】
なお、カメラ18によるバルブステムシール4の撮影タイミングなどの動作制御は、図示しないCPUおよびメモリを備えた制御部によって行われるように形成されている。
【0031】
また、バルブステムシール4の検査は、外面およびシールリップ6周辺などを検査するために、図1および図3に示すように、バルブステムシール4の補強環5の開口端が搬送ベルト11の表面に対向して当接するように起立状態で搬送ベルト11に載置する場合と、内面などを検査するために、図4に示すように、バルブステムシール4の補強環5の開口端が上方を向いた倒立状態で搬送ベルト11に載置する場合とがある。
【0032】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0033】
本実施形態の検査装置1によるバルブステムシール4の検査は、まず、搬送装置2の搬送ベルト11を間欠駆動する。この搬送ベルト11の間欠駆動は、制御部により駆動モータを駆動制御して、駆動プーリ12を図1の矢印にて示す反時計方向Bへ所定時間回転させることで行う。また、搬送ベルト11の停止中に、載置位置にバルブステムシール4を供給して、搬送ベルト11の表面上にバルブステムシール4を載置する。このバルブステムシール4の供給は、例えば、ロボットアーム、あるいは自動部品整列供給装置により行われる。また、バルブステムシール4の載置状態としては、図3に示す起立状態と、図4に示す倒立状態とがある。
【0034】
ここで、搬送ベルト11の表面上にバルブステムシール4を載置すると、搬送ベルト11の裏面側に固定配置された磁石板14の磁力が搬送ベルト11を透過してバルブステムシール4を起立状態で搬送ベルト11に載置した場合には、バルブステムシール4の磁性部5aである補強環5を主として吸引する。この磁石板14が補強環5を吸引する吸引力により、バルブステムシール4は、搬送ベルト11の表面に押さえ付けられるように起立状態で吸着保持されることになる。なお、バルブステムシール4を倒立状態で搬送ベルト11に載置した場合には、バルブステムシール4の磁性部7aであるガータースプリング7を主として吸引する。
【0035】
したがって、バルブステムシール4の搬送は、バルブステムシール4が搬送ベルト11の表面上に起立状態または倒立状態に吸着保持された状態で行われることになる。
【0036】
この時、磁石板14がバルブステムシール4の補強環5を吸引する吸引力が、搬送ベルト11とバルブステムシール4との間の摩擦力よりも小さくなるように設定されているので、バルブステムシール4が搬送ベルト11から置き去りにされることがない。すなわち、搬送ベルト11が移動したときには、搬送ベルト11の表面上に載置されたバルブステムシール4が搬送ベルト11とともに移動することになる。
【0037】
また、バルブステムシール4が搬送ベルト11の表面上に吸着保持された状態で搬送されるので、搬送ベルト11の駆動時および停止時の一方あるいは双方で、バルブステムシール4の慣性により、搬送ベルト11の表面上でバルブステムシール4が滑って位置ずれを発生することがない。
【0038】
したがって、バルブステムシール4は、搬送ベルト11の表面上の定位置から動くことなく、定位置でしっかりと保持された状態で搬送方向Aに搬送される。
【0039】
また、バルブステムシール4は、搬送ベルト11の表面上に吸着保持された状態で搬送されるので、図4に示すように、バルブステムシール4を倒立状態、すなわち、大径部を上とし、小径部を下にして搬送ベルト11に当接させた重心が高い状態で搬送ベルト11に載置した場合であっても、搬送時にバルブステムシール4が転倒することはない。
【0040】
そして、搬送ベルト11の表面上に吸着保持されたバルブステムシール4は、搬送ベルト11により搬送経路を搬送方向Aに沿って移動と停止とを繰り返しながら搬送される。
【0041】
前記バルブステムシール4は、搬送ベルト11による搬送の途中で、撮影位置PPに到達し、停止する。この搬送ベルト11の停止中に、カメラ18によるバルブステムシール4の撮影を行う。このカメラ18によるバルブステムシール4の撮影は、制御部によりカメラ18を駆動制御することで行う。
【0042】
前記カメラ18で撮影されたバルブステムシール4の画像の画像データは、画像処理装置に送出され、画像データの良否が判定される。これにより、カメラ18で撮影したバルブステムシール4の良否が判定されることになる。
【0043】
したがって、搬送ベルト11が停止したときには、載置位置では搬送ベルト11の表面上へのバルブステムシール4の載置動作が行われ、撮影位置PPにおいては搬送ベルト11の表面上に吸着保持されたバルブステムシール4のカメラ18による撮影動作が行われる。
【0044】
なお、撮影位置PPにおけるバルブステムシール4の有無を、光センサ、近接センサなどで検出することにより、撮影位置PPにバルブステムシール4が無い場合には、カメラ18による撮影動作、ひいてはバルブステムシール4の検査を実行しないように形成することができる。
【0045】
前記搬送ベルト11により搬送されるバルブステムシール4は、撮影位置PPを通過すると、搬送経路の末尾まで搬送されることになる。そして、搬送ベルト11により搬送されるバルブステムシール4は、 搬送経路の末尾側で、磁石板14の後端部14aを通過する。この時、バルブステムシール4を搬送ベルト11の表面上に吸引保持している磁石板14による吸引力が急激に低下すると、磁石板14の後端部14aの端縁でバルブステムシール4が吸着されたままとなって搬送ベルト11から置き去りにされる状態となる場合がある。
【0046】
そこで、本実施形態における磁石板14の後端部14aは、その磁石幅MWが搬送方向Aの下流側に向かうにしたがって漸減するように形成してある。すなわち、磁石板14の搬送ベルト11による搬送経路の末尾側の端部である後端部14aは、搬送方向Aに対して直交する幅方向の寸法が搬送方向Aの下流側に向かうにしたがって漸減するように形成してある。これにより、バルブステムシール4を搬送ベルト11の表面上に吸着保持させるための磁石板14の磁力による吸引力を、搬送方向Aの下流側に向かうにしたがって徐々に小さくすることができる。その結果、搬送ベルト11により搬送されるバルブステムシール4は、搬送方向Aの下流側において、磁石板14の磁力による吸引力から徐々に解放されるので、磁石板14の後端で搬送ベルト11から置き去りにされることなく、搬送経路の最後まで円滑に搬送されることになる。
【0047】
したがって、磁石板14が配置されている部分、すなわち、少なくとも搬送経路の載置位置から撮影位置PPまでの間は、搬送ベルト11上におけるバルブステムシール4の位置ずれおよび/または転倒を確実に防止することができる。
【0048】
このように本実施形態の搬送装置2によれば、磁石板14は、搬送ベルト11を介してバルブステムシール4の補強環5および/またはガータースプリング7を吸引するので、バルブステムシール4を搬送ベルト11の表面上に吸着保持させることができる。そして、搬送ベルト11は、バルブステムシール4を搬送ベルト11の表面上に吸着保持させた状態で搬送するので、搬送ベルト11の駆動時および停止時の一方あるいは双方で、バルブステムシール4の慣性により搬送ベルト11の表面上でバルブステムシール4が滑るのを確実に防止することができる。その結果、搬送ベルト11上におけるバルブステムシール4の位置がずれるのを確実に防止することができる。
【0049】
また、本実施形態の搬送装置2によれば、バルブステムシール4の補強環5および/またはガータースプリング7、ひいてはバルブステムシール4を搬送ベルト11の表面上に吸着保持させるための磁石板14の磁力による吸引力を、搬送方向Aの下流側に向かうにしたがって徐々に小さくすることができるから、搬送ベルト11により搬送されるバルブステムシール4は、搬送方向Aの下流側において、磁石板14の磁力による吸引力から徐々に解放されるので、磁石板14の後端で搬送ベルト11から置き去りにされることなく、搬送経路の最後まで円滑に搬送される。
【0050】
したがって、本実施形態の搬送装置2を備えた検査装置1によれば、搬送装置2により、バルブステムシール4を搬送ベルト11による搬送経路の途中に設けられた撮影位置PPに、位置ずれすることなく、正確に停止させることができるので、カメラ18によりバルブステムシール4を撮影したときに、バルブステムシール4の正確な画像を得ることができる。その結果、バルブステムシール4の正確な検査を行うことができる。
【0051】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 検査装置
2 搬送装置
3 撮像装置
4 バルブステムシール
5 補強環
7 ガータースプリング
5a、7a 磁性部
11 搬送ベルト
12 駆動プーリ
14 磁石板
14a 後端部
16 固定支持板
18 カメラ
W 物品
A 搬送方向
PP 撮影位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも磁性体により形成された磁性部を具備する物品を、間欠駆動される搬送ベルトの表面上に載置して搬送する搬送装置において、
前記搬送ベルトの裏面側に、前記搬送ベルトによる物品の搬送方向に沿って所定長さに亘って固定配置された磁石を備えており、
前記物品は、前記磁石の磁力によって前記搬送ベルト上に吸着保持された状態で搬送可能に形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記磁石の前記搬送ベルトによる搬送経路の末尾側の後端部は、搬送方向に対して直交する幅方向の寸法が搬送方向の下流側に向かうにしたがって漸減するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−235263(P2010−235263A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85298(P2009−85298)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000143307)株式会社荒井製作所 (100)
【Fターム(参考)】