説明

搬送装置

【課題】 搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、搬送物を安定して搬送することが可能な装置を提供する。
【解決手段】 一端に供給口8を有し、他端に排出口9を有する第1ケーシング3と、第1ケーシング3内に回転可能に設けられ内側スクリュー羽根17と、第1ケーシング3内の内側スクリュー羽根17の外側に設けられるとともに、内側スクリュー羽根17と逆向きに回転可能な外側スクリュー羽根16からなり、供給口8から第1ケーシング3内に供給された搬送物を排出口9に向けて搬送するスクリュー搬送体15とからなる第1搬送手段2と、第1ケーシング3の排出口9に接続されるとともに、排出口9から排出される搬送物を吸い込んで、第1ケーシング3と別系統の第2ケーシング55に圧送する圧送手段40と、排出口9と圧送手段40との間を開閉する開閉手段50とからなる第2搬送手段30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送する搬送装置に関し、特に、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに搬送物を安定して搬送するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物を搬送する搬送装置の一例として、一端に供給口を有し他端に排出口を有するケーシングと、ケーシング内に設けられるとともに、互いに逆方向に回転可能な一対のスクリュー羽根を有するスクリュー搬送体とを備えた搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような構成の搬送装置によれば、供給口からケーシング内に搬送物を供給し、スクリュー搬送体の一対のスクリュー羽根を互いに逆方向に回転させることにより、ケーシング内に供給した搬送物を供給口から排出口に向けて搬送し、排出口からケーシング外に排出させることができる。
【0004】
ところで、上記のような構成の搬送装置にあっては、対象とする搬送物の粘稠度が低くなる程、ケーシング内に圧力が発生しにくくなり、推力が低下するため、粘稠度の低い水のような物性の場合には搬送するのが困難になる。逆に、対象とする搬送物の粘稠度が高くなる程、ケーシング内に高い圧力を発生させることができ、強い推力が得られるので、搬送物を強力に吐出することができる。
【0005】
搬送物を搬送する搬送装置の他例が非特許文献1に記載されている。この搬送装置は、例えば、コンクリートミキサー車で現場に搬入したコンクリートをコンクリート打設位置まで圧送するピストン式のポンプであって、コンクリートミキサー車から供給されるコンクリートを貯留させるホッパと、ホッパに貯留されたコンクリートをホッパの底部から吸い込み、圧送する一対の圧送シリンダと、一対の圧送シリンダとホッパとの間を開閉するスイングバルブと、スイングバルブに接続される圧送管とを備えている。
【0006】
このような構成のピストン式のポンプにあっては、コンクリートミキサー車からホッパ内にコンクリートを供給し、一対の圧送シリンダ及びスインブバルブを駆動させることにより、ホッパ内のコンクリートを圧送管を介して打設位置まで連続して圧送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−220010号公報
【非特許文献1】極東開発工業株式会社、ホームページ、[online]、[平成21年6月4日検索]、インターネット<http://www.kyokuto.com./product/kensetu/pump/index.shtml>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような構成のピストン式のポンプにあっては、対象とする搬送物がコンクリートや水等のように粘稠度が低いものの場合には、安定して搬送することができるが、対象とする搬送物が汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高いものの場合には、搬送物をホッパから圧送シリンダ内に吸い込むことができず、搬送物を圧送シリンダ及び圧送管を介して圧送することができない。
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、粘稠度の異なる各種の搬送物を安定して搬送することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、搬送物の供給口を一端に有し、排出口を他端に有する第1ケーシングと、該第1ケーシング内に回転可能に設けられる螺旋状の内側スクリュー羽根と、前記第1ケーシング内の前記内側スクリュー羽根の外側に設けられるとともに、前記内側スクリュー羽根とは逆向きの螺旋状をなし、かつ前記内側スクリュー羽根と逆向きに回転可能な外側スクリュー羽根からなり、前記供給口から前記第1ケーシング内に供給された搬送物を前記排出口に向けて搬送するスクリュー搬送体とからなる第1搬送手段と、前記第1ケーシングの排出口に接続されるとともに、前記排出口から排出される前記搬送物を吸い込んで、前記第1ケーシングと別系統の第2ケーシングに圧送する圧送手段と、前記排出口と前記圧送手段との間を開閉する開閉手段とからなる第2搬送手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の搬送装置によれば、第1搬送手段の第1ケーシング内に供給された搬送物は、スクリュー搬送体の内側スクリュー羽根と外側スクリュー羽根との回転により、第1ケーシング内を一端側の供給口から他端側の排出口に向かって搬送されるとともに、排出口から強制的に吐出されて第2搬送手段の圧送手段によって吸い込まれ、第1ケーシングと別系統の第2ケーシングに圧送されることになる。
【0012】
この場合、第1ケーシングの排出口から排出される搬送物は、第1搬送手段のスクリュー搬送体の内側スクリュー羽根と外側スクリュー羽根との協働により、第1ケーシングの排出口から強制的に吐出され、この吐出力と第2搬送手段の圧送手段の吸引力との相乗作用により、第1ケーシングから第2ケーシングに搬送物が強制的に圧送されることになる。従って、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、粘稠度の異なる各種の搬送物を安定して搬送することができ、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い搬送物でも、水のように粘稠度の低い搬送物でも、安定して搬送することができる。
【0013】
また、スクリュー搬送体の内側スクリュー羽根と外側スクリュー羽根とを互いに逆向きに回転可能に構成したので、両スクリュー羽根と搬送物とが共回りして排出口から第2搬送手段への搬送物の排出が困難になるようなことはなく、さらに、水のように粘稠度の低い搬送物であっても、第2搬送手段の圧送手段の吸引力を阻害するようなことはなく、さらに、粘稠度の高い搬送物であっても、開閉手段による排出口と圧送手段との間の開閉に支承を来たすようなことはなく、粘稠度の高い搬送物であっても、強い吐出力で第1搬送手段から第2搬送手段に搬送することができる。
【0014】
また、本発明において、前記圧送手段は、前記第1ケーシングの排出口から排出される搬送物を吸い込み、前記第2ケーシングに圧送する一対のピストンポンプを有し、前記開閉手段は、前記一方のピストンポンプと前記排出口とを連通し、前記他方のピストンポンプと前記第2ケーシングとを連通する位置と、前記一方のピストンポンプと前記第2ケーシングとを連通し、前記他方のピストンポンプと前記排出口とを連通する位置との間を交互に移動する可動板を有していることとしてもよい。
【0015】
本発明の搬送装置によれば、圧送手段の一対のピストンポンプを駆動させるとともに、開閉手段の可動板を駆動させて、一方のピストンポンプと排出口の間を連通し、他方のピストンポンプと第2ケーシングとの間を連通する位置と、一方のピストンポンプと第2ケーシングとの間を連通し、他方のピストンポンプと排出口との間を連通する位置との間を交互に移動させることにより、第1搬送手段の第1ケーシングの排出口から排出される搬送物が一方のピストンポンプ又は他方のピストンポンプによって吸い込まれ、一方のピストンポンプ又は他方のピストンポンプを介して第2ケーシングに圧送されることになる。
【0016】
また、本発明において、前記第1ケーシングの排出口には、第1吸込管と第2吸込管とからなる二股の分岐管が接続され、前記第1吸込管、前記第2吸込管、及び前記第2ケーシングの開口部が固定板に固定され、該固定板に対向して前記可動板が設けられ、該可動板に前記一方のピストンポンプ及び他方のピストンポンプのシリンダチューブの開口部が固定されていることとしてもよい。
【0017】
本発明の搬送装置によれば、可動板を移動させて、一方のピストンポンプのシリンダチューブの開口と第1吸込管又は第2ケーシングの開口とを連通させ、他方のピストンポンプのシリンダチューブの開口と第2ケーシング又は第2吸込管の開口とを連通させることにより、第1ケーシングの排出口から排出される搬送物を、一方のピストンポンプ又は他方のピストンポンプを介して第2ケーシングに圧送することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明による搬送装置によれば、第1搬送手段の第1ケーシング内を搬送された搬送物は、第1ケーシングの排出口から強制的に排出されるとともに、第2搬送手段の圧送手段及び開閉手段の駆動により、第1ケーシングの排出口から強制的に吸い込まれ、第1ケーシングと別系統の第2ケーシングに圧送されることになる。
従って、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、安定して搬送することができ、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い搬送物であっても、水のように粘稠度の低い搬送物であっても、安定して搬送することが可能となり、搬送可能な搬送物の粘稠度の範囲を広げることができ、粘稠度の異なる各種の搬送物を安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による搬送装置の一実施の形態の全体を示した概略正面図である。
【図2】図1の第2搬送手段の平面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図5】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図6】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図7】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図8】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図9】第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図10】他の実施の形態の第2搬送手段の概略正面図である。
【図11】他の実施の形態の第2搬送手段の概略平面図であって、動作を示した説明図である。
【図12】他の実施の形態の第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図13】他の実施の形態の第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【図14】他の実施の形態の第2搬送手段の動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3には、本発明による搬送装置の一実施の形態が示されている。この搬送装置1は、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、各種の粘稠度の搬送物を搬送するのに有効なものであって、図1に示すように、基盤25の上部に支持脚26を介して水平に設置される第1ケーシング3と、第1ケーシング3内に回転可能に設けられるスクリュー搬送体15と、スクリュー搬送体15を回転駆動させる駆動源20とからなる第1搬送手段2と、第1搬送手段2の第1ケーシング3に接続される第2搬送手段30とを備えている。
【0021】
第1ケーシング3は、1本の円筒状の短管4又は2本以上の円筒状の短管4を直列に連結して構成したものであって、短管4からなる第1ケーシング3の内部に一連の円柱状の空間である搬送路7が形成され、この搬送路7内を搬送物が搬送されるようになっている。
【0022】
短管4は、長手方向の一端側(図1の右端側)が閉塞されるとともに、この閉塞された一端側の上部にホッパ10が設けられ、このホッパ10の底部が搬送路7内に連通する供給口8に形成され、この供給口8を介して搬送路7内に搬送物が供給される。
【0023】
短管4は、長手方向の他端側(図1の左端側)が開口され、この開口された他端が搬送路7内を搬送された搬送物を第1ケーシング3外に排出させる排出口9に形成され、この排出口9に後述する第2搬送手段30が接続される。
【0024】
ホッパ10の内部には、一対の回転部材11、11が回転可能に設けられ、両回転部材11、11は、基盤25の上部に設けられている駆動源である駆動モータ12に連結されている。駆動モータ12の駆動により両回転部材11、11を回転させることにより、ホッパ10内に供給された搬送物が供給口8から第1ケーシング3の搬送路7内に供給される。
【0025】
スクリュー搬送体15は、図1に示すように、第1ケーシング3の搬送路7内に回転可能に設けられる螺旋状の外側スクリュー羽根16と、搬送路7内の外側スクリュー羽根16の内側に設けられるとともに、外側スクリュー羽根16とは逆向きの螺旋状をなし、かつ、外側スクリュー羽根16と逆方向に回転可能な内側スクリュー羽根17とを備えている。
【0026】
外側スクリュー羽根16は、長尺の帯板状のものを螺旋状に巻いて構成したものであって、第1ケーシング3の短管4の全長と略同一長さに形成されている。また、外側スクリュー羽根16は、全長に亘ってピッチが同一となるように螺旋の間隔が設定されるとともに、第1ケーシング3の内周面との間に僅かな隙間(本実施の形態では1〜2mm程度の隙間)が形成されるように外径寸法が設定されている。
【0027】
外側スクリュー羽根16の長手方向の一端又は他端には、従動スプロケット(図示せず)が取り付けられ、この従動スプロケットと基盤25の上部に設置される駆動源である駆動モータ(図示せず)の駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットとの間に駆動チェーン(図示せず)が掛け渡されている。駆動モータを駆動させることにより、駆動スプロケット、駆動チェーン、及び従動スプロケットを介して外側スクリュー羽根16が回転駆動することになる。
【0028】
内側スクリュー羽根17は、図1に示すように、第1ケーシング3の搬送路7の中心部に回転可能に設けられる回転軸18の周面に溶接等によって一体に連結され、回転軸18と一体に回転可能に構成されている。内側スクリュー羽根17は、第1ケーシング3の短管4の全長と略同一長さに形成され、長手方向の一端が短管4の閉塞されている一端近傍に位置し、長手方向の他端が短管4の長手方向の他端の排出口9近傍に位置している。
【0029】
また、内側スクリュー羽根17は、全長に亘ってピッチが同一となるように螺旋の間隔が設定されるとともに、外側スクリュー羽根16の内周面との間に僅かな隙間(本実施の形態では1〜2mm程度の隙間)が形成されるように外径寸法が設定されている。
【0030】
回転軸18は、長手方向の一端が短管4の閉塞されている長手方向の一端を貫通して外方に突出し、その突出している部分が基盤25の上部に設置されている軸受ボックス19に設けられている軸受(図示せず)によって回転自在に支持され、さらに、突出している部分の先端部が駆動源20に連結されている。
【0031】
駆動源20は駆動モータ20であって、基盤25の上部に設置されている。駆動モータ20の駆動軸には駆動スプロケット21が取り付けられ、この駆動スプロケット21と回転軸18の先端部に取り付けられた従動スプロケット22との間に駆動チェーン23が掛け渡されている。駆動モータ20を駆動させることにより、駆動スプロケット21、駆動チェーン23、及び従動スプロケット22を介して回転軸18と一体に内側スクリュー羽根17が回転駆動することになる。
【0032】
第2搬送手段30は、図1及び図2に示すように、第1搬送手段2の第1ケーシング3の排出口9に接続される、排出口9を二方向に分岐する分岐管31と、分岐管31に連設される圧送手段40と、分岐管31と圧送手段40との間を開閉する開閉手段50と、第1ケーシング3と別系統の第2ケーシング55とを備えている。
【0033】
分岐管31は、図2に示すように、第1ケーシング3の排出口9に一端が接続される、排出口9と同一内径の円筒状の基部32と、基部32の他端を二方向に分岐する基部32と同一内径の円筒状の第1吸込管33と第2吸込管34とから構成されている。
【0034】
分岐管31の第1吸込管33と第2吸込管34との間には、第1吸込管33及び第2吸込管34と同一内径の円筒状の第2ケーシング55が設けられ、後述する圧送手段40及び開閉手段50の駆動により、第1ケーシング3の排出口9から第1吸込管33及び第2吸込管34を介して排出される搬送物が第2ケーシング55に圧送される。
【0035】
第2ケーシング55は、一端開口が第1吸込管33及び第2吸込管34の開口と面一となり、かつ、第1吸込管33との間隔、及び第2吸込管34との間隔が同一となるように、第1吸込管33と第2吸込管34との間に水平に設けられるとともに、一端近傍から略直角に屈曲されて上方に立ち上げられている。
【0036】
開閉手段50は、第2ケーシング55の一端開口、第1吸込管33の開口、及び第2吸込管34の開口を溶接等によって固定する長方形板状の固定板51と、固定板51に対向して設けられるとともに、固定板51の長手方向に往復移動可能であり、かつ、第1吸込管33と第2ケーシング55との間隔(又は第2吸込管34と第2ケーシング55との間隔)と同一間隔で第1ポート53と第2ポート54とが貫通した状態で設けられる長方形板状の可動板52と、可動板52を往復移動させる駆動源(例えば、空圧又は油圧のシリンダ)とを備えている。
【0037】
圧送手段40は、例えば、第1ピストンポンプ41と第2ピストンポンプ44とからなる一対のピストンポンプ41、44と、両ピストンポンプ41、44を駆動させる駆動源(図示せず)とから構成され、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42が可動板52の第1ポート53に対応する位置に溶接等によって連結され、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45が可動板52の第2ポート54に対応する位置に溶接等によって連結されている。
【0038】
可動板52を図2のA方向に移動させて、可動板52の第1ポート53と第1吸込管33の開口とを連通し、第2ポート54と第2ケーシング55の開口とを連通することにより、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42が第1ポート53を介して第1吸込管33に連通し、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45が第2ポート54を介して第2ケーシング55に連通する。この場合、第2吸込管34の開口は閉塞される。
【0039】
また、可動板52を図2のB方向に移動させて、可動板52の第1ポート53と第2ケーシング55の開口とを連通し、第2ポート54と第2吸込管34とを連通することにより、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42が第1ポート53を介して第2ケーシング55に連通し、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45が第2ポート54を介して第2吸込管34に連通する。この場合、第1吸込管33の開口は閉塞される。
【0040】
そして、上記のように構成した本実施の形態による搬送装置1を用い、例えば、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い物質を搬送物として搬送するには、図1に示すように、搬送物を第1搬送手段2のホッパ10内に投入し、駆動モータ12によって両回転部材11、11を回転駆動させ、ホッパ10の底部の供給口8を介して第1ケーシング3の搬送路7内に搬送物を供給する。
【0041】
そして、駆動モータ(図示せず)を駆動させて、外側スクリュー羽根16を回転駆動させるとともに、駆動モータ20を駆動させて、回転軸18と一体に内側スクリュー羽根17を外側スクリュー羽根16と逆方向に回転駆動させ、搬送路7内に供給した搬送物を排出口9に向けて搬送する。
【0042】
次に、図4に示すように、第2搬送手段30の開閉手段50の可動板52を図中A方向に移動させて、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して第1吸込管33と連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して第2ケーシング55と連通させ、第2吸込管34を閉塞する。
【0043】
そして、この状態で、第1ピストンポンプ41及び第2ピストンポンプ44を駆動させて、第1ピストンポンプ41のピストン43を前進させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を後退させる。
【0044】
次に、図5に示すように、第1ピストンポンプ41のピストン43を後退させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を前進させ、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42内に第1吸込管33から搬送物を吸い込む。
【0045】
次に、図6に示すように、可動板52を図中B方向に移動させて、第1ピストンポンプ46のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して第2ケーシング55と連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して第2吸込管34と連通させ、第1吸込管33を閉塞する。
【0046】
そして、この状態で、図7に示すように、第1ピストンポンプ41のピストン43を前進させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を後退させ、第1ピストンポンプ44のシリンダチューブ42内の搬送物を第1ポート53を介して第2ケーシング55内に圧送し、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内に第2吸込管34から搬送物を吸い込む。
【0047】
次に、図8に示すように、可動板52を図中A方向に移動させて、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して第1吸込管33と連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して第2ケーシング55と連通させ、第2吸込管34を閉塞する。
【0048】
そして、この状態で、図9に示すように、第1ピストンポンプ41のピストン44を後退させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を前進させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内の搬送物を第2ポート54を介して第2ケーシング55内に圧送する。
【0049】
上記のように、図4〜図9に示す動作を連続して繰り返し行うことにより、第1ケーシング3の排出口9から排出される搬送物を連続して第2ケーシング55に圧送することができ、搬送物を第2ケーシング55を介して所望の位置まで搬送することができる。
【0050】
上記のように構成した本実施の形態の搬送装置にあっては、第1搬送手段2のスクリュー搬送体15の外側スクリュー羽根16と内側スクリュー羽根17との回転により、供給口8から搬送路7内に供給された搬送物を排出口9に向かって強制的に搬送し、第2搬送手段30の圧送手段40の第1ピストンポンプ41及び第2ピストンポンプ44の駆動、及び開閉手段50の可動板52の駆動により、排出口9から第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42及び第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内に強制的に吸い込み、これらのシリンダチューブ42、45から第2ケーシング55内に圧送することができる。
【0051】
従って、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い搬送物であっても、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42、及び第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45に吸い込むことが困難になるようなことはなく、水等のように粘稠度の低い搬送物であっても、圧力が低くなって、推力が低下するようなことはなく、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、粘稠度の異なる各種の搬送物を安定して搬送することができる。
【0052】
また、第1搬送手段2の第1ケーシング3内において、内側スクリュー羽根17と外側スクリュー羽根16とを互いに逆向きに回転させているので、両スクリュー羽根17、16と搬送物とが共回りして排出口9からの搬送物の排出が困難になるようなことはなく、さらに、第1ケーシング3内の全体の密度が高くなって搬送物の受け入れが困難になるようなことはなく、さらに、両スクリュー羽根17、16に搬送物が付着して固着するようなことはない。
【0053】
なお、前記の説明においては、第2搬送手段30の可動板52を往復移動させるように構成したが、第1吸込管33の開口、第2吸込管34の開口、及び第2ケーシング55の開口を同心円上に配置し、可動板52を回転させることにより可動板52の第1ポート53及び第2ポート54と、第1吸込管33の開口、第2吸込管34の開口、及び第2ケーシング55の開口とを連通させるように構成してもよい。
【0054】
図10〜図14には、本発明による搬送装置の他の実施の形態が示されている。この搬送装置は、両端が開口するコ字状の連通管35の中央部に第2ケーシング55の開口を連通させ、連通管35の両端開口及び第1ケーシング3の排出口9を固定板51に溶接等によって固定したものであって、その他の構成は前記実施の形態に示すものと同様である。
【0055】
そして、本実施の形態による搬送装置1を用い、例えば、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い物質を搬送物として搬送するには、図1に示すように、搬送物を第1搬送手段2のホッパ10内に投入し、駆動モータ12によって両回転部材11、11を回転駆動させ、ホッパ10の底部の供給口8を介して第1ケーシング3の搬送路7内に搬送物を供給する。
【0056】
そして、駆動モータ(図示せず)を駆動させて、外側スクリュー羽根16を回転駆動させるとともに、駆動モータ20を駆動させて、回転軸18と一体に内側スクリュー羽根17を外側スクリュー羽根16と逆方向に回転駆動させ、搬送路7内に供給した搬送物を排出口9に向けて搬送する。
【0057】
次に、図11に示すように、第2搬送手段30の開閉手段50の可動板52を図中A方向に移動させて、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して連通管35の一端開口36と連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して第1ケーシング3の排出口9と連通させ、連通管35の他端開口37を閉塞する。
【0058】
そして、この状態で、第1ピストンポンプ41及び第2ピストンポンプ44を駆動させて、第1ピストンポンプ41のピストン43を前進させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を後退させることにより、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ42内に第1ケーシング3の排出口9から搬送物を吸い込む。
【0059】
次に、図12に示すように、可動板52を図中B方向に移動させて、第1ピストンポンプ46のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して第1ケーシング3の排出口9と連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して連通管35の他端開口37と連通させ、連通管35の一端開口36を閉塞する。
【0060】
そして、この状態で、図13に示すように、第1ピストンポンプ41のピストン43を後退させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を前進させ、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42内に第1ケーシング3の排出口9から搬送物を吸い込み、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内の搬送物を連通管35を介して第2ケーシング55内に圧送する。
【0061】
次に、図14に示すように、可動板52を図中A方向に移動させて、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42を第1ポート53を介して連通管35の一端開口36に連通させ、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45を第2ポート54を介して第1ケーシング3の排出口9と連通させ、連通管35の他端開口37を閉塞する。
【0062】
次に、図11に示すように、第1ピストンポンプ41のピストン44を前進させ、第2ピストンポンプ44のピストン46を後退させ、第1ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内の搬送物を連通管35を介して第2ケーシング55内に圧送し、第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45内に第1ケーシング3の排出口9から搬送物を吸い込む。
【0063】
上記のように、図11〜図14に示す動作を連続して繰り返し行うことにより、第1ケーシング3の排出口9から排出される搬送物を連続して第2ケーシング55に圧送することができ、搬送物を第2ケーシング55を介して所望の位置まで搬送することができる。
【0064】
上記のように構成した本実施の形態の搬送装置にあっても、前記実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏し、汚泥脱水ケーキ等のように粘稠度の高い搬送物であっても、第1ピストンポンプ41のシリンダチューブ42、及び第2ピストンポンプ44のシリンダチューブ45に吸い込むことが困難になるようなことはなく、水等のように粘稠度の低い搬送物であっても、圧力が低くなって、推力が低下するようなことはなく、搬送物の粘稠度の高低に関わらずに、粘稠度の異なる各種の搬送物を安定して搬送することができる。
【0065】
また、第1搬送手段2の第1ケーシング3内において、内側スクリュー羽根17と外側スクリュー羽根16とを互いに逆向きに回転させているので、両スクリュー羽根17、16と搬送物とが共回りして排出口9からの搬送物の排出が困難になるようなことはなく、さらに、第1ケーシング3内の全体の密度が高くなって搬送物の受け入れが困難になるようなことはなく、さらに、両スクリュー羽根17、16に搬送物が付着して固着するようなことはない。
【0066】
なお、前記各実施の形態においては、圧送手段40として一対のピストンポンプ41、44を用いたが、これに限らず、第1ケーシング3の排出口9から排出される搬送物を吸い込んで圧送できる機能を有するものであればよい。
【0067】
また、第1搬送手段2として、第1ケーシング3内にスクリュー搬送体15を回転自在に設けたものを用いたが、これに限らず、搬送物を第2搬送手段の40の方向に搬送できるものであればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 搬送装置
2 第1搬送手段
3 第1ケーシング
4 短管
7 搬送路
8 供給口
9 排出口
10 ホッパ
11 回転部材
12 駆動源(駆動モータ)
15 スクリュー搬送体
16 外側スクリュー羽根
17 内側スクリュー羽根
18 回転軸
19 軸受ボックス
20 駆動源(駆動モータ)
21 駆動スプロケット
22 従動スプロケット
23 駆動チェーン
25 基盤
26 支持脚
30 第2搬送手段
31 分岐管
32 基部
33 第1吸込管
34 第2吸込管
35 連通管
36 一端開口
37 他端開口
40 圧送手段
41 第1ピストンポンプ
42 シリンダチューブ
43 ピストン
44 第2ピストンポンプ
45 シリンダチューブ
46 ピストン
50 開閉手段
51 固定板
52 可動板
53 第1ポート
54 第2ポート
55 第2ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の供給口を一端に有し、排出口を他端に有する第1ケーシングと、
該第1ケーシング内に回転可能に設けられる螺旋状の内側スクリュー羽根と、前記第1ケーシング内の前記内側スクリュー羽根の外側に設けられるとともに、前記内側スクリュー羽根とは逆向きの螺旋状をなし、かつ前記内側スクリュー羽根と逆向きに回転可能な外側スクリュー羽根からなり、前記供給口から前記第1ケーシング内に供給された搬送物を前記排出口に向けて搬送するスクリュー搬送体とからなる第1搬送手段と、
前記第1ケーシングの排出口に接続されるとともに、前記排出口から排出される前記搬送物を吸い込んで、前記第1ケーシングと別系統の第2ケーシングに圧送する圧送手段と、前記排出口と前記圧送手段との間を開閉する開閉手段とからなる第2搬送手段とを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記圧送手段は、前記第1ケーシングの排出口から排出される搬送物を吸い込み、前記第2ケーシングに圧送する一対のピストンポンプを有し、
前記開閉手段は、前記一方のピストンポンプと前記排出口とを連通し、前記他方のピストンポンプと前記第2ケーシングとを連通する位置と、前記一方のピストンポンプと前記第2ケーシングとを連通し、前記他方のピストンポンプと前記排出口とを連通する位置との間を交互に移動する可動板を有していることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1ケーシングの排出口には、第1吸込管と第2吸込管とからなる二股の分岐管が接続され、前記第1吸込管、前記第2吸込管、及び前記第2ケーシングの開口部が固定板に固定され、該固定板に対向して前記可動板が設けられ、該可動板に前記一方のピストンポンプ及び他方のピストンポンプのシリンダチューブの開口部が固定されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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