説明

搬送装置

【課題】 周辺設備や隣接設備に対する配置をフレキシブルに対応することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】 上部が対象物X,…を搬送する方向に沿うようにして無端回転し、上部に載置された対象物X,…を搬送する搬送体2と、搬送される対象物X,…を両側から係止する一対の係止体3,3とを備える搬送装置1において、各係止体3は、搬送体2の上方に配置されると共に、側部で対象物X,…を係止すべく、側部が対象物X,…を搬送する方向に沿うように搬送体2が無端回転する方向と直交する方向で無端回転し、さらに、搬送体2との間から対象物X,…が抜け出るのを防止すべく、当該側部の下端側が搬送体2に接する又は入り込むように配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端回転することで載置された対象物を搬送する搬送体と、搬送される対象物を両側から係止する一対の係止体とを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、乾麺、スパゲティ、棒状菓子、線香、蝋燭といった棒状に形成される対象物を一まとめの状態で搬送する搬送装置として、無端回転することで載置された対象物を搬送する搬送体と、搬送される対象物を両側から係止する一対の係止体とを備える搬送装置が知られている。斯かる搬送装置においては、搬送体と各係止体とが一体的に形成されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
斯かる搬送装置によれば、上部が対象物を搬送する方向に沿うようにして、搬送体が無端回転することで、搬送体の上部に載置された対象物を搬送できる。そして、搬送体から突出する各係止体が搬送体と一体的になって無端回転することで、各係止体の側部で対象物を両側から係止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−112618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に係る搬送装置においては、搬送体と各係止体とが一体的に形成されているため、各係止体が搬送体と同じ方向に沿って無端回転することになる。これにより、搬送体から突出する量が一定のままで各係止体が無端回転するため、搬送装置の上流端や下流端において、各係止体は、上流方向や下流方向に向けて搬送体から突出することになる。
【0006】
これにより、搬送装置の周辺に配置される周辺設備や、搬送装置に隣接して配置される隣接設備が、係止体と干渉するのを防止させるには、周辺設備や隣接設備を搬送装置から大きく離間させる必要があり、搬送装置の配置が制約されていた。したがって、例えば、当該搬送装置を含む製造ラインをフレキシブルに設計できないといった問題を生じさせていた。
【0007】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、周辺設備や隣接設備に対する配置をフレキシブルに対応することができる搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送装置は、上部が対象物を搬送する方向に沿うようにして無端回転し、上部に載置された対象物を搬送する搬送体と、搬送される対象物を両側から係止する一対の係止体とを備える搬送装置において、各係止体は、搬送体の上方に配置されると共に、側部で対象物を係止すべく、側部が対象物を搬送する方向に沿うように搬送体が無端回転する方向と直交する方向で無端回転し、さらに、搬送体との間から対象物が抜け出るのを防止すべく、当該側部の下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る搬送装置によれば、搬送体は、上部が対象物を搬送する方向に沿うようにして無端回転し、上部に載置された対象物を搬送する。また、搬送体の上方に配置される一対の係止体は、側部が対象物を搬送する方向に沿うようにして無端回転するため、搬送体で搬送される対象物を側部で両側から係止する。
【0010】
そして、各係止体は、側部が対象物を搬送する方向に沿うように、搬送体が無端回転する方向と直交する方向で無端回転する。これにより、搬送装置の上流端や下流端において、各係止体が上流方向や下流方向に向けて搬送体から突出するのを防止することもできるため、各係止体が搬送装置の周辺に配置される周辺設備や隣接して配置される隣接設備に干渉するのを防止できる。
【0011】
さらに、各係止体においては、対象物を係止する側部における下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置される。これにより、例えば、乾麺、スパゲティ、線香といった細い対象物に対しても、各係止体と搬送体との間から対象物が抜け出るのを防止でき、各係止片で、対象物を両側から確実に係止できる。
【0012】
また、本発明に係る搬送装置においては、各係止体は、無端回転する方向に沿って並設され且つ対象物を係止する複数の係止片を備え、各係止片は、対象物を搬送する方向に沿って移動する際には、上下方向に沿って配置されると共に、下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置されてもよい。
【0013】
斯かる構成の搬送装置によれば、無端回転する方向に沿って並設される複数の係止片は、対象物を搬送する方向に沿って移動する際に、上下方向に沿って配置されると共に、下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置される。これにより、細い対象物に対しても、各係止片と搬送体との間から対象物が抜け出るのを防止でき、各係止片で対象物を両側から確実に係止できる。
【0014】
また、本発明に係る搬送装置においては、搬送体は、無端回転する方向に沿って並設される複数の搬送片を備え、各搬送片は、隣接される搬送片と離間して配置され、各係止片は、対象物を搬送する方向に沿って移動する際には、下端側が搬送片同士間に入り込むように配置されてもよい。
【0015】
斯かる構成の搬送装置によれば、搬送体には、無端回転する方向に沿って複数の搬送片が並設される。そして、各搬送片が隣接される搬送片と離間して配置されるため、各係止片が対象物を搬送する方向に沿って移動する際に、各係止片の下端側を搬送片同士間に入り込ませることができる。これにより、各係止片の下端側を搬送体に容易に入り込ませることができる。
【0016】
また、本発明に係る搬送装置においては、一対の係止体は、互いに接離可能に構成されてもよい。
【0017】
斯かる構成の搬送装置によれば、一対の係止体が互いに接離できるため、一対の係止体間の距離を変更することができる。これにより、搬送する対象物の大きさであったり、一まとめの状態で搬送する際の対象物の量であったり、搬送する対象物に対してフレキシブルに対応することができる。
【0018】
また、本発明に係る搬送装置においては、棒状に形成された複数の対象物が長手方向に沿って搬送される際に、複数の対象物の端部を揃えるべく、搬送される対象物の端部と当接する当接部を備え、当接部は、対象物と当接する際に、対象物を搬送する方向において全ての対象物を覆い得る大きさで形成されてもよい。
【0019】
斯かる構成の搬送装置によれば、長手方向に沿って搬送される棒状に形成された複数の対象物の端部に当接部が当接する際に、対象物を搬送する方向において全ての対象物を覆い得る大きさで当接部が形成されているため、複数の対象物の端部を揃えることができる。しがも、当接部及び搬送体間や、当接部及び各係止体間で、対象物を挟み込んで破損させたり、当接部及び搬送体間や、当接部及び各係止体間から対象物が抜け出たりするのを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
以上の如く、本発明に係る搬送装置によれば、搬送装置の上流端や下流端において、各係止体が上流方向や下流方向に向けて搬送体から突出するのを防止できるため、各係止体が搬送装置の周辺に配置される周辺設備や隣接して配置される隣接設備に干渉するのを防止でき、その結果、周辺設備や隣接設備に対する配置をフレキシブルに対応することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体図であって、平面図を示す。
【図2】同実施形態に係る搬送装置の全体図であって、正面図を示す。
【図3】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、内視平面図を示す。
【図4】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、(a)は搬送体の内視平面図、(b)は係止体の内視平面図を示す。
【図5】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、図3のD−D線における断面図を示す。
【図6】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、図3のE−E線における断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、(a)〜(c)はそれぞれ搬送状態を説明する縦断面図を示す。
【図8】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はそれぞれ搬送状態を説明する上流側から見た側面図を示す。
【図9】同実施形態に係る搬送装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はそれぞれ搬送状態を説明する縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る搬送装置における一実施形態について、図1〜図9を参酌して説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る搬送装置1は、棒状に形成された複数の対象物(物品、被包装物)X,…を包装する包装装置に設けられる。具体的には、包装装置は、複数の対象物X,…の端部を揃え、対象物X,…を長手方向に沿って搬送する搬送装置1と、搬送装置1に対象物X,…を供給する供給装置8と、搬送装置1により搬送された対象物X,…をフィルムYにて製袋する製袋装置9とを備える。
【0024】
供給装置8は、対象物X,…を計量して所定量にする計量部81と、所定量にされた対象物X,…を一まとめの状態で搬送装置1に投入する投入部82とを備える。そして、供給装置8は、設定された所定量の対象物X,…を一まとめの状態にて連続的に搬送装置1に供給する。
【0025】
製袋装置9は、供給されたフィルムYを長手方向でシールして、チューブ状に形成する第1シール部91と、チューブ状に形成されたフィルムYに対象物X,…を収容した後に、対象物X,…の前後にてフィルムYを幅方向でシール及び切断して、袋状に形成する第2シール部92とを備える。そして、製袋装置9は、搬送装置1から連続的に供給される対象物X,…をフィルムYでピロー包装する。
【0026】
図1〜図6に示すように、搬送装置1は、複数の対象物X,…が長手方向(図1〜図5におけるA矢印方向)に沿って搬送すべく、載置された対象物X,…を搬送する搬送体2と、搬送される対象物X,…を両側から係止する一対の係止体3,3とを備える。また、搬送装置1は、複数の対象物X,…の端部を揃えるべく、搬送される対象物X,…の後端部を揃える後端揃え手段(第1の揃え手段)4と、搬送される対象物X,…の前端部を揃える前端揃え手段(第2の揃え手段)5とを備える。
【0027】
搬送体2は、上部が対象物X,…を搬送する方向(以下、単に「搬送方向」ともいう)に沿うようにして(図2におけるC矢印方向で)無端回転し、上部に載置された対象物X,…を搬送するように構成される。具体的には、搬送体2は、無端回転する方向に沿って並設される複数の搬送部21,…を備え、各搬送部21の上に載置された対象物X,…を下方から支持して搬送するように構成される。
【0028】
そして、搬送体2は、上部が搬送方向に沿うようにして無端回転する一対の第1走行部材(チェーン)22,22と、各第1走行部材22が無端回転すべく、各第1走行部材22の内側に掛けられる複数の第1回転部材(スプロケット)23,…とを備える。また、搬送体2は、搬送方向に沿って配置され、各第1走行部材22の上部が搬送方向に沿うように各第1走行部材22を案内する第1案内部材(ガイドレール)24と、側方から覆う第1カバー部材25とを備える。
【0029】
各搬送部21は、搬送方向、具体的には、搬送体2が無端回転する方向に沿って複数並設され、隣接される搬送部21と離間して配置されている。そして、各搬送部21は、平行に配置される一対の第1走行部材22,22に連結され、一対の第1走行部材22,22と一体的になって(連動して)走行するように構成される。
【0030】
具体的には、各搬送部21は、無端回転する方向に沿って並設される複数(本実施形態においては9つ)の長尺な搬送片211,…を備え、各搬送片211が端部を一対の走行部材22,22に連結されて構成される。なお、各搬送片211は、円柱状(円筒状)に形成され、長手方向を中心に回転可能であって、隣接される搬送片211と離間し且つ互いに平行となるように配置される。
【0031】
各係止体3は、側部で対象物X,…を係止すべく、他のもう一つの係止体3と対面し合う内側部が対象物X,…を搬送する方向に沿うように、搬送体2が無端回転する方向と直交する方向(図1におけるB矢印方向)で無端回転するように構成される。具体的には、各係止体3は、無端回転する方向に沿って並設される複数の係止部31,…を備え、各係止部31が搬送方向に沿って移動することで、搬送部21に載置される対象物X,…を側方から係止して支持するように構成される。
【0032】
そして、各係止体3は、内側部が搬送方向に沿うようにして無端回転する第2走行部材(チェーン)32と、第2走行部材32が無端回転すべく、第2走行部材32の内側に掛けられる複数の第2回転部材(スプロケット)33,…とを備える。さらに、各係止体3は、搬送方向に沿って配置され、第2走行部材32の内側部が搬送方向に沿うように第2走行部材32を収容し且つ案内する第2案内部材34と、上方から覆う第2カバー部材35とを備える。
【0033】
また、一対の係止体3,3は、幅方向に離間して配設され、相互間に対象物X,…を収容するように構成される。そして、一対の係止体3,3は、一まとめとなって搬送部21に載置される対象物X,…の量に対応させるべく、互いに接離することで、相互間の離間距離を変更可能に構成される。具体的には、一対の係止体3,3は、操作部(ハンドル)36が操作(回転)されることにより、ネジ機構37,37を介して、幅方向(図6におけるF両矢印方向)に移動することで接離する。
【0034】
さらに、各係止体3,3は、搬送体2よりも上流側及び下流側に突出するのを防止する、即ち、搬送体2よりも上流側及び下流側に突出しないように無端回転するように配置されている。なお、搬送体2の上部が対象物X,…の搬送路の下部を形成すると共に、一対の係止体3,3の内側部が対象物X,…の搬送路の各側部を形成することになる。
【0035】
各係止部31は、搬送方向、具体的には、係止体3が無端回転する方向に沿って複数並設され、隣接される係止部31と離間して配置されている。そして、各係止部31は、第2走行部材32に連結され、第2走行部材32と一体的になって(連動して)走行するように構成される。
【0036】
具体的には、各係止部31は、無端回転する方向に沿って並設され且つ対象物X,…を係止する複数(本実施形態においては9つ)の係止片311,…を備え、各係止片311が連結部312を介して第2走行部材32に連結されて構成される。なお、各係止体3は、搬送方向に沿って配置され、連結部312を下方側から支持する支持部材38を備える。
【0037】
各係止片311は、長尺に形成されると共に、上下方向に沿って配置された状態で移動する。そして、各係止片311は、搬送方向、即ち、搬送路に沿って移動する際には、下端側が搬送部21(搬送体2)に入り込み、搬送方向において、搬送部21と重なるように配置される。
【0038】
具体的には、各係止片311は、隣接される係止片311と離間して配置されると共に、搬送方向(搬送路)に沿って移動する際には、搬送片211,211同士間に配置され、しかも、下端側が搬送片211,211同士間に入り込むように配置される。なお、各係止片311は、係止体3が無端回転する際に、上下方向で変位することなく、上下方向において一定の位置を維持して移動する。
【0039】
なお、搬送体2及び各係止体3は、同期して且つ同速でそれぞれ走行(無端回転)するように構成される。具体的には、搬送体2(各第1走行体22)及び各係止体3(第2走行体32)は、例えばギア機構や自在継手等からなる伝達手段(図示していない)を介して、共通の一つの駆動手段(図示していない)で駆動されている。
【0040】
後端揃え手段4は、対象物X,…と当接すべく平板状に形成され、搬送体2が無端回転する方向に沿って複数並設される後端当接部(第1の当接部)41,…と、後端当接部41と直交するように配置される平板状の基体部42,…とを備える。また、後端揃え手段4は、各後端当接部41が各第1走行部材22と連動して走行し且つ幅方向(搬送体2が無端回転する方向と直交する方向)を中心に回動可能とすべく、各第1走行部材22に各基体部42を連結させる連結軸43,…を備える。
【0041】
そして、後端揃え手段4は、重力バランスにより、各後端当接部41を所定の姿勢とすべく、所定の重力バランスを設定する重り部44,…を備える。また、後端揃え手段4は、搬送方向に沿って配置され、平板状の後端当接部41が搬送方向と直交する姿勢(正立姿勢)となるように基体部42を案内する第3案内部材45を備える。
【0042】
各後端当接部41,…は、各搬送部21,21同士間であって、各搬送部21の後方側に配置される。また、各後端当接部41は、一対の係止体3,3(係止片311,311)が対象物X,…を係止(支持)する際の離間距離よりも、幅寸法が大きくなるように形成される。そして、各後端当接部41は、対象物X,…の後端と当接する際に、対象物X,…の長手方向(搬送方向)と直交するように配置されると共に、搬送方向において全ての対象物X,…を覆い得る大きさに形成されている。
【0043】
具体的には、各後端当接部41は、対象物X,…と当接する際に、各係止体3の内側部(内側に配置される係止片311)と搬送方向で重なるように配置され、また、下端部が搬送体2の上部(搬送片211における対象物X,…を載置する位置)よりも下方に位置するように配置され、さらに、上端部が各係止体3(係止片311)の上端部よりも上方に位置するように配置される。
【0044】
前端揃え手段5は、図7に示すように、搬送体2の上方に配置され、対象物X,…と当接すべく平板状に形成される前端当接部(第2の当接部)51を備える。また、前端揃え手段5は、前端当接部51を移動させる移動手段(本実施形態においてはカム機構とし、カムフォロアのみ図示している)52と、前端当接部51が対象物X,…と当接した際に、対象物X,…から受ける力を吸収する弾性体53とを備える。
【0045】
前端当接部51は、一対の係止体3,3(係止片311,311)が対象物X,…を係止(支持)する際の離間距離よりも、幅寸法が大きくなるように形成される。そして、前端当接部51は、対象物X,…の後端と当接する際に、対象物X,…の長手方向(搬送方向)と直交するように配置されると共に、搬送方向において全ての対象物X,…を覆い得る大きさに形成されている。
【0046】
具体的には、前端当接部51は、対象物X,…と当接する際に、各係止体3の内側部(内側に配置される係止片311)と搬送方向で重なるように配置され、また、下端部が搬送体2の上部(搬送片211における対象物X,…を載置する位置)よりも下方に位置するように配置され、さらに、上端部が各係止体3(係止片311)の上端部よりも上方に位置するように配置される。
【0047】
本実施形態に係る搬送装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る搬送装置1の動作について説明する。
【0048】
まず、対象物X,…の搬送方法について説明する。図7(a)に示すように、複数の対象物X,…が供給装置8(図7において図示していない)から投入されて搬送体2に供給される。そして、供給された対象物X,…は、搬送部21により下方側から支持されると共に、一対の係止部31,31により側方から支持される。具体的には、対象物X,…は、複数の搬送片211,…に跨って載置し、また、複数の係止片311,…に係止されている。
【0049】
このとき、前端当接部51が移動手段52により下方(図7(a)におけるG矢印方向)に移動し、前端当接部51が搬送方向において全ての対象物X,…を覆う(重なる)ように配置されている。なお、図7(a)において、複数の対象物X,…の端部が揃っているように図示されているが、実際には、揃っていない場合が殆どである。
【0050】
そして、搬送部21が搬送方向(図7におけるA矢印方向)に沿って移動(無端回転)することにより、搬送部21に載置されている対象物X,…が搬送方向(搬送路)に沿って移動する。すると、図7(b)に示すように、対象物X,…の前端部が前端当接部51と当接する。これにより、移動する搬送部21上を対象物X,…がスライド(後退)し、その後、対象物X,…の後端部が後端当接部41と当接する。
【0051】
このとき、各当接部41,51が全ての対象物X,…を搬送方向で覆っているため、全ての対象物X,…が各当接部41,51と当接し、複数の対象物X,…の両端部が揃うことになる。なお、前端当接部51は、対象物X,…よりも遅い速度で搬送方向、即ち、前方(図7(b)におけるH矢印方向)に移動しており、また、対象物X,…が前端当接部51を押す場合には、前端揃え手段5の弾性体53が縮むことで、対象物X,…から受ける力を吸収する。
【0052】
そして、図7(c)に示すように、移動手段52により、前端当接部51が対象物X,…、搬送部21、各係止部31よりも速い速度で前方及び上方(図7(c)におけるJ矢印方向)に移動することで、前端当接部51が対象物X,…から離反すると共に、前端当接部51が対象物X,…と接触することなく上昇する。その後、前端当接部51は、後方(図7(c)におけるK矢印方向)に移動して原点に戻ることになる。
【0053】
その後、対象物X,…の端部が揃った状態で、搬送体2が対象物X,…を搬送する。そして、製袋装置9(図7において図示していない)に載り移る際には、後端当接部41が対象物X,…を押して移動させるため、対象物X,…が端部を揃えた状態で製袋装置9に供給される。
【0054】
次に、各係止片311が製袋装置9に干渉するのを防止する方法について説明する。図8(a)に示すように、所定の係止片311,311と当該係止片311,311の直前に配置される搬送片211(以下、単に「所定の搬送片」という)とが搬送方向に沿って移動している際には、所定の係止片311,311の下端側が所定の搬送片211と搬送方向で重なっている。
【0055】
そして、所定の係止片311,311と所定の搬送片211とが下流端まで移動すると、図8(b)に示すように、まず、所定の搬送片211が第1回転部材(図8において図示していない)23により方向転換され下降する。すると、所定の搬送片211が所定の係止片311,311の下端側よりも下方に位置するため、所定の係止片311,311の下方側が搬送方向において所定の搬送片211と重ならない状態となる。
【0056】
これにより、所定の係止片311,311は、所定の搬送片211と干渉すること無く、第2回転部材(図8において図示していない)33により方向転換され、前方に移動しつつ外方にも移動する。具体的には、所定の係止片311,311同士が離反するように方向転換されて(図8(b)におけるL矢印方向に)移動する。このとき、各係止片311,311が搬送体2の下流端よりも下流側に位置することはない。
【0057】
なお、搬送体2の上流端においても、搬送体2の下流端における動作と反対の動作により、各係止片311は、搬送片211と干渉すること無く、搬送片211,211同士間に配置でき、下端側が搬送片211と搬送方向で重なるように配置される。そして、各係止片311が搬送体2の上流端よりも上流側に位置することもない。
【0058】
次に、後端揃え手段4の後端当接部41が製袋装置9に干渉するのを防止する方法について説明する。図9(a)に示すように、後端当接部41は、第3案内部材45に案内されている際には、搬送方向と直交する姿勢(正立姿勢)である。これにより、後端当接部41が全ての対象物X,…と当接することができる。
【0059】
そして、後端当接部41が下流側まで移動することにより、第3案内部材45が基体部42の案内を解除すると、図9(b)に示すように、重り部44で設定される重力バランスにより、後端当接部41及び基体部42が連結軸43を中心に後方に向けて(図9(b)におけるM矢印方向に)回動する。これにより、後端当接部41及び基体部42は、製袋装置9(図9において図示していない)と干渉しない。
【0060】
以上より、本実施形態に係る搬送装置1によれば、搬送体2が上部を搬送方向に沿わせて無端回転することで、搬送体2の上部に載置された対象物X,…が搬送される。そして、一対の係止体3,3が搬送体2と同期し且つ内側部を搬送方向に沿わせて無端回転することで、搬送体2で搬送されている対象物X,…が各係止体3の内側部で両側から係止される。これにより、対象物X,…を確実に且つ安定させて搬送することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、搬送体2の上流端や下流端において、各係止体3が上流方向や下流方向に向けて搬送体2から突出するのを防止している。これにより、各係止体3が搬送装置1の下流側に隣接して配置される製袋装置9に干渉するのを防止できるため、製袋装置9を搬送装置1に限りなく接近させて配置することもできる。
【0062】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、各係止体3においては、対象物X,…を係止する内側部における下端側が搬送体2に入り込むように配置されている。これにより、例えば、乾麺、スパゲティ、線香といった細い対象物X,…に対しても、各係止体3と搬送体2との間から対象物X,…が抜け出るのを防止でき、各係止片3で対象物X,…を両側から確実に係止できる。
【0063】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、各係止体3が搬送体2の上方に配置されている。これにより、対象物X,…から発生する削れ粕(粉塵)が搬送体2上に落ちたとしても、各係止体3(例えば第2走行部材32や第2回転部材33)に堆積することがないため、メンテナンスに必要な時間を削減できたり、安定して稼動させたりすることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、無端回転する方向に沿って並設される複数の係止片311,…は、上下方向に沿って配置されると共に、搬送方向に沿って移動する際に、下端側が搬送体2に入り込むように配置されている。これにより、細い対象物X,…に対しても、各係止片311と搬送体2との間から対象物が抜け出るのを防止でき、各係止片311で対象物X,…を両側から確実に係止できる。
【0065】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、搬送体2には、無端回転する方向に沿って複数の搬送片211,…が並設されている。そして、各搬送片211が隣接される搬送片211と離間して配置されているため、各係止片311が搬送方向に沿って移動する際に、各係止片311の下端側を搬送片211,211同士間に入り込ませることができる。これにより、各係止片311の下端側を搬送体2に容易に入り込ませることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、一対の係止体3,3が互いに接離できるため、一対の係止体3,3間の距離を変更することができる。これにより、搬送する対象物Xの大きさであったり、一まとめの状態で搬送する際の対象物Xの量であったり、搬送する対象物Xに対してフレキシブルに対応することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る搬送装置1によれば、各当接部41,51が複数の対象物X,…の端部と当接する際に搬送方向において全ての対象物X,…を覆い得る大きさで形成されているため、複数の対象物X,…の端部を揃えることができる。しかも、各当接部41,51及び搬送体2間や、各当接部41,51及び各係止体3間で、対象物X,…を挟み込んで破損させたり、各当接部41,51及び搬送体2間や、各当接部41,51及び各係止体3間から対象物X,…が抜け出たりするのも防止できる。
【0068】
なお、本発明に係る搬送装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0069】
例えば、上記実施形態に係る搬送装置1においては、一対の係止体3,3が互いに離反できる場合を説明したが、斯かる場合に限られず、一対の係止体3,3の離間距離が一定である場合でもよい。
【0070】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、各係止体3が無端回転する方向に沿って互いに離間するように並設される複数の係止部31,…を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、各係止体が無端回転する方向に亘って長尺な(ベルト状の)係止部を備える場合でもよい。
【0071】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、各係止体3が搬送方向に沿って移動する際に、各係止体3の下端側が搬送体2に入り込むように配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、各係止体3が搬送方向に沿って移動する際に、各係止体3の下端側が搬送体2の上部(の上面又は側面)に接するように配置される場合でもよい。
【0072】
例えば、各係止体は、弾性を有して形成され、搬送方向に沿って移動する際に、搬送体の上部(上面)に接することにより下端側を弾性変形することで、搬送体の上部(上面)と密接する場合でもよい。また、各係止体は、上下方向に沿って配置される各係止片311が例えばカム機構により上下方向に変位可能に構成され、各係止片311が搬送方向に沿って移動する際に下降することで、各係止片311の下端側を搬送体2の上面に当接させる場合でもよい。
【0073】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、各搬送片211が回転可能な円柱状(円筒状)に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、各搬送片は、板状やシート状といった平面状に形成される場合でもよい。
【0074】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、各搬送片211が互いに離間して配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、各搬送片が平面状(例えば板状)に形成され且つ互いに接して配置される場合でもよい。例えば、上下方向に変位可能な各係止片311に対して、各搬送片には、係止片311の下端側が入り込むことができる挿通孔が設けられるような構成を採用してもよい。
【0075】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、搬送体2が無端回転する方向に沿って互いに離間する搬送部21,…を複数並設される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、搬送体が無端回転する方向に亘って長尺な(ベルト状の)搬送部を備える場合でもよい。
【0076】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、対象物X,…の後端を揃える後端揃え手段4(後端当接部41)と、対象物X,…の前端を揃える前端揃え手段5(前端当接部51)とを備える場合を説明したが、斯かる場合に限られず、各揃え手段4,5(各当接部41,51)の一方又は双方を備えない場合でもよい。例えば、対象物X,…を搬送する方向を水平方向ではなく、斜め上方に傾ける場合においては、対象物X,…の後端を揃えるための後端揃え手段4(後端当接部41)のみを備える場合でもよい。
【0077】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、複数の後端当接部41,…が各搬送部21の後方に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、後端当接部は、一つ設けられ、前端当接部51と同様に、移動手段(例えばカム機構)により移動することで、各搬送部21に載置される複数の対象物X,…の後端部を揃えるように構成される場合でもよい。
【0078】
また、上記実施形態に係る搬送装置1においては、棒状に形成される対象物X,…を搬送する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、さまざまな形状の対象物X,…に適用できることは勿論である。また、複数の対象物X,…を一まとめにして搬送する場合だけでなく、一つの対象物をそれぞれ順次搬送する場合でもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…搬送装置、2…搬送体、3…係止体、4…揃え手段(後端揃え手段)、5…揃え手段(前端揃え手段)、41…当接部(後端当接部)、51…当接部(前端当接部)、211…搬送片、311…係止片、X…対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が対象物を搬送する方向に沿うようにして無端回転し、上部に載置された対象物を搬送する搬送体と、搬送される対象物を両側から係止する一対の係止体とを備える搬送装置において、
各係止体は、搬送体の上方に配置されると共に、側部で対象物を係止すべく、側部が対象物を搬送する方向に沿うように搬送体が無端回転する方向と直交する方向で無端回転し、さらに、搬送体との間から対象物が抜け出るのを防止すべく、当該側部の下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置されることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
各係止体は、無端回転する方向に沿って並設され且つ対象物を係止する複数の係止片を備え、
各係止片は、対象物を搬送する方向に沿って移動する際には、上下方向に沿って配置されると共に、下端側が搬送体に接する又は入り込むように配置される請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送体は、無端回転する方向に沿って並設される複数の搬送片を備え、
各搬送片は、隣接される搬送片と離間して配置され、
各係止片は、対象物を搬送する方向に沿って移動する際には、下端側が搬送片同士間に入り込むように配置される請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
一対の係止体は、互いに接離可能に構成される請求項1〜3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
棒状に形成された複数の対象物が長手方向に沿って搬送される際に、複数の対象物の端部を揃えるべく、搬送される対象物の端部と当接する当接部を備え、
当接部は、対象物と当接する際に、対象物を搬送する方向において全ての対象物を覆い得るような大きさで形成される請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−84364(P2011−84364A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238190(P2009−238190)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000110125)トキワ工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】