説明

搬送装置

【課題】シートを搬送するローラの回転速度が目標速度に対して誤差を生じた場合であっても、シートを所定の目標位置に停止できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、用紙を搬送する給紙ローラ25と、給紙ローラ25を回転させる給紙用モータ70と、給紙ローラ25の下流側で用紙を搬送する搬送ローラ60と、搬送ローラ60を回転させる搬送用モータ71と、両ローラ25、60間において用紙を検知するシート検知部120と、各モータ70、71の回転速度が目標速度と異なるか否かを判断する判断部と、用紙のシート検知部120による検知を条件として、用紙の搬送開始から当該用紙の検知までの期間における上記回転速度に基づいて、用紙の検知から搬送ローラ60の下流側の所定位置33への当該用紙の到達までの搬送ローラ60の回転量として予め設定された回転量を補正して補正回転量Rr2を設定する補正部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送路に沿って搬送向きに搬送可能な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート、例えば用紙を搬送路に沿って搬送向きに搬送させる搬送装置は、複数のローラを備えている。用紙は、これらのローラによって搬送される。ローラとしては、例えば用紙が載置されているトレイから用紙を給紙して搬送路に導く給紙ローラと、搬送路上の用紙を搬送向きの下流側に搬送する搬送ローラ対とがある。
【0003】
用紙は、搬送路に沿って搬送されているときに、斜行してしまうおそれがある。斜行した用紙の搬送向きを是正するため、例えばレジスト処理が実行される。レジスト処理とは、用紙が搬送ローラ対のニップ位置に到達してから所定時間経過するまで、当該搬送ローラ対を停止或いは逆回転させる処理である。レジスト処理が実行されることによって、用紙の先端が搬送ローラ対のニップ位置で揃えられ、用紙の斜行が是正される。
【0004】
しかし、レジスト処理が実行されると、用紙が搬送ローラ対のニップ位置で一旦停止される。これにより、用紙の搬送に時間がかかってしまう。そこで、用紙の搬送の高速化が要求される場合、レジスト処理が実行されることなく、用紙が搬送される。つまり、用紙は、一旦停止されない。特許文献1には、給紙ローラによって給紙された用紙が、搬送ローラ対によってレジスト処理されることなく、搬送ローラ対によって、印字開始位置まで搬送される画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−37483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送装置において搬送される用紙を、目標位置(例えば上記の印字開始位置)に停止させたい場合がある。例えば、レジスト処理が実行されない上記の画像形成装置において、用紙を印字開始位置で停止させたい場合、以下のような制御が実行されればよい。つまり、給紙ローラと搬送ローラ対との間の搬送路に配置されたセンサによって用紙の先端が検知されてから搬送ローラの回転量のカウントを開始する。そして、当該回転量がセンサと印字開始位置との間の距離に基づいて予め設定された設定量にカウントされたとき、搬送ローラの駆動を停止し、用紙を停止させる。
【0007】
ここで、用紙は、給紙ローラから搬送ローラ対までの間において、給紙ローラによって搬送される。一方、用紙は、搬送ローラ対よりも下流側において、搬送ローラ対によって搬送される。つまり、用紙は、センサから搬送ローラ対までの間において、搬送ローラ対ではなく給紙ローラによって搬送される。このとき、給紙ローラと搬送ローラとが異なるモータによって駆動されている場合、以下のような問題が生じるおそれがある。
【0008】
給紙ローラ及び搬送ローラの回転速度に速度誤差が生じた場合、搬送ローラ対によって用紙が挟持されるタイミングが目標とずれてしまい、用紙の搬送が開始されるタイミングが早くなったり遅くなったりする。搬送ローラは、当該タイミングが早いか遅いかにかかわらず、上記設定量だけ回転されると停止する。これにより、当該タイミングのずれによって、用紙が停止される位置が、印字開始位置からずれてしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートを搬送する給紙ローラ及び搬送ローラの回転速度が目標速度に対して誤差を生じてしまった場合であっても、シートを所定の目標位置に停止させることができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の搬送装置は、シートを第1搬送路に沿って第1搬送向きに搬送する第1ローラと、上記第1ローラを回転させる第1モータと、上記第1ローラよりも上記第1搬送向きの下流側に設けられており、シートを上記第1搬送路に沿って上記第1搬送向きに搬送する第2ローラと、上記第2ローラを回転させる第2モータと、上記第1搬送路における上記第1ローラ及び上記第2ローラの間に設けられており、上記第1搬送向きに搬送されるシートの先端を検知するシート検知部と、上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度を検知する速度検知部と、上記速度検知部によって検知された上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度が、上記第1モータ及び上記第2モータの各目標速度と異なるか否かを判断する第1判断部と、上記第1判断部によって、各目標速度と異なると判断された場合に、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1ローラの駆動開始によるシートの搬送開始から上記シート検知部による当該シートの検知までの第1期間における上記回転速度に基づいて、上記シート検知部によるシートの検知から上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置への当該シートの到達までの上記第2ローラの回転量として予め設定された第1回転量を補正して第2回転量を設定する第1補正部と、を備えている。
【0011】
第1ローラを回転させる第1モータの回転速度と第1モータの目標速度とにずれが生じた場合、或いは第2ローラを回転させる第2モータの回転速度と第2モータの目標速度とにずれが生じた場合、第2ローラによってシートの搬送が開始されるタイミングが早くなったり遅くなったりする。第2ローラが、当該タイミングが早いか遅いかにかかわらず、予め設定された量だけ回転して停止する場合、当該タイミングのずれによって、シートが停止される位置が所定位置からずれてしまう。しかし、本構成によれば、第1補正部が、第1期間における第1モータ及び第2モータの回転速度に基づいて、第1回転量を補正する。よって、上記タイミングのずれによって、シートが停止される位置が所定位置からずれてしまうことが、回避可能である。
【0012】
(2) 本発明の搬送装置は、上記第2回転量に、上記第1期間における上記第1ローラの回転量に対応して設定された第3回転量を加算する第2補正部を更に備えている。
【0013】
シートが第1ローラの駆動開始時点における位置からシート検知部による検知位置まで搬送される間に、第1ローラがシートに対してスリップするおそれがある。第1ローラがシートに対してスリップすると、第1ローラの回転量は増加するにもかかわらずシートの搬送距離は増加しない事態が発生してしまう。なお、スリップの量は、第1ローラの回転量が多い程、多くなる傾向にある。そこで、本構成においては、第1ローラの回転量に対応して第3回転量を設定しておく。そして、第2補正部は、第1期間における第1ローラの回転量に対応する第3回転量を第2回転量に加算する。これにより、スリップに起因する第1ローラによるシートの搬送距離の不足分を、第2ローラによるシートの搬送距離の増加によって補うことができる。
【0014】
(3) 本発明の搬送装置は、上記第2回転量に、上記第1期間における上記第1モータの回転速度に対応して設定された第4回転量を加算する第3補正部を更に備えている。
【0015】
上述したとおり、第1ローラがシートに対してスリップすると、第1ローラの回転量は増加するにもかかわらずシートの搬送距離は増加しない事態が発生してしまう。なお、スリップの量は、第1ローラの回転速度が速い程、多くなる傾向にある。そこで、本構成においては、第1ローラの回転速度に対応して第4回転量を設定しておく。そして、第3補正部は、第1期間における第1ローラの回転速度に対応する第4回転量を第2回転量に加算する。これにより、スリップに起因する第1ローラによるシートの搬送距離の不足分を、第2ローラによるシートの搬送距離の増加によって補うことができる。
【0016】
(4) 本発明の搬送装置は、上記第2回転量に、上記第1搬送路を搬送されるシートの種類を示す種類情報に対応して設定された第5回転量を加算する第4補正部を更に備えている。
【0017】
例えば、第1ローラは、搬送されるシートが光沢紙の場合に、搬送されるシートが普通紙の場合よりもスリップを起こしやすい。そこで、本構成においては、シートの種類毎に異なる量である第5回転量を設定しておく。そして、第4補正部は、第5回転量を第2回転量に加算する。これにより、シートの種類によって異なるスリップ量の影響を低減することが可能である。
【0018】
(5) 本発明の搬送装置は、シートを第1搬送路に沿って第1搬送向きに搬送する第1ローラと、上記第1ローラを回転させる第1モータと、上記第1ローラよりも上記第1搬送向きの下流側に設けられており、シートを上記第1搬送路に沿って上記第1搬送向きに搬送する第2ローラと、上記第2ローラを回転させる第2モータと、上記第1搬送路における上記第1ローラ及び上記第2ローラの間に設けられており、上記第1搬送向きに搬送されるシートの先端を検知するシート検知部と、上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度を検知する速度検知部と、上記速度検知部によって検知された上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度の速度比が、上記第1モータ及び上記第2モータの目標速度の速度比と一致しているか否かを判断する第2判断部と、上記第2判断部によって、上記目標速度の速度比と異なると判断された場合に、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1ローラの駆動開始によるシートの搬送開始から上記シート検知部による当該シートの検知までの第1期間における上記速度比に基づいて、上記第1モータまたは上記第2モータの少なくとも一方の回転速度を補正して、上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度の速度比を上記目標速度の速度比と一致させる第5補正部と、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記シート検知部によるシートの検知から上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置への当該シートの到達までの上記第2ローラの回転量として予め設定された第1回転量によって、上記第2ローラを回転させる制御部と、を備えている。
【0019】
回転速度の速度比が目標速度の速度比と不一致の場合、第2ローラにシートが到達するタイミングがずれてしまう。そこで、本構成によれば、シートがシート検知部によって検知されたことを条件として、第2補正部が、第1モータ及び第2モータの回転速度の速度比を、第1モータ及び第2モータの目標速度の速度比と一致させる。これにより、シートがシート検知部よりも下流側を搬送されている場合において、第1モータ及び第2モータの回転速度の速度比が目標速度の速度比と一致している。よって、第2ローラにシートが到達するタイミングが、第1モータ及び第2モータの回転速度の速度比の目標速度の速度比に対する差異によってずれてしまうことが低減可能である。
【0020】
(6) 本発明の搬送装置は、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1期間における上記第1ローラの回転量に対応して設定された第3回転量を加算する第6補正部を更に備えている。これにより、上述の(2)と同様の効果を得ることができる。
【0021】
(7) 本発明の搬送装置は、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1期間における上記第1モータの回転速度に対応して設定された第4回転量を加算する第7補正部を更に備えている。これにより、上述の(3)と同様の効果を得ることができる。
【0022】
(8) 本発明の搬送装置は、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1搬送路を搬送されるシートの種類を示す種類情報に対応して設定された第5回転量を加算する第8補正部を更に備えている。これにより、上述の(4)と同様の効果を得ることができる。
【0023】
(9) 本発明の搬送装置は、上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置よりも上記第1搬送向きの下流側の分岐位置において上記第1搬送路から分岐され、上記シート検知部よりも上記第1搬送向きの上流側の合流位置において上記第1搬送路と合流するように延びており、シートを上記分岐位置から上記合流位置に向かう第2搬送向きへ案内する第2搬送路と、上記第2搬送路に設けられており、上記第1モータによって回転されて、シートを上記第2搬送路に沿って上記第2搬送向きに搬送する第3ローラと、を更に備えている。
【0024】
本構成のように、搬送装置が第2搬送路及び第3ローラを有している場合がある。例えば、両面印刷可能な画像形成装置は、このような搬送装置を内部に備えている。そして、本構成においては、第3ローラが第1モータによって回転されているため、上述の(1)や(5)と同様の効果を得ることができる。
【0025】
(10) 上記速度検知部は、上記第1モータと一体に回転し、上記第1モータの回転中心と同心の周上に複数の第1被検出部が設けられた第1回転体、及び上記第1被検出部を検出することで上記第1モータの回転量を算出する第1検出部で構成される第1エンコーダと、上記第2モータと一体に回転し、上記第2モータの回転中心と同心の周上に複数の第2被検出部が設けられた第2回転体、及び上記第2被検出部を検出することで上記第2モータの回転量を算出する第2検出部で構成される第2エンコーダと、経過時間をカウントするカウンタと、を備えている。上記速度検知部は、上記カウンタによってカウントされた所定時間、及び当該所定時間に対応する上記第1モータの回転量に基づいて上記第1モータの速度を算出し、上記カウンタによってカウントされた所定時間、及び当該所定時間に対応する上記第2モータの回転量に基づいて上記第2モータの速度を算出する。
【0026】
本構成によれば、速度検知部は、第1モータ及び第2モータの速度を正しく検知することができる。
【0027】
(11) 上記速度検知部は、上記第1期間のうち、上記第1モータ及び上記第2モータが定速で回転する期間として予め設定された第2期間において、上記第1モータの回転速度及び上記第2モータの回転速度をそれぞれ複数検知し、検知した複数の上記第1モータの回転速度の平均値と、検知した複数の上記第2モータの回転速度の平均値とを算出する。
【0028】
本構成によれば、速度検知部は、シートが一定速度で搬送されている範囲において、各モータの回転速度を複数検知して、その平均値を算出する。よって、速度検知部は、一箇所において検知された回転速度よりも信頼性が高い回転速度を算出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、第1モータの回転速度と第1モータの目標速度とにずれが生じた場合、或いは第2モータの回転速度と第2モータの目標速度とにずれが生じた場合、第1補正部が、シート検知部によるシートの検知から所定位置への当該シートの到達までの第2ローラの回転量として予め設定された第1回転量を補正する。よって、回転速度の目標速度に対する誤差によって、用紙が停止される位置が所定位置からずれてしまうことが、回避可能である。したがって、本発明においては、シートを搬送する第1ローラ及び第2ローラの回転速度が目標速度に対して誤差を生じてしまった場合であっても、シートを所定の目標位置に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、複合機10の斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、制御部130の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、補正制御について説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、変形例1における補正制御について説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、データテーブルを模式的に示す表である。
【図7】図7は、変形例2における補正制御について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0032】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の搬送装置が搭載される複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリント機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。本実施形態において、複合機10は両面画像記録機能を有しているが、複合機10は片面画像記録機能のみを有していてもよい。
【0033】
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング(筐体)14を有している。また、各種サイズの記録用紙(本発明のシートの一例)を載置可能なトレイ20(図2参照)が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。
【0034】
複合機10の正面上部には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、複合機10を操作するための装置である。複合機10は、操作パネル17からの操作入力に基づいて動作する。操作パネル17は、液晶表示画面17Aと、複数の操作スイッチ17Bとを備えている。操作スイッチ17Bは、ボタンなどで構成されている。
【0035】
ユーザは、液晶表示画面17Aに表示された複合機10の状態や操作指示などのメッセージに基づいて、操作スイッチ17Bを操作(例えば押圧)する。これにより、複合機10が動作される。なお、液晶表示画面17Aはタッチパネルであってもよい。この場合、液晶表示画面17Aに、上記の複数の操作スイッチ17Bの一部又は全てが表示される。
【0036】
図2に示されるように、プリンタ部11は、トレイ20から記録用紙をピックアップして給送する給紙部15と、トレイ20の上方に設けられており、給紙部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24と、経路切換部41などを備えている。なお、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
【0037】
また、複合機10は、搬送装置(本発明の搬送装置に一例)を備えている。搬送装置は、少なくとも、後述する給紙ローラ25、給紙用モータ70、第1搬送ローラ60、搬送用モータ71、シート検知部120、及び制御部130を備えて構成されている。また、搬送装置は、上記の構成に加えて、第1ロータリーエンコーダ72及び第2ロータリーエンコーダ73を更に備えていてもよい。また、搬送装置は、上記の構成に加えて、反転搬送路67及び第4搬送ローラ68を更に備えていてもよい。
【0038】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25(本発明の第1ローラの一例)、給紙アーム26及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は、トレイ20に当接及び離間が可能である。つまり、給紙ローラ25は、トレイ20に載置された記録用紙50に当接可能である。
【0039】
給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙用モータ70(本発明の第1ローラの一例、図3参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、トレイ20上に積載された記録用紙50のうち、一番上側の記録用紙に当接された状態で、当該記録用紙を他の記録用紙から分離して以下で説明する湾曲路65Aに供給する。
【0040】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65(本発明の第1搬送路の一例)が形成されている。搬送路65は、トレイ20の先端から第1搬送ローラ60に至る間に形成された湾曲路65Aと、第1搬送ローラ60から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
【0041】
湾曲路65Aは、トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。給紙ローラ25によってトレイ20から給送される記録用紙は、湾曲路65Aを搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って第1搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き、本発明の第1搬送向きに相当)に湾曲されて、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による記録用紙の挟持位置へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19によって区画されている。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する各ガイド部材31、32、82、83は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
【0042】
排紙路65Bは、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による記録用紙の挟持位置から排紙保持部79に渡って延設された直線状の通路である。記録用紙は、排紙路65Bを第1搬送向きに案内される。排紙路65Bは、記録部24が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及びプラテン42によって区画されている。また、排紙路65Bは、記録部24が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83によって区画されている。
【0043】
記録部24よりも第1搬送向きの下流側、且つ後述する第2搬送ローラ62よりも第1搬送向きの下流側に、分岐位置36(本発明の分岐位置の一例)が存在する。排紙路65Bを搬送される記録用紙は、両面画像記録の際、分岐位置36の下流側でスイッチバックされ、後述する反転搬送路67(本発明の第2搬送路の一例)へ向けて搬送される。
【0044】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、トレイ20の上方に配置されている。記録部24は、左右方向9(図2において紙面と垂直な方向)に往復移動する。記録部24の下方には記録用紙を水平に保持するためのプラテン42が設けられている。記録用紙が、記録部24の下方の所定位置33(本発明の所定位置に相当)に到達すると、記録部24は、左右方向9へ往復移動を開始する。記録部24は、左右方向9への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを、ノズル39からプラテン42上を搬送される記録用紙にインク滴として吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。なお、上記の所定位置33は、記録部24による記録用紙に対する画像記録の開始時における記録用紙の先端の位置である。例えば、上記の所定位置33は、記録部24においてノズル39が配置されている領域に対向する排紙路65B上の領域のうち、第1搬送向きの上流端の位置である。
【0045】
[搬送ローラ45、60、62]
図2に示されるように、第1搬送ローラ60(本発明の第2ローラの一例)及びピンチローラ61が、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19と記録部24との間に設けられている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、給紙ローラ25によって湾曲路65Aを搬送されてきた記録用紙を狭持する。つまり、第1搬送ローラ60は、給紙ローラ25よりも第1搬送向きの下流側に設けられている。第1搬送ローラ60は、挟持された当該記録用紙を排紙路65Bに沿って第1搬送向きに搬送する。これにより、当該記録用紙は、プラテン42上へ送られる。
【0046】
第2搬送ローラ62及び拍車63が、記録部24と上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83との間に設けられている。拍車63は、第2搬送ローラ62の上方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車63は、記録部24で画像を記録された記録用紙を狭持して第1搬送向きの下流側へ搬送する。
【0047】
各搬送ローラ60、62は、搬送用モータ71(本発明の第2モータの一例、図3参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。前記の駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されている。これにより、前記の駆動伝達機構は、搬送用モータ71が正回転及び逆回転方向のいずれに回転されても、各搬送ローラ60、62を一回転方向へ回転させる。その結果、記録用紙は第1搬送向きへ搬送される。
【0048】
第3搬送ローラ45及び拍車46が、分岐位置36よりも第1搬送向きの下流側に設けられている。拍車46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。
【0049】
第3搬送ローラ45は、搬送用モータ71から駆動伝達機構(不図示)を介して正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向または逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。一方、両面記録が行われる場合、第3搬送ローラ45及び拍車46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。これにより、記録用紙は、第1搬送向きと逆向きに搬送され、以下で説明する経路切換部41によって後述する反転搬送路67へ向けて搬送される。
【0050】
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、第2搬送ローラ62よりも第1搬送向きの下流側、且つ分岐位置36よりも第1搬送向きの上流側に配置されている。経路切換部41は、補助ローラ47、48、フラップ49及び支軸87で構成されている。
【0051】
図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延びる支軸87が、プリンタ部11のフレームなどに設けられている。フラップ49は、支軸87から概ね第1搬送向きの下流側へ延出されており、支軸87に回動可能に軸支されている。補助ローラ47及び補助ローラ48が、フラップ49に軸支されている。補助ローラ47,48のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるため、拍車63及び拍車46と同様に拍車状に形成されている。
【0052】
フラップ49は、姿勢変化可能に構成されており、下側ガイド部材83よりも上方に位置する排出姿勢(図2に破線で示される姿勢)と、延出端部49Aが分岐位置36よりも下方へ進入する反転姿勢(図2に実線で示される姿勢)との間で回動する。記録部24を通過した記録用紙は、フラップ49が排出姿勢の場合、更に第1搬送向きの下流側へ搬送され、フラップ49が反転姿勢の場合、反転搬送路67へスイッチバック搬送される。フラップ49は、通常状態において自重によって反転姿勢であるが、排紙路65Bを搬送される記録用紙に持ち上げられることによって回動して排出姿勢に姿勢変化する。また、フラップ49は、記録用紙の後端が補助ローラ47を通過すると、自重によって回動して、排出姿勢から反転姿勢に姿勢変化する。なお、フラップ49は、モータなどによって回動される構成であってもよい。
【0053】
[反転搬送路67]
図2に示されるように、反転搬送路67は、分岐位置36で排紙路65Bから分岐され、記録部24の下側且つ給紙部15の上側を通って、記録部24よりも第1搬送向きの上流側の合流位置37(本発明の合流位置の一例)で湾曲路65Aと合流する。記録用紙は、反転搬送路67を第2搬送向き(本発明の第2搬送向きに相当)に搬送される。ここで、第2搬送向きは、反転搬送路67を分岐位置36から合流向き37に向かう向きで、図2における矢印付きの二点鎖線で示される向きを指す。反転搬送路67は、上側を第2ガイド部材32によって区画されている。また、反転搬送路67は、下側を第1ガイド部材31によって区画されている。
【0054】
[第4搬送ローラ68]
図2に示されるように、第4搬送ローラ68(本発明の第3ローラの一例)及び従動ローラ69が、反転搬送路67に設けられている。第4搬送ローラ68は、反転搬送路67において、従動ローラ69の下方且つ対向する位置に配置されている。第4搬送ローラ68は、給紙用モータ70(図3参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて、回転駆動される。これにより、第3搬送ローラ45によって反転搬送路67に搬送されてきた記録用紙が第4搬送ローラ68と従動ローラ69との間に挟持されると、第4搬送ローラ68は当該記録用紙を反転搬送路67に沿って第2搬送向きに搬送する。これにより、当該記録用紙は、合流位置37を介して湾曲路65B上へ送られる。
【0055】
[シート検知部120]
図2に示されるように、プリンタ部11は、トレイ20から給紙され湾曲路65Aを搬送される記録用紙の先端を検知するためのシート検知部120(本発明のシート検知部の一例)を備えている。
【0056】
シート検知部120は、湾曲路65Aにおける給紙ローラ25及び合流位置37よりも下流側であって第1搬送ローラ60よりも上流側に設けられている。換言すると、シート検知部120は、湾曲路65Aにおける給紙ローラ25及び第1搬送ローラ60の間に設けられている。
【0057】
シート検知部120は、例えば、検出子112A,112Bを有する回転体112と、発光素子(例えば発光ダイオード)及び当該発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ等の光センサ111とにより構成されている。回転体112は、支軸123を中心に回転可能に設けられている。検出子112Aは支軸123から湾曲路65Aに突出している。回転体112に外力が加えられていない状態で、検出子112Bは、光センサ111の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、当該光路を通る光を遮断している。回転体112が記録用紙の先端に押されることによって回転すると、検出子112Bは当該光路から外れて、当該光路に光が通る。
【0058】
[ロータリーエンコーダ72、73]
図3に示されるように、複合機10は、第1ロータリーエンコーダ72(本発明の第1エンコーダの一例)と、第2ロータリーエンコーダ73(本発明の第2エンコーダの一例)とを備えている。
【0059】
第1ロータリーエンコーダ72は、給紙用モータ70の軸(不図示)に取り付けられており、軸と一体に回転する第1エンコーダディスク(不図示、本発明の第1回転体の一例)と、第1光学センサ(不図示、本発明の第1検出部の一例)とで構成されている。第1エンコーダディスクには、その回転中心と同心の円周方向に、一定間隔で光を透過する透過部と光を透過しない非透過部とが等ピッチで交互に複数配置された第1パターン(不図示、本発明の第1被検出部の一例)が形成されている。第1光学センサは、第1エンコーダディスクのうち、第1パターンが形成されている位置と対向する位置に設けられている。第1エンコーダディスクが給紙用モータ70の軸と共に回転すると、第1エンコーダディスクに配置された第1パターンが第1光学センサによって検出される。そして、当該検出の度に、パルス信号が第1光学センサによって生成される。生成されたパルス信号は、第1光学センサから後述する制御部130へと出力される。制御部130は、第1光学センサからのパルス信号に基づいて、給紙用モータ70の回転量を算出する。本発明の第1検出部は、第1光学センサと制御部130とで構成されている。
【0060】
第2ロータリーエンコーダ73は、搬送用モータ71の軸(不図示)に取り付けられており、軸と一体に回転する第2エンコーダディスク(不図示、本発明の第2回転体の一例)と、第2光学センサ(不図示、本発明の第2検出部の一例)とで構成されている。第2エンコーダディスクには、その回転中心と同心の円周方向に、一定間隔で光を透過する透過部と光を透過しない非透過部とが等ピッチで交互に複数配置された第2パターン(不図示、本発明の第2被検出部の一例)が形成されている。第2光学センサは、第2エンコーダディスクのうち、第2パターンが形成されている位置と対向する位置に設けられている。第2エンコーダディスクが搬送用モータ71の軸と共に回転すると、第2エンコーダディスクに配置された第2パターンが第2光学センサによって検出される。そして、当該検出の度に、パルス信号が第2光学センサによって生成される。生成されたパルス信号は、第2光学センサから制御部130へと出力される。制御部130は、第2光学センサからのパルス信号に基づいて、搬送用モータ71の回転量を算出する。本発明の第2検出部は、第2光学センサと制御部130とで構成されている。
【0061】
[制御部130]
以下、制御部130の概略構成が説明される。制御部130が後述するフローチャート(図4、図5、及び図7参照)にしたがって補正制御を行うことによって、本発明が実現される。つまり、制御部130は、本発明の速度検知部、第1判断部、第1補正部、第3補正部、及び第4補正部の一例である。また、制御部130は、変形例1において説明される第2判断部、制御部、第5補正部、第7補正部、及び第8補正部の一例である。また、制御部130は、変形例2において説明される第2補正部及び第6補正部の一例である。
【0062】
図3に示されるように、制御部130は、複合機10の全体動作を制御する。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0063】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0064】
ASIC135には、給紙用モータ70及び搬送用モータ71などが接続されている。また、ASIC135には、各モータを制御する駆動回路、及び経過時間をカウントするタイマ回路(不図示、本発明のカウンタの一例)などが組み込まれている。なお、タイマ回路は、ASIC135以外、例えばCPU131に組み込まれていてもよい。
【0065】
各モータを回転させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力され、これにより、対応するモータが所定の回転速度で正回転または逆回転する。つまり、制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71を制御する。
【0066】
また、ASIC135には、第1ロータリーエンコーダ72の第1光学センサ及び第2ロータリーエンコーダ73の第2光学センサから出力されるパルス信号が入力される。後述するように、制御部130は、タイマ回路によってカウントされた所定時間と、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の当該所定時間における回転量(上述したようにパルス信号に基づいて算出される。)とに基づいて、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を算出する。このような回転速度を算出する処理は、本発明の速度検知部による処理に相当する。
【0067】
また、ASIC135には、光センサ111が接続されている。光センサ111は、受光素子で受けた光の強度に応じたアナログの電気信号(電圧信号又は電流信号)を出力する。出力された信号は、制御部130に入力される。制御部130は、入力された信号の電気的レベル(電圧値又は電流値)が所定値以上であるか否かを判断する。入力された信号は、所定値以上である場合にHIGHレベル信号と判定され、所定値未満の場合にLOWレベル信号と判定される。制御部130は、入力された信号がHIGHレベルかLOWレベルか否かによって、記録用紙の先端がシート検知部120に到達したか否か、及び記録用紙の後端がシート検知部120を通過したか否かを判定する。
【0068】
また、制御部130は、記録用紙の先端がシート検知部120に到達したと判定したタイミングにおいて、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転量のカウントを開始する。なお、上述したように、当該回転量は、各ロータリーエンコーダ72、73の光学センサからのパルス信号に基づいて、算出される。制御部130は、タイマ回路によってカウントされた上記タイミングからの経過時間、及びカウントした給紙用モータ70の回転量に基づいて、区間B(図2参照)における現在の記録用紙の先端の位置を特定する。また、制御部130は、タイマ回路によってカウントされた上記タイミングからの経過時間、及びカウントした搬送用モータ71の回転量に基づいて、区間C(図2参照)における現在の記録用紙の先端の位置を特定する。
【0069】
なお、制御部130による記録用紙の先端の現在位置の特定は、上述したものに限らない。例えば、制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71ではなく給紙ローラ25及び第2搬送ローラ62の回転量に基づいて、現在の記録用紙の先端の位置を特定してもよい。この場合、複合機10は、給紙ローラ25及び第2搬送ローラ62の回転量を検知するためのエンコーダを備える必要がある。当該エンコーダは、例えば、第1ロータリーエンコーダ72と同様の構成である。つまり、当該エンコーダは、給紙ローラ25及び第2搬送ローラ60の軸30、34(図2参照)に取り付けられており、軸30、34と一体に回転するエンコーダディスク(不図示)と、光学センサ(不図示)とからなる。
【0070】
また、制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の駆動開始のタイミングからの経過時間をタイマ回路によってカウントし、当該経過時間に基づいて、現在の記録用紙の先端位置を特定してもよい。
【0071】
[速度検知部による定速期間における回転速度の平均値の算出]
上述したように、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度は、制御部130によって算出される。そして、制御部130は、後述する補正制御において、予め設定された定速期間(本発明の第2期間に相当)における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度の平均値を算出する。以下に詳述する。
【0072】
上記の定速期間に関する情報は、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。ここで、定速期間は、所定期間(本発明の第1期間に相当)に含まれる。所定期間は、給紙用モータ70の駆動開始による記録用紙の搬送開始から、当該記録用紙の先端がシート検知部120によって検知されるまでの期間である。換言すると、所定期間は、搬送中の記録用紙の先端が湾曲路65Aの区間A(図2参照)に位置している期間である。
【0073】
定速期間は、所定期間のうち、給紙用モータ70及び搬送用モータ71が定速で回転する期間である。給紙用モータ70及び搬送用モータ71は、駆動を開始してから所定時間まで加速して、その後、一定速度となる。よって、定速期間の始期は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71が駆動を開始してから所定時間経過した第1タイミングである。また、定速期間の終期は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71が駆動を開始してから、記録用紙が区間Aを搬送されるのに要する時間が経過した第2タイミングである。つまり、第2タイミングは、給紙用モータ70によって搬送された記録用紙の先端がシート検知部120によって検知されるタイミングである。
【0074】
第1タイミングは、複合機10に搭載される給紙用モータ70及び搬送用モータ71の仕様、及び制御部130によって各モータ70、71へ出力される駆動電流に基づいて算出可能である。第2タイミングは、区間Aの長さ、及び搬送される記録用紙の速度(予め設定された給紙用モータ70の速度)に基づいて算出可能である。以上より、定速期間は、第1タイミングから第2タイミングまでの期間である。よって、定速期間に関する情報は、各モータ70、71の駆動開始から第1タイミング及び第2タイミングまでの時間情報である。
【0075】
制御部130のタイマ回路は、給紙用モータ70の駆動開始と同時にカウントを開始する。そして、制御部130は、タイマ回路のカウントによって第1タイミングであると判断すると、第1光学センサのパルス信号に基づいて給紙用モータ70の回転量の検知を開始し、第2光学センサのパルス信号に基づいて搬送用モータ71の回転量の検知を開始する。
【0076】
制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転量を、タイマ回路によってカウントされる一定時間毎に検知する。これにより、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転量は、予め設定された所定回数だけ検知される。
【0077】
制御部130は、当該一定時間と、当該一定時間における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転量とに基づいて、当該一定時間中の給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を算出する。給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転量の検知数だけ算出される。制御部130は、算出した複数の給紙用モータ70の回転速度に基づいて、それらの平均値を算出する。また、制御部130は、算出した複数の搬送用モータ71の回転速度に基づいて、それらの平均値を算出する。そして、制御部130は、算出した平均値を、所定期間における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度として、RAM133に記憶する。
【0078】
以上より、本発明の速度検知部は、制御部130(タイマ回路を含む。)と、第1ロータリーエンコーダ72と、第2ロータリーエンコーダ73とによって構成される。そして、速度検知部は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を検知する。
【0079】
[制御部130による補正制御]
以下、第1搬送ローラ60の回転量を補正する補正制御の処理の手順が、図4のフローチャートに基づいて説明される。
【0080】
記録用紙への画像記録指示が外部機器や操作パネル17から複合機10に入力されると、給紙動作が開始される(S10)。具体的には、制御部130によって給紙用モータ70及び搬送用モータ71が駆動される。給紙用モータ70の駆動によって給紙ローラ25及び第4搬送ローラ68が回転される。給紙ローラ25の回転によって記録用紙が湾曲路65Aを搬送される。搬送用モータ71の駆動によって第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62、及び第3搬送ローラ45が回転される。また、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の駆動開始と同時に、タイマ回路によるカウントが開始される。
【0081】
制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71が定速であるか否かを判断する(S20)。具体的には、制御部130は、タイマ回路によるカウントを参照することによって、給紙動作開始から所定時間経過したか否か(換言すると第1タイミングに達したか否か)を判断する。
【0082】
給紙用モータ70及び搬送用モータ71が定速であると制御部130によって判断された場合(S20:Yes)、制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を検知する(S30)。
【0083】
制御部130は、光センサ111からの入力に基づいて、記録用紙の先端がシート検知部120に到達したか否かを判断する(S40)。制御部130は、記録用紙の先端がシート検知部120に到達したと判断した場合(S40:Yes)、ステップS60の処理を実行する。一方、制御部130は、記録用紙の先端がシート検知部120に到達していないと判断した場合(S40:No)、タイマ回路によるカウントを参照することによって、ステップS30における回転速度の検知から一定時間が経過しているか否かを判断する(S50)。
【0084】
制御部130は、一定時間が経過していると判断した場合(S50:Yes)、再び給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を検知する(S30)。つまり、制御部130は、記録用紙の先端がシート検知部120に到達するまでの間、一定時間毎に給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を検知する。
【0085】
制御部130は、ステップS30〜S50において検知された複数の給紙用モータ70の回転速度に基づいてそれらの平均値を算出する(S60)。当該平均値が、給紙用モータ70の実際の回転速度Vp1である。同様に、制御部130は、ステップS30〜S50において検知した複数の搬送用モータ71の回転速度に基づいてそれらの平均値を算出する(S60)。当該平均値が、搬送用モータ71の実際の回転速度Vp2である。
【0086】
制御部130は、ステップS60において算出された給紙用モータ70の回転速度Vp1と、給紙用モータ70の目標速度Vt1とを比較する(S70)。また、制御部130は、ステップS60において算出された搬送用モータ71の回転速度Vp2と、搬送用モータ71の目標速度Vt2とを比較する(S70)。
【0087】
ここで、給紙用モータ70の目標速度Vt1は、複合機10の設計段階において設定された速度である。例えば、当該目標速度Vt1の値、または、給紙用モータ70を目標速度Vt1で回転させるための駆動電流の値が、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。また、搬送用モータ71の目標速度Vt2も、給紙用モータ70の目標速度Vt1と同様に、複合機10の設計段階において設定された値である。
【0088】
比較の結果、回転速度Vp1及び目標速度Vt1が異なる場合、または、回転速度Vp2及び目標速度Vt2が異なる場合(S70:Yes)、制御部130は、ステップS80の処理を実行する。一方、比較の結果、回転速度Vp1及び目標速度Vt1が同一であり、且つ、回転速度Vp2及び目標速度Vt2が同一である場合(S70:No)、制御部130は、ステップS130の処理を実行する。以上説明したステップS70における処理は、本発明の第1判断部による処理に相当する。
【0089】
制御部130は、ステップS60において算出された給紙用モータ70の実際の回転速度Vp1と、シート検知部120から第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による記録用紙の挟持位置までの距離である区間B(図2参照)とに基づいて、以下の式(1)によって、時間t1を算出する(S80)。時間t1は、給紙用モータ70が回転速度Vp1で回転した場合に、記録用紙の区間Bの搬送に要する時間である。
【0090】
(数1)
t1=B/Vp1・・・式(1)
【0091】
制御部130は、ステップS80において算出された時間t1と、ステップS60において算出された搬送用モータ71の実際の回転速度Vp2とに基づいて、以下の式(2)によって、記録用紙が区間Bを搬送されている間における搬送用モータ71の実回転量Rpを算出する(S90)。
【0092】
(数2)
Rp=t1×Vp2・・・式(2)
【0093】
ステップS100において、制御部130は、以下の処理を実行する。制御部130は、ステップS90において算出された実回転量Rpから、記録用紙が区間Bを搬送されている間における搬送用モータ71の目標回転量Rtを減算する。
【0094】
ここで、目標回転量Rtは、給紙用モータ70の目標速度Vt1、搬送用モータ71の目標速度Vt2、及び区間Bに基づいて算出される回転量である。目標回転量Rtは、以下に記す方法によって予め算出可能であり、算出された値が、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。
【0095】
以下の式(3)によって、時間t2が算出される。時間t2は、給紙用モータ70が目標速度Vt1で回転した場合に、記録用紙の区間Bの搬送に要する時間である。そして、以下の式(4)によって、搬送用モータ71の目標回転量Rtが算出される。
【0096】
(数3)
t2=B/Vt1・・・式(3)
【0097】
(数4)
Rt=t2×Vt2・・・式(4)
【0098】
次に、制御部130は、減算した値(Rp−Rt)を、搬送用モータ71の設定回転量Rs1に加算する。ここで、搬送用モータ71の設定回転量Rs1は、シート検知部120によって記録用紙の先端が検知されてから、当該記録用紙の先端が所定位置33に到達するまでの、搬送用モータ71の回転量である。搬送用モータ71の設定回転量Rs1は、複合機10の設計段階において予め設定されており、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。
【0099】
減算した値(Rp−Rt)が搬送用モータ71の設定回転量Rs1に加算されることによって、搬送用モータ71の補正回転量Rr1が算出される(以下の式(5)参照)。
【0100】
(数5)
Rr1=Rs1+(Rp−Rt)・・・式(5)
【0101】
以上より、実回転量Rpが目標回転量Rtよりも大きい場合、設定回転量Rs1は増加するように補正され、実回転量Rpが目標回転量Rtよりも小さい場合、設定回転量Rs1は減少するように補正される。
【0102】
以下、補正回転量Rr1の実数値を用いた算出例が説明される。本算出例において、区間Bの距離は10000(enc)である。ここで、encとはエンコーダの略称であり、本算出例では1/7200(inch)を指す。また、給紙用モータ70の目標速度Vt1は20(inch per second、以下ipsと記す。)である。また、給紙モータ70の実速度Vp1は15(ips)である。また、搬送用モータ71の目標速度Vt2は25(ips)である。また、搬送用モータ71の実速度Vp2は20(ips)である。
【0103】
時間t2は、式(3)によって、以下の式(6)のように算出される。
【0104】
(数6)
t2=(10000/20)×(1/7200)≒0.069(s)
【0105】
搬送用モータ71の目標回転量Rtは、式(4)によって、以下の式(7)のように算出される。
【0106】
(数7)
Rt=0.069×25×7200=12420(enc)
【0107】
時間t1は、式(1)によって、以下の式(8)のように算出される。
【0108】
(数8)
t1=(10000/15)×(1/7200)≒0.0925(s)
【0109】
搬送用モータ71の実回転量Rpは、式(2)によって、以下の式(9)のように算出される。
【0110】
(数9)
Rp=0.0925×20×7200=13320(enc)
【0111】
そして、制御部130は、設定回転量Rs1を、実回転量Rpから目標回転量Rtを減算した値、つまり13320−12420=900(enc)だけ補正する(式(5)参照)。当該補正によって、補正回転量Rr1が算出される。
【0112】
ここで、第1搬送ローラ60の回転量は、搬送用モータ71の回転量に対応して決定される。例えば、第1搬送ローラ60の回転量は、搬送用モータ71に対する第1搬送ローラ60のギヤ比によって決定される。よって、シート検知部120によって記録用紙の先端が検知されてから、当該記録用紙の先端が所定位置33に到達するまでの、第1搬送ローラ60の設定回転量Rs2(本発明の第1回転量の一例)は、搬送用モータ71の設定回転量Rs1に対応して予め設定されており、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。また、第1搬送ローラ60の補正回転量Rr2(本発明の第2回転量の一例)は、搬送用モータ71の補正回転量Rr1に対応して決定される。ステップS100において、制御部130は、以上の処理を実行する。
【0113】
なお、設定回転量Rs1、Rs2は、上述したようにROM132またはEEPROM134に記憶されているが、ステップS100において、ROM132またはEEPROM134から読み出されて、RAM133に割り当てられた回転量記憶領域に記憶される。以後、回転量記憶領域に記憶された設定回転量Rs1、Rs2に対して、補正が実行される。補正が実行された場合、回転量記憶領域に記憶された補正前の回転量は、補正後の回転量に置き換えられる。例えば、上述の場合、回転量記憶領域に記憶された設定回転量Rs1、Rs2は、補正回転量Rr1、Rr2に置き換えられる。
【0114】
以上説明したステップS80〜S100における処理は、本発明の第1補正部による処理に相当する。
【0115】
補正回転量Rr2を算出した後、制御部130は、第4回転量R4(本発明の第4回転量に相当)を設定する(S110)。第4回転量R4は、所定期間における給紙用モータ70の回転速度に対応して設定された回転量である。
【0116】
例えば、制御部130は、ROM132またはEEPROM134に記憶されたデータテーブルを参照することによって、第4回転量R4を設定する。
【0117】
図6に示されるように、データテーブルの1〜3列目(4〜5列目については後述する。)は、複数の給紙速度(1列目)と、各給紙速度に対応して設定された回転量(2列目)と、各給紙速度に対応して設定された第4回転量R4としての補正量(3列目)とで構成されている。
【0118】
ここで、1列目の複数の給紙速度は、記録用紙に記録される画像の画質によって5段階に設定されている。具体的には、給紙速度は、高画質である程、遅く設定されている。2列目の回転量は、第1搬送ローラ60の設定回転量Rs2のうち、シート検知部120によって記録用紙の先端が検知されてから、当該記録用紙の先端が第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による挟持位置に到達するまでの回転量である。
【0119】
例えば、操作パネル17において給紙速度が25(ips)のモードがユーザによって選択された場合、第4回転量R4である400が、制御部130によって設定される。設定された第4回転量R4は、RAM133に記憶される。
【0120】
なお、本実施形態において、データテーブルの給紙速度は、画像記録のモードに応じて選択される。しかし、データテーブルの給紙速度は、ステップ60において制御部130によって算出された給紙用モータ70の回転速度Vp1に応じて設定されてもよい。この場合、データテーブルの複数の給紙速度は、各給紙速度の間隔をより小さく且つより多段階に設定されることが望ましい。
【0121】
第4回転量R4を設定した後、制御部130は、第5回転量R5(本発明の第5回転量に相当)を設定する(S120)。第5回転量R5は、搬送路65を搬送される記録用紙の種類を示す後述する種類情報に対応して設定された回転量である。
【0122】
例えば、制御部130は、図6に示されるデータテーブルを参照することによって、第5回転量R5を求める。データテーブルは、上述した1〜3列目に加えて、搬送される記録用紙が光沢紙の場合の2列目に対応する回転量が4列目に示され、搬送される記録用紙が光沢紙の場合の3列目に対応する第5回転量R5としての補正量が5列目に示されている。なお、データテーブルの2列目及び3列目には、搬送される記録用紙が普通紙の場合の回転量及び第5回転量R5としての補正量が示されている。つまり、普通紙及び光沢紙に応じて、補正量及び回転量が設定されている図6のデータテーブルは、本発明の種類情報の一例である。
【0123】
例えば、複合機10が2つのトレイ20を備え、一方のトレイ20に普通紙が載置され、他方のトレイ20に光沢紙が載置されている場合、ユーザは、操作パネル17において、搬送される記録用紙が載置されているトレイ20を選択可能である。つまり、ユーザは、搬送される記録用紙の種類を選択可能である。そして、ユーザが、操作パネル17において、光沢紙を選択し、且つ給紙速度が25(ips)のモードを選択した場合、第4回転量R4及び第5回転量R5である440が、制御部160によって設定される。設定された値が440の回転量は、RAM133に記憶される。
【0124】
以上より、本例においては、第4回転量R4は、図6に示されるデータテーブルの縦軸である給紙速度によって設定され、第5回転量R5は、図6に示されるデータテーブルの横軸である記録用紙の種類情報によって設定される。すなわち、本例においては、第4回転量R4及び第5回転量R5は、一つの回転量として設定される。なお、各回転量R4、R5についてのデータテーブルが個別に設けられることなどによって、第4回転量R4及び第5回転量R5が、別個の回転量として設定されてもよいことは言うまでもない。
【0125】
第5回転量R5を設定した後、制御部130は、補正回転量Rr2に、ステップS130において設定した第4回転量R4と、ステップS140において設定した第5回転量R5とを加算する(S150)。例えば、RAM133に記憶された第4回転量R4及び第5回転量R5としての値440の回転量が、補正回転量Rr2に加算される。そして、第4回転量R4及び第5回転量R5が加算された後の補正回転量Rr2が、加算前の補正回転量Rr2に置き換えられて回転量記憶領域に記憶される。
【0126】
以上説明したステップS110、S130における処理は、本発明の第3補正部による処理に相当する。また、ステップS120、S130における処理は、本発明の第4補正部による処理に相当する。なお、ステップS120〜S140の実行の有無は任意である。
【0127】
制御部130は、第1搬送ローラ60を、ステップS130において求められた回転量だけ回転させる。当該回転の中途において、給紙ローラ25によって搬送されている記録用紙は、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による挟持位置に到達する。これ以後、記録用紙は、第1搬送ローラ60によって搬送される。第1搬送ローラ60は、ステップS130において求められた回転量を回転して停止するまでは記録用紙を搬送する(S140)。第1搬送ローラ60が停止したとき、つまり給紙動作が終了したとき(S140)、記録用紙の先端は所定位置33に位置している。
【0128】
なお、給紙用モータ70は、所定量回転した後で停止する。ここで、所定量は、記録用紙が第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による挟持位置に到達するのに十分な量が予め設定されている。また、給紙動作が終了すると、タイマ回路がリセットされる。
【0129】
この状態において、記録用紙に対する画像記録が開始される。具体的には、制御部130は、記録部24を左右方向9へ往復動させるとともに、記録用紙を搬送向きに間欠搬送させる。記録部24は、記録用紙が停止しているときに、左右方向9に往復動しつつインク滴を記録用紙に吐出する。以上のようにして、記録用紙に対する画像記録が実行される(S150)。
【0130】
記録用紙に対する画像記録が終了すると、両面印刷モードが選択されているか否かが、制御部130によって判断される(S160)。なお、両面印刷モード及び片面印刷モードの選択は、ユーザが操作パネル17を操作することによって実行される。
【0131】
片面印刷モードが選択されている場合(S160:No)、記録用紙が排紙保持部79に排出されて、一連の補正制御の処理は終了する。
【0132】
一方、両面印刷モードが選択されている場合であって裏面に対する画像記録が未実行である場合(S160:Yes)、記録用紙は、スイッチバック搬送されて反転搬送路67へ導かれる。記録用紙の先端が第4搬送ローラ68及び従動ローラ69による挟持位置に到達するタイミングよりも後の所定のタイミングにおいて、給紙用モータ70が再び駆動開始されて給紙動作が開始される(S10)。記録用紙は、第4搬送ローラ68によって、反転搬送路67を合流位置37まで搬送される。その後、記録用紙は、上述のステップS10〜S150のときとは表裏面が逆の状態で搬送路65を搬送される。そして、再びステップS20〜S160が実行される。この際、区間Aの代わりに区間Dが用いられる。区間Dは、第4搬送ローラ68及び従動ローラ69による記録用紙の挟持位置と、シート検知部120による検知位置との間の区間である。記録用紙の裏面に対する画像記録が実行されると(S150)、記録用紙の裏面に対する画像記録が実行済であるため(S160:No)、記録用紙が排紙保持部79に排出されて一連の補正制御の処理は終了する。
【0133】
なお、本実施形態において、実数値を用いた算出例で示されているとおり、搬送用モータ71の速度は、給紙用モータ70の速度よりも速く設定されている。これは、以下の理由による。記録用紙が一枚だけ搬送される場合、或いは記録用紙が両面に画像記録される場合、上述したように、給紙用モータ70は、所定量回転した後に停止する。しかし、記録用紙が、片面の画像記録のみ実行されつつ二枚以上連続して搬送される場合、給紙用モータ70は、処理の高速化のために常時回転される。一方、上述の通り、記録用紙は画像記録中に間欠搬送される。よって、搬送用モータ71は間欠駆動される。従って、給紙用モータ70によって搬送される後続の記録用紙が、搬送用モータ71によって搬送される先行の記録用紙に追いつくおそれがある。そこで、上述のように、搬送用モータ71の速度が給紙用モータ70の速度よりも速く設定される。これにより、記録用紙の追いつきの発生が回避され、先行の記録用紙と後続の記録用紙との間に、適切な間隔を形成することができる。
【0134】
[実施形態の効果]
給紙用モータ70の回転速度と目標速度とにずれが生じた場合、或いは搬送用モータ71の回転速度と目標速度とにずれが生じた場合、第1搬送ローラ60によって記録用紙の搬送が開始されるタイミングが早くなったり遅くなったりする。第1搬送ローラ60が、当該タイミングが早いか遅いかにかかわらず、予め設定された量だけ回転して停止する場合、当該タイミングのずれによって、記録用紙が停止される位置が所定位置33からずれてしまう。しかし、本実施形態によれば、制御部130が、所定期間における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度に基づいて、設定回転量Rs2を補正する。よって、上記タイミングのずれによって、記録用紙が停止される位置が所定位置33からずれてしまうことが、回避可能である。したがって、本実施形態においては、給紙ローラ25及び第1搬送ローラ60の回転速度が目標速度に対して誤差を生じてしまった場合であっても、記録用紙を所定の目標位置33に停止させることができる。
【0135】
記録用紙が給紙ローラ25の駆動開始時点における位置からシート検知部120による検知位置まで搬送される間に、給紙ローラ25が記録用紙に対してスリップするおそれがある。給紙ローラ25が記録用紙に対してスリップすると、給紙ローラ25の回転量は増加するにもかかわらず記録用紙の搬送距離は増加しない事態が発生してしまう。そこで、本実施形態においては、給紙ローラ25の回転速度に対応して第4回転量R4を設定しておく。そして、制御部130は、所定期間における給紙ローラ25の回転速度に対応する第4回転量R4を補正回転量Rr2に加算する。これにより、スリップに起因する給紙ローラ25による記録用紙の搬送距離の不足分を、第1搬送ローラ60による記録用紙の搬送距離の増加によって補うことができる。
【0136】
例えば、給紙ローラ25は、搬送される記録用紙が光沢紙の場合に、搬送される記録用紙が普通紙の場合よりもスリップを起こしやすい。そこで、本実施形態においては、記録用紙の種類毎に異なる量である第5回転量R5を設定しておく。そして、制御部130は、第5回転量R5を補正回転量Rr2に加算する。これにより、記録用紙の種類によって異なるスリップ量の影響を低減することが可能である。
【0137】
また、本実施形態における複合機10は、両面印刷可能である。つまり、複合機10は、内部に反転搬送路67及び第4搬送ローラ68を有している。そして、本実施形態においては、第4搬送ローラ68が給紙用モータ70によって回転されているため、上述と同様の効果を得ることができる。
【0138】
また、本実施形態の速度検知部は、第1ロータリーエンコーダ72、第2ロータリーエンコーダ73、及びタイマ回路を備えている。これにより、当該速度検知部は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を正しく検知することができる。
【0139】
また、本実施形態の速度検知部は、記録用紙が一定速度で搬送されている範囲において、各モータ70、71の回転速度を複数検知して、その平均値を算出する。よって、当該速度検知部は、一箇所において検知された回転速度よりも信頼性が高い回転速度を算出することができる。
【0140】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態では、制御部130は、補正制御において、第1搬送ローラ60の回転量として予め設定された設定回転量Rs2を補正した。しかし、制御部130は、補正制御において、給紙用モータ70または搬送用モータ71の少なくとも一方の回転速度を補正してもよい。以下、変形例1における制御部130による補正制御の処理の手順が、図5のフローチャートに基づいて説明される。なお、以下の説明において、図4のフローチャートと同じ処理が実行されるステップ(S10〜S60、及びS110〜S160)の説明は、省略される。
【0141】
変形例1においては、図4におけるステップS70〜S100の代わりに、ステップS200、S210が実行される。また、上述の実施形態では、ステップS130において、補正回転量Rr2に、第4回転量R4及び第5回転量R5が加算されているが、変形例1では、ステップS130において、設定回転量Rs2に、第4回転量R4及び第5回転量R5が加算される。
【0142】
ステップS200において、制御部130は、ステップS60において算出された給紙用モータ70の回転速度Vp1と搬送用モータ71の回転速度Vp2との第1速度比を算出する。また、制御部130は、給紙用モータ70の目標速度Vt1と搬送用モータ71の目標速度Vt2との第2速度比を算出する。そして、制御部130は、第1速度比及び第2速度比を比較する。
【0143】
比較の結果、第1速度比及び第2速度比が異なる場合(S200:Yes)、制御部130はステップS210の処理を実行する。一方、第1速度比及び第2速度比が同一の場合(S200:No)、制御部130はステップS110の処理を実行する。以上説明したステップS200における処理は、本発明の第2判断部による処理に相当する。
【0144】
ステップS210において、制御部130は、両モータ70、71の少なくとも一方の回転速度を補正して、第1速度比及び第2速度比を一致させる。例えば、制御部130は、両モータ70、71のうち回転が速い方のモータ70、71の回転速度を減少させることによって、第1速度比及び第2速度比を一致させる。具体的には、制御部130は、ASIC135の駆動回路に流す電流値を減少させることによって、回転が速い方のモータ70、71の回転速度を、回転が遅い方のモータ70、71の回転速度まで低下させる。以上説明したステップS210における処理は、本発明の第5補正部による処理に相当する。
【0145】
以下、実数値を用いた第5補正部による処理例が2つ説明される。第1の処理例では、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の実速度のうちの一方が減少される場合が説明される。第2の処理例では、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の実速度の双方が減少される場合が説明される。
【0146】
第1の処理例において、給紙モータ70の実速度Vp1は18(ips)である。また、搬送用モータ71の実速度Vp2は20(ips)である。また、給紙用モータ70の目標速度Vt1は20(ips)である。また、搬送用モータ71の目標速度Vt2は25(ips)である。
【0147】
第1の処理例の場合、第1速度比は、(Vp1/Vp2)=(18/20)=(9/10)である。また、第2速度比は、(Vt1/Vt2)=(20/25)=(4/5)である。この場合、制御部130は、例えば、給紙用モータ70の実速度Vp1を18から16に減少させる。これにより、第1速度比は、(Vp1/Vp2)=(16/20)=(4/5)となり、第2速度比と一致する。
【0148】
第2の処理例において、給紙モータ70の実速度Vp1は18(ips)である。また、搬送用モータ71の実速度Vp2は23(ips)である。また、給紙用モータ70の目標速度Vt1は20(ips)である。また、搬送用モータ71の目標速度Vt2は25(ips)である。
【0149】
第2の処理例の場合、第1速度比は、(Vp1/Vp2)=(18/23)である。また、第2速度比は、(Vt1/Vt2)=(20/25)=(4/5)である。この場合、制御部130は、例えば、給紙用モータ71の実速度Vp1を18から16に減少させ、搬送用モータ71の実速度Vp2を23から20に減少させる。これにより、第1速度比は、(Vp1/Vp2)=(16/20)=(4/5)となり、第2速度比と一致する。
【0150】
なお、変形例1において実行されるステップS110、S130の処理は、本発明の第7補正部による処理に相当する。また、変形例1において実行されるステップS120、S130の処理は、本発明の第8補正部による処理に相当する。
【0151】
制御部130は、第1搬送ローラ60を、ステップS130において求めた回転量だけ回転させる。つまり、制御部130は、第1搬送ローラ60を、設定回転量Rs2に第4回転量R4及び第5回転量R5を加えた回転量だけ回転させる。ここで、上述したようにステップS110〜S130の処理の実行は任意である。よって、ステップS110〜S130の処理が実行されない場合、制御部130は、第1搬送ローラ60を、設定回転量Rs2だけ回転させる。第1搬送ローラ60は、回転が停止されるまで記録用紙を搬送する(S140)。以上より、ステップS140における処理は、本発明の制御部による処理に相当する。
【0152】
なお、上述の実施形態と同様に、変形例1においても、搬送用モータ71の速度は、給紙用モータ70の速度よりも速く設定されている。理由は、上述の実施形態の場合と同様である。つまり、記録用紙が片面の画像記録のみ実行されつつ二枚以上連続して搬送される場合において、先行の記録用紙と後続の記録用紙との間に、適切な間隔が形成されるようにするためである。
【0153】
回転速度の速度比が目標速度の速度比と不一致の場合、予め設定された目標搬送量で記録用紙を搬送すると、第1搬送ローラ60に記録用紙が到達するタイミングがずれてしまう。そこで、変形例1によれば、記録用紙がシート検知部120によって検知されたことを条件として、制御部130が、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度の第1速度比を、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の目標速度の第2速度比と一致させる。これにより、記録用紙がシート検知部120よりも下流側を搬送されている場合において、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度の第1速度比が目標速度の第2速度比と一致している。よって、第1搬送ローラ60に記録用紙が到達するタイミングが、第1速度比の第2速度比に対する差異によってずれてしまうことが低減可能である。
【0154】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態及び変形例1において、制御部130は、図4及び図5のステップS110において、所定期間における給紙速度(ステップ60において算出した給紙用モータ70の回転速度Vp1)に対応して設定された補正量としての第4回転量R4を設定した。しかし、制御部130は、所定期間における給紙速度ではなく、所定期間における給紙ローラ25の回転量に対応して設定された補正量としての第3回転量R3を設定してもよい。
【0155】
以下、変形例2における制御部130による補正制御の処理の手順が、図7のフローチャートに基づいて説明される。なお、以下の説明において、図4及び図5のフローチャートと異なる処理が実行されるステップS300、S310のみが説明される。
【0156】
変形例2においては、図4及び図5におけるステップS110の代わりに、ステップS300が実行される。また、図4及び図5におけるステップS130の代わりに、ステップS310が実行される。なお、図7には、図4におけるステップS110、S130の代わりに、ステップS300、S310が実行されるフローチャートが示されている。一方、図5におけるS110、S130の代わりに、ステップS300、S310が実行されるフローチャートは省略されている。
【0157】
ステップS300において、制御部130は、第3回転量R3(本発明の第3回転量に相当)を求める(S300)。例えば、制御部130は、ROM132またはEEPROM134に記憶されたデータテーブルを参照することによって、第3回転量R3を求める。変形例2におけるデータテーブル(不図示)は、上述の実施形態及び変形例1のデータテーブル、つまり図6に示されたデータテーブルとは異なっている。つまり、変形例2におけるデータテーブルの1列目は、給紙速度ではなく給紙ローラ25の回転量で構成されている。具体的には、データテーブルの1列目には、所定期間に対応する給紙ローラ25の回転量として想定される各値が、一定間隔で多段階に設定されている。また、変形例2におけるデータテーブルの3列目には、1列目の各回転量に対応した補正量としての第3回転量R3が設定されている。
【0158】
変形例2では、制御部130は、ステップS300において、記録用紙の先端がシート検知部120によって検知された瞬間の給紙ローラ25の回転量を検知する必要がある。よって、変形例2の場合、複合機10は、給紙ローラ25の回転量を検知するためのエンコーダを備える必要がある。当該エンコーダとしては、例えば、上述の実施形態においても説明したような第1ロータリーエンコーダ72と同様の構成のものが用いられる。
【0159】
制御部130は、検知された給紙ローラ25の回転量をデータテーブルに当てはめる。これにより、検知された給紙ローラ25の回転量に対応する第3回転量R3が、制御部130によって求められる。
【0160】
ステップS310において、制御部130は、補正回転量Rr2に、ステップ300において求めた第3回転量R3と、ステップ120において求めた第5回転量R5とを加算する。以上説明したステップS300、S310における処理は、本発明の第2補正部及び第6補正部による処理に相当する。
【0161】
なお、上述の実施形態及び変形例1と同様に、変形例2においても、搬送用モータ71の速度は、給紙用モータ70の速度よりも速く設定されている。理由は、上述の実施形態及び変形例1の場合と同様である。つまり、記録用紙が片面の画像記録のみ実行されつつ二枚以上連続して搬送される場合において、先行の記録用紙と後続の記録用紙との間に、適切な間隔が形成されるようにするためである。
【0162】
記録用紙が給紙ローラ25の駆動開始時点における位置からシート検知部120による検知位置まで搬送される間に、給紙ローラ25が記録用紙に対してスリップするおそれがある。給紙ローラ25が記録用紙に対してスリップすると、給紙ローラ25の回転量は増加するにもかかわらず記録用紙の搬送距離は増加しない事態が発生してしまう。そこで、変形例2においては、給紙ローラ25の回転量に対応して第3回転量R3を設定しておく。そして、制御部130は、所定期間における給紙ローラ25の回転量に対応する第3回転量R3を設定回転量Rs2または補正回転量Rr2に加算する。これにより、スリップに起因する給紙ローラ25による記録用紙の搬送距離の不足分を、第1搬送ローラ60による記録用紙の搬送距離の増加によって補うことができる。
【0163】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態において、制御部130は、補正制御において、定速期間における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を複数検知して(図4のS30〜S50)、それらの平均値を算出した(図4のS60)。しかし、制御部130は、補正制御において、定速期間における給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を、各々一つずつ検知してもよい。
【0164】
この場合、例えば、図4のフローチャートの処理において、制御部130は、給紙用モータ70及び搬送用モータ71の回転速度を検知する(S30)。検知された給紙用モータ70の回転速度が、給紙用モータ70の実際の回転速度Vp1として使用される。検知された搬送用モータ71の回転速度が、搬送用モータ71の実際の回転速度Vp2として使用される。ステップS40〜S60は実行されない。ステップS70において、制御部130は、ステップS30において検知された給紙用モータ70の回転速度Vp1と、給紙用モータ70の目標速度Vt1とを比較する(S70)。また、制御部130は、ステップS30において算出された搬送用モータ71の回転速度Vp2と、搬送用モータ71の目標速度Vt2とを比較する(S70)。
【0165】
なお、上述の実施形態及び変形例1、2と同様に、変形例2においても、搬送用モータ71の速度は、給紙用モータ70の速度よりも速く設定されている。理由は、上述の実施形態及び変形例1、2の場合と同様である。つまり、記録用紙が片面の画像記録のみ実行されつつ二枚以上連続して搬送される場合において、先行の記録用紙と後続の記録用紙との間に、適切な間隔が形成されるようにするためである。
【符号の説明】
【0166】
10:複合機
25:給紙ローラ
33:所定位置
36:分岐位置
37:合流位置
60:第1搬送ローラ
65:搬送路
67:反転搬送路
68:第4搬送ローラ
70:給紙用モータ
71:搬送用モータ
72:第1ロータリーエンコーダ
73:第2ロータリーエンコーダ
120:シート検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送路に沿って第1搬送向きに搬送する第1ローラと、
上記第1ローラを回転させる第1モータと、
上記第1ローラよりも上記第1搬送向きの下流側に設けられており、シートを上記第1搬送路に沿って上記第1搬送向きに搬送する第2ローラと、
上記第2ローラを回転させる第2モータと、
上記第1搬送路における上記第1ローラ及び上記第2ローラの間に設けられており、上記第1搬送向きに搬送されるシートの先端を検知するシート検知部と、
上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度を検知する速度検知部と、
上記速度検知部によって検知された上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度が、上記第1モータ及び上記第2モータの各目標速度と異なるか否かを判断する第1判断部と、
上記第1判断部によって、各目標速度と異なると判断された場合に、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1ローラの駆動開始によるシートの搬送開始から上記シート検知部による当該シートの検知までの第1期間における上記回転速度に基づいて、上記シート検知部によるシートの検知から上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置への当該シートの到達までの上記第2ローラの回転量として予め設定された第1回転量を補正して第2回転量を設定する第1補正部と、を備えた搬送装置。
【請求項2】
上記第2回転量に、上記第1期間における上記第1ローラの回転量に対応して設定された第3回転量を加算する第2補正部を更に備えた請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記第2回転量に、上記第1期間における上記第1モータの回転速度に対応して設定された第4回転量を加算する第3補正部を更に備えた請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記第2回転量に、上記第1搬送路を搬送されるシートの種類を示す種類情報に対応して設定された第5回転量を加算する第4補正部を更に備えた請求項1から3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
シートを第1搬送路に沿って第1搬送向きに搬送する第1ローラと、
上記第1ローラを回転させる第1モータと、
上記第1ローラよりも上記第1搬送向きの下流側に設けられており、シートを上記第1搬送路に沿って上記第1搬送向きに搬送する第2ローラと、
上記第2ローラを回転させる第2モータと、
上記第1搬送路における上記第1ローラ及び上記第2ローラの間に設けられており、上記第1搬送向きに搬送されるシートの先端を検知するシート検知部と、
上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度を検知する速度検知部と、
上記速度検知部によって検知された上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度の速度比が、上記第1モータ及び上記第2モータの目標速度の速度比と一致しているか否かを判断する第2判断部と、
上記第2判断部によって、上記目標速度の速度比と異なると判断された場合に、搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1ローラの駆動開始によるシートの搬送開始から上記シート検知部による当該シートの検知までの第1期間における上記速度比に基づいて、上記第1モータまたは上記第2モータの少なくとも一方の回転速度を補正して、上記第1モータ及び上記第2モータの回転速度の速度比を上記目標速度の速度比と一致させる第5補正部と、
搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記シート検知部によるシートの検知から上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置への当該シートの到達までの上記第2ローラの回転量として予め設定された第1回転量によって、上記第2ローラを回転させる制御部と、を備えた搬送装置。
【請求項6】
搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1期間における上記第1ローラの回転量に対応して設定された第3回転量を加算する第6補正部を更に備えた請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1期間における上記第1モータの回転速度に対応して設定された第4回転量を加算する第7補正部を更に備えた請求項5に記載の搬送装置。
【請求項8】
搬送されるシートが上記シート検知部によって検知されたことを条件として、上記第1回転量に、上記第1搬送路を搬送されるシートの種類を示す種類情報に対応して設定された第5回転量を加算する第8補正部を更に備えた請求項5から7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
上記第2ローラよりも上記第1搬送向きの下流側の所定位置よりも上記第1搬送向きの下流側の分岐位置において上記第1搬送路から分岐され、上記シート検知部よりも上記第1搬送向きの上流側の合流位置において上記第1搬送路と合流するように延びており、シートを上記分岐位置から上記合流位置に向かう第2搬送向きへ案内する第2搬送路と、
上記第2搬送路に設けられており、上記第1モータによって回転されて、シートを上記第2搬送路に沿って上記第2搬送向きに搬送する第3ローラと、を更に備えた請求項1から8のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項10】
上記速度検知部は、
上記第1モータと一体に回転し、上記第1モータの回転中心と同心の周上に複数の第1被検出部が設けられた第1回転体、及び上記第1被検出部を検出することで上記第1モータの回転量を算出する第1検出部で構成される第1エンコーダと、
上記第2モータと一体に回転し、上記第2モータの回転中心と同心の周上に複数の第2被検出部が設けられた第2回転体、及び上記第2被検出部を検出することで上記第2モータの回転量を算出する第2検出部で構成される第2エンコーダと、
経過時間をカウントするカウンタと、を備え、
上記カウンタによってカウントされた所定時間、及び当該所定時間に対応する上記第1モータの回転量に基づいて上記第1モータの速度を算出し、
上記カウンタによってカウントされた所定時間、及び当該所定時間に対応する上記第2モータの回転量に基づいて上記第2モータの速度を算出する請求項1から9のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項11】
上記速度検知部は、
上記第1期間のうち、上記第1モータ及び上記第2モータが定速で回転する期間として予め設定された第2期間において、上記第1モータの回転速度及び上記第2モータの回転速度をそれぞれ複数検知し、検知した複数の上記第1モータの回転速度の平均値と、検知した複数の上記第2モータの回転速度の平均値とを算出する請求項1から10のいずれかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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