説明

搬送路変更可能なコンベヤシステム

【課題】単一の搬送駆動源により少なくとも2台のコンベヤを一体に搬送駆動して製品を直線搬送または分岐搬送する。コンベヤを軽量化及び小型化して製造コストを低減する。コンベヤシステムの搬送駆動制御を簡易化する。
【解決手段】製品を直線方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ(7)の回動に伴って第1連結部材(59)を第1駆動力継断手段(25)に、第2連結部材(63)を第2駆動力継断手段(27)にそれぞれ連結し、第1搬出コンベヤ(5)の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ(7)、搬入コンベヤ(3)を一体に搬送駆動して製品を搬送する。製品を直交方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ(7)の回動に伴って第3連結部材(65)を第3駆動力継断手段(9)に連結し、第2搬出コンベヤ(5)の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ(7)を一体に搬送駆動して製品を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の搬送方向を変更搬送することが可能なコンベヤシステム、詳しくは搬送路変更コンベヤを搬送方向上手または下手に配置されたコンベヤの駆動力で搬送駆動することが可能なコンベヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送途中において製品の搬送方向を直線状及び所要の角度の分岐状に変更して搬送するには、例えば特許文献1の図5及び図10に示すように直線状に配置された搬入コンベヤと第1搬出コンベヤの間に配置された回転テーブル上に搬送路変更コンベヤを設けると共に該回転テーブルの所定角度位置に第2搬出コンベヤを配置したコンベヤシステムが知られている。
【0003】
該コンベヤシステムにより製品を直線状に搬送するには、搬送路変更コンベヤの搬送方向を搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤの搬送方向に一致させた状態で各コンベヤをそれぞれ搬送駆動して製品を直線状に搬送させる。
【0004】
また、分岐搬送するには、搬入コンベヤ及び搬送路変更コンベヤの搬送方向を一致させた状態でこれらのコンベヤをそれぞれ搬送駆動して搬入コンベヤ上に載置された製品を搬送路変更コンベヤ上へ移載させた後に搬送駆動を停止した状態で搬送路変更コンベヤを回動してその搬送方向を第2搬出コンベヤに一致させた後、搬送路変更コンベヤ及び第2搬出コンベヤをそれぞれ搬送駆動して搬送路変更コンベヤ上の製品を第2搬出コンベヤ上へ移載して搬送させる。
【0005】
上記したコンベヤシステムにおいては、搬入コンベヤ、第1搬出コンベヤ及び搬送路変更コンベヤを個別に搬送駆動するため、それぞれのコンベヤに電動モータ等の駆動機構を設けると共にそれぞれのコンベヤが連繋するように搬送駆動制御しなければならず、それぞれのコンベヤが重量化及び大型化して高コスト化すると共に搬送駆動制御が複雑化する問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−118832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、搬入コンベヤ、第1搬出コンベヤ及び搬送路変更コンベヤを個別に搬送駆動するため、それぞれのコンベヤに電動モータ等の駆動機構を設けると共にそれぞれのコンベヤが連繋するように搬送駆動制御しなければならず、それぞれのコンベヤが重量化及び大型化して高コスト化すると共に搬送駆動制御が複雑化する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1は、搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材の搬送駆動力を継断する駆動力継断手段を設け、上記搬送路変更コンベヤは、固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、搬送路変更コンベヤが第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける連結部材とを備え、上記搬送路変更コンベヤは、第2搬出コンベヤに接続した際に、第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されることを最も主要な特徴とする。
【0009】
請求項3は、搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、第1搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第1搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第2駆動力継断手段を設け、第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第3駆動力継断手段を設け、
上記搬送路変更コンベヤは、固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、搬送路変更コンベヤが第1搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に第2駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第2連結部材と、第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記第3駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第3連結部材とを備え、上記搬送路変更コンベヤは、第1搬出コンベヤに接続した際に第1搬送駆動部材により搬送駆動される第1搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されると共に第2搬出コンベヤに接続した際に第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されることを最も主要な特徴とする。
【0010】
請求項5は、搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、搬入コンベヤには搬送路変更コンベヤからの搬送駆動力を継断する第1駆動力継断手段を設け、第1搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第1搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第2駆動力継断手段を設け、第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第3駆動力継断手段を設け、上記搬送路変更コンベヤは、固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、搬送路変更コンベヤが搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に第1及び第2駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第1及び第2連結部材と、第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記第3駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第3連結部材とを備え、上記搬送路変更コンベヤは、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤに接続した際に第1搬送駆動部材により搬送駆動される第1搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されると共に搬入コンベヤに対して搬送駆動力を伝達して搬送駆動する一方、第2搬出コンベヤに接続した際に第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、単一の搬送駆動源により少なくとも2台のコンベヤを一体に搬送駆動して製品を直線搬送または分岐搬送することができ、コンベヤを軽量化及び小型化して製造コストを低減する。また、コンベヤシステムの搬送駆動制御を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るコンベヤシステムの概略を示す斜視図である。
【図2】第1搬出コンベヤの駆動力継断手段を拡大して示す説明図である。
【図3】搬送路変更コンベヤの分解斜視図である。
【図4】搬送路変更コンベヤを搬出側から見た側面図である。
【図5】搬送路を搬入コンベヤから第1搬出コンベヤに至る直線状としたコンベヤシステムを示す平面説明図である。
【図6】駆動力継断手段のボスに対する連結部材の連結状態を示す説明図である。
【図7】搬送路を搬入コンベヤから分岐側コンベヤに至る直角状としたコンベヤシステムを示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
製品を直線方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ7の回動に伴って第1連結部材59を搬入コンベヤ3の第1駆動力継断手段25に、第2連結部材63を第1搬出コンベヤ5の第2駆動力継断手段27にそれぞれ連結し、第1搬出コンベヤ5の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ7、搬入コンベヤ3を一体に搬送駆動して製品を搬送すると共に製品を直交方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ7の回動に伴って搬送路変更コンベヤ7の第3連結部材65を第2搬出コンベヤ9の第3駆動力継断手段29に連結し、第2搬出コンベヤ5の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ7を一体に搬送駆動して製品を搬送することを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0014】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図4に示すように本発明に係るコンベヤシステム1は、搬入コンベヤ3と、該搬入コンベヤ3に対して所定の間隔をおいて直線状に配置される第1搬出コンベヤ5と、上記両コンベヤ3・5間に配置される搬送路変更コンベヤ7と、搬送路変更コンベヤ7の側方にて搬入コンベヤ3及び第1搬出コンベヤ5による搬送方向と直交する方向に搬送路を有した第2搬出コンベヤ9とから構成される。
【0015】
上記搬入コンベヤ3、第1搬出コンベヤ5及び第2搬出コンベヤ9は、同様な構造のため、共通の構成に付いては、搬入コンベヤ3を例に共通の符号を付して構造を説明し、第1搬出コンベヤ5及び第2搬出コンベヤ9の説明を省略する。
【0016】
即ち、搬入コンベヤ3は、所定の間隔をおいて相対して固定された一対の支持フレーム11の搬入側及び搬出側に回転可能に支持され、搬送方向と直交する方向に軸線を有した搬入側回転軸13及び搬出側回転軸15と、各回転軸13・15の軸端側にそれぞれ固定された歯付きプーリ等の回転体17・19と、各回転体17・19間にそれぞれ掛渡されたベルト等の搬送部材21とから構成される。
【0017】
搬入コンベヤ3における搬出側回転軸15の一方端部は、第2搬出コンベヤ9側へ突出して第1駆動力継断手段25に連結される。第1搬出コンベヤ5における搬入側回転軸13の一方端部は、第2搬出コンベヤ9と反対側へ突出して第2駆動力継断手段27に連結される。第2搬出コンベヤ9における搬入側回転軸13の一方端部は、搬入コンベヤ3側へ突出して第3駆動力継断手段29に連結される。
【0018】
上記第1乃至第3駆動力継断手段25,27、29は、同様な構造のため、第1搬出コンベヤ5の第2駆動力継断手段27を例に説明し、第1及び第3駆動力継断手段25,29に付いては、同一の符号を付して説明を省略する。即ち、第2駆動力継断手段25は、搬送方向に対して所要の間隔をおいて回転可能に軸支された歯付きプーリ等の一対の回転体31・33と、これら回転体31・33に掛渡された歯付きベルト等の走行帯35と、他方の回転体33に同心状に設けられ、中心部の内周面に多数の係合溝37aが周方向に形成された截頭円錐形状の係合凹部37bを有したボス37とから構成される。そして一方の回転体31には、上記搬出側回転軸15の一方端部が連結される。
【0019】
なお、第1駆動力継断手段25にあっては、一方の回転体31に対して搬入コンベヤ5における搬出側回転軸15の一方端部が連結される。また、第3駆動力継断手段29にあっては、一方の回転体31に対して第2搬出コンベヤ9における搬入側回転軸13の一方端部が連結される。
【0020】
上記搬入コンベヤ3の搬入側回転軸13又は第1搬出コンベヤ5の搬出側回転軸15には、第1搬送駆動部材を構成する電動モータ39が駆動連結される。図は、第1搬出コンベヤ5の搬出側回転軸15に電動モータ39を駆動連結した例を示す。また、第2搬出コンベヤ9の搬出側回転軸15には、搬入コンベヤ3、第1搬出コンベヤ5とは独立した第2搬送駆動部材を構成する電動モータ40が駆動連結される。
【0021】
搬送路変更コンベヤ7は、所定の間隔をおいて相対して固定された一対の支持フレーム41の搬入側及び搬出側にて搬送方向と直交する方向に軸線を有し、かつ軸線方向へ摺動可能で、回転可能に軸支された搬入側回転軸43及び搬出側回転軸45と、各回転軸43・45の軸端側にそれぞれ固定された歯付きプーリ等の回転体47・49と、各回転体47・49間にそれぞれ掛渡されたベルト等の搬送部材51とから構成される。
【0022】
また、上記支持フレーム41の搬出側には、作動軸53が軸線方向へスライドするように軸支され、上記支持フレーム41から外側へ突出した作動軸53の軸端部には、支持フレーム41から外側へ突出し、搬出側回転軸45の軸端部に軸線方向へ摺動するように支持された作動板55が固定される。そして支持フレーム41と作動板55の間に位置する作動軸53の軸端部には、圧縮ばね57がそれぞれ卷装され、これら圧縮ばね57のばね力により上記作動軸53をその軸線方向中心が搬送路変更コンベヤ7の装置中心に位置するように付勢する。また、上記作動軸53の軸線方向中央部には、後述する回動走行部材81に固定される固定部材58が固定される。
【0023】
搬送路変更コンベヤ7における搬入側回転軸43の一方軸端部には、搬入コンベヤ3における第1駆動力継断手段25のボス37に対して挿嵌する第1連結部材59が取り付けられる。該第1連結部材59は、対応するボス37の係合凹部37bに対して挿嵌可能な截頭円錐形状で、外周面に多数の係合爪部59aが周方向へ所定の間隔をおいて係合溝37aへ係合可能に形成される。
【0024】
また、上記作動板55の外側へそれぞれ突出した搬出側回転軸45の各軸端部には、第1搬出コンベヤ5における第2駆動力継断手段27のボス37及び第2搬出コンベヤ9における第3駆動力継断手段29のボス37に対して選択的に挿嵌する第2及び第3連結部材63・65がそれぞれ取り付けられる。該第2及び第3連結部材63・65は、対応するボス37の係合凹部37bに対して挿嵌可能な截頭円錐形状で、外周面に多数の係合爪部63a・65aが周方向へ所定の間隔をおいて係合溝37aへ係合可能に形成される。上記第2及び第3連結部材63・65は、作動板55との間に位置する搬出側回転軸45の周りに卷装された圧縮ばね67・69のばね力により搬出側回転軸45の軸端側へそれぞれ付勢される。
【0025】
上記搬送路変更コンベヤ7は、回動中心が搬出側回転軸45側に設定され、固定盤71に設けられた軸73に対して回動するように軸支される。また、第1搬出コンベヤ5側の図示する前方角部を除いた上記固定盤71の各角部には、スプロケットや歯付きプーリ等で回動部材の一部を構成する回転体75が回転可能に軸支され、その内の1個の回転体75には、数値制御可能なサーボモータ等で回動部材の一部を構成する電動モータ77が駆動連結される。
【0026】
また、上記固定盤71には、走行ガイド板79が、第1搬出コンベヤ5側の図示する後方角部から搬入コンベヤ3の前方角部に亘って設けられる。該走行ガイド板79は、第1搬出コンベヤ5側の図示する後方角部側と搬入コンベヤ3の前方角部側に直線部79a及びこれら直線部79a間にて所要の角度幅(本例では、90度幅)の円弧部79bが一体に設けられる。
【0027】
そして走行ガイド板79には、各回転体75に噛合わされたチェーン、歯付きベルト等の回動走行部材81が摺動して走行可能に支持される。また、該回動走行部材81には、上記固定部材58が固定され、該回動走行部材81が円弧部79bを走行する際に固定部材58で連結された搬送路変更コンベヤ7を軸73を中心に所要の角度、本例では90度、回動させると共に該回動走行部材81が直線部79aを走行する際に搬送路変更コンベヤ7の搬出側回転軸45を軸線方向へ移動させる。
【0028】
次に、上記のように構成されたコンベヤシステム1による製品の搬送作用を説明する。
先ず、搬入コンベヤ3上に移載された製品を第1搬出コンベヤ5へ直線状に搬送する場合に付いて説明すると、電動モータ77を駆動して回動走行部材81を図示する実線矢印方向へ走行し、固定部材58により連結された搬送路変更コンベヤ7を、軸73を中心に図5に示す実線矢印方向へ回動して搬入側端部を搬入コンベヤ3の搬出側に、又搬出側を第1搬出コンベヤ5の搬入側にそれぞれ位置するように回動させる。
【0029】
上記搬送路変更コンベヤ7の回動により搬送路変更コンベヤ7における搬入側回転軸43の第1連結部材59を第1駆動力継断手段25におけるボス37の係合凹部37b内に挿嵌して係合爪部59aを係合溝37aに係合して駆動連結させると共に搬出側回転軸45の第2連結部材63を第2駆動力継断手段27におけるボス37の係合凹部37b内に挿嵌して係合爪部59aを係合溝37aに係合して連結させる。
【0030】
第2駆動力継断手段27のボス37に対して第2連結部材63が挿嵌して駆動連結する際に、回動走行部材81における固定部材58の固定個所が走行ガイド板79における第1搬出コンベヤ5側の直線部79aに沿って走行すると、連結板58が固定された作動軸53が第2駆動力継断手段27側へ移動し、作動板55を介して搬出側回転軸45を第2駆動力継断手段27のボス37に向かって直線状に移動して第2連結部材63を係合させる。(図6参照)
【0031】
また、第2駆動力継断手段27におけるボス37の係合凹部37bに対して第2連結部材63が挿嵌する際に、係合爪部63aは係合溝37aと必ずしも一致せず、非係合状態になって連結が不完全になる場合がある。この場合にあっては、第2連結部材63は、搬出側回転軸45の軸端部に対して圧縮ばね67のばね力に抗して軸線方向の中央側へ移動して係合凹部37bへの挿嵌が可能にされる。
【0032】
そして後述するように電動モータ39の駆動により第1搬出コンベヤ5における搬入側回転軸13に連結された第2駆動力継断手段27のボス37が回転した際、それぞれの係合溝37aに対して対応する係合爪部63aを係合して連結させる。
【0033】
上記状態にて電動モータ39の駆動により第1搬出コンベヤ5の搬出側回転軸15を回転して搬送部材21を図5に示す実施線矢印方向へ走行させると、該走行に伴って搬入側回転軸13が回転してボス37に駆動連結された第2連結部材63を介して搬送路変更コンベヤ7における搬出側回転軸45を回転して搬送部材51を図5に示す実線矢印方向へ走行させる。また、該搬送部材51の走行により搬送路変更コンベヤ7の搬入側回転軸43が回転してボス37に連結された第1連結部材59を介して搬入コンベヤ3の搬出側回転軸15を回転して搬送部材21を図5に示す実線矢印方向へ走行させる。
【0034】
即ち、第1搬出コンベヤ5に設けられた単一の電動モータ39により第1搬出コンベヤ5の搬送部材21、搬送路変更コンベヤ7の搬送部材51及び搬入コンベヤ3の搬送部材21をそれぞれ同期して一致する方向へ走行し、搬入コンベヤ3上に移載された製品を、搬送路変更コンベヤ7を経由して第1搬出コンベヤ5へ直線状に搬送させる。
【0035】
一方、製品の搬送路を搬入コンベヤ3から第2搬出コンベヤ9へ変更するには、上記搬送路が直線状の状態で搬入コンベヤ3上に載置された製品が搬入コンベヤ3、第1搬出コンベヤ5及び搬送路変更コンベヤ7の一体搬送により搬送路変更コンベヤ7上に移載されたタイミングで第1搬出コンベヤ5の電動モータ39の駆動を停止させる。
【0036】
次に、電動モータ77を駆動して回動走行部材81を図7に示す実線矢印方向へ走行し、固定部材58により連結された搬送路変更コンベヤ7を、軸73を中心に図示する時計方向へ回動して搬出側端部を第2搬出コンベヤ9の搬入側に接続するように回動させる。
【0037】
上記搬送路変更コンベヤ7の回動により第1駆動力継断手段25のボス37に対する搬送路変更コンベヤ7における搬入側回転軸43の第1連結部材59の係合及び第2駆動力継断手段27のボス37に対する搬送路変更コンベヤ7における搬出側回転軸45の第2連結部材63の係合を解除させると共に搬送路変更コンベヤ7における搬出側回転軸45の第3連結部材65を第3駆動力継断手段29におけるボス37の係合凹部37b内に挿嵌して係合爪部59aを係合溝37aに係合させる。
【0038】
第3駆動力継断手段29のボス37に対して第3連結部材65が挿嵌して連結する際に、回動走行部材81における固定部材58の固定個所が走行ガイド板79における第2搬出コンベヤ9側の直線部79aに沿って走行すると、図6に示す動作と同様に固定部材58が固定された作動軸53が第3駆動力継断手段29側へ移動し、作動板55を介して搬出側回転軸45を第3駆動力継断手段29のボス37に向かって直線状に移動して第3連結部材65を係合させる。
【0039】
なお、第3駆動力継断手段29におけるボス37の係合凹部37bに対して第3連結部材65が挿嵌する際に係合爪部65aは係合溝37aと必ずしも一致せず、非係合状態になって連結が不完全になる場合がある。この場合にあっては、上記と同様に第3連結部材65は、搬出側回転軸45の軸端部に対して圧縮ばね69のばね力に抗して軸線方向の中央側へ移動して係合凹部37bへの挿嵌を可能にさせる。
【0040】
上記状態にて第2搬出コンベヤ9の電動モータ39を駆動して第2搬出コンベヤ9の搬出側回転軸15を回転して搬送部材21を図7に示す実施線矢印方向へ走行させると、該走行に伴って搬入側回転軸13が回転してボス37に駆動連結された第3連結部材65を介して搬送路変更コンベヤ7における搬出側回転軸45を回転して搬送部材51を図7に示す実線矢印方向へ走行させる。
【0041】
即ち、第2搬出コンベヤ9に設けられた単一の電動モータ39により第2搬出コンベヤ9及び搬送路変更コンベヤ7をそれぞれ同期して一致する方向へ搬送駆動して搬送路変更コンベヤ7上の製品を第2搬出コンベヤ9へ搬送させる。
【0042】
本実施例は、製品を直線方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ7の回動に伴って第1連結部材59を搬入コンベヤ3の第1駆動力継断手段25に、第2連結部材63を第1搬出コンベヤ5の第2駆動力継断手段27にそれぞれ連結し、第1搬出コンベヤ5の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ7、搬入コンベヤ3を一体に搬送駆動して製品を搬送することができる。
【0043】
また、製品を直交方向へ搬送する場合には、搬送路変更コンベヤ7の回動に伴って搬送路変更コンベヤ7の第3連結部材65を第2搬出コンベヤ9の第3駆動力継断手段29に連結し、第2搬出コンベヤ5の搬送駆動力により搬送路変更コンベヤ7を一体に搬送駆動して製品を搬送することができる。
【0044】
更に、搬送路変更コンベヤ7の搬送方向を変更する回動走行部材81を走行支持する走行ガイド板79に直線部79bを設け、第2連結部材63を第1搬出コンベヤ5の第2駆動力継断手段27に、また第3連結部材65を第2搬出コンベヤ9の第3駆動力継断手段29に連結する際に、それぞれの駆動力継断手段27,29に対して対応する連結部材63,65を直線状に移動して連結を確実に行うことができる。
【0045】
上記説明は、搬入コンベヤ3及び第1搬出コンベヤ5による直線状の搬送路に対して搬送路変更コンベヤ7を回動して搬送路を90度の角度で変更して第2搬出コンベヤ9へ接続する例を示したが、搬送路の変更角度はこれに限定されず、任意に設定することができる。その場合、回動走行部材81を走行可能に支持する走行ガイド板79における円弧部79bを所望の角度に対応する円弧とすればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コンベヤシステム
3 搬入コンベヤ
5 第1搬出コンベヤ
7 搬送路変更コンベヤ
9 第2搬出コンベヤ
11 支持フレーム
13 搬入側回転軸
15 搬出側回転軸
17・19 回転体
21 搬送部材
25 第1駆動力継断手段
27 第2駆動力継断手段
29 第3駆動力継断手段
31・33 回転体
35 走行帯
37 ボス
37a 係合溝
37b 係合凹部
39 第1搬送駆動部材を構成する電動モータ
40 第2搬送駆動部材を構成する電動モータ
41 支持フレーム
43 搬入側回転軸
45 搬出側回転軸
47・49 回転体
51 搬送部材
53 作動軸
55 作動板
57 圧縮ばね
58 固定部材
59 第1連結部材
59a 係合爪部
63 第2連結部材
63a 係合爪部
65 第3連結部材
65a 係合爪部
67・69 圧縮ばね
71 固定盤
73 軸
75 回動部材の一部を構成する回転体
77 回動部材の一部を構成する電動モータ
79 走行ガイド板
79a 直線部
79b 円弧部
81 回動走行部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、
第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材の搬送駆動力を継断する駆動力継断手段を設け、
上記搬送路変更コンベヤは、
固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、
搬送路変更コンベヤが第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける連結部材と、
を備え、
上記搬送路変更コンベヤは、第2搬出コンベヤに接続した際に、第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されるコンベヤシステム。
【請求項2】
請求項1において、
搬入コンベヤ、第1及び第2搬出コンベヤと搬送路変更コンベヤは、それぞれ支持フレームの搬入側及び搬出側にて搬送方向と直交する方向に軸線を有して回転可能に軸支された搬入側回転軸及び搬出側回転軸に搬送部材を掛渡してなり、
第2搬出コンベヤにおける搬送路変更コンベヤ側の回転軸に駆動力継断手段を設けると共に搬送路変更コンベヤにおける第2搬出コンベヤ側の回転軸に連結部材を設け、
第2搬出コンベヤに対して搬送路変更コンベヤが回動された際に上記駆動力継断手段に連結部材を連結可能とするコンベヤシステム。
【請求項3】
搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、
第1搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第1搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第2駆動力継断手段を設け、
第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第3駆動力継断手段を設け、
上記搬送路変更コンベヤは、
固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、
搬送路変更コンベヤが第1搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に第2駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第2連結部材と、
第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記第3駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第3連結部材と、
を備え、
上記搬送路変更コンベヤは、第1搬出コンベヤに接続した際に第1搬送駆動部材により搬送駆動される第1搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されると共に第2搬出コンベヤに接続した際に第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されるコンベヤシステム。
【請求項4】
請求項3において、
搬入コンベヤ、第1及び第2搬出コンベヤと搬送路変更コンベヤは、それぞれ支持フレームの搬入側及び搬出側にて搬送方向と直交する方向に軸線を有して回転可能に軸支された搬入側回転軸及び搬出側回転軸に搬送部材を掛渡してなり、
第1及び第2搬出コンベヤにおける搬送路変更コンベヤ側の回転軸に第2及び第3駆動力継断手段をそれぞれ設けると共に搬送路変更コンベヤにおける第1及び第2搬出コンベヤ側の回転軸に第2及び第3連結部材をそれぞれ設け、
第1搬出コンベヤに対して搬送路変更コンベヤが回動された際に上記第2駆動力継断手段に第2連結部材を連結可能とすると共に第2搬出コンベヤに対して搬送路変更コンベヤが回動された際に上記第3駆動力継断手段に第3連結部材を連結可能とするコンベヤシステム。
【請求項5】
搬入コンベヤと、該搬入コンベヤに対して直線状に配置される第1搬出コンベヤと、上記直線に対して所要の角度をおいて配置される第2搬出コンベヤと、搬入コンベヤと第1及び第2搬出コンベヤ間に配置され、搬送路を変更する搬送路変更コンベヤと、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤのいずれか一方を搬送駆動する第1搬送駆動部材と、第2搬出コンベヤを搬送駆動する第2搬送駆動部材からなるコンベヤシステムにおいて、
搬入コンベヤには搬送路変更コンベヤからの搬送駆動力を継断する第1駆動力継断手段を設け、
第1搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第1搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第2駆動力継断手段を設け、
第2搬出コンベヤには搬送路変更コンベヤに対して第2搬送駆動部材からの搬送駆動力を継断する第3駆動力継断手段を設け、
上記搬送路変更コンベヤは、
固定盤に支持された搬送路変更コンベヤを上記所要の角度で回動する回動部材と、
搬送路変更コンベヤが搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に第1及び第2駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第1及び第2連結部材と、
第2搬出コンベヤの搬送路と一致する角度で回動された際に上記第3駆動力継断手段に連結して搬送駆動力を受ける第3連結部材と、
を備え、
上記搬送路変更コンベヤは、搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤに接続した際に第1搬送駆動部材により搬送駆動される第1搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されると共に搬入コンベヤに対して搬送駆動力を伝達して搬送駆動する一方、第2搬出コンベヤに接続した際に第2搬送駆動部材により搬送駆動される第2搬出コンベヤの搬送駆動力により搬送駆動されるコンベヤシステム。
【請求項6】
請求項5において、
搬入コンベヤ、第1及び第2搬出コンベヤと搬送路変更コンベヤは、それぞれ支持フレームの搬入側及び搬出側にて搬送方向と直交する方向に軸線を有して回転可能に軸支された搬入側回転軸及び搬出側回転軸に搬送部材を掛渡してなり、
搬入コンベヤ、第1及び第2搬出コンベヤにおける搬送路変更コンベヤ側の回転軸に第1乃至第3駆動力継断手段をそれぞれ設けると共に搬送路変更コンベヤにおける搬入コンベヤ側の回転軸に第1連結部材を、第1及び第2搬出コンベヤ側の回転軸に第2及び第3連結部材をそれぞれ設け、
搬入コンベヤ及び第1搬出コンベヤに対して搬送路変更コンベヤが回動された際に上記第1及び第2駆動力継断手段に第1及び第2連結部材をそれぞれ連結可能にすると共に第2搬出コンベヤに対して搬送路変更コンベヤが回動された際に上記第3駆動力継断手段に第3連結部材を連結可能とするコンベヤシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
回動部材は、固定盤上に回転可能に軸支された複数個の回転体に対し、上記第1搬出コンベヤと第2搬出コンベヤの間で上記回動角度に対応する円弧状に走行するように掛渡される回動走行部材と、上記回転体を回転駆動して回動走行部材を往復走行する電動モータとからなると共に回動走行部材と搬送路変更コンベヤを固定部材により固定したコンベヤシステム。
【請求項8】
請求項7において、
回動走行部材は、上記第1搬出コンベヤと第2搬出コンベヤの間の固定盤上に設けられた円弧状の走行ガイド部材に摺接して円弧状に走行する搬送路変更可能なコンベヤシステム。
【請求項9】
請求項2,4,6のいずれかにおいて、
搬送路変更コンベヤにおける搬出側回転軸は、支持フレームに対して軸線方向へ移動可能に軸支され、軸線方向に対する搬出側回転軸の移動に伴って第1及び第2搬出コンベヤの第2及び第3駆動力継断手段へ対応する第2及び第3連結部材を連結可能としたコンベヤシステム。
【請求項10】
請求項9において、
回動部材は、固定盤上に回転可能に軸支された複数個の回転体と、上記第1搬出コンベヤと第2搬出コンベヤの間の固定盤上に設けられ、上記回動角度に対応する円弧部及び該円弧部の両側に直線部を有した走行ガイド部材と、上記回転体及び走行ガイド部材に掛渡されて走行可能な回動走行部材と、上記回転体を回転駆動して回動走行部材を往復走行する電動モータと、回動走行部材と搬送路変更コンベヤの搬出側回転軸に固定される固定部材とからなり、
回動走行部材における固定部材の固定個所が走行ガイド部材の円弧部を走行する際に搬送路変更コンベヤを回動させると共に上記固定個所が回動走行部材の直線部を走行する際に搬出側回転軸を軸線方向へ移動させるコンベヤシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−35619(P2013−35619A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170645(P2011−170645)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(506329292)スターテクノ株式会社 (45)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】