説明

携帯プリンタ装置

【課題】各駆動系を個別に組み立て、その個別に組み立てられた駆動を組み合わせることで、組立作業の効率向上を図る携帯プリンタ装置を提供する。
【解決手段】サーマルヘッド保持部材38と、サーマルヘッド37を駆動する第1のモータ41および駆動手段を第1のフレーム部に設け、記録紙搬送機構と側壁部間に軸支された記録紙引出ローラ31とを第2のフレーム部に設け、さらに第2のフレーム部の一方の側壁部側には、記録紙引出ローラを駆動する第2のモータ48と、第2のモータにより回動する複数のリール軸とを配設し、他方の側壁部側には、インクリボンカセット挿入開口部17を配設し、前記インクリボンカセットを装着した際、当該カセットの開口部はサーマルヘッドの下方に位置し、供給リールおよび巻取リールはそれぞれ前記複数のリール軸36a,36bの何れかに嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯プリンタ装置において、小型携帯型で記録紙の搬送機能とサーマルヘッド保持部材の駆動機構の組立作業効率が改善されたプリンタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子カメラで撮像生成したデジタル静止画像信号、あるいはコンピュータ機器で作成した画像データ(以下、単に画像信号という)をブラウン管や液晶素子等のモニターに表示すると共に、記録用紙に画像印刷することも行われている。
【0003】
前記画像信号の画像を記録用紙に印刷するプリンタ装置は、薄膜フィルム上に熱溶融性または熱昇華性の熱転写インクを塗布したインクリボンと記録用紙とをプラテンローラ上で重ね合わせ、かつ、プラテンローラとサーマルヘッドで押圧挟持しながら移送させ、その移送の間に前記記録紙の搬送方向と直交する方向の長手方向に複数の発熱素子がライン状に配列された前記サーマルヘッドに前記画像信号に応じた発熱電流を加えてインクリボンの熱転写インクを溶融または昇華させて記録用紙に転写印刷するというものである。
【0004】
この種のプリンタ装置は、サーマルヘッドが固定されたサーマルヘッド保持部材と、サーマルヘッド保持部材を駆動するヘッド駆動手段と、サーマルヘッドを受けるプラテンローラと、プラテンローラ方向へ記録紙を送出する紙送りローラと、紙送りローラを駆動するローラ駆動手段と、インクリボンカセット挿入開口部から装着されたインクリボンと、前記ヘッド駆動手段と前記ローラ駆動手段に駆動力を供給する駆動源と、記録紙及びインクリボンを搬送する搬送駆動系及びサーマルヘッドの駆動回路等がプリンタ装置の筐体内に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプリンタ装置を構成する上記搬送駆動系と上記サーマルヘッドの回路駆動系を筐体内に組み込む際には、その組み込み順序を明確に設定してから組み込み作業を行う。しかしながら、その組み込み順序は、予め複雑に決まっており間違えやすい。しかも筐体内の組み込みスペースが狭い場合には、上記に加え組み込み作業がやりにくく、プリンタ装置の組立作業時間が掛かり作業効率が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、前記各駆動系を個別に組み立て、その個別に組み立てられた駆動を組み合わせることで、組立作業の効率向上を図る携帯プリンタ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯プリンタ装置は、記録紙カセットを着脱自在とする携帯プリンタ装置であって、
サーマルヘッドが固定されたサーマルヘッド保持部材と、前記サーマルヘッド保持部材を駆動するための第1の駆動モータと、前記第1の駆動モータの駆動力に基づいて前記サーマルヘッド保持部材を駆動するための第1の駆動手段と、を設けた第1のフレーム部と、
一対の側壁部を有し、前記第1のフレーム部に一体的に係合する第2のフレーム部であって、当該携帯プリンタ装置における本体カバーの前面から記録紙を給紙または排出するとともに、前記記録紙上を搬送するための記録紙搬送経路を有する記録紙搬送機構と、前記一対の側壁部間に回転自在に軸支され、当該携帯プリンタ装置に装着された記録紙カセットから記録紙を引き出し当該携帯プリンタ装置本体内に供給する記録紙引出ローラと、を設けた第2のフレーム部と、
を備え、
前記第2のフレーム部における前記一対の側壁部のうち一方の側壁部側には、
少なくとも前記記録紙引出ローラを駆動するための第2の駆動モータと、前記第2の駆動モータに係合し当該第2の駆動モータの駆動力を伝達する第2の駆動手段と、前記第2の駆動手段に係合し、前記第2の駆動モータの駆動力により回動する複数のリール軸と、を配設し、
前記一対の側壁部のうち他方の側壁部側には、少なくともインクリボンカセットを挿入するための挿入開口部を配設し、
前記インクリボンカセットを前記挿入部開口部より当該携帯プリンタ装置本体内に挿入して装着した際、当該インクリボンカセットの開口部は前記サーマルヘッドの下方に位置し、かつ、当該インクリボンカセットにおける供給リールおよび巻取リールはそれぞれ前記複数のリール軸の何れかに嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各駆動系を個別に組み立て、その個別に組み立てられた駆動を組み合わせることで、組立作業の効率向上を図る携帯プリンタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は本発明に係るプリンタ装置の一実施形態の内部構成を示す展開斜視図で、図2は本発明に係るプリンタ装置に用いるシャーシの構成を説明する斜視図で、図3は本発明に係るプリンタ装置と電源部の関係を説明する斜視図で、図4は本発明に係るプリンタ装置の外観構成を示す斜視図である。
【0011】
最初にプリンタ装置の外観構成について、図4を用いて説明する。図4の符号11はプリンタ装置(以下、装置本体という)で、全体に略矩形立方体形状をしており、装置本体11は、上部外装部11aと下部外装部11bで形成されている。上部外装部11aの上面には、各種操作を入力する入力スイッチと操作動作状態を示す表示部からなる入力動作表示部12と、装置本体11の内部に生ずる熱を放熱する放熱口が穿設されている。この放熱口の内部側には図示しない冷却ファンが設けられている。
【0012】
装置本体11の正面には、記録紙カセット13が着脱され、その記録紙カセット13に収納されている記録紙をプリンタ装置11内に挿入する記録紙挿入口14が設けられている。この記録紙挿入口14は、前記記録紙カセット13が装着されていないときには、記録紙挿入口用蓋15で覆われるようになっている。また、前記記録紙カセット13は、図示していない複数の記録紙を収納する収納部と、その収納部には収納した記録紙を下面側から上面側に押し上げる図示していない弾性部材が配置され、前記収納部に収納された記録紙の上面側を覆う蓋部材と、記録紙カセット13が前記装置本体11の記録紙挿入口14に挿入される側の蓋部材が一部切除されて形成された記録紙引出口が設けられている。この記録紙引出口は、前記記録紙挿入口14に設けられた記録紙引出ローラ31が嵌合されて、前記弾性部材で上方に押圧されている記録紙を前記記録紙引出ローラ31に圧着させ、かつ、記録紙引出ローラ31の回転により、1枚づつ装置本体11内に搬送されるようになっている。
【0013】
装置本体11の図中右側面には、インクリボンカセット16を装置本体11内の所定の位置に挿着するインクリボン挿入開口(以下、インクリボン挿入口という)17が設けられている。このインクリボン挿入口17は、インクリボン挿入口蓋18で覆われるようになっている。前記インクリボンカセット16は、薄膜フィルム上に熱転写用のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び透明なオーバーコート用インク(OP)等の複数の色を順次繰り返して塗布されたインクリボンと、インクリボンを巻回した図示していない供給リールを収納した供給リール収納部と、前記インクリボンを巻き取る図示していない巻き取りリールを収納した巻き取りリール収納部と、及び前記供給リール収納部と巻き取りリール収納部との間に張架されたインクリボンが露出され、かつ、後述するサーマルヘッドが圧着される開口からなっている。前記インクリボン挿入口17は、インクリボンカセット16が挿入される略相似形状の開口として、インクリボンカセット16の挿入が容易に行われると共に、挿入時の誤挿入を防止する形状となっている。
【0014】
装置本体11の図中左側面には、記録媒体19が挿入される図示していない記録媒体挿入口と、PCインターフェイスプラグ20が接続される図示していないPCインターフェイスコネクタと、及びDCインレットプラグ21が接続される図示していないDCインレットコネクタが設けられている。前記記録媒体19は図示していないデジタル静止画撮像装置や動画撮像装置で撮像した画像データを収納記録されている半導体メモリを内蔵したカード形式の記録媒体で、前記記録媒体挿入口から装置本体11内に挿入されて、記録媒体19に記録されている画像データを読み出されるようになっている。前記PCインターフェイスプラグ20は図示していないコンピュータ機器に接続されており、コンピュータ機器で作成されたコンピュータグラフィック画像データをPCインターフェイスコネクタを介して装置本体11に取り込むインターフェイスである。前記DCインレットプラグ21は、商用交流電源を整流し、所定の直流電源に変換して、装置本体11の各種信号処理回路や各種駆動機能を駆動する駆動電源をDCインレットコネクタを介して供給するものである。
【0015】
装置本体11の図中背面には、バッテリー22が装着されるようになっている。バッテリー22の内部には、図示していない充電可能、または充電不可能な電池が収納され、その収納された電池と接続された接点23と前記装置本体11の背面に着脱固定するための固定片24a〜24cと係止孔25が設けられている。装置本体11の背面には、前記バッテリー22の接点23と接触する図示していない電池接片と、前記固定片24a〜24dが係合される図示していない係合片が設けられている。このバッテリー22は、前記DCインレットプラグ21から駆動電源が供給されていない場合に、装置本体11の各種駆動電源を供給するものである。
【0016】
なお、前記記録用紙挿入口用蓋15と及びインクリボン挿入口蓋18の一端部分は装置本体11に蝶番または蝶番形状により開閉自在に形成され、他端部は係止片で係止されるようになっている。
【0017】
次に、図1と図2を用いて装置本体11の内部構成について説明する。なお、図2は、装置本体11の筐体を構成するシャーシと記録紙ガイド部材のみを示している。装置本体11の正面には、前記記録紙挿入口14が設けられ、前記記録紙カセット13を脱着するための脱着手段が設けられると共に、前記記録紙カセット13の記録紙引出口にから記録紙を引き出す記録紙引出ローラ31が配置されている。この記録紙引出ローラ31は、前記装置本体11の筐体の左右側壁部(以下、左右のシャーシという)32a、32bに回転自在に軸止され、後述するインクリボン及び記録紙駆動用の第3の駆動手段51により、記録紙カセット13から記録紙を引出し装置本体11内に供給する方向に回転する。
【0018】
前記記録紙引出ローラ31の後方には、記録紙カセット13から引き出された記録紙を挟持して、装置本体11内部に記録紙を送出する一対の紙送りローラである押圧ローラ33と搬送用ローラ34が設けられている。押圧ローラ33は、後述するサーマルヘッド及び押圧ローラ駆動用の第1の駆動手段41により前記搬送用ローラ34に押圧されて記録紙を保持する保持位置と搬送用ローラ34から退避する退避位置に移動すると共に搬送用ローラ34の回転に従動して回転する。前記搬送用ローラ34は、前記左右シャーシ32a,32bに搬送用ローラ軸34aが回転自在に軸支され、後述する搬送用ローラ駆動用の第2の駆動手段49によって装置本体11内に記録紙を搬送する方向と排出する方向に回転するようになっている。
【0019】
前記搬送用ローラ34の後方には、プラテンローラ35が左右シャーシ32a,32bに回転自在に軸支されている。このプラテンローラ35の上方には、サーマルヘッド37が配置され、前記押圧ローラ33と搬送用ローラ34で挟持搬送された記録紙と、インクリボンカセット16のインクリボンをプラテンローラ35に保持して熱転写印刷するようになっている。
【0020】
このサーマルヘッド保持部材38は、サーマルヘッド37の長手方向に平行して形成されたサーマルヘッド保持部38aと、このサーマルヘッド保持部38aの略中間部分から前記長手方向と略垂直な方向に延出湾曲させたアーム部38bとによって略T字形状に構成され、前記サーマルヘッド37は、前記記録紙及びインクリボンの搬送方向と直交させて上記サーマルヘッド保持部38aに取り付け固定されている。このサーマルヘッド保持部材38のアーム部38bの他端には、回転軸38cが固着され、この回転軸38cは左右連結片47a,47bに対して回動自在に軸止されている。このサーマルヘッド保持部材38は回転軸38cを中心に弾性部材38dでサーマルヘッド37が前記プラテンローラ35から離間するように張力が与えられている。このサーマルヘッド保持部材38のアーム部38bの他端の湾曲された頂点付近には、カム部38eが設けられており、このカム部38eには、後述する第1の駆動手段41によって、前記サーマルヘッド保持部材38を弾性部材38dの張力に反して、回転軸38cを中心に前記サーマルヘッド37をインクリボンと記録紙をプラテンローラ35に保持する保持位置に移動させる動作を行うようになっている。
【0021】
前記右シャーシ32aには、前記インクリボンカセット16が挿入されるインクリボン挿入口17が穿設されており(図2、図4参照)、このインクリボン挿入口17から挿着されインクリボンカセット16は、前記サーマルヘッド37の下方にインクリボンカセット16の開口が位置すると共に、前記インクリボンカセット16の供給リール収納部と巻き取りリール収納部内に設けた供給及び巻き取りリールは、左シャーシ32b内側に配置されたリール軸36a,36bに嵌合する。このリール軸36a,36bは後述する第3の駆動手段51によって回転駆動させてインクリボンを供給リールから巻き取りリールへと供給する。
【0022】
前記左連結片47bには、前記搬送用ローラ34を駆動する第2のモータ48が設けられ、この第2のモータ48の駆動軸は前記左連結片47bから貫通させ、この駆動軸に取り付けられた歯車を含む複数の歯車とベルトからなる第2の駆動手段49が左シャーシ32bの外側に配置されている。この第2の駆動手段49によって所定の回転数に減速制御された回転駆動力は、搬送用ローラ34の軸34aに伝達されて搬送用ローラ34を正逆転駆動させる。
【0023】
さらに、前記左シャーシ32bの外側面には、第3のモータ50が配置され、この第3のモータ50の回転軸に取り付けられた歯車と他の複数の歯車を組み合わせて前記インクリボンカセット16に内蔵している供給と巻き取りリールに嵌合するリール軸36a,36bと前記記録紙引出ローラ31を回転駆動させる第3の駆動手段51が設けられている。
【0024】
つまり、左右のシャーシ32a,32bに記録紙引出ローラ31、押圧ローラ33、搬送用ローラ34、及びプラテンローラ35が回転自在に軸支されている。前記右シャーシ32aには、リボンカセット16を挿入するリボンカセット挿入口17が穿設されており、左シャーシ32bには、前記搬送用ローラ34を駆動する第2の駆動手段49とインクリボンと記録紙を引き出し搬送させる第3の駆動手段51が配置された第2のフレームユニットが形成される。
【0025】
前記サーマルヘッド保持部材38のカム部38eの後方には、サーマルヘッド及び押圧ローラ駆動用の第1の駆動手段41が配置されている。この第1の駆動手段41は、駆動源である第1のモータ40からの回転駆動を減速伝達する歯車群41aとこの歯車群41aで減速伝達された回転力を前記サーマルヘッド保持部材38のカム部38eに伝達する第1のカム駆動部41bと、前記押圧ローラ33を搬送用ローラ34に押圧たは離間方向に移動させるための後述するスライド部材44a,44bを揺動させる第2のカム駆動部41cが同軸に一体形成されている。この第1の駆動手段41は、背面シャーシ42に配置され、この背面シャーシ42の両端部は折曲されて、その折曲された面には、前記連結片47a,47bに連結固定する際の固定位置決め用の突起42a,42b(突起42bは図の関係から図示せず)とネジ孔等が設けられている(図2参照)。
【0026】
前記第1の駆動源40と第1の駆動手段41を取り付け固定された前記背面シャーシ42は、前記突起42a,42bを前記連結片47a,47bに設けた挿入孔47c,47dに挿入して位置決めしてネジ等で固定される。このとき、前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cを前記連結片47a,47bに設けたサーマルヘッド保持部材軸受け孔47e,47fに挿入して回転自在に軸止する。
【0027】
前記第1の駆動手段41の第2のカム駆動部41cは、前記連結片47a,47bに軸支された前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cの近傍に配置され、かつ、前記連結片47a,47bに回転自在に軸支された後述する回転軸43に設けられたカム部43aに接触するようになっている。
【0028】
つまり、前記連結片47a,47bは、前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cを前記サーマルヘッド保持部材軸受け孔47e,47fを軸支し、かつ、前記回転軸43を軸支している。そして、前記第1の駆動源40と第1の駆動手段41が固定された背面シャーシ42の突起42a,42bを前記挿入孔47c,47dに挿入してネジ等で固定することで、第1のフレームユニットが形成される。
【0029】
前記第1の駆動源40と第1の駆動手段41を取り付け固定した背面シャーシ42と、サーマルヘッド保持材38の回転軸38cと回転軸43が軸支された連結片47a,47bとを連結固定した第1のフレームユニットと、前記搬送ローラ34、プラテンローラ35を左右シャーシ34a,34bに軸止した第2のフレームユニットは、前記左右シャーシ34a,34bの後端の連結片47a,47b側に設けたネジ穴32d,32d’,32c,32c’と、前記連結片47a,47bの先端の前記左右シャーシ34a,34b側に設けたネジ穴47g,47g’,47h,47h’とを用いてネジ等で固定する。
【0030】
つまり、前記背面シャーシ42と連結片47a,47bに所定の駆動機構を事前組み立した第1のフレームユニットと、前記左右シャーシ34a,34bに所定の駆動機構を事前組立した第2のフレームユニットを相互に連結固定することで、組立作業の効率向上が可能となる。
【0031】
なお、この第1と第2のフレームユニットを連結する際に、前記第1の駆動手段41を構成する第1の駆動カム部41bが、前記サーマルヘッド保持部材38のカム部38eを適度に押圧するような関係に連結させる為、前記連結片47a,47bに設けた挿入孔47e,47fとネジによる固定孔に若干の位置補正が可能な形状寸法としても良い。また、前記第1と第2のフレームユニットの連結位置補正するために前記左右シャーシ32a,32bに設けたネジ穴32c,32c’,32d,32d’または連結片47a,47bに設けたネジ穴47g,47g’,47h,47h’のいずれかに若干の位置補正が可能な形状寸法としても良い。
【0032】
前記左右シャーシ32a,32bに軸支されたプラテンローラ35の後方には、印刷済記録紙を搬送ガイドする記録ガイド部材39が前記左右シャーシ32a,32bと連結片47a,47bで挟持固定されている。又、この記録紙ガイド部材39は、前記背面シャーシ42後方で図2に示すように図中上方に湾曲させた湾曲部39a、39bを有している。この湾曲部39a,39bにより、印刷済記録紙は、装置本体11の上方に案内されるために、装置本体11の奥行き寸法の短縮が可能となる。
【0033】
前記第1の駆動手段41の第2のカム駆動部41cは、前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cの近傍で、前記連結片47a,47bに軸支された回転軸43に設けられたカム部43aに接触するようになっている。この回転軸43の連結片47a,47bに両端が軸止された近傍には、一端が固定された長形の固定片43b,43cが取付固定され、この固定片43b,43cの他端は、スライド部材44a,44bの一端が回動自在に転結されている。前記スライド部材44a,44bは、前記搬送用ローラ34の近傍まで前記記録紙ガイド部材39及び左右シャーシ32a,32bの長手方向と略平行に延在させ、その他端には、くの字状の駆動腕45a,45bの一端が回動自在に転結させている。この駆動腕45a,45bの中央部分は前記左右シャーシ32a,32bに回転自在に軸支させ、さらに、他端は前記押圧ローラ33に回動自在に軸支させている。このスライド部材44a,44bと駆動腕45a,45bとの軸支点は、弾性体46a,46b(弾性体46bは図の関係から図示せず)で押圧ローラ33を搬送用ローラ34に圧接する方向に弾性力が付与されている。なお、前記左シャーシ32b側に設けたスライド板44bは、後述する理由からコの字状に折曲して略凸状形状に形成されている。
【0034】
つまり、前記第1のモータ40と第1の駆動手段41を配置した背面シャーシ42と前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cと回転軸43を軸止した連結片47a、47bとからなる第1のフレームユニットと、前記記録紙搬送用の各種ローラ31,33,34,35を左右シャーシ32a,32bに配置した第2のフレームユニットとを連結固定すると共に、前記スライド部材44a,44bと前記回転軸43の固定片43b,43cとを回転自在に取り付けることで、装置本体11の筐体の組立作業の誤作業もなく、かつ、組立作業効率も向上する。
【0035】
なお、前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cと第1の駆動手段41の第2のカム駆動部41cで回転駆動する前記回転軸43は、前記連結片47a,47bに軸支すると前述しているが、前記左右シャーシ32a,32bに前記サーマルヘッド保持部材38の回転軸38cと回転軸43を軸支するようにすると、第2のフレームユニットの組立作業において、前記回転軸43と固定片43b,43cを介してスライド板44a,44bも共に組み立てることができ、前記連結片47a,47bは、単に第1のフレームユニットと第2のフレームユニットを連結固定のみとなり、一層の組立作業の効率向上が図れる。
【0036】
また、前記右シャーシ32aには、インクリボンカセット16を挿入する挿入口17が開口されているが、このインクリボン挿入口17にインクリボンカセット16を挿入又は挿脱する際に、ユーザの手がインクリボン挿入口17の周辺に触れる。このインクリボン挿入口17の周辺に付着した手等からの汗により、錆等の腐食が他の左シャーシ32bや背面シャーシ42等に比して促進される。このため、右シャーシ32aを錆びにくい部材を用いるか、又はリボンカセット挿入口17の周辺に錆び止め処理を施している。
【0037】
前記左右シャーシ32a,32bの図中下方には、第1の印刷配線基板52が配置されている。この第1の印刷配線基板52には、前記記録媒体19又はPCインターフェイスプラグ20から得た画像信号データを処理して、前記サーマルヘッド37を発熱制御する各種信号処理回路や、前記各種駆動手段の駆動制御回路等が搭載されている。さらに、前記記録媒体19を挿着する図示していない記録媒体挿着ユニットと、前記PCインターフェイスプラグ20が接続されるPCインターフェイスコネクタと、及びDCインレットプラグ21が接続されるDCインレットコネクタ等も搭載されている。
【0038】
前記記録媒体挿着ユニットは矩形立方体形状をしており、前記右シャーシ32bと平行して配置したスライド板44bと重なり接触することになる。このため、前記スライド板44bをコの字状に折曲して、前記記録媒体挿着ユニットを跨ぐように配置することで、スライド板44bと記録媒体挿着ユニットとの重なり接触を回避している。
【0039】
前記背面シャーシ42の後方基端側に前記第1の印刷配線基板52から垂直に立設された第2の印刷配線基板53が配置されている。この第2の印刷配線基板53には、バッテリー22の接点23に接続する接片や前記第1の印刷配線基板52に搭載されている各種信号処理回路の駆動電源を供給する電源回路が搭載されている。
【0040】
次に図3を用いて装置本体11とバッテリー22との関係について説明する。前記装置本体11の背面には、前記サーマルヘッド保持部材38を駆動する第1の駆動手段41が背面シャーシ42に配置された第1のフレームユニットの後方基端部側に第1の印刷配線基板52から立設された第2の印刷配線基板53が配置されている。この第2の印刷配線基板53には、前記電源回路が搭載されると共に、装置本体11の背面に装着されるバッテリー22の接点23と対向する位置に接片54が搭載されており、前記接点23と接片54の接触接続により、バッテリー22から第2の印刷配線基板53の電源回路に電力供給される。
【0041】
この装置本体11の背面には、前記バッテリー22に設けられている固定片24a〜24dに対向する位置に係止片55a〜55dが設けられている。さらに、装置本体11の前記バッテリー22と接する面の一方の側面には、バッテリー22の装着を解除させる解除釦56が設けられ、この解除釦56をスライドさせて共に揺動する係止片56aが装置本体11の背面から突出させている。この解除釦56と係止片56aは装置本体11の背面外方向に図示していない弾性体で付勢されている。この解除釦56と揺動する係止片56aに対抗する位置バッテリー22の装置本体11と接する面には、係止孔25が穿設されている。
【0042】
つまり、前記バッテリー22の接点23を装置本体11の接片54に接触させつつ、バッテリー22の固定片24a〜24dを装置本体11の係止片55a〜55dに係止固定すると、前記解除釦56の係止片56aは、バッテリー22の係止孔25内に嵌入されて、強固にバッテリー22が装置本体11に装着される。
【0043】
一方、前記解除釦56をバッテリー22の取り外し方向に摺動させると、前記解除釦56と共に係止片56aも揺動して、バッテリー22の係止孔25から離脱され、バッテリー22を装置本体11から取り外しができる。
【0044】
なお、装置本体11にバッテリー22を装着する方法としては、数々の方法があり、前述のバッテリー取付方法に限るものでしなく、前記第1のフレームユニットの後方基端側に着脱自在の電源部を配置したことにより、装置本体11の小型化を実現したものである。
【0045】
以上説明したように実施の形態によれば、装置本体11の正面に記録紙カセット13を着脱する記録紙着脱手段を配置し、装置本体11の背面にバッテリー22の電源部を着脱する電源着脱手段を配置し、装置本体11の一方の側壁部にインクリボンカセット16を着脱するインクリボンカセット挿入口を開口している。さらに、装置本体11の内部には記録用紙やインクリボン走行駆動系とサーマルヘッド保持部材を小型薄型に対応した構成とし、それら走行駆動系とサーマルヘッドを少なくとも2つのフレームユニットに分けて個別に組み立て、その個別に組み立てられたフレームユニットを連結固定させて装置本体11内に組み込むことにより、プリンタ装置本体11の組立作業の能率向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るプリンタ装置の一実施形態の内部構成を示す展開斜視図。
【図2】本発明に係るプリンタ装置に用いるシャーシの構成を説明する斜視図。
【図3】本発明に係るプリンタ装置と電源部の関係を説明する斜視図。
【図4】本発明に係るプリンタ装置の外観構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
11…プリンタ装置
12…入力動作表示手段
13…記録紙カセット
14…記録紙挿入口
15…記録紙挿入口蓋
16…インクリボンカセット
17…インクリボン挿入口(インクリボン挿入開口部)
18…インクリボン挿入口蓋
19…記録媒体
20…PCインターフェイスプラグ
21…DCインレットプラグ
22…バッテリー
23…接点
24…固定片
25…係止孔
31…記録紙引出ローラ
32…シャーシ(側壁部)
33…押圧ローラ
34…搬送用ローラ
35…プラテンローラ
36…リール軸
37…サーマルヘッド
38…サーマルヘッド保持部材
39…記録紙ガイド部材
40…第1の駆動手段
41…第1のモータ
42…背面シャーシ
43…回転軸
44…スライド部材
45…駆動腕
46…弾性体
47…連結片
48…第2のモータ
49…第2の駆動手段
50…第3のモータ
51…第3の駆動手段
52…第1の印刷配線基板
53…第2の印刷配線基板
54…接片
55…係止片
56…解除釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙カセットを着脱自在とする携帯プリンタ装置であって、
サーマルヘッドが固定されたサーマルヘッド保持部材と、
前記サーマルヘッド保持部材を駆動するための第1の駆動モータと、
前記第1の駆動モータの駆動力に基づいて前記サーマルヘッド保持部材を駆動するための第1の駆動手段と、
を設けた第1のフレーム部と、
一対の側壁部を有し、前記第1のフレーム部に一体的に係合する第2のフレーム部であって、
当該携帯プリンタ装置における本体カバーの前面から記録紙を給紙または排出するとともに、前記記録紙を搬送するための記録紙搬送経路を有する記録紙搬送機構と、
前記一対の側壁部間に回転自在に軸支され、当該携帯プリンタ装置に装着された記録紙カセットから記録紙を引き出し当該携帯プリンタ装置本体内に供給する記録紙引出ローラと、
を設けた第2のフレーム部と、
を備え、
前記第2のフレーム部における前記一対の側壁部のうち一方の側壁部側には、
少なくとも前記記録紙引出ローラを駆動するための第2の駆動モータと、
前記第2の駆動モータに係合し当該第2の駆動モータの駆動力を伝達する第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段に係合し、前記第2の駆動モータの駆動力により回動する複数のリール軸と、
を配設し、
前記一対の側壁部のうち他方の側壁部側には、
少なくともインクリボンカセットを挿入するための挿入開口部を配設し、
前記インクリボンカセットを前記挿入部開口部より当該携帯プリンタ装置本体内に挿入して装着した際、当該インクリボンカセットの開口部は前記サーマルヘッドの下方に位置し、かつ、当該インクリボンカセットにおける供給リールおよび巻取リールはそれぞれ前記複数のリール軸の何れかに嵌合する
ことを特徴とする携帯プリンタ装置。
【請求項2】
当該携帯プリンタ装置本体は、
前記記録紙引出ローラと対向する位置に、前記記録紙カセットを着脱するための着脱手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯プリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−276491(P2007−276491A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130808(P2007−130808)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【分割の表示】特願2000−69922(P2000−69922)の分割
【原出願日】平成12年3月14日(2000.3.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】