説明

携帯型情報処理装置

【課題】ノートパソコンの薄型化に伴ってセキュリティワイヤースロットの配置が難しくなっていることを解決し、その配置場所を提供することを目的とする。
【解決手段】ノートパソコン筐体側部に盗難防止用セキュリティワイヤー16のロック刃163を差し込んでロックするセキュリティワイヤースロットである穴部15を備え、穴部14はノートパソコンの表面より浸入した水滴を内部に浸入しないようし集水して排水する排水口15を兼用ことにより、キュリティワイヤースロットをキーボード、マウスパッドの隙間から浸入した「水」を排水する排水口とを兼用することで薄型化したノートパソコン本体側面部を有効利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノートパソコン)のような携帯型情報処理装置に関し、詳しくはノートパソコンのセキュリティワイヤースロットの設置部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンのような携帯型情報処理装置は、その携帯性を高めるため装置自体の薄型化、軽量化が進められ、外郭を構成する筐体の薄型化も進められている。
【0003】
一方では、ヒューマンインターフェースでもあるキーボード、マウスパッド、文字、画像等を表示する液晶パネルを用いた表示部はあまり小さくすると操作者の使い勝手の面から好ましくない。従って、ノートパソコン本体、または表示部を薄型化してその携帯性を高めようとする傾向がある。
【0004】
しかしながら、キーボード、マウスパッドを配置したノートパソコン本体の平面部に対して側面部(厚み方向の面)にはAC電源から電力供給を受ける電源ジャック端子、外部機器を接続する入出力端子、バッテリー挿抜スロット、FD、CD,DVDドライブ開口部、電源スイッチをはじめとした各種操作ボタン等々様々なデバイスが配置されている。前述のようにノートパソコンの薄型化に伴い、ノートパソコン本体側面部にとって益々これらの端子、デバイスの配置が設計上難しくになっている。
【0005】
また、ノートパソコンはその携帯性用途より屋外で使用するケースも多くなっている。その反面、屋外使用故、故障につながる要因も多くなっている。雨天時には雨水がキーボード、マウスパッド、ボタンの隙間から浸入して電子機器の回路を損傷する場合もあり、屋内であっても操作者が飲み物を誤ってキーボード、マウスパッド上にこぼすといったケースもある。(以下、雨水、結露による水滴、誤ってこぼした飲み物、電子機器の回路にとって有害な液体を「水」として総称する。)
以下に従来のノートパソコンについて説明する。
【0006】
図4は従来のノートパソコンの斜視図と、表面の一部を透視した図である。
【0007】
図4において、10はノートパソコン、11は図示しないCPU(中央処理装置)などの情報処理回路等を収容したノートパソコン10の本体部、12は液晶パネル等からなる表示部、13はキーボード、14はマウスパッドである。
【0008】
近年では「水」がキーボード13、マウスパッド14の隙間から浸入してもノートパソコン本体部11表面は防滴のための2重構造になっているノートパソコンもある。キーボード13、マウスパッド14の隙間から浸入した「水」はノートパソコン本体部11の内部まで浸入することなく、「水」を導く図示しない溝、管により集水してノートパソコン本体部11の側面に配置した排水口25より排水する。
【特許文献1】特開2005−258835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、近年はセキュリティ機能が搭載されているノートパソコンが増えている。たとえノートパソコンを盗まれたとしても、HDD(ハードディスクドライブ)パスワードや起動時パスワードを設定することで、起動を不可能にしてノートパソコン内のデータを保護している。しかし、一般ユーザにとってデータの盗難などよりも、物理的にノートパソコンが盗難にあった精神的ショックの方が大きい場合も多い。
【0010】
そこで、ノートパソコンを物理的盗難から守る「セキュリティワイヤー」がある。ほとんどのノートパソコンにはセキュリティワイヤースロットが搭載されており、そこをロックすることで、物理的な盗難から守ることが可能である。
【0011】
しかしながら、前述のように薄型化が進化したノートパソコンにとって、このセキュリティワイヤースロットの配置する場所は限られている。ノートパソコンの表示部を閉じた状態で机上のような平らな場所に置いた状態でセキュリティワイヤーによりロックする場合、セキュリティワイヤースロットの好適な配置は本体部の4つの側面である。表示部背面はデザイン上問題であり、本体部裏面ではセキュリティワイヤーのよるロックは不可能。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、ノートパソコンの薄型化に伴ってセキュリティワイヤースロットの配置が難しくなっていることを解決し、その配置場所を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、
携帯型情報処理装置の筐体側面部に盗難防止用セキュリティワイヤーのロック刃を差し込んでロックするセキュリティワイヤースロットである穴部を備え、
当該穴部は前記携帯型情報処理装置の表面より浸入した水滴を内部に浸入しないようし集水して排水する排水口を兼用したことを特徴とする携帯型情報処理装置、
としたものであり、キュリティワイヤースロットをキーボード、マウスパッドの隙間から浸入した「水」を排水する排水口とを兼用することで薄型化したノートパソコン本体側面部を有効利用できるというという作用を有する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明は、キュリティワイヤースロットをキーボード、マウスパッドの隙間から浸入した「水」を排水する排水口とを兼用することで薄型化したノートパソコン本体側面部を有効利用できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図3を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明のノートパソコンの斜視図と、表面の一部を透視した図である。
【0017】
図1において、10はノートパソコン、11は図示しないCPU(中央処理装置)などの情報処理回路等を収容したノートパソコン10の本体部、12は液晶パネル等からなる表示部、13はキーボード、14はマウスパッドである。
【0018】
また16はセキュリティワイヤーである。161はロック部本体であり、図1ではロック部本体161のダイヤル162を暗証番号に合わせることでロック刃163が解除され、ロック解除されたロック刃163はノートパソコン10の本体部11の側面部に配置したセキュリティワイヤースロット15に挿抜可能に伸縮する。164はワイヤーであり、一端はロック部本体161に締結され、ワイヤー164の他端(図示せず)は持ち運び困難な机の支柱などに簡単につなぐことができるように構成されている。
【0019】
ワイヤーは特殊な工具でないと切断することは出来ないので、一旦セキュリティワイヤー16によってセキュリティワイヤースロット15をロックすれば、物理的な盗難は困難である。
【0020】
図2はノートパソコン本体部のキーボード側の筐体を除いたセキュリティワイヤースロットの詳細図である。
【0021】
図3はセキュリティワイヤーのロック刃がセキュリティワイヤースロットに挿入されロックされた状態を示す。
【0022】
図2,図3において15はキュリティワイヤースロットであり、また、図4の排水口25をも兼用する穴部である。また、17は侵入して集められた「水」をノートパソコン本体内部を通して排水するために筐体内の内壁に設けられた通水用の穴部である。
【0023】
以上のように構成されたノートパソコンについて、図1〜図3を用いてその動作を説明する。
【0024】
図1においてキュリティワイヤースロット15は、キーボード13、マウスパッド14の隙間から浸入した「水」を集水して排水する排水口(図4の25)とを兼用している。
【0025】
このようにすることで薄型化した近年のノートパソコン本体部11の側面部を有効利用できる。
【0026】
図2,図3において破線矢印のように集水した「水」は内壁に設けられた通水用の穴部17、セキュリティワイヤースロット兼排水口15を通って排水される。矢印で示した排水経路の底面18は排水がスムーズに行われるように図示しないが傾斜を設けられている。また、排水口15付近の底面18には排水口穴部を延長した切り欠き部181が設けられており、「水」が流れ落ちるようにして排水がスムーズに行われるよう形成されている。
【0027】
また、キュリティワイヤースロット15の内部は天面、底面の他、3方に側内壁が設けられており、キュリティワイヤースロット15の穴部から異物、ゴミ、埃がノートパソコン本体内部まで浸入しないようになっている。つまり、内壁に設けられた通水用穴部17は、キュリティワイヤースロット15の穴部正面の側内壁には配置せず、左右いずれかの側内壁に配置することで、さらに異物、ゴミ、埃がノートパソコン本体内部まで浸入し難く形成されている。
【0028】
以上のように本実施の形態によれば、キュリティワイヤースロットをキーボード、マウスパッドの隙間から浸入した「水」を排水する排水口とを兼用することで薄型化したノートパソコン本体側面部を有効利用できる。
【0029】
なお、以上の説明ではキュリティワイヤースロット兼排水口15をノートパソコン本体部11側面部(図では右側面部後方)に設けるとしたが、本体部11手前の側面部、本体部後方の側面部、本体部手前コーナーの側面部、本体部後方コーナーの側面部であってもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかるノートパソコンは、キュリティワイヤースロットをキーボード、マウスパッドの隙間から浸入した「水」を排水する排水口とを兼用することで薄型化したノートパソコン本体側面部を有効利用できるといった効果を有し、ノートパソコンのような携帯型情報処理装置のセキュリティワイヤースロットの配置設計等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のノートパソコンの斜視図と、表面の一部を透視した図
【図2】ノートパソコン本体部のキーボード側の筐体を除いたセキュリティワイヤースロットの詳細図
【図3】セキュリティワイヤーのロック刃がセキュリティワイヤースロットに挿入されロックされた状態を示す図
【図4】従来のノートパソコンの斜視図と、表面の一部を透視した図
【符号の説明】
【0032】
10 ノートパソコン
11 ノートパソコン本体部
12 ノートパソコン表示部
13 キーボード
14 マウス
15 セキュリティワイヤースロット、排水口
16 セキュリティワイヤー
161 ロック部本体
162 ダイヤル
163 ロック刃
164 ワイヤー
17 通水穴
18 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型情報処理装置の筐体側面部に盗難防止用セキュリティワイヤーのロック刃を差し込んでロックするセキュリティワイヤースロットである穴部を備え、
当該穴部は前記携帯型情報処理装置の表面より浸入した水滴を内部に浸入しないようし集水して排水する排水口を兼用したことを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項2】
前記キュリティワイヤースロットの穴内部には3方に側内壁が設けられており、前記側内壁に設けられた通水用穴部は前記キュリティワイヤースロットの穴部の正面でない前記側内壁には設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−217186(P2008−217186A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50994(P2007−50994)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)