説明

携帯型検査端末と健康管理システム

【課題】健康管理の対象者と健康管理者との間のコミュニケーションを深め、健康管理の対象者の生体情報と環境情報の提示を円滑かつ確実にして、より適切な健康管理を可能にする。
【解決手段】健康管理の対象者が、使用者として、携帯して使用する携帯型検査端末1には、この使用者の生体情報が生体情報取得部2で測定され、周囲の環境情報が環境情報取得部3で測定される。これら生体情報と環境情報とはデータ処理部4で処理されてこの使用者の体調情報が形成される。この体調情報は、通信部7からネットワーク通信網8を介して、健康管理者が使用する携帯端末9に送信される。この携帯端末9では、携帯型検査端末1から送信された体調情報が通信部10で受信され、データ管理部11で処理された後、表示部12で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理の対象者の生体情報及びその周囲環境の環境情報を検出する携帯型検査端末と、その検出結果を病院などの健康管理施設や介護する家族に送信して健康管理やサービスを実施する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、室内,室外間の激しい温度差や冷暖房の効き過ぎのなどにより、身体に負担がかかり、体調を崩す場合があり、気温や室温,湿度の急激の変化により、体調の維持が難しくなっているという問題がある。
【0003】
このような問題に対して、健康管理の対象者の体調に関する情報と周囲の環境に関する情報を取得して健康管理を行なう健康管理サービスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−318565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の健康管理サービスでは、周囲の環境情報と生体情報とを基に、サービスセンタが健康管理サービスを行なっているが、介護される者などの健康管理の対象者とその介護する者などの健康管理者との間で、生体情報と環境情報を提示して両者間の相互のコミュニケーションを深め、適切な介護などの健康管理を行なうことができなかった。
【0006】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、健康管理の対象者と健康管理者との間のコミュニケーションを深め、健康管理の対象者の生体情報と環境情報の提示を円滑かつ確実にして、より適切な健康管理を可能とした携帯型検査端末と健康管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による携帯型検査端末は、健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、体調情報を健康管理者側に送信する通信手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明による携帯型検査端末は、健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、体調情報を他の健康管理の対象者の他の携帯型検査端末に送信し、該他の携帯型検査端末から該他の健康管理の対象者の体調情報を受信する通信手段と、通信手段で受信した他の携帯型検査端末からの該体調情報を受信する表示手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明による携帯型検査端末は、生体情報が、体温,血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形のいずれかを含む情報であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による携帯型検査端末は、環境情報が、気温,湿度,紫外線強度のいずれかを含む情報であることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による健康管理システムは、健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、該体調情報を送信する通信手段とを備えた該健康管理の対象者側の携帯型検査端末と、健康管理の対象者側の携帯型検査端末の通信手段から該体調情報を受信する通信手段と、該通信手段で受信された該体調情報を処理する処理手段と、該処理手段で処理された該体調情報を表示する表示手段とを備えた健康管理者側の携帯端末と、健康管理の対象者側の携帯型検査端末の該通信手段と該健康管理者側の携帯端末の該通信手段とを接続し、該該健康管理の対象者側の携帯型検査端末から該健康管理者側の携帯端末へ該体調情報を伝送する通信網とからなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による健康管理システムは、健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、該体調情報を送受信する通信手段と、表示手段を備えた該健康管理の対象者側の携帯型検査端末が複数、通信網を介して接続されてなり、通信網を介して、該携帯型検査端末間で該体調情報を送信し、該体調情報を受信した該携帯型検査端末の該表示部で受信した該体調を表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による健康管理システムは、空気調和機が設置された建屋内に設けられた健康管理システムであって、健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、建屋内外の環境情報を取得する環境情報取得手段と、生体情報と該環境情報とを基に、該健康管理の対象者の体調情報を作成し、該体調情報に応じて該空気調和機を調整して該健康管理の対象者の体調に適合した環境に調整する環境調整手段とからなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による健康管理システムは、環境調整機器が、空気調和機であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による健康管理システムは、生体情報が、体温,血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形のいずれかを含む情報であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による健康管理システムは、環境情報が、気温,湿度,紫外線強度のいずれかを含む情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯端末を通じて生体情報と環境情報を提示して、適切な介護,健康管理およびコミュニケーションを健康管理の対象者とその健康管理者との間で図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による携帯型検査端末と健康管理システムの第1の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】図1における生体情報取得部と環境情報取得部の一具体例を示す構成図である。
【図3】図1における生体情報取得部の他の具体例を示す構成図である。
【図4】本発明による携帯型検査端末と健康管理システムの第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【図5】本発明による健康管理システムの第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0020】
図1は本発明による携帯型検査端末と健康管理システムの第1の実施形態を示すブロック構成図であって、1は携帯型検査端末、2は生体情報取得部、3は環境情報取得部、4はデータ処理部、5は表示部、6は記憶部、7は通信部、8はネットワーク通信網、9は携帯端末、10は通信部、11はデータ処理部、12は表示部、13は記憶部である。
【0021】
同図において、例えば、健康管理を受ける子供や介護を受ける者など(以下、健康管理の対象者という)が携帯して使用する携帯型検査端末1とこの子供の健康を管理する家族や介護する者(以下、健康管理者という)が携帯して使用する携帯端末9とがネットワーク通信網8を介して通信可能に接続されて、健康管理システムが形成されている。なお、この携帯型検査端末1を携帯して使用する健康管理の対象者を、以下、携帯端末1の使用者といい、携帯端末9を携帯して使用する健康管理者を、以下、携帯端末9の使用者という。
【0022】
携帯型検査端末1には、携帯端末1の使用者の体温や血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形などの生体情報を測定する生体情報取得部2と、気温や湿度,紫外線強度などの環境情報を測定する環境情報取得部3が設けられており、データ処理部4がこれら生体情報,環境情報を解析処理して、携帯端末1の使用者の体調情報を決定する。ここで、この求める体調情報としては、体温や血圧などの体調に直接関係する情報に加え、例えば、体温や血圧,心拍数,発汗量から求める健康管理の対象者がリラックスしているか、緊張しているかの度合いも含むものである。この際、環境情報としての気温と湿度との関係から、環境条件を考慮した体調の解析・検出を行なうこともできる。
【0023】
データ処理部4で検出したこれら体調情報は、通信部7からネットワーク通信網8を介して健康管理者が使用する携帯端末9に送信され、これとともに、記憶部6に記憶され、この記憶部6から体調情報が読み出されて表示部5で表示される。この表示により、携帯端末1の使用者は自分の体調の具合をいつでも知ることができる。この体調情報の表示は、常時行なうようにしてもよいし、携帯端末1の使用者が携帯型検査端末1での図示しない操作手段を操作する毎に、所定時間行なうようにしてもよい。
【0024】
携帯端末9では、ネットワーク通信網8からの体調情報が通信部10で受信される。受信された体調情報は、データ処理部11でデータ処理された後、記憶部13に記憶され、これから読み出されて表示部12で表示される。
【0025】
これにより、健康管理者である携帯端末9の使用者は、携帯端末1の使用者の体調情報を表示部12で知ることができ、この携帯端末1の使用者の体調をいつでも知ることができる。
【0026】
なお、図1で図示しないが、携帯型検査端末1と携帯端末9とは、携帯電話の機能も備えており、これら間で通話をすることもできる。
【0027】
いま、例えば、携帯端末1の使用者、即ち、健康管理の対象者が介護を受ける必要のある被介護者とし、携帯端末9の使用者、即ち、健康管理者がその介護を行なう介護者であるとすると、介護者は、携帯端末9に被介護者の体調情報の提示を受けることができるため、被介護者から通知されなくとも、常時被介護者の体調を監視することができ、被介護者に対して正確な介護のタイミングで適切な処置を行なうことができる。
【0028】
図2は図1における生体情報取得部2と環境情報取得部3からなる情報取得部の一具体例を示す構成図であって、20は腕輪、21は無線通信部、22は脈拍センサ、23は温度センサ、24は湿度センサ、25は紫外線センサ、26は圧力センサである。
【0029】
同図において、この具体例では、生体情報取得部2と環境情報取得部3とからなる情報取得部が、携帯型検査端末1(図1)での生体情報取得部2と環境情報取得部3以外の部分(以下、これを検査端末本体という)とは別体のものであり、腕輪20からなる、例えば、手首に装着するブレスレット型の装置をなるものである。この腕輪20には、無線通信部21が設けられており、この無線通信部21により、携帯型検査端末1の検査端末本体と通信ができるようになっている。
【0030】
腕輪20には、各種生体情報や環境情報を検出するための脈拍センサ22や温度センサ23,湿度センサ24,紫外線センサ25,圧力センサ26が設けられている。ここで、脈拍センサ22は心拍数を検出するセンサであり、温度センサ23は携帯端末1の使用者の体温を検出するセンサとその周辺環境の気温を検出するセンサとからなり、湿度センサ24は携帯端末1の使用者の発汗量を検出するセンサとその周辺環境の湿度を検出するセンサとからなり、紫外線センサ25は周辺環境の紫外線強度を検出するセンサであり、圧力センサ26は携帯端末1の使用者の血圧を検出するセンサである。
【0031】
これらセンサの検出情報は、無線通信部21により、携帯型検査端末1の検査端末本体に転送(送信)されてデータ処理部4で解析処理され、体調情報が作成される。
【0032】
図3は図1における生体情報取得部2の他の具体例を示す構成図であり、27はウエストベルト、28は無線通信部、29a〜29eは超音波センサである。
【0033】
同図において、この具体例は、ウエストベルト27に無線通信部28や超音波センサ29a〜29eが設けられたウエストベルト型の装置であって、携帯型検査端末1(図1)の検査端末本体とは別体のものであり、携帯端末1の使用者の腰に装着するものである。
【0034】
ここで、超音波センサ29a〜29eは、超音波を用いて心拍数や腹部の各部の内部状態を検出するものであって、図2に示す生体情報取得部と同様、超音波センサ29a〜29eの検出データが無線通信部28から携帯型検査端末1(図1)の検査端末本体へ送信され、データ処理部4で解析処理されてこの携帯端末1の使用者の体調情報が検出される。
【0035】
図1における携帯側検査端末1では、図2に示す生体情報取得部2と環境情報取得部3との情報取得部を用いてもよいし、さらに、図3に示す生体情報取得部2を追加して用いるようにしてもよい。あるいはまた、図3に示す生体情報取得部2だけを用いるようにしてもよい。この場合には、この携帯型検査端末1では、環境情報取得部3が用いられないことになる。
【0036】
なお、図1における生体情報取得部2と環境情報取得部3は、図2及び図3に示すように、ブレスレット型,ウエストベルト型のものとしたが、これらに限らず、用途に応じてイヤリング型やヘアバンド型などの構成とすることも可能である。また、生体情報や環境情報についても、体温や血圧,心拍数,発汗量,気温,湿度,紫外線強度などを一例として示したが、これに限らず、用途に応じて、センサを追加し、これら以外の生体情報や環境情報も用いるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、この第1の実施形態では、生体情報を取得する生体情報取得手段と環境情報を取得する環境情報取得手段と、この生体情報取得手段から出力された生体情報とこの環境情報取得手段から出力された環境情報を送受信する通信手段とを有する携帯型検査端末を用いて、健康管理者としての他の携帯端末の使用者にこれら生体情報や記環境情報を提示するものであるから、家族や介護者などの健康管理者が、子供や被介護者などの健康管理の対象者と一緒に居ても、また、離れた場所に居ても、そして、かかる健康管理の対象者から直接その体調の報告を受けなくとも、健康管理の対象者の体調情報を取得することができて、かかる体調情報を基に常に正確な体調を把握することができ、健康管理の対象者に対する健康管理サービスや環境制御,コミュニケーション(アドバイスなど)を確実に図ることが可能となる。
【0038】
なお、このコミュニケーションは、例えば、子供が親から離れている場合には、携帯電話機能を使用して、通話により行なうこともできる。
【0039】
また、この第1の実施形態では、携帯端末9と上記の通信が可能な携帯型検査端末1を1台として説明したが、これに限るものではなく、複数台の携帯型検査端末1と通信可能であって、1人の健康管理者が複数人の健康管理の対象者の健康管理を行なうようにすることもできる。
【0040】
図4は本発明による本発明による携帯型検査端末と健康管理システムの第2の実施形態を示すブロック構成図であって、1a,1bは携帯型検査端末、2a,2bは生体情報取得部、3a,3bは環境情報取得部、4a,4bはデータ処理部、5a,5bは表示部、6a,6bは記憶部、7a,7bは通信部、8はネットワーク通信網である。
【0041】
同図において、この第2の実施形態は、図1に示す携帯型検査端末1と同じ構成の携帯型検査端末1a,1bがネットワーク通信網8を介して通信可能に接続されて、健康管理システムを構成するものである。また、これら携帯型検査端末1a,1bの生体情報取得部2a,2bと環境情報取得部3a,3bは、図2、図3に示す構成をなすものである。
【0042】
次に、この第2の実施形態の動作について説明する。
【0043】
携帯型検査端末1aにおいて、生体情報取得部2aでは、体温や血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形などを測定してその生体情報を取得し、環境情報取得部3aでは、気温や湿度,紫外線強度などを測定して環境情報を取得する。データ処理部4aでは、これら生体情報及び環境情報を解析処理して携帯端末1aの使用者の体調情報を決定する。ここで、この使用者の体調情報は、体温,血圧などの体調に加えて、例えば、体温や血圧,心拍数,発汗量を基に、この使用者の体調がリラックスしているか、緊張しているかの度合いも決定する。この際、環境情報である気温と湿度との関係から、環境条件を考慮した体調の検出を行なうことができる。
【0044】
記憶部6aでは、これらの体調情報が記憶され、これらが読み出されて表示部5aで表示される。この表示部5aでの体調情報の表示により、その使用者自身がデータ処理部4aで得られた体調情報を見ることができて、自分自身の体調を把握することができる。
【0045】
また、データ処理部4aで得られた体調情報は、通信部7aからネットワーク通信網8を介して相手側の携帯型検査端末1bに送信される。相手側の携帯型検査端末1bでは、携帯型検査端末1aからの体調情報が通信部7bで受信され、データ処理部4bでデータ処理されて記憶部6bに記憶され、さらに、記憶部6bから読み出されて表示部5bで表示される。
【0046】
これにより、携帯型検査端末1bの使用者は、携帯型検査端末1aの使用者の体調を、健康管理の対象者の体調として、取得して管理することができる。
【0047】
また、携帯型検査端末1bにおいて、生体情報取得部2bでは、体温や血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形などを測定してその生体情報を取得し、環境情報取得部3bでは、気温や湿度,紫外線強度などを測定して環境情報を取得する。データ処理部4bでは、これら生体情報及び環境情報を解析処理して携帯端末1bの使用者の体調情報を決定する。ここで、この使用者の体調情報は、体温,血圧などの体調に加えて、例えば、体温や血圧,心拍数,発汗量を基に、この使用者の体調がリラックスしているか、緊張しているかの度合いも決定する。この際、環境情報である気温と湿度との関係から、環境条件を考慮した体調の検出を行なうことができる。
【0048】
記憶部6bでは、それらの体調情報が記憶され、これらが読み出されて表示部5bで表示される。この表示部5bでの体調情報の表示により、その使用者自身がデータ処理部4bで得られた体調情報を見ることができて、自分自身の体調を把握することができる。
【0049】
また、データ処理部4bで得られた体調情報は、通信部7bからネットワーク通信網8を介して相手側の携帯型検査端末1aに送信される。携帯型検査端末1aでは、相手側の携帯型検査端末1bからの体調情報が通信部7aで受信され、データ処理部4aでデータ処理されて記憶部6aに記憶され、さらに、記憶部6aから読み出されて表示部5aで表示される。
【0050】
これにより、携帯型検査端末1aの使用者は、携帯型検査端末1bの使用者の体調を、健康管理の対象者の体調として、取得して管理することができる。
【0051】
ここで、図4で図示しないが、携帯型検査端末1a,1bは、携帯電話の機能も備えており、これら間で通話をすることもできる。
【0052】
このように、携帯端末1bの使用者は、相手側(携帯端末1aの使用者)の体調を携帯型検査端末1bの表示部5bで確認することができるし、携帯端末1aの使用者は、相手側(携帯端末1bの使用者)の体調を携帯型検査端末1aの表示部5aで確認することができ、夫々の携帯型端末1a,1bの使用者は、互いに健康管理の対象者と健康管理者の関係となり、互いに相手側の携帯端末の使用者の管理しあえることになる。
【0053】
そこで、例えば、携帯型検査端末1aの使用者と携帯型検査端末1bの使用者と親子関係にあるとし、携帯型検査端末1aの使用者が子供で、携帯型検査端末1bの使用者がその親とすると、親は、携帯型検査端末1bでもって、健康管理者として、その子供の体調情報を取得することができて、いつでもこの子供の体調を確認することができ、子供の体調が悪い場合には、これに対して、正確な健康管理のタイミングで適切な処置を行なったり、アドバイスを行なうことができる。同様にして、子供は、携帯型検査端末1aでもって、健康管理者として、その親の体調情報を取得することができて、この親の体調を確認することができ、親の体調が悪いことが確認した場合には、これに対して、正確な健康管理のタイミングで適切な処置を行なったり、アドバイスを行なうことができる。なお、このアドバイスは、子供が親から離れている場合には、携帯電話機能を使用して、通話により行なうこともできる。
【0054】
ここで、携帯型検査端末1aでの生体情報取得部2aや環境情報取得部3a、携帯型検査端末1bでの生体情報取得部2bや環境情報取得部3bは、図1に示す第1の実施形態と同様、図2に示すブレスレット型や図3に示すウエストベルト型とすることができるが、これらに限らず、用途に応じてイヤリング型やヘアバンド型などの構成も可能である。また、生体情報や環境情報も、一例として、体温や血圧,心拍数,発汗量,気温,湿度,紫外線強度などとするが、これに限らず、用途に応じて、センサを追加してこれら以外の生体情報や環境情報も用いるようにしてもよい。
【0055】
なお、図4における携帯型検査端末1a,1bでは、図2に示す生体情報取得部2と環境情報取得部3とだけを用いてもよいし、さらに、図3に示す生体情報取得部2を追加して用いるようにしてもよい。あるいはまた、図3に示す生体情報取得部2だけを用いるようにしてもよい。この場合には、携帯型検査端末1a,1bでは、環境情報取得部3が用いられないことになる。
【0056】
以上のように、この第2の実施形態においても、先の第1の実施形態と同様、生体情報を取得する生体情報取得手段と環境情報を取得する環境情報取得手段と、この生体情報取得手段からの生体情報とこの環境情報取得手段からの環境情報とを送受信する通信手段を有する携帯端末を用いて、複数の使用者間で生体情報と環境情報との提示を行ない、互いに健康管理者となるとともに、互いに健康管理の対象者となって、これらに基づいた健康管理サービスや環境制御,コミュニケーションを図ることが可能となる。
【0057】
図5は本発明による健康管理システムの第3の実施形態を示すブロック構成図であって、30は建屋、31は環境制御装置、32は空調制御装置、33は環境取得マルチセンサ、34は生体情報取得マルチセンサ、35はシステム使用者である。
【0058】
同図において、この第3の実施形態の健康管理システムは、このシステムを使用する者(以下、システム使用者という)34の建屋(システム使用者の住居の部屋あるいは病院の病室などの領域)30には、その内部(室内)の環境(室温や湿度など)を調整する環境調整機器としての空気調和機が設けられているが、システム使用者の体調に応じて、空気調和機を制御し、建屋30内の環境を調整することができるようにしたものである。
【0059】
かかる健康管理システムは、システム使用者35が携帯し、このシステム使用者35の生体情報を取得する生体情報取得マルチセンサ34と、室内や室外の環境情報を取得する環境情報取得マルチセンサ33と、システム使用者35の体調に応じて空気調和機の空調制御装置32を制御し、室内の環境を調整する環境制御装置31とから構成されるものである。
【0060】
環境情報取得マルチセンサ33は、図1での携帯型検査端末1における環境情報取得部3と同様な構成をなし、室内及び室外の気温や湿度,紫外線強度など環境情報を取得する検査端末であり、生体情報取得マルチセンサ34は、同じく携帯型検査端末1での生体情報取得部2と同様な構成なし、システム使用者35の体温や血圧,心拍数,発汗量などの生体情報を取得する携帯型検査端末である。
【0061】
次に、この第3の実施形態の動作について説明する。
【0062】
環境情報取得マルチセンサ33は、リアルタイムで室内及び室外の気温や湿度,紫外線強度などの環境情報を取得し、環境制御装置31に送信する。これと同時に、生体情報取得マルチセンサ34も、リアルタイムでシステム使用者の体温や血圧,心拍数,発汗量などの生体情報を取得し、環境制御装置31に送信する。
【0063】
環境制御部31は、環境情報取得マルチセンサ33からの環境情報と生体情報取得マルチセンサ34からの生体情報とに基づいて、システム使用者35の体調を検出し、検出した体調を基に、システム使用者35にとって最適な室内環境(温度、湿度、風、照明、匂いなど)が得られるように、空調制御装置32を制御する。さらに、システム使用者35の今後の予め決められたスケジュール情報に基づいて、健康管理情報(服装や薬服用,食事メニュー,病院情報など)の提示も行なう。
【0064】
例えば、生体情報取得マルチセンサ34が検出するシステム使用者35の体温や発汗量により、システム使用者35にとって室内温度が高いと判断した場合には、環境制御部31は、空気調和機が室内温度を低くする動作をするように、空調制御部32を設定制御する。
【0065】
以上のように、この第3の実施形態では、室内環境をリアルタイムに各個人の体調に合わせて制御することが可能となり、体調管理や予防処置を事前に実施することで、快適で健康な生活を送ることが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1,1a,1b 携帯型検査端末
2,2a,2b 生体情報取得部
3,3a,3b 環境情報取得部
4,4a,4b データ処理部
5,5a,5b 表示部
6,6a,6b 記憶部
7,7a,7b 通信部
8 ネットワーク通信網
9 携帯端末
10 通信部
11 データ処理部
12 表示部
13 記憶部
20 腕輪
21 無線通信部
22 脈拍センサ
23 温度センサ
24 湿度センサ
25 紫外線センサ
26 圧力センサ
27 ウエストベルト
28 無線通信部
29a〜29e 超音波センサ
30 建屋
31 環境制御装置
32 空調制御装置
33 環境取得マルチセンサ
34 生体情報取得マルチセンサ
35 システム使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、
該体調情報を健康管理者側に送信する通信手段と
を有することを特徴とする携帯型検査端末。
【請求項2】
健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、
該体調情報を他の健康管理の対象者の他の携帯型検査端末に送信し、該他の携帯型検査端末から該他の健康管理の対象者の体調情報を受信する通信手段と、
該通信手段で受信した該他の携帯型検査端末からの該体調情報を受信する表示手段と
を有することを特徴とする携帯型検査端末。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記生体情報は、体温,血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形のいずれかを含む情報であることを特徴とする携帯型検査端末。
【請求項4】
請求項1,2または3において、
前記環境情報は、気温,湿度,紫外線強度のいずれかを含む情報であることを特徴とする携帯型検査端末。
【請求項5】
健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、該体調情報を送信する通信手段とを備えた該健康管理の対象者側の携帯型検査端末と、
該健康管理の対象者側の携帯型検査端末の通信手段から該体調情報を受信する通信手段と、該通信手段で受信された該体調情報を処理する処理手段と、該処理手段で処理された該体調情報を表示する表示手段とを備えた健康管理者側の携帯端末と、
該健康管理の対象者側の携帯型検査端末の該通信手段と該健康管理者側の携帯端末の該通信手段とを接続し、該健康管理の対象者側の携帯型検査端末から該健康管理者側の携帯端末へ該体調情報を伝送する通信網と
からなることを特徴とする健康管理システム。
【請求項6】
健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、該健康管理の対象者の環境情報を取得する環境情報取得手段と、該生体情報と該環境情報とから該健康管理の対象者の体調情報を取得する処理手段と、該体調情報を送受信する通信手段と、表示手段を備えた該健康管理の対象者側の携帯型検査端末が複数、通信網を介して接続されてなり、
該通信網を介して、該携帯型検査端末間で該体調情報を送信し、該体調情報を受信した該携帯型検査端末の該表示部で受信した該体調を表示することを特徴とする健康管理システム。
【請求項7】
空気調和機が設置された建屋内に設けられた健康管理システムであって、
健康管理の対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
該建屋内外の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
該生体情報と該環境情報とを基に、該健康管理の対象者の体調情報を作成し、該体調情報に応じて該空気調和機を調整して該健康管理の対象者の体調に適合した環境に調整する環境調整手段と
からなることを特徴とする健康管理システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記環境調整機器は、空気調和機であることを特徴とする健康管理システム。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1つにおいて、
前記生体情報は、体温,血圧,心拍数,発汗量,心電図の波形のいずれかを含む情報であることを特徴とする健康管理システム。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1つにおいて、
前記環境情報は、気温,湿度,紫外線強度のいずれかを含む情報であることを特徴とする健康管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−282414(P2010−282414A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135105(P2009−135105)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】