説明

携帯型決済端末

【課題】磁気ストライプカード、接触型ICカード、非接触型ICカードのいずれでも決済可能な機能の全てを、装置本体を大型化することなく、オールインワンで搭載したハンディターミナルを提供すること。
【解決手段】レシートを印刷するためのプリンタ6、バーコードを読み取るためのレーザスキャナ8、ハンディターミナル1の操作者である販売スタッフが操作する操作部2及びタッチパネル式表示部3、非接触型ICカードリーダ/ライタ4、磁気ストライプリーダ(MSR)5、接触型ICカード用モジュール7、メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9をハンディターミナル1本体に集約して一体的に設けた、決済機能を備えたハンディターミナル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型決済端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レジシステムと呼ばれている決済システムでは、POSシステム(販売時点管理)が広く使われている。
【0003】
POSシステムとは、一般に、購入される商品の各品目に、バーコードとして印刷または無線タグとして付けられた統一商品コードを読み取り、ネットワーク・サーバまたは他の店舗プラットフォーム・ホストといった店舗コンピュータ・システムに結合され、店舗が在庫している商品品目のリストや各品目の価格、スタイル、色等を含む、様々な種類の商品識別情報が記憶される。
【0004】
また、決済システムでは、現金決済以外にクレジットカード決済や、非接触型ICカードを使用した電子決済が広く使用されている。クレジットカード決済では、利用限度額の超過や偽造クレジットカードなどの不正防止を照会するためにリアルタイムでクレジットカード会社のサーバに接続し、クレジットカード情報を照合する処理を行っている。
【0005】
このようなPOSシステムと電子決済機能を有する決済端末は、量販店のレジシステムとして広く普及しているが、近年は、据え置き型のレジシステムが設置されていない場所でも決済を行うことが要求されていた。
【0006】
この要求に応えるために作られた決済端末として、クレジットカード決済や電子決済が可能な携帯型決済端末に、W−LANや携帯電話回線などの無線通信機能を付加して、POSシステムやクレジットカードのネットワークに接続させる形式のものがある。
【0007】
従来の携帯型決済端末として、例えば、特許文献1に記載されるようなハンディターミナルに、磁気カード等の決済機能を搭載したものがある。
【0008】
図8は、従来のハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【0009】
図8に示すように、従来のハンディターミナル800は、表示部801、操作部802、プリンタ803を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−174558公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、図8に示したような従来のハンディターミナルには、販売スタッフ等の主操作者が操作する主操作部、商品のバーコード等を読み取るためのレーザスキャナ、レシート等の帳票を印刷するためのプリンタ、磁気ストライプカードで決済を行うための機能、接触型ICカードで決済を行うための機能、非接触型ICカードで決済を行うための機能の全てをオールインワンで搭載したようなものがなかった。従来では、これらの全ての機能をオールインワンで搭載すると、装置自体が従来に比較して大型化してしまい、困難であった。
【0012】
このため、従来では、上記のような機能を全て利用するためには、販売スタッフは、複数種類の端末を携帯する必要があり、非常に煩雑であった。
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明は、主操作部と、レーザスキャナと、プリンタと、磁気ストライプカード、接触型ICカード、非接触型ICカードのいずれでも決済可能な機能の全てを、装置本体を大型化することなく、オールインワンで搭載したハンディターミナルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、決済機能を有する携帯型決済端末であって、被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、端末操作者が操作を行う操作手段と、非接触型IC媒体からの情報の読み取り、及び非接触型IC媒体への情報の書き込みを行う非接触型IC媒体読書手段と、磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取手段と、符号を読み取る符号読取手段と、接触型IC媒体から情報を読み取る接触型媒体カード読取手段と、前記接触型IC媒体に対応する認証情報の入力操作を行う認証情報入力手段と、決済端末本体に対して電力を供給する電池が装着される電池装着部と、を決済端末本体に集約して一体的に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非接触型IC媒体、磁気媒体、接触型IC媒体の何れでも決済可能な機能の全てを、装置本体を大型化することなく、オールインワンで搭載した携帯型決済端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの外観を示す図である。
【図2】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの外観を示す図である。
【図3】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの外観を示す図である。
【図4】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの断面図である。
【図6】ハンディターミナル1における接触型ICクレジットカードを用いた電子決済手順の一例を示す模式図である。
【図7】ハンディターミナル1における電子決済処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】従来のハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。なお、図中、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
かかる本発明の実施例では、携帯型決済端末の一例として接触型ICカードによる電子決済機能を搭載したハンディターミナルについて例示する。
図1〜図3は、本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの外観を示す図である。
図1(a)はハンディターミナルの上面(正面又は表面ともいう)図である。
図1(b)はハンディターミナルの左側面図である。
図2はハンディターミナルの下面(背面又は裏面ともいう)図である。
図3(a)はハンディターミナルの上面(正面)斜視図である。
図3(b)はハンディターミナルの下面(背面)斜視図である。
【0018】
図1〜図3において、1は、携帯型決済端末の一例である本実施例のハンディターミナルであり、電子決済機能を有する。本実施例において、電子決済とは、商品またはサービスの代価を支払う場合、現金ではなく、電子データをやり取りすることで支払いを行うことを示す。例えば、クレジットカードやデビットカード(銀行などの預金口座から即時或いは後ほど引き落として支払う)のカード番号(識別番号)やそれに付随する各種情報を外部装置とやり取することで行われる決済が本実施例の電子決済に含まれる。また、非接触型ICカード(例えば、ソニー社のFeliCa(登録商標))に記録された電子マネー情報を支払い額に応じて書き換え、該支払い額に応じた電子マネー情報を端末内のメモリに記録することで行われる決済も本実施例の電子決済に含まれる。
【0019】
操作部2及びタッチパネル式表示部3は、ハンディターミナルの主操作者である販売スタッフ等(以下、販売スタッフ)が操作を行うためのものである。操作部2は、複数の操作ボタンを有する。
【0020】
非接触型ICカードリーダ/ライタ4は、非接触型IC媒体の1つである非接触型ICカード内に記録される電子マネー情報の読み取り、書き込みを行う非接触型ICカード読書部(非接触型IC媒体読書部)である。磁気ストライプリーダ(以下、MSR(magnetic stripe reader))5は、磁気媒体の1つである磁気ストライプカード(以下、磁気カード)の磁気ストライプ部から情報を読み取る磁気ストライプ読取部(磁気情報読取部)である。プリンタ(Printer)6は、内部に被記録媒体としてのロール紙を収納し、レシート等の帳票の印刷を行う印刷部である。
【0021】
接触型ICカード用モジュール7は、決済に用いるカードの所有者である顧客(以下、顧客)が操作(例えば、暗証番号(Personal identification number)等の認証情報(以下、暗証番号)の入力操作)を行うためのものである。接触型ICカード用モジュール7は、PIN入力部7a、表示部7b、接触型ICカード挿入口7c、接触型ICカードリーダ7d(図4)、コントローラ7e(図4)を備えている。接触型ICカード用モジュール7は、PIN入力部7a、表示部7b、接触型ICカード挿入口7c、接触型ICカードリーダ7d、コントローラ7eが1つのモジュール化された接触型IC認証ユニットである。
【0022】
PIN入力部7aは、顧客が暗証番号の入力を行う認証情報入力部である。表示部7bは、顧客へのメッセージや、PIN入力部7aでの入力に対応する伏せ文字等を表示する。
【0023】
接触型ICカード挿入口7cは、接触型IC媒体の1つである接触型ICカードを挿入するための挿入口である。接触型ICカードリーダ7d(図4)は、接触型ICカード用モジュール7の内部に設けられ、接触型ICカード挿入口7cに挿入される接触型ICカードのIC部から情報を読み取る接触型ICカード読取部(接触型IC媒体読取部)である。なお、接触型ICカード挿入口7cの挿入口近傍にLED等の照明部を設けて、暗い使用環境であっても、接触型ICカード挿入口7cが判別できるようにしてもよい。
【0024】
コントローラ7e(図4)は、接触型ICカード用モジュール7の内部に設けられ、接触型ICカード用モジュール7全体を統括制御するとともに、ハンディターミナル1本体と通信を行う。また、コントローラ7eは、PIN入力部7aで入力された暗証番号と、接触型ICカードリーダ7dで読み取られたデータとを比較し、比較結果をハンディターミナル1本体に通知する。
【0025】
なお、接触型ICカード用モジュール7は、そのPIN入力部7aがハンディターミナル1の下面(背面)から操作可能となるように設けられている。なお、販売スタッフが操作する操作部2及びタッチパネル式表示部3はハンディターミナル1の上面から操作可能となるように設けられている。即ち、操作部2及びタッチパネル式表示部3を操作する場合の操作面と、接触型ICカード用モジュール7を操作する場合の操作面とが、異なる面となるように、操作部2及びタッチパネル式表示部3と、接触型ICカード用モジュール7が配置されている。
【0026】
レーザスキャナ(Laser Scanner)8は、販売スタッフによる操作部2又はタッチパネル式表示部3の操作に応じて、レーザ光を照射してバーコード等の読み取りを行うバーコード読取部である。なお、本実施例では、符号を読み取るための符号読取手段の一例として、バーコードを読み取るバーコード読取部を示して説明しているが、勿論、これに限定されるものではない。例えば、一次元コード以外にもマトリックス型二次元コード等、他の符号を読み取る場合にも本発明を適用することができ、その場合には、読取対象である各種符号に対応する読取手段、具体的には、撮像画像を解析して符号を読み取るスキャナや、符号をレーザ等で走査して読み取るスキャナ等を適宜対応させて搭載すればよい。いずれにしても、符号読取手段は、紙や収納箱等の各種媒体に付された符号を読み取れるものであればよく、具体的には、一次元コード又は二次元コードの少なくとも何れか一方を読み取るものであればよい。
【0027】
メインバッテリ18(図4)は、ハンディターミナル1への電力供給を行う電池であり、ハンディターミナル1本体のバッテリ装着部(電池装着部)9に装着される。このバッテリ装着部9は、本実施例では、ハンディターミナル1本体の長手方向一端部(磁気ストライプ読取部5側の端部)側であって且つ操作部2等が設けられた上面(表面)側とは反対の下面(裏面)側に設けられている。
【0028】
クレイドルインタフェース(I/F)部10は、図示しないクレイドル(cradle)との接続を行う。なお、クレイドルとは、ハンディターミナル1に付属するスタンド型の拡張機器である。ハンディターミナル1本体をクレイドルに載せるだけで、クレイドルインタフェース部10を介して、ハンディターミナル1本体とクレイドルとを接続することができ、メインバッテリ18の充電、メモリ12とのデータ送受信、ハンディターミナル1本体と周辺機器との接続等に使用される。
【0029】
また、上述した構成の本実施例に係るハンディターミナル1は、ハンディターミナル1本体の長手方向一端部側の端面を略フラット面とし、その略フラット面を接地する側の面とした場合に、ハンディターミナル1本体が起立するようにした。ここで略フラット面とは、ハンディターミナル1本体が起立した状態を維持できる程度の面であればよい。これにより、ハンディターミナル1の収納スペースが十分に確保できないような端末使用環境であっても、ハンディターミナル1を縦置きして、適宜収納することができる。なお、本実施例のハンディターミナル1は、バッテリ装着部9をハンディターミナル1本体の略フラット面側である長手方向一端部側に配置しているので、電池の重さによってハンディターミナル1の起立姿勢の安定性(設置安定性)を向上できるという効果もある。
【0030】
図4は、本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
CPU11は、メモリ12からコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、ハンディターミナル1を統括制御し、ハンディターミナル1の各種機能を実現する。メモリ12は、RAM部とフラッシュメモリ部とから構成されている。
【0032】
タッチパネルコントローラ(Touch Panel Controller)13は、タッチパネル式表示部3からの入力を制御する。また、CPU11は、LCDドライ19バを介して、タッチパネル式表示部3への各種表示を制御する。ワイヤレスLANインタフェース(Wireless LAN I/F)14は、ワイヤレスLANへの接続を制御する。Slave CPU15は、CPU11からの指示によりプリンタ6を制御する。
【0033】
制御用IC16は、MSR5、レーザスキャナ8、非接触型ICカードリーダ/ライタ4、接触型ICカード用モジュール7を制御する。制御用IC17は、操作部2、メインバッテリ(Main Battery)18、クレイドルインタフェース(I/F)部10を制御する。
【0034】
なお、CPU11は、接触型ICカード用モジュール7の使用中、操作部2やタッチパネル3等での操作を禁止(ロック)するよう各部を制御してもよい。また、CPU11は、操作部2又はタッチパネル式表示部3からの操作により、または、明るさセンサ等によって自動検知により、ハンディターミナル1の使用環境が薄暗い場合において、いわゆるナイトモードとして、タッチパネル式表示部3のバックライトの光量を小さく又は逆に大きくしたり、プリンタ6の印刷速度等を低減してシート繰り出し音を低減したり、端末操作に伴う端末音(認証音やキー入力音等)を小さい音量設定又は消音状態となるように制御してもよい。これにより、夜間の機内販売等において、顧客への接客サービス向上を図ることができる。
【0035】
図5は、本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの断面図である。
【0036】
図5において、20はメイン基板20である。メイン基板20には、図4に示したCPU11、メモリ12、タッチパネルコントローラ13は、ワイヤレスLANインタフェース14、Slave CPU15、制御用IC16、制御用IC17等が設けられている。
【0037】
図1〜図3、及び図5に示すように、ハンディターミナル1は、ハンディターミナル1本体の上面(正面)側に、先端から順に、プリンタ6、タッチパネル式表示部3、操作部2、非接触型ICカードリーダ/ライタ4、MSR5を配置している。また、ハンディターミナル1本体の下面(背面)側に、先端から順に、レーザスキャナ8、接触型ICカード用モジュール7(PIN入力部7a)、メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9、クレイドルI/F部10を配置している。
【0038】
プリンタ6の背部(即ちハンディターミナル1の上面及び下面と垂直な方向から見て重なる位置)にレーザスキャナ8、タッチパネル式表示部3及び操作部2の背部に接触型ICカード用モジュール7、非接触型ICカードリーダ/ライタ4の背部にメインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9、MSR5の背部にクレイドルインタフェース部10をそれぞれ配置している。そして、接触型ICカード用モジュール7と、非接触型ICカードリーダ/ライタ4とを、ハンディターミナル1の上面及び下面と垂直な方向から見て重ならない位置に配置している。さらに、ハンディターミナル1本体の下面(背面)は凹部を有するものであり、前記凹部に、PIN入力部7aを設けている。
【0039】
以下、図6、図7を参照して、ハンディターミナル1による電子決済手順について説明する。
図6は、ハンディターミナル1における接触型ICクレジットカードを用いた電子決済手順の一例を示す模式図である。
図7は、ハンディターミナル1における電子決済処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、CPU11がメモリ12からコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0040】
まず、販売スタッフが操作部2又はタッチパネル式表示部3を操作して決済の開始を指示すると、CPU11はこの操作を検知し、601に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示する。さらに、CPU11は、レーザスキャナ8による読み取り処理(スキャン)を開始する(S701)。これにより、レーザスキャナ8からレーザ光が照射されてバーコード等の読み取りが可能になる。
【0041】
602に示すように、レーザ光がバーコードに照射されると、レーザスキャナ8によりバーコードが読み取られ(S701)、読み取られたデータがCPU11に通知される。CPU11は、バーコードから読み取られたデータに基づいて、603に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示する。
【0042】
さらに、販売スタッフが操作部2を特定のキー(例えば、「Enter」キー)を操作すると、CPU11はこの操作を検知し、604に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示し、支払い方法の入力を受け付ける(S702)。
【0043】
そして、販売スタッフが操作部2又はタッチパネル式表示部3を操作して支払い方法を入力すると、CPU11はこの操作を検知し、支払い方法を判定する(S703)。なお、画面604でクレジットカードが選択された場合、CPU11は、磁気クレジットカード、ICクレジットカードのいずれかを選択するための画面(不図示)をタッチパネル式表示部3に表示させ、操作部2又はタッチパネル式表示部3からいずれかの選択を受け付ける。
【0044】
CPU11は、支払い方法として「現金」が選択されたと判定すると、販売に関する情報をメモリ12に格納するとともに、レシートを発行するように、Slave CPU15に指示する。この指示により、Slave CPU15は、プリンタ6を動作させてレシートを印刷する(S708)。
【0045】
また、CPU11は、支払い方法として「ICクレジットカード」が選択されたと判定すると、605に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させるとともに、接触型ICカード用モジュール7のコントローラ7eに、接触型ICカード挿入口7cへ挿入される接触型ICカードの読み取り処理を指示する。
【0046】
そして、接触型ICカード挿入口7cへ接触型ICカードが挿入されると、接触型ICカード用モジュール7のコントローラ7eは、接触型ICカードリーダ7dを用いて接触型ICカードのIC部から情報を読み取り、読み取ったデータをCPU11に通知する。この通知を受けたCPU11は、操作部2から支払い回数等の入力を受け付けた後、606に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させる。
【0047】
さらに、CPU11は、暗証番号(PINコード)の入力処理の実行を、接触型ICカード用モジュール7のコントローラ7eに指示する(S705)。この指示に応じて、接触型ICカード用モジュール7のコントローラ7eは、顧客に暗証番号の入力を促すメッセージを表示部7bに表示するとともに、PIN入力部7aから暗証番号の入力を受け付ける。
【0048】
ここで、販売スタッフは、ハンディターミナル1の下面(即ち、PIN入力部7aの操作面)を顧客に向けて、顧客に暗証番号の入力を促す。なお、顧客が暗証番号を入力するPIN入力部7aは顧客用の操作部であり、販売スタッフ用の操作部である操作部2と分離されているため、顧客が暗証番号を入力する際に誤ったボタン(本来は顧客が操作すべきでないボタン)を操作してしまう等のリスクが低減される。
【0049】
そして、顧客によりPIN入力部7aから暗証番号が入力されると、コントローラ7eは、PIN入力部7aで入力された暗証番号と、接触型ICカードリーダ7dで読み取られたデータとを比較し、比較結果をハンディターミナル1本体に通知する。
【0050】
PIN入力部7aで入力された暗証番号と接触型ICカードリーダ7dで読み取られたデータとが一致していた場合、CPU11は、S706に処理を進める。なお、図示しないが、PIN入力部7aで入力された暗証番号と接触型ICカードリーダ7dで読み取られたデータとが一致していなかった場合、CPU11は、S705に処理を戻す。なお、暗証番号の不一致が所定回数に達すると本フローチャートの処理を終了する。
【0051】
S706では、CPU11は、ワイヤレスLANインタフェース14を介して、上記S701で読み取った商品の金額、上記S704で読み取ったICクレジットカード内のデータ、及び支払い回数等の情報を、外部装置(対応するカード会社のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。なお、利用限度額を超えている場合やカードの不正使用等が発見された場合には決済不可能(非承認)となる。また、ここで、外部装置に照会を行う構成でなくとも、メモリ12に記録されたブラックリスト等との照会を行う構成でもよい。
【0052】
次に、S707において、CPU11は、ワイヤレスLANインタフェース14を介して、上記外部装置から承認の返信を受信すると、607に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させ、販売に関する情報をメモリ12に格納する。そして、S708において、CPU11は、レシートを発行するように、Slave CPU15に指示する。この指示により、Slave CPU15は、プリンタ6を動作させてレシートを印刷する。なお、図示しないが、上記外部装置から非承認の返信を受信した場合、CPU11は、そのクレジットカードによる支払いができない旨の情報を、タッチパネル式表示部3に表示させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0053】
また、CPU11は、支払い方法として「磁気クレジットカード」が選択されたと判定すると、磁気クレジットカードの読み取りを促す画面をタッチパネル式表示部3に表示させるとともに、MSR5を用いて、磁気クレジットカードの磁気ストライプの読み取り処理を開始する(S709)。そして、MSR5の読み取り部に磁気クレジットカードが挿入されると、MSR5により磁気クレジットカードの磁気ストライプを読み取る。そしてCPU11は、支払い回数等の入力を受け付けた後、S710に処理を進める。
なお、ステップS709では、ハンディターミナル1本体の下端部(具体的には販売スタッフ側の一端部)に設けられたMSR5(磁気読取用スリット溝)に沿って、磁気カードを横引きすることにより磁気情報を読み取ることができる。この際、販売スタッフは、例えば、左手でハンディターミナル1本体を支え、その状態で顧客から磁気カードを右手で受け取り、磁気読取用スリット溝に磁気カードを横引きすることができ、磁気カード操作を含む自然な操作導線を確保することができ、端末の操作性を向上することができる。
【0054】
S710では、CPU11は、ワイヤレスLANインタフェース14を介して、上記S701で読み取った商品の金額、上記S709で読み取った磁気クレジットカード内のデータ、及び支払い回数等の情報を、外部装置(対応するカード会社のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。
【0055】
次に、S711において、CPU11は、ワイヤレスLANインタフェース14を介して、上記外部装置から承認の返信を受信すると、607に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させ、販売に関する情報をメモリ12に格納する。そして、S708において、CPU11は、レシートを発行するように、Slave CPU15に指示する。この指示により、Slave CPU15は、プリンタ6を動作させてレシートを印刷する。なお、図示しないが、上記外部装置から非承認の返信を受信した場合、CPU11は、そのクレジットカードによる支払いができない旨の情報を、タッチパネル式表示部3に表示させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0056】
また、CPU11は、支払い方法として電子マネー(非接触型ICカード)が選択されたと判定すると、「カードをタッチして下さい」等のメッセージや、非接触型ICカードを非接触型ICカードリーダ/ライタ4に翳す画像等をタッチパネル式表示部3に表示させるとともに、非接触型ICカードリーダ/ライタ4を介して、かざされた非接触型ICカードから電子マネー情報(残高)を読み出す。
【0057】
そして、残高が上記S701で読み取った商品の金額以上ある場合、CPU11は、残高から上記商品の金額を差し引いた値に対応する電子マネー情報を、非接触型ICカードリーダ/ライタ4を介して、かざされた非接触型ICカードに書き込む。そして、S708において、CPU11は、レシートを発行するように、Slave CPU15に指示する。この指示により、Slave CPU15は、プリンタ6を動作させてレシートを印刷する。
【0058】
なお、残高が上記商品の金額未満の場合、CPU11は、そのICカード内の残高が不足している旨の情報を、タッチパネル式表示部3に表示させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0059】
また、支払い方法としてデビットカードが選択された場合、図7には示していないが、CPU11は、以下のような処理を行う。例えば、CPU11は、接触型ICカード用モジュール7又はMSR5にデビットカードの情報を読み取らせ、接触型ICカード用モジュール7のPIN入力部7aで入力された暗証番号、上記S701で読み取った商品の金額、上記デビットカードから読み取ったデータ等の情報を、外部装置(対応する銀行等のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。なお、外部装置に照会を行う構成でなくとも、メモリ12に記録されたブラックリスト等との照会を行う構成でもよい。
【0060】
そして、上記外部装置から承認の返信を受信すると、販売に関する情報をメモリ12に格納し、CPU11は、レシートを発行するように、Slave CPU15に指示する。この指示により、Slave CPU15は、プリンタ6を動作させてレシートを印刷する。
【0061】
なお、上記の説明では、承認後に、販売に関する情報をメモリ12に格納するように説明したが、CPU11は、逐次、販売に関する情報を、ワイヤレスLANインタフェース14を介して、他の装置に送信するようにしてもよい。
【0062】
以上示したように、本実施例のハンディターミナル1は、プリンタ6と、タッチパネル式表示部3、操作部2、非接触型ICカードリーダ/ライタ4と、MSR5、レーザスキャナ8と接触型ICカード用モジュール7と、メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9とが、ハンディターミナル1本体に集約して一体的に設けられている。これにより、多機能のハンディターミナル1を実現でき、様々な決済ニーズに対応することができる。具体的には、本実施例のハンディターミナル1によれば、非接触型ICカード、磁気ストライプカード、接触型ICカードの何れでも決済可能であり、且つこれら決済機能の全てを、装置本体を大型化することなく、オールインワンで搭載しているため、様々な決済ニーズに対応することができる。また、販売スタッフ等の端末操作者側にとっては、例えば、決済サービスを行うサービスエリアが比較的狭い場合(狭い機内販売等の場合)であっても、優れた機動性を実現でき、しかも使い勝手が非常に良く、顧客への接客サービス向上を図ることができる。
【0063】
特に、本実施例のハンディターミナル1の上面側には、先端から順に、プリンタ6、タッチパネル式表示部3、操作部2、非接触型ICカードリーダ/ライタ4、MSR5が設けられている。また、ハンディターミナル1の下面側には、先端から順に、レーザスキャナ8、接触型ICカード用モジュール7、メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9、クレイドルI/F部10それぞれの配置が端末操作性を考慮して最適化され一体的に集約して設けられている。そして、端末操作性を考慮し、プリンタ6の背部(即ちハンディターミナル1の上面及び下面と垂直な方向から見て重なる位置)にレーザスキャナ8、タッチパネル式表示部3及び操作部2の背部に接触型ICカード用モジュール7、非接触型ICカードリーダ/ライタ4の背部にメインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9、MSR5の背面にクレイドルインタフェース部10をそれぞれ配置している。そして、接触型ICカード用モジュール7と、非接触型ICカードリーダ/ライタ4とを、ハンディターミナル1の上面及び下面と垂直な方向から見て重ならない位置に配置している。
【0064】
このようなに構成したことにより、販売スタッフが操作する操作部2及びタッチパネル式表示部3、商品のバーコード等を読み取るためのレーザスキャナ、レシート等の帳票を印刷するためのプリンタ、磁気ストライプカードで決済を行うためのMSR5、接触型ICカードで決済を行うための接触型ICカード用モジュール7、非接触型ICカードで決済を行うための非接触型ICカードリーダ/ライタ4の全てを、装置自体の大きさを従来のハンディターミナルに比べて大型化することなく、オールインワンで搭載することができる。
【0065】
よって、販売スタッフは、商品のバーコードから商品情報を読み取り、磁気クレジットカード、ICクレジットカード、デビットカード、又は非接触型ICカードを用いた決済処理を行い、レシート等の帳票を印刷するといった一連の処理を、ハンディターミナル1のみでスムーズに行うことができる。よって、販売スタッフは、複数種類の決済端末を携帯する必要がなく、本実施例のハンディターミナル1のみを携帯するだけでよく、優れた機動性を確保することができ、しかも顧客への接客サービスを効率よく行うことができる。
【0066】
また、上述のように構成したことにより、図1(b)及び図3(b)に示したように、ハンディターミナル1の下面中央部(接触型ICカード用モジュール7の設置箇所)を、ハンディターミナル1の下面先端部(レーザスキャナ8設置位置)及び下面後端部(メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9設置位置)より凹ませる(凹部を形成する)ことができる。よって、この凹み(凹部)を有する形状によりハンディターミナル1がユーザの手に馴染み易くなり、ハンディターミナル1の取り扱いが非常に容易になる他、ハンディターミナル1の落下のリスク等を有効に抑えることもできる。
【0067】
さらに、販売スタッフの操作する操作部(操作部2及びタッチパネル式表示部3)と顧客が操作する接触型ICカード用モジュール7が表裏に分離され、従来のように販売スタッフと顧客が操作部を共有していないことにより、販売スタッフの操作すべきボタンを顧客が押してしまう等、顧客が誤った操作を行ってしまう等のリスクも有効に抑えることができる。
【0068】
なお、本実施例では、顧客操作用のPIN入力部7a、顧客用の表示部7b、接触型ICカード挿入口7c、接触型ICカードリーダ7d、コントローラ7eを全て備える接触型ICカード用モジュール7を用いる構成について説明した。しかし、顧客操作用のPIN入力部7a、顧客用の表示部7b、接触型ICカード挿入口7c、接触型ICカードリーダ7d、コントローラ7eが1つのモジュールに備えられていなくてもよい。即ち、顧客操作用のPIN入力部7a、顧客用の表示部7b、接触型ICカード挿入口7c、接触型ICカードリーダ7d、コントローラ7eが、別々にハンディターミナル1内に設けられていてもよい。
【0069】
(他の実施例1)
本発明の携帯決済端末の構成は、上記実施例に示した、プリンタ6、タッチパネル式表示部3、操作部2、非接触型ICカードリーダ/ライタ4、MSR5、レーザスキャナ8、接触型ICカード用モジュール7、メインバッテリ18を装着可能なバッテリ装着部9、クレイドルI/F部10等各部の配置に限定されるものではない。適宜、上記各部の配置を変更した構成も本発明に含まれるものである。
【0070】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0071】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0072】
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0073】
(他の実施例2)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0074】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0075】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1 ハンディターミナル
2 操作部
3 タッチパネル式表示部
4 磁気ストライプ読取部(MSR)
5 レーザスキャナ
6 顧客操作モジュール
6a テンキー部
6b 表示部
6c 接触型ICカード挿入口
6d 接触型ICカードリーダ
6e コントローラ
7 CPU
8 メモリ
14 カバー
15 保持機構
16 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済機能を有する携帯型決済端末であって、
被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
端末操作者が操作を行う操作手段と、
非接触型IC媒体からの情報の読み取り、及び非接触型IC媒体への情報の書き込みを行う非接触型IC媒体読書手段と、
磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取手段と、
符号を読み取る符号読取手段と、
接触型IC媒体から情報を読み取る接触型IC媒体読取手段と、
前記接触型IC媒体に対応する認証情報の入力操作を行う認証情報入力手段と、
決済端末本体に対して電力を供給する電池が装着される電池装着部と、
を決済端末本体に集約して一体的に設けたことを特徴とする携帯型決済端末。
【請求項2】
前記接触型IC媒体読取手段と、前記認証情報入力手段とが、1つのモジュール化された接触型IC認証ユニットからなることを特徴とする請求項1に記載の携帯型決済端末。
【請求項3】
前記印刷手段、前記操作手段、前記非接触型IC媒体読書手段、及び磁気情報読取手段を、前記決済端末本体の第1面にそれぞれ設け、
前記符号読取手段、前記認証情報入力手段、及び前記電池装着部を、前記第1面とは異なる第2面にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型決済端末。
【請求項4】
前記第1面は、前記決済端末本体の表面である上面であり、
前記第2面は、前記決済端末本体の裏面である下面であることを特徴とする請求項3に記載の携帯型決済端末。
【請求項5】
前記第1面の先端から順に、前記印刷手段、前記操作手段、前記非接触型IC媒体読書手段、及び磁気情報読取手段をそれぞれ配置し、
前記第2面の先端から順に、前記符号読取手段、前記認証情報入力手段、及び前記電池装着部をそれぞれ配置したことを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯型決済端末。
【請求項6】
前記非接触型IC媒体読書手段と、前記認証情報入力手段とを、前記第1面及び前記第2面と垂直な方向から見て重ならない位置に配置したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。
【請求項7】
前記決済端末本体の前記第2面側には凹部を設け、
前記凹部には、前記認証情報入力手段を配置したことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。
【請求項8】
前記決済端末本体の長手方向一端部側の端面は略フラット面となっており、前記略フラット面を接地する側の面とした場合に、前記決済端末本体が起立することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。
【請求項9】
前記電池装着部は、前記決済端末本体の前記略フラット面側である長手方向一端部側に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の携帯型決済端末。
【請求項10】
前記符号読取手段は、媒体に付された一次元コード又は二次元コードの少なくとも何れか一方を読み取るものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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