携帯型表示装置ならびにその動作制御方法およびそのプログラム
【課題】読んでいる文章が分るようにする。
【解決手段】画像化された文書である文書画像のうち,ユーザが読む着目文章が決定される。決定された着目文章が含まれるように文書画像において表示領域の位置が決められる。表示領域に含まれる文書画像が表示画面90に表示される。決定された着目文章については,他の文章と区別できるようにハイライト表示される。ハイライト表示されている様子が枠91および枠92で囲まれ,かつハッチングで示されている。
【解決手段】画像化された文書である文書画像のうち,ユーザが読む着目文章が決定される。決定された着目文章が含まれるように文書画像において表示領域の位置が決められる。表示領域に含まれる文書画像が表示画面90に表示される。決定された着目文章については,他の文章と区別できるようにハイライト表示される。ハイライト表示されている様子が枠91および枠92で囲まれ,かつハッチングで示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,携帯型表示装置ならびにその動作制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に文書が表示される場合に,その文書を読みやすくするようにユーザが指定した文字が拡大するものがある(特許文献1)。また,ユーザの読む速度に応じて自動的にスクロールされるものもある(特許文献2)。しかしながら,携帯電話に設けられている表示画面のように大きさが小さい表示画面に画像化された文書が表示された場合には,どこの部分を読んでいるか分からなくなってしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-250948号公報
【特許文献2】特開2001-282414号号公報
【発明の概要】
【0004】
この発明は,表示画面に画像化された文書が表示された場合に,どこの部分を読んでいるかが分るようにすることを目的とする。
【0005】
この発明による携帯型表示装置は,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定する着目部分決定手段,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変える表示態様変更手段,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示する表示装置,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールするスクロール手段,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定する第1の判定手段,および上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する決定制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明は,上記携帯型表示装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,着目部分決定手段が,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定し,表示態様変更手段が,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変え,表示装置が,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示し,スクロール手段が,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールし,判定手段が,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定し,決定制御手段が,上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御するものである。
【0007】
この発明は,上記携帯型表示装置の動作制御方法を実施するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムも提供している。そのようなプログラムを格納した記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0008】
この発明によると,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落が決定される。決定された着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様と変えられる。表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む文書画像の一部分が表示装置の表示画面に表示される。着目部分スクロール指令が与えられると,表示画面に表示される文書画像の一部分がスクロールされる。すると,そのスクロールに応じて,着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで表示画面に表示されたかどうかが判定される。着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで表示画面に表示されると,表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落が新たな着目文章または着目段落と決定される。そのようにして決定された新たな着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様が変えられて表示画面に表示される。
【0009】
着目文章または着目段落は,ユーザが読んでいる文章または段落である。そのような着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様と異なるように表示されるので,ユーザは読んでいる文章または段落が分りやすくなる。
【0010】
上記表示画面に最後に表示された上記文書画像の一部分に含まれている着目文章または着目段落の位置を記憶する記憶装置,および上記記憶装置に着目文章または着目段落の位置が記憶されているかどうかを判定する第2の判定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記着目部分決定手段は,たとえば,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落の位置が記憶されていると判定されたことに応じて上記記憶装置に記憶されている着目文章または着目段落の位置の次の文章または段落を着目文章または着目段落と決定し,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落が記憶されていないと判定されたことに応じて上記文書画像の最初の文章または最初の段落を着目文章または着目段落と決定するものとなろう。
【0011】
上記表示画面に上記文書画像の一部分を表示するように表示装置を制御する表示制御手段,および上記表示制御手段の制御のもとに上記表示画面に表示されている上記文書画像の一部分の中から所望の文章または所望の段落を指定する指定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記着目部分決定手段は,たとえば,上記指定手段によって指定された所望の文章または所望の段落を,着目文章または着目段落と決定するものとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】文書画像通信システムの概要である。
【図2】携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】文書画像サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】文書画像サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】文書画像の一例である。
【図8】レイアウト情報の一例である。
【図9】文書画像の一例である。
【図10】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図11】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図12】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図13】文書画像の一例である。
【図14】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図15】着目文章決定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】着目文章決定処理手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0013】
図1は,この発明の実施例を示すもので,文書画像(テキスト・ファイルによって表される文書ではなく画像ファイルによって表されるもので,画像化された文書を文書画像ということにする)通信システムの概要を示している。
【0014】
この実施例による文書画像通信システムには,インターネット(インターネットに限らず社内LAN:ローカル・エリア・ネットワークなどでもよい)を介して互いに通信可能な携帯電話1および文書画像サーバ20が含まれている。携帯電話1からの要求に応じて,文書画像サーバ20から携帯電話1に文書画像を表わすファイルが送信される。
【0015】
図2は,いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話1の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
携帯電話1の全体の動作は,制御装置2によって統括される。
【0017】
携帯電話1には,他の携帯電話との通信,インターネットへのアクセス等のための通信装置10およびアンテナ11が設けられている。アンテナ11を介して後述する動作を行うプログラム12が携帯電話1にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラム12が携帯電話1にインストールされることにより,携帯電話1は後述する動作を行う。もっとも,携帯電話1にメモリ・カード・リーダ(図示略)などが設けられている場合には,メモリ・カードに格納されたプログラムを,メモリ・カード・リーダを用いて読み取り,読み取られたプログラムを携帯電話1にインストールするようにしてもよい。
【0018】
さらに,携帯電話1には,表示画面に文書,画像などを表示するための表示装置3が設けられている。表示装置3の表示画面には,タッチ・パネル4が形成されている。表示画面上に形成されているタッチ・パネル4をタッチすることにより,ユーザは,携帯電話1に様々な指令を与えることができる。
【0019】
携帯電話1には,プログラム,所定のデータが格納されるメモリ5も含まれている。さらに,携帯電話1には,スピーカ8およびマイクロフォン9も含まれている。音声信号は,増幅回路7によって増幅されてスピーカ8に与えられることによりスピーカ8から音声が出力される。また,マイクロフォン9から入力した音声を表わす音声信号は,増幅回路7によって増幅されて制御装置2に入力する。
【0020】
この実施例による携帯電話1では,上述のように文書画像を表示装置3の表示画面に表示できる。携帯電話1の表示画面は比較的小さいので文字を読みやすくするために文字の大きさを大きくすると,一つの文章のすべてを表示画面に表示できない。テキスト・ファイルによって表わされる文書であれば表示画面に合わせて文字の配列を直せばよいが,文書画像の文書では,表示画面に併せて文字の配列を直すことは難しいのでスクロールする必要がある。ところが,スクロールすると,文書(段落)のうちのどの文章(段落)を読んでいるかが分らなくなることがある。この実施例では,どの文章(段落)を読んでいるかを分りやすくするものである。
【0021】
図3は,文書画像サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
文書画像サーバ20の全体の動作は,CPU21によって統括される。
【0023】
文書画像サーバ21には,インターネットにアクセスするための通信装置22,所定のデータ等を記憶するメモリ23,キーボードなどの入力装置24,ハードディスク25,ハードディスク25にアクセスするためのハードディスク・ドライブ26およびCD−ROM(コンパクト・ディスク-リード・オンリ・メモリ)ドライブ27が含まれている。後述する動作を制御するプログラムが格納されたCD−ROM28がCD−ROMドライブ27に装填され,そのプログラムが読み取られる。読み取られたプログラムが文書画像サーバ20にインストールされる。プログラムは,CD−ROM28のような記録媒体に格納されずに,インターネットを介して受信してもよい。
【0024】
文書を表わすテキスト・ファイルはハードディスク25に格納されている。ハードディスク25からテキスト・ファイルが読み取られ,CPU21によって文書画像を表わす文書画像ファイルに変換される。変換された文書画像ファイルもハードディスク25に格納される。
【0025】
図4は,文書画像サーバ20の処理手順を示すフローチャート,図5および図6は,携帯電話1の処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
文書画像サーバ20において,テキスト・ファイルによって表わされる文書があらかじめ画像化されて画像ファイル(文書画像ファイル)によって表わされる文書画像に変換される(図4ステップ31)。すると,変換された文書画像のレイアウトが解析される(図4ステップ32)。レイアウト解析では,文書画像に変換された文書の文字の並び順(横書き,縦書き),文書を構成する各文章の位置などが検出される。
【0027】
図7は,文書画像60の一例である。
【0028】
文書画像60は,横書きであり,多数の文章が含まれている。文字の並び順が横書きか縦書きかは,段落の最後の文章のあとに生じる空白部分が横方向に続くか縦方向に続くかを検出することにより判定できる。その空白部分が横方向に続く場合には横書きと判定され,縦方向に続く場合には縦書きと判定される。図7に示す文書画像60は,そのような空白部分が横方向に続くので横書きと判定される。また,句点の検出処理が行われ,検出された句点が文章の終わりと判定される。検出された句点の次の文字が文章の始まりと判定される。
【0029】
横書きと判定されると,文章の始まりと文章の終わりのそれぞれの位置が検出される。文章の始まりの位置は横書きの場合,文章の始めの文字の左上の位置が座標で検出される。縦書きの場合には,文章の始まりの位置は文章の始めの文字の右上の位置が座標で検出される。文章の終わりの位置は横書きであっても縦書きであっても,文章の終わりの句点の位置が座標で検出される。文章が2行以上に渡っている場合には,各行の始めの文字の位置(横書きであれば文字の左上の位置であり,縦書きであれば文字の右上の位置)と各行の終わりの文字の位置(横書きであれば右下の位置であり,縦書きであれば左下の位置)も検出される。
【0030】
図7の第一文は,「この法律は、・・・目的とする。」である。第一文は,枠61および62で囲まれている。第一文の位置は,文章の始まりの位置が座標(x11,y11)となり,文章の終わりの位置が座標(x14,y14)となる。第一文は2行以上に渡っており,第1行目の最後の文字の位置は座標(x12,y12)となり,第2行目の最初の文字の位置は座標(x13,y13)となる。したがって,第一文の位置は,(x11,y11),(x12,y12)+(x13,y13),(x14,y14)で示される。第二文は,「この法律で「発明」とは、・・・高度のものをいう。」である。第二文は,枠63および64で囲まれている。第二文の位置は,第一文と同様に,(x21,y21),(x22,y22)+(x23,y23),(x24,y24)で示される。第三文は,「この法律で「特許発明」とは、・・・発明をいう。」である。第三文は,枠65で囲まれている。第三文の位置は,(x31,y31),(x32,y32)で示される。同様に他の文章についても各文章の位置が検出される。「+」の記号により,文章が複数の行に渡っていることが分る。「+」の記号の数に1を加えた数が文章の行数を表わす。「+」の記号が0であれば,その文章は複数の行に渡らずに文書画像60の一行内で収まり,「+」の記号が1であれば,その文章は文書画像60において2行に渡っており,「+」の記号が2であれば,その文章は文書画像60において3行に渡っている。
【0031】
図8は,レイアウト情報の一例である。
【0032】
レイアウト情報には,上述したように,文字並び順(縦書きか,横書きか)を示すデータのほかに,文書画像を構成する各文章の位置が含まれる。これらの位置は,上述のように文章ごとに検出される。レイアウト情報は,一つの文書画像に対応して一つ生成される。レイアウト情報は,文書画像を表わす画像ファイルのヘッダに記録されるようにしてもよいし,レイアウト情報を格納するレイアウト情報ファイルに格納するようにしてもよい。レイアウト情報が画像ファイルと別のレイアウト情報ファイルに格納される場合には,画像ファイルに対応するレイアウト情報ファイルが分るように,同じフォルダに格納される,ファイル名の一部共通化などが必要となろう。
【0033】
上述したレイアウト解析は,文書が画像化された後に行われているが,文書が画像化される前に行われるようにしてもよい。レイアウト解析の容易さから考えれば,文書が画像化される前に行われることとなろう。もっとも,文書が画像化された後にレイアウト解析が行われる場合であっても,画像化される前の文書を表わすテキスト・ファイルのヘッダに記憶されているヘッダ情報,テキスト・ファイル自体を利用してレイアウト解析が行われるようにしてもよい。
【0034】
図4に戻って,レイアウト解析が終わると,文書画像とレイアウト情報とはハードディスク25に記憶される(ステップ33)。文書画像とレイアウト情報とが別ファイルであれば,別々のファイルがハードディスク25に記憶され,レイアウト情報が文書画像を表わす画像ファイルのヘッダに格納されていれば,そのような画像ファイルがハードディスク25に記憶される。
【0035】
携帯電話1に文書画像を表示する場合には,携帯電話1から文書画像サーバ20に文書画像のリクエスト・データが送信される(図5ステップ41)。
【0036】
携帯電話1から送信された文書画像のリクエスト・データが文書画像サーバ20において受信されると(図4ステップ34でYES),そのリクエスト・データによって特定される文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)がハードディスク25から読み取られる(図4ステップ35)。読み取られた文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)が文書画像サーバ20から携帯電話1に送信される(図5ステップ36)。
【0037】
文書画像サーバ20から送信された文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)が携帯電話1において受信されると(図5ステップ42でYES),着目文章が決定される(図5ステップ43)。着目文章とは,携帯電話1のユーザがこれから読むと思われる文章または読んでいると思われる文章である。たとえば,携帯電話1の表示画面に始めて表示される文書画像であれば,その文書画像の第一文が着目文章と決定される。後述のように携帯電話1のユーザが第一文を読み終わったと考えられると,第一文の次の第二文が着目文章となる。この着目文章決定処理について詳しくは後述する。
【0038】
着目文章が決定されると,その決定された着目文章が表示領域に入るように表示領域が位置決めされる(図5ステップ44)。表示領域内の文書画像が携帯電話1の表示画面に表示される。
【0039】
図9は,文書画像60を示している。
【0040】
上述したように,文書画像60のうち,第一文が着目文章と決定されたものとする。第一文は,第一行から第二行に渡っており,枠81および82で囲まれている。
【0041】
文書画像60が一度も表示されていない場合には,上述のように第一文が着目文章と決定され,かつ着目文章の始まりの文字の左側が左辺となるように表示領域70が位置決めされる。着目文章の始まりの文字が,段落が変わるなどにより一文字分,空白の場合には,その空白の一文字分の左側が左辺となるように表示領域70が位置決めされる。着目文章の始まりの文字の前に一文字分の空白があるかどうかは,図8に示すようにレイアウト情報に含まれる位置から分る。たとえば,第一文の一文字目のx座標はx11であり,その第一文の二行目の一文字目のx座標はx13であるから(「+」記号の最初のx座標),これらのx座標x11とx13とを比較することにより,第一文の一文字目の前に空白があるかどうかがわかる。たとえば,x11>x13であれば,空白があり,x11=x13であれば空白が無い。このように,文書画像60が一度も表示されていない場合には,表示領域70が文書画像60の左上の位置71に位置決めされる。
【0042】
表示領域が位置決めされると,着目文章が他の文章よりもハイライトとなるように,その表示領域70内の文書画像60が携帯電話1の表示画面に表示される(図5ステップ45)。
【0043】
図10は,携帯電話1の表示画面90の一例である。
【0044】
表示画面90には,文書画像60のうち,表示領域70内の部分が表示されている。さらに,表示画面90には,上述のようにして決定された着目文章である第一文の一部が表示されている。枠91および枠92で囲まれているように第一文の一部は,ハイライト表示されている(ハイライト表示されている様子がハッチングで示されている)。着目文章がハイライト表示されているので,携帯電話1のユーザは,表示画面90に表示される多数の文章のうち,どの文章を読めばよいかが分る。
【0045】
図6を参照して,ユーザから携帯電話1への指令が受け付けられる(ステップ46)。
【0046】
拡大指令であれば表示領域70が縮小され,縮小指令であれば表示領域70が拡大される(ステップ47)。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),拡大指令の場合には表示領域70が縮小するので携帯電話1の表示画面には拡大された文書画像60の一部が表示され,縮小指令の場合には表示領域70が拡大するので携帯電話1の表示画面には縮小された文書画像60の一部が表示される(図5ステップ45)。拡大の場合には,拡大後の表示部分に着目文章が含まれるように表示領域70が縮小されるのはいうまでもない。
【0047】
垂直スクロール指令(タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで上または下になぞる)であれば,そのスクロール量に応じて表示領域70が上または下に移動する(ステップ49)。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),文書画像60のうち移動後の表示領域70に含まれている部分が表示画面90に表示される(図5ステップ45)。垂直スクロールにより,移動後の表示領域70に着目文章が含まれなくなってしまった場合には,その移動後の表示領域70に含まれている部分の文章が新たな着目文章と決定されることが好ましい。たとえば,表示画面90に表示されている文章(の部分)のうち,新たな着目文章とする文章の部分がユーザによって指定される。もっとも,垂直スクロールにより,移動後の表示領域70に着目文章が含まれなくなった場合でも,着目文章を変えなくともよい。
【0048】
水平スクロール(タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで左または右になぞる)指令であれば,着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたかどうかが判定される(図6ステップ50)。
【0049】
すべては表示されていなければ(図6ステップ50でNO),表示領域70の幅分だけ表示領域70がスクロール方向に移動させられる(図6ステップ51)。たとえば,タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで右方向になぞられたら表示領域70は右方向(左方向でもよい)に移動させられ,タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで左方向になぞられたら表示領域は左方向(右方向でもよい)に移動させられる。これにより,表示領域70は,図9に示す符号72で示す位置に移動する。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),文書画像60のうち符号72に示す位置にある表示領域70内の部分が表示画面90に表示される(図5ステップ45)。
【0050】
図11は,表示画面90に表示された文書画像60の一例である。
【0051】
表示画面90には,図9に示すように表示領域70が符号72で示す位置に移動した場合の表示領域70内の文書画像60が表示されている。表示画面90には,図10と同様に着目文章が枠93で囲まれている。着目文章はハッチングで示すようにハイライト表示されている。このように着目文章がハイライト表示されるので,小さな表示画面に多数の文章が表示されていても,ユーザは,自分が読んでいる文章が分るようになる。
【0052】
図6に戻って,さらに水平スクロールが行われ,着目文章のすべてが並び順にしたがって表示されていなければ(ステップ50),表示領域70が移動させられる(ステップ51)。
【0053】
図9に示すように,表示領域70が符号72に示す位置にある場合に,表示領域70の幅分,右側に移動すると,表示領域70の位置は符号73Aで示す位置となる。表示領域70内の右側には文書画像60が含まれなくなるので,携帯電話1の表示画面の右側部分には文書画像60が表示されなくなる。このために,表示領域70の移動範囲は文書画像60内に限定するようにしてもよい。符号72で示す位置に表示領域70があった場合に,右側への水平スクロール指令があると,表示領域70は符号73Bで示すように,表示領域70の右辺と文書画像60の右辺とが一致するような位置が表示領域70の移動の限界とされる。
【0054】
表示領域70が図9に示す符号73Aまたは73Bにあったときに,さらに右側へのスクロール指令が与えられ,かつ着目文章のすべてが並び順に表示画面90に表示されていなければ(ステップ50でNO),表示領域70の左辺が文書画像60の左辺と一致するように表示画面70が移動させられる(ステップ51)。また,一行分下に表示領域70が移動させられる。これにより,表示領域70は,符号74に示す位置となる。もっとも,移動後の表示領域70に着目文章が含まれていれば,表示領域70は必ずしも一行分下に移動されなくともよい。
【0055】
図12は,表示画面90に表示される文書画像60の一例である。
【0056】
表示画面90には,図9に示す符号74の位置にある表示領域70内の文書画像60が表示されている。枠94で囲まれてハッチングで示されているように,着目文章がハイライト表示される。
【0057】
図9において,符号71,72,73Aまたは73Bおよび74と示すように表示領域70が移動することにより,着目文章とされた第一文が文字の並び順にしたがってすべて表示されるようになる。着目文章とされた第一文は,ハイライト表示されているので,文書画像60がスクロールされても,ユーザは自分が読んでいる文章が分る。
【0058】
着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたかどうかは,図8に示すレイアウト情報に含まれる位置情報を用いて判定できる。すなわち,レイアウト情報に含まれる位置情報は,文章の並び順にしたがっているので,その位置座標で特定される文字が位置情報の順序で表示されたことにより,文字の並び順にしたがって着目文章が表示されていると判定できる。位置座標の最初の座標(第一文では(x11,y11))の文字が最初に表示され,その後,位置座標順序にしたがって着目文章が表示され,最後に位置座標の最後の座標(第一文では(x14,y14))の文字が最後に表示されることにより,着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたと判定できる。
【0059】
着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されると(図6ステップ50でYES),着目文章であった文章の次の文章が着目文章と決定される(図6ステップ52)。終了指令が与えられなければ(図6ステップ53でNO),決定された着目文章が表示領域70に入るように表示領域70が位置決めされる(図6ステップ44)。
【0060】
上述したように,第一文の表示が終了すると,第二文が着目文章として決定される。
【0061】
図13は,文書画像60の一例である。
【0062】
決定された第二文が枠83および84で囲まれている。決定された第二文の一部が含まれるように表示領域70の位置が決定される。図12に示したように,第一文の表示が終了したときに表示画面90に表示されている文書画像60には第二文が含まれているから,第一文の表示が終了したときの表示領域70の位置(図9に示す符号74で示す位置)がそのまま表示領域70の位置と決定される。
【0063】
図14は,表示画面90の一例である。
【0064】
図12と比べると分るように,図14に示す表示画面90に表示されている文書画像60の内容は,図12に示す表示画面90に表示されている文書画像60の内容と同じである。しかしながら,図12では着目文章が第一文であったので,第一文が枠94で示すようにハイライト表示されているのに対し,図14では着目文章が第二文となったので,第二文が枠95および枠96で示すようにハイライト表示されている。
【0065】
第一文と同様に第二文についても上述したように,スクロールされてもユーザが読んでいる文章がわかるようにハイライト表示される。
【0066】
上述の実施例においては,水平スクロール指令においては,表示領域70の幅だけ表示領域70が水平方向に移動するが,スクロール量(タッチ・パネル4上においてなぞっている長さ)に応じた量だけ表示領域70が移動するようにしてもよい。
【0067】
上述の実施例において,拡大/縮小指令,垂直スクロール指令,水平スクロール指令は,それぞれ拡大ボタン,縮小ボタン,垂直スクロール・ボタン(上矢印ボタン,下矢印ボタン),水平スクロール・ボタン(左矢印ボタン,右矢印ボタン)を携帯電話1に設け,それらのボタンからの指令に応じて動作させることもできる。
【0068】
上述の実施例では,文書画像が横書きであるから,垂直スクロール指令が与えられると,着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定処理(図6ステップ50の処理)を行うことなく,スクロール量に応じて表示領域70が移動され,かつ水平スクロール指令が与えられると,着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定が行われているが,文書画像が縦書きの場合には,垂直スクロール指令が与えられたことにより着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定処理が行われ,かつ水平スクロール指令が与えられたときには着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定は行われないこととなろう。
【0069】
図15は,着目文章決定処理手順(図5ステップ43の処理手順)を示すフローチャートである。
【0070】
図15に示す処理手順は,文書画像60の表示を途中で止めた場合に,その止めた部分から上述したハイライト表示を続けることができるようにするものである。そのために,文書画像60の表示を途中で止める場合には,表示を止める前に最後に表示された着目文章が第何番目の文章かが記憶される。着目文章が第何番目の文章かを記憶する代わりに,その着目文章の文書画像60における位置を記憶してもよい。位置が記憶されれば,レイアウト情報から着目文章が第何番目の文章か分るし,第何番目の文章か分ればその文章の位置も分る。このような位置または第何番目かを示す情報は,上述したレイアウト情報に更新可能に付加すればよい。
【0071】
着目文章の位置または着目文章が第何番目かを示すデータが記憶されていると(ステップ101でYES),記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章またはその次の文章が着目文章と決定される(ステップ103)。記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章がすべて表示されていれば,その着目文章はユーザが読み終わったと考えられるので,最後に表示された着目文章の次の文章が着目文章と決定される。記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章がすべて表示されていなければ,その着目文章をユーザが読み終わっていないと考えられるので,最後に表示された着目文章が再び着目文章と決定される。
【0072】
これに対して,着目文章の位置または着目文章が何番目かを示すデータが記憶されていないと(ステップ101でNO),文書画像の最初の文章が着目文章と決定される(ステップ102)。
【0073】
図16は,着目文章決定処理手順(図5ステップ43の処理手順)の他の例を示すフローチャートである。
【0074】
文書画像60の一部または全部が携帯電話1の表示画面に表示される(ステップ104)。表示画面に表示された文章の中から所望の文章が,指,タッチ・ペンなどを用いてタッチされることにより,指定される(ステップ105)。指定された文章が着目文章と決定される(ステップ106)。所望の文章が表示画面に表示されるように必要に応じてスクロール処理が行われるのはいうまでもない。
【0075】
上述の実施例では,ハイライト表示される単位は文章であるが段落ごとにハイライト表示されるようにしてもよい。段落ごとにハイライト表示される場合には,レイアウト情報も段落ごとに位置情報が記憶されるものとなろう。また,ハイライト表示される単位を読点単位としてもよい。
【0076】
また,上述の実施例では,着目文章がハイライト表示されているが,ハイライト表示に限らず,着目文章(着目段落)とそれ以外の文章(段落)とを区別できればよい。たとえば,着目文章のフォントを他の文章のフォントと変えるようにしたり,斜体字にしたりしてもよい。フォントを変えたり斜体字にしたりする場合には,必要に応じて文書画像から文字認識処理が行われ,テキスト・ファイルによって表わされる文書に戻し,テキスト・ファイルにおいてフォントを変えたり,斜体字にしたりして,再び画像化すればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 携帯電話
2 制御装置(着目部分決定手段,表示態様変更手段,スクロール手段,第1の判定手段,決定制御手段)
3 表示装置
20 文書画像サーバ
60 文書画像
【技術分野】
【0001】
この発明は,携帯型表示装置ならびにその動作制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に文書が表示される場合に,その文書を読みやすくするようにユーザが指定した文字が拡大するものがある(特許文献1)。また,ユーザの読む速度に応じて自動的にスクロールされるものもある(特許文献2)。しかしながら,携帯電話に設けられている表示画面のように大きさが小さい表示画面に画像化された文書が表示された場合には,どこの部分を読んでいるか分からなくなってしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-250948号公報
【特許文献2】特開2001-282414号号公報
【発明の概要】
【0004】
この発明は,表示画面に画像化された文書が表示された場合に,どこの部分を読んでいるかが分るようにすることを目的とする。
【0005】
この発明による携帯型表示装置は,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定する着目部分決定手段,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変える表示態様変更手段,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示する表示装置,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールするスクロール手段,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定する第1の判定手段,および上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する決定制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明は,上記携帯型表示装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,着目部分決定手段が,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定し,表示態様変更手段が,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変え,表示装置が,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示し,スクロール手段が,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールし,判定手段が,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定し,決定制御手段が,上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御するものである。
【0007】
この発明は,上記携帯型表示装置の動作制御方法を実施するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムも提供している。そのようなプログラムを格納した記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0008】
この発明によると,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落が決定される。決定された着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様と変えられる。表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む文書画像の一部分が表示装置の表示画面に表示される。着目部分スクロール指令が与えられると,表示画面に表示される文書画像の一部分がスクロールされる。すると,そのスクロールに応じて,着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで表示画面に表示されたかどうかが判定される。着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで表示画面に表示されると,表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落が新たな着目文章または着目段落と決定される。そのようにして決定された新たな着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様が変えられて表示画面に表示される。
【0009】
着目文章または着目段落は,ユーザが読んでいる文章または段落である。そのような着目文章または着目段落の表示態様が他の文章または他の段落の表示態様と異なるように表示されるので,ユーザは読んでいる文章または段落が分りやすくなる。
【0010】
上記表示画面に最後に表示された上記文書画像の一部分に含まれている着目文章または着目段落の位置を記憶する記憶装置,および上記記憶装置に着目文章または着目段落の位置が記憶されているかどうかを判定する第2の判定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記着目部分決定手段は,たとえば,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落の位置が記憶されていると判定されたことに応じて上記記憶装置に記憶されている着目文章または着目段落の位置の次の文章または段落を着目文章または着目段落と決定し,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落が記憶されていないと判定されたことに応じて上記文書画像の最初の文章または最初の段落を着目文章または着目段落と決定するものとなろう。
【0011】
上記表示画面に上記文書画像の一部分を表示するように表示装置を制御する表示制御手段,および上記表示制御手段の制御のもとに上記表示画面に表示されている上記文書画像の一部分の中から所望の文章または所望の段落を指定する指定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記着目部分決定手段は,たとえば,上記指定手段によって指定された所望の文章または所望の段落を,着目文章または着目段落と決定するものとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】文書画像通信システムの概要である。
【図2】携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】文書画像サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】文書画像サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】文書画像の一例である。
【図8】レイアウト情報の一例である。
【図9】文書画像の一例である。
【図10】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図11】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図12】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図13】文書画像の一例である。
【図14】携帯電話の表示画面に表示される文書画像の一例である。
【図15】着目文章決定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】着目文章決定処理手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0013】
図1は,この発明の実施例を示すもので,文書画像(テキスト・ファイルによって表される文書ではなく画像ファイルによって表されるもので,画像化された文書を文書画像ということにする)通信システムの概要を示している。
【0014】
この実施例による文書画像通信システムには,インターネット(インターネットに限らず社内LAN:ローカル・エリア・ネットワークなどでもよい)を介して互いに通信可能な携帯電話1および文書画像サーバ20が含まれている。携帯電話1からの要求に応じて,文書画像サーバ20から携帯電話1に文書画像を表わすファイルが送信される。
【0015】
図2は,いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話1の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
携帯電話1の全体の動作は,制御装置2によって統括される。
【0017】
携帯電話1には,他の携帯電話との通信,インターネットへのアクセス等のための通信装置10およびアンテナ11が設けられている。アンテナ11を介して後述する動作を行うプログラム12が携帯電話1にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラム12が携帯電話1にインストールされることにより,携帯電話1は後述する動作を行う。もっとも,携帯電話1にメモリ・カード・リーダ(図示略)などが設けられている場合には,メモリ・カードに格納されたプログラムを,メモリ・カード・リーダを用いて読み取り,読み取られたプログラムを携帯電話1にインストールするようにしてもよい。
【0018】
さらに,携帯電話1には,表示画面に文書,画像などを表示するための表示装置3が設けられている。表示装置3の表示画面には,タッチ・パネル4が形成されている。表示画面上に形成されているタッチ・パネル4をタッチすることにより,ユーザは,携帯電話1に様々な指令を与えることができる。
【0019】
携帯電話1には,プログラム,所定のデータが格納されるメモリ5も含まれている。さらに,携帯電話1には,スピーカ8およびマイクロフォン9も含まれている。音声信号は,増幅回路7によって増幅されてスピーカ8に与えられることによりスピーカ8から音声が出力される。また,マイクロフォン9から入力した音声を表わす音声信号は,増幅回路7によって増幅されて制御装置2に入力する。
【0020】
この実施例による携帯電話1では,上述のように文書画像を表示装置3の表示画面に表示できる。携帯電話1の表示画面は比較的小さいので文字を読みやすくするために文字の大きさを大きくすると,一つの文章のすべてを表示画面に表示できない。テキスト・ファイルによって表わされる文書であれば表示画面に合わせて文字の配列を直せばよいが,文書画像の文書では,表示画面に併せて文字の配列を直すことは難しいのでスクロールする必要がある。ところが,スクロールすると,文書(段落)のうちのどの文章(段落)を読んでいるかが分らなくなることがある。この実施例では,どの文章(段落)を読んでいるかを分りやすくするものである。
【0021】
図3は,文書画像サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
文書画像サーバ20の全体の動作は,CPU21によって統括される。
【0023】
文書画像サーバ21には,インターネットにアクセスするための通信装置22,所定のデータ等を記憶するメモリ23,キーボードなどの入力装置24,ハードディスク25,ハードディスク25にアクセスするためのハードディスク・ドライブ26およびCD−ROM(コンパクト・ディスク-リード・オンリ・メモリ)ドライブ27が含まれている。後述する動作を制御するプログラムが格納されたCD−ROM28がCD−ROMドライブ27に装填され,そのプログラムが読み取られる。読み取られたプログラムが文書画像サーバ20にインストールされる。プログラムは,CD−ROM28のような記録媒体に格納されずに,インターネットを介して受信してもよい。
【0024】
文書を表わすテキスト・ファイルはハードディスク25に格納されている。ハードディスク25からテキスト・ファイルが読み取られ,CPU21によって文書画像を表わす文書画像ファイルに変換される。変換された文書画像ファイルもハードディスク25に格納される。
【0025】
図4は,文書画像サーバ20の処理手順を示すフローチャート,図5および図6は,携帯電話1の処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
文書画像サーバ20において,テキスト・ファイルによって表わされる文書があらかじめ画像化されて画像ファイル(文書画像ファイル)によって表わされる文書画像に変換される(図4ステップ31)。すると,変換された文書画像のレイアウトが解析される(図4ステップ32)。レイアウト解析では,文書画像に変換された文書の文字の並び順(横書き,縦書き),文書を構成する各文章の位置などが検出される。
【0027】
図7は,文書画像60の一例である。
【0028】
文書画像60は,横書きであり,多数の文章が含まれている。文字の並び順が横書きか縦書きかは,段落の最後の文章のあとに生じる空白部分が横方向に続くか縦方向に続くかを検出することにより判定できる。その空白部分が横方向に続く場合には横書きと判定され,縦方向に続く場合には縦書きと判定される。図7に示す文書画像60は,そのような空白部分が横方向に続くので横書きと判定される。また,句点の検出処理が行われ,検出された句点が文章の終わりと判定される。検出された句点の次の文字が文章の始まりと判定される。
【0029】
横書きと判定されると,文章の始まりと文章の終わりのそれぞれの位置が検出される。文章の始まりの位置は横書きの場合,文章の始めの文字の左上の位置が座標で検出される。縦書きの場合には,文章の始まりの位置は文章の始めの文字の右上の位置が座標で検出される。文章の終わりの位置は横書きであっても縦書きであっても,文章の終わりの句点の位置が座標で検出される。文章が2行以上に渡っている場合には,各行の始めの文字の位置(横書きであれば文字の左上の位置であり,縦書きであれば文字の右上の位置)と各行の終わりの文字の位置(横書きであれば右下の位置であり,縦書きであれば左下の位置)も検出される。
【0030】
図7の第一文は,「この法律は、・・・目的とする。」である。第一文は,枠61および62で囲まれている。第一文の位置は,文章の始まりの位置が座標(x11,y11)となり,文章の終わりの位置が座標(x14,y14)となる。第一文は2行以上に渡っており,第1行目の最後の文字の位置は座標(x12,y12)となり,第2行目の最初の文字の位置は座標(x13,y13)となる。したがって,第一文の位置は,(x11,y11),(x12,y12)+(x13,y13),(x14,y14)で示される。第二文は,「この法律で「発明」とは、・・・高度のものをいう。」である。第二文は,枠63および64で囲まれている。第二文の位置は,第一文と同様に,(x21,y21),(x22,y22)+(x23,y23),(x24,y24)で示される。第三文は,「この法律で「特許発明」とは、・・・発明をいう。」である。第三文は,枠65で囲まれている。第三文の位置は,(x31,y31),(x32,y32)で示される。同様に他の文章についても各文章の位置が検出される。「+」の記号により,文章が複数の行に渡っていることが分る。「+」の記号の数に1を加えた数が文章の行数を表わす。「+」の記号が0であれば,その文章は複数の行に渡らずに文書画像60の一行内で収まり,「+」の記号が1であれば,その文章は文書画像60において2行に渡っており,「+」の記号が2であれば,その文章は文書画像60において3行に渡っている。
【0031】
図8は,レイアウト情報の一例である。
【0032】
レイアウト情報には,上述したように,文字並び順(縦書きか,横書きか)を示すデータのほかに,文書画像を構成する各文章の位置が含まれる。これらの位置は,上述のように文章ごとに検出される。レイアウト情報は,一つの文書画像に対応して一つ生成される。レイアウト情報は,文書画像を表わす画像ファイルのヘッダに記録されるようにしてもよいし,レイアウト情報を格納するレイアウト情報ファイルに格納するようにしてもよい。レイアウト情報が画像ファイルと別のレイアウト情報ファイルに格納される場合には,画像ファイルに対応するレイアウト情報ファイルが分るように,同じフォルダに格納される,ファイル名の一部共通化などが必要となろう。
【0033】
上述したレイアウト解析は,文書が画像化された後に行われているが,文書が画像化される前に行われるようにしてもよい。レイアウト解析の容易さから考えれば,文書が画像化される前に行われることとなろう。もっとも,文書が画像化された後にレイアウト解析が行われる場合であっても,画像化される前の文書を表わすテキスト・ファイルのヘッダに記憶されているヘッダ情報,テキスト・ファイル自体を利用してレイアウト解析が行われるようにしてもよい。
【0034】
図4に戻って,レイアウト解析が終わると,文書画像とレイアウト情報とはハードディスク25に記憶される(ステップ33)。文書画像とレイアウト情報とが別ファイルであれば,別々のファイルがハードディスク25に記憶され,レイアウト情報が文書画像を表わす画像ファイルのヘッダに格納されていれば,そのような画像ファイルがハードディスク25に記憶される。
【0035】
携帯電話1に文書画像を表示する場合には,携帯電話1から文書画像サーバ20に文書画像のリクエスト・データが送信される(図5ステップ41)。
【0036】
携帯電話1から送信された文書画像のリクエスト・データが文書画像サーバ20において受信されると(図4ステップ34でYES),そのリクエスト・データによって特定される文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)がハードディスク25から読み取られる(図4ステップ35)。読み取られた文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)が文書画像サーバ20から携帯電話1に送信される(図5ステップ36)。
【0037】
文書画像サーバ20から送信された文書画像およびレイアウト情報(を表わすファイル)が携帯電話1において受信されると(図5ステップ42でYES),着目文章が決定される(図5ステップ43)。着目文章とは,携帯電話1のユーザがこれから読むと思われる文章または読んでいると思われる文章である。たとえば,携帯電話1の表示画面に始めて表示される文書画像であれば,その文書画像の第一文が着目文章と決定される。後述のように携帯電話1のユーザが第一文を読み終わったと考えられると,第一文の次の第二文が着目文章となる。この着目文章決定処理について詳しくは後述する。
【0038】
着目文章が決定されると,その決定された着目文章が表示領域に入るように表示領域が位置決めされる(図5ステップ44)。表示領域内の文書画像が携帯電話1の表示画面に表示される。
【0039】
図9は,文書画像60を示している。
【0040】
上述したように,文書画像60のうち,第一文が着目文章と決定されたものとする。第一文は,第一行から第二行に渡っており,枠81および82で囲まれている。
【0041】
文書画像60が一度も表示されていない場合には,上述のように第一文が着目文章と決定され,かつ着目文章の始まりの文字の左側が左辺となるように表示領域70が位置決めされる。着目文章の始まりの文字が,段落が変わるなどにより一文字分,空白の場合には,その空白の一文字分の左側が左辺となるように表示領域70が位置決めされる。着目文章の始まりの文字の前に一文字分の空白があるかどうかは,図8に示すようにレイアウト情報に含まれる位置から分る。たとえば,第一文の一文字目のx座標はx11であり,その第一文の二行目の一文字目のx座標はx13であるから(「+」記号の最初のx座標),これらのx座標x11とx13とを比較することにより,第一文の一文字目の前に空白があるかどうかがわかる。たとえば,x11>x13であれば,空白があり,x11=x13であれば空白が無い。このように,文書画像60が一度も表示されていない場合には,表示領域70が文書画像60の左上の位置71に位置決めされる。
【0042】
表示領域が位置決めされると,着目文章が他の文章よりもハイライトとなるように,その表示領域70内の文書画像60が携帯電話1の表示画面に表示される(図5ステップ45)。
【0043】
図10は,携帯電話1の表示画面90の一例である。
【0044】
表示画面90には,文書画像60のうち,表示領域70内の部分が表示されている。さらに,表示画面90には,上述のようにして決定された着目文章である第一文の一部が表示されている。枠91および枠92で囲まれているように第一文の一部は,ハイライト表示されている(ハイライト表示されている様子がハッチングで示されている)。着目文章がハイライト表示されているので,携帯電話1のユーザは,表示画面90に表示される多数の文章のうち,どの文章を読めばよいかが分る。
【0045】
図6を参照して,ユーザから携帯電話1への指令が受け付けられる(ステップ46)。
【0046】
拡大指令であれば表示領域70が縮小され,縮小指令であれば表示領域70が拡大される(ステップ47)。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),拡大指令の場合には表示領域70が縮小するので携帯電話1の表示画面には拡大された文書画像60の一部が表示され,縮小指令の場合には表示領域70が拡大するので携帯電話1の表示画面には縮小された文書画像60の一部が表示される(図5ステップ45)。拡大の場合には,拡大後の表示部分に着目文章が含まれるように表示領域70が縮小されるのはいうまでもない。
【0047】
垂直スクロール指令(タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで上または下になぞる)であれば,そのスクロール量に応じて表示領域70が上または下に移動する(ステップ49)。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),文書画像60のうち移動後の表示領域70に含まれている部分が表示画面90に表示される(図5ステップ45)。垂直スクロールにより,移動後の表示領域70に着目文章が含まれなくなってしまった場合には,その移動後の表示領域70に含まれている部分の文章が新たな着目文章と決定されることが好ましい。たとえば,表示画面90に表示されている文章(の部分)のうち,新たな着目文章とする文章の部分がユーザによって指定される。もっとも,垂直スクロールにより,移動後の表示領域70に着目文章が含まれなくなった場合でも,着目文章を変えなくともよい。
【0048】
水平スクロール(タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで左または右になぞる)指令であれば,着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたかどうかが判定される(図6ステップ50)。
【0049】
すべては表示されていなければ(図6ステップ50でNO),表示領域70の幅分だけ表示領域70がスクロール方向に移動させられる(図6ステップ51)。たとえば,タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで右方向になぞられたら表示領域70は右方向(左方向でもよい)に移動させられ,タッチ・パネル4上を指,タッチ・ペンなどで左方向になぞられたら表示領域は左方向(右方向でもよい)に移動させられる。これにより,表示領域70は,図9に示す符号72で示す位置に移動する。終了指令が与えられなければ(ステップ48でNO),文書画像60のうち符号72に示す位置にある表示領域70内の部分が表示画面90に表示される(図5ステップ45)。
【0050】
図11は,表示画面90に表示された文書画像60の一例である。
【0051】
表示画面90には,図9に示すように表示領域70が符号72で示す位置に移動した場合の表示領域70内の文書画像60が表示されている。表示画面90には,図10と同様に着目文章が枠93で囲まれている。着目文章はハッチングで示すようにハイライト表示されている。このように着目文章がハイライト表示されるので,小さな表示画面に多数の文章が表示されていても,ユーザは,自分が読んでいる文章が分るようになる。
【0052】
図6に戻って,さらに水平スクロールが行われ,着目文章のすべてが並び順にしたがって表示されていなければ(ステップ50),表示領域70が移動させられる(ステップ51)。
【0053】
図9に示すように,表示領域70が符号72に示す位置にある場合に,表示領域70の幅分,右側に移動すると,表示領域70の位置は符号73Aで示す位置となる。表示領域70内の右側には文書画像60が含まれなくなるので,携帯電話1の表示画面の右側部分には文書画像60が表示されなくなる。このために,表示領域70の移動範囲は文書画像60内に限定するようにしてもよい。符号72で示す位置に表示領域70があった場合に,右側への水平スクロール指令があると,表示領域70は符号73Bで示すように,表示領域70の右辺と文書画像60の右辺とが一致するような位置が表示領域70の移動の限界とされる。
【0054】
表示領域70が図9に示す符号73Aまたは73Bにあったときに,さらに右側へのスクロール指令が与えられ,かつ着目文章のすべてが並び順に表示画面90に表示されていなければ(ステップ50でNO),表示領域70の左辺が文書画像60の左辺と一致するように表示画面70が移動させられる(ステップ51)。また,一行分下に表示領域70が移動させられる。これにより,表示領域70は,符号74に示す位置となる。もっとも,移動後の表示領域70に着目文章が含まれていれば,表示領域70は必ずしも一行分下に移動されなくともよい。
【0055】
図12は,表示画面90に表示される文書画像60の一例である。
【0056】
表示画面90には,図9に示す符号74の位置にある表示領域70内の文書画像60が表示されている。枠94で囲まれてハッチングで示されているように,着目文章がハイライト表示される。
【0057】
図9において,符号71,72,73Aまたは73Bおよび74と示すように表示領域70が移動することにより,着目文章とされた第一文が文字の並び順にしたがってすべて表示されるようになる。着目文章とされた第一文は,ハイライト表示されているので,文書画像60がスクロールされても,ユーザは自分が読んでいる文章が分る。
【0058】
着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたかどうかは,図8に示すレイアウト情報に含まれる位置情報を用いて判定できる。すなわち,レイアウト情報に含まれる位置情報は,文章の並び順にしたがっているので,その位置座標で特定される文字が位置情報の順序で表示されたことにより,文字の並び順にしたがって着目文章が表示されていると判定できる。位置座標の最初の座標(第一文では(x11,y11))の文字が最初に表示され,その後,位置座標順序にしたがって着目文章が表示され,最後に位置座標の最後の座標(第一文では(x14,y14))の文字が最後に表示されることにより,着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されたと判定できる。
【0059】
着目文章のすべてが文字の並び順にしたがってすべて表示されると(図6ステップ50でYES),着目文章であった文章の次の文章が着目文章と決定される(図6ステップ52)。終了指令が与えられなければ(図6ステップ53でNO),決定された着目文章が表示領域70に入るように表示領域70が位置決めされる(図6ステップ44)。
【0060】
上述したように,第一文の表示が終了すると,第二文が着目文章として決定される。
【0061】
図13は,文書画像60の一例である。
【0062】
決定された第二文が枠83および84で囲まれている。決定された第二文の一部が含まれるように表示領域70の位置が決定される。図12に示したように,第一文の表示が終了したときに表示画面90に表示されている文書画像60には第二文が含まれているから,第一文の表示が終了したときの表示領域70の位置(図9に示す符号74で示す位置)がそのまま表示領域70の位置と決定される。
【0063】
図14は,表示画面90の一例である。
【0064】
図12と比べると分るように,図14に示す表示画面90に表示されている文書画像60の内容は,図12に示す表示画面90に表示されている文書画像60の内容と同じである。しかしながら,図12では着目文章が第一文であったので,第一文が枠94で示すようにハイライト表示されているのに対し,図14では着目文章が第二文となったので,第二文が枠95および枠96で示すようにハイライト表示されている。
【0065】
第一文と同様に第二文についても上述したように,スクロールされてもユーザが読んでいる文章がわかるようにハイライト表示される。
【0066】
上述の実施例においては,水平スクロール指令においては,表示領域70の幅だけ表示領域70が水平方向に移動するが,スクロール量(タッチ・パネル4上においてなぞっている長さ)に応じた量だけ表示領域70が移動するようにしてもよい。
【0067】
上述の実施例において,拡大/縮小指令,垂直スクロール指令,水平スクロール指令は,それぞれ拡大ボタン,縮小ボタン,垂直スクロール・ボタン(上矢印ボタン,下矢印ボタン),水平スクロール・ボタン(左矢印ボタン,右矢印ボタン)を携帯電話1に設け,それらのボタンからの指令に応じて動作させることもできる。
【0068】
上述の実施例では,文書画像が横書きであるから,垂直スクロール指令が与えられると,着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定処理(図6ステップ50の処理)を行うことなく,スクロール量に応じて表示領域70が移動され,かつ水平スクロール指令が与えられると,着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定が行われているが,文書画像が縦書きの場合には,垂直スクロール指令が与えられたことにより着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定処理が行われ,かつ水平スクロール指令が与えられたときには着目文章のすべてが表示されたかどうかの判定は行われないこととなろう。
【0069】
図15は,着目文章決定処理手順(図5ステップ43の処理手順)を示すフローチャートである。
【0070】
図15に示す処理手順は,文書画像60の表示を途中で止めた場合に,その止めた部分から上述したハイライト表示を続けることができるようにするものである。そのために,文書画像60の表示を途中で止める場合には,表示を止める前に最後に表示された着目文章が第何番目の文章かが記憶される。着目文章が第何番目の文章かを記憶する代わりに,その着目文章の文書画像60における位置を記憶してもよい。位置が記憶されれば,レイアウト情報から着目文章が第何番目の文章か分るし,第何番目の文章か分ればその文章の位置も分る。このような位置または第何番目かを示す情報は,上述したレイアウト情報に更新可能に付加すればよい。
【0071】
着目文章の位置または着目文章が第何番目かを示すデータが記憶されていると(ステップ101でYES),記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章またはその次の文章が着目文章と決定される(ステップ103)。記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章がすべて表示されていれば,その着目文章はユーザが読み終わったと考えられるので,最後に表示された着目文章の次の文章が着目文章と決定される。記憶されている位置または第何番目かを示すデータによって特定される着目文章がすべて表示されていなければ,その着目文章をユーザが読み終わっていないと考えられるので,最後に表示された着目文章が再び着目文章と決定される。
【0072】
これに対して,着目文章の位置または着目文章が何番目かを示すデータが記憶されていないと(ステップ101でNO),文書画像の最初の文章が着目文章と決定される(ステップ102)。
【0073】
図16は,着目文章決定処理手順(図5ステップ43の処理手順)の他の例を示すフローチャートである。
【0074】
文書画像60の一部または全部が携帯電話1の表示画面に表示される(ステップ104)。表示画面に表示された文章の中から所望の文章が,指,タッチ・ペンなどを用いてタッチされることにより,指定される(ステップ105)。指定された文章が着目文章と決定される(ステップ106)。所望の文章が表示画面に表示されるように必要に応じてスクロール処理が行われるのはいうまでもない。
【0075】
上述の実施例では,ハイライト表示される単位は文章であるが段落ごとにハイライト表示されるようにしてもよい。段落ごとにハイライト表示される場合には,レイアウト情報も段落ごとに位置情報が記憶されるものとなろう。また,ハイライト表示される単位を読点単位としてもよい。
【0076】
また,上述の実施例では,着目文章がハイライト表示されているが,ハイライト表示に限らず,着目文章(着目段落)とそれ以外の文章(段落)とを区別できればよい。たとえば,着目文章のフォントを他の文章のフォントと変えるようにしたり,斜体字にしたりしてもよい。フォントを変えたり斜体字にしたりする場合には,必要に応じて文書画像から文字認識処理が行われ,テキスト・ファイルによって表わされる文書に戻し,テキスト・ファイルにおいてフォントを変えたり,斜体字にしたりして,再び画像化すればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 携帯電話
2 制御装置(着目部分決定手段,表示態様変更手段,スクロール手段,第1の判定手段,決定制御手段)
3 表示装置
20 文書画像サーバ
60 文書画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定する着目部分決定手段,
上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変える表示態様変更手段,
上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示する表示装置,
着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールするスクロール手段,
上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定する第1の判定手段,および
上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する決定制御手段,
を備えた携帯型表示装置。
【請求項2】
上記表示画面に最後に表示された上記文書画像の一部分に含まれている着目文章または着目段落の位置を記憶する記憶装置,および
上記記憶装置に着目文章または着目段落の位置が記憶されているかどうかを判定する第2の判定手段をさらに備え,
上記着目部分決定手段は,
上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落の位置が記憶されていると判定されたことに応じて上記記憶装置に記憶されている着目文章または着目段落の位置の次の文章または段落を着目文章または着目段落と決定し,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落が記憶されていないと判定されたことに応じて上記文書画像の最初の文章または最初の段落を着目文章または着目段落と決定するものである,
請求項1に記載の携帯型表示装置。
【請求項3】
上記表示画面に上記文書画像の一部分を表示するように表示装置を制御する表示制御手段,および
上記表示制御手段の制御のもとに上記表示画面に表示されている上記文書画像の一部分の中から所望の文章または所望の段落を指定する指定手段をさらに備え,
上記着目部分決定手段は,
上記指定手段によって指定された所望の文章または所望の段落を,着目文章または着目段落と決定するものである,
請求項1または2に記載の携帯型表示装置。
【請求項4】
着目部分決定手段が,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定し,
表示態様変更手段が,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変え,
表示装置が,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示し,
スクロール手段が,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールし,
判定手段が,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定し,
決定制御手段が,上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する,
携帯型表示装置の動作制御方法。
【請求項5】
携帯型表示装置のコンピュータを制御するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定させ,
決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変えさせ,
表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示させ,
着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールさせ,
スクロールされたことに応じて,表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定させ,
表示態様が変えられた着信文章または着信段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定させるように携帯型表示装置のコンピュータを制御するプログラム。
【請求項1】
画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定する着目部分決定手段,
上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変える表示態様変更手段,
上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示する表示装置,
着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールするスクロール手段,
上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定する第1の判定手段,および
上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する決定制御手段,
を備えた携帯型表示装置。
【請求項2】
上記表示画面に最後に表示された上記文書画像の一部分に含まれている着目文章または着目段落の位置を記憶する記憶装置,および
上記記憶装置に着目文章または着目段落の位置が記憶されているかどうかを判定する第2の判定手段をさらに備え,
上記着目部分決定手段は,
上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落の位置が記憶されていると判定されたことに応じて上記記憶装置に記憶されている着目文章または着目段落の位置の次の文章または段落を着目文章または着目段落と決定し,上記第2の判定手段によって着目文章または着目段落が記憶されていないと判定されたことに応じて上記文書画像の最初の文章または最初の段落を着目文章または着目段落と決定するものである,
請求項1に記載の携帯型表示装置。
【請求項3】
上記表示画面に上記文書画像の一部分を表示するように表示装置を制御する表示制御手段,および
上記表示制御手段の制御のもとに上記表示画面に表示されている上記文書画像の一部分の中から所望の文章または所望の段落を指定する指定手段をさらに備え,
上記着目部分決定手段は,
上記指定手段によって指定された所望の文章または所望の段落を,着目文章または着目段落と決定するものである,
請求項1または2に記載の携帯型表示装置。
【請求項4】
着目部分決定手段が,画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定し,
表示態様変更手段が,上記着目部分決定手段によって決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変え,
表示装置が,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示し,
スクロール手段が,着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールし,
判定手段が,上記スクロール手段によってスクロールされたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定し,
決定制御手段が,上記第1の判定手段によって,上記表示態様変更手段によって表示態様が変えられた着目文章または着目段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,上記表示態様変更手段によって表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定するように上記着目部分決定手段を制御する,
携帯型表示装置の動作制御方法。
【請求項5】
携帯型表示装置のコンピュータを制御するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
画像化された文書を表わす文書画像の中から他の文章または他の段落と表示態様を変える着目文章または着目段落を決定させ,
決定された着目文章または着目段落の表示態様を,他の文章または他の段落の表示態様と変えさせ,
表示態様が変えられた着目文章または着目段落の少なくとも一部を含む上記文書画像の一部分を表示画面に表示させ,
着目部分スクロール指令に応じて,上記表示画面に表示される上記文書画像の一部分をスクロールさせ,
スクロールされたことに応じて,表示態様が変えられた着目文章または着目段落が,文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたかどうかを判定させ,
表示態様が変えられた着信文章または着信段落が文字の並び順にしたがって最後まで上記表示画面に表示されたと判定されたことに応じて,表示態様が変更された着目文章または着目段落の次の文章または段落を,着目文章または着目段落と決定させるように携帯型表示装置のコンピュータを制御するプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−93889(P2012−93889A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239596(P2010−239596)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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