説明

携帯型音楽再生装置及びカラオケシステム

【課題】カラオケ装置と携帯型音楽再生装置(DAP)を連携させることにより、利用者がカラオケ装置において行うキー変更操作に伴う問題を回避でき、利便性を向上できる携帯型音楽再生装置及びカラオケシステムを提供する。
【解決手段】携帯型音楽再生装置において、カラオケ装置と各種情報を送受信可能な通信手段と、前記カラオケ装置に再生させる楽曲を設定可能な再生楽曲予約手段と、を備え、前記再生楽曲予約手段は、前記再生させる楽曲に対応する前記楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報とを関連づけて、前記カラオケ装置に送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型音楽再生装置及びカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ利用者は、カラオケ装置に所望の楽曲を再生させる際、カラオケ装置本体に備えられた操作ボタン、または、リモコン装置に備えられた操作ボタンを用いて複数の楽曲の中から所望の楽曲を選択する。ここで、楽曲の選択は、例えば、それぞれの楽曲に対して設定されている曲番号(同一の楽曲であっても楽曲提供者によって曲番号は異なる)を入力することによって行われる。
【0003】
また、通常のカラオケ装置は、利用者が自分の音域(声域)に合わせて音階(キー)を上下に変更できる機能を備えている。例えば、キー変更ボタン(・・,−2,−1,0,+1,+2,・・)により、音階を半音単位で変更できる。また、特許文献1には、カラオケ装置におけるキー変更を、より簡単な操作で実現できるようにした技術が開示されている。
【0004】
図7は、従来のカラオケ装置100Aの概略構成を示すブロック図である。
図7に示すように、カラオケ装置100Aは、サーバ通信部101と、ストレージ102と、操作部103と、制御部104と、信号処理部105と、マイクアンプ110と、ミキサ111と、スピーカ112と、ディスプレイ113と、を備えて構成される。
【0005】
サーバ通信部101は、カラオケ演奏に利用される各種情報をカラオケ装置100Aに配信するカラオケサーバ300と通信可能に接続される。ストレージ102は、例えば、ハードディスクドライブで構成され、カラオケサーバ300から配信された演奏情報や映像情報、及び楽曲情報が格納されている。
【0006】
操作部103は、例えば、カラオケ装置本体に備えられた操作ボタン、または、リモコン装置に備えられた操作ボタンであり、操作部103からの入力信号が制御部104に出力され、制御部104はこれに基づいて各ブロックの動作を制御する。
【0007】
信号処理部105は、演奏情報及び映像情報をデコードするデコーダ106と、楽曲の音階を変更するキーシフト処理部107と、生成されたディジタル音声/映像信号をアナログ信号に変換するD/A変換部108と、デコード処理の作業領域として利用されるSDRAM109と、を有する。
【0008】
マイクアンプ110は、カラオケ装置100Aに接続されたマイクから入力されたアナログ音声信号を増幅する。ミキサ111は、信号処理部105からのアナログ音声信号とマイクアンプ110からのアナログ音声信号を合成する。
【0009】
スピーカ112は、ミキサ111で合成されたアナログ音声信号を音声に変換して出力する。ディスプレイ113は、再生中の楽曲の歌詞や映像、再生中の楽曲/予約された楽曲の曲番号や曲名等を表示する。
【0010】
制御部104は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成されており、操作部103からの入力信号に基づいて各ブロックの動作を制御する。例えば、操作部103において選曲操作が行われた場合は、選曲された楽曲に対応する演奏情報及び映像情報をストレージ102から読み出し、或いはカラオケサーバ300に要求し、取得した演奏情報及び映像情報に基づいて信号処理部105において再生処理を実行させる。
【0011】
また、操作部103においてキー変更操作が行われた場合は、信号処理部105において演奏情報に再生処理を行う際に、キー変更のための信号処理を実行させる(キーシフト処理部108)。
【0012】
上述したように、従来のカラオケ装置100Aでは、楽曲を再生するにあたり、カラオケ装置が備えるキー変更機能を利用して、キー変更ボタンを操作することで楽曲の音階を変更することができる。また、最近では、携帯電話機の赤外線通信を利用して、個人が所有する携帯電話機をカラオケ装置のリモコン代わりに使用できるようにしたカラオケシステムが提供されている。
【特許文献1】特開2004−138635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のカラオケ装置では、利用者は歌い始めてから楽曲の音階が自分の音域と合わないことに気づくため、楽曲の歌唱を中断してキー変更がなされることとなる。また、カラオケ装置の操作ボタンを用いたキー変更は、操作がわかりにくい上、一回の操作で所望の音階に調整するのは困難である。
【0014】
このように、従来のカラオケ装置におけるキー変更操作では、利用者はまともに楽曲を歌唱できなくなるという問題がある。
【0015】
本発明は、カラオケ装置と携帯型音楽再生装置(DAP)を連携させることにより、利用者がカラオケ装置において行うキー変更操作に伴う問題を回避でき、利便性を向上できる携帯型音楽再生装置及びカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の楽曲のそれぞれについて、楽曲演奏に使用する演奏情報と、楽曲を特定するための楽曲情報と、を関連づけて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に格納されている複数の楽曲の中から選択された楽曲に対応する演奏情報に基づいて、再生音声信号を生成し出力する再生手段と、を有する携帯型音楽再生装置であって、カラオケ装置と各種情報を送受信可能な通信手段と、前記カラオケ装置に再生させる楽曲を設定可能な再生楽曲予約手段と、を備え、前記再生楽曲予約手段は、前記再生させる楽曲に対応する前記楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報とを関連づけて、前記カラオケ装置に送信することを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、複数の楽曲の中から選択された楽曲に対応する演奏情報に基づいて当該楽曲を再生可能なカラオケ装置と、前記カラオケ装置と各種情報を送受信可能な携帯型音楽再生装置と、で構成されるカラオケシステムにおいて、前記携帯型音楽再生装置は、前記カラオケ装置に再生させる楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報と、を関連づけて前記カラオケ装置に送信し、前記カラオケ装置に再生させる楽曲を予約可能とする再生楽曲予約手段を備え、前記カラオケ装置は、前記携帯型音楽再生装置から送信された前記楽曲情報に基づいて再生する楽曲を特定可能な再生楽曲特定手段と、前記キー情報に基づいて再生楽曲に対応する演奏情報に所定の信号処理を施して再生楽曲の音階を変更可能なキー変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のカラオケシステムにおいて、前記再生楽曲予約手段は、複数の楽曲の中から1又は2以上の楽曲を抽出して、それぞれの楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報と、を関連づけて格納したプレイリストを作成するプレイリスト作成手段を有し、前記再生楽曲特定手段は、前記再生楽曲予約手段によって送信されたプレイリストに含まれる楽曲情報を解析し、再生する楽曲を特定可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のカラオケシステムにおいて、前記キー情報は、原曲の音階を基準として設定されることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のカラオケシステムにおいて、前記再生楽曲特定手段は、前記プレイリストに格納された楽曲の中から再生させる楽曲を選択可能な再生楽曲選択手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カラオケ装置と携帯型音楽再生装置とを通信可能とし、カラオケ装置は、携帯型音楽再生装置によって予め設定され送信されたキー情報に基づいて、再生される楽曲の音階を変更するので、カラオケ装置において行うキー変更操作に伴う問題を回避でき、利便性を向上できる。すなわち、利用者は、カラオケ装置において楽曲が再生される前に当該楽曲のキー設定を行うことができるので、キー変更操作に伴い楽曲の歌唱が中断されることはなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るカラオケシステムの一例を示す概念図である。図1に示すように、本実施形態のカラオケシステムは、カラオケ装置100と、携帯型音楽再生装置としてのディジタルオーディオプレイヤー(以下、DAPと称する)200と、カラオケサーバ300と、を備えて構成される。
【0023】
DAP200は再生楽曲予約手段202を有し、この再生楽曲予約手段202は、複数の楽曲の中から1または2以上の楽曲を抽出して、それぞれの楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲情報のキー変更に利用するキー情報と、を関連づけて格納したプレイリストを作成する(プレイリスト作成手段)。ここで、キー情報とは、楽曲の音階を例えば半音単位で上下させるための情報である。
【0024】
また、再生楽曲予約手段202は、プレイリスト作成手段によって作成されたプレイリストの情報(プレイリスト情報)をカラオケ装置100に送信し、カラオケ装置100において当該プレイリストに分類されている楽曲の全部又は一部の再生を予約可能とする。
【0025】
さらに、前記プレイリストには、楽曲情報のそれぞれに対してキー情報が関連づけられている。すなわち、本実施形態では、プレイリストに登録されているそれぞれの楽曲に対応してキー情報を設定可能で、楽曲情報及びキー情報をプレイリスト情報としてカラオケ装置100に送信する。
【0026】
一方、カラオケ装置100は再生楽曲特定手段104を有し、この再生楽曲特定手段104は、DAP200から送信されたプレイリスト情報を解析し、再生する楽曲を特定するとともに、当該楽曲の再生予約を行う。そして、予約された楽曲を再生する際、当該楽曲に対してキー情報が付加されていた場合は、このキー情報に基づいて再生楽曲の音階を変更する(キー変更手段)。
【0027】
なお、カラオケ装置100では、カラオケサーバ300から配信された演奏情報に基づいて楽曲の再生が行われる。また、カラオケ装置100は、カラオケ装置100の操作部を用いた選曲操作によって楽曲を再生可能であることはいうまでもない。
【0028】
図2は、本実施形態のカラオケシステムを構成するDAP200の一例を示すブロック図である。
DAP200は、カラオケ通信部201と、制御部202と、操作部203と、音声出力部204と、再生処理部205と、ストレージ206と、を備えて構成される。
【0029】
カラオケ通信部201は、無線LANやBluetooth等の所定の無線通信規格に対応し、カラオケ装置100との間で各種情報を送受信可能に構成される。例えば、両者間の通信リンクを確立するための通信情報や、カラオケ装置100において所望の楽曲を容易に再生させるために作成したプレイリスト情報、制御情報等を送受信することができる。
【0030】
ストレージ206は、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等で構成され、複数の楽曲のそれぞれについて、楽曲演奏に使用する演奏情報(例えば、MP3形式のディジタル音声データ)と、楽曲を特定するための楽曲情報と、を関連づけたデータベースが格納されている。ここで、楽曲情報には、曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル名、年代、作曲家名、作詞家名、テンポ等の各種情報が含まれる。
【0031】
操作部203は、例えば、DAP本体に備えられた操作ボタンであり、操作部203からの入力信号が制御部202に出力され、制御部202はこれに基づいて各ブロックの動作を制御する。
【0032】
再生処理部205は、ストレージ206に格納されている演奏情報にデコード処理、D/A変換処理等の所定の信号処理を施してアナログの再生音声信号を生成する。音声出力部204は、再生処理部205によって生成された再生音声信号を増幅して出力し、例えば、出力端子に接続されたヘッドホンから音声を出力させる。
【0033】
制御部202は、CPU、RAM、ROMなどを備えて構成されており、操作部203からの入力信号等に基づいて各ブロックの動作を制御する。例えば、操作部203において楽曲の再生操作が行われた場合は、ストレージ206から再生させる楽曲に対応する演奏情報を読み出し、再生処理部205において再生処理を実行させる。
【0034】
また、制御部202は、ストレージ206に格納されている複数の楽曲の中から1又は2以上の楽曲を抽出してプレイリストを作成する(プレイリスト作成手段)。プレイリストには、例えば、抽出されたそれぞれの楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報が含まれる。
【0035】
また、制御部202は、作成したプレイリスト情報をカラオケ装置100に送信し、カラオケ装置100において当該プレイリストに登録されている楽曲が容易に予約できるように支援する(再生楽曲予約手段)。
【0036】
ここで、プレイリストに含まれるキー情報は、例えば、利用者が操作部203を操作することにより設定される。このとき、キー情報は、原曲の音階を基準として半音単位で設定されるのが望ましい。
【0037】
つまり、カラオケ装置100のデータベースに格納されている演奏情報は、一般的な人が歌い易いように原曲(例えば、市販のオーディオCDに収録されている曲)に対して予めキー変更処理がなされているが、このキー変更の程度(キーシフト量)はカラオケ事業者間で統一されているとは限らないので、原曲の音階を基準としてキー変更に利用するキー情報を設定するようにしている。カラオケ事業者が異なる場合であっても、カラオケ装置100において、提供しうる楽曲の音階は原曲に対してどの程度変更されているかを把握できていれば、DAP200を利用したキー変更処理を実現することができる。
【0038】
図3は、本実施形態のカラオケシステムを構成するカラオケ装置100の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、カラオケ装置100は、サーバ通信部101と、ストレージ102と、操作部103と、制御部104と、信号処理部105と、マイクアンプ110と、ミキサ111と、スピーカ112と、ディスプレイ113と、DAP通信部114と、を備えて構成される。従来のカラオケ装置100A(図7参照)と比較して、DAP200との通信部114が設けられている点が異なる。
【0039】
サーバ通信部101は、カラオケ演奏に利用される各種情報をカラオケ装置100に配信するカラオケサーバ300と、電話回線や専用回線を利用して通信可能に接続される。例えば、カラオケサーバ300から配信される情報を定期的にダウンロードしたり、選曲された楽曲に対応する情報が後述するストレージ102に格納されていない場合に当該楽曲に対応する情報を要求したりする。
【0040】
カラオケサーバ300は、例えば、複数の楽曲のそれぞれについて、楽曲演奏に利用する演奏情報(例えば、MIDIデータ)や映像情報(例えば、MPEG2データ)、及び楽曲を特定するための楽曲情報を対応させたデータベースを有する。ここで、楽曲情報には、選曲に使用する曲番号、曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル名、年代、作曲家名、作詞家名、テンポ等の情報が含まれる。
【0041】
ストレージ102は、例えば、ハードディスクドライブで構成され、複数の楽曲のそれぞれについて、カラオケサーバ300から配信された演奏情報や映像情報、及び楽曲情報が関連づけられて格納されている。カラオケサーバ300から最新の情報を配信することで、このストレージ102に記憶される情報は更新される。
【0042】
操作部103は、例えば、カラオケ装置本体に備えられた操作ボタン、または、リモコン装置に備えられた操作ボタンであり、操作部103からの入力信号が制御部104に出力され、制御部104はこれに基づいて各ブロックの動作を制御する。
【0043】
信号処理部105は、デコーダ106と、キーシフト処理部107と、D/A変換部108と、SDRAM109と、を有する。デコーダ106は、ストレージ102から読み出された演奏情報及び映像情報、又はカラオケサーバ300から配信された演奏情報及び映像情報をデコードする。
【0044】
キーシフト処理部107は、演奏情報に基づいて生成されたディジタル音声信号に所定の信号処理を施して、楽曲の音階を変更する。例えば、操作部103からキー変更が指示されたときや、DAP200から送信されたプレイリスト情報にキー情報が含まれていたときに、このキー情報に基づいてキー変更処理を行う。
【0045】
D/A変換部108は、生成されたディジタル音声信号及びディジタル映像信号をアナログ信号に変換する。SDRAM109は、デコード処理の作業領域として使用される。
【0046】
マイクアンプ110は、カラオケ装置100に接続されたマイクから入力されたアナログ音声信号を増幅する。ミキサ111は、信号処理部105からのアナログ音声信号とマイクアンプ110からのアナログ音声信号を合成する。
【0047】
スピーカ112は、ミキサ111で合成されたアナログ音声信号を音声に変換して出力する。ディスプレイ113は、再生中の楽曲の歌詞や映像、再生中の楽曲又は予約された楽曲の曲番号や曲名等を表示する。
【0048】
DAP通信部114は、無線LANやBluetooth等の所定の無線通信規格に対応し、DAP200との間で各種情報を送受信可能に構成される。例えば、両者間の通信リンクを確立するための通信情報や、カラオケ装置100において所望の楽曲を容易に再生させるためにDAP200で作成されたプレイリスト情報、制御情報等を送受信することができる。
【0049】
制御部104は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成されており、操作部103からの入力信号に基づいて各ブロックの動作を制御する。例えば、操作部103において選曲操作が行われた場合は、選曲された楽曲に対応する演奏情報及び映像情報をストレージ102から読み出し、或いはカラオケサーバ300に要求し、取得した演奏情報及び映像情報に基づいて信号処理部105において再生処理を実行させる。
【0050】
また、操作部103においてキー変更操作が行われた場合は、信号処理部105において演奏情報に再生処理を行う際に、キー変更のための信号処理を実行させる(キーシフト処理部108)。
【0051】
さらに、制御部104は、DAP200から送信されたプレイリスト情報に含まれる楽曲情報を解析し、これに基づいて再生する楽曲を特定する再生楽曲特定手段として機能する。
【0052】
上述したカラオケ装置100は、DAP200と通信可能に構成されており、DAP200から送信されたプレイリスト情報にキー情報が含まれると、プレイリスト情報に基づいて再生楽曲を予約するとともに、この再生楽曲に対応して設定されたキー情報に基づいて楽曲の音階を変更する。
【0053】
次に、本実施形態のカラオケシステムにおいて行われる楽曲のキー変更について説明する。具体的には、DAP200ではキー設定処理を含むプレイリスト作成処理(図4)が実行され、カラオケ装置100では再生楽曲予約処理(図5)及び曲再生制御処理(図6)が実行され、この曲再生制御処理の中でキー変更処理が行われる。
【0054】
図4は、DAP200において実行されるプレイリスト作成処理の一例を示すフローチャートである。このプレイリスト作成処理は、制御部202によって所定のプログラムが実行されることにより行われる。例えば、操作部203の所定のボタン(例えば、プレイリスト作成ボタン)が操作されることに伴い、プレイリスト作成処理が実行されるものとする。
【0055】
まず、ステップS101で、新規に作成されるプレイリスト名を登録する。例えば、利用者は操作部203を用いて任意の文字列を入力することでプレイリスト名を登録できる。
【0056】
ステップS102では、作成されたプレイリストに楽曲を登録するための選択操作が行われたか判定する。例えば、ストレージ206に格納されている楽曲のリストを表示させ、この表示画面において、プレイリストに登録する楽曲を選択させることができる。
【0057】
そして、ステップS102で楽曲が選択されないと判定した場合は、そのまま処理を終了する。例えば、楽曲の選択が行われないまま他の操作ボタンが操作された場合に楽曲が選択されないものとして判断し、プレイリスト作成処理を終了する。
【0058】
また、ステップS102で楽曲が選択されたと判定した場合は、選択された楽曲を当該プレイリストに登録する(ステップS103)。このとき、プレイリストには、例えば、楽曲情報として、当該楽曲の曲番号、曲名、アーティスト名、等が関連づけて登録される。なお、カラオケ事業者ごとに提供されるカラオケ装置100に対応できるように、複数のカラオケ事業者情報に対応して曲番号が登録されるのが望ましい。
【0059】
ステップS104では、登録された楽曲について、キー変更に利用するキー情報が設定されたか判定する。そして、ステップS104でキー設定がないと判定した場合は、当該楽曲のプレイリストへの登録は終了し、次の楽曲の選択に移行する。すなわち、プレイリストには、当該楽曲の楽曲情報が登録され、キー情報は登録されないこととなる。
【0060】
一方、ステップS104でキー設定があると判定した場合は、当該楽曲に対応させてキー情報を登録する(ステップS105)。すなわち、利用者は、当該楽曲をカラオケ装置100において再生させる際に音階を変更する場合は、DAP200において予めキー設定を行うことができる。例えば、原曲の音階を基準として、半音単位で設定する。ステップS105で当該楽曲に対応させてキー情報を登録した後、次の楽曲の選択に移行する。
【0061】
DAP200では、上述したプレイリスト作成処理により、ストレージ206に格納されている複数の楽曲の中から1又は2以上の楽曲を抽出して、それぞれの楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報と、を関連付けて格納したプレイリストが作成される。
【0062】
利用者は、ストレージ206に格納されている膨大な数の楽曲をプレイリストによりグループ分けすることにより、DAP200において所望の楽曲を容易に再生させることができる。
【0063】
また、本実施形態のカラオケシステムでは、DAP200で作成されたプレイリスト情報をカラオケ装置100に送信することで、当該プレイリストに登録されている楽曲の中からカラオケ装置100で再生させる楽曲を選択可能となるので、カラオケ装置100における選曲操作が簡単になる。
【0064】
図5は、カラオケ装置100において実行される再生楽曲予約処理の一例を示すフローチャートである。この再生楽曲予約処理は、制御部104によって所定のプログラムが実行されることにより行われる。なお、図5は、DAP200から送信されたプレイリスト情報に基づく再生楽曲予約処理を示すものであり、カラオケ装置100においては操作部103から直接曲番号を入力することにより再生楽曲を予約できることはいうまでもない。
【0065】
まず、ステップS201で、DAP200から送信されたプレイリスト情報を受信したか判定する。そして、ステップS201でプレイリスト情報を受信していないと判定した場合は、そのまま処理を終了する。例えば、カラオケ装置100とDAP200との通信リンクが確立されている状態で、DAP200側でプレイリスト送信操作が行われると、カラオケ装置100側でプレイリスト情報が受信される。
【0066】
なお、DAPのカラオケ通信部201とカラオケ装置のDAP通信部114との間で通信リンクを確立するための通信情報の送受信を行うことで両者間の通信リンクは確立される。
【0067】
ステップS201でプレイリスト情報を受信したと判定した場合は、プレイリスト情報を解析する(ステップS202)。具体的には、プレイリスト情報に含まれる楽曲情報とストレージ102に格納されている楽曲情報を比較することにより、プレイリストに登録されている楽曲を特定する(再生楽曲特定手段)。なお、DAP200で作成されたプレイリストに登録されている楽曲であっても、ストレージ102或いはカラオケサーバ300に当該楽曲に対応する情報がなければ、カラオケ装置100で再生することはできない。
【0068】
次いで、ステップS203では、ステップS202で特定された楽曲のリスト(プレイリスト)を、例えば、ディスプレイ113に表示する。このとき、プレイリストに登録されているが、カラオケ装置100で再生不可(例えば、ストレージ102に格納されていない楽曲)である楽曲については、淡色表示したり、登録楽曲として表示させないようにしたりして、再生できないことを利用者が認識できるようにするのが望ましい。
【0069】
ステップS204では、このプレイリストが表示されている状態で、再生楽曲が選択されたか判定する。例えば、プレイリストの中の特定の楽曲にカーソルを合わせた状態で、予約ボタンが操作されることで、当該楽曲を再生楽曲として設定する。つまり、プレイリストに格納されている楽曲をすべて再生楽曲として予約するのではなく、再生させる楽曲を選択可能にしている(再生楽曲選択手段)。
【0070】
ステップS204で再生楽曲が選択されていないと判定された場合は、そのまま処理を終了する。例えば、プレイリストが表示された状態で再生楽曲の選択が行われないまま、プレイリスト非表示ボタン等が操作された場合に再生楽曲は選択されないものとして判断すればよい。
【0071】
また、ステップS204で再生楽曲が選択されたと判定した場合は、選択された楽曲を予約リストに登録する(ステップS205)。そして、ステップS204,S205の処理を繰り返すことで、表示されているプレイリストの中から複数の楽曲を再生楽曲として選択させることができる。
【0072】
カラオケ装置100では、上述した再生楽曲予約処理により、DAP200から送信されたプレイリストを利用して再生楽曲の予約リストを容易に作成でき、後述する曲再生処理では、この予約リストに基づいて楽曲が再生されることとなる。
【0073】
図6は、カラオケ装置100において実行される曲再生制御処理の一例を示すフローチャートである。この曲再生制御処理は、制御部104によって所定のプログラムが実行されることにより行われる。なお、再生楽曲に対応する映像情報の再生制御処理については省略する。
【0074】
まず、ステップS301で、予約リストに登録されている楽曲があるか判定し、予約リストに再生楽曲が登録されている場合はステップS302に移行する。一方、予約リストに再生楽曲が登録されていない場合は、選曲があるまで(予約リストに楽曲が登録されるまで)待機することとなる。
【0075】
ステップS302では、予約リストに登録されている楽曲の曲番号に基づいてストレージ102に格納されているデータベースを検索する(曲検索処理)。そして、予約された楽曲の曲番号に対応する演奏情報を読み出し、曲再生処理の準備をする。
【0076】
ステップS303では、再生楽曲に対応するキー情報がプレイリストに設定されている場合に、このキー情報に基づいてキー変更処理を行う。例えば、キー情報が原曲の音階を基準として半音単位で設定されている場合、制御部14はストレージ102に格納されている演奏情報の音階と原曲の音階を比較し、キー情報に基づくキーシフト量を決定することとなる。なお、プレイリストに当該再生楽曲に対応するキー情報が設定されていないときは、このキー変更処理は実行されない。
【0077】
ステップS304では、ステップS302において読み出された演奏情報に基づいて、信号処理部205に曲再生処理を行わせる。具体的には、演奏情報にデコード処理やD/A変換処理を施してアナログの再生音声信号を生成させる。このとき、ステップS303においてキー変更が指示されている場合は、元の演奏情報(ストレージ102から読み出された演奏情報)にキーシフト量を反映する信号処理を施して、再生音声信号を生成することとなる。
【0078】
ステップS305では、楽曲の再生が終了したか判定する。そして、ステップS305で楽曲が終了したと判定した場合は、ステップS301に移行して次の予約楽曲の再生処理を行う。
【0079】
また、ステップS305で楽曲が終了していない(再生中)と判定した場合は、ステップS303〜S305の処理を繰り返す。このとき、操作部103からキー変更の指示信号が入力された場合には、ステップS303においてこの入力信号に基づくキーシフト量が決定されることとなる。
【0080】
上述したように、本実施形態のカラオケシステムでは、DAP200から送信されたプレイリスト情報に基づいてカラオケ装置100で楽曲を予約し、再生させることができる。このとき、利用者は再生楽曲の音階を変更するためのキー情報を予めDAP200側で設定することができる。
【0081】
そして、カラオケ装置100は、DAP200によって予め設定され送信されたキー情報に基づいて、再生される楽曲の音階を変更するので、カラオケ装置100において行うキー変更操作に伴う問題を回避でき、利便性を向上できる。
さらに、カラオケ装置100では、楽曲の再生当初から利用者のキー変更が反映されることとなるので、キー変更操作に伴い楽曲の歌唱が中断されることはなくなる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、プレイリスト作成処理において、それぞれの楽曲に対応してキー情報を設定する場合について説明したが、プレイリストを作成した後にキー情報を設定できるようにしてもよい。また、一度設定したキー情報を変更できるようにすれば、カラオケ装置においてキー変更された結果が所望のものとずれていた場合でも、次回からは所望のキー変更を反映させることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、複数の楽曲に対応する楽曲情報とキー情報をプレイリストの形式で一括してカラオケ装置に送信する場合について説明したが、再生させる楽曲に対応する楽曲情報とキー情報とを関連付けて、一曲分ずつ送信するようにしてもよい。
【0085】
さらに、本明細書では、カラオケ装置において再生される楽曲の音階を利用者が携帯型音楽再生装置を用いて予め設定できることについて説明したが、楽曲のテンポ等、楽曲の特性一般について適用できる可能性がある。
【0086】
また、上記実施形態では、携帯型音楽再生装置としてディジタルオーディオプレーヤ(DAP)を例示して説明したが、通信機能を有するものであれば如何なる音楽再生装置であっても構わない。例えば、DAP以外のものとして、音楽再生機能を有する携帯電話や携帯ゲーム機器などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るカラオケシステムの概念図である。
【図2】本実施形態のカラオケシステムを構成するDAP200の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のカラオケシステムを構成するカラオケ装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図4】DAP200において実行されるプレイリスト作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】カラオケ装置100における再生楽曲予約処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】カラオケ装置100における曲再生制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】従来のカラオケ装置100Aの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
100 カラオケ装置
103 再生楽曲特定手段(制御部)
200 ディジタルオーディオプレイヤー(携帯型音楽再生装置)
202 再生楽曲予約手段(制御部)
300 カラオケサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の楽曲のそれぞれについて、楽曲演奏に使用する演奏情報と、楽曲を特定するための楽曲情報と、を関連づけて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に格納されている複数の楽曲の中から選択された楽曲に対応する演奏情報に基づいて、再生音声信号を生成し出力する再生手段と、を有する携帯型音楽再生装置であって、
カラオケ装置と各種情報を送受信可能な通信手段と、
前記カラオケ装置に再生させる楽曲を設定可能な再生楽曲予約手段と、を備え、
前記再生楽曲予約手段は、前記再生させる楽曲に対応する前記楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報とを関連づけて、前記カラオケ装置に送信することを特徴とする携帯型音楽再生装置。
【請求項2】
複数の楽曲の中から選択された楽曲に対応する演奏情報に基づいて当該楽曲を再生可能なカラオケ装置と、前記カラオケ装置と各種情報を送受信可能な携帯型音楽再生装置と、で構成されるカラオケシステムにおいて、
前記携帯型音楽再生装置は、
前記カラオケ装置に再生させる楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報と、を関連づけて前記カラオケ装置に送信し、前記カラオケ装置に再生させる楽曲を予約可能とする再生楽曲予約手段を備え、
前記カラオケ装置は、
前記携帯型音楽再生装置から送信された前記楽曲情報に基づいて再生する楽曲を特定可能な再生楽曲特定手段と、
前記キー情報に基づいて再生楽曲に対応する演奏情報に所定の信号処理を施して再生楽曲の音階を変更可能なキー変更手段と、を備えることを特徴とするカラオケシステム。
【請求項3】
前記再生楽曲予約手段は、複数の楽曲の中から1又は2以上の楽曲を抽出して、それぞれの楽曲に対応する楽曲情報と、当該楽曲のキー変更に利用するキー情報と、を関連づけて格納したプレイリストを作成するプレイリスト作成手段を有し、
前記再生楽曲特定手段は、前記再生楽曲予約手段によって送信されたプレイリストに含まれる楽曲情報を解析し、再生する楽曲を特定可能であることを特徴とする請求項2に記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記キー情報は、原曲の音階を基準として設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載のカラオケシステム。
【請求項5】
前記再生楽曲特定手段は、前記プレイリストに格納された楽曲の中から再生させる楽曲を選択可能な再生楽曲選択手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−216771(P2008−216771A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55776(P2007−55776)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】