説明

携帯無線機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は携帯無線機に係り、特に必要に応じて筐体でキー操作部を覆うことができる携帯無線機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯無線機では、その携帯性を向上させるために、折り畳み構造が多く採用されている。折り畳み構造の携帯無線機は、使用時にカバーを開くことでキー操作部が露呈し、且つ使用に適したサイズとなり、携帯時にはカバーを閉じることでキー操作部が覆われ、且つ携帯に適したサイズになる。
【0003】このような従来の携帯無線機の一例を図15R>5に示す(特開平4−307841号公報を参照)。同図において、本体101にはキー操作部102及びマイク103が設けられ、その本体101の上端部にヒンジ104を介してスピーカ105を有するカバー106が回動可能に連結されている。
【0004】カバー106は矢印■及び■方向に回動自在であり、使用していない状態ではカバー106を■方向に閉じることで本体101に収納され、キー操作部102を保護し、携帯に適した状態となる。使用時には、カバー106を矢印■方向に開くことで、キー操作部102が露呈すると共に、マイク103及びスピーカ105が使用に適した位置関係となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の携帯無線機では、カバー106を閉じると本体101のキー操作部102が全て覆われてしまい、カバー106を開かなければキー操作を行うことができず、携帯時の操作性に問題があった。
【0006】本発明の目的は、携帯時の操作性を向上させる構造を有する携帯無線機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による携帯無線機は、少なくともキー操作部を有する第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に開閉自在に連結され前記キー操作部を必要に応じて覆うことができる第2筐体と、を有し、前記第2筐体には開口部が設けられ、前記第1筐体及び前記第2筐体が閉じた状態で前記キー操作部の少なくとも1個のキーが前記開口部を通して露呈することを特徴とする。
【0008】また、本発明による携帯無線機は、前記第1筐体及び前記第2筐体が閉じた状態で前記キー操作部の少なくとも1個のキーを操作することができる押圧可能部が前記第2筐体に設けられたことを特徴とする。
【0009】
【作用】第1筐体及び第2筐体が閉じた状態で第2筐体の開口部を通して必要なキーが露呈し、あるいは押圧可能部によって操作可能であるために、携帯時に筐体を開くことなくキー操作を行うことができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0011】図1は本発明による携帯無線機の第1実施例のオープン時の平面図、図2は本実施例のクローズ時の一部破断側面図、図3は本実施例のクローズ時の平面図である。
【0012】本実施例による携帯無線機は折り畳み構造を有しており、筐体1(ここでは本体)と筐体2(ここではカバー)とがヒンジ部3によって所定角度の範囲で回動自在に連結されている(図2参照)。
【0013】図1において、筐体1の主面下部には、ダイヤリング等を行うためのキーが配列されたキー操作部4が設けられ、その中に電源キー5が含まれている。筐体1の主面上部にはスピーカ6が、更に筐体1の上面には矢印a方向に伸縮自在のアンテナ7がそれぞれ設けられている。
【0014】筐体2はマイク8と開口部9を有し、マイク8は筐体2を開いた状態においてスピーカ6から適度に離れた位置に来るように配置され(図1参照)、開口部9は筐体2を閉じたときにキー操作部4のうち少なくとも電源キー5が露呈する位置に設けられている(図2及び図3参照)。開口部9は、筐体2を閉じた状態でも電源キー5等の必要なキーを操作できるように設けられており、ユーザーが操作し易いように開口部9の側壁はテーパ状に形成されている(図2の破断部分参照)。
【0015】本実施例を使用する場合は、図2に示すように、アンテナ7を引き伸ばし、筐体2を矢印■方向に開き、そして電源キー5を押せばよいが、筐体2を閉じた状態であっても開口部9を通して電源キー5を押すことができ、電源のオン/オフに際して筐体の開閉動作が不要となる。その他必要なキーを開口部9を通して露呈させておけば、筐体2を閉じた状態で必要な操作を行うことができる。
【0016】本実施例を使用しない場合は、アンテナ7を筐体1内に押し込み、筐体2を矢印■方向に閉じることで、携帯に適したサイズにすることができる(図3参照)。
【0017】図4は、本発明による携帯無線機の第2実施例のクローズ時の一部破断側面図である。ただし、図2R>2に示す第1実施例と同一機能を有する部材には同一番号を付している。
【0018】本実施例では、図4に示すように、筐体2に押圧可能部10を設けて筐体1の電源キー5等を筐体2側から押圧できるように構成されている。押圧可能部10は、コイルバネ11及びボタン12からなり、ボタン12のフランジ部がコイルバネ11によって外方向へ付勢された状態で筐体2の開口部にはめ込まれている。従って、筐体2を閉じてボタン12をコイルバネ11の付勢に逆らって押圧することで、電源キー5を押すことができる。このように押圧可能部10を設けることで、電源キー5を筐体2側から容易に押すことができ、キー操作性を更に向上させることができる。勿論、電源キー5だけでなく、必要なキーに対応して押圧可能部10を設けておけばよい。
【0019】なお、押圧可能部10の構成は、本実施例に限定されるものではなく、種々の構成が可能である。例えば、弾性を有する部材を用いて筐体2の押圧可能部10を形成してもよい。
【0020】図5は本発明による携帯無線機の第3実施例のオープン時の平面図、図6は本実施例のオープン時の側面図、図7は本実施例のクローズ時の一部破断側面図である。なお、第1実施例と同一機能を有する部材には同一番号を付している。
【0021】本実施例による携帯無線機はスライド開閉構造を有しており、筐体1(ここでは本体)と筐体2(ここではカバー)とは互いの湾曲面でスライド可能に連結されている(図6参照)。
【0022】図5において、筐体1の湾曲面下部には、ダイヤリング等を行うためのキーが配列されたキー操作部4が設けられ、その中に電源キー5が含まれている。筐体1の主面上部にはスピーカ6が、更に筐体1の上面には矢印a方向に伸縮自在のアンテナ7がそれぞれ設けられている。
【0023】筐体2の外部平面にはマイク8と開口部9とが設けられ、マイク8は筐体2を開いた状態においてスピーカ6から適度に離れた位置に来るように配置され(図5及び図6参照)、開口部9は筐体2を閉じたときにキー操作部4のうち少なくとも電源キー5が露呈する位置に設けられている(図7参照)。開口部9は、筐体2を閉じた状態でも電源キー5等の必要なキーを操作できるように設けられており、ユーザーが操作し易いように開口部9の側壁はテーパ状に形成されている(図7の破断部分参照)。
【0024】本実施例を使用する場合は、図5及び図6に示すように、アンテナ7を引き伸ばし、筐体2を矢印■方向にスライドさせて開き、そして電源キー5を押せばよいが、筐体2を閉じた状態であっても開口部9を通して電源キー5を押すこともできる。その他必要なキーを開口部9を通して露呈させておけば、筐体2を閉じた状態で必要な操作を行うことができる。
【0025】本実施例を使用しない場合は、アンテナ7を筐体1内に押し込み、筐体2を矢印■方向にスライドさせて閉じることで、携帯に適したサイズにすることができる(図7参照)。
【0026】なお、開口部9の代わりに、図4に示すような押圧可能部10を筐体2に形成すれば、更に操作性を改善することができる。
【0027】図8は本発明による携帯無線機の第4実施例のオープン時の平面図、図9は本実施例のオープン時の一部破断側面図、図10は本実施例のクローズ時の平面図である。
【0028】本実施例による携帯無線機は折り畳み構造を有しており、筐体21と筐体22とがヒンジ部23によって所定角度の範囲で回動自在に連結されている(図9R>9参照)。
【0029】図8において、筐体21の主面上部にはスピーカ26、筐体21の上面には矢印a方向に伸縮自在のアンテナ27、更に、筐体21の主面下部には開口部29がそれぞれ設けられている。
【0030】筐体22の主面下部には、ダイヤリング等を行うためのキーが配列されたキー操作部24が設けられ、その中に電源キー25が含まれている。また、筐体22の主面上部にはマイク28が設けられている。マイク8は筐体2を開いた状態においてスピーカ26から適度に離れた位置に来るように配置される(図8及び図9参照)。また、筐体21の開口部29は、筐体21と筐体22とを閉じたときにキー操作部24のうち少なくとも電源キー25が露呈する位置に設けられている(図10R>0参照)。開口部29は、筐体21及び22を閉じた状態でも電源キー25等の必要なキーを操作できるように設けられており、ユーザーが操作し易いように開口部29の側壁はテーパ状に形成されている(図9の破断部分参照)。
【0031】本実施例を使用する場合は、図9に示すように、アンテナ27を引き伸ばし、筐体22を矢印■方向に開き、そして電源キー25を押せばよいが、筐体22を閉じた状態であっても開口部29を通して電源キー25等を押すこともできる(図10参照)。その他必要なキーを開口部29を通して露呈させておけば、筐体22を閉じた状態で必要な操作を行うことができる。
【0032】本実施例を使用しない場合は、アンテナ27を筐体21内に押し込み、筐体22を矢印■方向に閉じることで、携帯に適したサイズにすることができる(図10参照)。
【0033】図11は、本発明による携帯無線機の第5実施例のクローズ時の一部破断側面図である。ただし、図8に示す第4実施例と同一機能を有する部材には同一番号を付している。
【0034】本実施例では、図11に示すように、筐体21に押圧可能部30を設けて筐体22の電源キー25等を筐体21側から押圧できるように構成されている。押圧可能部30は、コイルバネ31及びボタン32からなり、ボタン32のフランジ部がコイルバネ31によって外方向へ付勢された状態で筐体21の開口部にはめ込まれている。従って、筐体22を閉じてボタン32をコイルバネ31の付勢に逆らって押圧することで、電源キー25を押すことができる。このような押圧可能部30を必要なキーに対応して設けておけば、筐体21から必要なキー操作を容易に行うことができ、携帯無線機としてのキー操作性が更に向上する。
【0035】なお、押圧可能部30の構成は、本実施例に限定されるものではなく、種々の構成が可能である。例えば、弾性を有する部材を用いて筐体21の押圧可能部30を形成してもよい。
【0036】図12は本発明による携帯無線機の第6実施例のオープン時の平面図、図13は本実施例のオープン時の側面図、図14は本実施例のクローズ時の一部破断側面図である。
【0037】本実施例による携帯無線機はスライド開閉構造を有しており、筐体21と筐体22とは互いの湾曲面でスライド可能に連結されている(図13参照)。
【0038】図12及び図13において、筐体21の主面上部にはスピーカ26が、筐体21の主面下部には開口部29がそれぞれ設けられている。筐体22の湾曲面には、ダイヤリング等を行うためのキーが配列されたキー操作部24が設けられ、その中に電源キー25が含まれている。また、筐体22の上面には矢印a方向に伸縮自在のアンテナ27、主面下部にはマイク28がそれぞれ設けられている。
【0039】マイク28は筐体21を開いた状態においてスピーカ26から適度に離れた位置に来るように配置される。また、筐体21の開口部29は、筐体21と筐体22とを閉じたときにキー操作部24のうち少なくとも電源キー25が露呈する位置に設けられている(図14R>4参照)。開口部29は、筐体21及び22を閉じた状態でも電源キー25等の必要なキーを操作できるように設けられており、ユーザーが操作し易いように開口部29の側壁はテーパ状に形成されている(図14の破断部分参照)。
【0040】本実施例を使用する場合は、図12及び図1313に示すように、アンテナ27を引き伸ばし、筐体21を矢印■方向に開き、そして電源キー25を押せばよいが、筐体21を閉じた状態であっても開口部29を通して電源キー25等を押すこともできる(図14参照)。その他必要なキーを開口部29を通して露呈させておけば、筐体21を閉じた状態で必要な操作を行うことができる。
【0041】本実施例を使用しない場合は、アンテナ27を筐体22内に押し込み、筐体21を矢印■方向に閉じることで、携帯に適したサイズにすることができる(図14参照)。
【0042】なお、開口部29の代わりに、図11に示すような押圧可能部30を筐体21に形成すれば、更に操作性を改善することができる。
【0043】上記第1〜第6実施例におけるキー操作部4あるいは24は、液晶タッチパネルで構成してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明による携帯無線機は、第1筐体及び第2筐体が閉じた状態で第2筐体の開口部を通して必要なキーが露呈し、あるいは押圧可能部によって操作可能であるために、携帯時に筐体を開くことなくキー操作を行うことができ、携帯無線機としての操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による携帯無線機の第1実施例のオープン時の平面図である。
【図2】第1実施例のクローズ時の一部破断側面図である。
【図3】第1実施例のクローズ時の平面図である。
【図4】本発明による携帯無線機の第2実施例のクローズ時の一部破断側面図である。
【図5】本発明による携帯無線機の第3実施例のオープン時の平面図である。
【図6】第3実施例のオープン時の側面図である。
【図7】第3実施例のクローズ時の一部破断側面図である。
【図8】本発明による携帯無線機の第4実施例のオープン時の平面図である。
【図9】第4実施例のオープン時の一部破断側面図である。
【図10】第4実施例のクローズ時の平面図である。
【図11】本発明による携帯無線機の第5実施例のオープン時の一部破断側面図である。
【図12】本発明による携帯無線機の第6実施例のオープン時の平面図である。
【図13】第6実施例のオープン時の側面図である。
【図14】第6実施例のクローズ時の一部破断側面図である。
【図15】従来の携帯無線機の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 筐体
3 ヒンジ部
4 キー操作部
5 電源キー
6 スピーカ
7 アンテナ
8 マイク
9 開口部
10 押圧可能部
11 コイルバネ
12 ボタン
21 筐体
22 筐体
23 ヒンジ部
24 キー操作部
25 電源キー
26 スピーカ
27 アンテナ
28 マイク
29 開口部
30 押圧可能部
31 コイルバネ
32 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に開閉自在に連結された第2筐体とを有し、前記第1筐体と第2筐体とを閉じたときに前記第1筐体の前記第2筐体と対抗する面にキー操作部を有する携帯無線機において、前記第2筐体は前記キー操作部の一部に対応する位置に開口部を有し、前記第1筐体及び前記第2筐体が閉じた状態で前記キー操作部の少なくとも1個のキーが前記開口部を通して露呈することを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】 前記第1筐体及び前記第2筐体は、互いに一定角度で回動自在に連結されていることを特徴とする請求項1記載の携帯無線機。
【請求項3】 前記第1筐体及び前記第2筐体は、互いにスライド可能に連結され伸縮自在であることを特徴とする請求項1記載の携帯無線機。
【請求項4】 前記開口部から露呈するキーに電源キーが含まれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の携帯無線機。
【請求項5】 第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に開閉自在に連結された第2筐体とを有し、前記第1筐体と第2筐体とを閉じたときに前記第1筐体の前記第2筐体と対抗する面にキー操作部を有する携帯無線機において、前記第2筐体は前記キー操作部の一部に対応する位置に開口部を有し、前記第1筐体及び前記第2筐体が閉じた状態で前記キー操作部の少なくとも1個のキーを操作することができる押圧可能部が前記第2筐体の前記開口部に設けられたことを特徴とする携帯無線機。
【請求項6】 前記押圧可能部は、前記キーの押圧方向とは逆の方向に付勢された可動部からなることを特徴とする請求項5記載の携帯無線機。
【請求項7】 前記第1筐体及び前記第2筐体は、互いに一定角度で回動自在に連結されていることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の携帯無線機。
【請求項8】 前記第1筐体及び前記第2筐体は、互いにスライド可能に連結され伸縮自在であることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の携帯無線機。
【請求項9】 前記押圧可能部によって操作され得るキーに電源キーが含まれることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の携帯無線機。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図15】
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【特許番号】第2630224号
【登録日】平成9年(1997)4月18日
【発行日】平成9年(1997)7月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−268291
【出願日】平成5年(1993)9月30日
【公開番号】特開平7−107001
【公開日】平成7年(1995)4月21日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−86929(JP,A)
【文献】特開 昭64−89844(JP,A)
【文献】特開 昭59−135960(JP,A)
【文献】実開 平5−46135(JP,U)