説明

携帯用ブロワのグリップ

【課題】振動を十分に低減でき、作業者の疲労を十分に軽減できる携帯用ブロワのグリップを提供することを課題とする。
【解決手段】携帯用ブロワ100のハンドル1に取り付けられ作業者Pに握られる軟質材のグリップ2が、ヒダ2Xを有し、携帯用ブロワ100を作業姿勢となるように前傾させたときに、当該ヒダ2Xが鉛直方向Vを向く配置とすることで、作業時にあって、携帯用ブロワ100の重量が、鉛直方向Vを向いているヒダ2Xを介して手にかかるようにし、これにより、ヒダ2Xの潰れを防止すると共に当該ヒダ2Xによりグリップ2と手との接触面積を小さくし、手に伝わる振動を十分に低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用ブロワのグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば道路や公園等において塵や落葉等を容易に集める装置として、例えば以下の特許文献1に記載の携帯用送風機が知られている。この携帯用送風機にあっては、作業者は、携帯用送風機のハンドルを片手で握って持つと共に搭載されたエンジンを駆動し、吹出口からの送風によって塵や落葉等を吹き集める。
【0003】
ここで、上記携帯用送風機においては、主にエンジンが発する振動がハンドルから作業者の手にそのまま伝わり、作業者の疲労の原因の一つとなっている。
【0004】
そこで、このような携帯作業機において作業者に伝わる振動を低減するものの一つとして、例えば以下の特許文献2に記載の刈払機のグリップが知られている。この特許文献2に記載の刈払機にあっては、ハンドルに対応するメインパイプ上に、弾性材料より成るグリップが装着され、当該グリップの両端部のみがメインパイプに接触し、グリップの両端部間の部分はメインパイプに対して隙間を有し接触しない構成とされている。従って、グリップの両端部間の部分にはメインパイプから直接振動が伝わらず、弾性材料より成るグリップの両端部で振動が減衰してこれが作業者の手に伝わり、作業者には強い振動が感じないとされている。
【特許文献1】特開平8−200064号公報
【特許文献2】特許第2878679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載のグリップにあっては、振動の低減が十分では無く、作業者の疲労が十分には軽減されない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、振動を十分に低減でき、作業者の疲労を十分に軽減できる携帯用送風機を始めとした携帯用ブロワのグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による携帯用ブロワ(100)のグリップ(2)は、携帯用ブロワ(100)のハンドル(1)に取り付けられ、作業者(P)に握られる軟質材のグリップ(2)であって、携帯用ブロワ(100)を作業姿勢となるように前傾させたときに、鉛直方向(V)を向くヒダ(2X)を備えたことを特徴としている。
【0008】
このような携帯用ブロワ(100)のグリップ(2)によれば、携帯用ブロワ(100)のハンドル(1)に取り付けられ作業者(P)に握られる軟質材のグリップ(2)が、ヒダ(2X)を有し、携帯用ブロワ(100)を作業姿勢となるように前傾させたときに、当該ヒダ(2X)が鉛直方向(V)を向く配置とされているため、作業時にあって、携帯用ブロワ(100)の重量は、鉛直方向(V)を向いているヒダ(2X)を介して手にかかり、従って、当該ヒダ(2X)の潰れが防止されると共に当該ヒダ(2X)によりグリップ(2)と手との接触面積が小さくされ、その結果、手に伝わる振動が十分に低減されて、作業者(P)の疲労が十分に軽減される。
【0009】
なお、作業時にあって、ヒダが鉛直方向(V)に対して斜めであると、携帯用ブロワ(100)の重量は、鉛直方向(V)に対して斜めであるヒダを介して手にかかり、従って、当該ヒダは潰れてしまい、その結果、グリップ(2)と手との接触面積が大幅に増加し、防振効果は低くなる。
【0010】
ここで、グリップ(2)は、その内面に複数の凸部(2a)を備え、凸部(2a)の先端面(2b)が、ハンドル(1)の外面に局所的に当接していると、ハンドル(1)の外面とグリップ(2)の内面とが全面的に当接している場合に比して、ハンドル(1)からグリップ(2)に対する振動の伝達が少なくされ、これにより、手に伝わる振動が一層低減され、作業者(P)の疲労が一層軽減される。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、振動を十分に低減でき、作業者の疲労を十分に軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯用ブロワのグリップの好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る携帯用ブロワを示す側面図、図2は、図1中のハンドル及びグリップを示す斜視図、図3は、図2中のハンドルを示す断面斜視図、図4は、図2中のグリップを示す断面斜視図、図5は、図1に示す携帯用ブロワを作業者が使用している状態図であり、本実施形態の携帯用ブロワ(ハンディブロワとも称す)は、送風により塵や落葉等を吹き集める送風機の機能を有するものである。
【0013】
具体的には、図1に示すように、携帯用ブロワ100は概略、風を生起するための本体5と、この本体5で生起した風を送り・吹き出すための吹出パイプ4と、本体5を持つための把手であるハンドル1と、を備えている。
【0014】
本体5は、ハンディタイプに構成されて内部にエンジン(不図示)を収容し、当該エンジンの駆動により風を生起する。
【0015】
吹出パイプ4は、本体5の上部前面に接続され、本体5内で生起された風をその先端の吹出口4aに送るものである。この吹出パイプ4の吹出口4aは、塵や落葉等を容易に吹き集めるべくノズル形状に構成されている。
【0016】
ハンドル1は、図1〜図3に示すように、本体5の上部に設けられている剛質体であり、手を進入させて握り、手で持つことができるように輪状(環状)に構成されている。そして、ハンドル1の手が進入する空間部分6の前側の部分には、図1及び図2に示すように、エンジン回転数をコントロールするためのスロットルレバー3が可動に設けられている。
【0017】
このハンドル1に対しては、振動を減少させるための軟質材のグリップ2が取り付けられている。このグリップ2は、例えばゴム等より成り、ハンドル1の上部を構成し作業者Pにより握られる握り部1a(図3参照)を覆うように取り付けられている。
【0018】
ここで、特に本実施形態にあっては、グリップ2は、図1、図2及び図4に示すように、外側に向かって凹凸する多数のヒダ2Xを並設して備えている。
【0019】
これらのヒダ2Xは、図1に示すように、携帯用ブロワ100を地面(床)F等に水平に静置したときに、鉛直方向Vに対して後方に所定の角度θを有し斜めを向く(斜め方向に延在する)ように設けられている。換言すれば、図5に示すように、ヒダ2Xは、作業者Pが作業時に携帯用ブロワ100を手で持って作業姿勢となるように前傾させたときに(作業状態としたときに)、鉛直方向Vを向く(鉛直方向Vに延在する)ように設けられている。
【0020】
また、グリップ2は、図4に示すように、その内面に複数の凸部2aを備え、当該凸部2aの先端面2bが、ハンドル1の外面に局所的に当接した状態で、ハンドル1に取り付け装着されている。
【0021】
このような構成を有する携帯用ブロワ100によれば、作業者Pは、携帯用ブロワ100のグリップ2を片手で握って持ち、スロットルレバー3を操作することで、エンジン回転数を上げ送風量をコントロールしながら、吹出パイプ4を介して吹出口4aから送風し塵や落葉等を吹き集める。
【0022】
このとき、図5に示すように、作業者Pは、グリップ2を介して片手で持っている携帯用ブロワ100をその作業姿勢となるように前傾させ、この前傾状態で作業を行う。
【0023】
ここで、本実施形態にあっては、作業時にヒダ2Xは鉛直方向Vを向いている。このため、携帯用ブロワ100の重量は、鉛直方向Vを向いているヒダ2Xを介して手にかかり、従って、当該ヒダ2Xの潰れが防止されると共に当該ヒダ2Xによりグリップ2と手との接触面積が小さくされ、その結果、手に伝わる振動が十分に低減されて、作業者Pの疲労が十分に軽減されている。
【0024】
また、本実施形態においては、グリップ2が、その内面に複数の凸部2aを備え、これらの凸部2aの先端面2bが、ハンドル1の外面に局所的に当接しているため、ハンドル1の外面とグリップ2の内面とが全面的に当接している場合に比して、ハンドル1からグリップ2に対する振動の伝達が少なくされ、これにより、手に伝わる振動が一層低減され、作業者Pの疲労が一層軽減されている。
【0025】
因みに、作業時にあって、ヒダが鉛直方向Vに対して斜めであると、携帯用ブロワ100の重量は、鉛直方向Vに対して斜めであるヒダを介して手にかかり、従って、当該ヒダは潰れてしまい、その結果、グリップ2と手との接触面積が大幅に増加し、防振効果は低くなってしまう。
【0026】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、吹出パイプ4を有し吹き出しを行う携帯用送風機の機能を備えた携帯用ブロワ100に対する適用を述べているが、吸込パイプを有し吸い込みを行う携帯用ブロワや、吹出パイプ、吸込パイプを選択して装着可能であり、吹き出し、吸い込みを選択して行い得る携帯用ブロワに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯用ブロワを示す側面図である。
【図2】図1中のハンドル及びグリップを示す斜視図である。
【図3】図2中のハンドルを示す断面斜視図である。
【図4】図2中のグリップを示す断面斜視図である。
【図5】図1に示す携帯用ブロワを作業者が使用している状態図である。
【符号の説明】
【0028】
1…ハンドル、2…グリップ、2a…凸部、2b…凸部の先端面、2X…ヒダ、100…携帯用ブロワ、P…作業者、V…鉛直方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用ブロワ(100)のハンドル(1)に取り付けられ、作業者(P)に握られる軟質材のグリップ(2)であって、
前記携帯用ブロワ(100)を作業姿勢となるように前傾させたときに、鉛直方向(V)を向くヒダ(2X)を備えたことを特徴とする携帯用ブロワ(100)のグリップ(2)。
【請求項2】
前記グリップ(2)は、その内面に複数の凸部(2a)を備え、
前記凸部(2a)の先端面(2b)が、前記ハンドル(1)の外面に局所的に当接することを特徴とする請求項1記載の携帯用ブロワ(100)のグリップ(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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