説明

携帯用殺菌水生成器

【課題】 簡易的に殺菌性金属イオン水を生成する小型の携帯用殺菌水生成器を提供する。
【解決手段】 携帯用殺菌水生成器において、殺菌性の金属イオンを電解溶出する金属からなる電極を少なくとも一つ含む一対以上の電極と、殺菌水を貯留し電極を内部に有する小型の容器内と、殺菌水を外部に吐出させる吐出部と前記電解溶出を制御する制御部を設けるようにするとともに、電極に容器内の殺菌水を攪拌する攪拌手段を持たせた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌性金属イオンを有する殺菌水を簡易的に生成し得る殺菌水生成器であって、特に携帯用の殺菌水生成器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、殺菌技術としては、次亜塩素酸、オゾンなどによる殺菌が多く見られる。この内、既知の技術ではあるが銀イオン水などの殺菌性金属イオン水は低濃度で高殺菌性を示し、最近その有用性が改めて見直されてきた。例えば、特開平8−192161号においては、水道蛇口に容易に取付けることができ、且つ容易に電極の交換が可能な銀イオン水生成器が考案されている。
【0003】また、殺菌性のイオン水の利用先として、近年のアウトドア指向等、野外での衛生面での配慮を行うため、そのニーズも増える傾向にある。このため、手軽に移動して容易に殺菌を行えるようなものが求められている。なお、手軽に移動して殺菌を行えることは、屋内での使用であっても有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の殺菌性金属イオン水生成器では、水道蛇口に取り付けた場合など、電解中も水が連続で流れ出るため、一定濃度の殺菌性金属イオンの生成が困難であった。また、簡易的に殺菌性金属イオン水を得ることはできるが、手軽に移動できる等、携帯性に優れているとは言えなかった。特に携帯用とする場合、予め大きな容器に殺菌性金属イオンを貯留して用いることができる据え付け型のものと異なり、小型化のために容器を小型のものにしようとするが、吐出する金属イオンの濃度を一定にするための工夫が必要であった。これについては、容器に貯水した後、殺菌性金属イオンを溶出した後、攪拌を行うように試みていたが、この攪拌のための装置を設ける必要が生じ、携帯用に適する程の小型化を行う上での障害となっていた。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、持ち運びに優れ、殺菌が手軽にできる携帯用の殺菌水生成器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、携帯用殺菌水生成器において、殺菌性の金属イオンを電解溶出する金属からなる電極を少なくとも一つ含む一対以上の電極と、殺菌水を貯留し電極を内部に有する小型の容器内と、殺菌水を外部に吐出させる吐出部と前記電解溶出を制御する制御部を設けるようにした。さらに、電極に容器内の殺菌水を攪拌する攪拌手段を持たせるようにした。これにより、殺菌性の金属イオン水を生成でき、かつ携帯に適した携帯用殺菌水生成器とすることができる。また、別途攪拌の手段を設けることなく、電極自体に攪拌機能を併せ持たせたので、より小型化に貢献し、携帯しやすくなる。請求項1,2の発明である。なお、電極に併せ持たせる攪拌手段としては、電極自体に回転もしくは揺動させるようにしてもよい。その動力としては、手動もしくはモータなどで動作させることも可能である。また、殺菌性金属イオンを溶出する電極の材質としては、銀、銅などがあげられるが、電池の寿命、経済性などから微少な濃度で効果の得られる銀が望ましい。
【0007】さらに、殺菌性の金属イオンを電解溶出している場合には、攪拌を行わないようにした。これにより、殺菌性の金属イオンを電解溶出する金属からなる電極の周囲と電極間で発生する金属イオンの、水中における濃度が高くなる現象を利用し電解効率を高い状態で維持することができる。請求項3の発明である。
【0008】さらに、制御部を駆動する電源部が一次電池、もしくは二次電池とした。また、電源部を家庭用交流電源とした。これにより、一次電池もしくは二次電池により電灯線の制約を受けることがなく、アウトドアなど屋外での使用に好適な携帯用殺菌水生成器とすることができる。請求項4の発明である。
【0009】さらに、制御部を駆動する電源部を家庭用交流電源とした。これにより、屋内で移動して利用した場合であっても、常に安定して電源による携帯用殺菌水生成器の使用が可能となる。請求項5の発明である。なお、先述の一次電池もしくは二次電池との併用など交流直流のハイブリッドとすれば、さらに効果的な運用が可能である。
【0010】さらに、殺菌水生成器の吐出部をスプレー式とした。吐出部が例えば押しポンプ式の単純な筒形状で殺菌性金属イオン水を局所的にしか垂らせない場合、効率が悪い。吐出部に例えばハンドスプレーのように広範囲に満遍なく殺菌性金属イオン水を散布でき、目標物に対して確実に散布できる吐出部品を、容器にねじ方式などで取り付けると効率がよい。また、前記スプレー部はねじ方式により簡単に取り付け取り外しができ、散布の際、片手で操作できることが望ましい。請求項6の発明である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
【実施例】図1は本発明の携帯用殺菌性金属イオン水生成器の構成図である。図1に記載する構成について説明する。容器2に吐出部1を取り付け、殺菌性金属イオン水を生成する制御部5、電極を回転させる電動もしくは手動の回転もしくは揺動、振動させるモータまたはモータとカムのギアのなどの組み合わせ、もしくはハンドルを取り付ける際のコネクタ部6と、前記部位と電極をつなげるコネクタ7と、前記部位と電極を接続するコネクタ、もしくは電極取り付け板8と、殺菌性金属イオンを溶出する電極9と、電極用の網目状カバー10と、制御部と電気的に接続され、電源供給を行う家庭用交流電源部もしくは一次、もしくは二次電池11により構成される。
【0013】請求項1、2、3、4に記載する動作について説明する。殺菌性金属イオン水を生成するために、まず吐出部1を容器2から取り外し、容器2に水道水を一定の水位まで入れる。入れ終わると同時に制御部5に電気的に接続されているスイッチをオンする。この動作により、家庭用交流電源部もしくは一次、もしくは二次電池11により電源が電極に供給される。この際、吐出部1は水素などの微少なガスの発生を取り除くため、取り外したままである。また、この発生ガスは微少であるため人に害を及ぼすものではないが、換気の良い場所で行うことが望ましい。その後、殺菌水生成は制御部の設定により一定時間行われ完了する。電解終了後一定時間の間、駆動部6からコネクタ7、8を通して伝えられた動きにより電極9が攪拌機能を行い、殺菌性金属イオンは容器の中に均一に分布され、殺菌効果にムラがなくなる。完成した均一濃度の殺菌性金属イオン水3の入った容器に吐出部1を取り付け、殺菌を要する物体に対し殺菌性金属イオン水を噴射する。
【0014】殺菌性金属イオンを溶出する電極9は、制御部5が電解毎に極性を切り替え、スケール付着の防止と電極9の片側のみの電極消耗防止を行うことができる。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1では、攪拌することにより殺菌性金属イオンの容器内における濃度分布を均一にし、そのため、目標となる物体に対し散布することにより、殺菌性金属イオンの効果を偏り無く発揮することができる。また、この攪拌機能について殺菌性金属イオンを溶出する電極9に持たせることにより、装置内で別に攪拌機を設けることなく、効率的かつ省スペースで装置を小型に構成することができる。
【0016】請求項2では、携帯用殺菌水生成器から殺菌性金属イオンを含む殺菌水を吐出して使用する場合、小型化した場合のネックであるイオン水の濃度均一化について攪拌を用いた場合、電極に攪拌機能を持たせることにより小型化することができる。
【0017】請求項3では、殺菌性金属イオンを溶出する電極9が電解している間は攪拌せず、前記電極9周辺の金属イオン濃度の高濃度化現象を発生させることにより、電解効率上昇を効果的に作用させ、反応時間を早めることができる。
【0018】請求項4では、一次電源もしくは二次電源を利用した殺菌性金属イオンの生成を行うことにより、携帯による運用が可能である。
【0019】請求項5では、移動先で家庭用交流電源から電源を確保できる。
【0020】請求項6では、吐出部としてハンドスプレーのようなワンプッシュでスプレー方式の吐出部から噴射される殺菌性金属イオン水は、霧状に噴射され広範囲に満遍なく殺菌対象に対してあたるため、殺菌性能という観点から少ない殺菌水で大きな効果が期待でき、容器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯用殺菌性金属イオン水生成器の構成図
【符号の説明】
1…吐出部、2…容器、3…殺菌性金属イオン水、5…制御部、6…駆動部、7…駆動部−電極取付板間コネクタ、8…電極取付板、9…電極、10…電極カバー、11…電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺菌性の金属イオンを含み殺菌効果を有する殺菌水を生成し、持ち運び可能な携帯用の殺菌水生成器において、前記殺菌性の金属イオンを電解溶出する金属からなる電極を少なくとも一つ含む一対以上の電極と、前記殺菌水を貯留し前記電極を内部に有する小型の容器内と、前記殺菌水を外部に吐出させる吐出部と前記電解溶出を制御する制御部を設けたことを特徴とする携帯用殺菌水生成器。
【請求項2】 前記殺菌水生成器において、前記電極に前記容器内の殺菌水を攪拌する攪拌手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯用殺菌水生成器。
【請求項3】 前記殺菌水生成器において、前記殺菌性の金属イオンを電解溶出している場合には、前記攪拌を行わないことを特徴とする請求項1から2記載の携帯用殺菌水生成器。
【請求項4】 前記殺菌水生成器において、前記制御部を駆動する電源部が一次電池、もしくは二次電池であることを特徴とする請求項1から3記載の携帯用殺菌水生成器。
【請求項5】 前記殺菌水生成器において、前記電源部が家庭用交流電源であることを特徴とする請求項1から3記載の携帯用殺菌水生成器。
【請求項6】 前記殺菌水生成器において、前記吐出部がスプレー式であることを特徴とする請求項1から5に記載の携帯用殺菌水生成器。

【図1】
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【公開番号】特開2000−153278(P2000−153278A)
【公開日】平成12年6月6日(2000.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−347789
【出願日】平成10年11月19日(1998.11.19)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】