説明

携帯端末及び表示制御プログラム

【課題】2つのタッチパネルを備える携帯端末において、一方のタッチパネルで表示された画像についても、他方のタッチパネルで表示される際に得られるメリットを享受可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末は、それぞれが画像を表示する第1及び第2のタッチパネルを備え、第1及び第2のタッチパネルで共に接触が検出された場合において、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たすか否かを判定し、前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタッチパネルを有する携帯電話機等の携帯端末に関し、特に、ユーザインタフェースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのタッチパネルからの入力に基づいて処理を行う携帯端末が知られている(例えば、特許文献1)。
また、携帯端末には、スライド式等の開閉による変形を可能にすることで、その携帯性を高めたものがある。このような携帯端末では、閉状態においては、筐体のサイズを小さく抑えること、つまりコンパクト化が可能になる。
【0003】
上述のような2つのタッチパネルAとBとを有する携帯端末を、スライド式等の携帯端末で実現する場合、携帯端末を閉状態から開状態へと変形させると、2つのタッチパネルAとBとが視認可能になり、開状態から閉状態へと変形させると、タッチパネルAだけが視認可能になり、タッチパネルBは背後に隠れるように、各タッチパネルを配置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−240964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような携帯端末により、開状態で表示されている2つのタッチパネルAとBとの画像を見ていたユーザが、タッチパネルAの画像だけを引き続き見られれば十分と考えた場合には、携帯端末を閉状態へと変形させることでコンパクト化することができる。
しかしながら、ユーザが、タッチパネルBの画像だけを引き続き見たいと考えた場合には、携帯端末を閉状態へと変形させてコンパクト化することができないという問題がある。
【0006】
また、開閉による変形が生じないストレート型等の携帯端末で、上述のような2つのタッチパネルAとBとを有する携帯端末を実現した場合でも、例えばタッチパネルAとBとの性能に差異がある場合等に問題が生じ得る。性能の差異として、例えば、表示領域の大小や、表示色(カラーとモノクロ)の違い等が考えられるが、低性能のタッチパネルに表示されている画像については、高性能のタッチパネルで表示される画像のように、大きく表示したり、カラーで表示したりすることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、2つのタッチパネルを備える携帯端末において、一方のタッチパネルで表示された画像についても、他方のタッチパネルで表示される際に得られるメリットを享受可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、それぞれが画像を表示する第1及び第2のタッチパネルと、第1及び第2のタッチパネルで共に接触が検出された場合において、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末によれば、2つのタッチパネルを備える携帯端末において、一方のタッチパネルで表示された画像についても、他方のタッチパネルで表示される際に得られるメリットを享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100の閉状態及び開状態の外観を示す図である。
【図2】携帯電話機100の各タッチパネルに表示される画像例と、各タッチパネルに対し、ユーザが行う入替操作の様子を示す図である。
【図3】携帯電話機100の各タッチパネルに表示される入替操作後の画面を示す図である。
【図4】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】操作制御用座標系を説明するための図である。
【図6】各タッチパネルからの入力に対する携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
【図7】変形携帯電話機の各タッチパネルに表示される画像例と、各タッチパネルに対し、ユーザが行う入替操作の様子を示す図である。
【図8】変形携帯電話機の各タッチパネルに表示される入替操作後の画面を示す図である。
【図9】携帯電話機200の開状態及び閉状態の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る携帯端末の実施の形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態≫
携帯電話機100は、2つのタッチパネルを有し、この2つのタッチパネルを用いて、ユーザが所定の操作(以下、「入替操作」という)を行うことで、各タッチパネルで表示中の画面を相互に入れ替えて各タッチパネルに表示できるようにしたものである。
【0012】
<装置構成>
まず、携帯電話機100の装置構成について説明する。
図1(a)は、携帯電話機100の閉状態の外観を示す斜視図であり、(b)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す斜視図であり、(c)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す正面図である。
【0013】
携帯電話機100は、図1(a)〜(c)に示されるように、第1筐体1と第2筐体2とが相対的に移動可能な、いわゆるスライド式の端末であり、第1筐体1、第2筐体2、及び第1筐体1と第2筐体2とを連結する連結機構4、4’を備えている。
第1筐体1には、タッチパネル110、スピーカ7及びマイク8が備えられており、第2筐体2には、タッチパネル120が備えられている。
【0014】
連結機構4は、図1(a)、(b)に示すように、第1筐体1の側面と第2筐体2の側面とを互いに連結するための連結駒5とピン30、31を有している。また、連結機構4’は、第1筐体1の側面と第2筐体2の側面とを互いに連結するための連結駒5’とピン30’、31’を有している。なお、ピン30’、31’については、図示していない。ピン30、30’は第1筐体1に枢支されると共に、ピン31、31’は第2筐体2にスライド可能に係合している。
【0015】
また、第2筐体2の連結機構4が備えられる側面には、図1(a)、(b)に示すように、ピン31がスライド可能となるようガイド溝6が設けられている。なお、第2筐体2の連結機構4’が備えられる側面においても、同様に、ピン31’がスライド可能となるようガイド溝6’(図示せず)が設けられている。
携帯電話機100は、図1(a)に示すように、第2筐体2に第1筐体1が重ね合わさり、タッチパネル120が視認できない閉状態から、連結機構4、4’により、ピン31、31’がガイド溝6、6’に沿ってスライドすることにより、第1筐体1が第2筐体2の表面に沿って移動し、その後、ピン30、30’それぞれがピン31、31’それぞれを中心として回転することにより、図1(b)、(c)に示すように、第1筐体1の表面と第2筐体2の表面とが略同一平面上に揃う開状態となり、タッチパネル110及び120が視認可能になる。
【0016】
<操作例>
次に、2つのタッチパネルに表示される画面の入替操作例を図2及び図3を用いて説明する。
図2は、携帯電話機100の各タッチパネルに表示される画像例と、各タッチパネルに対し、ユーザが行う入替操作の様子を示す図であり、図3は、携帯電話機100の各タッチパネルに表示される入替操作後の画面を示す図である。なお、図2に示される例では、説明の簡略化のため、携帯電話機100の画面例のみを示し、携帯電話機100の筐体などの記載は省略している。
【0017】
図2では、タッチパネル110に、フォルダ一覧と受信フォルダ内のメール一覧(以下、単に「メール一覧画面」という)が表示され、そのメール一覧の1番上にあるメールの内容(以下、「メール内容画面」という)が、タッチパネル120に表示されている例を示している。
なお、メール内容画面には、アイコン10が含まれ、メール一覧画面には、アイコン11、12が含まれている。
【0018】
本願では、その表示位置にユーザが指等を接触させることで、何らかの処理が実行されるものを特に区別することなく「アイコン」と呼ぶこととする。また、ユーザがアイコンに指等を接触させることを、アイコンを選択するということとする。
ユーザが、メール内容画面に含まれているアイコン10を選択すると、表示されている受信メールに対する返信メールの作成画面を表示する処理が実行される。また、ユーザが、アイコン11を選択すると、ユーザが接触させた指の位置に対応するフォルダ(受信フォルダ、送信フォルダ、下書きフォルダのいずれか)内にあるメールの一覧をアイコン12の位置に表示する処理が実行され、アイコン12を選択すると、ユーザが接触させた指の位置に対応するメールの内容(メール内容画面)をタッチパネル110に表示する処理が実行される。
【0019】
上述のように携帯電話機100が開状態である場合には、タッチパネル110及び120が視認可能であるが、開状態から閉状態へと変形させた場合には、タッチパネル110しか視認できないことになる。
従って、ユーザが、携帯電話機100を閉状態にした後も引き続き、例えば、タッチパネル120に表示されているメール内容画面を参照したいと考えている場合に、以下説明する入替操作を行ってから、携帯電話機100を開状態から閉状態へと変形させることで、閉状態になった後も、引き続きメール内容画面を参照することが可能になる。
【0020】
図2では、特に、ユーザが、タッチパネル110に人差し指を接触させると共にタッチパネル120に親指を接触させており、人差し指を接触させたままタッチパネル120に近い側のタッチパネル110の一辺Aに向けた移動を、親指を接触させたままタッチパネル110に近い側のタッチパネル120の一辺Bに向けた移動を開始させようとしている様子を示している。以下、指等を接触させたまま移動させることを、「ドラッグ」ともいう。
【0021】
ここで、入替操作とは、ユーザが、タッチパネル110に接触させた人差し指を辺Aに向けて所定速度以上でドラッグしていくと共に、タッチパネル120に接触させた親指を辺Bに向けて所定速度以上でドラッグしていき、人差し指を辺A付近の位置で、親指を辺B付近の位置でそれぞれ離すという一連の操作のことをいう。なお、ドラッグの速度や、指を離す位置についての条件は後述する(図6参照)。
【0022】
この入替操作が行われると、図3に示すように、携帯電話機100は、タッチパネル120に、入替操作前にタッチパネル110に表示されていたメール一覧画面を表示し、タッチパネル110に、入替操作前にタッチパネル120に表示されていたメール内容画面を表示する。
このように、ユーザは、入替操作を行うことで、各タッチパネルに表示されていた画面を相互に入れ替えて各タッチパネルに表示させることができる。従って、携帯電話機100を開状態から閉状態に変形させた場合でも、上述の例では、ユーザは、メール内容画面を引き続き見ることができる。
【0023】
また、上述のように、2つのタッチパネルを摘むような操作(入替操作)を行うことで、各タッチパネルに表示されていた画面を相互に入れ替えて各タッチパネルに表示させることができるので、直感的な操作性を実現できる。
<機能構成>
図4は、携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
携帯電話機100は、同図に示すように、タッチパネル110、120、接触情報記憶部130、位置記憶部131、及び制御部140を備える。
なお、同図は、本発明の特徴を実現する上で重要な各機能構成要素の関係を示しており、通常の携帯電話機が備える通信部や、図1で示したスピーカ7、マイク8等の図示は省略している。また、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部140の各機能は、上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
【0025】
タッチパネル110は、表示部111及び入力部112を、タッチパネル120は、表示部121及び入力部122を備える。
各表示部は、LCD(Liquid Crystal Display)を含み、制御部140からの指示を受けて文字やアイコン等の画像をLCDに表示する回路である。各LCDの画素数(横×縦)は800×480画素であるものとする。
【0026】
また、各入力部は、ユーザによる接触を検出し、検出している間、単位時間(例えば、25ms)毎に、その接触位置の座標値(x,y)を制御部140に送出する回路である。
なお、図1(c)の各タッチパネルの左上の頂点の座標値は(0,0)であるとし、右下の頂点の座標値は(799,479)であるものとして説明する。また、各入力部は、例えば、静電容量方式のタッチセンサにより実現される。
【0027】
接触情報記憶部130は、各タッチパネルにおいて接触が開始された際の時刻及び座標値(以下、「接触開始情報」という)と、その接触が離された際の時刻及び座標値(以下、「接触終了情報」という)とを格納するためのメモリ領域であり、位置記憶部131は、各タッチパネルに表示されるアイコン毎に、その表示位置を示す座標値を記憶するメモリ領域である。このアイコンの表示位置を示す座標値は、そのアイコンを含む矩形の領域の左上端の座標値と右下端の座標値との組からなる。
【0028】
なお、いずれの記憶部に記憶される座標値も、後述する操作制御用座標系における座標値(以下、「論理座標値」という)である。
制御部140は、一般的な携帯電話機が有する機能の他、特に、ユーザによる入替操作に応じて、各タッチパネルの画面を入れ替えて表示させる機能を有し、格納部141、判定部142、更新部143、表示制御部144、処理実行部145を含んで構成される。
【0029】
格納部141は、各タッチパネルから送出される座標値(以下、「物理座標値」ともいう)の受領に基づいて、タッチパネル毎に、接触が開始された際の時刻及び論理座標値(接触開始情報)と、接触が離された際の時刻及び論理座標値(接触終了情報)とを対応付けて接触情報記憶部130に格納する機能を有する。時刻は、図示しない計時部から随時得られる値(例えば、1ms単位の時刻の値)を用いて得る。
【0030】
ここで、操作制御用座標系について説明する。
図5は、操作制御用座標系を説明するための図である。
操作制御用座標系は、同図に示すように、タッチパネル110の左上隅の座標値を(0,0)として、右方向にx軸を、下方向にy軸を取った座標系である。
同図においては、操作制御用座標系における座標値の一例を示しており、タッチパネル110の右上端の座標値は(799,0)、左下端の座標値は(0,479)、右下端の座標値は(799,479)であり、タッチパネル120の左上端の座標値は(0,480)、右上端の座標値は(799,480)、左下端の座標値は(0,959)、右下端の座標値は(799,959)である。
【0031】
従って、タッチパネル110から受領した物理座標値は操作制御用座標系における論理座標値と一致するため、格納部141はタッチパネル110から受領した物理座標値をそのまま操作制御用座標系における論理座標値とする。一方、タッチパネル120から物理座標値を受領した場合には、格納部141は、受領した物理座標値のy座標に「480」を加えたものを操作制御用座標系における論理座標値とする。
【0032】
なお、制御部140は、論理座標値が(0,0)から(799,479)までの範囲をタッチパネル110と対応付け、論理座標値が(0,480)から(799,959)までの範囲をタッチパネル120と対応付けて管理している。
判定部142は、接触情報記憶部130に記憶されている各タッチパネルについての接触開始情報及び接触終了情報に基づいて、各タッチパネルにおいて行われた操作が、画面の入替操作、画面のスクロール操作、アイコンの選択操作のいずれであるかを判定する機能を有する。具体的な判定条件については、後述する(図6参照)。
【0033】
なお、判定部142は、画面の入替がなされた状態であるか否かを示す状態情報(入替がなされていない状態を「0」とし、入替がなされた状態を「1」とし、携帯電話機100の起動時等に設定される初期値を「0」とする)を、上述のメモリ上で管理しており、各タッチパネルにおいて行われた操作が画面の入替操作であると判定する毎に、状態情報が「0」である場合には「1」に更新し、状態情報が「1」である場合には「0」に更新する。制御部140内の各部は、この状態情報を参照することで、画面の入替がなされた状態であるか否かを知ることができる。
【0034】
更新部143は、画面の入替操作が行われた際に、位置記憶部131に記憶されている、各アイコンの表示位置を示す論理座標値(左上端の座標値及び右下端の座標値)を、入替後の論理座標値を示すように更新する機能を有する。
つまり、タッチパネル110に表示されていたアイコンの論理座標値は、そのy座標が「480」を加えた値に、タッチパネル120に表示されていたアイコンの論理座標値は、そのy座標が「480」を引いた値に更新される。
【0035】
表示制御部144は、判定部142による判定結果に応じた画面、及び処理実行部145の処理結果に応じた画面を、各タッチパネルの表示部(111、121)に表示させる機能を有する。
表示制御部144は、各タッチパネルに表示する画面を構成するアイコン以外の画像データ(以下、「描画データ」という)を格納する、上記メモリ上の2つの領域m1、m2と各タッチパネル110、120との対応付けを管理しており、この対応付けは、入替操作がなされた際に更新される。即ち、例えば、領域m1とタッチパネル110とが対応付けられ、領域m2とタッチパネル120とが対応付けられている場合に、画面の入替操作が行われると、領域m1とタッチパネル120とを、領域m2とタッチパネル110とを対応付けるように更新する。
【0036】
表示制御部144は、入替操作が行われた際に、この更新後の対応付けと更新部143により更新された各アイコンの論理座標値に基づいて、タッチパネル110に対応付けられたメモリ領域に格納された描画データと、タッチパネル110と対応付けられている論理座標値の範囲(0,0)〜(799,479)にその座標値が含まれるアイコンとを、タッチパネル110に表示し、タッチパネル120に対応付けられたメモリ領域に格納された描画データと、タッチパネル120と対応付けられている論理座標値の範囲(0,480)〜(799,959)にその座標値が含まれるアイコンとを、タッチパネル120に表示する。
【0037】
このようにすることで、表示制御部144は、入替操作前にタッチパネル110に表示されていた描画データ及びアイコンをタッチパネル120に表示させ、入替操作前にタッチパネル120に表示されていた描画データ及びアイコンをタッチパネル110に表示させることができる。
なお、表示制御部144は、処理実行部145の処理結果に応じた画面に含まれるアイコンの表示位置を示す論理座標値を、位置記憶部131に登録する機能も有する。
【0038】
処理実行部145は、アイコンの選択操作が行われた際に、そのアイコンに割り当てられている処理を実行する機能を有する。
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図6を用いて説明する。
図6は、各タッチパネルからの入力に対する携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
【0039】
なお、同図に示す制御処理とは独立した処理として、制御部140の格納部141により、各タッチパネルにおいて接触が開始された際に接触開始情報が、その接触が離された際に接触終了情報がそれぞれ接触情報記憶部130に格納される。また、同図に示す制御処理は、繰り返し実行されるものとする。
同図に示すように、制御部140の判定部142は、いずれかのタッチパネルで指等の接触が離されたか否かを、格納部141による接触情報記憶部130への接触終了情報の格納が行われたか否かに基づいて判定し(ステップS1)、格納部141による接触終了情報の格納が行われなかった場合には(ステップS1:NO)、再びステップS1の処理を実行する。
【0040】
一方、格納部141による接触終了情報の格納が行われた場合には(ステップS1:YES)、そのタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が離されたか否かを、接触情報記憶部130に記憶されている情報に基づいて判定する(ステップS2)。
より詳細には、判定部142は、例えば、ステップS1の検出に係るタッチパネルが、タッチパネル110であるとすると、タッチパネル110の接触開始情報の時刻から接触終了情報の時刻の間に、他方のタッチパネル120の接触終了情報の時刻が含まれている場合に、肯定的な判定を行う(ステップS2:YES)。なお、他方のタッチパネル120の接触終了情報が接触情報記憶部130に記憶されてない場合には、否定的な判定を行う(ステップS2:NO)。
【0041】
一方のタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が離されたと判定した場合には(ステップS2:YES)、接触情報記憶部130に記憶されている各情報に基づいて、タッチパネル110における辺Aに垂直な方向のドラッグ速度vaが所定値v1(正の値)以上であり、かつ、タッチパネル120における辺Bに垂直な方向のドラッグ速度vbが所定値v2(負の値)以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0042】
各タッチパネルにおける上記ドラッグ速度は、そのタッチパネルについての接触終了情報のy座標値から開始終了情報のy座標値を引いた値を、接触終了情報の時刻から接触開始情報の時刻を引いた値で割った値である。以下では、一例として、v1は「2」、v2は「−2」であるものとして説明する。
タッチパネル110における上記ドラッグ速度vaが所定値v1以上であり、かつ、タッチパネル120における上記ドラッグ速度vbが所定値v2以下である場合(ステップS3:YES)、判定部142は、接触情報記憶部130に記憶されている各タッチパネルについての接触終了情報に基づいて、タッチパネル110において指等の接触が離された位置から辺Aまでのy軸上の距離と、辺Bからタッチパネル120において指等の接触が離された位置までのy軸上の距離とが共に所定値(一例として、「50」とする)以下であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0043】
タッチパネル110において指等の接触が離された位置から辺Aまでのy軸上の距離と、辺Bからタッチパネル120において指等の接触が離された位置までのy軸上の距離とが共に所定値以下である場合(ステップS4:YES)、判定部142は、各タッチパネルにおいて行われた操作が入替操作であると判定して状態情報を更新し、制御部140の更新部143は、位置記憶部131に記憶されている各アイコンの表示位置を示す論理座標値を、画面入替後の論理座標値に更新する(ステップS5)。即ち、更新部143は、位置記憶部131に記憶されている各論理座標値のうち、y座標値が0〜479であるものについては、そのy座標値を「480」加えた値に更新し、y座標値が480〜959であるものについては、そのy座標値を「480」引いた値に更新する。
【0044】
また、制御部140の表示制御部144は、タッチパネル110の表示部111に表示されている画面と、タッチパネル120の表示部121に表示されている画面とを相互に入れ替えて、各表示部に表示させる(ステップS6)。即ち、各描画データが格納されている領域と各タッチパネルとの対応付けを更新し、描画データについては、その更新後の対応付けに基づいて、アイコンについては、位置記憶部131に記憶されている更新後の座標値に基づいて、各タッチパネルの表示部に表示させる。
【0045】
ステップS6の画面の入替処理が完了すると、制御部140は、接触情報記憶部130に記憶されている各タッチパネルについての接触開始情報及び接触終了情報を削除し、制御処理を終了する。
また、ステップS3で、タッチパネル110における上記ドラッグ速度vaが所定値v1未満、又は、タッチパネル120における上記ドラッグ速度vbが所定値v2より大きい場合(ステップS3:NO)、及びステップS4で、タッチパネル110において指等の接触が離された位置から辺Aまでのy軸上の距離と、辺Bからタッチパネル120において指等の接触が離された位置までのy軸上の距離との少なくも一方が所定値より大きい場合(ステップS4:NO)、制御部140は、画面の入替を行うことなく、制御処理を終了する。ステップS3、S4の判定条件を満たさない場合、ユーザが行った操作は、画面の入替を意図したものではないと考えられるためである。
【0046】
一方、ステップS2において、一方のタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が離されていないと判定した場合には(ステップS2:NO)、その一方のタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が開始されたか否かを判定する(ステップS7)。
より詳細には、判定部142は、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルの接触開始情報の時刻から接触終了情報の時刻の間に、他方のタッチパネルの接触開始情報の時刻が含まれている場合に、肯定的な判定を行う(ステップS7:YES)。なお、他方のタッチパネルの接触開始情報が接触情報記憶部130に記憶されてない場合には、否定的な判定を行う(ステップS7:NO)。
【0047】
一方のタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が開始されたと判定した場合には(ステップS7:YES)、特に何も行うことなく、制御部140は処理を終了する。この例では、この他方のタッチパネルで指等の接触が離されたタイミングで、再びステップS1から処理を行い、ステップS3、S4の判定結果に応じて画面の入替処理を行うようにしているためである。
【0048】
また、一方のタッチパネルにおいて指等が接触されていた時間内に、他方のタッチパネルで指等の接触が開始されていないと判定した場合には(ステップS7:NO)、1つのタッチパネル上でのみ操作がなされたと判定できるので、判定部142は、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルにおけるx軸方向の移動量の絶対値、又はy軸方向の移動量の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0049】
より詳細には、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルについての接触情報記憶部130に記憶されている接触終了情報の座標値(x2,y2)と、接触開始情報の座標値(x1,y1)とから、移動量(x2−x1,y2−y1)を算出し、x軸方向の移動量の絶対値(|x2−x1|)、又はy軸方向の移動量の絶対値(|y2−y1|)が所定値(例えば、「10」とする)以上である場合に、肯定的な判定を行う(ステップS8:YES)。
【0050】
ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルにおけるx軸方向の移動量の絶対値、又はy軸方向の移動量の絶対値が所定値以上である場合には(ステップS8:YES)、表示制御部144は、このタッチパネルの表示部に表示されている画面を、移動量の絶対値が所定値以上である軸に沿って、その軸方向の移動量に応じてスクロールさせて表示させる(ステップS11)。
【0051】
制御部140は、接触情報記憶部130に記憶されている、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルについての接触開始情報及び接触終了情報を削除し、制御処理を終了する。
ステップS8において、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルにおけるx軸方向の移動量の絶対値及びy軸方向の移動量の絶対値が所定値未満である場合には(ステップS8:NO)、判定部142は、位置記憶部131に記憶されている各アイコンについての論理座標値(左上端の座標値と右下端の座標値)に基づいて、その接触が離された位置の座標値(接触終了情報の座標値)が、アイコンの表示位置に含まれるか否かを判定する(ステップS9)。
【0052】
接触が離された位置の座標値が、アイコンの表示位置に含まれない場合には(ステップS9:NO)、接触情報記憶部130に記憶されている、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルについての接触開始情報及び接触終了情報を削除し、制御処理を終了する。
また、接触が離された位置の座標値が、アイコンの表示位置に含まれる場合には(ステップS9:YES)、処理実行部145は、そのアイコンに割り当てられている処理を実行し(ステップS10)、接触情報記憶部130に記憶されている、ステップS1で接触が離されたことを検出したタッチパネルについての接触開始情報及び接触終了情報を削除し、制御処理を終了する。
【0053】
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯端末を、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
(1)実施の形態では、ユーザによる入替操作がなされた場合に、タッチパネル110の表示部111に表示されていた画像と、タッチパネル120の表示部121に表示されていた画像とを相互に入れ替えてそのまま各表示部に表示させるものとして説明したが、表示されていた画像の一部を拡大して表示させてもよい。以下、この変形に係る携帯電話機を「変形携帯電話機」という。
【0054】
図7は、変形携帯電話機の各タッチパネルに表示される画像例と、各タッチパネルに対し、ユーザが行う入替操作の様子を示す図であり、図8は、変形携帯電話機の各タッチパネルに表示される入替操作後の画面を示す図である。
図7では、タッチパネル110に、作成中のメールの内容(以下、「作成中メール画面」という)が表示され、タッチパネル120に、この作成中のメールに添付する予定の文書(以下、「見積書画面」という)が表示されている例を示している。
【0055】
なお、作成中メール画面には、アイコン13が含まれ、ユーザが、アイコン13を選択すると、メールを送信する処理が実行される。
ここで、ユーザが入替操作を行うと、図8に示すように、変形携帯電話機は、タッチパネル120に、作成中メール画面を表示し、タッチパネル110には、入替操作前にタッチパネル120に表示されていた見積書画面の一部を既定の倍率(例えば2倍)に拡大した画面を表示する。ここでは、入替操作を行う際に、ユーザが親指の接触を開始させたタッチパネル120上の位置を中心に拡大した見積書画面をタッチパネル110に表示した例を示している。
【0056】
なお、この例では、タッチパネル120に表示されていた画面(見積書画面)のみを拡大してタッチパネル110に表示するものとして説明したが、タッチパネル110に表示されていた画面も同様に拡大して表示させるようにしてもよいし、また、例えば、拡大対象とする画面に係るアプリケーションの種類を予めしておき、入替操作の際に表示されていた画面が、指定されたアプリケーションに係る画面である場合にのみ拡大するようにしてもよい。
【0057】
また、この例では、入替操作を行うことで、表示されていた画面が自動的に拡大されて表示されるものとして説明したが、例えば、各タッチパネル上でのドラッグ速度や、ドラッグ距離(指等の接触が開始された位置と、その接触が離された位置との間の距離)がある閾値以上である場合にのみ、拡大するようにしてもよい。
また、この例では、既定の倍率で拡大するものとして説明したが、ドラッグ距離や、ドラッグ速度に応じた倍率で拡大するようにしてもよい。
【0058】
また、図7のタッチパネル120に表示されている見積書画面には、アイコンが存在しない場合について説明したが、アイコンが存在するケースでは、入替操作がなされた場合に、そのアイコンについての論理座標値を更新する必要がある。
この更新は、例えば以下のように行うことが考えられる。
実施の形態で説明したように、位置記憶部131に記憶されているアイコンの左上端のy座標値と右下端のy座標値とから「480」を引いた後の左上端の座標値を(xl,yl)、右下端の座標値を(xr,yr)とした場合において、まず、中心点の座標値(xc,yc)=((xr+xl)/2,(yr+yl)/2)を算出する。
【0059】
次に、中心点から左上端及び右下端までの距離を既定の倍率Zで拡大するように、左上端の座標値及び右下端の座標値を更新する。
即ち、左上端の座標値は(xc−Z×(xc−xl),yc−Z×(yc−yl))、右下端の座標値(xc+Z×(xr−xc),yc+Z×(yr−yc))に更新される。
【0060】
(2)実施の形態に係る携帯電話機100は、スライド式の携帯電話機であるものとして説明したが、折りたたみ式の携帯電話機等、他の外観を有する携帯電話機であってもよい。
例えば、図9(a)〜(c)に示されるような折りたたみ式の携帯電話機200であってもよい。
【0061】
携帯電話機200は、タッチパネル210を備える第1筐体201とタッチパネル220を備える第2筐体202とが互いに開閉可能に構成されている。
図9(a)に示すように、この携帯電話機200は、第1筐体201と第2筐体202とが互いに開き、各タッチパネルが視認可能な状態から、図9(b)、(c)に示すように、第1筐体201を第2筐体に対して180°回転させた後に、第1筐体201と第2筐体とを互いに閉じることで、第2筐体202が備えるタッチパネル220が第1筐体201の背後に隠れ、第1筐体201が備えるタッチパネル210のみが視認可能な状態へとその形状を変化させることができる。
【0062】
ユーザが、図9(a)の状態で、各タッチパネルに対し入替操作を行った後に、図9(b)、(c)に示すように、携帯電話機200の形状を変化させることで、図9(c)のように、携帯電話機200を閉じた状態においても、入替操作前にタッチパネル220に表示されていた画面をタッチパネル210に表示させて、ユーザは、このタッチパネル220に表示された画面を見ることができるようになる。
【0063】
また、この変形及び実施の形態では、開閉による変形が可能な携帯電話機を例に説明したが、ストレート型等、開閉による変形が生じない携帯電話機に適用してもよい。
これらの変形を、上述の変形携帯電話機に適用してもよい。
(3)実施の形態に係る各タッチパネルの入力部は、静電容量方式のタッチセンサにより実現するものとして説明したが、この静電容量方式のタッチセンサとして、多数の電極パターンをプラスチックやガラス等の基板上に形成し、接触点の近傍の複数の電極パターンによる電流量の比率を計測することで判別する投影型や、導電膜と基板とを有して構成され、基板の隅に電極を設け、導電膜による均一な電界を形成し、指等の接触による隅の端子の電流量の比率を計測して接触位置を判別する表面型等、適宜なものを用いることができる。
【0064】
また、各タッチパネルの入力部は、静電容量方式のタッチセンサにより実現される場合に限らず、電子ペン等の専用のペンを用いる電磁誘導方式や、2層構造の透明電極からなるマトリクススイッチ方式や、2枚の抵抗膜の1枚に電圧を印加し、他方の抵抗膜において操作した位置に応じた電圧を検知する抵抗膜方式や、振動波の跳ね返りを圧電素子の電圧変化によって検出し、指等の接触を検知する表面弾性波方式や、遮光された赤外線により指等が接触した位置を検出する赤外線方式や、画面に光センサを組み込んで接触位置を検知する光センサ方式等により実現されてもよい。
【0065】
これらの変形を、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200に適用してもよい。
(4)実施の形態に係る携帯電話機100は、通常の使用状態において、ユーザから見て、タッチパネル110とタッチパネル120とが略同一平面上の上下に配置されるものとして説明したが、左右に配置されるようにしてもよい。タッチパネル110を左に、タッチパネル120を右に配置した場合、タッチパネル110についての操作制御用座標系における座標値に変更はないが、タッチパネル120についての操作制御用座標系における座標値は以下のように変更される。
【0066】
即ち、タッチパネル120の左上端の座標値は(800,0)、右上端の座標値は(1599,0)、左下端の座標値は(800,479)、右下端の座標値は(1599,479)となる。
従って、入替操作が行われた場合に、タッチパネル110に表示されていたアイコンの論理座標値は、そのx座標が「800」を加えた値に、タッチパネル120に表示されていたアイコンの論理座標値は、そのx座標が「800」を引いた値に更新される。
【0067】
この変形を、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200に適用してもよい。
(5)実施の形態に係る携帯電話機100は、図1(c)に示すように開状態で、タッチパネル110とタッチパネル120とが略同一平面上に配置されるものとして説明したが、入替操作となる条件を満たすようにユーザが操作できる態様であれば、どのような配置でもよい。
【0068】
例えば、開状態で、第1筐体1のタッチパネル110を含む表面と、第2筐体2のタッチパネル120を含む表面とが略平行になるように配置されてもよいし、第1筐体1のタッチパネル110を含む表面と、第2筐体2のタッチパネル120を含む表面との間に、指等をタッチパネルの表面に接触させられる程度の角度が生じるように配置されてもよい。
【0069】
また、実施の形態では、各タッチパネルのLCDの画素数は同一であり、LCDの形状は、略矩形状であるとして説明したが、入替操作となる条件を満たすようにユーザが操作できる態様であれば、各LCDの画素数は異なってもよいし、各LCDの形状は、例えば、円形上、その他多角形状であってもよい。
この変形を、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200に適用してもよい。
【0070】
(6)図6では、ユーザが誤って入替操作に似た操作を行ってしまった場合に、画面の入替が生じてしまう可能性を低減させるべく、ステップS3及びS4の判定条件を満たした場合に、ステップS5及びS6の処理を実行するものとして説明したが、ステップS3及びS4の判定を省略し、ステップS2の判定条件を満たした場合に、ステップS5及びS6の処理を実行するようにしてもよい。
【0071】
また、ステップS3では、タッチパネル110における辺Aに垂直な方向のドラッグ速度vaと比較する所定値V1を「2」とし、タッチパネル120における辺Bに垂直な方向のドラッグ速度vbと比較する所定値V2を「−2」として説明したが、これは一例であり、V1及びV2は、それ以外の値であってもよい。
また、ステップS4では、タッチパネル110において指等の接触が離された位置と辺Aとのy軸上の距離と比較する所定値、及び辺Bとタッチパネル120において指等の接触が離された位置とのy軸上の距離と比較する所定値を共に「50」として説明したが、これは一例であり、それ以外の値であってもよいし、タッチパネル110において指等の接触が離された位置と辺Aとのy軸上の距離と比較する所定値と、辺Bとタッチパネル120において指等の接触が離された位置とのy軸上の距離と比較する所定値とを異なる値としてもよい。
【0072】
また、実施の形態に係る携帯電話機100の使用開始時において、ユーザに入替操作を何回か行わせ、その結果に基づいて、ステップS3、4で用いる所定値を決定してもよいし、ユーザが任意の値を設定できるようにしてもよい。
また、ステップS2の判定条件を満たした場合に、ステップS3、4に代えて、タッチパネル110での接触位置が、タッチパネル120に向かう所定の方向(例えば、辺Aに垂直な方向)に変化し、かつ、タッチパネル120上での接触位置が、タッチパネル110に向かう所定の方向(例えば、辺Bに垂直な方向)に変化したか否かを判定するようにし、この判定条件を満たした場合に、ステップS5及びS6の処理を実行するようにしてもよい。即ち、各タッチパネル上でのそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向への接触位置の変化が、同時に生じた期間がある場合に、画面の入替を行うようにしてもよい。
【0073】
また、ステップS2の判定条件を満たした場合に、ステップS3、4に代えて、タッチパネル110での接触位置が、タッチパネル120に近い側の一辺(例えば、辺A)に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化し、かつ、タッチパネル120での接触位置が、タッチパネル110に近い側の一辺(例えば、辺B)に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化したか否かを判定するようにし、この判定条件を満たした場合に、ステップS5及びS6の処理を実行するようにしてもよい。即ち、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに近い側の一辺に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化した場合に、画面の入替を行うようにしてもよい。
【0074】
この変形を、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200に適用してもよい。
(7)実施の形態では、制御部140が、タッチパネル110、120上の座標値を、1つの操作制御用座標系の論理座標値で管理、処理する例を用いて説明したが、タッチパネル毎の個別のxy座標系の座標値、即ち物理座標値そのもので管理、処理するようにしてもよい。その場合、位置記憶部131には、アイコン毎に、表示されるべきタッチパネルを指定する情報も追加して格納する必要があり、入替操作がなされた際に、更新部143は、この情報を他方のタッチパネルを指定するように更新することになる。
【0075】
この変形を、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200に適用してもよい。
(8)実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
これらのことは、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200においても同様に適用できる。
【0076】
(9)実施の形態において説明した各タッチパネルからの入力に対する処理(図6参照)をCPUに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより実施の形態で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0077】
これらのことは、上述の変形携帯電話機や、携帯電話機200においても同様に適用できる。
(10)本発明に係る携帯端末の実施の形態は、それぞれが画像を表示する第1及び第2のタッチパネルと、第1及び第2のタッチパネルで共に接触が検出された場合において、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0078】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上で一定条件を満たす操作がなされた場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示できるので、一方のタッチパネルで表示された画像についても、他方のタッチパネルで表示される際に得られるメリットを享受することが可能になる。
【0079】
例えば、第1のタッチパネルの性能が、第2のタッチパネルの性能より高い場合に、上記操作を行うことで、第2のタッチパネルに表示中の画像を、より性能の高い第1のタッチパネルに表示させることが可能になる。
また、例えば、この携帯端末が、一方のタッチパネルが隠れるような形態をとることが可能な場合に、予め上記操作を行って、各タッチパネルに表示中の画像を相互に入れ替えて各タッチパネルに表示させておくことで、この携帯端末が上記形態をとったときに、隠れていない他方のタッチパネルにユーザが引き続き見たい画像を表示させることが可能になる。
【0080】
(11)また、各タッチパネルは、略矩形状の表示領域を有し、前記所定の方向は、第1及び第2のタッチパネルが共に略同一平面上に並んで配置された形態を自端末がとっている場合において、他方のタッチパネルに近い側の一辺に向かう方向であることとしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに近い側の一辺に向かう方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たす操作がなされた場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させるので、直感に沿った操作性を実現できる。
【0081】
(12)また、前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに表示されていた画像に代えて、各タッチパネルに、当該判定の前に他方のタッチパネルに表示されていた画像全体を表示させることとしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、例えば、この携帯端末が、第2のタッチパネルが隠れ、第1のタッチパネルのみが視認可能となるような形態をとることが可能な場合に、予め上記一定条件を満たす操作を行って、第1のタッチパネルに、第2のタッチパネルに表示されていたユーザが引き続き見たい画像を表示させておくことができるので、その後に、上記形態を自端末がとったときにも、ユーザは、所望する画像を見ることが可能になる。
【0082】
(13)また、前記一定条件は、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ前記他方のタッチパネルに近い側の一辺に略垂直方向の成分について単位時間に所定量以上、当該一辺に向かう方向へ変化したことを要件として含むこととしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上での接触位置の特定方向成分の単位時間内の変化量が所定量より少なければ、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部の入替は生じない。従って、ユーザが、誤って、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化するような操作をしてしまった場合に、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部が入れ替わって表示されてしまう可能性を低減できる。
【0083】
(14)また、前記一定条件は、各タッチパネルにおいて接触が離された位置それぞれと前記他方のタッチパネルに近い側の一辺との距離が所定値以内であることを要件として含むこととしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネルにおいて接触が離された位置それぞれと前記他方のタッチパネルに近い側の一辺との距離が所定値より離れている場合には、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部の入替は生じない。従って、ユーザが、誤って、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化するような操作をしてしまった場合に、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部が入れ替わって表示されてしまう可能性を低減できる。
【0084】
(15)また、前記携帯端末は、更にアイコン毎に、当該アイコンの第1又は第2のタッチパネル上での表示位置を特定するための位置特定情報を記憶する記憶部と、いずれかのタッチパネルのみで接触が検出された場合において、前記位置特定情報により特定されるアイコンの表示位置で接触が離されたときに、当該アイコンに割り当てられた処理を実行する処理実行部と、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各アイコンの表示位置が、当該判定の前後で、異なるタッチパネル上の位置を示すように前記位置特定情報を更新する更新部とを備え、前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、前記更新部により更新された位置特定情報に基づいて、各タッチパネルに、前記表示を行わせることとしてもよい。
【0085】
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上で一定条件を満たす操作がなされた場合に、各アイコンの表示位置が他方のタッチパネル上の位置を示すように位置特定情報が更新されるので、各タッチパネルに表示されていた画像が入れ替わった後に、ユーザがアイコンの表示位置で指等の接触を離す操作を行った場合でも、そのアイコンに割り当てられた処理の実行を、画像の入替が生じる前と同様に行うことができる。
【0086】
(16)また、前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、第1のタッチパネルに表示されていた画像に代えて、第2のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を拡大した画像を、第1のタッチパネルに表示させることとしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上で一定条件を満たす操作がなされた場合に、第1のタッチパネルには、第2のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を拡大させた画像を表示させるので、小さくて見にくい画像の視認性を向上できる。
【0087】
(17)また、前記一定条件は、各タッチパネル上でのそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向への接触位置の変化が、同時に生じた期間があることを要件として含むこととしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上でのそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向への接触位置の変化が、同時に生じた期間がなければ、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部の入替は生じない。従って、ユーザが、誤って、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化するような操作をしてしまった場合に、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部が入れ替わって表示されてしまう可能性を低減できる。
【0088】
(18)また、前記一定条件は、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに近い側の一辺に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化したことを要件として含むこととしてもよい。
これにより、本発明に係る携帯端末の実施の形態によれば、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに近い側の一辺に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化しなければ、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部の入替は生じない。従って、ユーザが、誤って、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化するような操作をしてしまった場合に、各タッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部が入れ替わって表示されてしまう可能性を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る携帯端末は、ユーザが、タッチパネルを用いた操作を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0090】
1、201 第1筐体
2、202 第2筐体
4、4’ 連結機構
5 連結駒
6 ガイド溝
7 スピーカ
8 マイク
30、30’31、31’ ピン
100、200 携帯電話機
110、120、210、220 タッチパネル
111、121 表示部
112、122 入力部
130 接触情報記憶部
131 位置記憶部
140 制御部
141 格納部
142 判定部
143 更新部
144 表示制御部
145 処理実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが画像を表示する第1及び第2のタッチパネルと、
第1及び第2のタッチパネルで共に接触が検出された場合において、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させる表示制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
各タッチパネルは、略矩形状の表示領域を有し、
前記所定の方向は、第1及び第2のタッチパネルが共に略同一平面上に並んで配置された形態を自端末がとっている場合において、他方のタッチパネルに近い側の一辺に向かう方向である
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに表示されていた画像に代えて、各タッチパネルに、当該判定の前に他方のタッチパネルに表示されていた画像全体を表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記一定条件は、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ前記他方のタッチパネルに近い側の一辺に略垂直方向の成分について単位時間に所定量以上、当該一辺に向かう方向へ変化したことを要件として含む
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記一定条件は、各タッチパネルにおいて接触が離された位置それぞれと前記他方のタッチパネルに近い側の一辺との距離が所定値以内であることを要件として含む
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記携帯端末は、更に
アイコン毎に、当該アイコンの第1又は第2のタッチパネル上での表示位置を特定するための位置特定情報を記憶する記憶部と、
いずれかのタッチパネルのみで接触が検出された場合において、前記位置特定情報により特定されるアイコンの表示位置で接触が離されたときに、当該アイコンに割り当てられた処理を実行する処理実行部と、
前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各アイコンの表示位置が、当該判定の前後で、異なるタッチパネル上の位置を示すように前記位置特定情報を更新する更新部とを備え、
前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、前記更新部により更新された位置特定情報に基づいて、各タッチパネルに、前記表示を行わせる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記判定部が前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、第1のタッチパネルに表示されていた画像に代えて、第2のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を拡大した画像を、第1のタッチパネルに表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項8】
前記一定条件は、各タッチパネル上でのそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向への接触位置の変化が、同時に生じた期間があることを要件として含む
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項9】
前記一定条件は、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに近い側の一辺に垂直方向の成分について所定量以上、当該一辺に向かう方向に変化したことを要件として含む
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項10】
それぞれが画像を表示する第1及び第2のタッチパネルを備える携帯端末で用いられる表示制御プログラムであって、
第1及び第2のタッチパネルで共に接触が検出された場合において、各タッチパネル上での接触位置がそれぞれ他方のタッチパネルに向かう所定の方向へ変化したことを要件として含む一定条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記一定条件を満たすとの判定を行った場合に、各タッチパネルに、他方のタッチパネルに表示されていた画像の少なくとも一部を表示させる表示制御ステップとを含む
ことを特徴とする表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−134130(P2011−134130A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293421(P2009−293421)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】