説明

携帯端末

【課題】非接触ICチップ内の情報を表示する場合に、アクセスに時間をかけないで使用者を待たせることなく、また余分な電力を消費することのない携帯端末を提供する。
【解決手段】非接触ICチップ5内の電子マネー等の価値情報は、主制御部8が関与せずに、リーダ/ライタ200との非接触データ通信5aにより更新される。非接触ICチップ5は、外部のリーダ/ライタ200から通信可能なレベルの搬送波を受けたとき搬送波検出信号5cを出力する。主制御部8は、価値情報を表示部12に表示するとき、前回表示以降に搬送波検出信号5cを検知した場合には、非接触ICチップ5内の価値情報を有線通信UART5eで読み出して価値情報記憶部11bに記憶して当該価値情報を表示部12に表示させ、前回表示以降に搬送波検出信号5cを検知しなかった場合には、前回表示時に価値情報記憶部11bに記憶した価値情報を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー等の価値情報を記憶できる非接触ICチップが搭載された携帯端末において、非接触ICチップ内の価値情報の残高情報などを表示するための制御に関する。
【背景技術】
【0002】
FeliCa(R)などの非接触ICチップが搭載され、電子マネーを扱う機能を持つおサイフケータイ(R)と呼ばれる携帯端末があり、このような携帯端末においては、非接触ICチップ内の電子マネーの残高情報などを表示することが必要とされる。
【0003】
携帯端末の中の非接触ICチップは、携帯端末の外部のリーダ/ライタ装置との間の無線通信インターフェースと、携帯端末の中のホストCPUとの間の有線通信インターフェースの2種類の通信手段を備えており、どちらの通信手段を用いても非接触ICチップの電子マネーの残高情報を更新することが可能である。
【0004】
したがって、ホストCPUが関わることなく無線通信インターフェースにより非接触ICチップの電子マネーの残高情報が更新されるため、ホストCPUは、非接触ICチップ内の電子マネーの残高情報などを表示する場合、その都度、有線通信インターフェースで非接触ICチップにアクセスして電子マネーの残高情報を参照する必要がある。
【0005】
例えば、このような技術として、非接触ICカード(チップ)を組み込んだ情報処理端末において、この情報処理端末内のプログラム制御部111は、表示部112に残高情報等を表示する際に、その都度、非接触ICチップ100にアクセスして非接触ICチップ100内のメモリ104を参照する技術を開示するものがある(例えば、特許文献1)。
【0006】
ところが、ホストCPUによる非接触ICチップへのアクセスには時間がかかるため、使用者を待たせることになり、また、非接触ICチップにアクセスするための電力も消費することになるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−141434号公報(頁4〜7、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、非接触ICチップ内の電子マネー等の価値情報の残高情報などを表示する際には、必ず接触ICチップにアクセスして非接触ICチップ内の電子マネー等の価値情報を参照する必要があり、そのために、使用者を待たせたり、電力も余分に消費するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決し、非接触ICチップを搭載した携帯端末において、非接触ICチップ内の価値情報の残高情報などを表示する場合に、アクセスに時間をかけないで使用者を待たせることなく、また余分な電力を消費することのない携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の携帯端末は、リーダ/ライタ装置との間の非接触データ通信インターフェースおよび携帯端末内部の制御手段との間の有線通信インターフェースを有し、リーダ/ライタ装置および制御手段から指示されて価値情報を制御し、当該価値情報の現在内容を記憶し、当該非接触データ通信の搬送波を検出して搬送波検出信号を出力する非接触ICチップと、前記制御手段のメモリアドレス空間に配置され、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容がコピーされて記憶する価値情報記憶手段とを具備し、前記制御手段は、前記価値情報の現在内容を表示するとき、前回表示以降に前記搬送波検出信号が出力されていれば、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容を前記有線通信インターフェースで読み出して前記価値情報記憶手段に記憶して当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させ、前回表示以降に前記搬送波検出信号が出力されていなければ、前回表示時に前記価値情報記憶手段に記憶した価値情報の現在内容を表示手段に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非接触ICチップを搭載した携帯端末において、非接触ICチップ内の電子マネー等の価値情報の残高情報などを表示する場合に、アクセスに時間をかけないで使用者を待たせることなく、また余分な電力を消費することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る携帯端末のブロック図である。携帯端末100は、外部のリーダ/ライタ200との間で誘導起電力を利用した非接触データ通信を行う機能、および、移動通信網の基地局(図示せず)との間で無線通信を行うことで電話やメール等を行う機能を有している。
【0012】
携帯端末100は、上記非接触データ通信を行う機能を実現するためにその内部にFeliCa(R)などの非接触ICチップ5を搭載しており、この非接触ICチップ5は内部に電子マネーや電子チケットなどの価値情報、およびそれらの現在内容が記憶されている。また、非接触ICチップ5の通信インターフェースは2つあり、非接触データ通信と有線通信を行うためのインターフェースである。
【0013】
有線通信は、、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)5eである。UARTは、シリアルポートなどの標準的な有線通信インターフェースとしてプロトコルが定義されており、その詳細説明は省略する。 非接触ICチップ5内の電子マネーや電子チケットなどの価値情報などの書き換えの1つのルートは、非接触データ通信によるものである。これは、携帯端末100の主要機能を制御する主制御部8が関与せずに行われる。もう1つのルートは、主制御部8が上記有線通信を行うためのインターフェースを用いて行うものである。
【0014】
次に、携帯端末100の構成について説明する。携帯端末100は、電池1、セット電源スイッチ2、セット電源部3、常時電源部4、非接触ICチップ5、アンテナ6、ラッチ7、主制御部8、通信部9、アンテナ10、情報記憶部11、表示部12、キー入力部13などにより構成される。そして非接触ICチップ5は、さらに、アナログ部51、チップ制御部52、メモリ53を有する。
【0015】
電池1は、携帯端末100全体への電源供給源となる二次電池である。セット電源スイッチ2は、ユーザ操作用のスイッチであり、セット電源部3をオンオフする。セット電源部3は、安定化電源であり、携帯端末100の主要部分である主制御部8、通信部9、アンテナ10、情報記憶部11、表示部12、キー入力部13などに電源を供給する。したがって、主制御部8等は、セット電源スイッチ2がオン操作されたときに能動状態になる。
【0016】
常時電源部4は、常時オン状態の安定化電源であり、非接触ICチップ5、ラッチ7へ常時、電源を供給する。非接触ICチップ5、ラッチ7は、常時能動状態にある。
【0017】
非接触ICチップ5は、アンテナ6を経由して、非接触データ通信により外部のリーダ/ライタ200との間で、数cm以下のごく近距離の非接触によるデータの送受信を行う。また、チップ制御部52と携帯端末100内部の主制御部8との間で、有線通信によるデータの送受信を行う。
【0018】
また、非接触ICチップ5は、電子マネー、電子チケット、ポイントサービス等の価値情報を制御するアプリケーションを保持する。そして、前記非接触データ通信や有線通信からの要求に応じて、非接触ICチップ5は、指示されたアプリケーションを実行し、非接触ICチップ5内の各価値情報の更新や参照のための送信を行う。
【0019】
アナログ部51は、検波、変復調、クロック抽出など、アンテナ6から送受信されるアナログ信号の処理を行う。チップ制御部52は、送受信データの処理やメモリ53の制御、有線通信を行うための各インターフェースなどの制御を行う。メモリ53は、前記アプリケーションプログラムを保持する。また、価値情報の現在内容として、電子マネーでは残高、電子チケットでは契約チケット情報、ポイントサービスではポイント数などの現在内容を記憶する。
【0020】
非接触ICチップ5の出力信号である搬送波検出信号5cは、外部のリーダ/ライタ200から通信可能なレベルの搬送波を受けたとき非接触ICチップ5が出力する信号である。
【0021】
非接触ICチップ5の入力信号であるアクセス制御信号5dは、当該信号がアクティブ状態において非接触ICチップ5全体がウェイクアップ状態になり、UART5eによるデータ送受信の準備が整う。この状態では、非接触ICチップ5自体の消費電力が増える。
【0022】
双方向通信を行うUART5eは、シリアルポートなどの標準的な有線通信を行うためのインターフェースであるUARTであり、スタートビットやストップビット等のプロトコルが定義されている。
【0023】
ラッチ7は、チップ制御部52の搬送波検出信号5cが瞬時的な信号であるため、これを記憶するためのフリップフロップである。これは、セット電源3がオフ状態において瞬時的な搬送波検出信号5cが出力された場合に、セット電源3が後でオンになった時点以降で、主制御部8が電源オン以前の動作状態になかったとき、及び電源オン後の動作中に搬送波検出信号5cが出力されたかどうかを検出するためのものである。
【0024】
主制御部8は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有して、携帯端末100の主要な機能を実行する。主制御部8は、特に本発明に関して、非接触ICチップ5との間の有線通信の制御や、非接触ICチップ5内の電子マネーや電子チケットなどの価値情報の現在内容の表示制御を行う。
【0025】
通信部9は、アンテナ10の電波の送受信処理、変調復調処理などを行う。アンテナ10は、移動通信網の基地局(図示せず)との間で電波の送受信を行う。
【0026】
情報記憶部11は、主制御部アクセス履歴11aと、価値情報記憶部11bを有し、主制御部8により制御される。表示部12は、LCDなどによる表示手段である。キー入力部13は、各種キー操作用の入力手段である。
【0027】
図2は、本発明の実施例に係る携帯端末の情報記憶部11を説明する図である。情報記憶部11は、主制御部アクセス履歴11aと、価値情報記憶部11bを有する。
【0028】
主制御部アクセス履歴11aは、主制御部8が非接触ICチップ5に対して有線通信でアクセスした履歴を記録するメモリである。この価値情報種別欄は、主制御部8が非接触ICチップ5に対して指示した電子マネー、電子チケット、ポイントサービス等の価値情報の種別を記録する。要求コマンド欄は、各サービスの価値情報の現在内容に対して、主制御部8が非接触ICチップ5に対して指示した更新か参照であるかを記録する。
【0029】
例えば、アクセスの履歴順1では、電子マネーでその残高の更新を指示し、履歴順2では、電子チケットでその契約チケット情報の参照を指示し、履歴順3では、ポイントサービスでそのポイントの更新を指示し、履歴順4では、電子マネーでその残高の参照を指示した履歴が記録される。
【0030】
したがって、履歴が更新の場合は、非接触ICチップ5内のメモリ53に記録される価値情報の現在内容が更新されたことを意味し、参照の場合は、非接触ICチップ5内のメモリ53に記録される価値情報の現在内容はそのままで、その内容が非接触ICチップ5から主制御部8へ参照のため送信されたことを意味する。
【0031】
主制御部アクセス履歴11aに履歴が記録されていない場合は、主制御部8が非接触ICチップ5に対してアクセスしなかったことを意味し、主制御部8による有線通信での非接触ICチップ5の価値情報の現在内容の変化はない。
【0032】
価値情報記憶部11bは、主制御部8が非接触ICチップ5に指示して、非接触ICチップ5内の各価値情報の現在内容を入手し、それを記録するメモリである。電子マネーでは残高、電子チケットでは契約チケット情報、ポイントサービスではポイント数などの現在内容を記憶する。
【0033】
次に、主制御部8の動作について説明する。
図3は、本発明の実施例に係る携帯端末の主制御部の動作フローチャートであり、主制御部自身による「非接触ICチップに対する有線アクセス処理」に関する。ユーザは、キー入力部13を操作して、非接触ICチップ5に関する電子マネー、電子チケット、ポイントサービス等の価値情報の種別、およびそれらの価値情報の現在内容の更新か参照かを要求する。これにより、主制御部8の「非接触ICチップに対するアクセス処理」が起動される。もちろん、暗証番号の入力や、現在内容を更新する場合の契約が必要だが、本発明には直接関係しないので説明を省略する。
【0034】
主制御部8は、「非接触ICチップに対する有線アクセス処理」に入ると、ユーザから要求された価値情報の種類及びその価値情報の現在内容の更新か参照かを確認する(ステップS1)。
【0035】
主制御部8は、次に、非接触ICチップ5へ有線アクセスするために、アクセス制御信号5dをオンにして、非接触ICチップ5をアクティブにする(ステップS2)。
【0036】
そして、非接触ICチップ5に対してUART5eにより、ステップS1の確認事項を指示する(ステップS3)。
【0037】
ステップS3の処理を受けて、非接触ICチップ5は、図示しないが、更新の指示を受信した場合は、指示された価値情報の現在内容の更新を実行する。また、参照の指示を受信した場合は、指示された価値情報の現在内容を参照して主制御部8へ送信する。
【0038】
主制御部8は、次に、非接触ICチップ5へのアクセスを終了するために、アクセス制御信号5dをオフにして、非接触ICチップ5をスリープにする(ステップS4)。
【0039】
主制御部8は、次に、主制御部アクセス履歴11aに対して、ステップS1の内容を履歴として記録する。すなわち、今回のアクセス処理で実行した価値情報の種別と、その更新か参照かを記録する(ステップS5)。そして、「非接触ICチップに対する有線アクセス処理」を終了する。このステップS5は、後述(図4)の「価値情報表示処理」への通知である。
【0040】
図4は、本発明の実施例に係る携帯端末100の主制御部の動作フローチャートであり、「価値情報表示処理」に関する。ユーザのキー操作による価値情報表示要求や、タイマーによる定期的な価値情報表示要求があると、主制御部8の「価値情報表示処理」が起動される。
【0041】
主制御部8は、まず、ラッチ7出力をチェックし、搬送波検出信号の受信の有無をチェックする(ステップS11)。
【0042】
[搬送波検出信号の受信あり、すなわち、リーダ/ライタからの非接触データ通信ありの場合]
ラッチ7出力がオン、すなわち、「搬送波検出信号の受信あり」であれば、ラッチ7をリセットする(ステップS12)。
【0043】
「搬送波検出信号の受信あり」は、主制御部8が関与しないで、非接触ICチップ5が外部のリーダ/ライタ200との間で非接触データ通信を介して非接触ICチップ5内の価値情報の現在内容が更新された可能性があることを意味する。したがって、主制御部8は、非接触ICチップ5内の価値情報を取得するためのアクセス準備として、アクセス制御信号5dをオンにする(ステップS13)。
【0044】
そして、非接触ICチップ5に対してUART5eにより、全価値情報の参照を指示する(ステップS14)。このUARTは、スタートビットやストップビットを必要とし、シリアル通信でもあるため、主制御部8のワークメモリのアドレス空間をアクセスするようには高速で読み書きすることはできない。また、非接触ICチップ5は、全価値情報の参照を実行して、それらの価値情報の現在内容を主制御部8に送信するのに時間がかかる。
【0045】
主制御部8は、受信した全ての価値情報の現在内容を、価値情報記憶部11bに価値情報の種別毎に現在内容として記録する(ステップS15)。そして、非接触ICチップ5へのアクセスを終了するために、アクセス制御信号5dをオフにする(ステップS16)。
【0046】
ステップS13からS16の間、非接触ICチップ5全体がウェイクアップ状態になり消費電力が増える。またその間の有線通信の時間は長くかかる。
【0047】
次に、主制御部8は、価値情報記憶部11bから価値情報の現在内容を読み出し(ステップS30)、表示部12に表示し(ステップS31)、「価値情報表示処理」を終了する。
【0048】
[搬送波検出信号の受信なし、すなわち、リーダ/ライタからの非接触データ通信なしの場合]
ステップS11でラッチ7出力がオフ、すなわち、「搬送波検出信号の受信なし」の場合、次に、主制御部8自身による「非接触ICチップに対するアクセス処理」(図3)があったかを、主制御部アクセス履歴11aをチェックすることにより行う(ステップS20)。
【0049】
主制御部アクセス履歴11aに履歴が残っている場合(ステップS20でYES)、主制御部8は、次に、主制御部アクセス履歴11a全ての要求コマンドをチェックする(ステップS21)。更新が1つでもあれば非接触ICチップ5内の価値情報の現在内容の更新が行われたことを意味するので、非接触ICチップ5内の価値情報を取得するためのアクセス準備として、アクセス制御信号5dをオンにする(ステップS22)。
【0050】
そして、非接触ICチップ5に対してUART5eにより、アクセス履歴が更新の価値情報の参照を指示する(ステップS23)。図2の例では、電子マネーとポイントサービスが更新されており、したがって、主制御部8は、非接触ICチップ5に対して、電子マネーとポイントサービス対応のそれぞれの価値情報の参照を指示し、それぞれの価値情報の現在内容を受信して、価値情報記憶部11bに記録する(ステップS24)。
【0051】
この処理時間は、ステップS14での全価値情報の参照時間に比べて短くて済み、その分、消費電力も少なくてすむ。
【0052】
そして、非接触ICチップ5へのアクセスを終了するために、アクセス制御信号5dをオフにする(ステップS25)。そして、主制御部アクセス履歴11aの全ての履歴を消去する(ステップS26)。これは、主制御部アクセス履歴11aが表示目的のための履歴であり、用が済んだので、消去するものである。
【0053】
次に、主制御部8は、価値情報記憶部11bから価値情報の現在内容を読み出し(ステップS30)、表示部12に表示し(ステップS31)、「価値情報表示処理」を終了する。
【0054】
[搬送波受信なしで、かつ、主制御部8自身による価値情報の参照のみの場合]
ステップS21で参照のみであった場合は、非接触ICチップ5の価値情報の現在内容は更新されなかったことを意味し、非接触ICチップ5から情報を直接取得する必要はない。そして、主制御部アクセス履歴11aの全ての履歴を消去する(ステップS26)。これは、主制御部アクセス履歴11aが表示目的のための履歴であり、用が済んだので、消去するものである。
【0055】
そして、すでにステップS15やステップS24で価値情報記憶部11bに保存されている価値情報の現在内容を読出し(ステップS30)、この情報を表示部12に表示し(ステップS31)、「価値情報表示処理」を終了する。
【0056】
ステップS30での価値情報記憶部11bの読出しは、主制御部8のアドレス空間にあるメモリのアクセス時間で済むので、表示要求があってから短時間で価値情報を表示することができる。また、非接触ICチップ5から価値情報を取得する必要がなく、非接触ICチップ5をウェイクアップ状態にする必要がないので、消費電力も少なくてすむ。
【0057】
[搬送波受信なしで、かつ、主制御部8自身によるアクセス履歴もない場合]
ステップS20でNOの場合は、非接触ICチップ5の価値情報は更新されなかったことを意味し、非接触ICチップ5から情報を直接取得する必要はない。したがって、すでにステップS15やステップS24で価値情報記憶部11bに保存されている価値情報の現在内容を読出し(ステップS30)、この情報を表示部12に表示し(ステップS31)、「価値情報表示処理」を終了する。
【0058】
一般に、非接触ICチップ内の価値情報の表示は、非接触データ通信や有線通信による非接触ICチップ内の価値情報の更新に比べて、頻度が多い。したがって、表示処理を行う場合に、ステップS14やS23の処理を行うことよりも、これらの処理を行わずにステップS30の処理のみの頻度が多いといえる。したがって、ステップS30の処理時間が短時間で済むことの効果は大きい。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、非接触ICチップが搬送波を検出しなかった場合などに、非接触ICチップ内の価値情報の取得を行わずに済むので、アクセスに時間をかけないで使用者を待たせることなく、また余分な電力を消費することがなくなる。
【0060】
なお、非接触データ通信による非接触ICチップ内の価値情報の更新と、主制御部自身による非接触ICチップ内の価値情報の更新の両方に対応した表示制御を行ったが、どちらか一方に対応した表示制御であってもよい。
【0061】
また、搬送波検出信号5cをラッチ7で保持して主制御部8がチェックするようにしたが、ラッチ7を削除して搬送波検出信号5cを直接、主制御部8がチェックするようにしてもよい。その場合、主制御部8は、能動状態になる以前の搬送波検出信号5cを検出できないので、能動状態になって最初の表示を行う場合には必ず、非接触ICチップ内の価値情報を取得するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る携帯端末のブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る携帯端末の情報記憶部11を説明する図。
【図3】本発明の実施例に係る携帯端末の主制御部の動作フローチャート(非接触ICチップに対する有線アクセス処理)。
【図4】本発明の実施例に係る携帯端末の主制御部の動作フローチャート(価値情報表示処理)。
【符号の説明】
【0063】
1 電池
2 セット電源スイッチ
3 セット電源部
4 常時電源部
5 非接触ICチップ
6 アンテナ
7 ラッチ
8 主制御部
9 通信部
10 アンテナ
11 情報記憶部
11a 主制御部アクセス履歴
11b 価値情報記憶部
12 表示部
13 キー入力部
51 アナログ部
52 チップ制御部
53 メモリ
100 携帯端末
200 リーダ/ライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ/ライタ装置との間の非接触データ通信インターフェースおよび携帯端末内部の制御手段との間の有線通信インターフェースを有し、リーダ/ライタ装置および制御手段から指示されて価値情報を制御し、当該価値情報の現在内容を記憶し、当該非接触データ通信の搬送波を検出して搬送波検出信号を出力する非接触ICチップと、
前記制御手段のメモリアドレス空間に配置され、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容がコピーされて記憶する価値情報記憶手段とを具備し、
前記制御手段は、
前記価値情報の現在内容を表示するとき、前回表示以降に前記搬送波検出信号が出力されていれば、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容を前記有線通信インターフェースで読み出して前記価値情報記憶手段に記憶して当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させ、前回表示以降に前記搬送波検出信号が出力されていなければ、前回表示時に前記価値情報記憶手段に記憶した価値情報の現在内容を表示手段に表示させること
を特徴とする携帯端末。
【請求項2】
リーダ/ライタ装置との間の非接触データ通信インターフェースおよび携帯端末内部の制御手段との間の有線通信インターフェースを有し、リーダ/ライタ装置および制御手段から指示されて価値情報を制御し、当該価値情報の現在内容を記憶し、当該非接触データ通信の搬送波を検出して搬送波検出信号を出力する非接触ICチップと、
前記制御手段のメモリアドレス空間に配置され、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容がコピーされて記憶する価値情報記憶手段とを具備し、
前記制御手段は、
前記価値情報の現在内容を表示するとき、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップをアクセスしていれば、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容を前記有線通信インターフェースで読み出して前記価値情報記憶手段に記憶して当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させ、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップをアクセスしていなければ、前回表示時に前記価値情報記憶手段に記憶した価値情報の現在内容を表示手段に表示させること
を特徴とする携帯端末。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記価値情報の現在内容を表示するとき、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップの価値情報の現在内容を更新していれば、前記非接触ICチップ内の価値情報の現在内容を前記有線通信インターフェースで読み出して前記価値情報記憶手段に記憶して当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させ、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップの価値情報の現在内容を更新していなければ、前回表示時に前記価値情報記憶手段に記憶した価値情報の現在内容を表示手段に表示させること
を特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記価値情報の現在内容を表示するとき、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップの複数の価値情報の現在内容のいずれかを更新していれば、前記非接触ICチップ内の当該更新した価値情報の現在内容を前記有線通信インターフェースで読み出して前記価値情報記憶手段に記憶して当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させ、前回表示以降に当該制御手段により前記有線通信インターフェースで前記非接触ICチップの複数の価値情報の現在内容の内、更新しなかった価値情報があれば、前回表示時に前記価値情報記憶手段に記憶した当該価値情報の現在内容を表示手段に表示させること
を特徴とする請求項2に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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