説明

携帯端末

【課題】操作性に優れ、且つ電力消費の増大化に有利な携帯端末を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末1は、第1電池18を収容する第1電池収容部10と、ケース本体2と、第1電池収容部10を開閉するようにケース本体2に取り付けられる電池蓋14を備えている。また、ケース本体2の上方前方側の領域に表示装置3が設けられており、上方後方側の領域に操作ボタン4が配置されている。そして、この操作ボタン4が配置されてなる操作領域αの外側に一部が配置されるように、ケース本体2の下方後方側から延長把持部20が延出しており、この延長把持部20には第2電池30を収容する第2電池収容部25が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコード、二次元コード等の光学情報の読み取り機能を備えた携帯端末や、RFIDタグとの無線通信機能等を備えた携帯端末などは、一般的に、端末内部に充電可能な電池が配置されており、この電池からの電力供給によって動作するようになっている。この種の携帯端末では、端末の高機能化などを理由として消費電力が増大する傾向にあり、現在では、その対策が強く求められている。
【0003】
このような問題を解決しようとする技術としては、例えば特許文献1のようなものが提案されている。この特許文献1では、カメラ機能付の移動通信端末装置に補助電池パック(50)を装着した構成が開示されており、この発明で用いられる補助電池パック(50)は、移動通信端末装置の内蔵電池が消耗したときに動作用電力を供給するように機能しており、これにより全体的な電池容量の増大を図っている。更に特許文献1の移動通信端末装置は、表示部(16)が設けられる第2部分(12)を通信用操作部(21)が設けられる第1部分(11)に対して折りたたむことができ、折りたたみ時には、補助電池パック(50)が第1部分(11)の裏側に重なるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−93277公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記携帯端末の分野では、使い勝手の面から片手でも使用できる構成が望まれているが、携帯性を重視して小型化が図られることが多く、操作ボタンが配置される操作領域が狭くなる傾向にあり、操作性の面で改善の余地が大きかった。例えば、長手方向の一端側に各種情報を表示する表示装置が設けられ、他端側に情報を入力する操作ボタンが配置される構成の携帯端末では、表示装置を見ながら使用するという使い勝手の面から表示装置を避けた位置(即ち、操作ボタン側)を把持することが一般的であり、このような構成の場合、携帯端末を把持している片手だけで把持領域に配置される操作ボタンを操作しようとしても、操作姿勢が不自然にならざるを得なかった。
【0006】
このように、携帯端末の分野では、消費電力の増大に対する対策だけでなく、操作性の向上についても求められるが、上記特許文献1の技術では、操作性について何ら考慮されておらず、操作性の面で改善の余地が大きかった。特に、特許文献1の構成は、通信用操作部(21)が設けられる第1部分(11)の裏側(すなわち、第1部分(11)の厚み方向)に補助電池パック(50)が重なるように配置されることになるため、返って操作性が低下してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、操作性に優れ、且つ電力消費の増大化に有利な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の電池と、前記第1の電池を収容する第1の電池収容部を備え、長手状に構成されたケース本体と、前記第1の電池収容部を開閉するように前記ケース本体に取り付けられる電池蓋と、外部操作が可能となるように前記ケース本体の厚さ方向一方面側に配置された操作部と、を備えた携帯端末であって、前記操作部が配置されてなる操作領域の外側に少なくとも一部が配置されるように、前記ケース本体の長手方向一方側から延出する延長把持部を備え、前記延長把持部の内部において、第2の電池を収容する第2の電池収容部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、外部操作が可能となるようにケース本体の厚さ方向一方面側に操作部が配置されている。そして、この操作部が配置されてなる操作領域の外側に少なくとも一部が配置されるように、ケース本体の長手方向一方側から延長把持部が延出している。このように、操作部が配置された長手方向一方側から延出するように延長把持部が設けられているため、操作領域をあまり把持領域として割かずに済む。従って、操作領域の大部分を把持しながら当該操作領域を操作するといった不自然な操作姿勢を取る必要がなく、操作部の操作を容易に且つ迅速に行い易くなる。特に、延長把持部は長手方向一方側から延出し、ケース本体の長手方向と延長把持部の延出方向が対応しているため、把持している延長把持部の向きに合わせてケース本体の向き(長手方向の向き)を所望の向きに調整し易く、ひいては、読み取り作業の作業性向上を図ることができる。
更に、延長把持部の内部には、第2の電池を収容する第2の電池収容部が設けられている。この構成によれば、延長把持部内の第2の電池収容部を利用して第2の電池を収容し、携帯することが可能となり、端末使用に際し複数の電池を効率的に利用し得る構成を特別な電池専用スペースを別途設けることなく実現できる。これにより、端末の充電回数を抑えてより継続的に使用することが可能となり、電力消費の増大化にも有利になる。
【0010】
請求項2の発明では、ケース本体の厚さ方向一方面側であって且つケース本体の長手方向他方側に表示装置が設けられ、ケース本体の長手方向一方側に操作ボタンが配置されている。そして、延長把持部は、長手方向一方側から、長手方向に沿うように又は長手方向に対して傾斜した方向に延出している。
このように、長手方向他方側に表示装置が設けられ、長手方向一方側に操作ボタンが配置される構成では、表示装置を常に把握しながら操作を行うことが多いため、何ら措置を講じない限り、表示装置を避けた操作領域側が把持される可能性が大きくなる。特にこの構成では、操作領域のより広い部分を把持することを強いる結果となり、使用者は、操作領域を操作する際により不自然な操作姿勢をとらざるを得なくなってしまう。しかしながら、本発明では、表示装置とは別方向に延びる延長把持部の存在によりこのような問題を効果的に解消することができ、表示装置の視認を遮らずに把持したとしても、無理のない姿勢で操作領域を容易に操作することが可能となる。
【0011】
請求項3の発明では、延長把持部は、第1の電池収容部を開閉するようにケース本体に着脱可能とされており、第1の電池収容部の蓋として、電池蓋と延長把持部とが交換可能に構成されている。この構成では、延長把持部を用いる必要が無い場合や用いるべきでない場合などにおいて電池蓋を使用することができ、延長把持部を使用すべき場合には電池蓋と切り替えて延長把持部を使用することができるようになる。従って、用途や状況に合わせた構造が可能となり、使用上の利便性を一層高めることができる。
【0012】
請求項4の発明では、延長把持部は、ケース本体の長手方向に沿うように延出しており、厚さ方向一方面側を上方、他方面側を下方としたときの延長把持部の上面は当該延長把持部の延長方向端部側となるにつれて下方位置となるように傾斜して構成されている。この構成では、延長把持部の上面を掌で押さえ、延長把持部の下面側に親指以外の指を配するように把持する自然な把持姿勢のときに、親指を延長把持部や操作領域と干渉させずに操作領域の上方側に配置し易くなり、親指による操作領域の操作がより簡単になる。
【0013】
請求項5の発明では、第2の電池収容部に第2の電池が収容されたときに当該第2の電池と第1の電池収容部に収容される第1の電池とが並列に接続されている。この構成では、延長把持部に収容された第2の電池を単なる予備電池としてではなく、第1の電池と共に継続的に使用することができる。従って、第1の電池と第2の電池とを交換するといった特別な交換作業を強いることなく、満充電からの使用継続時間を確実に増やすことができ、電力消費の増大化にも一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する一部断面図であり、図1(A)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図1(B)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【図2】図2は、第1電池と第2電池の接続の状態を示す説明図である。
【図3】図3は、延長把持部に代えて平板状の電池蓋をケース本体に取り付けた状態を示す図であり、図3(A)は、平板状の電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図3(B)は、平板状の電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【図4】図4は、第2実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する一部断面図であり、図4(A)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図4(B)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【図5】図5は、第2実施形態における他の変形例に係る携帯端末を概略的に例示する一部断面図であり、図5(A)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図5(B)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する一部断面図であり、図1(A)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図1(B)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。図2は、第1電池と第2電池の接続の状態を示す説明図である。図3は、延長把持部に代えて平板状の電池蓋をケース本体に取り付けた状態を示す図であり、図3(A)は、平板状の電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図3(B)は、平板状の電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【0016】
(全体構成)
携帯端末1は、携帯型の光学的情報読取装置(例えばバーコードリーダや二次元コードリーダ等)などとして構成されるものであり、長手状のケース本体2によって外郭が構成されている。ケース本体2は、例えば樹脂材料などからなり、箱形形態をなしている。そして、このケース本体2の内部に各種部品(各種電気部品等)が収容されている。なお、携帯端末1が光学的情報読取装置として構成される場合には、ケース本体2内に、照明光源、受光センサ、結像レンズ等の光学系と、メモリ、CPU等のマイクロコンピュータ系が収容されることとなる。
【0017】
本実施形態では、ケース本体2の長手方向を前後方向とし、表示装置3(後述)が形成された側を前方側、それとは反対側を後方側としている。また、ケース本体2の厚さ方向を上下方向とし、操作ボタン4(後述)や表示装置3が設けられた側を上方側、それとは反対側を下方側としている。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(横方向)としている。なお、図1、図2等では前後方向をX軸方向として示しており、上下方向をY軸方向として示している。また、前方側は「ケース本体の長手方向他方側」に相当し、後方側は「ケース本体の長手方向一方側」に相当する。また、ケース2の上面2aが「厚さ方向一方面」に相当し、下面2bが「厚さ方向他方面」に相当する。更に、ケース2の上方側は「厚さ方向一方面側」に相当し、下方側は「厚さ方向他方面側」に相当する。
【0018】
ケース本体2の上方前方側の領域には、表示装置3が設けられている。表示装置3は、例えば液晶表示器として構成されており、CPU(図示略)からの指令を受けて、様々な表示動作が行われるようになっている。そして、使用者が、当該表示装置3を見ながら、操作ボタン4により情報を入力できるように構成されている。
【0019】
ケース本体2の上方後方側の領域には、操作領域αが設けられており、この操作領域αには、複数の操作ボタン4が配置されている。操作ボタン4は、CPUに対して操作信号を与える構成をなしており、CPUは、操作ボタン4からの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた各種制御を行うようになっている。そして、この操作ボタン4によって、当該携帯端末1に対して外部操作が可能となっている。操作ボタン4は、例えば、数字キーや機能キー等の入力キーから構成されており、所定の配列で操作領域α内に配置されている。なお、操作ボタン4は、「操作部」の一例に相当する。
【0020】
ケース本体2の下方後方側には、第1電池収容部10が形成されている。この第1電池収容部10は、下方側が開口する構成で箱状に構成されており、前方側の内壁部には、第1前壁部10aが形成され、後方側の内壁部には、この第1前壁部10aと対向する第1後壁部10bが形成されている。また、幅方向一方側の内壁部には、第1側壁部10cが形成され、幅方向他方側の内壁部には、この第1側壁部10cと対向する図示しない第1側壁部が形成されている。また、上方側の内壁部には、第1天井壁部10dが形成されている。このように、第1前壁部10a、第1後壁部10b、一対の第1側壁部及び第1天井壁部10dによって箱状形状が構成されている。なお、第1電池収容部10は、「第1の電池収容部」の一例に相当する。
【0021】
そして、この第1電池収容部10内には、第1電池18が収容されるようになっている。この第1電池18は、所定の直流電圧を発生可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池等)によって構成されていてもよく、一次電池によって構成されていてもよい。なお、第1電池18は、「第1の電池」の一例に相当する。
【0022】
第1前壁部10aには、第1電池18と当該携帯端末1とを電気的に接続可能な端子12が設けられている。そして、第1電池18は第1電池収容部10に収容されると、パット状電極13を介して端子12側へ電力を供給するようになっている。
【0023】
更に、ケース本体2の下方後方側には、延長把持部20が着脱可能に取り付けられている。この延長把持部20は、主として、第1電池収容部10を開閉する第1電池蓋14と、第1電池蓋14に連結される連結部21と、連結部21から延長して設けられる第2電池収容部25と、第2電池収容部25を開閉する第2電池蓋26とによって構成されている。そして、この延長把持部20は、第1電池蓋14によって第1電池収容部10を開閉するようにケース本体2に着脱可能に配されている。
【0024】
第1電池蓋14は、一端側に第1窪み部15(被係合部)が設けられ、他端側に第1突出部16が設けられている。また第1窪み部15と第1突出部16の間には、第1電池収容部10を閉塞する第1板状部材17が設けられている。第1窪み部15は、閉塞時にケース本体2の第1係合部5側に開口する構成をなしている。また、第1突出部16は、一端側(第1係合部5側)とは反対側の端部において、第1窪み部15とは反対側に突出して設けられている。なお、第1突出部16の突出の向きは、第1板状部材17の板面とほぼ平行な向きに構成されている。この第1突出部16は、第1電池蓋14の装着時(図1(A)に示す閉塞時)にケース本体2に形成された孔部8と嵌合する構成をなしている。
【0025】
第1電池蓋14の取付対象となるケース本体2は、爪部として構成される第1係合部5と、この第1係合部5と連動する第1解除操作部6とを備えている。第1係合部5は、第1電池蓋14の装着時(即ち、延長把持部20の装着時)に、第1電池蓋14の一端側に形成された被係合部(具体的には第1電池蓋14の一端側に形成された第1窪み部15)と係合するものである。また、第1解除操作部6は、第1係合部5と一体的に構成されており、外部操作に応じて第1係合部5を変位させるものである。第1解除操作部6は弾性ばねからなる付勢部材7によって第1電池蓋14に付勢されており、非操作状態では、図1(A)に示す位置に保持されている。一方、第1解除操作部6に対して第1電池蓋14側から遠ざける外部操作がなされた場合(矢印側に変位させる外部操作がなされた場合)、図1(B)に示すように、その外部操作に応じて第1係合部5が変位して第1窪み部15から離脱し、これにより当該第1係合部5と第1電池蓋14との係合が解除され、第1電池収容部10が開放されるようになっている。
【0026】
ケース本体2に形成された孔部8は、図1(A)に示す第1電池蓋14の装着時に、第1突出部16の向きとほぼ同方向となるような孔が形成されている。この孔部8は、第1電池蓋14が装着されたときに、第1突出部16の外壁面と孔部8の内壁面との間に隙間が構成されるサイズとされている。また、第1電池蓋14の離脱時(即ち延長把持部20の離脱時)には、この孔部8から第1突出部16が外れるようになっている。
【0027】
更に、延長把持部20は、図1(A)に示すように、ケース本体2の下方後方側から、長手方向に対して傾斜した方向に延出している。また、この延長把持部20は、上方側から見て、操作領域αの外側に一部が配置され、より具体的には、長手方向におけるケース本体2の配置領域よりも外側(即ち、ケース2の長手方向端部よりも長手方向外側)に一部が配置されるように延出している。そして、このように延長把持部20が構成されることにより、当該延長把持部20を把持した使用者が、不自然な操作姿勢を取ることなく、表示装置3を見ながら当該携帯端末1を安定して操作することができるようになっている
【0028】
連結部21は、図1に示すように、第1電池蓋14と第2電池収容部25とを連結するように構成されている。連結部21には、爪部として構成される第2係合部22と、この第2係合部22と連動する第2操作部23とを備えている。第2係合部22は、第2電池蓋26の装着時に、第2電池蓋26の一端側に形成された被係合部(具体的には第2電池蓋26の一端側に形成された第2窪み部27)と係合するものである。また、第2操作部23は、第2係合部22と一体的に構成されており、外部操作に応じて第2係合部22を変位させるものである。第2操作部23は弾性ばねからなる付勢部材24によって第2電池蓋26に付勢されており、非操作状態では、図1(A)に示す位置に保持されている。一方、第2操作部23に対して第2電池蓋26側から遠ざける外部操作がなされた場合(矢印側に変位させる外部操作がなされた場合)、図1(B)に示すように、その外部操作に応じて第2係合部22が変位して第2窪み部27から離脱し、これにより当該第2係合部22と第2電池蓋26との係合が解除され、第2電池収容部25が開放されるようになっている。
【0029】
第2電池収容部25は、略長方形状をなし、樹脂材料などから形成されており、連結部21と一体的に構成されている。この延長把持部20の内部には、第2電池収容部25が形成されている。第2電池収容部25は、上述した第1電池収容部10と略同形状で構成されており、下方側が開口する構成で箱状に構成されている。そして、前方側の内壁部には、第2前壁部25aが形成され、後方側の内壁部には、この第2前壁部25aと対向する第2後壁部25bが形成されている。また、幅方向一方側の内壁部には、第2側壁部25cが形成され、幅方向他方側の内壁部には、この第2側壁部25cと対向する図示しない側壁が形成されている。また、上方側の内壁部には、第2天井壁部25dが形成されている。このように、第2前壁部25a、第2後壁部25b、一対の側壁及び第2天井壁部25dによって箱状形状が構成されている。なお、第2電池収容部25は、「第2の電池収容部」の一例に相当する。
【0030】
更に、第2電池収容部25を開閉するための第2電池蓋26が第2後壁部25b側に回動可能に取り付けられている。第2電池蓋26は、一端側に上述の第2窪み部27(被係合部)が設けられ、他端側には、回動軸28が設けられている。また第2窪み部27と回動軸28の間には、第2電池収容部25を閉塞する第2板状部材29が設けられている。第2窪み部27は、閉塞時に第2係合部22側に開口する構成をなしている。
【0031】
そして、第2電池収容部25内には、第2電池30が収容されるようになっている。この第2電池30は、第1電池収容部10に収容される第1電池18と同型の電池で構成されていてもよく、第1電池18とは異なる電池で構成されていてもよい。なお、第2電池30は、「第2の電池」の一例に相当する。
【0032】
更に、第2電池収容部25の第2前壁部25aには、パット状電極31が設けられている。このパット状電極31は、図2に示すように、第1電池収容部10に収容されているパット状電極13と導線40により電気的に接続されている。そして、第2電池30が第2電池収容部25に収容されたときに、当該第2電池30と第1電池収容部10に収容される第1電池18とが並列に接続されるように構成されている。この構成により、例えば、第2電池30を第1電池18と同型の電池で構成し当該携帯端末1を動作させた場合には、第1電池18のみで動作させた場合と比べて、当該携帯端末1の動作時間を2倍程度まで延ばすことができる。
【0033】
また、図1等に示す延長把持部20をケース本体2から完全に取り外した場合には、この延長把持部20に代えて小型かつ平板状の電池蓋50を着脱可能に取り付けることができるようになっている。具体的には、延長把持部20側の被係合部(第1窪み部15、第1突出部16)に対してケース本体2側に形成された複数の係合部(第1係合部5、孔部8)をそれぞれ係合可能とされており、ケース本体2から延長把持部20が取り外された場合には、図3のように電池蓋50に形成された被係合部(窪み部55、突出部56)に対し、ケース本体2側に形成された複数の係合部(第1係合部5、孔部8)をそれぞれ係合させることができるようになっている。つまり、ケース本体2側の複数の係合部(第1係合部5、孔部8)は、延長把持部20を装着する場合と電池蓋50を装着する場合とに兼用され、両部品を係合させるための共通の係合部として機能している。
【0034】
電池蓋50は、延長把持部20と交換可能な交換用電池蓋として構成されており、延長把持部20の第1電池蓋14と同様の構成をなしている。即ち、電池蓋50の一端側には第1窪み部15(被係合部)と同様の窪み部55が設けられ、他端側に第1突出部16と同様の突出部56が設けられている。また窪み部55と突出部56の間には、第1板状部材17と同様の板状部材57が設けられ第1電池収容部10を閉塞するように機能している。窪み部55は、閉塞時に第1係合部5側に開口する構成をなし、突出部56は、一端側(第1係合部5側)とは反対側の端部において、窪み部55とは反対側に突出して設けられている。この突出部56の突出の向きも、板状部材57の板面とほぼ平行な向きに構成され、この突出部56は、電池蓋50の装着時(図3(A)に示す閉塞時)にケース本体2に形成された孔部8と嵌合する構成をなしている。
【0035】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末1では、外部操作が可能となるようにケース本体2の上面2a(厚さ方向一方面)側に操作ボタン4が配置されている。そして、この操作ボタン4が配置されてなる操作領域αの外側に少なくとも一部が配置されるように、ケース本体2の後方側(長手方向一方側)から延長把持部20が延出している。このように、操作ボタン4が配置されたケース本体2の後方側から延出するように延長把持部20が設けられているため、操作領域αをあまり把持領域として割かずに済む。従って、操作領域αの大部分を把持しながら当該操作領域αを操作するといった不自然な操作姿勢を取る必要がなく、操作ボタン4の操作を容易に且つ迅速に行い易くなる。特に、延長把持部20はケース本体2の後方側から延出し、ケース本体2の長手方向と延長把持部20の延出方向が対応しているため、把持している延長把持部20の向きに合わせてケース本体2の向き(長手方向の向き)を所望の向きに調整し易く、ひいては、読み取り作業の作業性向上を図ることができる。
更に、延長把持部20の内部には、第2電池30を収容する第2電池収容部25が設けられている。この構成によれば、延長把持部20内の第2電池収容部25を利用して第2電池30を収容し、携帯することが可能となり、端末使用に際し複数の電池を効率的に利用し得る構成を特別な電池専用スペースを別途設けることなく実現できる。これにより、端末の充電回数を抑えてより継続的に使用することが可能となり、電力消費の増大化にも有利になる。
【0036】
また、ケース本体2の上面2a側であって且つケース本体2の前方側(長手方向他方側)に表示装置3が設けられ、ケース本体2の後方側に操作ボタン4が配置されている。そして、延長把持部20は、後方側から、長手方向に対して傾斜した方向に延出している。
このように、ケース本体2の前方側に表示装置3が設けられ、後方側に操作ボタン4が配置される構成では、表示装置3を常に把握しながら操作を行うことが多いため、何ら措置を講じない限り、表示装置3を避けた操作領域α側が把持される可能性が大きくなる。特にこの構成では、操作領域αのより広い部分を把持することを強いる結果となり、使用者は、操作領域αを操作する際により不自然な操作姿勢をとらざるを得なくなってしまう。しかしながら、本発明では、表示装置3とは別方向に延びる延長把持部20の存在によりこのような問題を効果的に解消することができ、表示装置3の視認を遮らずに把持したとしても、無理のない姿勢で操作領域αを容易に操作することが可能となる。
【0037】
また、延長把持部20は、第1電池収容部10を開閉するようにケース本体2に着脱可能とされており、第1電池収容部10の蓋として、電池蓋50と延長把持部20とが交換可能に構成されている。この構成では、延長把持部20を用いる必要が無い場合や用いるべきでない場合などにおいて電池蓋50を使用することができ、延長把持部20を使用すべき場合には電池蓋50と切り替えて延長把持部20を使用することができるようになる。従って、用途や状況に合わせた構造が可能となり、使用上の利便性を一層高めることができる。
【0038】
また、第2電池収容部25に第2電池30が収容されたときに当該第2電池30と第1電池収容部10に収容される第1電池18とが並列に接続されている。この構成では、延長把持部20に収容された第2電池30を単なる予備電池としてではなく、第1電池18と共に継続的に使用することができる。従って、第1電池18と第2電池30とを交換するといった特別な交換作業を強いることなく、満充電からの使用継続時間を確実に増やすことができ、電力消費の増大化にも一層有利となる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末201について、図4を参照して説明する。本第2実施形態では、延長把持部20に代えて延長把持部220を採用する点が主に異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末1と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図4は、第2実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する一部断面図であり、図4(A)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が閉塞位置にあるときの状態を示す説明図であり、図4(B)は、第1電池蓋及び第2電池蓋が開放位置にあるときの状態を示す説明図である。
【0041】
本第2実施形態では、図4に示すように、延長把持部220は、ケース本体2の後方側から長手方向に沿うように(操作領域αの延長上側に)、延出している。そして、延長把持部220の上面は、当該延長把持部220の延長方向端部側となるにつれて下方位置となるように傾斜している。なお、延長把持部220は、ケース本体2と一体的に設けられていてもよく、ケース本体2と別体で設けられていてもよい。例えば、既存の携帯端末の後方端部に保護部材が取り付け穴を介して取り付けられている構成では、この保護部材を取り外し、この取り付け穴を利用して当該延長把持部220を取り付けるようにすることもできる。
【0042】
そして、図4(A)に示すように、第1電池蓋14及び第2電池蓋226が閉塞位置にある状態で、第2電池蓋226は、ケース本体2側に設けられる第1電池蓋14の位置と揃うように構成されている。このように構成されていることで、使用者が延長把持部220をより安定して把持しやすくなる。
【0043】
延長把持部220は、第2電池収容部225及び第2電池収容部225を開閉する第2電池蓋226とから主に構成されている。第2電池収容部225は、第1電池収容部10と略同形状であって、下方側が開口する構成で箱状形態をなしている。第2電池蓋226は、一端側に略U字形状の係止部33が設けられ、他端側には回動軸28が設けられている。そして、第2電池蓋226は、第2後壁部25b側に回動可能に取り付けられている。
【0044】
第2電池収容部225の第2前壁部25aには、第2電池蓋226が閉塞位置にあるときに、第2電池蓋226の係止部33が係止する係止片34が設けられている。そして、係止部33を係止片34側から遠ざける外部操作がなされた場合(矢印右方向に変位させる外部操作がなされた場合)、図4(B)に示すように、その外部操作に応じて係止部33が撓んで変位して、係止片34から離脱し、これにより係止部33と係止片34との係合が解除され、第2電池収容部225が開放されるようになっている。
【0045】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末201では、ケース本体2の上面2a側であって且つケース本体2の前方側に表示装置3が設けられ、ケース本体2の後方側に操作ボタン4が配置されている。そして、延長把持部220は、後方側から、長手方向に沿うように延出している。
このように、ケース本体2の前方側に表示装置3が設けられ、後方側に操作ボタン4が配置される構成では、表示装置3を常に把握しながら操作を行うことが多いため、何ら措置を講じない限り、表示装置3を避けた操作領域α側が把持される可能性が大きくなる。特にこの構成では、操作領域αのより広い部分を把持することを強いる結果となり、使用者は、操作領域αを操作する際により不自然な操作姿勢をとらざるを得なくなってしまう。しかしながら、本発明では、表示装置3とは別方向に延びる延長把持部220の存在によりこのような問題を効果的に解消することができ、表示装置3の視認を遮らずに把持したとしても、無理のない姿勢で操作領域αを容易に操作することが可能となる。
【0046】
また、延長把持部220は、ケース本体2の長手方向に沿うように延出しており、延長把持部220の上面は当該延長把持部220の延長方向端部側となるにつれて下方位置となるように傾斜して構成されている。この構成では、延長把持部220の上面を掌で押さえ、延長把持部220の下面側に親指以外の指を配するように把持する自然な把持姿勢のときに、親指を延長把持部220や操作領域αと干渉させずに操作領域αの上方側に配置し易くなり、親指による操作領域αの操作がより簡単になる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
上記各実施形態において、延長把持部の構成は上記に限定されない。例えば、図5に示す携帯端末301のように、延長把持部320は、電池蓋の代わりにスライド部材36を用いる構成とすることもできる。そして、このスライド部材36に第2電池30を載置させた状態で、図5(A)に示す状態から矢印右方向へスライドさせることで、第2電池収容部325を開放することができる。
【0049】
上記各実施形態では、操作部が操作ボタン4から構成された例を示したが、操作部の構成は特に限定されず、例えば、タッチパネル等から構成されていてもよい。
【0050】
上記各実施形態では、第1電池18と第2電池30とが並列に接続された構成を示したが、これに限定されず、例えば、第1電池18と第2電池30とが電気的に接続されていない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1、201、301…携帯端末
2…ケース本体
2a…厚さ方向一方面
2b…厚さ方向他方面
3…表示装置
4…操作ボタン(操作部)
5…第1係合部
6…第1解除操作部
7、24…付勢部材
8…孔部
10…第1電池収容部(第1の電池収容部)
10a…第1前壁部
10b…第1後壁部
10c…第1側壁部
10d…第1天井壁部
12…端子
13、31…パット状電極
14…第1電池蓋
15…第1窪み部
16…第1突出部
17…第1板状部材
18…第1電池(第1の電池)
20、220、320…延長把持部
21…連結部
22…第2係合部
23…第2操作部
25、225、325…第2電池収容部(第2の電池収容部)
25a…第2前壁部
25b…第2後壁部
25c…第2側壁部
25d…第2天井壁部
26、226…第2電池蓋
27…第2窪み部
28…回動軸
29…第2板状部材
30…第2電池(第2の電池)
33…係止部
34…係止片
36…スライド部材
40…導線
50…電池蓋
55…窪み部
56…突出部
57…板状部材
α…操作領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池と、
前記第1の電池を収容する第1の電池収容部を備え、長手状に構成されたケース本体と、
前記第1の電池収容部を開閉するように前記ケース本体に取り付けられる電池蓋と、
外部操作が可能となるように前記ケース本体の厚さ方向一方面側に配置された操作部と、
を備えた携帯端末であって、
前記操作部が配置されてなる操作領域の外側に少なくとも一部が配置されるように、前記ケース本体の長手方向一方側から延出する延長把持部を備え、
前記延長把持部の内部において、第2の電池を収容する第2の電池収容部が設けられていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記ケース本体の前記厚さ方向一方面側であって且つ前記ケース本体の長手方向他方側に表示装置が設けられ、前記ケース本体の前記長手方向一方側に操作ボタンが配置されており、
前記延長把持部は、前記長手方向一方側から、前記長手方向に沿うように又は前記長手方向に対して傾斜した方向に延出していることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記延長把持部は、前記第1の電池収容部を開閉するように前記ケース本体に着脱可能とされており、
前記第1の電池収容部の蓋として、前記電池蓋と前記延長把持部とが交換可能とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記延長把持部は、前記ケース本体の前記長手方向に沿うように延出しており、
前記厚さ方向一方面側を上方、他方面側を下方としたときの前記延長把持部の上面は当該延長把持部の延長方向端部側となるにつれて下方位置となるように傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第2の電池収容部に前記第2の電池が収容されたときに当該第2の電池と前記第1の電池収容部に収容される前記第1の電池とが並列に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−182101(P2012−182101A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46075(P2011−46075)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】