説明

携帯電話機

【課題】待受状態においてダイヤルキーの入力を受け付けた場合に、発呼への途を確保しつつ簡単な操作で目的の機能を実行できる携帯電話機を提供する。
【解決手段】ダイヤルキーが入力されると対応する数字の並びを表示して発呼できる状態とする(図6(b))。キーの入力回数が4回に達すると、ダイヤルキー「3さ」「3さ」「3さ」「3さ」の入力順から特定される文字列「せ」に関連する機能の名称「赤外線受信」を検索し、選択肢81として表示する(図6(c))。同時に、数字「3333」も選択肢82として表示する。選択肢81の選択を受け付けると赤外線受信機能を実行し(図6(d))、選択肢82の選択肢を受け付けると、「3333」に発呼できる状態とする(図6(e))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機のユーザインターフェイスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、元来の電話機能に加えて、メール機能、カメラ機能、テレビ機能、スケジュール機能などの数多くの機能が搭載される傾向にある。
従来、メール機能やカメラ機能といった定番の機能については、特定の操作キーにキー割り当てし、ワンタッチでその機能を呼び出すことができるようにする技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−322179号公報
【特許文献2】特開2001−125893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、定番の機能に関しては機能へのアクセスを容易にする方式が採用されている。しかし、ユーザが希にしか使わないような機能(マイナー機能)に関しては、機能の起動まで複雑な操作を要する傾向にある。
例えば、機能を起動するために、ユーザは階層構造メニューの階層を何度もたどる操作を強いられることがある。また操作に不慣れなユーザならばメニューの多くの項目の中から目的の機能を選択することも難しいと考えられる。
この点、上記マイナー機能に関しても、上記したキー割り当てを行うことも考えられるが、数に限りのあるキーに数多くの機能を全て割り当てるのは困難であるし、ユーザからすればキー割り当てを覚えるのも面倒である。
ところで、携帯電話機は待受状態において、ダイヤルキー押下による番号入力を受け付けると、入力された番号を表示し発呼可能とすることが一般的であり、携帯電話機本来の電話機能は容易に起動できるよう配慮する必要もある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、待受状態においてダイヤルキーの入力を受け付けた場合に、発呼への途にも配慮しつつ簡単な操作で目的の機能を起動できる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電話機は、待受状態において、数字及び文字が対応付けられたキーの入力を受け付けると、入力されたキーに対応する数字を表示し、所定の操作を受け付けると、表示している数字の電話番号へと発呼する携帯電話機であって、
待受状態において入力されたキーに対応する数字の並びが所定条件を満足した場合に、当該入力に係るキーに対応する文字を特定し、当該特定した文字を有する機能を検索する機能検索手段と、前記検索後に、検索された機能を示す選択肢を表示する選択肢表示手段と、前記機能を示す選択肢の選択を受け付けると、対応する機能を起動することを特徴とする。
【0007】
また、前記機能検索手段は、前記入力されたキーに対応する数字の並びの桁数が所定桁数に達した場合に、前記所定条件を満足したとするとしても構わない。
また、前記選択肢表示手段は、前記所定条件を満足した場合に、前記入力されたキーに対応する数字を示す選択肢を、前記機能を示す選択肢と並べて表示し、前記数字を示す選
択肢の選択を受け付けると、前記機能を示す選択肢の表示を抑止するとしても構わない。
【0008】
また、前記選択肢表示手段が表示する前記数字を示す選択肢は、前記数字が電話番号である旨を示す識別記号の表示を含むとしても構わない。
また、前記選択肢表示手段は、前記所定条件を満足した場合に、前記入力に係るキーに対応する文字の変換候補を示す選択肢を、前記機能を示す選択肢と並べて表示するとしても構わない。
【0009】
また、前記文字列の変換候補を示す選択肢の選択を受け付けると、メール作成機能を起動して、選択された変換候補をメールの本文の表示領域に出力するとしても構わない。
また、名前と電話番号とを対応付けたアドレス辞書を記憶するアドレス辞書記憶手段と、前記所定条件を満足した場合に、前記アドレス辞書を対象として、前記入力に係るキーに対応する文字を特定し、特定された文字に関連する名前を検索する検索手段とを備え、前記選択肢表示手段は、検索された名前を表し電話を示す選択肢を、前記機能を示す選択肢と並べて表示し、前記電話を示す選択肢の選択を受け付けると、前記電話番号の表示に代えて、名前に対応付けられた電話番号を表示するとしても構わない。
【0010】
また、名前とメールアドレスとを対応付けたアドレス辞書を記憶する記憶手段と、前記所定条件を満足した場合に、前記アドレス辞書を対象として、前記入力に係るキーに対応する文字を特定し、特定された文字に関連する名前を検索する検索手段とを備え、前記選択肢表示手段は、検索された名前を含みメール作成を示す選択肢を、前記機能を示す選択肢と並べて表示し、前記メール作成を示す選択肢の選択を受け付けると、メール作成機能を起動し、名前に対応付けられたメールアドレスをメールの送信先に設定するとしても構わない。
【0011】
また、電話番号を含む電話番号テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、前記入力されたキーに対応する数字の並びが、前記電話番号テーブルに含まれる電話番号に一致する場合には、前記選択肢表示手段による前記機能を示す選択肢の表示を抑止する表示制御手段とを備えるとしても構わない。
また、本発明に係る携帯電話機は、待受状態において、数字及び文字が対応付けられたキーの入力を受け付けると、入力されたキーに対応する数字を表示し、所定の操作を受け付けると、表示している数字の電話番号へと発呼する携帯電話機であって、待受状態において入力されたキーに基づいて、当該入力に係るキーに対応する文字を特定し、当該特定した文字を有する機能を検索する機能検索手段と、前記検索後に、検索された機能を示す選択肢を表示する選択肢表示手段と、前記機能を示す選択肢の選択を受け付けると、対応する機能を起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る携帯電話機によれば、前記機能検索手段は、入力されたキーに対応する文字を用いて、機能を検索し、選択肢表示手段は検索された機能を選択肢として表示するため、ユーザはこの選択肢を選択することにより対応する機能を簡単に起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】携帯電話機の機能ブロック図である。
【図3】機能辞書のデータ構造例を示すテーブルである。
【図4】携帯電話機2の動作を示すフローチャートである。
【図5】携帯電話機2の動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)〜(f)は、ディスプレイ上の画面80a〜80fの遷移を示す図である。
【図7】実施の形態2における携帯電話機の機能ブロック図である。
【図8】アドレス帳のデータ構造例を示すテーブルである。
【図9】アドレス辞書58のデータ構造例を示すテーブルである。
【図10】携帯電話機2の動作を示すフローチャートである。
【図11】(a)〜(g)は、ディスプレイ上の画面90a〜90gの遷移を示す図である。
【図12】番号テーブルのデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態について図面を用いて説明する。
<構成>
図1は、携帯電話機の外観を示す図である。
携帯電話機2は、ダイヤルキー4、発信キー6、カーソルキー8、センターキー10、ディスプレイ12を備える。
ダイヤルキー4は、数字や文字の入力キーである。キートップには数字及び文字が刻印されている。
例えば、「3さ」キーは、数字3とさ行の文字とが対応付けされている。
入力部が「3さ」キーの連続入力を受け付けた場合に、数字入力として扱う場合には、「333・・・」という入力となる。かな文字入力として扱う場合には、「さ」→「し」→「す」→「せ」→「そ」→「さ」→「し」→・・・と入力する毎に、あ段からお段へと入力受け付けする文字を切り替える。
【0015】
発信キー6は、電話の発呼に使用するキーである。
カーソルキー8は、入力位置や選択肢を選ぶためのカーソルを上下左右に移動するときに使用するキーである。
センターキー10は、輪状のカーソルキー8の中央に配置されており、選択肢の選択などの確定に使用するキーである。
【0016】
図2は、携帯電話機の機能ブロック図である。
携帯電話機2は、制御部20と記憶部50とを備える。
制御部20は、メイン制御部22、入力部24、出力部26、通話部28、赤外線機能部30、メーラー部32、スケジュール部34、電卓部36、候補検索部38、候補バッファ40、候補表示部42を備える。
【0017】
メイン制御部22は、制御プログラムを含んで構成され、入力部24が受け付けた操作に応じた処理を行い、処理結果を出力部26に出力させる。
入力部24は操作キー(ダイヤルキー4,発信キー6,カーソルキー8を含むキーである。)からの入力を受け付ける。
出力部26は、メイン制御部22や候補表示部42の表示命令に従ってディスプレイ12に表示出力させる。
【0018】
通話部28は、携帯電話機に一般的に搭載される通信回路などから構成されており、通話機能やメール送受信機能を実現する。
赤外線機能部30は、赤外線通信機能を持つ携帯電話機との間でのデータの送受信を行う。赤外線機能を実行する際には、携帯電話機どうしで赤外線ポートを向かい合わせるようユーザに促す表示を出力部26を介して行わせる。便利な機能だが、一般に頻繁には使用されない機能である。
【0019】
メーラー部32は、メールの作成・送信・受信を行う。
スケジュール部34は、スケジュール機能を実現する。
電卓部36は四則演算を行う。
候補検索部38は、入力部24が入力を受け付けたキーから特定される文字に基づいて当該文字に関連する候補を辞書記憶部52から検索する。
【0020】
具体的には、(1)文字の読みに完全一致する単語又は機能名、(2)文字の読みに前方一致する単語または機能名、(3)文字の読みから連想される単語または機能名を検索する。上記(2)の検索は推測変換機能、(3)の検索は連想変換機能と呼ばれる公知の技術を用いることができる。
候補バッファ40は、RAMなどから構成され、候補検索部38が検索した単語や機能名を一時的に格納する。
【0021】
候補表示部42は、候補バッファに格納された単語や機能名を出力部26を介して表示させる。
記憶部50は、標準辞書54及び機能辞書56を含む辞書記憶部52を備える。
標準辞書54は、かなから漢字への変換などの変換を行うための公知の辞書であり、文字の読みと単語とが対応付けられたデータ構造をしている。
【0022】
機能辞書56は、(1)機能名の読み、(2)候補として表示する表示単語、(3)実行機能が対応付けられたデータ構造である。図3を用いてさらに説明する。
図3は、機能辞書のデータ構造例を示すテーブルである。
機能辞書56は、「読み」56a、「表示単語」56b、「実行機能」56cの項目を含む。
【0023】
「読み」56aは、機能の名称の読みを示す項目である。例えば、「赤外線受信」機能は「せきがいせんじゅしん」となる。なお、「けいさん」は「電卓」機能の読みとは異なるが意味合いとしては連想しやすいため読みとしている。
「表示単語」56bは、候補として表示させる単語を示す項目である。機能の名称と墨付きカッコ(機)との組み合わせとなっている。末尾のカッコは文字列としての単語候補との区別を把握させやすくするためであり、カッコに限らず機能を示す記号でもよい。
【0024】
「実行機能」56cは、「表示単語」56bが選択された場合に起動(実行)する機能を示す項目である。説明の便宜上、図3のテーブル中では単に機能の名称を表示しているが、実際には各機能の起動コマンド(例えば、各機能制御プログラムの実行ファイルの所在の指定を含む)が関連付けられている。
<動作>
図4〜図6を参照しつつ本実施の形態に係る携帯電話機2における動作について説明する。
【0025】
図4、図5は携帯電話機2の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、待受状態においてダイヤルキー4の入力を入力部24が受け付けると(S11,S12:Yes)、メイン制御部22は出力部26を介して受け付けたダイヤルキー4に対応する数字をディスプレイ12上に表示させる(S13)。
入力部24が発信キー6の入力を受け付けると(S14:発信キー)、メイン制御部22は通話部28を介して、ステップS13で表示中の数字への発呼行わせる。
【0026】
入力部24が続けてダイヤルキー4の入力を受け付けると(S14:ダイヤルキー)、受け付けたダイヤルキー4に対応する2つの数字をディスプレイ12上に並べて表示させる。
ステップS14:ダイヤルキー、ステップS13の表示を繰り返して数字が4ケタ目に達すると(S16:Yes)、メイン制御部22は、候補表示処理に移行させる(S17)。
図5に示すように、候補表示処理においては、メイン制御部22は、それまで入力されたダイヤルキー4に対応する文字を特定し、候補検索部38は特定された文字の読みに関連する単語を、標準辞書54を対象に検索する(S21)。
【0027】
文字の読みは、それまで入力されたダイヤルキー4に基づいて特定され、例えば「3さ」「3さ」「3さ」「3さ」のキー入力であれば文字の読みは「せ」、「1あ」「2か」「3さ」「2か」のキー入力ならば文字の読みは「あかさか」、「1あ」「2か」「2か」「3さ」のキー入力ならば文字の読みは「あきさ」となる。
なお、検索結果は候補バッファ40に格納される。
【0028】
また、候補検索部38は、機能辞書56を対象として、入力されたダイヤルキー4に対応する文字の読みに関連する機能の名称を検索する(S22)。なお、ステップS21,S22の処理は同時に行っても構わない。
続いて、候補表示部42は、候補バッファ40を参照して、(1)入力されたダイヤルキー4に対応する文字の読みに関連する機能の名称(ステップS22の検索結果である)、(2)入力されたダイヤルキー4に対応する数字、(3)入力されたダイヤルキー4に対応する文字の読みに関連する単語(ステップS21の検索結果である)、の3種類の選択肢を表示する。
【0029】
なお、表示した選択肢は、カーソルキー8の上下移動により選択を受け付け、センターキー10の押下による選択確定を受け付ける。
また、上記(1)(3)の検索結果の件数が複数の場合には、1種の選択肢あたりに複数の機能の名称や単語を表示しても構わない。
入力部24が選択肢(1)の選択を受け付けると(S24:(1))、メイン制御部22は、機能辞書56の「実行機能」56cの項目を参照して選択された表示単語に対応する機能を実行させる(S25)。
【0030】
ここで携帯電話機2のユーザは、選択肢(1)を選ぶと、対応する機能を簡易に起動できる。
入力部24が選択肢(2)の選択を受け付けると(S24:(2))、ステップS13に戻り、メイン制御部22は入力されたダイヤルキー4に対応する数字を表示させる(S13)。ここで携帯電話機2のユーザは、選択肢(2)を選ぶと、元のダイヤルキー4に対応する番号表示に復帰できる。
【0031】
入力部24が選択肢(3)の選択を受け付けると(S24:(3))、メイン制御部22は、メーラー部32のメール作成機能を起動させて、新規に作成するメールの作成中画面を呼び出す。そして、メール(メールは宛先、件名、本文で構成されている。)の本文の欄に、選択された候補の単語を入力した状態とする(S26)。なお、カーソル位置は出力した単語の後ろとする。このように、携帯電話機2でメールを作成したいユーザは、メールの本文で入力したい文字に対応するキーを入力し、カーソルキー8とセンターキー10で選択肢(3)を選択すると、メール作成機能を別途起動することなく、メールの作成を行うことができる。
【0032】
なお、入力部24が引き続きダイヤルキーの入力を受け付けると(S24: ダイヤルキー)、ステップS21に戻る。
次に、ユーザインターフェイス側から見た具体的な動作例について図6を用いて説明する。
図6(a)〜(f)は、ディスプレイ上の画面80a〜80fの遷移を示す図である。
【0033】
待受状態(図6(a))において「3さ」キーを3回まで入力すると、対応する数字「333」が表示される画面80bに遷移する(図6(b))。
続いて「3さ」キーを1回入力すると、「3さ」キーを4回入力した文字の読みである「せ」と当該「せ」に関連する3つの選択肢81〜83が表示される画面80cに遷移する(図6(c))。
【0034】
選択肢である「赤外線受信(機)」81を選択すると、赤外線受信機能が実行され、赤外線受信機能の画面80dに遷移する(図6(d))。
選択肢である「3333(電)」82を選択すると、元の入力した数字が表示される画面80eに復帰する(図6(e))。
選択肢である「赤外線受信」83は、「せ」に前方一致する漢字変換を示す選択肢であり、「赤外線受信」83を選択すると、メール作成機能の画面80fに遷移する(図6(f))。そして、メールの本文の欄には「赤外線受信」の単語が入力され、末尾のカーソル位置から引き続いてメールを作成することが可能である。
【0035】
図6を用いて説明したように、本実施の形態に係る携帯電話機2によれば、赤外線受信機能を実行したいユーザは読みの「せ」を入力して表示される候補を選択するだけで機能を起動することができる。
従来、赤外線受信機能を起動するには、例えば、メニュー→ツール→赤外線→赤外線受信、というように階層を何度も掘り進む必要があったり、そもそも階層構造を覚えていないユーザはメニューから目的の機能を探すことが困難であった。
【0036】
これに対して、本実施の形態では、赤外線受信機能という機能の名称の「せきがいせん」という読みを糸口に機能を探すことができるため、「せきがいせん」という呼び名だけ覚えていてメニュー構造はわからないユーザも何とか赤外線受信機能を探し出すことができる。
また、図6(b)(c)(e)に示すように、画面80b,80c,80eには常時入力したキーに対応する数字が常時表示されており、いつでも電話をかけられる状態へと戻れるよう工夫がなされている。このためユーザは入力した数字の電話番号へと支障なく電話をかけることができる。
【0037】
さらに、図6(b)(c)(f)に示すように、メール作成機能を実行したいユーザは、「3さ」キーを4回入力して、カーソルキー8で選択肢「赤外線受信」83を選んでセンターキー10で確定するだけで、メール作成に入ることができる。すなわち、メール作成機能をわざわざ呼び出さなくても、待受状態から普段の文字入力と同じ感覚でキーを入力してメール作成機能が起動でき、メールの作成を継続することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、機能の名称を利用して機能の実行を簡単にしようとする構成であったのに対して、本実施の形態2では、アドレス帳における名称を利用してアドレス設定を容易にしようとするものである。
【0038】
図7は、実施の形態2における携帯電話機の機能ブロック図である。同様の機能ブロックには図2と同じ符号を付して説明を省略する。
制御部20はアドレス辞書作成部44を含み、記憶部50は、アドレス辞書58、アドレス帳60を含んで構成される。
アドレス帳60は、電話番号やメールアドレスなどのアドレスと、各アドレスに対応する名前とその読みとがリスト形式で記述されたデータ構造である。
【0039】
アドレス辞書58は、アドレス辞書作成部44がアドレス帳60から作成した辞書である。
図8は、アドレス帳のデータ構造例を示すテーブルである。
アドレス帳60は、「名前」60a、「アドレス」60bの項目を含む。
「名前」60aは、「アドレス」60bの名前であり、「漢字」とその漢字の読みを示す「読み」との項目を含む。
【0040】
「アドレス」60bは、「電話」、「メール」の項目を含む。
図9は、アドレス辞書58のデータ構造例を示すテーブルである。
アドレス辞書58は「読み」58a、「表示単語」58b、「実行機能」58c、「実行オプション」58dの項目を含む。
「表示単語」58bの項目において、末尾の墨付きカッコ書き(電)(メ)は対応する機能を示している。
【0041】
「実行オプション」58dは、実行する機能の付加的な条件に関する項目である。機能が電話の場合は発信先、メールの場合は宛先が付加的な条件となる。
<動作>
図10〜図11を参照しつつ本実施の形態に係る携帯電話機2における動作について説明する。
【0042】
図10は、携帯電話機2の動作を示すフローチャートである。
待受状態に係る動作の前半部分は図4で説明したフローと同様なので説明を省略し、また、図5の処理と同様の処理には同じステップ番号を附して説明を簡単にする。
図10に示すように、候補表示処理においては、メイン制御部22は、それまで入力されたダイヤルキー4に対応する文字を特定し、候補検索部38は特定された文字の読みに関連する単語を、標準辞書54の中から検索する(S21)。
【0043】
また、候補検索部38は、アドレス辞書58を対象として、入力されたダイヤルキーに対応する文字の読みに関連する名前のアドレスを検索する(S32)。
続いて、候補表示部42は、(1)検索されたアドレスの名前を含む表示単語、(2)入力されたダイヤルキーに対応する数字、(3)検索された単語、の3種類の選択肢を表示する(S33)。
【0044】
入力部24が選択肢(1)の選択を受け付けると(S34:選択肢(1))、選択されたアドレスに対応する機能を実行し、電話ならば発信先、メールならば宛先に設定する(S35)。
入力部24が選択肢(2)の選択を受け付けると(S34:選択肢(2))、ステップS13に戻り、メイン制御部22は入力されたダイヤルキーに対応する数字を表示させる(S13)。
入力部24が選択肢(3)の選択を受け付けると(S34:選択肢(3))、メイン制御部22は、メーラー部32のメール作成機能を実行させて、選択された候補の単語を本文の欄内に出力する(S26)。
【0045】
次に、ユーザインターフェイス側から見た具体的な動作例について図11を用いて説明する。
図11(a)〜(g)は、ディスプレイ上の画面90a〜90gの遷移を示す図である。
待受状態(図11(a))において「8や」「7ま」「3さ」キーを順に入力すると、対応する数字「873」が表示される画面90bに遷移する(図11(b))。
【0046】
続いて「2か」キーを入力すると、「8や」「7ま」「3さ」「2か」キーの「8732」という数字を示す選択肢91と、文字の読みである「やまさか」の漢字変換候補の選択肢92が表示される画面90cに遷移する(図11(c))。
選択肢である「8732(電)」91を選択すると、元の電話モードに復帰する(図11(e))。なお、選択肢である「山坂」92を選択すると、メール作成機能の画面に遷移する(図示しない)。
【0047】
選択肢を選ばずにさらに続けて「2か」キーを入力すると、「8や」「7ま」「3さ」「2か」「2か」キーの数字の並びに関する選択肢93と、文字の読みに関する選択肢94〜96が表示される(図11(d))。
選択肢である「山崎さん(電)」94を選択すると、元の電話モードに復帰し、アドレス帳60に登録されている「山崎さん」の電話番号「090−XXX−XXXX」が表示される(図11(f))。
【0048】
選択肢である「山崎さん(メ)」95を選択すると、メール作成機能の画面に遷移し、宛先はアドレス帳60に登録されている「山崎さん」のメールアドレス(yamasaki@example.kyocera.jp)が設定される(図11(g))。
図11を用いて説明したように、本実施の形態に係る携帯電話機2によれば、アドレス帳に登録した「山崎さん」に電話発信やメール送信を行いたいユーザは、「山崎さん」の読み「やまさきさん」を手がかりとして電話番号やアドレスを検索し、機能を実行することができる。また、待受状態でのキー入力によりアドレス帳を呼び出さなくとも電話番号やアドレスが検索でき、使い勝手が向上する。さらに、「8732」で始まる電話番号に電話をかけたいユーザも、画面90cにおいて選択肢91を選ぶことで電話をかけることができる。
<補足>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するための各種形態においても実施可能であり、例えば、以下であってもよい。
1.実施の形態1では、数字の並びが4ケタに達することを条件に候補表示処理へ移行するとして説明している(図4:S16)。これは3ケタの数字の並びならば緊急通報用の電話番号である可能性があるためである。
【0049】
もっともこれに限らず、候補表示処理へ移行する条件は、要するに数字の並びの番号への発呼の可能性を勘案して適宜設定することができる。
例えば、「ささき」という文字の読みの入力の場合には、「3さ」「カーソル右」「3さ」「2か」「2か」の順番でのキー入力が考えられる。「カーソル右」キーは発呼のための番号入力に使用される可能性が低いため、「カーソル右」キーの入力を検出した時点で候補表示処理へ移行させても構わない。
【0050】
例えば、図12に示すように、「110」「119」といった緊急通報用の電話番号を含む番号テーブル62を記憶部50に記憶させておく。そして、入力されたキーに対応する数字の並びが例えば「223」と、番号テーブル62内の数字と一致しない場合には、発呼の可能性が低いとして直ちに候補表示処理へ移行させても構わない。また、反対に、緊急通報用の電話番号と一致(前方一致)する数字については、発呼の可能性が高いとして、機能を示す選択肢の表示を抑止させることで、緊急通報用の電話番号の入力は支障なく行えるようにしてもよい。
2.実施の形態1では、数字の並びが4ケタに達することを条件に候補表示処理へ移行するとして説明している(図4:S16)。もっともこれに限らず、入力された数字が1ケタのときに、直ちに候補表示処理へ移行するとしても構わない。
3.実施の形態1では、図6(c)に示すように、赤外線受信機能を示す選択肢81は「
赤外線受信」という機能の名称を含んでいるが、必ずしも機能の名称を含む必要は無い。
【0051】
すなわち、機能を示す選択肢は、要はユーザがその内容を把握できる形で表示させれば良いため、機能の名称に代えて、機能を象徴するような絵文字(例えば、音楽機能は音符の絵文字、メール機能は手紙の絵文字とする。)を選択肢として表示させてもよい。
4.実施の形態1では、図6(c)(f)に示すように、漢字変換候補の選択肢83を選択すると、メール作成機能を直ちに実行するとして説明したが、メール作成機能に限らず、テキスト文を編集する機能を有する他の機能(例えば、スケジュール機能やメモ帳機能)を実行するようにしてもよい。
5.実施の形態1,2では特に説明しなかったが、本実施の形態における候補表示処理への移行条件(移行の有無、移行の条件、機能選択肢の表示の有無)はユーザが設定変更可能とすることが好ましい。
6.実施の形態1,2では、ダイヤルキーにひらがなの文字が対応付けられた例を説明したが、これに限らず各キーにアルファベットを対応付けたダイヤルキーを有する携帯電話機にも適用することができる。
7.実施の形態1,2は組み合わせて実施することができる。例えば、図6(c)の候補表示において、入力文字の読み「せ」に前方一致するアドレス「関川さん(電)」をアドレス辞書58から検索し、選択肢として表示させても構わない。
8.実施の形態1,2では、同じキーを何回か入力することで文字を特定する方式(例えば、「お」なら「1あ」キーを5回入力する。)を例に挙げて説明したが、文字の入力方式としてT9方式と呼ばれる方式を用いても構わない。
【0052】
T9方式とは、キーごとに子音が割り当てられており、キー入力された子音に基づいて単語を予測する方式であり、打鍵回数が少なく簡素な文字入力を実現することができる。9.実施の形態1,2では、選択肢を選択する場合には、カーソルキー8で選択してセンターキー10で確定するとして説明したが、これに限らず選択肢の選択を携帯電話機2の特定のキーにより選択できるようにしても構わない。
【0053】
例えば、図11(d)の画面90dでは、選択肢として「山崎さん(電)」94,「山崎さん(メ)」95が表示しているが、発信キー6の入力を受け付けると、「山崎さん」に直ちに発信したり、携帯電話機に一般的に備えられているメールボタン(図示しない。)の入力を受け付けると、「山崎さん」を宛先としたメール作成画面にダイレクトに移行するようにしても構わない。
【0054】
このように、選択肢の選択が。発信やメールといった機能を呼び出すキーにより行えるようにすることで、ユーザに直感的な操作感をもたらすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る携帯電話機は、ユーザインターフェイスの向上に貢献する。
【符号の説明】
【0056】
2 携帯電話機
4 ダイヤルキー
8 カーソルキー
12 ディスプレイ
22 メイン制御部
24 入力部
26 出力部(表示出力部)
28 通話部
32 メーラー部
38 候補検索部
42 候補表示部
56 機能辞書
58 アドレス辞書
60 アドレス帳
80a〜80f,90a〜90g 画面
81〜83,91〜96 選択肢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたキーに対応する文字に関連する機能を検索する検索手段と、
前記検索された機能に関する画像を表示する表示手段と、
前記機能の選択を受け付けると、当該機能を起動する制御手段と、を備え、
前記表示手段は、前記入力されたキーに対応する文字と、前記機能に関する画像とを同時に表示する
ことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−62852(P2013−62852A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246566(P2012−246566)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2008−138079(P2008−138079)の分割
【原出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】