説明

摩擦抵抗低減型船舶

【課題】本発明の目的は、冷却用海水に空気が混入することを防止することである。
【解決手段】空気を船体の船底に送り込み、泡の力で船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶は、船体の船尾部船底に設けられている海水取り入れ用のシーチェスト420と、シーチェスト420から海水を吸い込む第1海水ポンプ440と、第1海水ポンプ440から供給された海水を用いて主機を冷却する冷却系とを具備する。シーチェスト420は、シーチェスト420に取り入れられた海水が第1海水通過口426aから流入する第1チャンバ422を備える。第1チャンバ422の天井422aに第1空気抜き口431、432が形成される。第1海水ポンプ440は、第1チャンバ422内の第1海水通過口426aより低い位置に配置された海水吸込口441aから海水を吸い込む。第1チャンバ422内で海水の下降流77が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関し、特に摩擦抵抗低減型船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の船体に作用する摩擦抵抗を低減する一手法として、空気(気泡)を水中に吹き出して船体表面を気泡で覆う方法が知られている。
【0003】
関連する技術として、特開2010−120607号公報(特許文献1)に船体摩擦抵抗低減装置が開示されている。船体摩擦抵抗低減装置は、船底に形成された複数の空気噴出孔群から気泡を発生させて船底に気泡膜を形成することにより、航行する船体の摩擦抵抗を低減する。複数の空気噴出孔群の各々は、船体の船幅方向に並んだ複数の空気噴出孔を含む。複数の空気噴出孔群は、少なくとも、中央空気噴出孔群と、一対の側方空気噴出孔群とを含む。中央空気噴出孔群は、船首側の船幅方向中央に形成される。一対の側方空気噴出孔群は、中央空気噴出孔群の船尾側且つ船幅方向の両側方に形成される。中央空気噴出孔群の船幅方向の長さは、側方空気噴出孔群の船幅方向の長さより長い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−120607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの船舶では、海水を船体内に取り込んで冷却に使用している。この冷却用海水に空気が混入すると冷却能力が低下する。摩擦抵抗低減型船舶では、船体の摩擦抵抗を低減するために空気を水中に吹き出しているため、冷却用海水に空気が混入することを防止することが重要である。
【0006】
本発明の目的は、冷却用海水に空気が混入することが防止される摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明の一の観点による摩擦抵抗低減型船舶(90)は、空気を船体(80)の船底(70)に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶である。上記摩擦抵抗低減型船舶は、前記船体の船尾部船底(89)に設けられている海水取り入れ用のシーチェスト(420)と、前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプ(440)と、前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機(95)を冷却する冷却系(460)とを具備する。前記シーチェストは、前記シーチェストに取り入れられた海水が第1海水通過口(426a)から流入する第1チャンバ(422)を備える。前記第1チャンバの天井(422a)に第1空気抜き口(431、432)が形成される。前記第1海水ポンプは、前記第1チャンバ内の前記第1海水通過口より低い位置に配置された海水吸込口(441a)から前記海水を吸い込む。
【0009】
海水吸込口が第1チャンバ内の第1海水通過口より低い位置に配置されるため、第1チャンバ内で海水の下降流(77)が形成される。海水の下降流が形成されるため、空気が第1海水ポンプに吸い込まれることが防止される。したがって、冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。
【0010】
前記シーチェストは、前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバ(423)と、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る第1隔壁(426)とを備える。前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入するように前記第1隔壁に前記第1海水通過口が形成される。
【0011】
上記摩擦抵抗低減型船舶は、前記第1チャンバの前記天井から下方に延びる第1海水吸込管(441)を更に具備する。前記第1海水吸込管は、前記第1海水ポンプの吸込口に接続される。前記海水吸込口は、前記第1吸込管の下端に設けられる。
【0012】
第1海水吸込管が第1チャンバの天井から下方に延び、第1海水吸込管の下端に海水吸込口が設けられるため、第1海水吸込管に沿って海水の下降流が形成される。第1海水吸込管によって海水の下降流が安定する。
【0013】
本発明の他の観点による摩擦抵抗低減型船舶(90)は、空気を船体(80)の船底(70)に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶である。上記摩擦抵抗低減型船舶は、前記船体の船尾部船底(89)に設けられている海水取り入れ用のシーチェスト(420)と、前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプ(440)と、前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機(95)を冷却する冷却系(460)とを具備する。前記シーチェストは、前記第1海水ポンプの吸込口に接続される第1チャンバ(422)と、前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバ(423)とを備える。前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入する。前記第2チャンバは、前記第1チャンバの船首側に配置される。前記第2チャンバの天井(423a)に第2空気抜き口(433)が形成される。
【0014】
第2チャンバが海水から空気を取り除くため、空気が第1海水ポンプに吸い込まれることが防止される。したがって、冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。
【0015】
前記シーチェストは、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る第1隔壁(426)と、前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第3チャンバ(424)と、前記第2チャンバと前記第3チャンバとを仕切る第2隔壁(427)と、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置され且つ前記第2チャンバの前記天井から下方に突き出したカーテンプレート(435)とを備える。前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入するように前記第1隔壁に第1海水通過口(426a)が形成される。前記第3チャンバから前記第2チャンバに前記海水が流入するように前記第2隔壁に第2海水通過口(427a)が形成される。
【0016】
カーテンプレート(435)によって空気が第2チャンバ(423)の第2隔壁側部分(423c)から第1隔壁側部分(423d)へ移動することが防止される。その結果、冷却用海水に空気が混入することが更に確実に防止される。
【0017】
前記カーテンプレートの下端は、前記第1海水通過口の下端及び前記第2海水通過口の下端より低い位置に配置される。
【0018】
したがって、カーテンプレート(435)の下方を通過して第2チャンバ(423)の第1隔壁側部分(423d)に移動する空気量が少なくなる。その結果、冷却用海水に空気が混入することが更に確実に防止される。
【0019】
前記第2チャンバは、前記カーテンプレートと前記第2隔壁との間の第2隔壁側部分(423c)を含む。前記第2空気抜き口は、前記第2チャンバの前記天井の前記第2隔壁側部分に対応する部分に形成される。
【0020】
第2空気抜き口により第2チャンバの第2隔壁側部分の天井近傍に溜まった空気が排出される。
【0021】
本発明の他の観点による摩擦抵抗低減型船舶(90)は、空気を船体(80)の船底(70)に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶である。上記摩擦抵抗低減型船舶は、前記船体の船尾部船底(89)に設けられている海水取り入れ用のシーチェスト(420)と、前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプ(440)と、前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機(95)を冷却する冷却系(460)とを具備する。前記シーチェストは、前記第1海水ポンプの吸込口に接続される第1チャンバ(422)と、前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバ(423)とを備える。前記第2チャンバは、前記第1チャンバの船首側に配置される。前記第2チャンバから前記第1チャンバに第1海水通過口(426a)を通って前記海水が流入する。前記第1チャンバの天井(422a)に第1空気抜き口(431、432)が形成される。前記第2チャンバの天井(423a)に第2空気抜き口(433)が形成される。前記第1海水ポンプは、前記第1チャンバ内の前記第1海水通過口より低い位置に配置された海水吸込口(441a)から前記海水を吸い込む。
【0022】
海水吸込口が第1チャンバ内の第1海水通過口より低い位置に配置されるため、第1チャンバ内で海水の下降流が形成される。第1チャンバ内で海水の下降流が形成されるため、空気が第1海水ポンプに吸い込まれることが防止される。第2チャンバが海水から空気を取り除くため、空気が第1海水ポンプに吸い込まれることが防止される。したがって、冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。
【0023】
上記摩擦抵抗低減型船舶は、バラストタンク(50)と、前記第1海水ポンプの吐出口と前記バラストタンクとを接続する第1海水供給管(443)と、第2海水ポンプ(490)と、前記第2海水ポンプの吸込口と前記バラストタンクとを接続する第2海水吸込管(491)と、前記第2海水ポンプの吐出口と前記冷却系とを接続する第2海水供給管(492)とを更に具備する。
【0024】
バラストタンクにおいて冷却系に供給されるべき海水から空気が分離される。
【0025】
本発明の他の観点による摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法は、空気を船体(80)の船底(70)に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶(90)において、前記船体の船尾部船底(89)より取り入れた海水を、空気除去流路(423)を経て、下降流路(422)に導いた後、主機冷却系(460)に供給する。
【0026】
下降流(77)を形成した後の海水を冷却用海水として用いているため、冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。
【0027】
前記下降流路が第1チャンバ(422)で形成される。前記空気除去流路が第2チャンバ(423)で形成される。前記第1チャンバが前記第2チャンバの船尾側に隣接される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、冷却用海水に空気が混入することが防止される摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶の側面図である。
【図1B】図1Bは、摩擦抵抗低減型船舶の底面図である。
【図2】図2は、摩擦抵抗低減型船舶の冷却システムの概略図である。
【図3】図3は、摩擦抵抗低減型船舶に改造されるべき船舶の側面図である。
【図4】図4は、摩擦抵抗低減型船舶に改造されるべき船舶の冷却システムの概略図である。
【図5】図5は、空気供給装置等の機器を設置する工程及び隔壁を設ける工程を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態に係る冷却システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付図面を参照して、本発明による船舶の空気潤滑システム、摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法を実施するための形態を以下に説明する。以下の説明において摩擦抵抗低減型船舶はフェリーであるが、摩擦抵抗低減型船舶はフェリー以外の船舶であってもよい。
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る船舶の空気潤滑システム、摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型線船舶における冷却方法を説明する。
【0032】
図1Aを参照して、本実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶90は、船体80と、空気潤滑システム1と、上部構造71と、舵72と、プロペラ88と、冷却対象機器95と、冷却システム400とを備える。船体80の船長方向(前後方向)、船幅方向(左右方向)及びそれらいずれにも垂直な方向が、それぞれx方向、y方向及びz方向として示されている。静水面に浮いている船体80の水面と接する線を喫水線DLとする。用語「船底」は、船体80の喫水線DLより下の部分を意味する。
【0033】
船体80は、船首部船底80aと、空気供給機器室83aと、船倉83bと、車両甲板84と、ランプ85と、甲板暴露部86と、隔壁87と、船体外板3と、船体外板4と、船尾部船底89と、船尾部船底89に設けられた船体外板7とを備える。船首部船底80aは、船首部船底平坦部81と、船首部船底船側部82とを備える。船体外板3は船首部船底平坦部81に設けられる。船体外板4は船首部船底船側部82に設けられる。空気供給機器室83aは、船倉83bより船首側に配置される。空気供給機器室83a及び船倉83bは隔壁87によって仕切られている。車両甲板84は、空気供給機器室83a及び船倉83bの床面を形成する。ランプ85は、自動車99が船倉83bに乗り降りするために使用される。甲板暴露部86は、例えば、船首部の上甲板であり、空気供給機器室83aの上方に配置される。
【0034】
空気潤滑システム1は、空気供給装置11と、エアクーラ12と、通風筒13と、空気吸い込み口14と、空気吹き出し部100Aと、空気吹き出し部100Bと、海水取入部20と、ポンプ32とを備える。空気吹き出し部100Aは、船首部船底船側部82に配置される。空気吹き出し部100B及び海水取入部20は、船首部船底平坦部81に配置される。空気供給装置11及びエアクーラ12は、空気供給機器室83aに設置される。通風筒13及び空気吸い込み口14は、甲板暴露部86に設置される。通風筒13は、空気供給機器室83aに接続され、空気供給機器室83aを換気するために用いられる。空気吸い込み口14は空気供給装置11に接続される。空気供給装置11は、エアクーラ12を介して空気吹き出し部100A及び100Bに接続される。海水取入部20は、ポンプ32を介してエアクーラ12に接続される。
【0035】
冷却システム400は、海水取入部としてのシーチェスト420と、海水ポンプ440と、クーラ460とを備える。シーチェスト420は、船尾部船底89に配置される。冷却システム400は冷却対象機器95を冷却する。冷却対象機器95は、例えば、プロペラ88を駆動する主機である。尚、シーチェスト420は船尾部船底89以外の場所に設けられてもよい。図1Aにおいては冷却対象機器95がシーチェスト420より船首側に配置される場合が示されているが、冷却対象機器95はシーチェスト420より船尾側に配置されてもよい。クーラ460は冷却系と称される場合がある。
【0036】
図1Bを参照して、海水取入部20、空気吹き出し部100B、及びシーチェスト420は、例えば、センターラインC上に配置され、船体80の船底の平坦な部分としての船底平坦部70に配置される。船底平坦部70は船首部船底平坦部81を含む。船首部船底平坦部81は、船首部船底80aのy方向(船幅方向)の最深位置に配置される。海水取入部20は空気吹き出し部100Bより船首側に配置される。空気吹き出し部100Aは、船首部船底船側部82の両舷にそれぞれ配置される。下から見て海水取入部20は、両舷に設けられた空気吹き出し部100Aの間に配置される。シーチェスト420は、空気吹き出し部100Bより船尾側に配置される。
【0037】
空気供給装置11は、空気吸い込み口14から吸い込んだ空気を加圧し、その加圧空気をエアクーラ12を介して空気吹き出し部100A及び100Bに供給する。ポンプ32は、海水取入部20から取り入れられた海水をエアクーラ12に供給する。エアクーラ12は、海水を用いて加圧空気を冷却する。エアクーラ12は、例えば、加圧空気と海水を熱交換する熱交換器である。或いは、エアクーラ12は、加圧空気中に海水を散布して加圧空気を冷却するように構成されてもよく、海水中に加圧空気を吹き出して加圧空気を冷却するように構成されてもよい。空気吹き出し部100A及び100Bは、空気供給装置11から供給された加圧空気を水中に吹き出す。すなわち、船体80から水中に空気が吹き出される。空気吹き出し部100A及び100Bから吹き出された空気により形成される気泡が船底平坦部70に送り込まれ、その気泡で船体80が覆われて、船体80の摩擦抵抗が低減される。
【0038】
ここで、自動車99等の貨物が搭載される船倉83bと空気供給装置11等の機器が設置される空気供給機器室83aとが隔壁87で仕切られるため、空気供給装置11に関連した防火対策が施される。また、船体80の気泡で覆われる面積を大きくするために空気吹き出し部100A及び100Bは船体80の船首部に配置される。空気供給装置11が設置される空気供給機器室83aが船倉83bより船首側であるため、空気供給装置11と空気吹き出し部100A及び100Bとを接続する配管長が短くなる。そのため、その配管のための工期が短縮される。
【0039】
空気供給装置11は、水圧に抗して空気を水中に吹き出すために空気を加圧する。そのため、空気供給装置11の出口における空気は高温である。その高温空気を冷却せずに水中に吹き出すと、船体80の塗装膜の劣化が加速されるおそれがある。エアクーラ12によって冷却された空気を水中に吹き出すことで、塗装膜の劣化が抑制される。
【0040】
海水取入部20が空気吹き出し部100Bより船首側に配置されるため、空気吹き出し部100Bが吹き出した空気が海水取入部20から取り入れられる海水に混入することが防止される。更に、船首部船底80aのy方向(船幅方向)の最深位置に海水取入部20が配置され、下から見て海水取入部20が空気吹き出し部100Aの間に配置されるため、空気吹き出し部100Aが吹き出した空気が海水取入部20から取り入れられる海水に混入することが防止される。そのため、ポンプ32の海水取入機能低下が防止され、エアクーラ12の冷却能力の低下が防がれる。
【0041】
冷却システム400は、海水を用いて冷却対象機器95を冷却する。海水ポンプ440は、シーチェスト420を介して船尾部船底89から海水を吸い込み、クーラ460に供給する。クーラ460は、供給された海水を用いて冷却対象機器95を冷却する。
【0042】
ここで、空気吹き出し部100A及び100Bから水中に吹き出された空気がシーチェスト420に流入するおそれがある。クーラ460に供給される冷却用海水に空気が混入するとクーラ460の冷却能力が低下するため、クーラ460に供給される冷却用海水に空気が混入することを防止する必要がある。
【0043】
図2を参照して、冷却システム400を詳細に説明する。冷却システム400は、上述のクーラ460、シーチェスト420及び海水ポンプ440に加えて、海水ポンプ470と、海水吸込管441と、海水供給管442と、海水吸込管471と、空気抜管451〜453と、空気分離器454及び455とを備える。海水ポンプ440及び470は、例えば、渦巻ポンプである。空気分離器454及び455は、例えば、サイクロン式空気分離器である。シーチェスト420は、チャンバ421〜424と、隔壁425〜427と、カーテンプレート435とを備える。シーチェスト420の天井420aは、チャンバ421〜424のそれぞれの天井を形成する。シーチェスト420の床420bは、チャンバ421〜424のそれぞれの床を形成する。床420bは、船尾部船底89に設けられた船体外板7と同一面を形成する。チャンバ421及び422は隔壁425によって仕切られている。チャンバ422及び423は隔壁426によって仕切られている。チャンバ423及び424は隔壁427によって仕切られている。隔壁425と隔壁426とは互いに向かい合っている。隔壁426と隔壁427とは互いに向かい合っている。カーテンプレート435は、チャンバ423の天井423aから下方に突き出すように設けられ、隔壁426と隔壁427との間に配置される。カーテンプレート435、隔壁426、及び隔壁427は互いに平行である。例えば、チャンバ421の船首側にチャンバ422が配置され、チャンバ422の船首側にチャンバ423が配置され、チャンバ423の船首側にチャンバ424が配置される。チャンバ424の床424bに海水取入口430が形成されている。隔壁427に海水通過口427aが形成され、隔壁426に海水通過口426aが形成され、隔壁425に海水通過口425aが形成されている。海水通過口425a〜427aは、天井420aから離れており、且つ、床420bから離れている。カーテンプレート435の下端は、海水通過口427aの下端及び海水通過口426aの下端より低い位置に配置される。
【0044】
海水吸込管441は、チャンバ422の天井422aから下方に延びている。海水吸込管441の下端に海水吸込口441aが形成されている。海水吸込口441aは、チャンバ422内であって海水通過口425a及び426aより低い位置に配置される。海水吸込管441は、海水ポンプ440の吸込口に接続される。すなわち、チャンバ422は、海水吸込管441を介して海水ポンプ440の吸込口に接続される。海水供給管442は、海水ポンプ440の吐出口とクーラ460の海水入口とを接続する。海水吸込管471は、チャンバ421の天井421aから下方に延びている。海水吸込管471の下端に海水吸込口471aが形成されている。海水吸込口471aは、チャンバ421内であって海水通過口425aより低い位置に配置される。海水吸込管471は、海水ポンプ470の吸込口に接続される。チャンバ422の天井422aに空気抜き口431及び432が形成されている。空気抜管451は、空気抜き口431と空気分離器454とを接続する。空気抜管452は、空気抜き口432と空気分離器455とを接続する。チャンバ423は、カーテンプレート435と隔壁427との間の部分423cと、カーテンプレート435と隔壁426との間の部分423dとを含む。チャンバ423の天井423aは、部分423cに対応する部分を含む。天井423aの部分423cに対応する部分に空気抜き口433が形成されている。空気抜管453は、空気抜き口433と空気分離器455とを接続する。
【0045】
海水取入口430を介して船尾部船底89からチャンバ424に海水が取り入れられる。海水は海水通過口427aを通過してチャンバ424からチャンバ423の部分423cに流入する。海水はカーテンプレート435の下方を通過してチャンバ423の部分423cからチャンバ423の部分423dに流入する。海水は海水通過口426aを通過してチャンバ423の部分423dからチャンバ422に流入する。海水ポンプ440は、チャンバ422に流入した海水の一部を海水吸込口441aから吸い込み、クーラ460に供給する。クーラ460は、供給された海水を用いて冷却対象機器95を冷却する。チャンバ422に流入した海水の残りは、海水通過口425aを通過してチャンバ421に流入する。海水ポンプ470は、チャンバ421に流入した海水を海水吸込口471aから吸い込み、例えばサニタリタンクに供給する。
【0046】
ここで、チャンバ423は、シーチェスト420に取り入れられた海水から空気を取り除くように構成される。チャンバ423の部分423cの天井近傍に溜まった空気は空気抜管453及び空気分離器455を経由して船外に排出される。空気分離器455は空気と海水とを分離する。分離された海水は、例えばスカッパー(不図示)のパイプにより排出される。カーテンプレート435は、空気がチャンバ423の部分423cから部分423dへ移動することを防止する。カーテンプレート435により、チャンバ422に流入する空気量が少なくなる。ここで、カーテンプレート435の下端が海水通過口427aの下端及び海水追加口426aの下端より低い位置に配置されることで、カーテンプレート435の下側を通過してチャンバ423の部分423cから部分423dに移動する空気量が更に少なくなる。チャンバ423が海水から空気を取り除くため、空気が海水ポンプに吸い込まれることが防止される。したがって、冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。
【0047】
チャンバ422の天井422a近傍に溜まった空気は、空気抜管451及び空気分離器454を介して船外に排出され、空気抜管452及び空気分離器455を経由して船外に排出される。空気分離器454は空気と海水とを分離する。分離された海水は、例えばスカッパー(不図示)のパイプにより排出される。二本の空気抜管451及び452により空気が排出されるため、チャンバ422から効率的に空気が排出される。海水吸込口441aが海水通過口426aより低い位置に配置されるため、チャンバ422内において海水の下降流77をその流速が気泡の上昇速度より遅くなるように形成することができる。下降流77を形成した後の海水が海水吸込口441aに流入するため、海水吸込口441aに空気が流入することが防止される。その結果、空気が海水ポンプ440に吸い込まれることが防止される。
【0048】
したがって、クーラ460に供給される冷却用海水に空気が混入して冷却能力が低下することが防止される。また、海水に混入した空気により海水ポンプ440が損傷を受けることが防止される。
【0049】
ここで、海水吸込管441がチャンバ422の天井422aから下方に延び、海水吸込管441の下端に海水吸込口441aが設けられるため、海水吸込管441に沿って海水の下降流77が形成される。海水吸込管441によって海水の下降流77が安定する。
【0050】
海水吸込口471aが海水通過口425aより低い位置に配置されるため、チャンバ421内において海水の下降流をその流速が気泡の上昇速度より遅くなるように形成することができる。したがって、海水吸込口471aに空気が流入することが防止される。その結果、海水に混入した空気により海水ポンプ470が損傷を受けることが防止される。
【0051】
次に、摩擦抵抗低減型船舶90の製造方法に含まれる工程を説明する。
【0052】
ここでは、図3に示された船舶91を改造して摩擦抵抗低減型船舶90を製造する方法を説明する。船舶91は、船体80と、上部構造71と、舵72と、プロペラ88と、冷却対象機器95と、冷却システム500とを備える。船体80について、上述のようにx方向、y方向及びz方向が定義される。船体80は、船首部船底80aと、船倉83と、車両甲板84と、ランプ85と、甲板暴露部86と、船体外板3と、船体外板4と、船尾部船底89と、船尾部船底89に設けられた船体外板7とを備える。船首部船底80aは、船首部船底平坦部81と、船首部船底船側部82とを備える。船体外板3は船首部船底平坦部81に設けられる。船体外板4は船首部船底船側部82に設けられる。車両甲板84は船倉83の床面を形成する。船倉83は、自動車を搭載するために利用される。ランプ85は、自動車が船倉83に乗り降りするために使用される。甲板暴露部86は、例えば、船首部の上甲板であり、船倉83の船首側部分の上方に配置される。
【0053】
冷却システム500は、海水取入部としてのシーチェスト520と、海水ポンプ440と、クーラ460とを備える。シーチェスト520は、船尾部船底89に配置される。海水ポンプ440は、シーチェスト520を介して船尾部船底89から海水を吸い込み、クーラ460に供給する。クーラ460は海水を用いて冷却対象機器95を冷却する。冷却対象機器95は、例えば、プロペラ88を駆動する主機である。
【0054】
図4を参照して、冷却システム500は、シーチェスト520及び海水ポンプ440に加えて、海水ポンプ470と、海水吸込管441と、海水供給管442と、海水吸込管471と、空気抜管451とを備える。シーチェスト520は、チャンバ421及び422と、隔壁425及び426とを備える。シーチェスト520の天井520aは、チャンバ421及び422のそれぞれの天井を形成する。シーチェスト520の床520bは、チャンバ421及び422のそれぞれの床を形成する。床520bは、船尾部船底89に設けられた船体外板7と同一面を形成する。チャンバ421及び422は隔壁425によって仕切られている。隔壁426はシーチェスト520の外壁面を形成する。例えば、チャンバ421の船首側にチャンバ422が配置される。チャンバ422の床422bに海水取入口530が形成されている。隔壁425に海水通過口425aが形成されている。海水通過口425aは、天井520aから離れており、且つ、床520bから離れている。
【0055】
海水吸込管441は、チャンバ422の天井422aから下方に延びている。海水吸込管441の下端に海水吸込口441aが形成されている。海水吸込口441aは、チャンバ422内に配置される。海水吸込管441は、海水ポンプ440の吸込口に接続される。海水供給管442は、海水ポンプ440の吐出口とクーラ460の海水入口とを接続する。海水吸込管471は、チャンバ421の天井421aから下方に延びている。海水吸込管471の下端に海水吸込口471aが形成されている。海水吸込口471aは、チャンバ421内に配置される。海水吸込管471は、海水ポンプ470の吸込口に接続される。チャンバ422の天井422aに空気抜き口431が形成されている。空気抜管451は、空気抜き口431に接続されている。
【0056】
海水取入口530を介して船尾部船底89からチャンバ422に海水が取り入れられる。海水ポンプ440は、チャンバ422に流入した海水の一部を海水吸込口441aから吸い込み、クーラ460に供給する。クーラ460は、供給された海水を用いて冷却対象機器95を冷却する。チャンバ422に流入した海水の残りは、海水通過口425aを通過してチャンバ421に流入する。海水ポンプ470は、チャンバ421に流入した海水を海水吸込口471aから吸い込み、例えばサニタリタンクに供給する。
【0057】
空気吹き出し部100A、空気吹き出し部100B、及び海水取入部20を製作する。
【0058】
以下、船舶91をドックに入れた状態で行う工程を説明する。
【0059】
船首部船底平坦部81の船体外板3に開口部を形成する。船首部船底船側部82の船体外板4に開口部を形成する。船体外板4に形成された開口部に空気吹き出し部100Aを取り付ける。船体外板3に形成された開口部に空気吹き出し部100Bを取り付ける。船体外板3に形成された開口部に海水取入部20を取り付ける。
【0060】
ここで、空気吹き出し部100A、空気吹き出し部100B、及び海水取入部20がそれぞれ船外から開口部に挿入される。この方法は、船舶91のように既に内部構造が出来上がっている船舶を改造して摩擦抵抗低減型船舶90を製造する場合の工期を短縮する。
【0061】
図5に示すように、船倉83を船首側部分83aと船尾側部分83bとに仕切るように隔壁87を設ける。隔壁87は、例えば鋼鉄製である。車両甲板84は、船首側部分83a及び船尾側部分83bの床面を形成する。船首側部分83aに空気供給装置11及びエアクーラ12を設置する。ここで、空気供給装置11及びエアクーラ12を車両甲板84上に設置する。車両甲板84は十分な強度を有するため、空気供給装置11及びエアクーラ12を設置するための補強工事を最小限に抑えることができる。甲板暴露部86に通風筒13及び空気吸込口14を設置する。通風筒13は、船首側部分83aに接続される。隔壁87により船首側部分83aが船尾側部分83bから仕切られるが、通風筒13により船首側部分83aの換気が行われる。船首側部分83a及び船尾側部分83bは、摩擦抵抗低減型船舶90において、それぞれ空気供給機器室83a及び船倉83bとして使用される。船倉83の船首側部分83aは一般的にy方向の幅が狭いため、船倉として利用可能な容量の減少が少なくて済む。
【0062】
更に、シーチェスト520をシーチェスト420に改造する。より具体的には、チャンバ422の船首側にチャンバ423を形成する。ここで、チャンバ422及び423は隔壁426により仕切られる。隔壁426に海水通過口426aを形成してチャンバ422及び423を接続する。チャンバ423の船首側にチャンバ424を形成する。ここで、チャンバ423及び424は隔壁427により仕切られる。隔壁427に海水通過口427aを形成してチャンバ423及び424を接続する。海水取入口530を塞いで、チャンバ424の床424bに海水取入口430を形成する。隔壁426と隔壁427との間に配置され且つチャンバ423の天井から下方に突き出すようにカーテンプレート435を設ける。ここで、チャンバ423は、カーテンプレート435と隔壁427との間の部分423cを含む。
【0063】
チャンバ423の天井423aの部分423cに対応する部分に空気抜き口433を形成する。空気抜き口433と空気分離器455とを空気抜管453で接続する。チャンバ422の天井422aに空気抜き口432を形成する。空気抜き口432と空気分離器455とを空気抜管452で接続する。空気抜管451に空気分離器454を接続する。海水吸込管441の海水吸込口441aが海水通過口425a及び426aより低い位置に配置されるように海水吸込管441を延長する。海水吸込管471の海水吸込口471aが海水通過口425aより低い位置に配置されるように海水吸込管471を延長する。
【0064】
ここで、第1の特徴として、下降流77を形成するために海水吸込口441aより高い位置に海水通過口426aが設けられる。第2の特徴として、冷却対象機器(主機)95を冷却するための海水を取り入れる海水取入口530の船首側に気泡回収部を有するチャンバ423が設けられる。チャンバ422及びチャンバ423の気泡回収部は、海水取入口530に一体化されるように設けられ、海水取入口530に隣接(近接)するように設けられ、又は、海水吸込口441aの外周に設けられる。第1の特徴と第2の特徴の両方を有する場合、更に気泡回収が確実に行い得る。
【0065】
以上のようにして、摩擦抵抗低減型船舶の製造方法が実施される。
【0066】
尚、上記工程の一部を船舶91を艤装岸壁に係留した状態で実行してもよい。
【0067】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型船舶の冷却方法を説明する。本実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶は、第1の実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶の構成に加えて、下記の構成を備える。
【0068】
図6を参照して、本実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶90は、バラスト海水を貯えるバラストタンク50を備える。バラストタンク50は船体80内に設けられる。バラストタンク50の上部に空気抜管51が接続される。本実施形態に係る冷却システム400は、海水供給管443と、海水ポンプ490と、海水吸込管491と、海水供給管492と、オーバーフロー排水管480と、排水口481及び482とを更に備える。海水供給管443は、海水ポンプ440の吐出口とバラストタンク50とを接続する。海水吸込管491は、海水ポンプ490の吸込口とバラストタンク50とを接続する。海水供給管492は、海水ポンプ490の吐出口とクーラ460の海水入口とを接続する。クーラ460の海水出口は排水口482に接続される。オーバーフロー排水管480は、バラストタンク50と排水口481とを接続する。
【0069】
海水ポンプ440は、海水吸込管441の海水吸込口441aから吸い込んだ海水を海水供給管443を介してバラストタンク50に供給する。海水ポンプ490は、海水吸込管491を介してバラストタンク50から吸い込んだ海水を海水供給管492を介してクーラ460に供給する。クーラ460から流出した海水は排水口482から船外に排出される。オーバーフロー排水管480は、バラストタンク50から溢れた海水を排水口481から船外に排出する。バラストタンク50内において海水と空気とが分離される。バラストタンク50の上部に溜まった空気は、空気抜管51を介して排出される。
【0070】
本実施形態によれば、バラストタンク50においてクーラ460に供給されるべき海水から空気が分離される。
【0071】
尚、クーラ460を用いて空気供給装置11から空気吹き出し部100A又は100Bに供給される空気を冷却してもよい。
【0072】
次に、本実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶の製造方法を説明する。
【0073】
本実施形態において、改造対象である船舶91は、バラストタンク50を備える。バラストタンク50の上部に空気抜管51が接続される。船舶91が備える冷却システム500は、オーバーフロー排水管480と、排水口481及び482とを備える。オーバーフロー排水管480は排水口481とバラストタンク50とを接続する。排水口482は、クーラ460の海水出口に接続される。
【0074】
本実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶の製造方法は、第1の実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶の製造方法の工程に加えて、下記の工程を備える。海水供給管443で海水ポンプ440の吐出口とバラストタンク50とを接続する。船体80内に海水ポンプ490を設置する。海水吸込管491で海水ポンプ490の吸込口とバラストタンク50とを接続する。海水供給管492で海水ポンプ490の吐出口とクーラ460の海水入口とを接続する。
【0075】
以上、実施の形態を参照して本発明による船舶の空気潤滑システム、摩擦抵抗低減型船舶、その製造方法、及び摩擦抵抗低減型船舶の冷却方法を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されない。上記実施形態どうしの組合せ、及び、上記実施形態に変更を加えたものも本発明に含まれる。例えば、摩擦抵抗低減型船舶の製造方法の工程の順序を変更することが可能である。また、第1及び第2の実施形態に係る摩擦抵抗低減型船舶は、既存の船舶を改造して製造してもよく、新造船として製造してもよい。
【符号の説明】
【0076】
50…バラストタンク
70…船底平坦部
77…下降流
80…船体
89…船尾部船底
90…摩擦抵抗低減型船舶
91…船舶(改造対象船舶)
95…冷却対象機器(主機)
420…シーチェスト
421〜424…チャンバ
421a〜423a…天井
423c、423d…部分
425〜427…隔壁
425a〜427a…海水通過口
431〜433…空気抜き口
435…カーテンプレート
440…海水ポンプ
441…海水吸込管
441a…海水吸込口
442、443……海水供給管
451〜453…空気抜管
454、455…空気分離器
460…クーラ
490…海水ポンプ
491…海水吸込管
492…海水供給管
520…シーチェスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を船体の船底に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶において、
前記船体の船尾部船底に設けられている海水取り入れ用のシーチェストと、
前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプと、
前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機を冷却する冷却系と
を具備し、
前記シーチェストは、前記シーチェストに取り入れられた海水が第1海水通過口から流入する第1チャンバを備え、
前記第1チャンバの天井に第1空気抜き口が形成され、
前記第1海水ポンプは、前記第1チャンバ内の前記第1海水通過口より低い位置に配置された海水吸込口から前記海水を吸い込む
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
前記シーチェストは、
前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバと、
前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る第1隔壁と
を備え、
前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入するように前記第1隔壁に前記第1海水通過口が形成される
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
前記第1チャンバの前記天井から下方に延びる第1海水吸込管を更に具備し、
前記第1海水吸込管は、前記第1海水ポンプの吸込口に接続され、
前記海水吸込口は、前記第1吸込管の下端に設けられる
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項4】
空気を船体の船底に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶において、
前記船体の船尾部船底に設けられている海水取り入れ用のシーチェストと、
前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプと、
前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機を冷却する冷却系と
を具備し、
前記シーチェストは、
前記第1海水ポンプの吸込口に接続される第1チャンバと、
前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバと
を備え、
前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入し、
前記第2チャンバは、前記第1チャンバの船首側に配置され、
前記第2チャンバの天井に第2空気抜き口が形成される
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項5】
請求項4に記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
前記シーチェストは、
前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る第1隔壁と、
前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第3チャンバと、
前記第2チャンバと前記第3チャンバとを仕切る第2隔壁と、
前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置され且つ前記第2チャンバの前記天井から下方に突き出したカーテンプレートと
を備え、
前記第2チャンバから前記第1チャンバに前記海水が流入するように前記第1隔壁に第1海水通過口が形成され、
前記第3チャンバから前記第2チャンバに前記海水が流入するように前記第2隔壁に第2海水通過口が形成される
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
前記カーテンプレートの下端は、前記第1海水通過口の下端及び前記第2海水通過口の下端より低い位置に配置される
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
前記第2チャンバは、前記カーテンプレートと前記第2隔壁との間の第2隔壁側部分を含み、
前記第2空気抜き口は、前記第2チャンバの前記天井の前記第2隔壁側部分に対応する部分に形成される
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項8】
空気を船体の船底に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶において、
前記船体の船尾部船底に設けられている海水取り入れ用のシーチェストと、
前記シーチェストから前記海水を吸い込む第1海水ポンプと、
前記第1海水ポンプから供給された前記海水を用いて主機を冷却する冷却系と
を具備し、
前記シーチェストは、
前記第1海水ポンプの吸込口に接続される第1チャンバと、
前記シーチェストに取り入れられた前記海水が流入する第2チャンバと
を備え、
前記第2チャンバは、前記第1チャンバの船首側に配置され、
前記第2チャンバから前記第1チャンバに第1海水通過口を通って前記海水が流入し、
前記第1チャンバの天井に第1空気抜き口が形成され、
前記第2チャンバの天井に第2空気抜き口が形成され、
前記第1海水ポンプは、前記第1チャンバ内の前記第1海水通過口より低い位置に配置された海水吸込口から前記海水を吸い込む
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の摩擦抵抗低減型船舶であって、
バラストタンクと、
前記第1海水ポンプの吐出口と前記バラストタンクとを接続する第1海水供給管と、
第2海水ポンプと、
前記第2海水ポンプの吸込口と前記バラストタンクとを接続する第2海水吸込管と、
前記第2海水ポンプの吐出口と前記冷却系とを接続する第2海水供給管と
を更に具備する
摩擦抵抗低減型船舶。
【請求項10】
空気を船体の船底に送り込み、泡の力で前記船体と海水の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減型船舶において、
前記船体の船尾部船底より取り入れた海水を、空気除去流路を経て、下降流路に導いた後、主機冷却系に供給する
摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法。
【請求項11】
請求項10に記載の摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法であって、
前記下降流路が第1チャンバで形成され、
前記空気除去流路が第2チャンバで形成され、
前記第1チャンバが前記第2チャンバの船尾側に隣接される
摩擦抵抗低減型船舶の主機冷却方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18344(P2013−18344A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152836(P2011−152836)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【特許番号】特許第5087159号(P5087159)
【特許公報発行日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)