説明

摺洗具

【課題】接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく取付基片に対して軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供する。
【解決手段】この発明の摺洗具1は、略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材4と、第1摺洗部材4を取り付ける取付面11に溝10が形成された取付基片2と、固定具3とを備えてなり、第1摺洗部材4は、その中間部7が取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が固定具3により取付基片2の溝10に取付固定されることによって該中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体4a、4bが取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の各種容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられる摺洗具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の摺洗具としては、基板の片面に複数の繊維束からなるブラシ部材と共にスポンジを設けた構成のものが公知である(特許文献1参照)。このような構成を採用すると、スポンジにより摺洗時の泡立ちを良くすることができると共に泡持ちも良くなるので、摺洗能力に優れたものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3030815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の摺洗具では、スポンジを基板の片面に接着剤で固定しているので、使用を重ねているうちにスポンジがこの接着面から剥がれ易く、耐久性に劣るという問題があった。また、接着剤を用いた接合を行うものであるから、時間を要する乾燥工程が必要となり、生産性が悪いという問題もあった。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく取付基片に対して軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材と、
前記第1摺洗部材を取り付ける取付面に溝が形成された取付基片と、
固定具とを備えてなり、
前記第1摺洗部材は、前記中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具(可撓性結束帯を除く)により前記取付基片の溝に取付固定されることによって該中間部で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が前記取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする摺洗具。
【0008】
[2]前記固定具は、前記取付基片の溝の底面から突設された固定ピンと、挟み付け固定板とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記取付基片の溝の底面から突設された軸部と、該軸部の先端に連接された頭部とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記頭部の先端から前記軸部の軸線方向の中間位置にかけて分割溝が形成され、
前記挟み付け固定板に、前記固定ピンの軸部の直径より大きく該固定ピンの頭部の外径より小さい挿通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、該第1摺洗部材の取付孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、前記溝内にある前記第1摺洗部材の中間部の上に前記挟み付け固定板が載置され、該挟み付け固定板の挿通孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、該固定ピンの頭部が前記挟み付け固定板の上面から突出すると共に、前記挟み付け固定板の上面の挿通孔の周縁部が前記固定ピンの頭部の拡径部の底面に当接して該挟み付け固定板が固定ピンの頭部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0009】
[3]前記固定具は、前記取付基片の溝の底面から突設され互いに離間して配置された一対の固定ピンと、挟み付け固定板とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記取付基片の溝の底面から突設された軸部と、該軸部の先端部における前記一対の固定ピンの相互の対向側とは反対側に設けられ、該軸部の外周面より水平方向の外方に突出する抑止突起部とを備えてなり、
前記挟み付け固定板に、前記固定ピンを挿通可能な一対の挿通孔が互いに離間して設けられ、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、該第1摺洗部材の取付孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、前記溝内にある前記第1摺洗部材の中間部の上に前記挟み付け固定板が載置され、該挟み付け固定板の挿通孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、該固定ピンの抑止突起部が前記挟み付け固定板の上面から突出すると共に、前記挟み付け固定板の上面の挿通孔の周縁部の一部が前記固定ピンの抑止突起部に当接して該挟み付け固定板が該抑止突起部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0010】
[4]前記固定具は、外周面にねじ溝が形成された軸部の一端に該軸部より径大の頭部が連接されてなる螺合部材を備えてなり、
前記取付基片の溝の底面に螺合用孔が設けられ、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記螺合部材の軸部が第1摺洗部材の取付孔に挿通され、さらに該螺合部材の軸部が前記取付基片の溝の底面の螺合用孔に螺合されて該螺合部材の頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0011】
[5]前記固定具は、第一軸部の一端に該第一軸部より径大の第一頭部が連接されてなる第一締結部材と、第二軸部の一端に該第二軸部より径大の第二頭部が連接されてなる第二締結部材とを備えてなり、
前記第二締結部材の第二軸部にその先端から軸線方向に沿って第二頭部に向けて嵌合孔が設けられ、該嵌合孔の内径は、前記第一軸部の外径と略同一に設定され、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記第一締結部材及び第二締結部材のうちのいずれか一方の締結部材の軸部が前記第1摺洗部材の取付孔を介して前記取付基片の貫通孔に挿通される一方、他方の締結部材の軸部が前記取付基片の貫通孔を介して前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、前記第一締結部材の第一軸部が前記第二締結部材の第二軸部の嵌合孔に挿通嵌合されて前記一方の締結部材の頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0012】
[6]前記固定具は、ボルトと、ナットとを備えてなり、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記ボルトの軸部が前記取付基片の貫通孔及び前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、該ボルトの軸部にナットが螺合締結されて該ナットにより又は前記ボルトの頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0013】
[7]前記固定具は、軸部の一端に第一頭部が連接されると共に前記軸部の他端に第二頭部が連接されてなる固定ピンを備えてなり、
前記固定ピンの第二頭部の先端から前記軸部の長さ方向の中間位置にかけて分割溝が形成され、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の底面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記固定ピンの軸部が前記取付基片の貫通孔及び前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、前記第一頭部及び第二頭部のうちのいずれか一方の頭部の拡径部が前記取付基片の貫通孔の底面側の開口の周縁部に係合される一方、他方の頭部が前記第1摺洗部材の中間部の上面から突出すると共に、前記第1摺洗部材の中間部における取付孔の周縁部が前記突出した頭部の拡径部に当接して該中間部が該頭部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている前項1に記載の摺洗具。
【0014】
[8]前記取付基片の取付面における前記軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材をさらに備えることを特徴とする前項1〜7のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0015】
[9]前記第1摺洗部材の先端は、前記第2摺洗部材の先端よりも外方に突出している前項8に記載の摺洗具。
【0016】
[10]前記第2摺洗部材の先端は、前記第1摺洗部材の先端よりも外方に突出している前項8に記載の摺洗具。
【0017】
[11]前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている前項1〜10のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0018】
[12]前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる前項11に記載の摺洗具。
【0019】
[13]前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている前項1〜10のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0020】
[14]前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる前項13に記載の摺洗具。
【発明の効果】
【0021】
[1]の発明では、第1摺洗部材(軟質部材)の中間部が取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が固定具(可撓性結束帯を除く)により取付基片の溝に取付固定されているから、取付基片に対して軟質部材(の中間部)が強固に固定される。また、このような取付固定態様により、第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態になっているから、摺洗時における第1摺洗部材(軟質部材)の先端側の動き(揺動等)の自由度が大きいものとなり、摺洗能力をより向上させることができる。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、固定具を用いて取り付けるだけで軟質部材を取付基片に固定できるので、固定操作が非常に容易である。
【0022】
[2]〜[7]の発明によれば、取付基片の溝の底面に対して軟質部材の中間部がより一層強固に固定される。中でも、[2]及び[3]の発明では、軟質部材の中間部が挟み付け固定板によりその面全体で押さえ付け固定されているから、軟質部材の中間部がより安定状態に固定される。
【0023】
[8]の発明では、取付基片の取付面における軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)をさらに備えているから、第1摺洗部材では摺洗し難い汚れも摺洗除去することができて、様々な種類の汚れを余すことなく除去できる。
【0024】
[9]の発明では、第1摺洗部材の先端は、第2摺洗部材の先端よりも外方に突出しているから、第1摺洗部材による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0025】
[10]の発明では、第2摺洗部材の先端は、第1摺洗部材の先端よりも外方に突出しているから、第2摺洗部材による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0026】
[11]の発明では、軟質部材として保水性の軟質部材が用いられているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが非常に良くて摺洗能力をより高めることができる。
【0027】
[12]の発明では、保水性軟質部材が、スポンジ又は布材からなる構成が採用されているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちがより一層良くなる。
【0028】
[13]の発明では、軟質部材として非保水性の弾性部材が用いられているから、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0029】
[14]の発明では、非保水性の弾性部材が、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる構成が採用されているから、強固に付着した汚れでも十分に掻き落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明に係る摺洗具の第1実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図2】図1で用いた取付基片を示す斜視図である。
【図3】(イ)は図1(イ)におけるA−A線の断面図、(ロ)は図1(イ)におけるB−B線の断面図である。
【図4】第1実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【図5】この発明に係る摺洗具の第2実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図6】(イ)は図5(イ)におけるC−C線の断面図、(ロ)は図5(イ)におけるD−D線の断面図である。
【図7】第2実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【図8】この発明に係る摺洗具の第3実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図9】(イ)は図8(イ)におけるE−E線の断面図、(ロ)は図8(イ)におけるF−F線の断面図である。
【図10】第3実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【図11】この発明に係る摺洗具の第4実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図12】(イ)は図11(イ)におけるG−G線の断面図、(ロ)は図11(イ)におけるH−H線の断面図である。
【図13】第4実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【図14】この発明に係る摺洗具の第5実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図15】(イ)は図14(イ)におけるI−I線の断面図、(ロ)は図14(イ)におけるJ−J線の断面図である。
【図16】第5実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【図17】この発明に係る摺洗具の第6実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図18】図17で用いた取付基片を示す斜視図である。
【図19】(イ)は図17(イ)におけるK−K線の断面図、(ロ)は図17(イ)におけるL−L線の断面図である。
【図20】第6実施形態において第1摺洗部材の中間部を固定具により取付基片の溝の底面に取付固定する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明に係る摺洗具1の一実施形態(第1実施形態)を図1に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。
【0032】
前記取付基片2は、図2に示すように、略板状の合成樹脂成形体からなる。前記取付基片2における第1摺洗部材4を取り付ける取付面(図2で上面)11に、互いに基片2の長さ方向に離間して基片2の幅方向に延びる一対の溝10、10が形成されている。前記溝10は、前記取付基片2の幅方向の両端側の側面12、13にまで達している、即ち溝10の長さ方向の両端は側方に向けて開口している(図2参照)。
【0033】
前記固定具3は、前記取付基片2の溝10の底面10aから上方に向けて突設された固定ピン101(図2〜4参照)と、挟み付け固定板106(図1、3、4参照)とからなる。
【0034】
前記固定ピン101は、前記取付基片2の溝10の底面10aから上方に向けて突設された軸部102と、該軸部102の先端に設けられた頭部103とからなる(図2参照)。前記頭部103の外径は、前記軸部102の外径(太さ)より大きい。前記固定ピン101は、その頭部103の先端から前記軸部102の軸線方向(上下方向)の中間位置にかけて分割溝104が形成されている(図2参照)。このような分割溝104が形成されているから、前記固定ピン101は、頭部103の外周側面が外力を受けた時に分割溝104の隙間を縮減できて頭部103の外径を小さくする(縮径する)ことができる。
【0035】
前記挟み付け固定板106は、前記溝10内に収容し得る大きさに形成された平面視矩形状の樹脂板からなる。即ち、前記挟み付け固定板106は、その長さは前記溝10の長さと同一であり、その幅は前記溝10の幅より若干小さく設計されている。前記挟み付け固定板106の長さ方向の2等分位置に挿通孔107が形成されている(図3、4参照)。前記挿通孔107の直径は、前記固定ピン101の軸部102の外径より大きく又はこれと同等となされ、前記固定ピン101の頭部103の外径より小さいものとなされている(図3、4参照)。
【0036】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図2参照)。
【0037】
前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図1参照)。
【0038】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、長さ方向の略2等分中間位置における幅方向の略2等分中間位置に取付孔4cが形成されている(図3、4参照)。
【0039】
前記第1摺洗部材4は、図1、3に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0040】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材4の取付孔4cに前記固定ピン101の軸部102を挿通して前記第1摺洗部材4の中間部7を前記取付基片2の溝10内に引き込んだ状態に配置し、前記溝10内にある第1摺洗部材4の中間部7の上に前記挟み付け固定板106を載置して下方に押し込んでいくと、第1摺洗部材4の中間部7の厚さが縮減されて、該挟み付け固定板106の挿通孔107に前記固定ピン101の頭部103が挿通され(該頭部は押し込み力によって分割溝104の隙間が縮減されて頭部103の外径が小さくなることで挿通孔107を通過することができる)、さらには軸部102が挿通され、このような挟み付け固定板106の押し込みによって前記固定ピン101の頭部103を前記挟み付け固定板106の上面から突出させると、前記挟み付け固定板106の上面の挿通孔107の周縁部が前記固定ピン101の頭部103の拡径突出部103aの底面に当接して該挟み付け固定板106が固定ピン101の頭部103によって下方に押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材4の中間部7が前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10に取付固定されている(図3、4参照)。
【0041】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、固定ピン101及び挟み付け固定板106は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図1(ロ)、図3(ロ)参照)。
【0042】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図1(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0043】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第2実施形態)を図5に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成は、前記第1実施形態と同様である(但し、固定ピン101は除く)ので、その説明は省略する(図2参照)。
【0044】
前記固定具3は、前記取付基片2の溝10の底面10aから上方に向けて突設され互いに離間して配置された一対の固定ピン121と、挟み付け固定板126とからなる(図5〜7参照)。
【0045】
前記固定ピン121は、前記取付基片2の溝10の底面10aから突設された軸部122と、該軸部122の先端部における前記一対の固定ピン121の相互の対向側(向き合う側)とは反対側に、該軸部122の外周面より水平方向の外方に突出して形成された抑止突起部123とからなる(図6、7参照)。前記一対の固定ピン121は、樹脂製であり、可撓性を有するので、固定ピン121の先端が溝10の長さ方向の内方(中心位置)に向けて外力を受けた時に互いの先端同士の離間間隔を縮減するように撓むことができる(図6(イ)参照)。
【0046】
前記挟み付け固定板126は、前記溝10内に収容し得る大きさに形成された平面視矩形状の樹脂板からなる。即ち、前記挟み付け固定板126は、その長さは前記溝10の長さと同一であり、その幅は前記溝10の幅より若干小さく設計されている。前記挟み付け固定板126に、前記固定ピン121を挿通可能な一対の挿通孔127が互いに離間して設けられている(図6、7参照)。これら一対の挿通孔127の離間間隔は、前記一対の固定ピン121の離間間隔と略同一に設定されている。
【0047】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図6参照)。前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図5参照)。
【0048】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、その長さ方向の略2等分中間位置において幅方向に互いに離間して一対の取付孔4cが形成されている(図6、7参照)。これら一対の取付孔4cの離間間隔は、前記一対の固定ピン121の離間間隔と略同一に設定されている。
【0049】
前記第1摺洗部材4は、図5、6に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0050】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材4の取付孔4cに前記固定ピン121の軸部122を挿通して前記第1摺洗部材4の中間部7を前記取付基片2の溝10内に引き込んだ状態に配置し、前記溝10内にある第1摺洗部材4の中間部7の上に前記挟み付け固定板126を載置して下方に押し込んでいくと、第1摺洗部材4の中間部7の厚さが縮減されて、該挟み付け固定板126の挿通孔127に前記固定ピン121が挿通され(該固定ピン121は前記押し込み力によって互いの先端の抑止突起部123同士の離間間隔を縮減するように撓むことで挿通孔127を通過することができる)、このような挟み付け固定板126の押し込みによって前記固定ピン121の抑止突起部123を前記挟み付け固定板126の上面から突出させると、前記挟み付け固定板126の上面の挿通孔127の周縁部の一部が前記固定ピン121の抑止突起部123の底面に当接して該挟み付け固定板126が抑止突起部123によって下方に押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材4の中間部7が前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10に取付固定されている(図5〜7参照)。
【0051】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、固定ピン121及び挟み付け固定板126は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図5(ロ)、図6(ロ)参照)。
【0052】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図5(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0053】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第3実施形態)を図8に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成は、前記第1実施形態と同様である(但し、固定ピン101は除く)ので、その説明は省略する(図2参照)。
【0054】
前記固定具3は、外周面にねじ溝が形成された軸部132の一端に該軸部より径大の頭部133が設けられてなる螺合部材131からなる(図9、10参照)。
【0055】
前記取付基片2の溝10の底面10aに互いに離間して一対の螺合用孔137が設けられている(図9、10参照)。
【0056】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図9参照)。前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図8参照)。
【0057】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、その長さ方向の略2等分中間位置において幅方向に互いに離間して一対の取付孔4cが形成されている(図9、10参照)。これら一対の取付孔4cの離間間隔は、前記一対の螺合用孔137の離間間隔と略同一に設定されている。
【0058】
前記第1摺洗部材4は、図8、9に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0059】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材4の中間部7を前記取付基片2の溝10内に引き込んだ状態に配置し、前記螺合部材131の軸部132を前記第1摺洗部材4の取付孔4cに挿通せしめ、さらに該螺合部材131の軸部132を前記取付基片2の溝10の底面10aの螺合用孔137に螺合していくと、第1摺洗部材4の中間部7の厚さが縮減されて、該螺合部材131の頭部133により第1摺洗部材4の中間部7が溝10の底面10aに押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材4の中間部7が前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10に取付固定されている(図8〜10参照)。
【0060】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、螺合部材131の頭部133は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図8(ロ)、図9(ロ)参照)。
【0061】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図8(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0062】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第4実施形態)を図11に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成は、前記第1実施形態と同様である(但し、固定ピン101は除く)ので、その説明は省略する(図2参照)。
【0063】
前記固定具3は、第一軸部142の一端に該第一軸部142より径大の第一頭部143が設けられてなる第一締結部材141と、第二軸部145の一端に該第二軸部145より径大の第二頭部146が設けられてなる第二締結部材144とからなる(図11〜13参照)。
【0064】
前記第二締結部材144の第二軸部145にその先端から軸線方向に沿って第二頭部146に向けて嵌合孔145aが設けられている(図13参照)。前記嵌合孔145aの内径は、前記第一締結部材141の第一軸部142の外径と略同一に設定されている(図13参照)。
【0065】
前記取付基片2の溝10の底面10aに、取付面11と反対側の底面にまで貫通する一対の貫通孔147が互いに離間して形成されている(図12、13参照)。前記第一頭部143及び前記第二頭部146の外径は、前記貫通孔147の孔径よりも大きく設定されている。また、前記第一軸部142及び前記第二軸部145の外径は、前記貫通孔147の孔径よりも小さく設定されている。
【0066】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図12参照)。前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図11参照)。
【0067】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、その長さ方向の略2等分中間位置において幅方向に互いに離間して一対の取付孔4cが形成されている(図12、13参照)。これら一対の取付孔4cの離間間隔は、前記一対の貫通孔147の離間間隔と略同一に設定されている。
【0068】
前記第1摺洗部材4は、図11、12に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0069】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材4の中間部7を前記取付基片2の溝10内に引き込んだ状態に配置し、前記第二締結部材144の第二軸部145を前記取付基片2の下方側から貫通孔147を介して前記第1摺洗部材4の取付孔4cに挿通し、前記第一締結部材141の第一軸部142を前記取付基片2の上方側から前記第1摺洗部材4の取付孔4cを介して前記取付基片2の貫通孔147に挿通せしめると共に、該第一締結部材141の第一軸部142を前記第二締結部材144の第二軸部145の嵌合孔145aに挿通嵌合すると、前記第二締結部材144の第二頭部146が前記取付基片2の底面における貫通孔147の周縁部に当接して係合されると共に、前記第1摺洗部材4の中間部7が前記第一締結部材141の第一頭部143により前記溝10の底面10aに押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材4の中間部7が前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10に取付固定されている(図11〜13参照)。
【0070】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、第一締結部材141の第一頭部143は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図11(ロ)、図12(ロ)参照)。
【0071】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図11(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0072】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第5実施形態)を図14に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成は、前記第1実施形態と同様である(但し、固定ピン101は除く)ので、その説明は省略する(図2参照)。
【0073】
前記固定具3は、外周面にねじ溝が形成された軸部152の一端に該軸部152より径大の頭部153が設けられてなるボルト151と、ナット156と、座金157とからなる。前記ナット156は、前記ボルト151の軸部152に螺合可能なように内周面にねじが形成されている(図14〜16参照)。
【0074】
前記取付基片2の溝10の底面10aに、取付面11と反対側の底面にまで貫通する一対の貫通孔158が互いに離間して形成されている(図15、16参照)。前記取付基片2の底面における前記貫通孔158の開口の周縁部に、該貫通孔158と連通する平面視円形状の受容凹部159が形成されている。この受容凹部159は、前記ボルト151の頭部153を受容し得る大きさに形成されている。
【0075】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図15参照)。前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図14参照)。
【0076】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、その長さ方向の略2等分中間位置において幅方向に互いに離間して一対の取付孔4cが形成されている(図15、16参照)。これら一対の取付孔4cの離間間隔は、前記一対の貫通孔158の離間間隔と略同一に設定されている。
【0077】
前記第1摺洗部材4は、図14、15に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0078】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材4の中間部7を前記取付基片2の溝10内に引き込んだ状態に配置し、前記ボルト151の軸部152を取付基片2の下方側から貫通孔158に挿通しさらに第1摺洗部材4の取付孔4cに挿通せしめ、前記ボルト151の軸部152に座金157を取り付け、前記ボルト151の軸部152の先端側に前記ナット156を螺合締結すると、前記ボルト151の頭部153が前記取付基片2の受容凹部159に受容されると共に、前記螺合されたナット156により前記第1摺洗部材4の中間部7が前記溝10の底面10aに押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材4の中間部7が前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で該中間部7が前記固定具3により前記取付基片2の溝10に取付固定されている(図14〜16参照)。
【0079】
前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、ナット156は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図14(ロ)、図15(ロ)参照)。
【0080】
また、前記固定具3による第1摺洗部材4の取付固定状態において、ボルト151の頭部153は、取付基片2の受容凹部159内に収容された状態になっているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図15(ロ)参照)。
【0081】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図14(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0082】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第6実施形態)を図17に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、固定具3と、第1摺洗部材34と、第2摺洗部材5とを備えてなる。
【0083】
前記固定具3は、軸部162の一端に第一頭部163が設けられると共に前記軸部162の他端に第二頭部164が設けられてなる固定ピン161からなる。前記固定ピン161の第二頭部164の先端から前記軸部162の軸線方向の中間位置にかけて分割溝165が形成されている。このような分割溝165が形成されているから、前記固定ピン161は、第二頭部164の外周側面が外力を受けた時に分割溝165の隙間を縮減できて第二頭部164の外径を小さくする(縮径する)ことができる。
【0084】
前記取付基片2は、図18に示すように、略板状の合成樹脂成形体からなる。前記取付基片2における第1摺洗部材34を取り付ける取付面(図18で上面)41に、基片2の長さ方向に延びる溝40が形成されている。前記溝40は、前記取付基片2の取付面41における幅方向の中央位置に形成されている。前記溝40は、前記取付基片2の長さ方向の両端側の側面に到達しない態様で形成されている。
【0085】
前記取付基片2の溝40の底面40aに、取付面41と反対側の底面にまで貫通する一対の貫通孔168が互いに離間して形成されている(図18〜20参照)。前記取付基片2の底面における前記貫通孔168の開口の周縁部に、該貫通孔168と連通する平面視円形状の受容凹部169が形成されている。この受容凹部169は、前記固定ピン161の第二頭部164を受容し得る大きさに形成されている(図17、19、20参照)。
【0086】
また、前記取付基片2の取付面41における前記溝40が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔46が穿設されている(図18参照)。
【0087】
前記取付基片2の各植設孔46にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面41に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図17参照)。
【0088】
前記第1摺洗部材34は、板状の軟質部材からなり、その長さ方向の略2等分中間位置において幅方向に互いに離間して一対の取付孔34cが形成されている(図19、20参照)。これら一対の取付孔34cの離間間隔は、前記一対の貫通孔168の離間間隔と略同一に設定されている。
【0089】
前記第1摺洗部材34は、図17、19に示すように、その長さ方向の中間部37で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材34は、その長さ方向の中間部37が前記固定具3により前記取付基片2の溝40内に引き込まれた状態で固定されることによって前記中間部37で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材34の2つ折りの両半体34a、34bが前記取付基片2の取付面41から略垂直状に立ち上がった状態になっている。
【0090】
前記固定具3による第1摺洗部材34の取付固定は、次のようにして行われている。即ち、前記第1摺洗部材34の中間部37を前記取付基片2の溝40内に引き込んだ状態に配置し、前記固定ピン161を取付基片2の上方側から第1摺洗部材34の取付孔34cを介して貫通孔158に挿通し、その第二頭部164を貫通孔168内に挿通していき(該第二頭部164は挿通の押し込み力によって分割溝165の隙間が縮減されて第二頭部164の外径が小さくなることで貫通孔168を通過することができる)、該第二頭部164を前記取付基片2の受容凹部169内に配置せしめて第二頭部164を受容凹部169に係止すると、前記第1摺洗部材34の中間部37の取付孔34cの周縁部が前記固定ピン161の第一頭部163の拡径突出部の底面に当接して該中間部37が第一頭部163によって前記溝40の底面40aに押さえ付け固定される。こうして前記第1摺洗部材34の中間部37が前記取付基片2の溝40内に引き込まれた状態で該中間部37が前記固定具3により前記取付基片2の溝40に取付固定されている(図17〜20参照)。
【0091】
前記固定具3による第1摺洗部材34の取付固定状態において、固定ピン161の第一頭部163は、第1摺洗部材34の2つ折りの両半体34a、34b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体34a、34bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図19(ロ)参照)。
【0092】
また、前記固定具3による第1摺洗部材34の取付固定状態において、固定ピン161の第二頭部164は、取付基片2の受容凹部169内に収容された状態になっているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図19(ロ)参照)。
【0093】
また、前記第1摺洗部材34の先端は、前記第2摺洗部材5の先端と同一の高さである(図17、19参照)。
【0094】
この発明において、前記第1摺洗部材4、34としては、特に限定されるものではないが、保水性の軟質部材が好適である。保水性の軟質部材を用いる場合には、摺洗時の泡立ち及び泡持ちをより良くさせることができる。前記保水性の軟質部材としては、特に限定されるものではないが、スポンジ又は布材(不織布等)を用いるのが好ましい。前記スポンジの構成素材としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂、ゴム、天然素材(ヘチマ等)などが挙げられる。
【0095】
また、前記第1摺洗部材4、34としては、ゴム、熱可塑性エラストマー等で形成された非保水性の弾性部材を用いても良い。前記非保水性の弾性部材を用いる場合には、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0096】
また、前記第1摺洗部材4、34としては、ウレタン製スポンジからなる軟質シートの片面にナイロン製不織布シートが貼合されてなる軟質部材を用いるのが好ましく、この場合には効率良く摺洗することができる。
【0097】
上記実施形態では、前記第1摺洗部材4、34として板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【0098】
また、上記実施形態では、前記取付基片2として略板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
この発明に係る摺洗具は、例えば、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0100】
1…摺洗具
2…取付基片
3…固定具
4、34…第1摺洗部材(軟質部材)
4a、34a…半体
4b、34b…半体
4c、34c…取付孔
5…第2摺洗部材
6…繊維束
7、37…中間部
10、40…溝
10a、40a…底面
11、41…取付面
101…固定ピン
102…軸部
103…頭部
104…分割溝
106…挟み付け固定板
107…挿通孔
121…固定ピン
122…軸部
123…抑止突起部
126…挟み付け固定板
127…挿通孔
131…螺合部材
132…軸部
133…頭部
137…螺合用孔
141…第一締結部材
142…第一軸部
143…第一頭部
144…第二締結部材
145…第二軸部
145a…嵌合孔
146…第二頭部
147…貫通孔
151…ボルト
152…軸部
153…頭部
156…ナット
158…貫通孔
161…固定ピン
162…軸部
163…第一頭部
164…第二頭部
165…分割溝
168…貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材と、
前記第1摺洗部材を取り付ける取付面に溝が形成された取付基片と、
固定具とを備えてなり、
前記第1摺洗部材は、前記中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されることによって該中間部で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が前記取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする摺洗具。
【請求項2】
前記固定具は、前記取付基片の溝の底面から突設された固定ピンと、挟み付け固定板とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記取付基片の溝の底面から突設された軸部と、該軸部の先端に連接された頭部とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記頭部の先端から前記軸部の軸線方向の中間位置にかけて分割溝が形成され、
前記挟み付け固定板に、前記固定ピンの軸部の直径より大きく該固定ピンの頭部の外径より小さい挿通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、該第1摺洗部材の取付孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、前記溝内にある前記第1摺洗部材の中間部の上に前記挟み付け固定板が載置され、該挟み付け固定板の挿通孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、該固定ピンの頭部が前記挟み付け固定板の上面から突出すると共に、前記挟み付け固定板の上面の挿通孔の周縁部が前記固定ピンの頭部の拡径部の底面に当接して該挟み付け固定板が固定ピンの頭部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項3】
前記固定具は、前記取付基片の溝の底面から突設され互いに離間して配置された一対の固定ピンと、挟み付け固定板とを備えてなり、
前記固定ピンは、前記取付基片の溝の底面から突設された軸部と、該軸部の先端部における前記一対の固定ピンの相互の対向側とは反対側に設けられ、該軸部の外周面より水平方向の外方に突出する抑止突起部とを備えてなり、
前記挟み付け固定板に、前記固定ピンを挿通可能な一対の挿通孔が互いに離間して設けられ、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、該第1摺洗部材の取付孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、前記溝内にある前記第1摺洗部材の中間部の上に前記挟み付け固定板が載置され、該挟み付け固定板の挿通孔に前記固定ピンの軸部が挿通され、該固定ピンの抑止突起部が前記挟み付け固定板の上面から突出すると共に、前記挟み付け固定板の上面の挿通孔の周縁部の一部が前記固定ピンの抑止突起部に当接して該挟み付け固定板が該抑止突起部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項4】
前記固定具は、外周面にねじ溝が形成された軸部の一端に該軸部より径大の頭部が連接されてなる螺合部材を備えてなり、
前記取付基片の溝の底面に螺合用孔が設けられ、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記螺合部材の軸部が第1摺洗部材の取付孔に挿通され、さらに該螺合部材の軸部が前記取付基片の溝の底面の螺合用孔に螺合されて該螺合部材の頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項5】
前記固定具は、第一軸部の一端に該第一軸部より径大の第一頭部が連接されてなる第一締結部材と、第二軸部の一端に該第二軸部より径大の第二頭部が連接されてなる第二締結部材とを備えてなり、
前記第二締結部材の第二軸部にその先端から軸線方向に沿って第二頭部に向けて嵌合孔が設けられ、該嵌合孔の内径は、前記第一軸部の外径と略同一に設定され、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記第一締結部材及び第二締結部材のうちのいずれか一方の締結部材の軸部が前記第1摺洗部材の取付孔を介して前記取付基片の貫通孔に挿通される一方、他方の締結部材の軸部が前記取付基片の貫通孔を介して前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、前記第一締結部材の第一軸部が前記第二締結部材の第二軸部の嵌合孔に挿通嵌合されて前記一方の締結部材の頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項6】
前記固定具は、ボルトと、ナットとを備えてなり、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記ボルトの軸部が前記取付基片の貫通孔及び前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、該ボルトの軸部にナットが螺合締結されて該ナットにより又は前記ボルトの頭部により前記第1摺洗部材の中間部が前記溝の底面に押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項7】
前記固定具は、軸部の一端に第一頭部が連接されると共に前記軸部の他端に第二頭部が連接されてなる固定ピンを備えてなり、
前記固定ピンの第二頭部の先端から前記軸部の長さ方向の中間位置にかけて分割溝が形成され、
前記取付基片の溝の底面に、前記取付面と反対側の底面にまで貫通する貫通孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部に取付孔が形成され、
前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で配置され、前記固定ピンの軸部が前記取付基片の貫通孔及び前記第1摺洗部材の取付孔に挿通され、前記第一頭部及び第二頭部のうちのいずれか一方の頭部の拡径部が前記取付基片の貫通孔の底面側の開口の周縁部に係合される一方、他方の頭部が前記第1摺洗部材の中間部の上面から突出すると共に、前記第1摺洗部材の中間部における取付孔の周縁部が前記突出した頭部の拡径部に当接して該中間部が該頭部によって押さえ付け固定されることによって、前記第1摺洗部材の中間部が前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で該中間部が前記固定具により前記取付基片の溝に取付固定されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項8】
前記取付基片の取付面における前記軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項9】
前記第1摺洗部材の先端は、前記第2摺洗部材の先端よりも外方に突出している請求項8に記載の摺洗具。
【請求項10】
前記第2摺洗部材の先端は、前記第1摺洗部材の先端よりも外方に突出している請求項8に記載の摺洗具。
【請求項11】
前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項12】
前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる請求項11に記載の摺洗具。
【請求項13】
前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項14】
前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる請求項13に記載の摺洗具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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