説明

播種機の繰出装置

【課題】 回転周面の播種溝に種子を嵌合させた繰出ロールの回転により繰出播種する形態は、この播種溝に嵌合した種子が、繰出ロールの回転外周面を覆うカバーや、案内面等との間に、繰出時の大きい摩擦抵抗を受けて、繰出種子の外周面や損傷を受け易い。特に、種子の外周面がカルパー被覆された直播用形態であるときは、種子形態が大粒で、播種溝から外周面に突出し易く、大きい繰出抵抗を受け易く、カルパー部の損傷、剥離が行われ易い。
【解決手段】 回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する弾性材からなる繰出カバー3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、播種機の繰出装置に関し、種子の繰出抵抗を軽減して、種子を損傷しないようにして繰出播種する。
【背景技術】
【0002】
直播機では、種子を繰出ロールの回転によって繰出しながら播種する技術(例えば、特許文献1参照)や、播種としてカルパー被覆の種子を使用する技術等は既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11ー318122号公報(第3頁、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転周面の播種溝に種子を嵌合させた繰出ロールの回転により繰出播種する形態は、この播種溝に嵌合した種子が、繰出ロールの回転外周面を覆うカバーや、案内面等との間に、繰出時の大きい摩擦抵抗を受けて、繰出種子の外周面や損傷を受け易い。特に、種子の外周面がカルパー被覆された直播用形態であるときは、種子形態が大粒で、播種溝から外周面に突出し易く、大きい繰出抵抗を受け易く、カルパー部の損傷、剥離が行われ易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する弾性材からなる繰出カバー3を設けたことを特徴とする繰出装置の構成とする。
【0006】
繰出ロール1を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各播種溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の播種溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各播種溝1に嵌合された種子は、前後播種溝1間の仕切部によって仕切られて、下降回転部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪で、種子を強く圧迫することなく、種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をこの溝外へ移動散乱させないで、各播種溝1毎まとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記繰出カバー3を、繰出ロール2のロール軸4と平行な回動軸51周りに回動自在な複数枚の羽根板52で構成して、この羽根板52を繰出ロール2の繰出側回転周面に弾発摺接して設ける。
【0008】
前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して覆う各羽根板52によって案内される。この嵌入する種子量が多過ぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧する羽根板52が弾発力に抗して外周方向へ押開き回動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、繰出ロール2の回転に対する抵抗を軽減し、従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記繰出カバー3を、繰出ロール2のロール軸4と平行なロール軸56とを有して回動自在の複数のガイドロール55で構成し、このガイドロール55を繰出ロール2の繰出側回転周面に弾発摺接して設ける。
【0010】
前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して摺接回転するガイドロール55で覆うようにして案内される。この嵌入する種子量が多過ぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧するガイドロール55が弾発力に抗して外周方向へ押開き移動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、しかも、このガイドロール55の回転自在の形態によって繰出ロール2の回転に対する抵抗を軽減し、従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記繰出室45内のブラシ48の手前位置に、先端部を繰出ロール2の回転周面に接近するレーキ60を配置する。
前記のようにして繰出ロール2の回転によって、繰出ホッパ、乃至繰出室45内の供給種子を各播種溝1に嵌入させて、ブラシ48や、繰出カバー3の側を経て排出室側へ繰り出す。このとき、繰出室45内で繰出ロール2の回転周面に接近するレーキ60の先端部によって、繰出室45からこの繰出ロール2の嵌入される種子が捌かれて、各播種溝1に円滑に嵌入される。この各播種溝1に嵌入された種子は、ブラシ48によって升切りされて、播種溝1の収容量に適合した種子量にして、各播種溝1毎に繰出種子を満杯状態に収容させて繰り出される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明は、播種ロール2の播種溝1に嵌合させ繰出される種子を弾性材からなる繰出カバー3で案内して、この繰出種子に強い摩擦損傷を与えないで、円滑な繰出播種を行い、播種溝1毎の種子をばらつかさないでまとめた状態で正確な点播を行わせることができる。特に、カルパー種子のように外周面をコーティング被覆した形態の場合は、このカルパーの剥離を少くして、粒径が大きい形態の種子であっても繰出カバー3の弾性によて案内抵抗を逃して、種子に対する繰出時の摩擦抵抗を軽減して、円滑で、正確な繰出播種を行わせることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して覆う各羽根板52によって案内されるため、この嵌入する種子量が多すぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧する各羽根板52が相互に干渉し合うことなく、前後各播種溝1毎に独立して弾発力に抗して外周方向へ押開き回動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、繰出ロール2の回転に対する抵抗をより軽減することができる。従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して摺接回転するガイドロール55で覆うようにして案内されるため、この嵌入する種子量が多過ぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧するガイドロール55が、相互に干渉し合うことなく、前後各播種溝1毎に独立して弾発力に抗して外周方向へ押開き移動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、しかも、このガイドロール55の回転自在の形態によって繰出ロール2の回転に対する抵抗を軽減し、従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等を一層少なくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、円滑で、正確な点播を行うものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記のようにして繰出ロール2の回転によって、繰出ホッパ、乃至繰出室45内の供給種子を各播種溝1に嵌入させて、ブラシ48や、繰出カバー3の側を経て排出室側へ繰り出すとき、例え、この種子が湿気過多等によって団塊状態になっていても、この繰出室45内で繰出ロール2の回転周面に接近するレーキ60の先端部によって捌かれる。このレーキ60によって捌かれた状態の種子が繰出室45からこの繰出ロール2の各播種溝1に円滑に、正確に繰込嵌入される。この各播種溝1に嵌入された種子は、ブラシ48によって升切りされて、播種溝1の収容量に適合した種子量にして、各播種溝1毎に繰出種子を満杯状態に収容させて正確な繰出播種を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】繰出ロール部の側面図。
【図2】直播機の側面図。
【図3】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図4】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図5】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図6】その正断面図。
【図7】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図8】フロート部の平面図。
【図9】播種装置部の側面図。
【図10】培土器部の側面図。
【図11】ヒッチリンク部の側面図。
【図12】除草ロータ部の側面図。
【図13】作業装置装着制御のブロック図。
【図14】苗植装置部の側面図。
【図15】播種装置部の側面図。
【図16】ヒッチリンク、ロックフック部の側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面に基づいて、籾種子を圃場土壌面に直接播種する直播機について、トラクタ車体5の後方に平行リンク形態のリフトリンク6を介して播種装置7を連結する。この車体5に後部には、この播種装置7の前側に土壌面を掻き均す代掻(整地)ロータ8を設け、車体5後部のリヤフレーム9上には施肥装置10を設けている。このトラクタ車体5は、エンジンを搭載するエンジンルーム11上に運転席12を設け、このステップフロア13前部のステアリングポスト14上のステアリングハンドル15によって操向する前輪16と、後輪17を配置して、該エンジンによって、伝動駆動する四輪走行形態としている。この車体5は、エンジンによって、駆動される油圧無段変速装置18、左右両側にフロントアクスル19を軸装するミッションケース20を前部に配置し、このミッションケース20から後輪連動軸21を介して連動のリヤアクスル22を軸装するリヤアクスルハウジング23を後部に配置している。リヤフレーム9に前記リフトリンク6を上下回動自在に連結し、車体5に対してリフトシリンダ24の伸縮によって昇降可能に設け、この後後端に装着の播種装置7を昇降することができる。又、前記ミッションケース20から後方にPTO軸25が設けられて、このPTO軸25から施肥装置10を連動し、播種装置7を連動する。又、前記代掻ロータ8は、リヤアクスルハウジング23の伝動機構の一部からロータ連動軸26を経て駆動する構成としている。
【0018】
前記播種装置7は、播種フレーム27の下側にフロート28を配置し、土壌面を滑走しながら作溝器29により作溝して、この作溝部に播種する。上部の繰出ロール2を横方向のロール軸4周りに回転して、この上側の播種ホッパ30からロール2外周部の各播種溝1内に嵌合供給される種子を繰出して、この繰出される種子を播種パイプ31で案内して、前記作溝器29で形成される作溝部に適宜間隔毎に点播するものである。この播種ホッパ30の前側には、ブロワー32を設けて、このブロワー32の送風を各播種パイプ31部に案内して、送風圧で繰出された種子を作溝に噴出させて播種する構成としている。又、この各作溝部の後側には、覆土版64を配置して、播種した作溝部を覆土することができる。このような多条播種形態の播種装置7は、前記リフトリンク6の後端のヒッチリンク34に取付けられて、このリフトリンク6の上下動によって、播種作業姿勢に下降されたり、フロート28が土壌面から上方へ浮上した非播種作業姿勢に上昇される。33は培土器で、左右のフロート28部間に作溝を形成する。
【0019】
前記代掻ロータ8は、播種装置7の各フロート28の前側に配置されて、このフロート28が滑走する土壌面を掻き均す。この取付アーム35が前記ヒッチリンク34部に取付けられて昇降される。代掻ロータ8は、ロータケース36の前後に爪ロータ37を配置して、回転により土壌面を掻き削りながら均平化する。
【0020】
又、前記車体5後部の多条施肥形態の施肥装置10は、施肥ホッパ38と、この施肥ホッパ38から供給される肥料を繰出す繰出ロール39を有し、この繰出ロール39の回転によて繰出される肥料を施肥ホース40で流下案内して、前記作溝器29で形成される作溝部に施肥案内する。41は作溝器29の後部に設けた漏斗で、前記播種パイプ31をのぞませている。
【0021】
車体5の前部には、支柱42を設けて、上端にサンバイザ43を平行リンク44介して上下回動可能に支持し、運転席12上の運転者の姿勢に応じて高さ調節できる構成としている。
【0022】
ここにおいて、播種装置の繰出装置は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する弾性材からなる繰出カバー3を設ける。繰出ロール1を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各播種溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の播種溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各播種溝1に嵌合された種子は、前後播種溝1間の仕切部47によって仕切られて、下降回転部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪で、種子を強く圧迫することなく、種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバーの下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0023】
前記各播種ホッパ30の下端部を、各繰出ロール2を軸4装する繰出室45を形成した繰出ケース46上に重合して取付け、播種ホッパ30内の種子を繰出室45内へ供給することができる。繰出ロール2の回転周面には適宜容積の播種溝1を形成し、各播種溝1の前後間には円弧状の仕切部47を形成する。この繰出ロール2上の繰出室45内には、ブラシ48を設けて、このブラシ48の先端部を繰出ロール2の回転周面に摺接させて、各播種溝1で繰出される点播種子量を一定量に維持する。このブラシ48の回転方向側にゴム板等からなる繰出カバー3を沿わせて軽く押圧させている。この繰出カバー3の下端縁は、繰出室45の下側の排出室49にのぞませている。そして、上側の繰出室45で各播種溝1に嵌合させた種子を、ブラシ48で摺り切り、繰出カバー3に案内させながら、下側の排出室49へ各播種溝1部毎まとめて繰出して、播種パイプ31へ繰出して点播する。50は作業後等で、ホッパー30内に残留する種子を直接機外へ排出するための排出シャッタである。
【0024】
次に、主として図3に基づいて、前記繰出カバー3を、繰出ロール2のロール軸4と平行な回動軸51周りに回動自在な複数枚の羽根板52で構成して、この羽根板52を繰出ロール2の繰出側回転周面に弾発摺接して設ける。
【0025】
前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して覆う各羽根板52によって案内される。この嵌入する種子量が多過ぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧する羽根板52が弾発力に抗して外周方向へ押開き回動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、繰出ロール2の回転に対する抵抗を軽減し、従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0026】
前記繰出カバー3を、ロール軸4と平行な回動軸51周りに回動自在な複数板の羽根板52を、繰出ロール2の繰出側回転周面い摺接させたものである。各羽根板52は回動軸51部にスプリングを設けて、適宜の圧力で繰出ロール2の周面へ接圧させる形態とすることも可能である。
【0027】
次に、主として、図4に基づいて、前記繰出カバー3を、繰出ロール2のロール軸4と平行なロール軸56とを有して回動自在の複数のガイドロール55で構成し、このガイドロール55を繰出ロール2の繰出側回転周面に弾発摺接して設ける。
【0028】
前記のように繰出ロール1の各播種溝1に嵌入されて繰り出される種子は、この播種溝1の溝口部を弾発して摺接回転するガイドロール55で覆うようにして案内される。この嵌入する種子量が多過ぎる等によって、この一部の種子が繰出溝1の溝口部から外側へ突出した状態にあるときは、この溝口部を被覆押圧するガイドロール55が弾発力に抗して外周方向へ押開き移動されて、この繰出種子を強く過圧迫することなく、しかも、このガイドロール55の回転自在の形態によって繰出ロール2の回転に対する抵抗を軽減し、従って、この繰出種子の摩擦損傷や、カルパーの損傷等をなくして、各播種溝1毎の種子をまとめた状態で繰出カバー3の下方部へ繰出して、正確な点播を行うものである。
【0029】
前記繰出カバー3を、繰出ロール2の繰出側回転周面に摺接する複数の小径の回動自在のガイドロール55を並設して構成したものである。ガイドロール55は繰出ロール2の幅と略同幅で、ロール軸56を有し、このロール軸56を繰出ケース46と一体のロール案内壁に放射方向に向けて形成の案内溝57に嵌合させて、繰出ロール2面に対して接近したり、離間するように移動自在に構成している。又、このガイドロール55をスプリングによって繰出ロール2面に向けて適宜圧に押圧させることもできる。
【0030】
次に、主として図5、図6に基づいて、前記繰出室45内のブラシ48の手前位置に、先端部を繰出ロール2の回転周面に接近するレーキ60を配置する。
前記のようにして繰出ロール2の回転によって、繰出ホッパ、乃至繰出室45内の供給種子を各播種溝1に嵌入させて、ブラシ48や、繰出カバー3の側を経て排出室側へ繰り出す。このとき、繰出室45内で繰出ロール2の回転周面に接近するレーキ60の先端部によって、繰出室45からこの繰出ロール2の嵌入される種子が捌かれて、各播種溝1に円滑に嵌入される。この各播種溝1に嵌入された種子は、ブラシ48によって升切りされて、播種溝1の収容量に適合した種子量にして、各播種溝1毎に繰出種子を満杯状態に収容させて繰り出される。
【0031】
前記繰出ロール2上の繰出室45部に、ブラシ48の手前位置に側面視L字状の針金材からなるレーキ60を設けて、この繰出室45から各播種溝1部へ供給される種子の密集団子状態をさばいて、各播種溝1への円滑な繰込みを行わせるものである。レーキ60の下端部は、繰出ロール2の回転周面に接近して、繰出ロール2幅方向にわたって適宜間隔に配置し、前記ブラシ48と共に取付ブラケット61に対して一体構成としている。
【0032】
次に、主として図7に基づいて、前記繰出ロールの回転周面に、ブラシ48と、このブラシ48の手前側で回転自在のゴムロール62とを設け、このブラシ48によって摺り切られる種子をスポンジ製等のゴムロール62によって弾圧することによってブラシ48による摺り切りが行われ易くするものである。
【0033】
次に、主として図8に基づいて、前記フロート28の後部均平部65に、作溝器29を設けて播種、施肥を行わせる構成としているが、この作溝器29の横側にくし歯状のレーキ66を設けて、硬い土壌があるときは、このレーキ66によって掻き崩して、この後側の覆土板64による覆土を行い易くするものである。
【0034】
次に、主として図9に基づいて、前記フロート28の均平部65に、漏斗41を設けて、この漏斗41の上方に播種装置7の排出室49をのぞませると共に、前記施肥装置10の施肥ホース40を連通させて、これら播種作用と施肥作用を同一漏斗41口67から作溝部へ行わせるものである。
【0035】
次に、主として、図10に基づいて、前記播主フレーム27の後端部には、左右のフロート28間における土壌面を溝切培土する培土器33を設けて、シリンダ68の伸縮によって支軸69周りに上下回動させることができる。土壌面に培土溝を形成するときは下降姿勢Aとし、培土作業を行わないときは上昇姿勢Bにして収納状態にする。この上昇姿勢Bでは、培土器33の後端位置が前位に偏倚して機体の前後長さを短かくすることができる。
【0036】
次に、主として図11〜図15に基づいて、前記リフトリンク6のヒッチリンク34には、収納レバー70操作によって代各ロータ8、又は除草ロータ71を収納姿勢に上昇することによって、苗植装置72(図14)、播種装置7(図15)等の作業装置を装着することができる。前記ヒッチリンク34のローリング軸73周りにローリング可能のヒッチプレート74を有し、このヒッチプレート74の上端部と下端後側部とにフック75、76を形成している。苗植装置72や、播種装置7等の各作業ヒッチ77には、これら各上、下フック75、76に係合するヒッチピン78、79を有していて、リフトリンク6によってヒッチプレート74を上昇することにより、上フックピン75で上ヒッチピン78を掬上げて係合し、この状態のままで更に上昇することによって、作業ヒッチ77の姿勢をこの上ヒッチピン78周りに前側へ引き寄せるように回動させることにより、下ヒッチピン79が下フック76に自動嵌合される。この下ヒッチピン79が下フック76に嵌合した状態で、ソレノイド80によるストッパ81が下フック76を閉鎖して、各ヒッチピン78、79の離脱を防止する。
【0037】
又、前記ヒッチプレート74には、代掻ロータ8、及び除草ロータ71等の取付アーム81を上下回動可能に枢着し、このヒッチプレート74の上方に設ける収納レバー70によって、ロッド82や、リンク83、搖動リンク84、及びリンク85等を介して、この取付アーム81が前方上下に回動するように支持構成される。前記収納レバー70の回動部には、ロータ8、71の収納位置を検出するロータ収納センサ86を設けている。
【0038】
各種作業装置の装着状態を監視規制するコントローラ87は、入力側に、前記ロータ収納センサ86や、伝動軸接続部の接続カプラ等による作業装置種別センサ88、及び、副変速レバー92センサ89等を設けている。又、この出力側には、前記サンバイザ43を昇降するサンバイザ昇降モータ90や、前記ソレノイド80、及び、前記培土器33を昇降するための昇降シリンダ91等を配置している。
【0039】
又、どうしても苗植装置72を装着したい場合は、前記したように収納レバー70の操作で、除草ロータ71を上昇収納させることによって、装着を規制しているソレノイド80により、ストッパ81を開いて、下フック76に対する下ヒッチピン79の係合を許して、苗植装置72を装着することができる。
【0040】
前記ヒッチリンク34部に苗植装置72を装着して苗植作業を行う場合は、代掻ロータ8を装着する。又、この苗植装置72に代えて播種装置7を装着して直播作業を行う場合は、代掻ロータ8に代えて除草爪69を配置した除草ロータ71を装着する。そこで前記種別センサ88が代掻ロータ8の装着状態を検出するときは、前記下フック76のストッパ81を開いて、苗植装置72を装着するときの下ヒッチピン79の下フック6への係合を許すものである。又、種別センサ88が除草ロータ71の装着状態を検出するときは、下フック76のストッパ81を閉じて、下ヒッチピン79の下フック76への係合を許さない。この場合に、又、前記種別センサ88が、代掻ロータ8(又は、苗植装置72の装着)を検出するときは、前記バイザ昇降モータ90を出力して、サンバイザ43を上昇させて、運転者の姿勢変更を行い易くする。これと共に、溝切機昇降シリンダ91を出力して、前記培土器33を非作業位置へ上昇する。又、除草ロータリ71(又は、播種装置7の装着)を検出するときは、前記サンバイザ昇降モータ90を出力して、サンバイザ43を下降させる。これと共に、培土器33を下降して溝切培土作業を行う状態とするものである。又、前記培土器33は副変速レバー92を路上走行速の高速位置にすることによって、昇降シリンダ91により非作業位置へ上昇される。
【0041】
次に、主として図16に基づいて、前記ヒッチプレート74の下部には、トグルスプリング93と解除レバー94の操作によって回動操作するロックフック95を枢着96して、前記作業ヒッチ77の下ヒッチピン79が、下フック76に係合したときの作業ヒッチ77連結状態を固定維持することができる。この連結固定状態は解除レバー94の操作によって解除することができる。このようなロックフック95は、この解除レバー94によって上方へ開放回動させた状態で作業ヒッチ77の下ヒッチピン79の係合を行わせるものであるが、このロックフック95が、誤って下動した位置にあって、下フック76を閉鎖した状態にあるときは、作業ヒッチ77の下ヒッチピン79の係合を妨げることになって、作業装置を連結することができない。このため、このロックフック95の回動位置を検出するロックセンサ97を設け、このロックセンサ97がロックフック95の閉鎖位置を検出するときは、前記リフトリンク6の上昇を停止したり、警告音や、警告灯を発振したりして警告することができる。又、この上側の上フック75が上ヒッチピン78を受けたか否を検出するヒッチセンサ98を設け、これらヒッチセンサ98とロックセンサ97との検出によって作業ヒッチ77の連結状態を検出するように構成することもできる。これら各ロックセンサ97、及びヒッチセンサ98としては、光電センサ、乃マイクロスイッチ等接触センサ等を使用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 播種溝
2 繰出ロール
3 繰出カバー
4 ロール軸
45 繰出室
48 ブラシ
51 回動軸
52 羽根板
55 ガイドロール
56 ロール軸
60 レーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転周面に種子を嵌合させる繰出溝(1)を形成した繰出ロール(2)を軸装して、この繰出ロール(2)の回転により各繰出溝(1)に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール(2)の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝(1)の溝口部を覆うように弾発する弾性材からなる繰出カバー(3)を設けたことを特徴とする繰出装置。
【請求項2】
前記繰出カバー(3)を、繰出ロール(2)のロール軸(4)と平行な回動軸(51)周りに回動自在な複数枚の羽根板(52)で構成して、この羽根板(52)を繰出ロール(2)の繰出側回転周面に弾発摺接して設けることを特徴とする請求項1に記載の播種機の繰出装置。
【請求項3】
前記繰出カバー(3)を、繰出ロール(2)のロール軸(4)と平行なロール軸(56)とを有して回動自在の複数のガイドロール(55)で構成し、このガイドロール(5)を繰出ロール(2)の繰出側回転周面に弾発摺接して設けることを特徴とする請求項1に記載の播種機の繰出装置。
【請求項4】
前記繰出室(45)内のブラシ(48)の手前位置に、先端部を繰出ロール(2)の回転周面に接近するレーキ(60)を配置することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の播種機の繰出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−130735(P2011−130735A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295141(P2009−295141)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】