播種機の繰出装置
【課題】 正確な点播を行わせるために、繰出ロールの回転周面にブラシを摺接させるだけでは、繰出ロールの各繰出溝に嵌合された種子が、回転下端位置の排出落下位置に至る間の行程での排出タイミングが整い難く、正確な点播を維持し難い。又、このブラシの繰出側に案内板を設ける構成にあっては、各繰出溝に嵌合される種子が、この案内板との間の摩擦抵抗を受けて、種子の外周面を被覆するコーティング膜を剥離し易いものであり、正確な点播を維持し難い。
【解決手段】 繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4を設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設ける。
【解決手段】 繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4を設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種子の表面を損傷しないで正確な点播を行わせる播種機の繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング膜を形成した種子を点播するために、繰出ロールの回転周面にブラシや、案内板等を接近させて被覆構成し、コーティング膜の剥離、種子の散乱を防止する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008ー201359号公報(第3頁、図6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正確な点播を行わせるために、繰出ロールの回転周面にブラシを摺接させるだけでは、繰出ロールの各繰出溝に嵌合された種子が、回転下端位置の排出落下位置に至る間の行程での排出タイミングが整い難く、正確な点播を維持し難い。又、このブラシの繰出側に案内板を設ける構成にあっては、各繰出溝に嵌合される種子が、この案内板との間の摩擦抵抗を受けて、種子の外周面を被覆するコーティング膜を剥離し易いものであり、正確な点播を維持し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4を設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設けたことを特徴とする繰出装置の構成とする。
【0006】
繰出ロール2を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各繰出溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の繰出溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各繰出溝1に嵌合された種子は、前、後各繰出溝1間の仕切部によって仕切られて、下降回転の排出部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。このとき種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪んで、種子を強く圧迫することなく、種子に対する摩擦抵抗による損傷や、カルパー等のコーティング膜の破損等を少くして、繰出案内する。又、このとき繰出カバー3が種子によって押されて大きく外周側へ歪むと、この外側の外カバー4によって受けられて、繰出カバー3の極度の歪みを抑えて、各繰出溝1内の繰出種子を案内する状態に維持する。このようにして、繰出カバー3によって案内される種子がこの先端縁6から外れると、外カバー4の繰出縁5に案内されて、一旦係止される形態に揃えられてから下方へ排出落下される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転による種子繰出後の繰出溝1部に向けて噴風する噴風ノズル53を設け、各繰出溝1における残留物の付回りを掃除することができる。
【0008】
カルパー種子のように、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつき易くなるものであるが、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、以後の繰出作用においてコーティング剤等の残留堆積が行われ難くする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転周面には、繰出溝1に向けて下り傾斜のテーパー面57、又は、繰出溝58に向けて移行する案内溝58を形成して、この繰出ロール2の回転により種子をこれらテーパー面57、又は案内溝58に案内させて繰出溝1へ案内することができる。
【0010】
前記のように、繰出ロール2の回転によって各繰出溝1に種子を嵌合させて繰り出すものであるが、この点播形態の繰出ロール2の繰出溝1は、繰出ロール2の回転周面において、適宜の間隔を有して間歇的、乃至部分的に形成されるものであるが、直接繰出溝1に嵌合されていない種子は、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持して点播作用を行わせることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、繰出ロール2の繰出溝1に嵌合されて繰出される種子に繰出カバー3の弾性により摩擦損傷を与えないで、円滑な繰出播種を行い、種子がコーティング膜を形成する形態等によって比較的粒径の大きく、繰出カバー3との摩擦抵抗が大きくなる場合であっても、この繰出カバー3の極度の変形を外カバー4で規制して、正確な種子の繰出案内を維持して、この外カバー4の先端縁6から繰出された位置では、この外カバー4の縁出縁5で係止して、同一繰出溝1内の種子位置を一旦揃えてから、落下排出させてまとめた状態で点播することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつことが少なくなり、各繰出溝1の繰出容量を一定に維持して、正確な、能率のよい点播作用を行わせることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記のように、繰出ロール2の回転によって、繰出ロール2の回転周面の種子は、直接繰出溝1に嵌合されていなくても、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持し、正確で、安定した点播作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】繰出ロール部の側面図。
【図2】その播種装置部の側面図。
【図3】直播機の側面図。
【図4】その播種部の配置平面図。
【図5】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図6】別例を示す繰出ロールの正断面図。
【図7】別例を示す繰出ロールの斜視図。
【図8】別例を示す播種装置部の側断面図と、斜視図。
【図9】その作動状態を示す側断面図と、斜視図。
【図10】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図11】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図12】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図13】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図14】溝切板部の斜視図。
【図15】ブロワー送風制御のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に基づいて、籾種子を圃場土壌面に直接播種する直播機について、トラクタ車体7の後方に平行リンク形態のリフトリンク8を介して播種装置9を連結する。この車体7の後部には、この播種装置9の前側に土壌面を掻き均す代掻ロータ10を設け、車体7後部のリヤフレーム11上には施肥装置12を設けている。このトラクタ車体7は、エンジン13を搭載するエンジンルーム14上に運転席15を設け、このステップフロア16前部のステアリングポスト17上のステアリングハンドル18によって操向する前輪19と、後輪20を配置して、該エンジン13によって伝動駆動する四輪走行形態としている。この車体7は、該エンジン13によって駆動される油圧無段変速装置21、左右両側にフロントアクスル22を軸装するミッションケース23を前部に配置し、このミッションケース23から後輪連動軸24を介して連動のリヤアクスル25を軸装するリヤアクスルハウジング26を後部に配置している。リヤフレーム11に前記リフトリンク8を上下回動自在に連結し、車体5に対してリフトシリンダ27の伸縮によって昇降可能に設け、この後端に装着の播種装置9を昇降することができる。又、前記ミッションケース23から後方にPTO軸28を設けて、このPTO軸28から施肥装置12、及び播種装置9を連動する。又、前記代掻ロータ10は、リヤアクスルハウジング26の伝動機構の一部からロータ連動軸29を経て駆動する構成としている。
【0016】
前記播種装置9は、播種フレーム30の下側にフロート31を配置し、土壌面を滑走しながら作溝器32により作溝して、この作溝部に播種する。繰出ロール2を横方向のロール軸33周りに回転して、この上側の播種ホッパ34からロール2外周部の各播種溝1内に嵌合供給される種子を繰出して、この繰出される種子を播種パイプ35で案内して、前記作溝器32で形成される作溝部に適宜間隔毎に点播するものである。この播種ホッパ34の前側には、ブロワー36を設けて、このブロワー36の送風を各播種パイプ35部に案内して、送風圧で繰出された種子を作溝に噴出して播種する構成としている。又、この各作溝部の後側には、培土器37、乃至覆土器を配置して、播種した作溝部を覆土することができる。このような多条播種形態の播種装置9は、前記リフトリンク8の後端のヒッチリンク38に取付けられて、このリフトリンク8の上下動によって、播種作業姿勢に下降されたり、フロート31が土壌面から上方へ浮上した非播種作業姿勢に上昇される。
【0017】
前記代掻ロータ10は、播種装置9の各フロート31の前側に配置されて、このフロート31が滑走する土壌面を掻き均す。この取付アーム30が前記ヒッチリンク38部に取付けられて昇降される。代掻ロータ10は、ロータケース40の前後に爪ロータ41を配置して、回転により土壌面を掻きながら均平化する。
【0018】
又、前記車体7後部の多条施肥形態の施肥装置12は、施肥ホッパ42と、この施肥ホッパ43から供給される肥料を繰出す繰出ロール44を有し、この繰出ロール44の回転によて繰出される肥料を施肥ホース43で流下案内して、前記作溝器32で形成される作溝部に施肥案内する。45は作溝器32の後部に設けた漏斗で、前記播種パイプ35をのぞませている。
【0019】
ここにおいて、播種装置9の繰出装置は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する形態において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4とを設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設ける。
【0020】
前記繰出ロール2を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各繰出溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の繰出溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各繰出溝1に嵌合された種子は、前、後各繰出溝1間の仕切部によって仕切られて、下降回転の排出部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。このとき種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪んで、種子を強く圧迫することなく、種子に対する摩擦抵抗による損傷や、カルパー等のコーティング膜の破損等を少くして、繰出案内する。又、このとき繰出カバー3が種子によって押されて大きく外周側へ歪むと、この外側の外カバー4によって受けられて、繰出カバー3の極度の歪みを抑えて、各繰出溝1内の繰出種子を案内する状態に維持する。このようにして、繰出カバー3によって案内される種子がこの先端縁6から外れると、外カバー4の繰出縁5に案内されて、一旦係止される形態に揃えてから下方へ排出落下する。
【0021】
又、前記繰出ロール2の回転による種子繰出後の繰出溝1部に向けて噴風する噴風ノズル53を設け、各繰出溝1における残留物の付回りを掃除することができる。
カルパー種子のように、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつき易くなるものであるが、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、以後の繰出作用においてコーティング剤等の残留堆積が行われ難くする。
【0022】
前記各播種ホッパ34の下端部を、各繰出ロール2を軸33装する繰出室46を形成した繰出ケース47上に重合して取付け、播種ホッパ34内の種子を繰出室46内へ供給することができる。繰出ロール2の回転周面には適宜容積の繰出溝1を形成し、各繰出溝1の前後間には円弧状の仕切部48を形成する。この繰出ロール2上の繰出室46内には、ブラシ49を設けて、このブラシ49の先端部を繰出ロール2の回転周面に摺接させて、各繰出溝1で繰出される点播種子量を一定量に維持する。このブラシ49の回転方向側にゴム板等からなる繰出カバー3を沿わせて軽く押圧させている。この繰出カバー3の先端縁6は、繰出室46の下側の排出室50にのぞませている。そして、上側の繰出室46で各播種溝1に嵌合させた種子を、ブラシ49で摺り切り、繰出カバー3に案内させながら、下側の排出室50へ各繰出溝1部毎まとめて繰出して、播種パイプ35へ繰出して点播する。51は作業後等で、ホッパー34内に残留する種子を直接機外へ排出するための排出シャッタである。
【0023】
前記外カバー4は、繰出カバー3の外周部に沿って適宜間隔を形成して覆うように構成し、繰出カバー3が弾性によって外側へ歪むことによって、この繰出カバー3の背面を受けて、それ以上の繰出カバー3の外方へ湾曲を阻止するもので、前記各繰出溝1の溝口部を開き過ぎないように保持する。この外カバー4の先端部を、繰出カバー3の先端部よりも適宜間隔下方へ突出させて、この繰出ロール2の回転周面に接近するように突出する繰出縁5を繰出ロール軸33と平行状に形成し、この繰出縁5によって、繰出ロール2によって繰出される種子を一旦係止しながら揃えて、一繰出溝1によって繰出される種子を略同時にまとめて排落下させる。この外カバー4は、比較的強い弾性材からなる構成として、前記種子繰出時の押出力を受けて外方へ歪む繰出カバー3を弾性的に吸収する形態とすることも可能である。
【0024】
前記排出シャッター51を開閉回動可能に軸支する残留種子の取出室52には、エア噴出用のノズル53を設け、この取出室52の内側にのぞんで、回転する繰出ロール2の周面に向けて噴風して、各繰出溝1内周面に付き回りする種子や、異物等を掃除することができる。前記ブロワー36から施肥ホース43等を経て漏斗45にのぞむ播種ノズル54へ噴風される風圧を利用して、この施肥ホース43から分岐連通するホース55を介して噴風させるように案内する。直播機にあっては、播種装置9が水田土壌面に接近した低位置に設けられたり、多湿条件での播種作業を行う等のために、繰出ロール2の繰出溝1には、泥土や、塵埃等の付着、堆積し易いものであるが、前記ノズル53からの噴風によって、常時掃除して正確な播種粒数の繰出を維持する。
【0025】
又、この繰出ロール2の回転周面を掃除するため、図5のように排出室50と繰出室46との間の返り行程の間に、掃除ブラシ56を設けて、繰出溝1の内周面を掃除する形態とすることができる。
【0026】
次に、主として図6に基づいて、前記繰出ロール2の回転周面を、繰出溝1に向けて下り傾斜の鼓状のテーパー面57を形成したもので、種子の繰出溝1への案内維持を図り、種子表面の摩擦損傷を少くするものである。
【0027】
又、図7は、繰出ロール2の回転周面に繰出溝1に向けて螺曲する案内溝58を形成したものである。繰出溝ロール2の回転によって、ブラシ49で各案内溝58に案内されて嵌合される種子は、直ちにこの案内溝58から繰出溝1へ嵌合案内されるため、種子の表面(カルパー部)に損傷を与え難い。
【0028】
このように、前記繰出ロール2の回転周面には、繰出溝1に向けて下り傾斜のテーパー面57、又は、繰出溝58に向けて移行する案内溝58を形成して、この繰出ロール2の回転により種子をこれらテーパー面57、又は案内溝58に案内させて繰出溝1へ案内することができる。
【0029】
前記のように、繰出ロール2の回転によって各繰出溝1に種子を嵌合させて繰り出すものであるが、この点播形態の繰出ロール2の繰出溝1は、繰出ロール2の回転周面において、適宜の間隔を有して間歇的、乃至部分的に形成されるものであるが、直接繰出溝1に嵌合されていない種子は、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持して点播作用を行わせることができる。
【0030】
次に、主として図8、図9に基づいて、前記繰出ロール形態に代えて、開閉漏斗形態の播種装置9とするものである。複数の繰出片60をリング状に配置して、外周部にリング61を嵌合して漏斗状に構成する。この各繰出片60は、上下両端に内側へ折曲げた上端縁62、及び下端縁63を形成して、中間部を内側へ円弧状に湾曲させている。このため、この繰出片60の外周に嵌合させたリング61を上側(図8)、下側(図9)に移動することによって、上端縁62と下端縁63を交互に開、閉することができる。そして、リング61を下動したときは(図9)、上端縁62を開いて、上側から種子の流入を行われ易くし、下端縁61を閉じて、この種子の保持を的確に行う、又、播種時には、リング61を上動することによって(図8)、上端縁62を閉じて、種子の流入を停止し、下端縁63を開いて、この繰出片60の内側に保持していた種子を落下させて播種することができる。このような播種装置9を前記播種パイプ35等の下端部にのぞませて設け、前記リング61を昇降機構によって昇降させて土壌面に播種する形態とする。
【0031】
次に、主として図10〜図13に基づいて、前記カルパー(鉄分を有するコーティング材)で被覆された種子を繰出播種する繰出ロール2の形態として、この繰出ロール2の回転周面に、磁石65を埋込んで、この磁石65に種子を吸着させて繰出作用を行わせる構成(図10)とする。この繰出ロール2の下方排出室50部には、掻落板66を摺接させて、繰出ロール2の磁石65に付着されて繰出される種子を、排出室65に落下して播種することができる。又、この磁石65は、通電コイル67によって吸着する電磁石の形態として、繰出ロール2の回転によって、各磁石65が繰出室46から排出室50側へ回転する間は、コイル67の通電ONにより種子を吸着して繰出回転し、排出室50に位置することにより、コイル67の通電がOFFになって、吸着力を解放して落下播種させる形態(図11)とする。このロール軸33部には、ポテンショメータ68を設けて、各磁石65が直下の排出室50に位置したときにコイル67の通電をOFFにする。
【0032】
又、繰出ロール2の各繰出溝1の底部に、前記磁石65を設ける形態(図12)とするもよい。更には、この各繰出溝1内の磁石65を、ロール軸33周りのカム70、及びこのカム70によるロッド69を介して押出されるように連動構成(図13)として、繰出溝1に嵌合して繰出される種子を、排出室50で押出排出する形態(図13)とすることも可能である。
【0033】
次に、主として図3、及び図14に基づいて、前記各フロート31の後端部間に設ける溝切板71において、左右外側板72に泥抜き用の泥抜穴73を形成して、この溝切板71の推進による泥押抵抗を軽減するものである。溝切板71は、各フローロ31によって均平される左右の播種土壌面間に、適宜深さの溝を形成するもので、中央部のV字状断面の溝切部74と、この左右外側に適宜間隔の泥抜部75を形成して外側に設ける外側板72とからなり、この溝切部74で形成される溝部の左右両側部に押出される泥土を、泥抜部75部に案内させて、後側へ抜くことができる。このとき、左、右の外側板72で案内する泥土は、一部この泥抜穴73から外側へ流出されるため、この泥抜部75の後端部まで移動する泥土量を少くして、溝切抵抗を軽減することができ、左右横側の播種土壌面への泥押量を少くすることができる。
【0034】
次に、主として、図15に基づいて、前記ブロワー36の吸風口77に連結の吸風筒78を、エンジンルーム14と、外気室79とに連通させて、これらの分岐部に切替弁80を設け、この切替弁80の切替えによって、エンジンルーム14の高温風をブロワー36へ供給したり、低温外気をブロワー36へ供給するように切替できる。この切替制御は、外気温度、又は外気湿度を検出するセンサー81によって、コントローラ82を経て切替えられる。ブロワー36の送風口83は繰出ロール2、又は繰出ロール44によって繰出される種子、又は肥料を搬送する搬送筒84であり、温度、湿度等の変化に拘らず常に円滑な搬送作用を維持するものである。
【符号の説明】
【0035】
1 播種溝
2 繰出ロール
3 繰出カバー
4 外カバー
5 繰出縁
6 先端縁
53 噴風ノズル
57 テーパー面
58 案内溝
【技術分野】
【0001】
種子の表面を損傷しないで正確な点播を行わせる播種機の繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング膜を形成した種子を点播するために、繰出ロールの回転周面にブラシや、案内板等を接近させて被覆構成し、コーティング膜の剥離、種子の散乱を防止する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008ー201359号公報(第3頁、図6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正確な点播を行わせるために、繰出ロールの回転周面にブラシを摺接させるだけでは、繰出ロールの各繰出溝に嵌合された種子が、回転下端位置の排出落下位置に至る間の行程での排出タイミングが整い難く、正確な点播を維持し難い。又、このブラシの繰出側に案内板を設ける構成にあっては、各繰出溝に嵌合される種子が、この案内板との間の摩擦抵抗を受けて、種子の外周面を被覆するコーティング膜を剥離し易いものであり、正確な点播を維持し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4を設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設けたことを特徴とする繰出装置の構成とする。
【0006】
繰出ロール2を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各繰出溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の繰出溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各繰出溝1に嵌合された種子は、前、後各繰出溝1間の仕切部によって仕切られて、下降回転の排出部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。このとき種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪んで、種子を強く圧迫することなく、種子に対する摩擦抵抗による損傷や、カルパー等のコーティング膜の破損等を少くして、繰出案内する。又、このとき繰出カバー3が種子によって押されて大きく外周側へ歪むと、この外側の外カバー4によって受けられて、繰出カバー3の極度の歪みを抑えて、各繰出溝1内の繰出種子を案内する状態に維持する。このようにして、繰出カバー3によって案内される種子がこの先端縁6から外れると、外カバー4の繰出縁5に案内されて、一旦係止される形態に揃えられてから下方へ排出落下される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転による種子繰出後の繰出溝1部に向けて噴風する噴風ノズル53を設け、各繰出溝1における残留物の付回りを掃除することができる。
【0008】
カルパー種子のように、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつき易くなるものであるが、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、以後の繰出作用においてコーティング剤等の残留堆積が行われ難くする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転周面には、繰出溝1に向けて下り傾斜のテーパー面57、又は、繰出溝58に向けて移行する案内溝58を形成して、この繰出ロール2の回転により種子をこれらテーパー面57、又は案内溝58に案内させて繰出溝1へ案内することができる。
【0010】
前記のように、繰出ロール2の回転によって各繰出溝1に種子を嵌合させて繰り出すものであるが、この点播形態の繰出ロール2の繰出溝1は、繰出ロール2の回転周面において、適宜の間隔を有して間歇的、乃至部分的に形成されるものであるが、直接繰出溝1に嵌合されていない種子は、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持して点播作用を行わせることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、繰出ロール2の繰出溝1に嵌合されて繰出される種子に繰出カバー3の弾性により摩擦損傷を与えないで、円滑な繰出播種を行い、種子がコーティング膜を形成する形態等によって比較的粒径の大きく、繰出カバー3との摩擦抵抗が大きくなる場合であっても、この繰出カバー3の極度の変形を外カバー4で規制して、正確な種子の繰出案内を維持して、この外カバー4の先端縁6から繰出された位置では、この外カバー4の縁出縁5で係止して、同一繰出溝1内の種子位置を一旦揃えてから、落下排出させてまとめた状態で点播することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつことが少なくなり、各繰出溝1の繰出容量を一定に維持して、正確な、能率のよい点播作用を行わせることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記のように、繰出ロール2の回転によって、繰出ロール2の回転周面の種子は、直接繰出溝1に嵌合されていなくても、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持し、正確で、安定した点播作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】繰出ロール部の側面図。
【図2】その播種装置部の側面図。
【図3】直播機の側面図。
【図4】その播種部の配置平面図。
【図5】一部別実施例を示す繰出ロール部の側面図。
【図6】別例を示す繰出ロールの正断面図。
【図7】別例を示す繰出ロールの斜視図。
【図8】別例を示す播種装置部の側断面図と、斜視図。
【図9】その作動状態を示す側断面図と、斜視図。
【図10】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図11】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図12】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図13】一部別例を示す繰出ロール部の側面図。
【図14】溝切板部の斜視図。
【図15】ブロワー送風制御のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に基づいて、籾種子を圃場土壌面に直接播種する直播機について、トラクタ車体7の後方に平行リンク形態のリフトリンク8を介して播種装置9を連結する。この車体7の後部には、この播種装置9の前側に土壌面を掻き均す代掻ロータ10を設け、車体7後部のリヤフレーム11上には施肥装置12を設けている。このトラクタ車体7は、エンジン13を搭載するエンジンルーム14上に運転席15を設け、このステップフロア16前部のステアリングポスト17上のステアリングハンドル18によって操向する前輪19と、後輪20を配置して、該エンジン13によって伝動駆動する四輪走行形態としている。この車体7は、該エンジン13によって駆動される油圧無段変速装置21、左右両側にフロントアクスル22を軸装するミッションケース23を前部に配置し、このミッションケース23から後輪連動軸24を介して連動のリヤアクスル25を軸装するリヤアクスルハウジング26を後部に配置している。リヤフレーム11に前記リフトリンク8を上下回動自在に連結し、車体5に対してリフトシリンダ27の伸縮によって昇降可能に設け、この後端に装着の播種装置9を昇降することができる。又、前記ミッションケース23から後方にPTO軸28を設けて、このPTO軸28から施肥装置12、及び播種装置9を連動する。又、前記代掻ロータ10は、リヤアクスルハウジング26の伝動機構の一部からロータ連動軸29を経て駆動する構成としている。
【0016】
前記播種装置9は、播種フレーム30の下側にフロート31を配置し、土壌面を滑走しながら作溝器32により作溝して、この作溝部に播種する。繰出ロール2を横方向のロール軸33周りに回転して、この上側の播種ホッパ34からロール2外周部の各播種溝1内に嵌合供給される種子を繰出して、この繰出される種子を播種パイプ35で案内して、前記作溝器32で形成される作溝部に適宜間隔毎に点播するものである。この播種ホッパ34の前側には、ブロワー36を設けて、このブロワー36の送風を各播種パイプ35部に案内して、送風圧で繰出された種子を作溝に噴出して播種する構成としている。又、この各作溝部の後側には、培土器37、乃至覆土器を配置して、播種した作溝部を覆土することができる。このような多条播種形態の播種装置9は、前記リフトリンク8の後端のヒッチリンク38に取付けられて、このリフトリンク8の上下動によって、播種作業姿勢に下降されたり、フロート31が土壌面から上方へ浮上した非播種作業姿勢に上昇される。
【0017】
前記代掻ロータ10は、播種装置9の各フロート31の前側に配置されて、このフロート31が滑走する土壌面を掻き均す。この取付アーム30が前記ヒッチリンク38部に取付けられて昇降される。代掻ロータ10は、ロータケース40の前後に爪ロータ41を配置して、回転により土壌面を掻きながら均平化する。
【0018】
又、前記車体7後部の多条施肥形態の施肥装置12は、施肥ホッパ42と、この施肥ホッパ43から供給される肥料を繰出す繰出ロール44を有し、この繰出ロール44の回転によて繰出される肥料を施肥ホース43で流下案内して、前記作溝器32で形成される作溝部に施肥案内する。45は作溝器32の後部に設けた漏斗で、前記播種パイプ35をのぞませている。
【0019】
ここにおいて、播種装置9の繰出装置は、回転周面に種子を嵌合させる繰出溝1を形成した繰出ロール2を軸装して、この繰出ロール2の回転により各繰出溝1に嵌合する種子を繰出して点播する形態において、前記繰出ロール2の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝1の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー3と、この繰出カバー3の外周部を覆うと共に、この繰出カバー3の外方への開きを規制する外カバー4とを設け、この外カバー4の先端側の繰出縁5を、前記繰出カバー3の先端縁6よりも繰出側に位置させて繰出ロール2の回転周面に接近させて設ける。
【0020】
前記繰出ロール2を回転して播種ホッパーに供給した種子を繰出播種するとき、各繰出溝1が上側の播種ホッパー部に対向した位置にあるとき、種子がこの上側の繰出溝1に嵌入されて、回転により繰出カバー3側へ繰出される。各繰出溝1に嵌合された種子は、前、後各繰出溝1間の仕切部によって仕切られて、下降回転の排出部へ移行して、繰出カバー3の被覆面に案内させて繰出す。このとき種子の一部がこの繰出カバー3の被覆面を押圧すると、この繰出カバー3が弾性によって外周方向へ歪んで、種子を強く圧迫することなく、種子に対する摩擦抵抗による損傷や、カルパー等のコーティング膜の破損等を少くして、繰出案内する。又、このとき繰出カバー3が種子によって押されて大きく外周側へ歪むと、この外側の外カバー4によって受けられて、繰出カバー3の極度の歪みを抑えて、各繰出溝1内の繰出種子を案内する状態に維持する。このようにして、繰出カバー3によって案内される種子がこの先端縁6から外れると、外カバー4の繰出縁5に案内されて、一旦係止される形態に揃えてから下方へ排出落下する。
【0021】
又、前記繰出ロール2の回転による種子繰出後の繰出溝1部に向けて噴風する噴風ノズル53を設け、各繰出溝1における残留物の付回りを掃除することができる。
カルパー種子のように、コーティング膜を形成した種子を繰出ながら直播するときは、このコーティング剤が、粉状になって繰出溝1内に残留してこびりつき易くなるものであるが、前記繰出ロール2の回転により種子を嵌合させて繰出した各繰出溝1は、直後に噴風ノズル53からの噴風を受けて、この繰出溝2内周面を掃除されるため、以後の繰出作用においてコーティング剤等の残留堆積が行われ難くする。
【0022】
前記各播種ホッパ34の下端部を、各繰出ロール2を軸33装する繰出室46を形成した繰出ケース47上に重合して取付け、播種ホッパ34内の種子を繰出室46内へ供給することができる。繰出ロール2の回転周面には適宜容積の繰出溝1を形成し、各繰出溝1の前後間には円弧状の仕切部48を形成する。この繰出ロール2上の繰出室46内には、ブラシ49を設けて、このブラシ49の先端部を繰出ロール2の回転周面に摺接させて、各繰出溝1で繰出される点播種子量を一定量に維持する。このブラシ49の回転方向側にゴム板等からなる繰出カバー3を沿わせて軽く押圧させている。この繰出カバー3の先端縁6は、繰出室46の下側の排出室50にのぞませている。そして、上側の繰出室46で各播種溝1に嵌合させた種子を、ブラシ49で摺り切り、繰出カバー3に案内させながら、下側の排出室50へ各繰出溝1部毎まとめて繰出して、播種パイプ35へ繰出して点播する。51は作業後等で、ホッパー34内に残留する種子を直接機外へ排出するための排出シャッタである。
【0023】
前記外カバー4は、繰出カバー3の外周部に沿って適宜間隔を形成して覆うように構成し、繰出カバー3が弾性によって外側へ歪むことによって、この繰出カバー3の背面を受けて、それ以上の繰出カバー3の外方へ湾曲を阻止するもので、前記各繰出溝1の溝口部を開き過ぎないように保持する。この外カバー4の先端部を、繰出カバー3の先端部よりも適宜間隔下方へ突出させて、この繰出ロール2の回転周面に接近するように突出する繰出縁5を繰出ロール軸33と平行状に形成し、この繰出縁5によって、繰出ロール2によって繰出される種子を一旦係止しながら揃えて、一繰出溝1によって繰出される種子を略同時にまとめて排落下させる。この外カバー4は、比較的強い弾性材からなる構成として、前記種子繰出時の押出力を受けて外方へ歪む繰出カバー3を弾性的に吸収する形態とすることも可能である。
【0024】
前記排出シャッター51を開閉回動可能に軸支する残留種子の取出室52には、エア噴出用のノズル53を設け、この取出室52の内側にのぞんで、回転する繰出ロール2の周面に向けて噴風して、各繰出溝1内周面に付き回りする種子や、異物等を掃除することができる。前記ブロワー36から施肥ホース43等を経て漏斗45にのぞむ播種ノズル54へ噴風される風圧を利用して、この施肥ホース43から分岐連通するホース55を介して噴風させるように案内する。直播機にあっては、播種装置9が水田土壌面に接近した低位置に設けられたり、多湿条件での播種作業を行う等のために、繰出ロール2の繰出溝1には、泥土や、塵埃等の付着、堆積し易いものであるが、前記ノズル53からの噴風によって、常時掃除して正確な播種粒数の繰出を維持する。
【0025】
又、この繰出ロール2の回転周面を掃除するため、図5のように排出室50と繰出室46との間の返り行程の間に、掃除ブラシ56を設けて、繰出溝1の内周面を掃除する形態とすることができる。
【0026】
次に、主として図6に基づいて、前記繰出ロール2の回転周面を、繰出溝1に向けて下り傾斜の鼓状のテーパー面57を形成したもので、種子の繰出溝1への案内維持を図り、種子表面の摩擦損傷を少くするものである。
【0027】
又、図7は、繰出ロール2の回転周面に繰出溝1に向けて螺曲する案内溝58を形成したものである。繰出溝ロール2の回転によって、ブラシ49で各案内溝58に案内されて嵌合される種子は、直ちにこの案内溝58から繰出溝1へ嵌合案内されるため、種子の表面(カルパー部)に損傷を与え難い。
【0028】
このように、前記繰出ロール2の回転周面には、繰出溝1に向けて下り傾斜のテーパー面57、又は、繰出溝58に向けて移行する案内溝58を形成して、この繰出ロール2の回転により種子をこれらテーパー面57、又は案内溝58に案内させて繰出溝1へ案内することができる。
【0029】
前記のように、繰出ロール2の回転によって各繰出溝1に種子を嵌合させて繰り出すものであるが、この点播形態の繰出ロール2の繰出溝1は、繰出ロール2の回転周面において、適宜の間隔を有して間歇的、乃至部分的に形成されるものであるが、直接繰出溝1に嵌合されていない種子は、これら繰出溝1の側部のテーパー面57、又は案内溝58によって案内されて、繰出溝1の内部に嵌合され易くなり、各繰出溝1を満杯状態にし、一定の繰出量に維持して点播作用を行わせることができる。
【0030】
次に、主として図8、図9に基づいて、前記繰出ロール形態に代えて、開閉漏斗形態の播種装置9とするものである。複数の繰出片60をリング状に配置して、外周部にリング61を嵌合して漏斗状に構成する。この各繰出片60は、上下両端に内側へ折曲げた上端縁62、及び下端縁63を形成して、中間部を内側へ円弧状に湾曲させている。このため、この繰出片60の外周に嵌合させたリング61を上側(図8)、下側(図9)に移動することによって、上端縁62と下端縁63を交互に開、閉することができる。そして、リング61を下動したときは(図9)、上端縁62を開いて、上側から種子の流入を行われ易くし、下端縁61を閉じて、この種子の保持を的確に行う、又、播種時には、リング61を上動することによって(図8)、上端縁62を閉じて、種子の流入を停止し、下端縁63を開いて、この繰出片60の内側に保持していた種子を落下させて播種することができる。このような播種装置9を前記播種パイプ35等の下端部にのぞませて設け、前記リング61を昇降機構によって昇降させて土壌面に播種する形態とする。
【0031】
次に、主として図10〜図13に基づいて、前記カルパー(鉄分を有するコーティング材)で被覆された種子を繰出播種する繰出ロール2の形態として、この繰出ロール2の回転周面に、磁石65を埋込んで、この磁石65に種子を吸着させて繰出作用を行わせる構成(図10)とする。この繰出ロール2の下方排出室50部には、掻落板66を摺接させて、繰出ロール2の磁石65に付着されて繰出される種子を、排出室65に落下して播種することができる。又、この磁石65は、通電コイル67によって吸着する電磁石の形態として、繰出ロール2の回転によって、各磁石65が繰出室46から排出室50側へ回転する間は、コイル67の通電ONにより種子を吸着して繰出回転し、排出室50に位置することにより、コイル67の通電がOFFになって、吸着力を解放して落下播種させる形態(図11)とする。このロール軸33部には、ポテンショメータ68を設けて、各磁石65が直下の排出室50に位置したときにコイル67の通電をOFFにする。
【0032】
又、繰出ロール2の各繰出溝1の底部に、前記磁石65を設ける形態(図12)とするもよい。更には、この各繰出溝1内の磁石65を、ロール軸33周りのカム70、及びこのカム70によるロッド69を介して押出されるように連動構成(図13)として、繰出溝1に嵌合して繰出される種子を、排出室50で押出排出する形態(図13)とすることも可能である。
【0033】
次に、主として図3、及び図14に基づいて、前記各フロート31の後端部間に設ける溝切板71において、左右外側板72に泥抜き用の泥抜穴73を形成して、この溝切板71の推進による泥押抵抗を軽減するものである。溝切板71は、各フローロ31によって均平される左右の播種土壌面間に、適宜深さの溝を形成するもので、中央部のV字状断面の溝切部74と、この左右外側に適宜間隔の泥抜部75を形成して外側に設ける外側板72とからなり、この溝切部74で形成される溝部の左右両側部に押出される泥土を、泥抜部75部に案内させて、後側へ抜くことができる。このとき、左、右の外側板72で案内する泥土は、一部この泥抜穴73から外側へ流出されるため、この泥抜部75の後端部まで移動する泥土量を少くして、溝切抵抗を軽減することができ、左右横側の播種土壌面への泥押量を少くすることができる。
【0034】
次に、主として、図15に基づいて、前記ブロワー36の吸風口77に連結の吸風筒78を、エンジンルーム14と、外気室79とに連通させて、これらの分岐部に切替弁80を設け、この切替弁80の切替えによって、エンジンルーム14の高温風をブロワー36へ供給したり、低温外気をブロワー36へ供給するように切替できる。この切替制御は、外気温度、又は外気湿度を検出するセンサー81によって、コントローラ82を経て切替えられる。ブロワー36の送風口83は繰出ロール2、又は繰出ロール44によって繰出される種子、又は肥料を搬送する搬送筒84であり、温度、湿度等の変化に拘らず常に円滑な搬送作用を維持するものである。
【符号の説明】
【0035】
1 播種溝
2 繰出ロール
3 繰出カバー
4 外カバー
5 繰出縁
6 先端縁
53 噴風ノズル
57 テーパー面
58 案内溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転周面に種子を嵌合させる繰出溝(1)を形成した繰出ロール(2)を軸装して、この繰出ロール(2)の回転により各繰出溝(1)に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール(2)の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝(1)の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー(3)と、この繰出カバー(3)の外周部を覆うと共に、この繰出カバー(3)の外方への開きを規制する外カバー(4)を設け、この外カバー(4)の先端側の繰出縁(5)を、前記繰出カバー(3)の先端縁(6)よりも繰出側に位置させて繰出ロール(2)の回転周面に接近させて設けたことを特徴とする繰出装置。
【請求項2】
前記繰出ロール(2)の回転による種子繰出後の繰出溝(1)部に向けて噴風する噴風ノズル(53)を設け、各繰出溝(1)における残留物の付回りを掃除することを特徴とする請求項1に記載の播種機の繰出装置。
【請求項3】
前記繰出ロール(2)の回転周面には、繰出溝(1)に向けて下り傾斜のテーパー面(57)、又は、繰出溝(58)に向けて移行する案内溝(58)を形成して、この繰出ロール(2)の回転により種子をこれらテーパー面(57)、又は案内溝(58)に案内させて繰出溝(1)へ案内することを特徴とする請求項1、又は2に記載の播種機の繰出装置。
【請求項1】
回転周面に種子を嵌合させる繰出溝(1)を形成した繰出ロール(2)を軸装して、この繰出ロール(2)の回転により各繰出溝(1)に嵌合する種子を繰出して点播する播種機において、前記繰出ロール(2)の繰出側回転周面に沿って、この繰出溝(1)の溝口部を覆うように弾発する繰出カバー(3)と、この繰出カバー(3)の外周部を覆うと共に、この繰出カバー(3)の外方への開きを規制する外カバー(4)を設け、この外カバー(4)の先端側の繰出縁(5)を、前記繰出カバー(3)の先端縁(6)よりも繰出側に位置させて繰出ロール(2)の回転周面に接近させて設けたことを特徴とする繰出装置。
【請求項2】
前記繰出ロール(2)の回転による種子繰出後の繰出溝(1)部に向けて噴風する噴風ノズル(53)を設け、各繰出溝(1)における残留物の付回りを掃除することを特徴とする請求項1に記載の播種機の繰出装置。
【請求項3】
前記繰出ロール(2)の回転周面には、繰出溝(1)に向けて下り傾斜のテーパー面(57)、又は、繰出溝(58)に向けて移行する案内溝(58)を形成して、この繰出ロール(2)の回転により種子をこれらテーパー面(57)、又は案内溝(58)に案内させて繰出溝(1)へ案内することを特徴とする請求項1、又は2に記載の播種機の繰出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−147355(P2011−147355A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9229(P2010−9229)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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