説明

撮像ユニット及び撮像装置

【課題】 消費電力低減のために冷却素子を撮影時のみ駆動して冷却する場合に、冷却素子の非駆動時に冷却素子の放熱側から熱が戻り、撮像素子を逆に暖めてしまうことを防止する。
【解決手段】 撮像素子を冷却する冷却素子の放熱を行う第二の放熱部材と、冷却素子の非駆動時に撮像素子の放熱を行う第一の放熱部材を設け、第一の放熱部材と第二の放熱部材の間に回路基板を挿入して両放熱板を熱的に分離することで熱の戻りを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニット及び撮像装置に関する。特に、撮像素子を冷却する冷却素子を備えた撮像ユニット及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置の高画素化、高画質化、高フレームレート化、小型化が進むにつれて、CCD等の撮像素子での画素の高密度化が顕著になっている。それに伴い、撮像素子の駆動による撮像素子チップ内部での発熱によって画質に悪影響を及ぼすことが懸念されている。一般にCCD等の撮像素子では、撮像素子チップの温度が8℃上昇すると暗電流、つまり暗ノイズが2倍になることが知られている。従って、高密度の撮像素子チップで高フレームレートでの撮像が行われると、発熱による暗ノイズで画像信号のS/N比が低下する。このため、CCD等の撮像素子を冷却することにより暗電流を低減させて、画像信号のS/N比の向上を図る方法が採られている。
【0003】
そのために、CCD等の撮像素子の冷却構造としてペルチェ素子を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、CCD等の撮像素子の冷却構造として、CCD、ペルチェ素子、伝熱部材、および放熱部材を順番に配置して板バネで押しつけて密着させ、CCDからの熱をペルチェ素子で吸収するとともに、熱伝導によりペルチェ素子から伝熱部材、放熱部材を介してカメラ筐体に伝熱し、外部に放熱するように構成されている。
【0004】
一方、ペルチェ素子をパルス電流で間欠駆動することで、ペルチェ素子の冷却効果を改善するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、ペルチェ素子がパルス電流で駆動されている時に撮像素子が冷却され、この時にペルチェ素子の発熱側に発生する熱をペルチェ素子の非駆動時に放熱フィンにより外部に放出することで、ペルチェ素子の発熱部の温度上昇によるペルチェ素子の冷却効果の低減を防止し冷却効果を改善できる、とされている。
【0005】
更に、デジタルカメラ等のバッテリを電源とする機器でペルチェ素子等の冷却素子を用いる場合には、バッテリの容量から考えると、冷却素子の消費電力はかなり大きいので常時通電を行って冷却することは困難であり、レリーズ時のみ通電して冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−37161号公報
【特許文献2】特開平10−256613号公報
【特許文献3】特開2003−304420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案された方法では、ペルチェ素子は駆動による発熱が大きく、吸熱した熱量と自身が発熱した熱量の両方を吸熱面と反対の側に放出するため、本方法では、非常に大きな放熱部材が必要となり、デジタルカメラ等の小型撮像装置に搭載するのは非常に難しい。
【0007】
又、特許文献2で提案された方法では、ペルチェ素子をパルス電流で間欠駆動するために間欠駆動回路が必要となるため、装置の回路が複雑になり高価になる。更に、駆動時にペルチェ素子の発熱側に発生した熱が非駆動時に吸熱側に戻ることで逆に撮像素子を暖めることになり、それを防止するためには非常に大きな放熱部材が必要となり、デジタルカメラ等の小型撮像装置に搭載するのは非常に難しい。
【0008】
更に、特許文献3で提案された方法では、ペルチェ素子の非駆動時に、ペルチェ素子の放熱側から撮像素子に熱が戻って撮像素子を暖めてしまうことがあり、これを防止するためには大きな放熱部材が必要となり、デジタルカメラ等の小型撮像装置に搭載するのは非常に難しい。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で高い冷却効率を得ることができ、デジタルカメラ等の小型撮像装置に搭載するのに適した、冷却素子を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0011】
(請求項1)
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材とを熱的に分離する断熱部材を有することを特徴とする撮像ユニット。
【0012】
(請求項2)
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記第一の放熱部材に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材とを熱的に分離する断熱部材を有することを特徴とする撮像ユニット。
【0013】
(請求項3)
前記断熱部材は、回路基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【0014】
(請求項4)
前記回路基板は、撮像素子を搭載する回路基板であることを特徴とする、請求項3に記載の撮像ユニット。
【0015】
(請求項5)
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材との間に設置された回路基板とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【0016】
(請求項6)
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記第一の放熱部材に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材との間に設置された回路基板とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【0017】
(請求項7)
前記第二の放熱部材は、前記第一の放熱部材より放熱容量が大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【0018】
(請求項8)
前記撮像素子と前期第一の放熱部材とが当接する当接部、前記撮像素子と前記冷却素子とが当接する当接部及び前記冷却素子と前記第二の放熱部材とが当接する当接部から選ばれる少なくとも1つの当接部に熱伝導材料を充填したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【0019】
(請求項9)
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像ユニットを搭載したことを特徴とする撮像装置。
【0020】
(請求項10)
前記撮像素子で撮像された画像を記録する記録手段と、
前記冷却素子を、前記撮像素子が前記記録手段で画像を記録するための撮像時にのみ駆動させる制御手段とを有することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材と、撮像素子を冷却する冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材を持ち、第一と第二の放熱部材を熱的に分離することで冷却素子の熱が第二の放熱部材から第一の放熱部材を介して撮像素子に戻ることを防止でき、冷却効率の向上が図れる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材と、第一の放熱部材を冷却する冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材を持ち、第一と第二の放熱部材を熱的に分離することで冷却素子の熱が第二の放熱部材から第一の放熱部材を介して撮像素子に戻ることを防止でき、冷却効率の向上が図れる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、断熱部材として回路基板を用いることで、新たな断熱部材を必要とせず省スペース、コストダウンに貢献する。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、断熱部材として、撮像素子の近傍に配置されること必須の撮像素子を搭載する回路基板を用いることで、新たな断熱部材を必要とせず省スペース、コストダウンに貢献する。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材と撮像素子を冷却する冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材との間に回路基板を設けたので、第二の放熱部材から第一の放熱部材への放熱を回路基板で遮ることができ、撮像素子の冷却効率の向上が図れる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材と第一の放熱部材を冷却する冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材との間に回路基板を設けたので、第二の放熱部材から第一の放熱部材への放熱を回路基板で遮ることができ、撮像素子の冷却効率の向上が図れる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、第二の放熱部材の放熱容量を第一の放熱部材のそれよりも大きくすることで、撮像素子の温度をより低く冷却でき、暗ノイズ低減、画質向上に貢献する。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、各当接部に放熱用グリス等の熱伝導材料を充填することで当接部の熱的な密着度をより向上させ、放熱効率をより向上させることに貢献する。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像ブロックを撮像装置に搭載することで、高画質で低消費電力の撮像装置を提供できる。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、冷却素子を記録のための撮像時のみ駆動することで、冷却素子の常時駆動での冷却素子での発熱を減少させて冷却効率を向上させ、併せて消費電力の低減に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る撮像装置として機能するデジタルカメラ1の外観模式図で、図1(a)は正面図、図1(b)は背面図である。
【0033】
カメラ筐体10の正面には、撮影レンズ251、フラッシュ発光部131a、ファインダ対物部141a、が設けられている。カメラ筐体10の上部には、レリーズボタン121、カメラの動作モードを設定するモード設定ダイアル112が設けられており、カメラ筐体10の内部でレリーズボタン121の下部には、AFスイッチS1とレリーズスイッチS2を備えた2段スイッチが設けられている。
【0034】
カメラ筐体10の背面には、カメラの電源スイッチであるメインスイッチ111、ファインダ接眼部141b、接眼表示部142、ライブビュー画像及び撮像された画像をアフタービュー表示するモニタ231、モニタへの表示のオン/オフを制御するモニタスイッチ113が備えられている。
【0035】
図2は、図1に示した撮像装置の縦断面模式図(図1のA−A’断面)である。図中、図1と同じ部分には同じ番号を付与した。
【0036】
撮影レンズ251で集光された被写体からの光は撮像素子211上に結像される。撮像素子211は、第一の放熱部材242を間に挟んで回路部品(図示せず)が搭載された回路基板261上に実装される。又、撮像素子211の裏面(撮影レンズと反対側)には冷却素子241の冷却側が当接されて熱的に密着される。冷却素子241の放熱側には第二の放熱部材243が当接されて熱的に密着される。第二の放熱部材243の一部はカメラ筐体10の内部に当接されて熱的に密着される。従って、撮像素子211で発生した熱は、第一の放熱部材242で放熱されると共に、冷却素子241、第二の放熱部材243を介してカメラ筐体10に放熱される。ここで回路基板261は、第一の放熱部材242と第二の放熱部材243とを熱的に分離する断熱部材として機能している。
【0037】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る撮像ユニットの構成の例を、図3を用いて説明する。図中、図2と同じ部分には同じ番号を付与した。
【0038】
撮像素子チップ211aは、セラミック等からなるパッケージ211b上にダイボンドされ、リードフレーム211cの一端にワイヤボンド(図示せず)されて電気的に接続され、カバーガラス211dで封止されている。以上を総称して撮像素子211と呼ぶ。撮像素子211には第一の放熱部材242が当接されて熱的に密着され、第一の放熱部材242を間に挟んで、第一の放熱部材242に設けられた開口部242aにリードフレーム211cの他端を差し込む形で回路基板261に半田付け等で電気的に接続されている。回路基板261上には他の回路部品(図示せず)も搭載されており、撮像素子211と電気的に接続されている。
【0039】
又、撮像素子211は、その底面で冷却素子241の吸熱面241aと当接されて熱的に密着されており、冷却素子241の放熱面241bは、第二の放熱部材243と当接されて熱的に密着されている。更に、第一の放熱部材242と第二の放熱部材243は、回路基板261をその間にはさむことによって熱的に分離されている。回路基板261は、ガラスエポキシ、ポリイミド等からなり、第一の放熱部材242と第二の放熱部材243にはさまれる領域及びその近傍には、電源、グラウンド、シールド等の広い金属面や配線抵抗値低減のための多数のスルーホール等、熱伝導のよい部分が少ないことが好ましい。尚、本例では、第二の放熱部材243の冷却素子241の放熱面241bに当接する部分243aを、冷却素子241と回路基板261の厚みの差分凸に盛り上げることで、第二の放熱部材243と冷却素子241の放熱面241bの密着性が向上するようになしてあるが、第二の放熱部材243と冷却素子241の放熱面241bの密着性が保てるのであれば、図4に示したように凹凸のない平面であってもよいし、逆に、図5に示したように凹面であってもよい。更に、上述の「熱的に密着」させるために、必要な場合は、各当接部に放熱用グリス、放熱用シート、熱伝導性フィラー、熱伝導性接着剤等の熱伝導材料を充填してもよい。
【0040】
第一の放熱部材242は、ライブビューやAF/AE時に、撮像素子チップ211aの画像出力がライブビューやAF/AEに支障ないノイズレベルになるような温度T1まで、冷却素子を駆動せずに撮像素子チップ211aの温度を放熱できるに十分な放熱容量を持つ大きさに設定される。
【0041】
冷却素子241は、撮影時に、撮像素子チップ211aの画像出力が、画像として鑑賞に堪えるに十分なノイズレベルになるような温度T2(T2<T1)まで撮像素子チップ211aを急速冷却できる冷却能力を持つように設定される。第二の放熱部材243は、撮像素子チップ211aが上述のように冷却素子241で急速冷却された場合の、撮像素子チップ211aの発する熱と冷却素子241の発する熱の両方を放熱できるに十分な放熱容量を持つ大きさに設定される。つまり、放熱すべき熱量は、第一の放熱部材242よりも第二の放熱部材243の方が大きい。従って、第二の放熱部材243の放熱容量は、第一の放熱部材242の放熱容量よりも大きくする必要がある。そのため、図2、3では第二の放熱部材243の大きさを第一の放熱部材242よりも大きくすると共に、放熱フィン243bをつけることで放熱効率を大きくしたものを例示しているが、これに限るものではない。
【0042】
又、本発明の第2の実施の形態に係る撮像ユニットの構成の例を、図4を用いて説明する。図中、図2、3と同じ部分には同じ番号を付与し、図3と異なる部分のみを説明し、共通の部分は割愛する。
【0043】
撮像素子211には第一の放熱部材242が当接されて熱的に密着され、第一の放熱部材242を間に挟んで、リードフレーム211cの他端で回路基板261に半田付け等で電気的に接続されている。第一の放熱部材242は、その底面が冷却素子241の吸熱面241aと当接されて熱的に密着されており、冷却素子241の放熱面241bは、第二の放熱部材243と当接されて熱的に密着されている。更に、第一の放熱部材242と第二の放熱部材243は、回路基板261をその間にはさむことによって熱的に分離されている。尚、本例では、第二の放熱部材243の冷却素子241の放熱面241bに当接する部分243aを平面となしているが、第二の放熱部材243と冷却素子241の放熱面241bの密着性が保てるのであれば、図3に示したように凸面であってもよいし、逆に、図5に示したように凹面であってもよい。
【0044】
上述の構成によって、撮像素子211の熱は、冷却素子が駆動されていない場合は第一の放熱部材242によって放熱され、冷却素子が駆動されている場合は第一の放熱部材242を介して冷却素子によって吸熱されて冷却される。尚、本例では、第二の放熱部材243には放熱フィン243bは設けていない。
【0045】
更に、本発明の第3の実施の形態に係る撮像ユニットの構成の例を、図5を用いて説明する。図中、図2、3、4と同じ部分には同じ番号を付与し、図3と異なる部分のみを説明し、共通の部分は割愛する。
【0046】
撮像素子チップ211aは、プラスチック等からなるパッケージ211b上にダイボンドされ、リードフレーム211cの一端にワイヤボンド(図示せず)されて電気的に接続され、カバーガラス211dで封止されている。パッケージ211bの底面部には金蔵等で構成される冷却板211eが設けられている。以上を総称して撮像素子211と呼ぶ。撮像素子211の底面部には第一の放熱部材242が当接されて冷却板211eと熱的に密着され、第一の放熱部材242を間に挟んで、第一の放熱部材242に設けられた開口部242aにリードフレーム211cの他端を差し込む形で回路基板261に半田付け等で電気的に接続されている。回路基板261上には他の回路部品(図示せず)も搭載されており、撮像素子211と電気的に接続されている。
【0047】
又、撮像素子211は、その底面部に冷却素子241の吸熱面241aが当接されて冷却板211eと熱的に密着されており、冷却素子241の放熱面241bは、第二の放熱部材243と当接されて熱的に密着されている。更に、第一の放熱部材242と第二の放熱部材243は、回路基板261をその間にはさむことによって熱的に分離されている。尚、本例では、第二の放熱部材243の冷却素子241の放熱面241bに当接する部分243aを、冷却素子241と回路基板261の厚みの差分凹に掘り下げることで、第二の放熱部材243と冷却素子241の放熱面241bの密着性が向上するようになしてあるが、第二の放熱部材243と冷却素子241の放熱面241bの密着性が保てるのであれば、図3に示したように凸面であってもよいし、図4に示したように平面であってもよい。
【0048】
上述の構成によって、撮像素子211の熱は、冷却素子が駆動されていない場合は冷却板211eを介して第一の放熱部材242によって放熱され、冷却素子が駆動されている場合は冷却板211eを介して冷却素子によって吸熱されて冷却される。尚、本例では、第二の放熱部材243には放熱フィン243bは設けていない。
【0049】
次に、本発明に係る撮像装置として機能するデジタルカメラ1の回路を、図6を用いて説明する。図6はデジタルカメラ1の回路ブロック図である。図中、図1、2、3、4、5と同じ部分には同じ番号を付与した。
【0050】
制御部であるカメラコントローラ101は、図示しないCPU(中央処理装置)、ワークメモリ等から構成され、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをワークメモリに読み出し、当該プログラムに従ってデジタルカメラ1の各部を集中制御する。
【0051】
又、カメラコントローラ101は、メインスイッチ111,AFスイッチS1、レリーズスイッチS2、モード設定ダイアル112、モニタスイッチ113からの入力を受けてカメラ各部の動作を制御すると共に、画像処理と画像の制御を行うデジタル処理部201と連携してレンズ制御部171を介したAF制御、絞り制御、フラッシュ131の発光制御を行う。更に、カメラコントローラ101は、ファインダ接眼部内又は近傍に備えられた接眼表示部142に各種情報を表示する。
【0052】
又、カメラコントローラ101は、後述するフローチャートに従って、撮像素子211を冷却するための冷却素子241への通電を制御する。
【0053】
撮影レンズ251で集光された被写体からの光は撮像素子211上に結像される。撮像素子211に接して撮像素子211を冷却するための冷却素子241が配置される。撮像素子211で撮像された画像出力は、アナログ処理部212で所定の処理が施された後、A/D変換部213でデジタルデータに変換され、デジタル処理部201で所定の信号処理、画像処理が施されて画像データとして画像メモリ221に一旦蓄えられると共に、モニタ231上にライブビュー画像として表示される。
【0054】
レリーズスイッチS2がオンされると、後述のフローチャートに従って記録のための撮像(以下、撮影という)が行われ、画像データが画像メモリ221に一旦蓄えられた後、モニタ231上に撮影済み画像としてアフタービュー表示され、メモリカード231に保存される。撮像素子211、アナログ処理部212、A/D変換部213の動作は、タイミングジェネレータ214とVドライバ215によって制御される。制御の詳細については説明を省略する。撮像素子211、アナログ処理部212、A/D変換部213、タイミングジェネレータ214、Vドライバ215を総称して撮像部210という。
【0055】
カメラの各部の電源を制御する電源部151では、図示しない昇圧回路等を用いてバッテリ161からV1(=15V)、V2(=5V)、V3(=3.3V)、V4(=−7.5V)等の電源電圧を生成し、カメラ各部に供給する。
【0056】
次に、本発明に係る撮像装置としてのデジタルカメラ1での撮像動作の制御を、図7を用いて説明する。図7は、デジタルカメラ1での撮影の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、ステップS01でメインスイッチ111が操作されてカメラの電源がオンされると、ステップS02で起動時の動作モードが判別される。ここでは、モード設定ダイアル112を用いて画像の撮影を行う「カメラモード」に設定されているとして、カメラモードが起動される。カメラモード以外の動作モード(例えば、再生モード)での制御については説明を省略する。
【0058】
カメラモードが起動された場合は(ステップS02;YES)、ステップS11で撮像部210の電源がオンされる。ステップS12でモニタ231上にライブビュー表示が行われ、ステップS13でAFスイッチS1がオンされたかどうかが判断される。AFスイッチS1がオンされるまでステップS13で待機する。
【0059】
AFスイッチS1がオンされると(ステップS13;YES)、ステップS14でAFとAEが行われ、ステップS15でレリーズスイッチS2がオンされたかどうかが判断される。レリーズスイッチS2がオンされるまでステップS13からS15が繰り返される。
【0060】
レリーズスイッチS2がオンされると(ステップS15;YES)、ステップS16で冷却素子241に通電され、撮像素子211の冷却が開始される。ステップS17で撮影が行われ、ステップS18で撮像素子211からアナログ処理部212に画像出力が転送されてA/D変換部213でデジタルデータに変換される。画像出力の転送が完了したら、ステップS19で冷却素子241への通電が停止され、撮像素子211の冷却が終了する。
【0061】
ステップS20で、撮影された画像データが画像メモリ221に一旦蓄えられ、ステップS21でモニタ231上に撮影された画像の表示(アフタービュー表示)が行われ、ステップS22で撮影された画像データがメモリカード222に記録される。
【0062】
ステップS21でアフタービュー表示が行われてから一定時間経過後、ステップS23でモニタ231上のアフタービュー表示が消灯されて、ステップS24でモニタ231上に再度ライブビュー表示が行われる。ステップS25でオートパワーオフ(APO:既定の時間、何の操作も行われなかった場合に、電源をオフする機能)時間が経過していないかどうかが判断され、経過していない場合は(ステップS25;NO)、ステップS26でメインスイッチ111がオフされていないかどうかが判断される。
【0063】
オフされていない場合は(ステップS26;NO)、ステップS27で動作モードがカメラモードから変更されていないかどうかが判断される。変更されていなければ(ステップS27;YES)、ステップS12に戻って上述のシーケンスを繰り返す。動作モードが変更されている場合は(ステップS27;NO)、変更されたモードでの制御に移行する。カメラモード以外の動作モード(例えば、再生モード)での制御については説明を省略する。
【0064】
ステップS25でAPO時間が経過していた場合(ステップS25;YES)及びステップS26でメインスイッチ111がオフされていた場合(ステップS26;YES)、ステップS31でモニタ231上のライブビューが消灯され、ステップS32で撮像部210の電源がオフされる。以上で撮影終了となる。
【0065】
次に、図7に示した処理の流れにおける撮像素子211及び冷却素子241周辺の回路の動作と、撮像素子チップ211aの温度について、図8を用いて説明する。図8(a)は、図7の各ステップの動作タイミングを示したタイミングチャートであり、図8(b)は、本発明に係る撮像素子チップ211aの図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図であり、図8(c)は、本発明に係る第一の放熱部材242の図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図であり、図8(d)は、本発明に係る第二の放熱部材243の図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図である。
【0066】
まず、図8(a)で、ステップS01でメインスイッチ111がONされて、カメラモードで起動されると、ライブビューのための撮像が開始され、モニタ222上にライブビューが表示される。次に、ステップS13でAFスイッチS1のオンが確認されると(ステップS13;YES)、AF、AEが行われる。続いて、ステップS15でレリーズスイッチS2のオンが確認されると(ステップS15;YES)、ステップS16で冷却素子241に通電が開始される。
【0067】
カメラモードでの起動から冷却素子241への通電開始までは冷却素子241は作動していないので、図8(b)、(c)に示したように、撮像素子チップ211a及び第一の放熱部材242の温度は初めのうちは少しずつ上昇を続け、やがて温度平衡に達する。第二の放熱部材243の温度も、冷却素子241を介して撮像素子チップ211aの熱が伝わるため、図8(d)に示したように撮像素子チップ211a、第一の放熱部材242と同様の温度上昇カーブを描く。撮像素子チップ211aの平衡温度が、上述した「撮像素子チップ211aの画像出力がライブビューやAF/AEに支障ないノイズレベルになるような温度T1」以下となるように、第一の放熱部材242の放熱容量が設定されている。
【0068】
ステップS16で冷却素子241に通電が開始されると、撮像素子チップ211aの温度が下がりはじめる。ステップS17で撮影が行われる時点では、撮像素子チップ211aの温度が上述した「撮像素子チップ211aの画像出力が、画像として鑑賞に堪えるに十分なノイズレベルになるような温度T2」以下になるように、冷却素子241は、撮像素子211及び撮像素子211を介して伝わってくる第一の放熱部材242の両方の熱量を吸熱できる冷却能力を有するように、第二の放熱部材243は、冷却素子241が吸熱した撮像素子211と第一の放熱部材242の両方の熱量と、冷却時に冷却素子241自身の出す熱量の両方を放熱できる放熱容量を有するように設定される。
【0069】
次に、ステップS17で撮影が行われ、ステップS18で画像出力がアナログ処理部212へ転送されて処理され、A/D変換部213でA/D変換される。この間、冷却素子241への通電が行われているため、図8(b)に示すように、撮像素子チップ211aの温度はT2よりも下がり、やがて温度平衡に達する。図8(c)に示すように、第一の放熱部材242も同様の温度カーブを示す。第二の放熱部材243は、図8(d)に示すように放熱のために温度が上昇し、やがて温度平衡に達する。
【0070】
本例では、特に冷却素子241への通電の制御は行っていないが、例えば、撮像素子チップ211aの温度がT2以下になった後は冷却素子241への通電を断続的に行うことで、消費電力の更なる削減を行ってもよい。
【0071】
ステップS19で冷却素子241への通電が終了されると、撮像素子チップ211aの温度は再び上昇を始め、ステップS21でのアフタービュー表示を経て、ステップS24での次の撮影のためのライブビュー表示に進んで上記のステップを繰り返すことになり、温度的にも上記の温度遷移を繰り返すことになる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、冷却素子241への通電開始(ステップS16)をステップS15でレリーズスイッチS2がオンされた後に置いたが、その代わりに、ステップS13でAFスイッチS1がオンされた後、あるいは、ステップS14でAFとAEが行われた後に置いてもよい。
【0073】
又、冷却素子241としては、例えばペルチェ素子等があり、冷却板211eとしては、例えばアルミ等の金属がある。
【0074】
その他、本発明に係る撮像装置を構成する各構成の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る撮像装置の外観模式図である。
【図2】図1に示した撮像装置の図1中 A−A’断面の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る撮像ユニットの構成例の模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る撮像ユニットの構成例の模式図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る撮像ユニットの構成例の模式図である。
【図6】本発明に係る撮像装置の回路ブロック図である。
【図7】本発明に係る撮像装置における撮影の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は、本発明に係る撮像装置各部の動作タイミングを示したタイミングチャートであり、図8(b)は、本発明に係る撮像素子チップの図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図であり、図8(c)は、本発明に係る第一の放熱部材の図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図であり、図8(d)は、本発明に係る第二の放熱部材の図8(a)に示した動作における温度の推移を示した模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 デジタルカメラ
10 カメラ筐体
101 カメラコントローラ
111 メインスイッチ
112 モード設定ダイアル
113 モニタスイッチ
121 レリーズボタン
S1 AFスイッチ
S2 レリーズスイッチ
131 フラッシュ
141 ファインダ
141a ファインダ対物部
141b ファインダ接眼部
142 接眼表示部
151 電源部
161 バッテリ
171 レンズ制御部
201 デジタル処理部
210 撮像部
211 撮像素子
211a 撮像素子チップ
211b パッケージ
211c リードフレーム
211d カバーガラス
211e 冷却板
212 アナログ処理部
213 A/D変換部
214 タイミングジェネレータ
215 Vドライバ
221 画像メモリ
222 メモリカード
231 モニタ
241 冷却素子
241a 吸熱面
241b 放熱面
242 第一の放熱部材
243 第二の放熱部材
243a 第二の放熱部材の冷却素子への当接部
243b 放熱フィン
251 撮影レンズ
252 絞り
261 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材とを熱的に分離する断熱部材を有することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記第一の放熱部材に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材とを熱的に分離する断熱部材を有することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項3】
前記断熱部材は、回路基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記回路基板は、撮像素子を搭載する回路基板であることを特徴とする、請求項3に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材との間に設置された回路基板とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項6】
被写体を撮像する撮像素子、
前記撮像素子に当接し、前記撮像素子からの熱を放熱する第一の放熱部材、
前記第一の放熱部材に当接し、前記撮像素子を冷却する冷却素子、
前記冷却素子に当接し、前記冷却素子からの熱を放熱する第二の放熱部材、
及び前記第一の放熱部材と前記第二の放熱部材との間に設置された回路基板とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項7】
前記第二の放熱部材は、前記第一の放熱部材より放熱容量が大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記撮像素子と前期第一の放熱部材とが当接する当接部、前記撮像素子と前記冷却素子とが当接する当接部及び前記冷却素子と前記第二の放熱部材とが当接する当接部から選ばれる少なくとも1つの当接部に熱伝導材料を充填したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像ユニットを搭載したことを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子で撮像された画像を記録する記録手段と、
前記冷却素子を、前記撮像素子が前記記録手段で画像を記録するための撮像時にのみ駆動させる制御手段とを有することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−157254(P2006−157254A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342310(P2004−342310)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】