説明

撮像用検出器及び画像検出の方法

【課題】撮像用検出器の隣り合った光センサの間の光学的及び/又は電気的なクロストークの量を減少させる。また、イメージング・システムの雑音量を減少させて、画質を高める。
【解決手段】撮像用検出器(20)が、光を放出するように構成されているシンチレータ・ピクセル(106)を有するシンチレータ(100)を含んでいる。検出器(20)はまた、シンチレータ・ピクセルによって放出される光を吸収するように構成されている光センサ・ピクセル(114)を画定している光センサ(110)を含んでいる。レンズ(118)がシンチレータ・ピクセルと光センサ・ピクセルとの間に配置されて、シンチレータから放出される光を光センサ・ピクセルへ向ける。レンズ(118)は、シンチレータ・ピクセルから放出される光を光センサ・ピクセル(114)へ向けて収束させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、イメージング・システムに関し、さらに具体的には、撮像用検出器及び画像検出の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング・システムは、物体の画像を撮影するために広く用いられている。例えば、人体又は動物の診断画像を得て、医師又は他の医療担当者が正確な診断を下すのを支援することができる。もう一つの例としては、警備応用及び/又は産業検査応用のために鞄及び/又は出荷コンテナ等を撮像するものがある。イメージング・システムはしばしば、エネルギ発生源と、1又は複数の検出器とを含んでいる。発生源によって発生されるエネルギ、例えばX線は、被撮像体を通過して検出器(1又は複数)によって検出される。付設されている制御システムが検出器(1又は複数)から画像データを得て、対応する画像を表示用に準備する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくとも幾つかの公知のイメージング・システムの検出器は、シンチレータと、光センサ・アレイと、シンチレータを光センサ・アレイに光学的に結合する光結合材とを含んでいる。シンチレータは、発生源によって放出されて物体を通過したエネルギを受け取り、応答して光を放出する。シンチレータによって放出される光は光結合材によって光センサ・アレイへ向けられる。光センサ・アレイは、結果として得られる画像の個々のピクセルに対応する個々の光センサ、例えばフォトダイオードを含んでいる。光センサは、シンチレータによって放出される光を吸収し、吸収した光に対応する電気信号を発生し、これらの電気信号を用いて、得られる画像のピクセルを作成する。しかしながら、少なくとも幾つかの公知の光センサ・アレイの光センサは、共に緊密に配置されているため、アレイの内部の隣り合った光センサの間に光学的及び/又は電気的なクロストークが生じ得る。隣り合った光センサの間での光学的及び/又は電気的クロストークはシステム雑音を招き、これにより画像の品質が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、撮像用検出器が、光を放出するように構成されているシンチレータ・ピクセルを有するシンチレータを含んでいる。この検出器はまた、シンチレータ・ピクセルによって放出される光を吸収するように構成されている光センサ・ピクセルを画定している光センサを含んでいる。レンズがシンチレータ・ピクセルと光センサ・ピクセルとの間に配置されて、シンチレータから放出される光を光センサ・ピクセルへ向ける。レンズは、シンチレータ・ピクセルから放出される光を光センサ・ピクセルへ向けて収束させるように構成されている。
【0005】
もう一つの実施形態では、物体を撮像するイメージング・システムが提供される。このイメージング・システムは、エネルギを物体へ向けて放出するように構成されている発生源と、物体を通過した発生源から放出されるエネルギを受け取るように構成されている検出器とを含んでいる。検出器はシンチレータと光センサとを含んでおり、シンチレータは光を放出するように構成されているシンチレータ・ピクセルを有し、光センサは、シンチレータ・ピクセルによって放出される光を吸収するように構成されている光センサ・ピクセルを画定している。レンズがシンチレータ・ピクセルと光センサ・ピクセルとの間に配置されて、シンチレータから放出される光を光センサ・ピクセルへ向ける。レンズは、シンチレータ・ピクセルから放出される光を光センサ・ピクセルへ向けて収束させるように構成されている。
【0006】
もう一つの実施形態では、画像検出の方法が提供される。この方法は、シンチレータ・ピクセルから光を放出するステップと、シンチレータ・ピクセルから放出される光を光センサ・ピクセルへ向けて収束させるステップと、収束した光を光センサ・ピクセルにおいて吸収するステップとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】イメージング・システムの実施形態の一例の単純化された概略ブロック図である。
【図2】図1に示すイメージング・システムの撮像用検出器の実施形態の一例の立面概略図である。
【図3】図2に示す検出器の一部の断面概略図である。
【図4】図2及び図3に示す検出器の平面概略図である。
【図5】画像検出の方法の実施形態の一例を示す流れ図である。
【図6】様々な実施形態に従って構築される計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムの見取り図である。
【図7】図1のCTイメージング・システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以上の概要及び以下の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ又はメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ、又はランダム・アクセス・メモリ若しくはハードディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0009】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する1又は複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0010】
また、本書で用いられる画像又はデータセットを「再構成する」又は「表示する」「レンダリングする」等との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成し又は形成するように構成されている。実施形態の一例では、撮像される「物体」は人体である。しかしながら、物体は代替的には、人体以外の生体であってもよい。また、物体は生体に限らず、限定しないが鞄及び/又は出荷コンテナ等のような無生物体であってもよい。
【0011】
様々な実施形態が、撮像用検出器、イメージング・システム、及び画像検出の方法を提供する。例えば、撮像用検出器、イメージング・システム、及び画像検出の方法の様々な実施形態は、シンチレータ・ピクセルから放出される光を光センサ・ピクセルへ向けて収束させる。様々な実施形態の少なくとも一つの技術的効果は、隣り合った光センサの間の光学的及び/又は電気的なクロストークの量を減少させた検出器である。様々な実施形態の少なくとももう一つの技術的効果は、システム雑音量を減少させることである。様々な実施形態の少なくとももう一つの技術的効果は、画質を高めることである。
【0012】
様々な実施形態はイメージング・システムの内部に実装されることができ、これらのイメージング・システムとしては、計算機式断層写真法(CT)システム、磁気共鳴(MR)システム、超音波システム、陽電子放出断層写真法(PET)システム、核医学システム、及び他の諸形式のイメージング・システムがある。画像システムの応用としては、医療応用、警備応用及び/又は産業検査応用等がある。本書では、実施形態の一例が、X線を検出する検出器320を有するCTイメージング・システム310に関して記載され図示される。しかしながら、本書に記載され且つ/又は図示される様々な実施形態を他の任意の撮像モダリティと共に用いてよく、また他の任意の形式の電磁エネルギを検出するために用いてよい。また、本書に記載され且つ/又は図示される様々な実施形態は、シングル・スライス構成及び/又はマルチ・スライス構成のシステムの何れでも応用可能である。
【0013】
図1を参照して述べると、イメージング・システム10が、電磁エネルギの発生源14と、1又は複数の検出器20と、制御器/プロセッサ26とを含んでいる。制御器/プロセッサ26は、電力信号及び/又はタイミング信号を発生源14に供給することができる。検出器20は、発生源14によって放出されて被撮像体22を通過したエネルギを感知する。この感知に応答して、検出器20は感知されたエネルギを表わす電気信号を発生する。検出器20は、シンチレータ100と、光センサ・アレイ102と、シンチレータ100によって放出される光を光センサ・アレイ102へ向ける収束用構成要素(例えばレンズ・アレイ)104とを含んでいる。制御器/プロセッサ26は、検出器20からアナログ・データを標本採取し、後の処理のためにこれらのデータをディジタル信号へ変換して、画像再構成を実行する。再構成される画像は、制御器/プロセッサ26及び/又は他の装置によって記憶され且つ/又は表示され得る。
【0014】
図2は、検出器20の実施形態の一例の立面概略図である。図3は、検出器20の一部の断面概略図である。検出器20は、シンチレータ100、光センサ・アレイ102、及びレンズ・アレイ104を含んでいる。シンチレータは図3には示されていない。シンチレータ100は、被撮像体(例えば図1に示す物体22又は図6及び図7に示す患者322)を通過した電磁エネルギ(例えばX線)の吸収に応答して光フォトンすなわち光を放出するように構成されているシンチレート性媒体から作製される。X線と共に用いられる適当なシンチレート性媒体の一例は、タリウムを添加したヨウ化セシウム(CsI:TI)である。しかしながら、他の適当な材料を用いてよい。シンチレータ100は、複数の個々のシンチレータ・ピクセル106を含んでいる。発生源(例えば図1に示す発生源14又は図6及び図7に示すX線源314)から受け取った被撮像体を通過したエネルギに応答して、各々のシンチレータ・ピクセル106が、得られる画像のピクセルに対応する光を放出するように構成されている。各々のシンチレータ・ピクセル106は、光を放出する作用面積108を含んでいる。作用面積108は図2及び図3では単一の次元においてのみ見えている。しかしながら、作用面積108が各々二次元区域であることは認められるものとし、このことは図4にさらに分かり易く示されている。各々の作用面積108をここでは「シンチレータ作用面積」とも呼ぶ。
【0015】
光センサ・アレイ102は、複数の個々の光センサ110を含んでおり、これらの光センサ110は複数の横列及び/又は縦列として基材112に配列され得る。基材112は単一層のみを含んでいてもよいし、多層構造であってもよい。各々の光センサ110は、対応するシンチレータ・ピクセル106によって放出される光を吸収して、応答して電荷を発生するように構成されている感光素子である。感光素子の一例としてアモルファス・シリコンがある。しかしながら、他の適当な材料を用いてよい。DAS32(図2)が光センサ110の各々に接続されて動作し、これにより発生される電気信号を受信する。光センサ110は、限定しないがフォトダイオードのような任意の形式の光センサであってよい。
【0016】
各々の光センサ110が、シンチレータ・ピクセル106の対応するピクセルによって放出される光を吸収する光センサ・ピクセル114を画定している。各々の光センサ・ピクセル114によって発生される電気信号が、得られる画像の一ピクセルに対応する。各々の光センサ・ピクセル114は、光を吸収する作用面積116を含んでいる。作用面積116は、図2及び図3では単一の次元においてのみ見えている。しかしながら、作用面積116が各々二次元区域であることは認められるものとし、このことは図4にさらに分かり易く示されている。各々の作用面積116をここでは「光センサ作用面積」とも呼ぶ。
【0017】
図4は検出器20の平面概略図であって、シンチレータ・ピクセル106の作用面積108と光センサ・ピクセル114の作用面積116との間の相対的な寸法を示す。図4で分かるように、各々のシンチレータ・ピクセル106の作用面積108は、対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116よりも大きい。シンチレータ・ピクセル106の作用面積108は対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116よりも、予め決められた量又は予め画定されている量だけ大きくてよい。例えば、幾つかの実施形態では、シンチレータ・ピクセル106の作用面積108は、対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116の少なくとも3倍である。正方形状を有するように図示されているが、各々のシンチレータ・ピクセル106の作用面積108は、限定しないが円形、楕円形、及び/又は非正方形の矩形等のような他の任意の形状を有していてよい。また、各々の光センサ・ピクセル114の作用円形面積116は、正方形以外の任意の形状(限定しないが円形、楕円形、及び/又は非正方形の矩形等)を有していてよく、かかる形状が対応するシンチレータ・ピクセル106の作用面積108と同じであるか否かを問わない。
【0018】
図2及び図3に戻り、レンズ・アレイ104はシンチレータ100と光センサ・アレイ102との間に配置されて、シンチレータ100によって放出される光を光センサ・アレイ102へ向ける。レンズ・アレイ104は複数のレンズ118を含んでおり、これらのレンズを各々「マイクロレンズ」とも呼ぶ。レンズ118は、適当な支持構造120、例えば基材によってアレイ102の内部に共に保定されることができ、支持構造120は単一の層であっても多数の層で構成されていてもよい。各々のレンズ118が対応するシンチレータ・ピクセル108と対応する光センサ・ピクセル114との間に配置されており、シンチレータ・ピクセル106の作用面積108から放出される光を中心透過軸122に沿って光センサ・ピクセル114の作用面積116へ向ける。
【0019】
レンズ118は、対応するシンチレータ・ピクセル106から放出される光を対応する光センサ・ピクセル114へ向けて収束させるように構成されている。「収束する」とは、レンズ118が光線124を対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116へ向けるのに伴って、シンチレータ・ピクセル106の作用面積108から放出される各フォトンすなわち各光線124がレンズ118によって互いに向かって向けられ(例えば中心透過軸122へ向けて半径方向内向きに)、且つ共通の焦点128へ向けられることを意味する。換言すると、レンズ118は、対応するシンチレータ・ピクセル106によって放出される光ビーム126(図示のように光線124を含んでいる)の断面の大きさ(例えば幅及び/又は径等)を減少させて、対応する光センサ・ピクセル114まで送る。レンズ118はこれにより、光ビーム126をシンチレータ・ピクセル106から放出されるときの寸法から光センサ・ピクセル114の相対的に小さい寸法へ向けて集束させる。尚、光線124は先ず光センサ・ピクセル114の作用面積116によって吸収されるため、完全に収束する(焦点128において出合う)訳ではないことを特記しておく。
【0020】
各々のレンズ118は、光線124を任意の量だけ収束させることができる。換言すると、各々のレンズ118は、対応するシンチレータ・ピクセル106によって放出される光ビーム126の断面の大きさを任意の量だけ縮小することができる。収束及び/又は断面縮小の量は、対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116の寸法に対応し得る。幾つかの実施形態では、レンズ118は、対応する光センサ・ピクセル114の作用面積116によって受光されたときのビーム126の断面の大きさが、対応するシンチレータ・ピクセル106の作用面積108によって放出されたときのビーム126の寸法の3分の1以下になるように、対応するシンチレータ・ピクセル106によって放出される光ビーム126の断面の大きさを縮小する。
【0021】
シンチレータ・ピクセル106から放出される光を収束させると、光センサ・ピクセル114を任意の量だけシンチレータ・ピクセル106よりも小さくすることが可能になる。例えば、上述のように、幾つかの実施形態では、光センサ・ピクセル114の作用面積116は対応するシンチレータ・ピクセル106の作用面積108の3分の1以下である。シンチレータ・ピクセル106に対して光センサ・ピクセル114の寸法を縮小すると、例えば式C=ε(A/d)に従って光センサ・ピクセル114のキャパシタンスを低下させることができ、式中、Aは光センサ・ピクセル114の面積であり、dは誘電層(空間電荷領域)厚みであり、εは誘電率である。
【0022】
シンチレータ・ピクセル寸法に対して光センサ・ピクセル寸法を縮小すると、光センサ・ピクセルのキャパシタンスを減少させることができる。結果的に、式:電子雑音N∝√(2kTC)によってイメージング・システム雑音を減少させて画質を高めることができ、式中、kはボルツマン定数であり、Tは温度であり、Cはキャパシタンスである。システム雑音の減少によってさらに良好な画質が得られる。
【0023】
また、シンチレータ・ピクセル寸法に対して光センサ・ピクセル寸法を縮小すると、利用可能なシリコン基板面積が増大し、光センサ・ピクセル114同士の間に付加的な信号処理回路を作製し得るようになる。先進型の付加的な電子回路は、個々の光センサ・ピクセルへのアクセスを提供し(xy読み出し能力として公知)、且つ/又は他の雑音濾波系機能を提供し得る。光センサ・アレイ102の内部にかかる付加的な信号処理能力を設けることの利点は多く、当業者には明らかであろう。
【0024】
各々のレンズ118は、本書に記載され且つ/又は図示されるように、対応するシンチレータ・ピクセル106によって放出される光を収束させるように構成されている任意の形式のレンズであってよい。幾つかの実施形態では、レンズ118は半径方向勾配レンズ(radially graded lens)、屈折率レンズ(refractive index lens)、又は半径方向勾配屈折率レンズである。選択随意で、レンズ・アレイ104の両対向面は互いに対して平行で近似的に平坦であってよく、例えばレンズ118の表面からの光学的損失を最小化することができる。
【0025】
選択随意で、レンズ・アレイ102と光センサ・アレイ104との間に光結合材130(図2には図示されていない)が配置され、レンズ・アレイ102とシンチレータ100との間に光結合材(図示されていない)が配置され、且つ/又はレンズ・アレイ102の内部でレンズ118の1又は複数の周囲に光結合材(図示されていない)が配置される。光結合材130は、レンズ118を透過する光を光センサ110に光学的に結合する。明確に述べると、光結合材130は、光学的フォトンの散乱を殆ど又は全く存在させずに高度の透過を提供することができる。光結合材130は、当該光結合材130がレンズ118を透過した光を、限定しないが実質的に無亀裂の透明誘電体等のような光センサ110に光学的に結合することを可能にするような任意の材料から作製され得る。
【0026】
図5は、例えば図1に関して図示され記載されたイメージング・システム10、例えば図6及び図7に関して図示され記載されたCTイメージング・システム310を用い、且つ/又は例えば図2〜図4に関して図示され記載された検出器20を用いた画像検出の方法200の実施形態の一例を示す流れ図である。ブロック202において、方法200は、発生源(例えば図1に示す発生源14又は図6及び図7に示すX線源314)からエネルギを放出するステップを含んでいる。方法200はブロック204において、発生源から放出されるエネルギを検出器において受け取るステップを含んでいる。
【0027】
ブロック206において、方法200は、検出器のシンチレータ・ピクセルから光を放出するステップを含んでいる。ブロック206においてシンチレータ・ピクセルによって放出される光は、ブロック208において検出器の光センサ・ピクセルへ向けて収束させられる。ブロック208の光を収束させるステップは、ブロック208aにおいてシンチレータ・ピクセルと光センサ・ピクセルとの間に収束用構成要素(例えばレンズ)を配置することを含み得る。幾つかの実施形態では、ブロック208の光を収束させるステップは、シンチレータ・ピクセルによって放出される光のビームの断面積を縮小することを含んでいる。方法200はブロック210において、収束した光を光センサ・ピクセルにおいて吸収するステップを含んでいる。光センサ・ピクセルは、吸収した光に対応する電気信号を発生する。選択随意で、方法200は、光センサ・ピクセルにおいて、シンチレータ・ピクセルの作用面積よりも小さい作用面積を提供することを含んでいる。
【0028】
ブロック212では、この方法は、光センサ・ピクセルによって吸収された収束した光から光センサ・ピクセルによって発生される電気信号に基づいて画像ピクセルを生成するステップを含み得る。画像ピクセルは、完全な1枚の画像の内部で他の画像ピクセルと共に表示され得る。方法200に加えて又は代替的に、本書に記載され且つ/又は図示される様々な実施形態に従って検出器を製造する方法を提供することもできる。
【0029】
図6及び図7には、マルチ・スライス走査イメージング・システム、例えばCTイメージング・システム310が、複数の検出器20を含むものとして示されている。CTイメージング・システム310はガントリ312を含んでおり、ガントリ312は、ガントリ312の反対側の検出器アレイ318へ向けてX線のビーム316を投射するX線管314(本書ではX線源314とも呼ぶ)を含んでいる。検出器アレイ318は、複数の検出器横列(図示されていない)によって形成され、これらの検出器横列は、アレイ318とX線源314との間に位置する患者322のような物体を通過した投射X線を一括で感知する複数の検出器20を含んでいる。各々の検出器20が、入射X線ビームの強度を表わす電気信号であって、従って患者322を透過するのに伴うビームの減弱を推定するのに用いられ得る電気信号を発生する。X線投影データを取得する走査時に、ガントリ312及びガントリ312に装着された各構成要素は回転中心324の周りを回転する。図7は、単一の横列を成す検出器20(すなわち1列の検出器横列)のみを示す。しかしながら、マルチ・スライス検出器アレイ318は、複数の準平行又は平行スライスに対応する投影データが走査時に同時に取得され得るように複数の平行検出器横列を成す検出器20を含んでいる。
【0030】
ガントリ312に設けられた各構成要素の回転及びX線源314の動作は、CTイメージング・システム310の制御機構326によって制御される。制御機構326は、X線源314に電力信号及びタイミング信号を供給するX線制御器328と、ガントリ312に設けられた構成要素の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器330とを含んでいる。制御機構326のデータ取得システム(DAS)332が検出器20からアナログ・データを標本採取して、これらのデータを後の処理のためにディジタル信号へ変換する。画像再構成器334が標本採取されてディジタル化されたX線データをDAS332から受け取って、高速画像再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ336への入力として印加されて、コンピュータ336は画像を記憶装置338に記憶させる。画像再構成器334は、特化型ハードウェアであっても、コンピュータ336において実行されるコンピュータ・プログラムであってもよい。制御機構326、コンピュータ336、及び/又は画像再構成器334は、例えば図1に示す制御器/プロセッサ26の構成要素として実装され得る。
【0031】
コンピュータ336はまた、キーボード、並びに/又はマウス、トラックボール若しくはライト・ペンのような他の利用者入力及び/若しくは指示装置を有するコンソール340を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取る。付設されている表示器342、例えば陰極線管(CRT)表示器、液晶表示器(LCD)、又はプラズマ表示器等が、再構成画像及びコンピュータ336からの他のデータを操作者が観察することを可能にする。表示器342は、感圧式入力スクリーンのような利用者指示装置を含んでいてよい。操作者が供給した命令及びパラメータはコンピュータ336によって用いられて、DAS332、X線制御器328、及びガントリ・モータ制御器330へ制御信号及び情報を提供する。加えて、コンピュータ336は、電動テーブル346を制御するテーブル・モータ制御器344を、ガントリ312に患者322を配置するように動作させる。例えば、テーブル346は、患者322の各部分をガントリ開口348を通して移動させる。
【0032】
一実施形態では、コンピュータ336は、フロッピィ・ディスク、CD−ROM、DVD、又は通信網若しくはインターネットのような他の情報源等のようなコンピュータ可読媒体352からの命令及び/又はデータを読み取る装置350、例えばフロッピィ・ディスク・ドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、光磁気ディスク(MOD)装置又はイーサネット(商標)装置等の通信網接続装置を含めた他の任意の装置、並びに開発途上のディジタル手段を含んでいる。他の実施形態では、コンピュータ336はファームウェア(図示されていない)に記憶されている命令を実行する。
【0033】
本書で用いられるコンピュータとの用語は当技術分野でコンピュータと呼ばれている集積回路に限らず、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、及び他のプログラム可能な回路を広範に指しており、これらの用語は本書では互換的に用いられている。さらに、CTイメージング・システムは、第一世代及び第二世代のCTイメージング・システムに加えて、例えば第三世代CTイメージング・システム、第四世代CTシステム(静止型検出器−回転式X線源)、及び第五世代CTシステム(静止型検出器及び静止型X線源)のような様々な形式のCTイメージング・システムであってよい。加えて、上述のように、様々な実施形態の利点は、CT以外の撮像モダリティ及びX線以外のエネルギにおいても得られると思量される。さらに、上述のように、本書に記載する方法及び装置は医療環境において記載されているが、様々な実施形態の利点は、限定しないが動物撮像、警備応用、及び/又は産業検査応用に典型的に用いられているシステムのような人体以外向けのイメージング・システムにおいても得られると思量される。
【0034】
このように、様々な実施形態が撮像用検出器、イメージング・システム、及び画像検出の方法を提供する。これら様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知のイメージング・システムに比較して高められた画質を提供することができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知のイメージング・システムに比較して減少したシステム雑音量を提供することができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知の検出器に比較して改善された低信号検出能力及び/又は改善された低コントラスト撮像能力を有する検出器を提供することができる。様々な実施形態は、患者に要求される線量を減少させることができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知の検出器よりも、所与の寸法の光センサ・アレイについて隣り合った光センサの間での光学的及び/又は電気的なクロストーク量を減少させた検出器を提供することができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知の検出器に比較してキャパシタンス量を減少させ且つ/又は漏れ(飽和)電流を減少させた検出器を提供することができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知の検出器に比較して欠陥量(例えばピクセル間ばらつきに起因する利得ばらつき)を減少させた又は解消した検出器を提供することができる。様々な実施形態は、少なくとも幾つかの公知の光センサ・アレイに比較して他の構成要素(例えば処理用構成要素等)のための空間量が増大した光センサ・アレイを提供することができる。
【0035】
尚、様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせとして実装され得ることを特記しておく。これら様々な実施形態、並びに/又は構成要素、例えばモジュール、若しくは内部の構成要素及び制御器はまた、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部として具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0036】
本書で用いられる「コンピュータ」又は「モジュール」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)、ASIC、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式のシステム又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を限定しないものとする。
【0037】
コンピュータ又はプロセッサは、入力データを処理するために、1又は複数の記憶要素に記憶されている一組の命令を実行する。また、記憶要素は、所望又は必要に応じてデータまたは他の情報を保持することができる。記憶要素は、情報源、又は処理機械の内部の物理メモリ素子の形態にあってよい。
【0038】
上述の一組の命令は、本発明の様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ又はプロセッサに命令する様々な命令を含み得る。一組の命令は、ソフトウェア・プログラムの形態にあってよい。ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよく、有形で非一時的なコンピュータ可読媒体として具現化され得る。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラム若しくはモジュールの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0039】
本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0040】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、本発明の様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料をこれらの実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。また、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0041】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明の様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が発明の様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0042】
10:イメージング・システム
14:発生源
20:検出器
22:物体
26:制御器/プロセッサ
32:DAS
36:コンピュータ
100:シンチレータ
102:光センサ・アレイ
104:レンズ・アレイ
106:シンチレータ・ピクセル
108:シンチレータ・ピクセルの作用面積
110:光センサ
112:基材
114:光センサ・ピクセル
116:光センサ・ピクセルの作用面積
118:レンズ
120:支持構造
122:中心透過軸
124:光線
126:光ビーム
128:焦点
130:光結合材
200:方法
310:CTイメージング・システム
312:ガントリ
314:X線源
316:X線
318:検出器アレイ
320:検出器
322:患者
324:回転中心
326:制御機構
328:X線制御器
330:ガントリ・モータ制御器
332:DAS
334:画像再構成器
336:コンピュータ
338:記憶装置
340:コンソール
342:表示器
344:モータ制御器
346:テーブル
348:ガントリ開口
350:装置
352:媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出するように構成されているシンチレータ・ピクセル(106)を含むシンチレータ(100)と、
前記シンチレータ・ピクセルにより放出される光を吸収するように構成されている光センサ・ピクセル(114)を画定している光センサ(110)と、
前記シンチレータ・ピクセルと前記光センサ・ピクセルとの間に配置されて、前記シンチレータから放出される光を前記光センサ・ピクセルへ向けるレンズ(118)であって、前記シンチレータ・ピクセルから放出される光を前記光センサ・ピクセルへ向けて収束させるように構成されているレンズ(118)と
を備えた撮像用検出器(20)。
【請求項2】
前記レンズ(118)は半径方向勾配レンズを含んでいる、請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項3】
前記レンズ(118)は屈折率レンズを含んでいる、請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項4】
前記シンチレータ・ピクセル(106)は、光を放出するシンチレータ作用面積(108)を含んでおり、前記光センサ・ピクセル(114)は、光を吸収する光センサ作用面積(116)を含んでおり、該光センサ作用面積は前記シンチレータ作用面積よりも小さい、請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項5】
前記シンチレータ・ピクセル(106)は、光を放出するシンチレータ作用面積(108)を含んでおり、前記光センサ・ピクセル(114)は、光を吸収する光センサ作用面積(116)を含んでおり、該光センサ作用面積は前記シンチレータ作用面積の3分の1以下である、請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項6】
前記光センサ(110)はフォトダイオードを含んでいる、請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項7】
前記レンズ(118)と前記光センサ(110)との間に配置された光結合材(130)をさらに含んでいる請求項1に記載の撮像用検出器(20)。
【請求項8】
画像検出の方法(200)であって、
シンチレータ・ピクセルから光を放出するステップ(206)と、
前記シンチレータ・ピクセルから放出される前記光を光センサ・ピクセルへ向けて収束させるステップ(208)と、
前記収束した光を前記光センサ・ピクセルにおいて吸収するステップ(210)と
を備えた方法(200)。
【請求項9】
前記シンチレータ・ピクセルから放出される(206)前記光は光のビームであり、前記光を収束させるステップ(208)は、前記光のビームの断面積を減少させることを含んでいる、請求項8に記載の方法(200)。
【請求項10】
前記光を収束させるステップ(208)は、前記シンチレータ・ピクセルと前記光センサ・ピクセルとの間にレンズを配置すること(208a)を含んでおり、該レンズは、半径方向勾配レンズ又は屈折率レンズの少なくとも一方である、請求項8に記載の方法(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242397(P2012−242397A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−113900(P2012−113900)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】