説明

撮像装置、情報処理装置、データ通信方法、およびプログラム

【課題】カメラ内部に大量のファイルが存在する場合であっても、ユーザに比較的軽快な操作環境を提供できる技術の実現。
【解決手段】情報処理装置と通信可能に接続される撮像装置であって、ファイルを記憶する記憶手段と、所定の通信インターフェースを介して前記情報処理装置と通信するための通信手段と、複数のファイルを1つのオブジェクトに割り当ててグループ化する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と情報処理装置との間のデータ通信技術技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラで撮影された画像データや音声データ等は、デジタルカメラに内蔵されたフラッシュメモリ等の記憶媒体や、カメラに対して着脱可能な記憶媒体に記憶される。また、デジタルカメラとパーソナルコンピュータ(以下、PC)等の情報処理装置とを通信ケーブル等で接続し、当該カメラに内蔵された記憶装置や、カメラに着脱可能な記憶媒体に格納された画像データ等をPCに転送する技術が開発、製品化されている。
【0003】
また、OS(オペレーティングシステム)であるWindows(登録商標) XPやMac OS(登録商標)では、OSベンダが標準でPTP(Picture Transfer Protocol)対応のドライバを用意している。このため、特別なドライバソフトウェアを用意しないで利用することができる。このようにPTP等のデジタルカメラに特化した標準的なプロトコルを使用してカメラとPCを接続すると、MSC(Mass Storage Class)のようなプロトコルとは異なり、単に記憶媒体としてではなくOS上でカメラとして取り扱われる。このため、ユーザにとってわかりやすく、操作性も向上できる余地が多いと考えられる。PTPはカメラに特化しているため、画像ファイル等をオブジェクトとして定義し、オブジェクトの管理はカメラ側で行う。
【0004】
PTPでは、カメラとPCとを接続すると、カメラ内部の全オブジェクトの属性情報をカメラ側で生成し、それをPCで取得することをシステム構築の前提としている。そのため、カメラ内部に大量の画像ファイルがあると、カメラからPCへのデータ転送に長時間がかかり、ユーザはこのデータ転送中に他の操作ができないまま待たされることになる。
【0005】
そこで、例えば特許文献1は、PCがオブジェクトを取得する前に予めカメラから返信すべきオブジェクトの属性情報をキャッシュとして持つことで、カメラ内部に大量の画像ファイルが存在する場合でも、ユーザに比較的軽快な操作環境を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−297171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術を用いても、転送すべきファイルの全オブジェクトを用意する必要があるため、ファイルの枚数が増えるのに比例して、転送開始までに用意しなくてはならないオブジェクトの総量も増加することになる。その結果、実際に転送を開始するまでにかかる時間がやはり長くなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、カメラ内部に大量のファイルが存在する場合であっても、ユーザに比較的軽快な操作環境を提供できる技術を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、情報処理装置と通信可能に接続される撮像装置であって、ファイルを記憶する記憶手段と、所定の通信インターフェースを介して前記情報処理装置と通信するための通信手段と、複数のファイルを1つのオブジェクトに割り当ててグループ化する制御手段と、を有する。
【0010】
また、本発明の情報処理装置は、撮像装置と接続される情報処理装置であって、所定の通信インターフェースを介して前記撮像装置と通信するための通信手段と、前記撮像装置から受信したオブジェクトの属性情報を解析する解析手段と、前記解析手段による解析の結果に基づき、グループ化されたオブジェクトを受信し複数のファイルに分解する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラ内部に大量のファイルが存在する場合であっても、ユーザに比較的軽快な操作環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態のデータ通信システムの構成図である。
【図2】図1のPCの機能ブロック図である。
【図3】(a)はデジタルカメラ内部に記憶される画像ファイルの構成を例示する図、(b)はPCアプリケーションによって作成されるオブジェクトツリー構成を例示する図である。
【図4】カメラ内部に記憶された大量の画像ファイルに対して、従来の手法によりオブジェクトハンドルを割り当てた状態を例示する図(a)、本実施形態によりオブジェクトハンドルを割り当てた状態を例示する図(b)である。
【図5】従来のオブジェクト構成において従来の手法によりカメラとPCとを接続した場合のシーケンスを示す図(a)、本実施形態のオブジェクト構成において本実施形態によりカメラとPCとを接続した場合のシーケンスを示す図(b)である。
【図6】本実施形態により作成されたグループオブジェクトを分解するためのカメラとPCとの間のシーケンスを示す図である。
【図7】本実施形態のPCアプリケーションによりグループオブジェクトを分解する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
[システム構成]図1は、本発明に係る実施形態のデータ通信システムの構成図である。本実施形態では、撮像装置としてのカメラ100と情報処理装置としてのコンピュータ(以下、PC)101とが通信インターフェース102を介して通信可能に接続され、PTP規格に準拠した通信を行う。カメラ100は、通信インターフェース102を介してPC101が接続されたことを検知すると、再生モードから通信モードに移行する。PC101には、PTP規格に準拠してカメラ100に対して、画像ファイルをオブジェクトとして定義した属性情報やオブジェクトを構成するデータを転送要求する後述するアプリケーションソフトウエア(以下、アプリケーション)がインストールされている。また、PC101のアプリケーションは、PC101からカメラ100へのデータ転送が可能である。なお、PTP規格の参考文献としては、PIMA 15740:2000, PHOTOGRAPIHIC AND IMAGING MANUFACTURERS ASSOCIATION, INC.が挙げられる。オブジェクト単位の通信プロトコルとしては、MTP(Media Transfer Protocol)もPTPの拡張仕様であるため適用可能である。
【0015】
カメラ100では、被写体からの光束が光学系201を通して撮像素子202へ電荷として保持される。撮像素子202で蓄積された電荷が撮像プロセス部203で画像信号として変換される。撮像プロセス部203から出力された信号は、A/Dコンバータ204によりデジタル信号に変換されて、データバス205を介してRAM210に保存される。中央処理プロセス部213は、画像処理部207、圧縮伸張部208、表示制御部209、記録再生制御部211、通信制御部212、中央制御部215から構成されている。画像処理部207はホワイトバランス、シャープ、ぼかし、カラーバランス、レベル補正等の処理を行う。圧縮伸張部208は、画像処理部207で処理されたデジタル画像をJPEG、JPEG2000等の画像圧縮方法に従って圧縮する機能と、圧縮されたデジタル画像を伸張する機能とを有する。圧縮率は、ユーザによる設定が可能である。表示制御部209は表示器217へのUI(ユーザインターフェース)の描画処理を行う。記録再生制御部211は記憶媒体218へのI/O制御を行う。通信制御部212は通信器219へのデータのI/O制御を行う。中央制御部215は上記各制御部を統括する。
【0016】
システム制御部214は、データバス205に接続されており、ROM200に記憶された制御プログラムに従ってカメラ100を制御するマイクロコンピュータを有する。また、システム制御部214は、圧縮伸張部208で圧縮されたデジタル画像データと、このデジタル画像データの付加情報とを含む画像ファイルを生成し、生成した画像ファイルをRAM210に格納する機能を有する。付加情報には、デジタル画像に関する情報、カメラ100に関する情報、デジタル画像のサムネイル等が含まれる。RAM210は、複数の画像ファイルを記憶する容量を有する。また、システム制御部214は、カメラ100を省電力状態にする機能を有する。ここで、カメラ100が省電力状態である場合、システム制御部214は、カメラ100の機能の一部をオフにしてバッテリの消費電力を削減する。ROM200は、カメラ100を制御するための制御プログラム、カメラ100に関する情報等が記憶されている。また、ROM200には、表示器217に表示される設定メニューに対応する画像データも記憶されている。
【0017】
操作器216は、カメラ100を操作するためのユーザインターフェースであり、カメラ100の電源をオン又はオフするための電源スイッチ、シャッターボタン、表示器217に設定メニューを表示するためのメニューボタンを有する。さらに、操作器216は、表示器217に表示されたカーソルを上、下、左又は右に移動するための十字ボタン、カーソルが選択している画像、項目、値等をカメラ100に設定又は選択させるためのSETボタン等を有する。シャッターボタンには、半押し状態と全押し状態とがある。シャッターボタンが半押し状態にされると、AE/AF制御部206が光学系201を駆動して、AF、AE等を実行し、シャッターボタンが全押し状態にされると、カメラ100はデジタル画像の撮影を実行する。
【0018】
表示器217は、表示制御部209によって要求された描画を表示するものであり、デバイスとしては液晶等の表示パネルを有し、その表示パネルに様々な情報を表示する。表示器217は、カメラ100に関する情報を表示する機能、撮影画像を表示する機能、記憶媒体218に保存された撮影画像を表示する機能等を有する。記憶媒体218に保存された撮影画像を表示する場合にはそのデジタル画像に関する情報も表示することができる。また、表示器217は、設定メニュー等のGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供する機能を有する。
【0019】
記録再生制御部211は、RAM210に格納された画像ファイルを記憶媒体218に書き込む機能と、記憶媒体218に保存された画像ファイルを記憶媒体218から読み出してRAM210に書き込む機能とを有する。記憶媒体218から読み出されてRAM210に書き込まれた画像ファイル内の撮影画像は、システム制御部214によって表示器217に表示される。
【0020】
記憶媒体218は、RAM210に保存されたJPEG等の画像ファイルを記録再生制御部211を介して記憶する。記憶媒体218は、カメラ100に着脱可能な形態や装置に組み込まれた形態のいずれでもよく、カメラ100に電源が投入されていない状態でも記憶を保持することが可能な媒体である。通信器219は、有線通信または無線通信によるほか、有線通信機能を持たな場合はメディア経由で情報を更新する形態でもよい。また通信器219のカメラ100に対する着脱可、不可は問わない。また、記録再生制御部211が情報の読み出し/書き込みを行えるよう、DCF規格で保存されるものとし、動画ファイルはDCF基本ファイルとDCFサムネイルファイルの2つのファイル構成で1つのマルチメディアデータとして扱われる。DCF規格(Design rule for Camera File System)の参考文献としてはJEIDA規格JEIDA49−2−1998がある。実際のファイル構成は、DCF規格に限らず、複数のファイルで構成しているマルチメディアデータでもかまわない。
【0021】
通信制御部212では、PTP規格に準拠した通信が可能である。実際の通信方式は、PTP規格でなくとも、マルチメディアデータを一つのオブジェクトとして扱うようなオブジェクトベースのプロトコルであっても良い。
【0022】
PC101の操作器221は、キーボードやマウス等であり、システム制御部225で操作の制御が行われる。表示器222は、出力モニタであり、表示制御部228により描画されたUIを出力する。RAM229は、PC101のOSや、アプリケーション50を動作させるための揮発性のメモリである。記憶媒体223は、記憶制御部230によるデータの要求に応じて入出力をする装置であり、不揮発性の記憶装置である。記憶媒体223には、OSやアプリケーション50が格納されている。通信器224は、通信インターフェース102と接続可能な通信装置であり、通信制御部231によりデータの入出力を行う。通信器224は、有線通信または無線通信によるほか、有線通信機能を持たな場合はメディア経由で情報を更新する形態でもよい。また通信器224のカメラ100に対する着脱可、不可は問わない。中央処理プロセス部227は、表示制御部228、記憶制御部230、通信制御部231、各制御部を統括する中央制御部226から構成される。
【0023】
図2は、図1のPC101の構成を示すブロック図である。図2において、PC101のハードウエア上でOS15が動作し、このOS15上でアプリケーション50が稼働し、カメラ100と通信を行う。PC101は、RAMやROMに加えて補助記憶装置としてハードディスク(HDD)30、OS15のファイルシステム32からHDD30に対してデータを読み出し/書き込みするためのディスク入出力(IO)I/F34を備える。また、PC101は、描画管理システム36で生成される画像データをモニタ12に適合するビデオ信号に変換するビデオI/F38と、キーボード18とのインターフェースであるキーボードインターフェース(I/F)42を備える。さらに、PC101は、マウス14とのインターフェースであるマウスI/F44と、USBケーブルを介してカメラ100に接続するUSB I/F46とを備える。
【0024】
ファイルシステム32は、OS15を構成しており、アプリケーション50がハードウエアを直接制御せずに、画像データ等のファイルの入出力を可能にする。また、OS15に含まれる描画管理システム36は、アプリケーション50がハードウエアを直接制御せずにビデオ信号を生成する。OS15は、PC101に接続されたデバイスに適合したデバイスドライバ40を自動的に割り振る。デバイスドライバ40は、カメラ100やスキャナ(不図示)等の画像データを扱う周辺機器(デバイス)を管理する機能を有し、アプリケーション50がハードウエアを直接制御せずに、デバイスからの画像データの入出力を管理する。カメラ100は、USBケーブルを介してUSB I/F46に接続可能であり、デバイスドライバ40を介して、アプリケーション50との間で制御コマンド、状態信号、及び画像データ等のやり取りを行う。
【0025】
アプリケーション50は、ソフトウエアモジュールとして、デバイスドライバ40にアクセスすることでカメラ100との通信を行う通信管理部52、カメラ100で撮影された画像データを取得する画像転送管理部53を備える。また、アプリケーション50は、カメラ100に制御コマンドを送信してストロボの設定等の撮影パラメータを指定したり、撮影指示を行ったりするカメラ制御部54を備える。さらに、アプリケーション50は、カメラ100から転送されたデータ及び各種情報をモニタ12に表示するデータ表示部56と、カメラ100から転送されたデータをHDD30に格納して管理するファイル管理部58を備える。
【0026】
PC101は、CPU、ChipSet、DRAM、BIOS−ROM、HDD、グラフィックスデバイス、電源装置等を備え、カメラ100との間でデータ通信を行うためのアプリケーション50やデバイスドライバがDRAM上に展開されて実行される。アプリケーション50は、カメラ100とのデータ通信を行う基本モジュールを含んでおり、カメラ100がPC101に接続された時に実行が開始される。また、アプリケーション50は、ユーザにGUI等の操作部材を提示してカメラ100から画像データ等を取得したり、削除したり、またはカメラ100の動作を制御する機能を提供する。また、デバイスドライバ40もカメラ100とのデータ通信を行う基本モジュールを含み、カメラ100がPC101に接続された時にOS15によりロードされ実行が開始される。
【0027】
以下、シーケンス図やフローチャートを用いてカメラ100及びPC101の動作について説明する。これらの動作は入力信号やプログラムにしたがって、中央制御部215がカメラ100の各ハードウェアを、中央制御部226がPC101の各ハードウェアを制御することにより実現される。
【0028】
次に、デバイスドライバ40によるカメラ100内のデータの取り扱いについて説明する。例えば、図3(a)に示すデータ構成でカメラ100内に画像ファイルが格納されているとする。図3(a)の“100GANON”、“101GANON”、“102GANON”はフォルダを表しており、拡張子にJPGが付されたものが画像ファイルを表している。“100GANON”フォルダ内にはIMG_0001.JPG、IMG_0002.JPG、IMG_0003.JPGが格納されているとする。“101GANON”フォルダ内にはIMG_0101.JPG、IMG_0102.JPGが格納されているとする。また、“102GANON”フォルダ内にはIMG_0201.JPGが格納されているとする。図3(a)のデータ構成のもとでカメラ100をPC101に接続すると、PC101が接続を検知した時にOS15がそのカメラ用のデバイスドライバ40を検索し、DRAM上にロードする。
【0029】
ロードされたデバイスドライバ40は、カメラ100から画像ファイルやフォルダの情報を取得し、図3(b)に例示するオブジェクトツリーを作成して管理する。デバイスドライバ40では、カメラ100内のフォルダやファイルは、オブジェクトとして再定義され、各オブジェクトのインスタンスをカメラ100内のフォルダやファイルの構成に関連付けて記憶する。すなわち、カメラ100をPC101に接続した時に、アプリケーション50はカメラ100内の全てのフォルダやファイルの構成に基づいてオブジェクトツリーを構築する。よって、SD(登録商標)等のメディアに画像ファイルが大量に記憶されていれば、それだけツリーの構築に多くの時間を要することになる。その結果、アプリケーションを立ち上げるまでに時間がかかり、ユーザが次の操作に移行できないで待たされてしまう。
【0030】
図4(a)は、カメラ内に記憶された大量の画像ファイルに対して従来の手法によりオブジェクトハンドルを割り当てた状態を例示する図である。ファイル名の後にカッコ書きで示した値はオブジェクトハンドルである。図5(a)は、図4(a)の従来のオブジェクト構成において従来の手法によりカメラとPCとを接続した場合のシーケンスを示す図である。例えば、カメラ内のDCIMフォルダ内に5つのフォルダがあり、各フォルダに2000枚の画像ファイルが格納されている場合、従来の手法では1つのファイルやフォルダに対して1つのオブジェクトハンドルを割り当てている。このため、図4(a)に示すように、1つのファイルやフォルダが1つのオブジェクトとして取り扱われ、10005個のオブジェクトが生成されることになる。その結果、カメラをPCに接続すると、図5(a)に示すように、PCがカメラに対して10005回GetObjectInfo(1〜10005)を送信し、各オブジェクトのデータを取得し、デバイスドライバがオブジェクトツリーを作成することになる。
【0031】
このような課題に対して、本実施形態では、カメラ内に大量の画像ファイルが記憶されている場合であっても、複数のオブジェクトを1つのオブジェクトに割り当てることによって、短時間でオブジェクトツリーを作成できるようにした。以下に、本実施形態のデバイスドライバ40によるカメラ100内の画像ファイルの取り扱いについて説明する。図4(b)は、カメラ100内に記憶された大量の画像ファイルに対して本実施形態によりオブジェクトハンドルを割り当てた状態を例示する図である。図5(b)は、図4(b)の本実施形態のオブジェクト構成において本実施形態によりカメラ100とPC101とを接続した場合のシーケンスを示す図である。
【0032】
図4(b)では、図4(a)と同様にカメラ100内のDCIMフォルダ内に5つのフォルダがあり、各フォルダに2000枚の画像ファイル(IMG_0001.JPG〜IMG_2000.JPG)が格納されている。ここで、カメラ100内の1つのフォルダ内にある複数の画像ファイルが1つのPTPオブジェクトとして割り当てられる。例えば図4(b)の例では、カメラ100は「IMG0001.JPG」から「IMG2000.JPG」までを1つのオブジェクトとして取り扱うよう、オブジェクトハンドル(3)を割り当てる。このようにオブジェクトを再定義することで、カメラ100をPC101に接続した時に、図5(b)のように、PC101はカメラ100に対して11回GetObjectInfo(1〜11)を送信するだけで済む。すなわち、PC101からカメラ100へのGetObjectInfo送信回数が9994回減ることになる。なお、GetObjectInfoに対してカメラ100から返信されるオブジェクトの属性情報には、オブジェクトを構成するファイル名、撮影日時、ファイルサイズ等が含まれる。
【0033】
以上のように、本実施形態では、複数のオブジェクトを1つのオブジェクトに割り当てることで、カメラ100とPC101との間の通信トランザクション時間を大幅に低減でき、カメラ100をPC101に接続した時の処理時間を大幅に低減できる。なお、図4(b)ではデバイスドライバ40に対してカメラ100内の各フォルダの画像ファイルを1つのグループオブジェクトとして送信したが、グループ化の単位は所定のファイル数やカテゴリ、撮影日時等、ユーザ操作により選択可能としてもよい。さらに、その設定はカメラ側もしくはアプリケーション側で可能である。
【0034】
デバイスドライバ40は、DCIM、100GANON、101GANON、・・・、104GANON、IMG_0001.JPG、IMG_2001.JPG、・・・、IMG_8001.JPGの11個のオブジェクト属性情報を記憶している。しかし、グループ化されたオブジェクトであることを認識できないアプリケーションやExplore等のOS付属のツール等では、11個のオブジェクトとしてしか取り扱うことができない。このため、PC101でグループオブジェクトを構成する各ファイルに分解できる仕組みが必要である。そこで、以下では、アプリケーション50においてグループオブジェクトを各ファイルに分解し保存する方法について、図6、7を参照して説明する。
【0035】
図6は、グループオブジェクトを分解するためのカメラ100とPC101のアプリケーションとの間のシーケンスを例示する図である。図7は、PC101のアプリケーションによりグループオブジェクトを分解する処理を示すフローチャートである。図6において、まず、アプリケーション50はGetGroupObjectNumをカメラ100に送信し、カメラ100からグループオブジェクトの数を取得する。さらに、アプリケーション50は、GetGroupObjectHandlesをカメラ100に送信し、各グループオブジェクトハンドルを取得する。図4(b)の構成ならば、アプリケーション50は、GetGroupObjectHandlesを受信したカメラ100から返信されたハンドル値として、3,5,7,9,11のグループオブジェクトハンドルを取得する。そして、アプリケーション50は、GetObjectNumInGroupObjectの引数にGetGroupObjectHandlesにより取得したハンドル番号を指定してカメラ100に送信し、オブジェクト数を取得する。次に、アプリケーション50は、GetGroupObjectの引数に、直前のGetGroupObjectで指定した引数と同じグループオブジェクトを指定してカメラ100に送信し、カメラ100から指定したグループオブジェクト全体を取得する。そして、カメラ100から指定したグループオブジェクト全体を取得したアプリケーション50は、個々のオブジェクトに分解しHDD30等に保存する。このように、アプリケーション50が、カメラ100にGetGroupObjectHandlesを送信して取得したハンドル数の分だけ、GetObjectNumInGroupObjectとGetGroupObjectの送信を繰り返す。
【0036】
次に、図7のフローを参照して、カメラ100からグループオブジェクトを取得したアプリケーション50が、個々のオブジェクトに分解し保存する処理について説明する。図7において、まず、アプリケーション50は、カメラ100からGetGroupObjectを指定して取得したグループオブジェクトの先頭画像ファイルのExifヘッダを解析し、ファイルサイズを取得する(S1001)。次に、アプリケーション50は、上記Exifヘッダを解析して取得した第1ファイルサイズと、GetObjectInfoによりカメラ100から取得したグループオブジェクト全体の第2ファイルサイズとを比較する(S1002)。そして、第1ファイルサイズの方が大きい場合、先頭画像ファイル受信中に通信が切断されたと判断し、本処理を終了する。
【0037】
一方、第1ファイルサイズの方が小さい場合、グループオブジェクトを構成する先頭の画像ファイル分が取得できたと判断し、第1ファイルサイズ分を取り出して保存する(S1003)。次に、アプリケーション50は、次回以降の画像ファイルに対するループを開始する(S1004)。ループ内では、前回処理で保存したファイルサイズ分だけメモリ領域をずらして次画像ファイルの先頭位置に移動し、次画像ファイルのExifヘッダを解析し、ファイルサイズを取得する(S1004)。次に、第3ファイルサイズと、第2ファイルサイズから保存済みのファイルサイズを差し引いた第4ファイルサイズとを比較する(S1005)。そして、第3ファイルサイズの方が大きい場合、次画像ファイル受信中に通信が切断されたと判断し、本処理を終了する。
【0038】
一方、第3ファイルサイズの方が小さい場合、グループオブジェクトを構成する次画像ファイルが取得できたと判断し、第3ファイルサイズ分を取り出して保存する(S1006)。S1004〜S1006のループをグループオブジェクトを構成するファイル数分だけ繰り返す。
【0039】
以上述べた処理によって、PC101のアプリケーション50において、グループオブジェクトを各ファイルに分解し保存することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と通信可能に接続される撮像装置であって、
ファイルを記憶する記憶手段と、
所定の通信インターフェースを介して前記情報処理装置と通信するための通信手段と、
複数のファイルを1つのオブジェクトに割り当ててグループ化する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたファイルについて、所定のファイル数ごとに1つのオブジェクトを割り当ててグループ化することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、グループ化したオブジェクトの属性情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記属性情報は、グループの数、グループ化したオブジェクトのファイル名およびファイルサイズに関する情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像装置と接続される情報処理装置であって、
所定の通信インターフェースを介して前記撮像装置と通信するための通信手段と、
前記撮像装置から受信したオブジェクトの属性情報を解析する解析手段と、
前記解析手段による解析の結果に基づき、グループ化されたオブジェクトを受信し複数のファイルに分解する制御手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記属性情報は、グループの数、グループ化したオブジェクトのファイル名およびファイルサイズに関する情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記オブジェクトの受信中に前記撮像装置との通信が切断された場合、前記制御手段は、前記グループ化されたオブジェクトのうち、全てのオブジェクトが揃ったグループのデータのみを保存することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記オブジェクトの受信中に前記撮像装置との通信が切断された場合、前記制御手段は、複数のグループオブジェクトのうち、個々のオブジェクトが揃ったグループオブジェクトのみを保存することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ファイルを記憶する記憶手段を有し、情報処理装置と通信可能に接続される撮像装置におけるデータ通信方法であって、
所定の通信インターフェースを介して前記情報処理装置と通信するための通信工程と、
複数のファイルを1つのオブジェクトに割り当ててグループ化する制御工程と、を有することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項9】
撮像装置と通信可能に接続される情報処理装置におけるデータ通信方法であって、
所定の通信インターフェースを介して前記撮像装置と通信する通信工程と、
前記撮像装置から受信したオブジェクトの属性情報を解析する解析工程と、
前記解析工程による解析の結果に基づき、グループ化されたオブジェクトを受信し複数のファイルに分解する制御工程と、を有することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載のデータ通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−30024(P2011−30024A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174732(P2009−174732)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】