説明

撮像装置の製造方法

【課題】本発明は、容易に短時間で製造し得る撮像装置の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】移動レンズ群21,22が所定の摩擦力で駆動軸42に係合されたアクチュエータ4の他端側の錘43を、後フレーム51に設けた嵌挿凹部515に嵌挿するとともに、前フレーム52に設けた調整用孔に、アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部を入れて揺動可能にし、その状態で、後フレーム51にセンサー基板7を固定的に取り付ける。その後、センサー基板7に対してアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向の傾きの調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の撮像装置等に好適に用いられる小型の撮像装置、特にオートフォーカスやズームなどの機能を実現するために、駆動機構にSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成るアクチュエータ(アクチュエータ)を使用する撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記携帯電話の撮像装置などに用いられる小型のレンズユニットでは、駆動機構として、前記アクチュエータを用いたものが実用化されている。このアクチュエータは、電気機械変換素子である圧電素子の伸縮を駆動軸に伝え、その駆動軸に所定の摩擦力で係合している移動レンズ群を、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるものである。より詳しくは、例えば駆動軸をゆっくりと伸張させることによって、その駆動軸に摩擦係合している移動レンズ群も移動する一方、前記所定の摩擦力を超える程、駆動軸を瞬時に縮小させると、前記移動レンズ群が伸張位置に取り残される。このような駆動軸の伸長と収縮とを繰返し行うことで、アクチュエータは、前記移動レンズ群を前記駆動軸の軸方向に移動させることができる。
【0003】
又、このアクチュエータの、特に駆動軸をフレームに保持させる際に傾きがあると、撮像された画像のフォーカス状態が画像両端で異なるという現象、いわゆる片ボケが生じてしまう。そのため、撮像装置に高画素化に対応した高性能が要求される場合には、駆動軸をフレームに保持する際に、フレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整が必要となる。
【0004】
このようなフレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整を行うものとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。このものは、傾き調整機構を用いて、フレームの所定の基準線に対する駆動軸の傾きを調整できるようにしたものである。この傾き調整機構は、第1円柱部と第1円柱部に対して偏芯した第2円柱部を備え、第2円柱部が駆動軸の先端に挿入されている。第1円柱部はフレームに外径が規制されており、第1円柱部を回転させることによって駆動軸の傾きを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−25403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のもののように、駆動軸をフレームに保持させる際に、フレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整ができたとしても、フレームにセンサー基板を取り付ける際に、フレームに対してセンサー基板が傾いた状態で取り付けられると、センサー基板に対して駆動軸が傾いてしまう。そのため、例えば上記特許文献1に記載のもののようにフレームにアクチュエータを保持させる際にフレームに対する駆動軸の傾き調整を行ったものを、更に、フレームへのセンサー基板の取り付けに際してフレームに対するセンサー基板の傾き調整を行っている場合が多く、そのような調整に時間を要し、その結果、製造に時間を要してしまっているという問題点がある。さらに上記引用文献1に記載のものでは、傾きの方向を変えることはできるが、傾きの量は偏芯量で決まっているため変えることができず、かえって駆動軸に傾きを与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、容易に、より短時間で製造し得る撮像装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、電気機械変換素子と連結され移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の両端を前記フレームに保持させるとともに、撮像素子を有するセンサー基板を前記フレームに固定的に取り付けるようにした撮像装置の製造方法であって、前記アクチュエータを前記フレーム内に配置するとともに、前記センサー基板を前記フレームに固定的に取り付け、その後、前記センサー基板に対して前記アクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を行うことを特徴とする撮像装置の製造方法を提供する。
【0009】
これによれば、センサー基板をフレームに固定的に取り付けた後に、センサー基板に対してアクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を行うため、フレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整を行わずに済み、アクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を1回で済ませることができ、工程を減らすことができるとともに、短時間で製造できる。
【0010】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記アクチュエータにおける前記センサー基板側に配置させた他端を支点にして一端を揺動できるように、前記アクチュエータを前記フレーム内に配置し、前記傾きの調整を、前記アクチュエータの一端を揺動させて行うことができる。
【0011】
これによれば、傾きの調整を、アクチュエータの一端を揺動させることにより行うため、傾きの調整を容易に行うことができる。
【0012】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記駆動軸の先端は、前記一端をなし、前記フレームには、前記駆動軸の先端が挿入される調整用孔が設けられ、前記調整用孔に前記駆動軸の先端を挿入することによって前記アクチュエータの一端を揺動できるようにし、前記傾きの調整を行った後に、前記駆動軸の先端の外周と前記調整用孔の内周壁との間に充填した接着剤を硬化させて前記駆動軸の先端を前記フレームに保持させることができる。
【0013】
これによれば、傾きの調整を行った後に、アクチュエータの駆動軸の外周と調整用孔の内周壁との間に充填した接着剤を硬化させてアクチュエータの駆動軸をフレームに保持させるため、アクチュエータの駆動軸に係合した移動レンズ群とフレームとのガタつきを無くすことができ、両者のガタつきに伴う移動レンズ群の可動や回転を抑制できる。これにより、光学性能の劣化を防止できる。又、アクチュエータの駆動軸の外周と調整用孔の内周壁との間からの塵や埃等の侵入を防止でき、移動レンズ群の円滑な摺動が妨げられるおそれの少ないものにできる。
【0014】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記センサー基板から出力される画像信号に基づいて前記アクチュエータの駆動軸の傾きを調整することができる。
【0015】
これによれば、撮像された画像のフォーカス状態が画像両端で異なるという現象、いわゆる片ボケを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、容易に、より短時間で製造し得る撮像装置の製造方法を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の製造方法により製造した撮像装置の斜視図である。
【図2】図1の撮像装置の分解斜視図である。
【図3】製造工程の説明図に係り、(a)は、後フレームの嵌挿凹部にアクチュエータの錘を嵌挿した状態の断面図、(b)は、アクチュエータの駆動軸に第1群ユニットを係合した状態の断面図、(c)は、後フレームに、前フレームを係止した状態の断面図、(d)は、後フレームに、センサー基板を取り付けた状態の断面図である。
【図4】傾き操作部材を有する傾き調整治具を用いてアクチュエータの駆動軸の傾きを調整する際の断面図である。
【図5】図4の要部を拡大した断面図である。
【図6】アクチュエータの駆動軸の先端をフレームに接着剤で保持させた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の製造方法により製造した一実施の形態に係る撮像装置1の斜視図、図2は、図1の分解斜視図である。この撮像装置1は、図1、図2に示すように、移動レンズユニットである第2群ユニット2と、固定レンズユニットである第3群ユニット3a及び第1群ユニット3bと、第2群ユニット2を光軸方向に駆動するアクチュエータ(超音波リニアアクチュエータ)4と、それらの第1〜第3群ユニット2,3a,3bおよびアクチュエータ4を収容する筐体51,52,53と、センサー基板7とを備えている。この撮像装置1は、例えば携帯電話の端末装置に好適に搭載される。
【0019】
第2群ユニット2は、移動レンズ群を構成する光学素子21,22と、光学素子21,22間に配設された遮光板24aと、光学素子21,22を保持した第2群ユニット用ホルダー25とを備えている。
【0020】
光学素子21,22は、例えばプラスチックレンズから成り、光路を形成する径内側のレンズ部211と、前記レンズ部211を外周側から保持した保持部212とを備え、それらが一体成型されて成る。
【0021】
第2群ユニット用ホルダー25は、図5に示すように、内周側に、光学素子21,22の保持部212を保持し、第2群ユニット用ホルダー25の外周側は、後述のアクチュエータ4の駆動軸42に所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。
【0022】
第3群ユニット3aは、図2に示すように固定レンズ群を構成した光学素子31aを備えている。この光学素子31aは、上記第2群ユニット2の光学素子21,22と同様に、例えばプラスチックレンズから成り、レンズ部311aと保持部312aとが一体成型されて成る。
【0023】
そして、この第3群ユニット3aは、図5に示すように保持部材である後述の後フレーム51に移動不能に保持されて、第2群ユニット2の後方側に配置されている。
【0024】
第1群ユニット3bは、図2に示すように固定レンズ群を構成した光学素子31b,31cと、光学素子31b,31cの間及び前方側のそれぞれに配設された遮光板24b,24cと、光学素子31b,31cを保持した第1群ユニット用ホルダー26とを備えている。
【0025】
この光学素子31b,31cは、上記第3群ユニット3aの光学素子31aと同様に、例えばプラスチックレンズから成り、レンズ部311と保持部312とが一体成型されて成る。
【0026】
第1群ユニット用ホルダー26は、図5に示すように内周側に、光学素子31b,31cの保持部312を保持し、外周側が、後述の前フレーム52に移動不能に保持されて第2群ユニット2の前方側に配置されている。
【0027】
尚、説明の都合上、図2では、第2群ユニット2の光学素子21,22及び第1群ユニット3bの光学素子31b,31cを、夫々2つで表し、図4〜図6では、1つで表している。又、図3〜図6では、遮光板24a,24bを省略している。
【0028】
アクチュエータ4は、移動レンズ群21,22を備えた第2群ユニット2の駆動機構を構成するもので、例えば本件出願人が先に特開2001−268951号公報などで提案した小型化に好適なものであり、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))アクチュエータと称される。このアクチュエータ4は、軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子41の他端に錘43が接続され、圧電素子41の一端に駆動軸42が接続され、そして、圧電素子41の軸方向の振動によって駆動軸42が往復移動し、第2群ユニット2の保持部材24が駆動軸42に所定の摩擦力で係合していることによって、第2群ユニット2が光軸方向に移動される。
【0029】
より詳しくは、このアクチュエータ4では、圧電素子41に所定のデューティ比の矩形波を与えることによって圧電素子41の変位が三角波状となり、前記矩形波のデューティ比を変えることによって振幅の上昇時と下降時とで傾きの異なる三角波が発生する。アクチュエータ4の駆動メカニズムは、これを利用するものである。例えば、駆動軸42をゆっくりと振動させることで、その駆動軸42に摩擦係合している第2群ユニット2も前記振動に応じて移動し、前記所定の摩擦力を超える程の瞬時に、駆動軸42を振動させると、第2群ユニット2がそのまま取り残される。このような駆動軸42の軸方向の振動を繰返し行うことで、第2群ユニット2を駆動軸42の軸方向に移動させることが可能となる。
【0030】
錘43は、圧電素子41の伸縮による変位を駆動軸42側のみに発生させるためのものである。この実施形態では、錘43は、外径が圧電素子41の全周に渡って外周方向に突出するように形成された円柱状のものから構成されている。
【0031】
尚、この錘43は、圧電素子41の他端が筐体51,52,53に取付けられるなどして、錘43の機能と同様の機能を発揮することができる場合には、錘43は、省略されてもよい。
【0032】
圧電素子41は、複数の圧電層が積層され、図2に示すように一対の側面に各圧電層の電極411,412が共通に引出されて構成されている。その側面の電極411,412は、個別のリード線44,45を介して外部接続端子46,47にそれぞれ接続されている。外部接続端子46,47の先端は、前記携帯電話の端末装置側のプリント基板に半田付けされ、或いは前記プリント基板に実装されたコネクタに嵌り込む。
【0033】
駆動軸42は、円柱状のものから構成されている。この駆動軸42には、図5に示すように、第2群ユニット2の第2群ユニット用ホルダー25が、図1に示すL字状のバネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。
【0034】
筐体は、図2に示すようにフレーム51,52と、前カバー53とを備えて構成される。フレームは、樹脂成型品である後フレーム51と、その後フレーム51と組合わされた前フレーム52とを備えており、それらが相互に係止されて箱体を形成し、その内部に第2群ユニット2および第3群ユニット3aならびにアクチュエータ4を少なくとも収容する。
【0035】
又、これらフレーム51,52は、それらで形成される箱体が、光軸方向である前後に2分割された形状を有する樹脂成型品から成り、かつ前記箱体の側壁は、貫通孔が無い形状に形成され、これによって箱体内が気密に形成される。
【0036】
後フレーム51は、大略的に、矩形状のものから構成されており、軸方向を前後方向に延ばされた保持筒514が設けられている。保持筒514の内周側は、嵌合孔511となって、第3群ユニット3aを保持する。
【0037】
又、保持筒514の外周側には、アクチュエータ4の錘43を嵌挿する嵌挿凹部515が設けられている。この嵌挿凹部515は、その内径が錘43の外径と略同じに設定され、嵌挿凹部515に錘43がちょうど入り込んで実質的に間隙ができないようになっている。
【0038】
又、後フレーム51の外周には、図1に示すように上記外部接続端子46,47が取り付けられている。
【0039】
前フレーム52は、図2に示すように矩形の前面板522の全外周側から後方に延設された側壁521を備え、これらの側壁521によって、内部に第2群ユニット2及びアクチュエータ4を収容する収容部が区画形成されている。
【0040】
この側壁521には、後フレーム51に係止するための係止部としての弾性を有する係止片521bが設けられている
又、前面板522には、第1群ユニット3bが配置されて外部に臨む開口523が形成されている。又、開口523の外周側における前フレーム52の1つの隅角部には、アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される調整用孔526が設けられている。
【0041】
この調整用孔526は、図3(c)に示すように、その径R2が駆動軸42の外径R1よりも大きく設定されており、調整用孔526に挿入された駆動軸42の先端部の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成されて駆動軸42の先端部が径方向(外周方向)に移動できるようになっている。
【0042】
この実施形態では、駆動軸42の外径R1が800μm程度であるのに対し、この調整用孔526の径R2が900μm程度とされている。
【0043】
又、上記間隙526aには、接着剤8が充填され、後述するようにセンサー基板7に対する傾き調整を終えた後の駆動軸42が保持されるようになっている。この接着剤8としては、例えば紫外線硬化性のもの或いは熱硬化性のものが挙げられる。ただし、接着剤は、これら例示のものに限定されずに種々のものを使用できる。
【0044】
図2に戻り、前カバー53は、電磁シールドおよび外観(意匠)上設けられる板金加工品であり、フレーム51,52が組付けられた後、前フレーム52側から被せられ、側壁531に設けられた係止爪531aがそれぞれ前フレーム52の側壁521に形成された係止凹部521aに嵌り込むことで前フレーム52に固定される。
【0045】
次に、センサー基板7について説明する。センサー基板7は、図5、図6に示すように矩形板状の基板本体71と、基板本体71の前面側に配設された撮像素子72とを備えている。撮像素子72は、CCDタイプやCMOSタイプのイメージセンサを備えて構成されている。
【0046】
基板本体71は、この実施形態では、合成樹脂製の板状体から構成されており、後フレーム51の後端に接着剤等の固定手段によって固定的に取り付けられている。この状態で、撮像素子72が第3群ユニット3aの後方側に配設されている。
【0047】
次に、以上のように構成された撮像装置1の製造方法について説明する。まず、図3(a)に示すように第3群ユニット3aを取り付けた後フレーム51の嵌挿凹部515に、アクチュエータ4の錘43を嵌挿する。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、アクチュエータ4の駆動軸42に、第2群ユニット2を係合させる。その後、図3(c)に示すように、第1群ユニット3bが取り付けられた前フレーム52を、その調整用孔526にアクチュエータ4の駆動軸42の先端を挿入するようにして後フレーム51に係止させる。
【0049】
この状態で、アクチュエータ4の駆動軸42の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成されており、アクチュエータ4は、その他端(後端)をなしている錘43を支点にして一端(前端)をなす駆動軸42の先端部が揺動し得るようになっている。
【0050】
その後、図3(d)に示すように、センサー基板7を、後フレーム51の後端に接着剤によって固定的に取り付ける。これにより、駆動軸42の傾き調整前の傾き未調整撮像装置10を得る。
【0051】
次に、傾き調整治具9を用いて傾き未調整撮像装置10におけるアクチュエータ4の駆動軸42の傾きの調整を行う。ここで、傾き調整治具9について、図4に基いて説明する。傾き調整治具9は、大略的に、第1治具91と、その第1治具91と前後に対向した第2治具92とを備えている。
【0052】
第1治具91は、後フレーム51に取り付けられたセンサー基板7の基板本体71の後面側を受ける基板受け部91aを備えている。
【0053】
第2治具92は、第2治具本体93と、アクチュエータ4を操作する操作部材94と、図示しない接着剤充填部を備えている。第2治具本体93は、第1群ユニット用ホルダー26を介して前フレーム52を押さえる押さえ部93aを備えている。
【0054】
傾き操作部材94は、図5に示すように、棒状体から構成され、先端部に、アクチュエータ4の駆動軸42の先端面に当接する当接部94aを備えている。そして、この傾き操作部材94は、第2治具本体93に、軸方向(図5のX−X方向)及びその軸方向と垂直な方向に移動可能に配設されている。
【0055】
そして、このように構成された傾き調整治具9の第1治具91と第2治具92との間に、傾き未調整撮像装置10を配し、第1治具91の基板受け部91aと第2治具92の押さえ部93aとによって、傾き未調整撮像装置10のセンサー基板7及びフレーム51,52を移動不能に保持させるとともに、傾き操作部材94を軸方向のアクチュエータ4側に移動させて傾き操作部材当接部94aをアクチュエータ4の駆動軸42の先端面に当接させる。
【0056】
又、上記のようにして傾き未調整撮像装置10を保持した状態で、図示していない接着剤充填部が前フレーム52の調整用孔526の近傍に配され、接着剤充填部から調整用孔526の内周壁と駆動軸42の外周との間の間隙526aに充填剤8(図6参照)を充填する。
【0057】
次に、第1〜第3群ユニット2,3a,3bを通して撮像素子72に表れる撮像画像をモニタしながら画質が最良となるように撮像画像に基いて傾き操作部材94を上記軸方向と垂直な方向に移動操作してアクチュエータ4の駆動軸42の先端を揺動させ、これにより、センサー基板7に対するアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向の傾き(軸心Oの傾き)の調整を行う。このようにして、センサー基板7からの画像信号に基づいて、画像周辺部のフォーカス状態がほぼ同じ状態になるように(片ボケが発生しないように)、駆動軸42の軸方向の傾きを調整する。
【0058】
そして、傾き調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させる。これにより、アクチュエータ4の軸方向の一端側である駆動軸42の先端を前フレーム52に保持できる。この状態で、前カバー53が装着されていない状態の撮像装置1を得ることができる。
【0059】
その後、傾き操作部材94を上昇させてアクチュエータ4から引き離し、傾き調整治具9から、上記前カバー53が未装着の撮像装置1を取り出す(図6)。そして、前カバー53を前フレーム52に被せるように装着することにより、図1に示す撮像装置1を得ることができる。
【0060】
以上のようにして撮像装置1を製造すれば、フレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整を行わずに済み、アクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を1回で済ませることができ、従来よりも製造工程を減らすことができ、従来よりも、より短時間で製造できる。
【0061】
又、アクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を、アクチュエータの駆動軸の先端を揺動させることにより行うため、傾きの調整を容易に行うことができる。
【0062】
又、傾きの調整を行った後に、アクチュエータの駆動軸の外周と調整用孔の内周壁との間に充填した接着剤を硬化させてアクチュエータの駆動軸をフレームに保持させるため、アクチュエータの駆動軸に係合した移動レンズ群とフレームとのガタを無くすことができ、両者のガタに伴う移動レンズ群の可動や回転を抑制できる。これにより、光学性能の劣化を防止できる。又、アクチュエータの駆動軸の外周と調整用孔の内周壁との間からの塵や埃等の侵入を防止できる。
【0063】
尚、上記実施形態では、接着剤を、アクチュエータ4の駆動軸42の先端を揺動させる前に充填したが、この形態のものに限らず、例えばアクチュエータ4の駆動軸42の先端を揺動させた後に充填してもよく、適宜変更できる。
【0064】
又、上記実施形態では、固定レンズ群を有する第2及び第3群ユニットを設けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば固定レンズ群を設けないものとし、或いは、固定レンズ群を有する1又は3以上のユニットを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 撮像装置
2 第1群ユニット
3a 第2群ユニット
3b 第3群ユニット
4 アクチュエータ
5 筐体
7 センサー基板
41 圧電素子(電気機械変換素子)
42 駆動軸
43 錘
51 後フレーム
52 前フレーム
526 調整用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械変換素子と連結され移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の両端を前記フレームに保持させるとともに、撮像素子を有するセンサー基板を前記フレームに固定的に取り付けるようにした撮像装置の製造方法であって、
前記アクチュエータを前記フレーム内に配置するとともに、前記センサー基板を前記フレームに固定的に取り付け、
その後、前記センサー基板に対して前記アクチュエータの駆動軸の軸方向の傾きの調整を行うことを特徴とする撮像装置の製造方法。
【請求項2】
前記アクチュエータにおける前記センサー基板側に配置させた他端を支点にして一端を揺動できるように、前記アクチュエータを前記フレーム内に配置し、
前記傾きの調整を、前記アクチュエータの一端を揺動させて行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置の製造方法。
【請求項3】
前記駆動軸の先端は、前記一端をなし、
前記フレームには、前記駆動軸の先端が挿入される調整用孔が設けられ、
前記調整用孔に前記駆動軸の先端を挿入することによって前記アクチュエータの一端を揺動できるようにし、
前記傾きの調整を行った後に、前記駆動軸の先端の外周と前記調整用孔の内周壁との間に充填した接着剤を硬化させて前記駆動軸の先端を前記フレームに保持させることを特徴とする請求項2記載の撮像装置の製造方法。
【請求項4】
前記センサー基板から出力される画像信号に基づいて前記アクチュエータの駆動軸の傾きを調整することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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