説明

撮像装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】画角が変化している場合でも主被写体を精度よく決定することが出来る撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、画角に依存する情報を用いて主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定し、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定し、第1評価値と第2評価値とを比較して、主被写体可能性が高い方の評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定するものであって、画角が変更されている場合は、変更されていない場合に比較して、第1評価値に対する第2評価値を優先して用いて主被写体を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、動画像撮像及び多重露光撮像が可能な撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置や印刷装置では、類似する色相や彩度情報を有する画素ごとに同一の領域にまとめ、その領域の画角内の位置に応じて、その領域が被写体か背景かを判別するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術を利用すれば、画像内の背景以外の被写体が占める領域を特定することが出来る。複数の被写体が検出された場合には、それぞれの被写体に対して評価値を求め、最も高い評価値を備えた被写体を主被写体とすることが考えられる。例えば、被写体の位置の画像中心からの距離、あるいは、被写体のサイズに応じて評価値を付与するシステムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、動画を構成する映像信号において、主被写体として検出された被写体に対し、追尾処理を行うシステムが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−233236号公報
【特許文献2】特開2008−005438号公報
【特許文献3】特開2010−154286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、分類した領域の画角内の位置に応じて、その領域が被写体か否かを判別する従来の技術では、撮像の際にズームを行うと、撮像される画像の画角に変化が生じるため、被写体か背景かの判別結果に影響が出てしまう。つまり、ズーム中等画角が安定しない状態では主被写体が誤って検出されてしまう可能性があり、検出した主被写体を追尾する機能を備えた撮像装置にこの機能を適用すると、誤検出された主被写体を追尾するケースが生じることとなる。
【0007】
このように、従来の技術では、画角が変化している場合は、主被写体を誤検出することがあった。
【0008】
本発明の目的は、画角が変化している場合でも主被写体を精度よく決定することが出来る撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、被写体を撮像するとともに、画角を変更可能な撮像手段と、前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存する情報を用いて主被写体候補が主被写体である主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定する第1決定手段と、前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定する第2決定手段と、前記第1評価値と前記第2評価値を用いて、いずれかの評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定する第3決定手段とを備え、前記第3決定手段は、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合は、変更されていない場合に比較して、前記第1評価値に対する前記第2評価値を優先して用いて前記主被写体を決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画角が変化している場合でも主被写体を精度よく決定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるシステム制御部により実行される静止画記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS201で実行される被写体枠表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS301で実行される主被写体枠決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップS307で実行される追尾枠決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図2のステップS201で実行される被写体枠表示処理の変形例の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置100の概略構成を示す図である。
【0014】
図1において、レンズ10は外光を集光する。レンズ駆動回路42は、レンズ位置を光軸に沿って前後に動かすことで焦点を調節したり、画角を変更可能である。さらに、ブレ量検知回路44で測定したカメラのブレ量を元に、手ブレ補正回路40にてレンズ10を駆動し、手ブレをキャンセルする方向に光軸を変化させることで光学的な手ブレ補正を行う構成とすることも可能である。ブレ量検知回路44には、ジャイロセンサーが含まれている。図1ではレンズ10を駆動することで手ブレ補正を実現しているが、CCD16を駆動することで同様に手ブレを補正することも可能である。
【0015】
レンズ10を通過した光は絞り14により、その光量を調節することが出来る。システム制御部60は、絞り制御情報を絞り駆動回路26に伝達することで、絞り14を制御することが可能である。絞り14は、複数枚の羽から構成された虹彩絞りや、予め板を様々な径で穴を打ち抜いた丸絞りがある。システム制御部60はこれらの絞り14と絞り駆動回路26を用い、被写体輝度が高い場合は絞りを絞って光量を落とすように制御し、被写体輝度が低い場合は絞りを開放にして光を多く取り込むように制御することが可能である。
【0016】
システム制御部60は、メカニカルシャッター制御情報をメカニカルシャッター駆動回路28に伝達することで、メカニカルシャッター12を制御することが可能である。静止画撮影時の露光時間は、メカニカルシャッター12の開閉時間により決定され、この時間はシステム制御部60が時間を判断し、メカニカルシャッター駆動回路28に指示を出す。
【0017】
レンズ10、メカニカルシャッター12、絞り14を通過した光はCCD16に受光される。システム制御部60は、撮像素子制御信号をTG(Timing Generator)24に伝達することで、CCD16を制御することが出来る。TG24は、システム制御部60から受信した制御情報をもとにCCD16を駆動する。CCD16は素子への露光と、露光したデータの読み出し作業を周期的に行っており、この作業はTG24からの駆動信号を基準に行われる。またTG24は、CCD16の露光時間を制御することが可能である。任意のタイミングで、素子がチャージした電荷を開放するように、TG24からCCD16へ駆動信号を出すことでこれを可能としている。
【0018】
CCD16から読み出された画像データは、CDS(Correlated Double Sampler)回路18を通過する。CDSは相関二重サンプリング方式により画像データのノイズ成分を除去することを主な役割とする。その後、画像データはPGA(Programmable Gain Amplifier)回路20により、画像データレベルを減衰/増幅することが出来る。システム制御部60は、増幅レベルをPGA回路20に伝達することで、増幅量を制御することが出来る。
【0019】
通常、CCD16の露出を適正にするには、絞り14やシャッターを用いることで実現されるが、PGA回路20で画像データ信号を減衰/増幅することで、擬似的に画像データの露出を変える役割を担うことが出来る。これは、絞りやシャッター速度と並ぶ撮影時の露出条件の一つとして、感度という概念でユーザーに機能提供することが可能である。
【0020】
また、ストロボ制御部48を介してストロボ46を発光させることも出来る。逆光状態や低照度時等、被写体が暗い場合にストロボ発光撮影することで、被写体を明るく撮影することが可能となる。
【0021】
画像データはA/D(Analog/Digital Converter)回路22にてアナログ信号からデジタル信号である画像信号へ変換される。画像信号のビット幅は10ビット、12ビット、14ビット等があり、後段の画像処理回路50は、複数種類のビット幅に対応可能である。
【0022】
なお、図1では、CDS回路18、PGA回路20、A/D回路22をそれぞれ別のブロックとして表現しているが、1つのICパッケージにこれらの機能を搭載したものを採用することも可能である。
【0023】
A/D回路22からデジタル化された画像データは画像処理回路50へ入力される。画像処理回路50は複数のブロックから構成され、さまざまな機能を実現している。
【0024】
CCD16はカラーフィルターを通して各画素ごとに特定の色成分を抽出するものが一般的である。A/D回路22からの画像信号はCCD16の画素及びカラーフィルター配置に対応したデータ形式になっており、輝度成分のみを評価して露出制御を行う自動露出制御(AE:Auto Exposure Control)で使用するには適さない形式である。画像処理回路50では、画像信号から色情報を排除し、輝度情報のみを抜き出す機能を備えている。逆に、色情報を抽出する機能も備え、被写体の光源を特定し、色を適切に調節するホワイトバランス処理に使用することが出来る。
【0025】
さらに、画像処理回路50は、CCD16から読み出された信号の周波数成分のみを抜き出す機能を備え、その機能は自動ピント合わせ制御(AF:Auto Focus)時に使用される。また、画像処理回路50は、CCD16から読み出されたデータのどの領域の周波数成分を抽出するか、また、領域内を分割設定出来る機能を備えている。また、画像処理回路50はヒストグラムを生成する機能も持ち、画像データを入力することで画像のヒストグラムを取得することも出来る。
【0026】
さらに、画像処理回路50は、A/D回路22によりデジタル化された画像信号のレベルの増減、画像の色効果等を操作する機能を備え、撮影画像の画質を調節するという役割も担っている。画像信号のレベルに関して、画像処理回路50は、画像全体に一律の増幅率でレベルを増減させる機能や、元の信号レベルの大小に応じて信号レベルを変換するトーンカーブ(ガンマ)機能を有する。あるいは、画像処理回路50は、画面内の領域ごとの周波数成分に応じた増幅率でレベルを増減させる機能を有する。それらの機能により、様々な画像信号レベル調節が可能となっている。
【0027】
A/D回路22からデジタル化された画像データが画像処理回路50へ入力すると同時に、その画像データを一時記憶メモリ30に記憶することが出来る。一旦、一時記憶メモリ30に記憶した画像データは再度読み出すことができ、システム制御部60から画像データを参照したり、読み出した画像データを画像処理回路50に入力することが可能である。さらに、画像処理回路50で画像処理した画像データを一時記憶メモリに書き戻したり、システム制御部60から任意のデータを書き込むことも可能である。
【0028】
画像処理回路50で適切に処理された画像データは、画像認識回路38に入力することが出来る。画像認識回路38は、入力された画像の明るさ状況、ピント合焦状況、色状況の認識に加え、人物の顔認識とその表情、文字がある場合はその文字情報を認識することが可能となっている。画像認識回路38には複数の画像を入力することが可能となっており、例えば2つの画像を入力し、その2つの画像の特徴を比較することで、同一の画像かどうかを判定することが可能となっている。
【0029】
画像認識回路38で画像を認識する方法に加え、システム制御部60でも画像認識処理を行うことが出来る。システム制御部60はCPU上で予めコーディングされたプログラムを実行することが出来るが、一時記憶メモリ30に記憶された画像データをシステム制御部60から読み出し、その画像データを解析してシーンの状況を認識することが出来る。
【0030】
画像をLCD等の画像表示装置108に出力する場合、画像処理回路50で画像処理を行った画像データをVRAM34上に展開しておき、それをD/A36にてアナログデータに変換して画像表示装置108に表示する。電子ファインダーを実現する場合は、CCD16から読み出される連続した画像を順次画像表示装置108に表示更新していくことで可能となる。VRAM34上に画像データを展開する際、1つの画像データを画像表示装置108に最も大きくなるように、又は複数の画像をマルチ画面表示するように等、様々な表示形態に対応するようにVRAM34上に展開することが出来る。
【0031】
画像表示装置108には、画像だけでなく任意の情報を単独、もしくは画像と共に表示することが可能である。カメラの状態表示や、ユーザーが選択あるいはカメラが決定したシャッター速度や絞り値、感度情報等の文字情報や、画像処理回路50にて測定した輝度分布のようなグラフや、顔認識結果、シーン認識結果等も表示可能である。情報の表示位置、表示色も任意に選択可能である。これら様々な情報を表示することで、ユーザーインターフェースをとることが可能となる。
【0032】
また、画像表示装置108には、画像記憶媒体82に記憶されている画像データを表示することも可能である。画像データが圧縮されている場合、圧縮伸張部32にて伸張し、VRAM34にデータを展開する。このデータをD/A36にてアナログデータに変換して出力する。
【0033】
画像記憶媒体82は不揮発性のものであり、主に撮影した画像データを記憶することが可能である。画像データの記憶に関しては、フォルダ階層を持たせたり、撮影した順にフォルダやファイル名が昇順に命名されるようにすることが可能である。各画像データには、絞り値やシャッター速度、ISO感度等の撮影情報や、撮影した時刻等を付加することができ、それらを画像データと共に記憶することが可能となっている。さらに、記憶した画像データの読み出しはもちろん、画像の複製、移動、消去も可能となっている。
【0034】
操作部70には、システムの電源オン/オフを切り替えることの出来る電源スイッチ102、撮影指示を行うためのシャッタースイッチSW1(104)、SW2(106)、モード切替スイッチ110、パラメータ選択スイッチ112が含まれる。
【0035】
シャッタースイッチSW1(104)は、不図示のシャッターボタンの操作途中でONとなり、自動露出制御やピント制御等の撮影準備動作の開始を指示する。シャッタースイッチSW2(106)は、不図示のシャッターボタンの操作完了でONとなり、静止画撮影や画像認識の指示を行う操作が実現可能である。
【0036】
モード切替スイッチ110は、静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード等のカメラ動作モードを切り替えることが出来る。
【0037】
パラメータ選択スイッチ112により、測距領域や測光モードをはじめとする撮影時の撮影条件の選択や、撮影画像再生時のページ送り、カメラの動作設定全般等をユーザーが選択することが出来る。さらに前述の電子ファインダーのOn/Offを選択することも出来る。また、画像表示装置108は画像を表示すると共に、タッチパネルとして入力装置となる構成とすることも出来る。
【0038】
なお、図1において、撮像系として囲まれた部分が被写体を撮像するとともに、画角を変更可能な撮像手段に対応している。
【0039】
図2は、図1におけるシステム制御部60により実行される静止画記録処理の手順を示すフローチャートである。
【0040】
図2において、システム制御部60は、後述する図3の被写体枠表示処理を実行して、CCD16から読み出された画像データを解析することで被写体領域を決定する。そして、そこに主被写体を示す被写体枠を撮像された被写体を示す画像に重畳して表示する(ステップS201)。
【0041】
次いで、シャッタースイッチSW1(104)がONか否かを判別する(ステップS202)。判別の結果、OFFのときは(ステップS202でNO)、S201に戻り、ONのときは(ステップS202でYES)、ステップS203に進み、被写体輝度を求めるための測光処理を行う(ステップS203)。この測光処理では、撮像部から読み出された画像データの信号レベルと適正レベルとの差分、測光時の露出等から被写体輝度を求め、測光値としてシステム制御部60の内部メモリ(不図示)に記憶する。また、ステップS201で表示された被写体枠の位置に対して重点測光することも可能である。
【0042】
次いで、システム制御部60は、ステップS203で記憶した測光値に基づき測距処理に適した露出に制御し(ステップS204)、測距処理を行う(ステップS205)。このステップS205ではステップS201で表示された被写体枠の位置に対して測距を行い、被写体に対してピントを合わせることが出来る。
【0043】
次いで、ステップS203で記憶した測光値に基づき、シャッタースイッチSW1(104)のONを保持している間に用いる露出を制御する(ステップS206)。ここではシャッタースイッチSW2(106)がONとなった後の撮影タイムラグを短縮するため、静止画露出の絞り値に予め絞りを制御しておく。
【0044】
次いで、シャッタースイッチSW2(106)がONか否かを判別し(ステップS207)、OFFのときは(ステップS207でNO)、シャッタースイッチSW1(104)がONか否か判別する(ステップS208)。ここで、OFFのときは(ステップS208でYES)、ステップS201に戻り、ONのときは(ステップS208でNO)、ステップS207の処理に戻る。
【0045】
ステップS207の判別の結果、ONのときは(ステップS207でYES)、ステップS203で記憶した測光値に基づき静止画用の露出に設定する(ステップS209)。また、発光撮影する場合には調光動作を行い、本露光に対する発光設定も行っておく。次いで、本露光を行う(ステップS210)。本露光されたデータは一時記憶メモリ30に記憶される。そして、撮像されたデータの現像処理を行い(ステップS211)、現像されたデータを画像記録媒体I/F80を通じて画像記憶媒体82に記録し(ステップS212)、再びステップS201の処理に戻る。
【0046】
図3は、図2のステップS201で実行される被写体枠表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
なお、以下の説明において、画角を変更することをズームと表現し、望遠側をテレ側、広角側をワイド側と表現する。また、フローチャートではαT→Wのようにαに矢印を用いて表現しているが、ここでは省略する。
【0048】
図3において、システム制御部60は、主被写体検出枠決定処理を実行して、被写体枠の候補となる主被写体検出枠(第1主被写体候補)を決定する(ステップS301)(第1決定手段)。
【0049】
図4は、この図3のステップS301で実行される主被写体枠決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
図4において、システム制御部60は、得られた画像データをM×Nのブロックに分割し、M×Nの各ブロックに対して輝度/色相/彩度情報を取得する(ステップS501)。ここでは画像処理回路50及び或いはシステム制御部60を用いて画像データをM×Nの輝度/色相/彩度情報に変換する(例えばM=32、N=24)。以降、このM×Nの輝度/色相/彩度情報を解析に用いる。
【0051】
次いで、取得した輝度/色相/彩度情報をもとに、M×Nのブロックを複数の領域に分割する(ステップS502)。具体的に、まず彩度情報を用いて、彩度の高いブロックと低いブロックとを認識する。次いで彩度の高いブロックについては色相情報を用いて、彩度の低いブロックについては輝度情報を用いて、それぞれの情報がある範囲内に収まるブロックを同一領域としてグルーピングする。こうすることで、M×Nのブロックが色の似た領域及び或いは輝度の似た領域に分割されることになる。
【0052】
次いで、分割された各領域が背景であるか否かを判定し、背景であると判定された領域を、主被写体領域候補から除外する(ステップS503)。具体的には、画面端に触れている部分の多い領域や、その領域と近い色相を持った領域を背景領域と判定し、それ以外は背景以外の領域として定める。同じ画面端でも画面下方向については主被写体領域が触れる可能性が高いことから、画面下方向については背景除去の対象外としてもよい。
【0053】
主被写体領域候補から除外されずに候補に残った背景以外の領域の各々に対して、上述した第1評価値としての評価値を算出する(ステップS504)。この評価値は、画面中心からの距離、面積、扁平率のうちの少なくとも1つの情報から算出され、値が大きいほど主被写体領域である可能性が高いことを示す。例えば画面中心に近く、面積が大きく、扁平率が低いほど評価値を高くする。また、前回の主被写体枠決定処理にて評価値が一番大きかった領域と同一と判定された領域の評価値を高くすることも出来る。同一領域の判定には輝度/色相/彩度情報や位置を用いればよい。
【0054】
次いで、主被写体である主被写体可能性を示す主被写体自信度を算出する(ステップS505)。この主被写体自信度は、評価値の一番大きかった領域の評価値、及び評価値の大きかった上位2つの領域の評価値の差分が大きいほど大きくする。また、同一領域が連続して評価値の一番大きい領域となった場合に主被写体自信度を大きくしてもよい。
【0055】
そして、上述した第1主被写体候補としての主被写体検出枠を決定して(ステップS506)、本処理を終了する。ここでは、ステップS505で算出した主被写体自信度が閾値以上であれば評価値の一番大きかった領域を主被写体検出枠として決定する。主被写体自信度が閾値に達していない場合、「主被写体検出枠なし」とする。また、ステップS503で背景除去された結果残った主被写体領域候補の数が多かった場合も、評価値のばらつきによって評価値の一番大きい領域が安定しないため「主被写体検出枠なし」としてもよい。
【0056】
なお、この主被写体枠決定処理は、画面端に触れている部分の多い領域やその領域と近い色相を持った領域を主被写体領域候補から除外する手順であるため、画角の変動が生じるズームの影響を受けやすいものとなっている。例えば、主被写体検出枠として決定された領域における被写体であっても、その後のズームによって画角の端部に接する部分が増えてしまうと、背景として扱われることになってしまうことがある。
【0057】
図3に戻り、ステップS302で、追尾中か否かを判別する(ステップS302)。この追尾処理は、指定された被写体領域の主に色に基づいて、連続して撮像される画像データ中の被写体領域の位置を追跡する処理である。追尾処理の開始、終了に関する処理はS306、S318、S610等で行われるが、システム制御部60は内部メモリに記憶されたフラグを管理、参照することによって現在の追尾状態を判断することが出来る。
【0058】
ステップS302の判別の結果、追尾中でないとき(ステップS302でNO)、ステップS301の主被写体検出枠決定処理によって得られた被写体枠の候補となる主被写体検出枠があるか否かを判別する(ステップS303)。主被写体検出枠がなかったとき(ステップS303でNO)、画像表示装置108上の被写体枠を非表示にして(ステップS304)、本処理を終了する。ステップS304では、それまで被写体枠を表示していた場合はそれを非表示とし、また表示している被写体枠がなかった場合はそのまま被写体枠が表示されない状態を保つ。
【0059】
ステップS303の判別の結果、主被写体検出枠があったとき(ステップS303でYES)、主被写体検出枠を被写体枠として画像表示装置108に表示し(ステップS305)、追尾処理を開始して(ステップS306)、本処理を終了する。
【0060】
ステップS302の判別の結果、追尾中のとき(ステップS302でYES)、追尾枠決定処理を実行して、被写体枠の候補となる追尾枠(第2主被写体候補)を決定する(ステップS307)(第2決定手段)。
【0061】
図5は、この図3のステップS307で実行される追尾枠決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
図5において、システム制御部60は、追尾対象の初期特徴色が記憶済みか否かを判別する(ステップS601)。判別の結果、記憶済みのときは(ステップS106でYES)、ステップS604に進み、記憶済みでなければ(ステップS601でNO)、対象領域の色情報を初期特徴色(予め定められた色)として記憶する(ステップS602)。初期特徴色は追尾開始直後に追尾対象の被写体の色情報を記憶しておくためのもので、追尾中にこの初期特徴色との色の差が大きくなった場合に追尾を中止するための判断等に用いる。
【0063】
次いで、初期特徴色を追尾対象色とする(ステップS603)。追尾処理はこの追尾対象色に最も近い色の領域を追跡するように動作する。追尾対象色は追尾枠決定処理のたびに更新されるが、ステップS603は追尾開始直後に追尾対象色を初期特徴色で初期化する処理となる。
【0064】
次いで、追尾対象色に最も近い色の領域を撮像して得られた画像内の領域を探索して、追尾対象領域として決定する(ステップS604)。最も近い色か否かの判断には画像データのR/G/B信号を用いればよく、例えばR/G/Bそれぞれのデータと追尾対象色のR/G/B成分との差分が閾値以内に収まるかを調べればよい。また、探索する画像を示す画像データそのものではデータサイズが大きい場合があるため、画像データを加工等して得られたデータから該当領域を探索してもよい。
【0065】
次いで、追尾対象色をステップS604で決定した追尾対象領域の色に更新し、記憶する(ステップS605)。追尾対象色を追尾枠決定処理を行うたびに更新することで、外光等の影響で少しずつ被写体の色が変わってしまうような場合でも追尾し続けることが可能となる。
【0066】
次いで、最終的な第2主被写体候補としての追尾枠を決定する(ステップS606)。基本的には上記予め定められた色に最も近い色を有する領域を追尾枠とする。しかしながら、追尾対象色と似た色の領域が存在しなかった場合や、ステップS604で見つかった領域の色が初期特徴色からある程度以上変わってしまっている場合等は、ステップS604で決定した領域を最終的な追尾枠としては採用せずに「追尾枠なし」とする。
【0067】
次いで、第2評価値としての追尾自信度を算出する(ステップS607)。追尾自信度は、予め定められた色と追尾枠における領域の色との類似度により算出される。具体的には、追尾対象色と初期特徴色の差が小さい場合に大きい値にする。追尾対象色と初期特徴色の差が小さい場合は、追尾開始時と同一被写体を追尾している可能性が高いと判断出来るためである。また、追尾枠のサイズ変動が小さい場合や追尾枠の移動距離が小さい場合、また追尾開始からの時間経過が短い場合に追尾自信度を大きくしてもよい。
【0068】
次いで、ステップS606で追尾枠として決定された枠があるか否かを判別し(ステップS608)、追尾枠があるとき(ステップS608でYES)、本処理を終了する。ステップS606での判別の結果、追尾枠がないとき(ステップS608でNO)、追尾情報をクリアし(ステップS609)、追尾を中止して(ステップS610)、本処理を終了する。
【0069】
上記追尾情報は初期特徴色、追尾対象色等の色情報である。他にも、追尾開始時点の追尾枠サイズ等を記憶している場合はそれもクリアされる。追尾の中止に関し、追尾中か否かを管理するフラグを用意している場合はフラグをクリアしておく。
【0070】
なお、この追尾枠決定処理は、追尾対象色に最も近い色の領域を探索するものであるため、追尾対象とする被写体の一部が画面の外にはみ出している場合であっても、被写体の残りの部分から追尾を行うことが可能である。そのため、主被写体枠決定処理に比較して、画角の変動が生じるズームの影響を受けにくい。
【0071】
図3に戻り、現在ズーム中であるか否かを判別する(ステップS308)。判別の結果、ズーム中のとき(ステップS308でYES)、そのズームがワイド側(W)からテレ側(T)に向かう方向(W→T)か否かを判別する(ステップS309)。ズームがW→Tのとき(ステップS309でYES)、係数αにαWTを設定する(ステップS310)。ズームがW→Tではないとき、すなわちテレ側(T)からワイド側(W)に向かう方向T→Wのときは(ステップS309でNO)、係数αにαTWを設定する(ステップS311)。
【0072】
ここで、係数αは、0≦αWT≦αTW<1を満たす。すなわち、ズームがワイド側(W)からテレ側(T)に向かう方向のときの値は、テレ側(T)からワイド側(W)に向かう方向のときの値以下となる。従って、αは、撮像する画角がワイド側からテレ側に変更されている場合は、テレ側からワイド側に変更されている場合と比較してより大きく主被写体可能性を低くするように評価値を補正するものである。そして、係数αは主被写体検出枠決定処理(ステップS301)で決定された主被写体自信度(第1評価値)を減じる係数である。すなわち、αは、主被写体可能性を低くするように主被写体自信度を補正する係数である。
【0073】
次いで、α倍した主被写体自信度を改めて主被写体自信度とする(ステップS312)(補正手段)。この主被写体自信度は、主被写体検出枠が被写体枠として有力だと主被写体検出枠決定処理中で判断した場合に大きくなる評価値である。
【0074】
このステップS312において、αWTはαTW以下であるので、ズームがワイド側(W)からテレ側(T)に向かう方向の場合に主被写体自信度がより低下することとなる。これは、ズームがワイド側(W)からテレ側(T)に向かう方向の場合、ズーム前に画角内にあった被写体がズームした結果画角外に出てしまう場合があるためである。また、中心からの距離もばらつきが大きくなり主被写体検出枠決定処理の精度が低下しやすいためである。
【0075】
一方、テレ側(T)からワイド側(W)に向かう方向の場合はズーム前に画角内にあったものはズームしても画角内に収まっている可能性が高いと考えられる。また、中心からの距離のばらつきも小さくなる方向であるため主被写体検出枠決定処理の精度はあまり低下しないと考えられる。これらを考慮し、ズームがワイド側(W)からテレ側(T)に向かう方向の場合に主被写体自信度がより低下するようにしている。
【0076】
次いで、主被写体自信度が閾値以上か否かを判別する(ステップS313)。閾値より小さときは(ステップS313でNO)、ステップS315に進み、主被写体自信度が閾値以上であったときは(ステップS313でYES)、追尾自信度(第2評価値)が閾値以下か否かを判別する(ステップS314)。この追尾自信度は、追尾枠決定処理(ステップS307)で決定される追尾枠が被写体として有力だと判定された場合に大きくなる評価値であり、追尾枠決定処理で算出される。
【0077】
ステップS314の判別の結果、追尾自信度が閾値より大きいときは(ステップS314でNO)、ステップS315に進む。主被写体自信度が低く追尾自信度が高いことから、主被写体検出枠でなく追尾枠を被写体枠として決定し、追尾枠を画像表示装置108に表示して(ステップS315)(表示手段)、本処理を終了する。なお、追尾枠決定処理において追尾枠が決定されなかった場合は、当然に追尾枠を被写体枠として表示しないこととなる。
【0078】
ステップS314の判別の結果、追尾自信度が閾値以下であったときは(ステップS314でYES)、ステップS316に進む。主被写体自信度が高く追尾自信度が低いことから、追尾枠でなく主被写体検出枠を被写体枠として決定し、被写体枠を画像表示装置108に表示する(ステップS316)(表示手段)。
【0079】
次いで、これまでの追尾情報をクリアし(ステップS317)、追尾処理を再開して(ステップS318)、本処理を終了する。ステップS318では、記憶していた追尾対象領域の色情報をクリアし、新たな被写体枠の領域の色情報を記憶し直して追尾を再開することとなる。
【0080】
上記ステップS313〜316が第3決定手段に対応している。これらの処理で主被写体可能性が高い方の評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定することについて説明する。まずズーム中であるならば、ステップS308から分岐してαが補正され、そこでステップS313、或いはさらにステップS314の処理が行われる。ズーム中に主被写体枠が追尾枠となるケースは、追尾自信度によらずに主被写体自信度が閾値未満の場合、又は主被写体自信度が閾値以上かつ追尾自信度が閾値より大きい場合がありうる。追尾枠のほうがズームによる画角の変動を受けにくいため、追尾自信度のほうが主被写体枠として選択されやすい。反対に、ズーム中に主被写体枠が追尾枠となるケースは、主被写体自信度が閾値以上かつ追尾自信度が閾値未満の場合のみである。
【0081】
図3の処理によれば、まず画角に依存する情報を用いて主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定する(ステップS301)。次いで、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定(ステップS307)する。次いで、画角が変更されている場合に(ステップS308でYES)、主被写体可能性を低くするように第1評価値を補正し(ステップS310、311)、補正された第1評価値と第2評価値とを比較する。そして、主被写体可能性が高い方の評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定する(ステップS313〜316)。このように構成することでで、画角が変化している場合でも主被写体を精度よく決定することが出来る。なお、主被写体自信度をα倍する代わりに、追尾自信度を1/α倍して追尾自信度を高くさせても同様の効果を得ることが出来る。
【0082】
また、ズーム中は画角の変動により、主に画面中心からの距離等、画角に依存する評価値によって被写体領域を決定する主被写体検出枠決定処理の精度が低下するため、ステップS312で主被写体自信度をズームしていないときよりも減じている。一方、主に画角に依存しない色情報を基に被写体領域を決定する追尾枠決定処理に対する追尾自信度に関しては、特に減じる処理等を行わない。特に追尾枠決定処理に関しては、ズーム開始前に記憶した初期特徴色に似た色の領域を追跡することになるため、被写体が安定していたときの情報を基に被写体領域を決定している点でズーム中も正しく被写体枠を決定出来る可能性が高い。
【0083】
さらに、ズーム中は画角の変動により、主に画面中心からの距離等、画角に左右される評価値によって被写体領域を決定する主被写体検出枠決定処理の精度が低下するため、主被写体自信度を低減させている。こうすることで、主に画角には左右されない色情報を基に決定される追尾枠が被写体枠として選択されやすくしている。これにより、ズーム中に主被写体検出枠決定処理が誤検出することによって、誤検出された被写体を追尾してしまう確率を減らすことが出来る。
【0084】
図6は、図2のステップS201で実行される被写体枠表示処理の変形例の手順を示すフローチャートである。
【0085】
図6において、現在ズーム中であるか否かを判別(ステップS701)する。判別の結果、ズーム中でないときは(ステップS701でNO)、図4の主被写体検出枠決定処理を行い(ステップS702)、ステップS703に進み、ズーム中のときは(ステップS701でYES)、ステップS703で追尾中か否か判別する。
【0086】
ステップS703での判別の結果、追尾中ではないときは(ステップS703でNO)、ステップS702の主被写体検出枠決定処理によって被写体枠の候補となる主被写体検出枠があったか否かを判別する(ステップS704)。主被写体検出枠がなかった場合は(ステップS704でNO)、画像表示装置108上の被写体枠を非表示にして(ステップS705)、本処理を終了する。このとき、それまで被写体枠を表示していた場合はそれを非表示とし、また表示している被写体枠がなかった場合はそのまま被写体枠が表示されない状態を保つ。
【0087】
ステップS704の判別の結果、主被写体検出枠があったとき(ステップS704でYES)、主被写体検出枠を被写体枠として画像表示装置108に表示し(ステップS706)、追尾処理を開始して(ステップS707)、本処理を終了する。
【0088】
ステップS703の判別の結果、追尾中のとき(ステップS703でYES)、図5の追尾枠決定処理によって被写体枠の候補となる追尾枠を決定し(ステップS708)、現在ズーム中である否かを判別する(ステップS709)。ステップS709の判別の結果、ズーム中であったときは(ステップS709でYES)、追尾枠を被写体枠として選択し、追尾枠を画像表示装置108に表示して(ステップS712)、本処理を終了する。なお、追尾枠決定処理において追尾枠が決定されなかった場合は、当然に追尾枠を被写体枠として表示しないこととなる。
【0089】
ステップS709の判別の結果、ズーム中でないときは(ステップS709でNO)、主被写体自信度が閾値以上か否かを判別し(ステップS710)、閾値より小さかったときは(ステップS710でNO)、上述したステップS712に進む。なお、ズーム中でS702を実行しなかった場合は、主被写体自信度は算出されず、ステップS710の判定としては主被写体自信度が閾値に満たないとする。
【0090】
ステップS710の判別の結果、主被写体自信度が閾値以上であったときは(ステップS710でYES)、追尾自信度が閾値以下か否かを判別し(ステップS711)、追尾自信度が閾値以下でないときは上述したステップS712に進む。このステップS711を経由してステップS712に到達した場合は、主被写体自信度も追尾自信度も高いこととなるので、主被写体検出枠でなく追尾枠を優先して被写体枠として決定し、追尾枠を画像表示装置108に表示することとなる。
【0091】
ステップS711の判別の結果、追尾自信度が閾値以下であったときは(ステップS711でYES)、主被写体自信度が高く追尾自信度が低いことから、追尾枠でなく主被写体検出枠を被写体枠として決定する。それとともに、主被写体検出枠を画像表示装置108に表示する(ステップS713)。次いで、これまでの追尾情報をクリアし(ステップS714)、追尾処理を再開して(ステップS715)、本処理を終了する。このとき、記憶していた追尾対象領域の色情報をクリアし、新たな被写体枠の領域の色情報を記憶し直して追尾を再開することとなる。
【0092】
上記処理において、ズーム中は画角の変動により、主に画面中心からの距離等画角に左右される評価値によって被写体領域を決定する主被写体検出枠決定処理の精度が低下するため、主被写体検出枠決定処理をズーム中は行わないようにしている。一方で、主に画角には左右されない色情報を基に被写体領域を決定する追尾枠決定処理を行い、被写体枠として追尾枠を採用する。主被写体検出枠決定処理の精度低下による被写体枠表示精度の低下を避けるとともに、ズーム中の主被写体検出枠決定処理によるシステム制御部60の処理負荷の増加を抑えることが出来る。
【0093】
また、上述した主被写体検出枠決定処理では、ステップS504、505で履歴情報を用いて評価値を算出することも出来る。しかしながら、特に履歴情報を利用できない初回の判定は位置、面積、形状といった画角に影響を受ける指標をもとに主被写体検出枠を決定するため、そこで被写体を誤検知してしまうとその後追尾を開始することで誤った被写体を追尾してしまうことになる。精度の低下する可能性が高いズーム中の主被写体検出決定処理を停止することで、画角の安定している非ズーム時に検出した被写体のみを追尾することが出来るようになり、誤追尾しにくくすることが出来る。
【0094】
さらに、本実施の形態では画角の変動する条件としてズーム中であるか否かで主被写体自信度の低減や、主被写体検出枠決定処理の停止を行っているが、ジャイロ信号や加速度センサの出力に基づいて同様の処理を行ってもよい。例えばジャイロ信号が大きい場合や、加速度センサの出力が大きい場合は画角が変更されている可能性が高いため、主被写体自信度の低減や、主被写体検出枠決定処理の停止を行えばよい。
【0095】
以上説明したように、図3に示す被写体枠表示処理のフローチャートでは、ズーム中でない場合には、ズーム中である場合に比較して、追尾自信度に対する主被写体自信度の値が低減されるように補正している。また、図6に示す被写体枠表示処理のフローチャートでは、ズーム中でない場合には主被写体自信度を参照するが、ズーム中である場合には被写体自信度を参照せずに被写体枠を決定している。このように、本実施の形態では、ズーム中である場合には、ズーム中でない場合に比較して、画角に依存する主非被写体自信度よりも画角に依存しない追尾自信度を、より優先して用いて被写体枠を決定することで、主被写体を精度良く決定することが可能となる。
【0096】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0097】
10 レンズ
16 CCD
38 画像認識回路
42 レンズ駆動回路
50 画像処理回路
60 システム制御部
100 撮像装置
104 シャッタースイッチSW1
106 シャッタースイッチSW2
108 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するとともに、画角を変更可能な撮像手段と、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存する情報を用いて主被写体候補が主被写体である主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定する第1決定手段と、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定する第2決定手段と、
前記第1評価値と前記第2評価値を用いて、いずれかの評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定する第3決定手段と
を備え、
前記第3決定手段は、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合は、変更されていない場合に比較して、前記第1評価値に対する前記第2評価値を優先して用いて前記主被写体を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第3決定手段は、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合に、画角が変更されていない場合に比較して、前記主被写体可能性を低くするように前記第1評価値を補正するか、あるいは、前記主被写体可能性を高くするように前記第2評価値を補正する補正手段を備え、前記補正手段によりいずれかが補正された第1評価値と前記第2評価値を比較して、前記主被写体可能性が高い方の評価値に対応する主被写体候補を前記主被写体として決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記撮像手段により撮像する画角が広角側から望遠側に変更されている場合は、望遠側から広角側に変更されている場合と比較してより大きく前記主被写体可能性を低くするように前記第1評価値を補正するか、あるいは、より大きく前記主被写体可能性を高くするように前記第2評価値を補正することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第3決定手段は、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合は、前記第2評価値に対応する主被写体候補を前記主被写体として決定し、前記撮像手段により撮像する画角が変更されていない場合は、前記第1評価値と前記第2評価値を比較して、前記主被写体可能性が高い方の評価値に対応する主被写体候補を前記主被写体として決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1決定手段は、輝度、色相、及び彩度情報を用いて背景以外の領域を定め、前記第1評価値を、前記画角に依存する情報として、前記画像の中心からの距離、面積、及び扁平率のうちの少なくとも1つの情報を用いて算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画角に依存しない情報は、予め定められた色を示す情報であり、
前記第2決定手段は、前記予め定められた色に最も近い色を有する前記画像内の領域を前記第2主被写体候補として決定し、前記予め定められた色と前記第2主被写体候補における領域の色との類似度により前記第2評価値を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第3決定手段により決定された主被写体であることを示す画像を、前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像に重畳して表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像するとともに、画角を変更可能な撮像手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存する情報を用いて主被写体候補が主被写体である主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定する第1決定ステップと、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定する第2決定ステップと、
前記第1評価値と前記第2評価値を用いて、いずれかの評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定する第3決定ステップと
を備え、
前記第3決定ステップは、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合は、変更されていない場合に比較して、前記第1評価値に対する前記第2評価値を優先して用いて前記主被写体を決定することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
被写体を撮像するとともに、画角を変更可能な撮像手段を備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存する情報を用いて主被写体候補が主被写体である主被写体可能性を示す第1評価値を算出して第1主被写体候補を決定する第1決定ステップと、
前記撮像手段に撮像された被写体を示す画像から、画角に依存しない情報を用いて前記主被写体可能性を示す第2評価値を算出して第2主被写体候補を決定する第2決定ステップと、
前記第1評価値と前記第2評価値を用いて、いずれかの評価値に対応する主被写体候補を主被写体として決定する第3決定ステップと
を備え、
前記第3決定ステップは、前記撮像手段により撮像する画角が変更されている場合は、変更されていない場合に比較して、前記第1評価値に対する前記第2評価値を優先して用いて前記主被写体を決定することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−129940(P2012−129940A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281983(P2010−281983)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】