説明

撮像装置及びプログラム

【課題】撮像素子を有する撮像部が取り付けられている位置に拘わらず、この撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に筐体が写り込んでしまうというケラレの発生を効果的に防止できるようにする。
【解決手段】中央制御部11は、カメラ部4を構成する撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に自己の筐体が写し込まれるか否かを判別し、写し込まれる場合には、この筐体が写し込まれないように切出領域を調整する。すなわち、スタイル及び画角の検出結果に応じて切出領域調整テーブルM3を参照したり、スルー画像内に筐体が移し込まれているか否かを画像認識したりして、ケラレの発生有無を判別し、その判別結果に応じて切出領域を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置本体を構成する複数の筐体を可動自在に連結すると共に、いずれかの筐体に撮像素子を有する撮像部を備える撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像部を備える折り畳みタイプの携帯電話において、両筐体が特定の位置関係になった際に、設計上や仕様上の制約から撮像部の取付位置によっては、その筐体の一部が撮像範囲に写り込んでしまう場合がある。例えば、運動会などのように人垣の上から撮影を行うような場合に、モニタ画面が見やすくなるように、両筐体の位置関係を変更した際に、筐体の一部が撮像範囲に写り込んでしまうというケラレが発生することがある。
ところで、従来、このようなケラレ対策用に利用可能な技術として、例えば、被写界深度を算出し、レンズ近傍を非合焦となるように制御することによって、被写体に対しては合焦しつつレンズ近傍のゴミやちりに対して非合焦とすることができるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−337280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の技術としては、撮像範囲に写し込まれてしまった筐体部分を目立たないようにすることができたとしても、ケラレの発生部分をぼやかす程度であるため、ある程度の効果しか期待することができず、しかも、撮影者の意図と異なる撮像結果になってしまうために、ケラレ対策用の技術としては、十分なものとはいえない。
したがって、従来、ケラレの発生を防ぐために、実装上、撮像部の取付位置を制約したり、使用上、複数の筐体の位置関係を制約したりしなければならなかった。
【0004】
この発明の課題は、撮像素子を有する撮像部が取り付けられている位置に拘わらず、この撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に筐体が写り込んでしまうというケラレの発生を効果的に防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、装置本体を構成する複数の筐体を可動自在に連結すると共に、いずれかの筐体に撮像素子を有する撮像部を備える撮像装置であって、前記撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に前記筐体が写し込まれるか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって切出領域内に筐体が写し込まれると判別された際に、この筐体が写し込まれないように当該切出領域を調整する領域調整手段と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項1に従属する発明として、前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを特定するスタイル特定手段を更に備え、前記判別手段は、前記スタイル特定手段によって検出された複数の筐体の位置関係に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0007】
請求項2に従属する発明として、前記スタイル特定手段は、前記複数の筐体を回動可能に連結する回動機構の回動角度を検出する角度検出部を含み、前記判別手段は、前記角度検出部によって検出された回動角度に応じて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項2に従属する発明として、前記切出領域の切出位置、切出領域の大きさのうち少なくともそのいずれかと、前記スタイル特定手段によって検出される複数の筐体の位置関係とを対応付けて記憶する対応記憶手段を更に設け、前記判別手段は、前記対応記憶手段の記憶内容に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、前記切出領域の切出位置、切出領域の大きさのうち少なくともそのいずれかと、前記スタイル特定手段によって検出される複数の筐体の位置関係とを対応付けて記憶する対応記憶手段を更に設け、前記領域調整手段は、前記対応記憶手段の記憶内容に基づいて前記切出領域を調整する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項2に従属する発明として、前記撮像部の焦点距離を可変する画角変更手段を更に備え、前記判別手段は、前記スタイル特定手段によって検出された複数の筐体の位置関係と前記画角変更手段によって決定される画角に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項2に従属する発明として、前記撮像部の焦点距離を可変する画角変更手段を更に備え、前記領域調整手段は、前記スタイル検出部によって検出された複数の筐体の位置関係と前記画角変更手段によって決定される画角に基づいて前記切出領域を調整する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、前記判別手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1に従属する発明として、前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、前記領域調整手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域の切出位置を変更することによって当該切出領域を調整する、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、前記領域調整手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域の大きさを変更することによって当該切出領域を調整する、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項8〜請求項10のいずれかに従属する発明として、前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを特定するスタイル特定手段を更に備え、前記画像認識手段は、前記スタイル検出部によって検出された複数の筐体の位置関係が特定のスタイルである場合に、前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する、ようにしたことを特徴とする請求項11記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段によって切出領域内に筐体が写し込まれていると判別された場合に、前記調整手段によって切出領域が調整されたことを教示する教示手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項12記載の発明であってもよい。
【0017】
請求項1に従属する発明として、前記領域調整手段によって切出領域内に筐体が写し込まれないように当該切出領域が調整された際に、前記調整後の切出領域内の画像を撮影時のモニタ画像として表示する画像表示手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項13記載の発明であってもよい。
【0018】
請求項1に従属する発明として、前記領域調整手段によって調整された切出領域内の画像に対して画像処理を実行してから記録保存する、ようにしたことを特徴とする請求項14記載の発明であってもよい。
【0019】
請求項14に従属する発明として、前記調整後の切出領域内の画像を調整前の元の大きさに戻してから記録保存する、ようにしたことを特徴とする請求項15記載の発明であってもよい。
【0020】
また、上述した課題を解決するために請求項16記載の発明は、コンピュータに対して、装置本体を構成する複数の筐体が可動自在に連結されていると共に、いずれかの筐体に撮像素子を有する撮像部が備えられている状態において、この撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する機能と、前記切出領域内に筐体が写し込まれると判別された際に、この筐体が写し込まれないように当該切出領域を調整する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、撮像部の取付位置を実装上制約したり、複数の筐体の位置関係を使用上制約したりすることなく、撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に筐体が写り込んでしまうというケラレの発生を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、撮像装置として、撮像部を備える携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の外観図である。
携帯電話機は、その機器本体(装置本体)を構成する複数の筐体が可動自在に連結されていると共に、この連結状態に応じて複数のスタイルに変更可能な2軸ヒンジタイプで、操作側筐体1と表示側筐体2とは、折り畳み開閉自在及び回動自在にヒンジ部3を介して連結されている。このヒンジ部3には、操作側筐体1と表示側筐体2とを折り畳み開閉するための開閉用ヒンジ軸(第1軸)が設けられているほか、この開閉用ヒンジ軸と略直交して、一方の筐体を他方の筐体に対して回動するための回動用ヒンジ軸(第2軸)が設けられている。なお、ヒンジ部3も操作側筐体1と表示側筐体2と同様に装置本体を構成する筐体のひとつである。
【0023】
このような2軸ヒンジタイプの携帯電話機においては、操作側筐体1と表示側筐体2との連結状態に応じて携帯電話機の形態を複数のスタイル(クローズスタイル、オープンスタイル、ビュースタイルなど)に変更可能なもので、図1(a)は、操作側筐体1と表示側筐体2とを折り畳んで表示画面DPを内側に向けた状態のクローズスタイルを示している。また、図1(b)は、クローズスタイルにおいて、上述の第1軸を中心に表示側筐体2を開いた状態のオープンスタイルを示し、図1(c)は、オープンスタイルにおいて、上述の第2軸を中心に表示側筐体2を略90度回動させた状態を示している。図1(d)は、オープンスタイルにおいて、表示側筐体2を180度回動させたのち、折り畳んで表示画面DPを外側に向けた状態のビュースタイルを示している。
【0024】
ヒンジ部3(筐体のひとつ)には、カメラ部4が取り付けられている。このカメラ部4は、その光軸方向に厚み(高さ)を持ったカメラモジュールで、通常はその撮影レンズが外側に向いているクローズスタイルやオープンスタイルで撮影を行うようにしているが、例えば、下方向を撮影するような場合には、図1(c)に示すような形態で撮影が行われることがある。すなわち、下方向や上方向を撮影したり、運動会などのように人垣の上から撮影を行ったりするような場合には、モニタ画像が見やすくなるように、表示側筐体2を回動させてその表示画面DPの角度を変えて撮影することがある。このような場合には、図1(c)に示すように表示側筐体2の一部が撮像範囲内に写り込んでしまう現象(ケラレ)が発生することがある。このケラレの発生は、特に広角撮影を行う場合に顕著なものとなる。
【0025】
図2(a)は、撮像素子の撮像範囲(有効画素数)を示した図である。
撮像素子の全体画素領域AEに対して、撮像範囲(有効画素数)BEは、レンズ収差などの影響を考慮して、全体画素領域AEよりも少し小さ目に設定されており、例えば、2560×1920画素の大きさとなっている。図2(b)〜(d)は、オープンスタイルにおいて第2軸を中心に表示側筐体2を回動させた場合に、その回動角度に応じてケラレ発生の状況が遷移する様子を示した図である。すなわち、図2(b)は、回動角度が“20度”の場合、図中、左上角の部分にケラレが発生することを示している。同様に、図2(c)は、回動角度が“90度”の場合、図中、上部中央部分にケラレが発生することを示し、図2(d)は、回動角度が“160度”の場合、図中、右上角の部分にケラレが発生することを示している。このように図2(b)〜(d)は、回動角度が“20度〜160度”を含む範囲内でケラレが発生し、特に、回動角度が“90度”の場合にはケラレ発生部分が最大なものとなることを示している。
【0026】
このようなケラレの発生を防ぐために、この実施形態においては撮像素子の有効画素数をデフォルトの画素領域とした場合に、このデフォルトの画素領域をケラレの発生具合に応じて調整するようにしている。すなわち、撮像範囲BEとして切り出される領域(以下、切出領域BEと呼称する)内に筐体が写し込まれている場合には、この筐体が写し込まれないようにデフォルトの切出領域(有効画素数)BEを調整するようにしている。その際、デフォルトの切出領域BEの大きさを変更(小さく)したり、デフォルトの切出領域BEの位置を変更したりすることによってその調整を行うようにしている。
【0027】
デフォルトの切出領域BEは、回動角度が“0度”の場合で、この切出領域BE(0度)の大きさを“100%”とすると、例えば、図2(b)に示すように回動角度が“20度”の場合の切出領域BE(20度)は、その大ききが“95%”に調整され、また、図中、下方向及び右方向に“2.5%”ずらされたものとなる。また、図2(c)に示すように回動角度が“90度”の場合の切出領域BE(90度)は、その大ききが“75%”に調整され、また、図中、下方向に“12.5%”ずらされたものとなる。また、図2(d)に示すように回動角度が“160度”の場合の切出領域BE(160度)は、その大ききが“95%”に調整され、また、図中、下方向及び右方向に“2.5%”ずらされたものとなる。
【0028】
図3は、撮像部を備える携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などが備えられている。携帯電話機は、例えば、最寄りの基地局から無線通信網に接続されると、この無線通信網を介して他の携帯電話機との間で通話可能状態となったり、電子メールの送受信が可能となったり、また、無線通信網を介してインターネットに接続されると、Webサイトをアクセスして閲覧可能となったりする。
【0029】
中央制御部11は、二次電池を備えた電源部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機1の全体動作を制御する中央演算処理装置、メモリなどを有している。記憶部13には、プログラムメモリM1、画像記憶メモリM2、切出領域調整テーブルM3、筐体認識用メモリM4などが設けられている。このプログラムメモリM1は、図5〜図7に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それらに必要な各種の情報が記憶されている。画像記憶メモリM2は、撮像された画像を記録保存するメモリである。なお、切出領域調整テーブルM3については、後で詳述するものとする。また、筐体認識用メモリM4については、後述する第2実施形態で説明するものとする。
【0030】
無線通信部14は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声を音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0031】
表示部16は、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用し、例えば、文字情報、待受画像、カメラ画像など、各種の情報を表示する。操作部17は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、撮影指示操作、シャッタ操作、撮影終了指示操作などが行われると、中央制御部11は、この操作に応じた処理を実行する。アプリ処理関係部18は、電子メール機能、インターネット接続機能、コンテンツ再生機能、カメラ機能などのアプリケーション処理に関する情報を記憶したり、その処理に関する制御を行ったりする。
【0032】
スタイル検出部19は、操作側筐体1と表示側筐体2との連結状態に応じて携帯電話機のスタイル(クローズスタイル、オープンスタイル、ビュースタイルといった狭義のスタイル)を検出するほか、操作側筐体1に対して表示側筐体2を回動させた場合にその回動の角度(ヒンジ部3を構成する第2軸の回動角度)に応じたスタイル(広義のスタイル)を検出するもので、例えば、磁気センサ、マイクロスイッチ、機械的スイッチなどを有する構成となっている。すなわち、スタイル検出部19は、狭義のスタイルを検出する検出部のほかに、複数の筐体1、2を回動可能に連結する回動機構(第2軸)の回動角度を検出する角度検出部(図示せず)を含む構成となっている。なお、ヒンジ部3を構成する第2軸の回動角度に応じたスタイル(広義のスタイル)としては、例えば、0度〜180度の範囲内において、例えば、5度単位毎にスタイルを検出するようにしている。
【0033】
カメラ部4は、撮像素子(例えば、CCDあるいはCMOS)を有する撮像部を構成するもので、静止画撮影のほかに動画撮影も可能となっており、撮影レンズ、ミラーなどのレンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス時の駆動制御、シャッタ駆動制御、露出、ホワイトバランスなどを制御したりする。また、カメラ部4は、被写体に応じて望遠/広角の切り替えができる2焦点式レンズやズームレンズを備え、焦点距離を可変する画角変更機構を作動させて望遠/広角やズーム撮影を行うようにしている。
【0034】
図4は、切出領域調整テーブルM3を説明するための図である。
切出領域調整テーブルM3は、スタイル検出部19によって検出される操作側筐体1と表示側筐体2との位置関係を示す「スタイル」に対応して、ケラレ発生の有無を示す「ケラレ発生」と、撮像素子の切出領域BEを調整するための調整データとしての「切出領域の大きさ」、「切出領域のずらし量(切出位置)」との項目を記憶する構成となっている。図4(a)は、標準画角時に使用される切出領域調整テーブルM3の内容を示し、図4(b)は、広角画角時に使用される切出領域調整テーブルM3の内容を示している。
【0035】
「スタイル」は、操作側筐体1と表示側筐体2との位置関係を示すデータとして、第1軸に関するスタイルを示す項目の「第1軸」と、第2軸の回動有無を示す項目の「第2軸回動」と、第2軸の回動角度を示す「第2軸回動角度」の項目を有し、標準画角時には図4(a)に示すように「第2軸回動角度」が“10度〜170度”の範囲内でケラレが発生することを示している。また、広角画角時には図4(b)に示すように「第2軸回動角度」が“5度〜175度”の範囲内でケラレが発生することを示している。
【0036】
「切出領域の大きさ」は、デフォルトの切出領域BEの大きさを変更した場合にその変更後の切出領域BEの大きさを示し、例えば、図2(a)に示したようにデフォルトの切出領域BEを“100%”とした場合において、標準画角時の「第2軸回動角度」が“10度〜30度”の場合には“95%” の大きさに調整され、また、“80度〜100度”の場合には“75%”の大きさに調整されることを示している。また、広角画角時の「第2軸回動角度」が“5度〜25度”の場合には、“90%” の大きさに調整され、“80度〜100度”の場合には“80%” の大きさに調整されることを示している。
【0037】
「切出領域のずらし量」は、デフォルトの切出領域BEの位置を変更した場合にその変更前の切出領域BEの位置に対して、変更後の切出領域BEの位置がどの方向にどの程度ずらすのかを示すデータである。すなわち、図2(a)に示したように、デフォルトの切出領域BEの中心点(センタ)を基準として切り出す場合に、このセンタ(デフォルト)に対して上下左右のいずれの方向にどの程度ずらすのかを示すもので、この「切出領域のずらし量」には、「上下方向」、「左右方向」の項目を有している。例えば、標準画角時の「第2軸回動角度」が“10度〜30度”の場合、「上下方向」のずらし量は、“下へ2.5%”、「左右方向」のずらし量は、“右へ2.5%”であることを示し、また、“80度〜100度”の場合、「上下方向」のずらし量は、“下へ12.5%”、「左右方向」のずらし量は、“センタ(デフォルト)”、つまり、ずらし量が“0”であることを示している。
【0038】
なお、切出領域調整テーブルM3の内容(具体的な数値)は、ケラレの発生の仕方、筐体設定に応じて異なる。また、「第2軸回動角度」は、“0度〜180度”の範囲内に限らず、“180度”以上回動可能であれば、それに応じて回動可能な範囲を変更したり、ケラレの発生の仕方に応じて変更したりしてもよい。また、切出領域調整テーブルM3の内容をユーザが任意に設定可能としてもよい。また、「切出領域の大きさ」は、規格サイズとしてもよい。また、図示の例では標準画角時に使用される切出領域調整テーブルM3と、広角画角時に使用される切出領域調整テーブルM3を例示したが、勿論、光学ズームに対応する切出領域調整テーブルM3を用意して、光学ズームの倍率に対応付けて各種の切出領域調整テーブルM3を設けるようにしてもよい。
【0039】
次に、この第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図5〜図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0040】
図5は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源スイッチのON操作に応答して(ステップA1でYES)、電源部12を駆動させて携帯電話機1の各部位に電力を供給させるほか、所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行する(ステップA2)。そして、所定の待受画像を読み出して表示させる待ち受け状態において(ステップA3)、無線通信部14から電話の着信有無をチェックする(ステップA4)。
【0041】
いま、電話着信を検出したときには(ステップA4でYES)、回線接続させるオフフック操作に応答して(ステップA5でYES)、通話可能状態とする通話処理を開始する(ステップA6)。その後、回線を遮断させるオンフック操作に応答して(ステップA7でYES)、上述の待ち受け状態に戻る(ステップA3)。なお、相手側から回線が遮断された着信終了時にも(ステップA8でYES)、上述の待ち受け状態に戻る(ステップA3)。
【0042】
また、着信待ち状態において何らかのユーザ操作を検出すると(ステップA9でYES)、それは撮影指示操作であるか(ステップA10)、電源オフ操作であるか、あるいはその他の操作であるかを調べる(ステップA14)。いま、カメラ部4を起動させる撮影指示操作が行われたときには(ステップA10でYES)、撮影モードとして静止画モードが指定されているかを調べ(ステップA11)、静止画モードが指定されていれば、後述する静止画撮影処理を実行する(ステップA12)。また、静止画モードが指定されていなければ(ステップA11でNO)、後述する動画撮影処理を実行する(ステップA13)。また、撮影開始の指示操作、電源オフ操作以外のその他の操作が行われたときには(ステップA14でNO)、発信処理や音楽再生処理などのアプリケーション処理を実行するが(ステップA16)、電源OFF操作が行われたときには(ステップA14でYES)、電源OFF処理を実行する(ステップA15)。
【0043】
図6は、静止画撮影処理(図5のステップA12)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、静止画モードでカメラ部4を起動すると共に(ステップB1)、カメラ部4の各部位などを初期化する処理を実行したのち(ステップB2)、その撮像素子で光電変換された画像信号を取り込み、表示部16にスルー画像(モニタ画像)として表示させる(ステップB3)。この状態において、スタイル検出部19をアクセスして現在のスタイル(狭義及び広義のスタイル)を検出すると共に(ステップB4)、検出した狭義のスタイルは特定スタイル(例えば、オープンスタイル)であるかを調べる(ステップB5)。
【0044】
いま、クローズスタイル、ビュースタイルであって特定スタイルでなければ(ステップB5でNO)、撮像素子の撮像範囲として、デフォルトの切出領域(2560×1920画素)BEを特定する(ステップB16)。また、特定スタイルであれば(ステップB5でYES)、カメラ部4の焦点距離に基づいて現在の画角(望遠/広角やズーム時の画像)を検出する(ステップB6)。そして、この画角に対応する切出領域調整テーブルM3を指定したのち、上述の検出スタイルに基づいて当該切出領域調整テーブルM3の「ケラレ発生」の項目を参照し、ケラレの発生有無を調べる(ステップB7)。
【0045】
例えば、標準画角の場合には、図4(a)に示す切出領域調整テーブルM3を参照し、オープンスタイルで第2軸回動角度が“0度〜10度”、170度〜180度の場合には「ケラレ発生」の項目には“なし”が設定されているが、“10度〜170度”の場合には、“あり”が設定されているので、この「ケラレ発生」の項目内容からケラレの発生有無を判別する。その結果、第2軸回動角度がケラレが発生しない角度であれば(ステップB7でNO)、デフォルトの切出領域BEを特定するが(ステップB16)、ケラレが発生する角度であれば(ステップB7でYES)、切出領域BEの変更量を導出する(ステップB8)。例えば、検出したスタイルがオープンスタイルで第2軸回動角度が“10度〜30度”の場合には、切出領域調整テーブルM3から「切出領域の大きさ」として“95%”を読み出し、「切出領域のずらし量」の「上下方向」として“下へ2.5%”、「左右方向」として“右に2.5%”を読み出す。
【0046】
そして、この切出領域の変更量に基づいて切出領域BEの大きさと切り出し位置を変更(調整)すると共に(ステップB9)、表示部16に表示されているスルー画像(モニタ画像)に変更後の切出領域BEを示す画枠を表示することによってユーザに切出領域BEが変更されたことを教示する(ステップB10)。以下、シャッタ操作が行われるまで(ステップB11)、上述のステップB3に戻って上述の動作を繰り返す。これによって静止画モードを起動してからシャッタ操作が行われるまでの間、スタイル検出を随時実行すると共に、特定スタイルを検出している間、画角検出を随時実行し、その検出結果に応じて切出領域BEを変更する。ここで、シャッタ操作が行われると(ステップB11でYES)、切出領域BE内の画像を取り込んで画像処理を施す(ステップB12)。
【0047】
この画像処理としては、例えば、切出領域BE内の画像を圧縮符号化処理したり、保存形式に応じたフォーマットに変換したりするが、更に、デジタルズーム処理などを行うようにしてもよい。例えば、変更後の切出領域BE内の画像が、ケラレが発生しない場合のデフォルトの切出領域BEと同様の大きさとなるように、その画像に対してデジタルズーム処理を施す。このような画像処理後の静止画像を画像ファイルとして画像記憶メモリM2に記録保存させる(ステップB13)。以下、撮影終了の指示操作(静止画モードの終了指示操作)が行われるまで(ステップB14)、上述のステップB3に戻って上述の動作を繰り返すが、終了指示操作が行われると(ステップB14でYES)、カメラ部4を停止させて静止画モード終了処理を行う(ステップB15)。
【0048】
図7は、動画撮影処理(図5のステップA13)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、動画モードでカメラ部4を起動すると共に(ステップC1)、初期化処理を実行したのち(ステップC2)、以下、上述した静止画モード時と基本的に同様の処理を行う。すなわち、表示部16にスルー画像を表示させると共に(ステップC3)、現在のスタイル(狭義及び広義のスタイル)を検出し(ステップC4)、狭義のスタイルが特定スタイル(オープンスタイル)でなければ(ステップC5でNO)、デフォルトの切出領域BEを特定するが(ステップC17)、特定スタイルであれば(ステップC5でYES)、カメラ部4の焦点距離に基づいて画角を検出する(ステップC6)。
【0049】
そして、検出した画角に対応する切出領域調整テーブルM3を参照して、ケラレの発生有無を調べ(ステップC7)、ケラレが発生しない場合には、デフォルトの切出領域BEを特定するが(ステップC17)、ケラレが発生する場合には(ステップでYES)、切出領域の変更量を導出する(ステップC8)。そして、この切出領域の変更量に基づいて切出領域BEの大きさと切り出し位置を変更すると共に(ステップC9)、切出領域BEの変更を教示する(ステップC10)。
【0050】
以下、動画の撮影開始操作が行われるまで(ステップC11)、上述のステップC3に戻って上述の動作を繰り返す。これによって動画モードを起動してから撮影開始操作が行われるまでの間、スタイル検出を随時実行すると共に、特定スタイルを検出している間、画角検出を随時実行し、その検出結果に応じて切出領域を変更する。ここで、撮影開始操作が行われると(ステップC11でYES)、切出領域の画像処理を実行し、例えば、変更後の切出領域BE内の画像が、ケラレが発生しない場合のデフォルト領域と同様の大きさとなるように、その画像に対してデジタルズーム処理を施すようにしてもよい(ステップC12)。以下、撮影終了の指示操作(動画モードの終了指示操作)が行われるまで(ステップC13)、切出領域の画像処理を行う(ステップC12)。そして、終了指示操作が行われると(ステップC13でYES)、カメラ部4を停止させて動画モード終了処理を行う(ステップC16)。
【0051】
以上のように、この第1実施形態において中央制御部11は、カメラ部4を構成する撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域BE内に自己の筐体が写し込まれるか否かを判別し、写し込まれる場合には、この筐体が写し込まれないように切出領域を調整するようにしたので、カメラ部4の取付位置を実装上制約したり、複数の筐体1、2の位置関係を使用上制約したりすることなく、撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域BE内に筐体が写り込んでしまうというケラレの発生を効果的に防止することができる。
【0052】
中央制御部11は、スタイル検出部19によって検出された複数の筐体1、2の位置関係に基づいて切出領域BE内に筐体が写し込まれるかを判別するようにしたので、ケラレの発生有無をスタイルの検出によって容易に判断することができ、切出領域BEの変更が必要か否かを容易に判別することができる。
【0053】
スタイル検出部19は、複数の筐体1、2を回動可能に連結する回動機構の回動角度を検出する角度検出部を含み、この角度検出部によって検出された回動角度に応じて切出領域BE内に筐体が写し込まれるか否かを判別するようにしたので、例えば、下方向や上方向を撮影したり、運動会などのように人垣の上から撮影したりするような場合に、モニタ画像が見やすくなるように、表示側筐体2を回動させて表示画面の角度を変えて撮影を行ったとしても、ケラレの発生を防ぐことができる。
【0054】
中央制御部11は、切出領域調整テーブルM3の記憶内容に基づいて切出領域BE内に筐体が写し込まれるか否かを判別するようにしたので、ケラレの発生有無を切出領域調整テーブルM3を参照するだけで容易に判断することができるほか、カメラ部4の取付位置を実装上制約したり、複数の筐体1、2の位置関係を使用上制約したりすることなく、切出領域調整テーブルM3を作成しておくだけでよい。
【0055】
また、切出領域調整テーブルM3に記憶されている「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」によって切出領域BEを変更するようにしたので、切出領域調整テーブルM3を参照することで切出領域BEを確実かつ容易に調整することができるほか、「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」の両方で切出領域BEを変更することで、より確実な調整が可能となる。
【0056】
また、スタイル検出部19によるスタイル検出とカメラ部4の焦点距離に応じた画角によって切出領域BE内に筐体が写し込まれるか否かを判別するようにしたので、望遠/広角やズーム撮影に応じてケラレの発生の仕方が異なってもそれに対応することができる。
【0057】
また、スタイル検出部19によって検索されたスタイルと、カメラ部4の焦点距離に応じて検出された画角によって、切出領域BEを変更するようにしたので、切出領域BEを確実かつ容易に調整することができる。
【0058】
また、切出領域BE内に筐体が写し込まれていると判別された場合に、切出領域BEを変更したことを教示するようにしたので、ユーザにあっては撮影の際の構図設定(フレーミング)と記録画像の構図の違いを認識した上で撮影を行うことができる。
【0059】
また、変更された切出領域BE内の画像に対して画像処理を実行してから記録保存すれば、切出領域BEを変更したとしても保存形式、画像サイズなどの統一してから記録保存することができる。
【0060】
また、変更後の切出領域BEを変更前の元の大きさに戻して(デジタルズーム処理を施して)から記録保存するようにすれば、同じ画像サイズで記録保存することができる。
【0061】
なお、上述した第1実施形態においては、静止画モード/動画モードを起動してからシャッタ操作/撮影開始操作が行われるまでの間、スタイル検出を随時行うと共に、特定スタイルを検出している間、画角検出を随時行うようにしたが、数秒間隔など定期的に行うようにしてもよく、また、狭義のスタイルに変化があった際に、その変化を通知する割込み信号に応じてヒンジ部3を構成する第2軸の回動角度に応じたスタイル(広義のスタイル)を検出したり、画角を検出したりして切出領域BEを変更するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した第1実施形態においては、動画撮影中には切出領域BEを変更しないようにしたが、動画撮影中でもスタイルを検出したり、画角を検出したりしながら切出領域BEを変更するようにしてもよい。
【0063】
また、上述した第1実施形態においては、ヒンジ部3を構成する第2軸の回動角度と画角の検出結果に基づいて切出領域調整テーブルM3をアクセスし、切出領域の変更量として「切出領域の大きさ」、「切出領域のずらし量」を読み出すようにしたが、切出領域調整テーブルM3を使用せず、第2軸の回動角度と画角の検出結果に基づいて「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」を算出するようにしてもよい。
【0064】
また、上述した第1実施形態においては、切出領域BEのずらし量とその大きさの両方を同時に変更するようにしたが、ずらし量と大きさのいずれか一方を変更するようにしてもよい。また、切出領域BEの位置をずらすだけの変更ではケラレの発生を防ぐことができない場合に、切出領域BEの大きさを変更するようにしてもよく、逆に、切出領域BEの大きさだけの変更ではケラレの発生を防ぐことができない場合に、切出領域BEの位置をずらす変更を行うようにしてもよい。
【0065】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、スタイル及び画角の検出結果に応じて切出領域調整テーブルM3を参照してケラレの発生有無を判別するようにしたが、この第2実施形態においては、デフォルトの切出領域BEの画像(スルー画像)内に筐体が移し込まれているか否かを画像認識し、この認識結果に基づいてケラレの発生有無を判別するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0066】
図8は、第2実施形態における静止画撮影処理(図5のステップA12)を詳述するためのフローチャートである。なお、この第2実施形態の静止画撮影処理は、スルー画像の認識結果に基づいてケラレの発生有無を判別する点以外は、上述した第1実施形態の静止画撮影処理と基本的に同様であるので、その部分は簡単に説明するものとする。
先ず、中央制御部11は、静止画モードでカメラ部4を起動すると共に(ステップD1)、初期化処理を実行したのち(ステップD2)、スタイル検出部19をアクセスして現在のスタイルを検出し(ステップD3)、特定スタイル(オープンスタイル)でなければ(ステップD4でNO)、デフォルトの切出領域BEを特定する(ステップD15)。
【0067】
また、特定スタイルであれば(ステップD4でYES)、デフォルト領域内の画像をスルー画像として取り込んでその画像を解析しながら画像認識を行う(ステップD5)。この場合、予め画像認識用として筐体認識用メモリM4に記憶されている筐体画像(比較用の基準画像)を読み出し、この筐体画像とスルー画像内の周辺部分と比較し、形状、色、模様、大きさ、写り具合などを総合的に比較することによって、このスルー画像内に筐体が写し込まれているか否かを判別する(ステップD6)。
【0068】
その結果、スルー画像内に筐体画像が写し込まれていなければ(ステップD6でNO)、ケラレが発生していないので、デフォルトの切出領域BEを特定するが(ステップD15)、筐体が写し込まれていてケラレが発生している場合には(ステップD6でYES)、スルー画像内に含まれている筐体画像を特定するためにその位置とその大きさを検出すると共に、この検出結果に基づいて切出領域BEの変更量を算出する(ステップD7)。すなわち、スルー画像内のどの部分に筐体が写し込まれているか、その大きさはどの程度かを検出し、この筐体画像が切出領域BE内に含まれないようにするためには、切出領域BEをどの程度ずらしたらよいか、どの程度の大きさにしたらよいかを求める。そして、このずらし量とその大きさに基づいて切出領域BEを変更すると共に(ステップD8)、この変更後の切出領域BE内の画像を表示部16にスルー画像(モニタ画像)として表示させ、ケラレが発生していない画像がユーザに教示する(ステップD9)。
【0069】
以下、第1実施形態と同様に、シャッタ操作が行われるまで(ステップD10)、上述のステップD3に戻って上述の動作を繰り返す。いま、シャッタ操作が行われると(ステップD10でYES)、切出領域BE内の画像を取り込んで画像処理を施したのち(ステップD11)、この画像処理後の静止画像を画像記憶メモリM2に記録保存させる(ステップD12)。以下、撮影終了の指示操作(静止画モードの終了指示操作)が行われるまで(ステップD13)、上述のステップD3に戻って上述の動作を繰り返す。なお、終了指示操作が行われると(ステップD13でYES)、カメラ部4を停止させて静止画モード終了処理を行う(ステップD14)。
【0070】
なお、第2実施形態における動画撮影処理(図5のステップA13)の詳細なフローチャートは、図示省略したが、上述した第2実施形態の静止画撮影処理と基本的には同様で、スルー画像内に筐体が移し込まれているか否かを画像認識し、この認識結果に基づいてケラレの発生有無を判別して切出領域BEを変更するようにしている。その他は、第1実施形態の動画撮影処理と基本的に同様であるため、第2実施形態の動画撮影処理にいては、その説明は省略するものとする。
【0071】
以上のように、この第2実施形態において中央制御部11は、デフォルトの切出領域BEの画像(スルー画像)内に筐体の画像が含まれているか否かを画像認識し、その認識結果に基づいて切出領域BE内に筐体が写し込まれるか否かを判別するようにしたので、ケラレが発生しているか否かを確実に判別することができる。
【0072】
中央制御部11は、画像認識結果に基づいて切出領域BEを変更する際に、そのずらし量を変更するようにしたので、切出領域BE内の画像の大きさを変更せずに、切出領域BEを容易に調整することができる。
【0073】
中央制御部11は、画像認識結果に基づいて切出領域BEを変更する際に、その大きさを変更するようにしたので、切出領域BE内の画像中心部分を変更せずに、切出領域BEを容易に調整することができる。
【0074】
また、特定のスタイルである場合に、筐体の画像が含まれているか否かの画像認識を行うようにしたので、画像認識を必要最小限に抑えることができ、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0075】
また、切出領域BE内に筐体が写し込まれないように切出領域BEが調整した際に、調整後の切出領域BE内の画像を撮影時のモニタ画像として表示するようにしたので、記録保存される画像をモニタ画像とが一致し、どのような画像が記録されるかをモニタ画像で確認することができる。
【0076】
なお、上述した第2実施形態においては、画像認識時に「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」を算出するようにしたが、上述した第1実施形態と同様に、切出領域調整テーブルM3を参照して「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」を読み出すようにしてもよい。この場合、切出領域調整テーブルM3には、スルー画像に写し込まれている筐体画像の大体の位置と大きさに対応付けて、その調整データとして「切出領域の大きさ」と「切出領域のずらし量」を記憶しておけばよい。
【0077】
また、上述した第2実施形態においては、切出領域BEのずらし量と大きさの両方を同時に変更するようにしたが、ずらし量と大きさのいずれか一方を変更するようにしてもよく、切出領域BEの位置をずらすだけの変更ではケラレの発生を防ぐことができない場合に、切出領域BEの大きさを変更するようにしてもよく、逆に、切出領域BEの大きさを変更しただけではケラレの発生を防ぐことができない場合に、切出領域BEの位置をずらす変更を行うようにしてもよい。
【0078】
また、上述した各実施形態においては、2軸ヒンジタイプの携帯電話機について説明したが、例えば、リバーシブルタイプ、スライドタイプの携帯電話機であってもよく、また、所謂2ウェイオープンタイプであってもよい。図9は、この2ウェイオープンタイプの携帯電話機を示し、図1(b)に示した通常のオープン状態(縦開き状態)のほか、図9に示すように横開き状態でのオープンが可能なもので、この横開き状態において、ヒンジ部3に取り付けられたカメラ部4の画角内に筐体の一部が入り込んでしまっても、上述第1あるいは第2実施形態と同様の方法で、ケラレの発生を防ぐことが可能である。
【0079】
上述した各実施形態においては、カメラ部4をヒンジ部3に取り付けた場合を例示したが、表示側筐体、操作側筐体の裏側などにカメラ部4を設けた場合であってもよく、どの筐体にカメラ部4が取り付けられているかは任意である。
その他、撮像装置としては撮像部を備える携帯電話機に限らず、撮像部を備える音楽プレイヤー・パーソナルコンピュータ・PDA(個人用の携帯情報端末)などのほか、デジタルカメラ自体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】撮像装置として適用した撮像部を備える携帯電話機の外観図で、(a)は、折り畳んだ状態のクローズスタイルを示し、(b)は、開いた状態のオープンスタイルを示し、(c)は、オープンスタイルにおいて第2軸を中心に表示側筐体2を略90度回動させた状態を示した図。
【図2】(a)は、撮像素子の撮像範囲(有効画素数)を示した図、(b)は、オープンスタイルにおいて第2軸を中心に表示側筐体2を回動させた場合に、その回動角度に応じてケラレ発生の状況が遷移する様子を示した図。
【図3】撮像部を備える携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図4】切出領域調整テーブルM3を説明するための図。
【図5】電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図6】静止画撮影処理(図5のステップA12)を詳述するためのフローチャート。
【図7】動画撮影処理(図5のステップA13)を詳述するためのフローチャート。
【図8】第2実施形態における静止画撮影処理(図5のステップA12)を詳述するためのフローチャート。
【図9】第1及び第2実施形態の変形応用例として、2ウェイオープンタイプの携帯電話機を示した図。
【符号の説明】
【0081】
1 操作側筐体
2 表示側筐体
3 ヒンジ部
4 カメラ部
11 中央制御部
16 表示部
17 操作部
19 スタイル検出部
M1 プログラムメモリ
M2 画像記憶メモリ
M3 切出領域調整テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を構成する複数の筐体を可動自在に連結すると共に、いずれかの筐体に撮像素子を有する撮像部を備える撮像装置であって、
前記撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に前記筐体が写し込まれるか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって切出領域内に筐体が写し込まれると判別された際に、この筐体が写し込まれないように当該切出領域を調整する領域調整手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを特定するスタイル特定手段を更に備え、
前記判別手段は、前記スタイル特定手段によって検出された複数の筐体の位置関係に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記スタイル特定手段は、前記複数の筐体を回動可能に連結する回動機構の回動角度を検出する角度検出部を含み、
前記判別手段は、前記角度検出部によって検出された回動角度に応じて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記切出領域の切出位置、切出領域の大きさのうち少なくともそのいずれかと、前記スタイル特定手段によって検出される複数の筐体の位置関係とを対応付けて記憶する対応記憶手段を更に設け、
前記判別手段は、前記対応記憶手段の記憶内容に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記切出領域の切出位置、切出領域の大きさのうち少なくともそのいずれかと、前記スタイル特定手段によって検出される複数の筐体の位置関係とを対応付けて記憶する対応記憶手段を更に設け、
前記領域調整手段は、前記対応記憶手段の記憶内容に基づいて前記切出領域を調整する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像部の焦点距離を可変する画角変更手段を更に備え、
前記判別手段は、前記スタイル特定手段によって検出された複数の筐体の位置関係と前記画角変更手段によって決定される画角に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像部の焦点距離を可変する画角変更手段を更に備え、
前記領域調整手段は、前記スタイル検出部によって検出された複数の筐体の位置関係と前記画角変更手段によって決定される画角に基づいて前記切出領域を調整する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項8】
前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、
前記判別手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、
前記領域調整手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域の切出位置を変更することによって当該切出領域を調整する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する画像認識手段を更に備え、
前記領域調整手段は、前記画像認識手段によって認識された認識結果に基づいて前記切出領域の切出領域の大きさを変更することによって当該切出領域を調整する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項11】
前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを特定するスタイル特定手段を更に備え、
前記画像認識手段は、前記スタイル検出部によって検出された複数の筐体の位置関係が特定のスタイルである場合に、前記切出領域の画像内に前記筐体の画像が含まれているか否かを認識する、
ようにしたことを特徴とする請求項8〜10いずれか記載の撮像装置。
【請求項12】
前記判別手段によって切出領域内に筐体が写し込まれていると判別された場合に、前記調整手段によって切出領域が調整されたことを教示する教示手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項13】
前記領域調整手段によって切出領域内に筐体が写し込まれないように当該切出領域が調整された際に、前記調整後の切出領域内の画像を撮影時のモニタ画像として表示する画像表示手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項14】
前記領域調整手段によって調整された切出領域内の画像に対して画像処理を実行してから記録保存する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項15】
前記調整後の切出領域内の画像を調整前の元の大きさに戻してから記録保存する、
ようにしたことを特徴とする請求項14記載の撮像装置。
【請求項16】
コンピュータに対して、
装置本体を構成する複数の筐体が可動自在に連結されていると共に、いずれかの筐体に撮像素子を有する撮像部が備えられている状態において、この撮像素子の撮像範囲として切り出される切出領域内に筐体が写し込まれるか否かを判別する機能と、
前記切出領域内に筐体が写し込まれると判別された際に、この筐体が写し込まれないように当該切出領域を調整する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−81169(P2010−81169A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245488(P2008−245488)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】