説明

撮像装置用清掃器具

【課題】撮像素子表面に接触させて異物を確実に除去できる清掃器具を提供する。
【解決手段】連結部14は、本体部20の中心線を中心とした対称形である第1連結部材16および第2連結部材18を含む。本体部20と第1連結部材16とは一体的に形成されている。矢印Aの示すように清掃器具10を移動させ、異物を付着させる平面部12を撮像素子32に接触させたときに本体部20から加えられる力は、第1、第2連結部材16、18を介して均等に平面部12に伝わる。一方、矢印Bの示すように清掃器具10を移動させ、平面部12を撮像素子32から剥離させるときに本体部20に加えられる力は、第1連結部材16のみを介して平面部12に伝わる。このため、平面部12は、均等な力で撮像素子表面32Sに対して押圧され、第1長辺12U側の領域から第2長辺12D側の領域にかけて徐々に撮像素子表面32Sから剥離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃器具に関し、特に、デジタルカメラの撮像素子に付着する異物を取り除く清掃器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズ交換式のデジタルカメラが普及しつつある。レンズ交換式デジタルカメラにおいては、レンズ交換等により混入する埃などの異物が、内蔵された撮像素子の表面に付着する場合がある。そして、異物が撮像素子に付着することによる画質の低下を防ぐため、撮像素子表面から異物を取り除く装置が知られている。
【0003】
このような装置のうち、粘着性のある部材を適度な接触圧で撮像素子の表面に接触させ、この粘着性部材に異物を付着させて撮像素子表面から除去するものが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−326095号公報(段落[0074]〜[0085]、図9〜11等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像素子の表面に清掃器具の粘着性部材を接触させ、異物を粘着部材に付着させて取り除く場合において、何らの工夫なしに清掃器具を撮像素子表面から剥離させると、粘着性部材に半ば付着した異物が最終的に撮像素子表面に残存してしまい、これを除去できないおそれがある。
【0005】
本発明は、撮像素子表面に接触させて異物を確実に除去できる清掃器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の清掃器具は、撮像素子に入射する光の受光面上にある異物を取り除く清掃器具であって、長手方向に延びる本体部と、本体部の長手方向の一端側に設けられ、異物を付着可能な粘着性を有する平面部と、本体部と平面部とを連結する連結部とを備える。そして連結部は、本体部を操作することにより、異物を付着させるために受光面に接触させた平面部の第1の端部と第1の端部とは反対側の第2の端部とのいずれか一方を他方よりも先に受光面から剥離させるための差動機構である。
【0007】
平面部は、平板部と、平板部上に載置され、受光面に面接触可能な粘着シートとを有することが好ましい。平面部は矩形状であり、第1の端部と第2の端部とが、平面部の輪郭を形成する長辺であることが好ましい。また、平面部は、長手方向に垂直であることが好ましい。
【0008】
連結部は、本体部の平面部側の端部と第1の端部とに連結された第1の部材と、本体部の平面部側の端部に接し、第2の端部に連結された第2の部材とを含むことが好ましい。そしてこの場合、本体部と第1の部材とが、一体的に形成されていることがより好ましく、本体部と連結部とが、一体的に形成されていることがさらに好ましい。
【0009】
また、平面部を受光面に接触させたときに本体部から加えられる力が第1の部材と第2の部材とを介して平面部に伝わり、平面部を受光面から剥離させるために本体部から加えられる力が第1の部材のみを介して平面部に伝わることが望ましい。
【0010】
また本体部は、第1の部材と第2の部材とが、本体部を中心とした対称形であることが好ましく、また連結部は、本体部の平面部側の端部近傍において、第1の部材に接し、なおかつ第2の部材に取付けられた第1リブを含むことが好ましい。連結部は、平面部の裏面に取付けられた板状部材と、板状部材上にて第1の端部側から第2の端部側に向かって延び、第1の端部側よりも第2の端部側が厚い形状を有する第2リブとを含むことが好ましい。
【0011】
第2の部材においては、第1の部材を本体部とともに移動させるための溝が形成されていることが望ましい。
【0012】
連結部は、平面部の裏面に取付けられた板状部材と、第2の部材から板状部材に接するように延びる側壁とをさらに有し、第1の端部の近傍において、側壁と板状部材との間に隙間が設けられていることが望ましい。
【0013】
連結部は、複数の第1の部材と、複数の第1の部材同士を連結させるリンク機構とを備えることが好ましい。
【0014】
そして、第1の部材は一対あり、リンク機構が、第2の部材に設けられた穴を通って一対の第1の部材同士を連結する軸部材を有し、平面部を受光面に接触させるときに軸部材が穴の平面部側の端部まで移動することにより、本体部から加えられた力が第1の部材と第2の部材とを介して平面部に伝わり、平面部を受光面から剥離させるときに軸部材が穴の本体部側に移動することにより、本体部から加えられた力が第1の部材のみを介して平面部に伝わることが好ましい。
【0015】
また、第1の部材は、粘着板の両端に連結されていることがより好ましく、第2の部材は一対あり、粘着板の両端に連結されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像素子表面に接触させて異物を確実に除去できる清掃器具を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における清掃器具を前方から見た斜視図である。図2は、本実施形態における清掃器具を後方から見た斜視図である。
【0018】
清掃器具10は、デジタルカメラの撮像素子(図示せず)に入射する光の受光面、すなわち、撮像素子、ローパスフィルタ、保護フィルタ等(いずれも図示せず)の受光面に付着した埃などの異物を除去し、撮像素子等を清掃するために使用される。清掃器具10は、長手方向に延びる本体部20、本体部20の長手方向の一端側に設けられた矩形状の平面部12、および本体部20と平面部12とを連結する連結部14を含む。
【0019】
平面部12は、本体部20の延びる長手方向に対して垂直である薄板状の平板部13と、平板部13上に載置され、異物を付着させるための粘着性を有する、粘着シート(図示せず)とを含む。ユーザは、本体部20を保持して、清掃の対象である撮像素子の表面等に接近させ、粘着シートを撮像素子表面等に接触させる。そして、本体部20を撮像素子から遠ざけることにより、粘着シートを撮像素子の表面から剥離させて異物を除去する。粘着シートは、清掃の対象となる受光面に面接触可能であり、度重なる使用の後に粘着性が低下すると平板部13から剥がされ、新たな粘着シートが平板部13上に貼付、使用される。
【0020】
平板部13は、例えば金属性であって、薄いゴム層等で形成される粘着シートよりも硬く、強度が高い。このため、平板部13は、柔軟な粘着シートを撮像素子の受光面などの被清掃面に均一に接触させることを可能にする。さらに平板部13は、後述するように、粘着シートの剥離時においては傾くものの、粘着シートの変形を防止して一度付着した異物が粘着シートから剥がれることが防止される。
【0021】
本体部20は、平面部12の表面に対して垂直に延びており、本体部20の幅20Wは、平面部12の輪郭を形成する第1および第2長辺12U、12Dの長さにほぼ等しく、本体部20の厚さ20Tは、平面部12の短辺よりも大幅に短い。連結部14は、第1連結部材16(第1の部材)および第2連結部材18(第2の部材)を含む。第1連結部材16は、本体部20の平面部12側の端部20Eと、平面部12の上端側の第1長辺12Uとを結び、第2連結部材18は、本体部20の端部20Eと平面部12の下端側の第2長辺12Dとを結ぶ。
【0022】
そして、第1および第2連結部材16、18の幅と厚さは、いずれも本体部20の幅20Wおよび厚さ20Tと等しい。なお、本体部20の端部20Eとは反対側の端部近傍には、ユーザが容易に保持できるように凹凸が設けられている。なお、本体部20はプラスチック製であって、適度な弾性を有する。
【0023】
図示するように、本体部20と第1連結部材16とは一体的に形成されており、本体部20の端部20Eと第2連結部材18の端部18Eとの間には、第1連結部材16の延びる方向に沿って切れ目が設けられている。そして、第1および第2連結部材16、18は、いずれも同じ“くの字型”の形状をする。
【0024】
すなわち、第1および第2連結部材16、18は、本体部20の端部20E側においては、本体部20に対して斜めの方向に延び、平面部12側においては、本体部20に平行、すなわち平面部12に対して垂直な方向に延びる。そして第1および第2連結部材16、18は、本体部20の中心を通り、本体部20の長手方向に延びる平面を中心とした対称形である。
【0025】
また、連結部14には、本体部20の端部20E近傍に設けられた第1リブ22が含まれる。第1リブ22は、第2連結部材18の内面18Iから突出するように第2連結部材18と一体的に形成されており、その一端が第1連結部材16の内面16Iに接する。第1リブ22は、第1連結部材16の内面16Iと第2連結部材18の内面18Iとが接する領域の上端にある接線Lを通って、本体部20の長手方向に延びる平面を中心とした対称形を有する。
【0026】
さらに連結部14には、第1連結部材16と第2連結部材18との間において、平面部12の裏面を覆うように平面部12に取付けられた板状部材24が含まれる(図2参照)。板状部材24の表面上には、第1連結部材16から第2連結部材18に向かって上下方向に延びる複数の第2リブ26が設けられている。
【0027】
第2リブ26は、いずれも、平面部12の第2長辺12D側ほど厚い形状を有しており、第2長辺12D側の端部は、第2連結部材18の内面18Iに接している。なお、第1および第2連結部材16、18と板状部材24とは、いずれも一体的に形成されている。従って、本体部20を構成する全ての部材と連結部14とは、いずれも一体的に形成されている。
【0028】
図3は、本実施形態における、デジタルカメラに取付けられた状態の清掃器具の側断面図である。
【0029】
上述のように連結部14が形成されていることから、ユーザが本体部20を保持して、矢印Aの示すように、デジタルカメラ30の撮像素子32の表面32Sに垂直な方向に沿って清掃器具10を近づけ、平面部12を撮像素子32に接触させたときに本体部20から加えられる力は、第1および第2連結部材16、18を介して均等に平面部12に伝わる。そして、平面部12を撮像素子32から剥離させるために、矢印Bの示すように、撮像素子表面32Sに垂直な方向に清掃器具10を遠ざけるときに本体部20に加えられる力は、第1連結部材16のみを介して平面部12に伝わる。
【0030】
すなわち、平面部12を撮像素子表面32Sに接触させたときに本体部20から加えられ、平面部12を撮像素子32に対して押圧する押圧力は、第1および第2連結部材16、18が対称形であること、および、第1連結部材16のみが本体部20に直接連結されているものの、第1リブ22が、第1および第2連結部材16、18の移動、変形を防止することから、第1および第2連結部材16、18に均等に分配される。このため、平面部12は、その全ての領域において均等な力によって、撮像素子表面32Sに対して押圧される。
【0031】
さらに、粘着力によって撮像素子表面32Sに粘着し、異物を付着させた状態の平面部12を撮像素子表面32Sから剥離させるために、平面部12に垂直な方向に本体部20に加えられた力は、第2連結部材18が本体部20に連結されておらず、第1リブ22が第1連結部材16に接しているのみであってこれに取付けられてはいないことから、第1連結部材16のみを介して平面部12に伝えられる。このため、平面部12は、第1長辺12U側の領域から第2長辺12D側の領域にかけて徐々に撮像素子表面32Sから引き離される。
【0032】
ここで、上述の形状を有する第2リブ26は、第2連結部材18側、すなわち下側の領域ほど厚いことから、第1長辺12U側の領域から順次、平面部12が引き離されることに寄与する。従って、平面部12の第2長辺12D側の領域から優先的に、あるいは第1長辺12U側の領域と第2長辺12D側の領域とが同時に撮像素子表面32Sから剥離されることは確実に防止され、平面部12は、第1長辺12Uに近い領域ほど優先的に、傾きながら撮像素子表面32Sから剥離される。
【0033】
この結果、平面部12の全ての領域を同時に撮像素子表面32Sから剥離させると、異物が撮像素子表面32S側に取り残される可能性が高いのに対し、本実施形態では、平面部12の第1長辺12U側ほど先に剥離させる差動機構としての連結部14を設けることにより、異物を確実に取り除くことができる。
【0034】
このように、平面部12の一端からその反対側の端部にかけて平面部12を徐々に引き離して異物を除去する場合、平面部12の後から剥離させる領域、すなわち本実施形態では第2長辺12D側の領域ほど、特に効率的に異物を除去できる。そして一般に、人物や風景を被写体とした写真においては、上部には空があることが多く、変化の少ない淡色である晴天時の空にあっては、撮像素子表面32S上の異物に起因した点状の汚れが目立ちやすい。
【0035】
以上のことから、本実施形態では、第1連結部材16の外面16O上に、第1連結部材16側を上にして清掃器具10を使用するよう指示する表示(図示せず)がなされている。このため清掃器具10は、撮像素子32によって形成される被写体画像において、常に平面部12の第2長辺12Dに対応する領域が上側にあるように、すなわち、図1〜3に示すように、第2長辺12D側を平面部12の下側とするように使用される。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、平面部12の全域を撮像素子表面32Sに同時に接触させ、その一端から他端にかけて順次、剥離させることにより、撮像素子表面32S上にある異物を確実に除去できる。また、平面部12を徐々に撮像素子表面32Sから剥離させるため、粘着力によって撮像素子表面32Sに強く粘着されていた平面部12であっても、小さい力を加えることによって容易に剥離させることができる。
【0037】
なお、第1リブ22は、第2連結部材18と一体的に形成されておらず、第2連結部材18に取付けられているだけであっても良い。
【0038】
図4は、第2の実施形態における清掃器具10の斜視図である。図5は、本実施形態における清掃器具10の側面図である。
【0039】
本実施形態における清掃器具10の平面部12および本体部20は、一定の厚さを有する金属製の薄板によって形成されている。このため、本実施形態の本体部20においては、第1の実施形態とのいくつかの相違点がある。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
本実施形態では、第1および第2リブ22、26は設けられていない。これは、プラスチック製であった第1の実施形態の本体部20は弾性を有するために、第1および第2リブ22、26によって本体部20から加えられる力の分散を調整することが可能であったのに対し、金属製の薄板状である本体部20においては、このような調整が不可能だからである。
【0041】
第2連結部材18の本体部20側の平面である第1平面18Bの両端には、第1平面18Bに沿って延びる一対の延出部18Aが設けられており、この延出部18Aを配置させるため、第1連結部材16の幅は、本体部20の平面部12側の端部20E近傍において、本体部20の幅20Wよりも狭くなっている。そして、延出部18Aと、後述する側壁板28とを除くと、第1および第2連結部材16、18は、いずれもほぼ同じ“くの字型”であって、本体部20の中心線を中心としてほぼ対称形である。
【0042】
このように本体部20が形成されていることから、ユーザが本体部20を保持して、矢印Aの示すように、撮像素子等(図示せず)の被清掃面に垂直な方向に沿って清掃器具10を移動させ、平面部12を撮像素子に接触させたときに本体部20から加えられる力は、第1および第2連結部材16、18を介して均等に平面部12に伝わる。
【0043】
連結部14には、平面部12の裏面に接する板状部材24と、一対の側壁板28(側壁)とが含まれている。側壁板28は、第2連結部材18の下側の平面である第2平面18Cから第1連結部材16に向かって、板状部材24に接するように延びている。そして、側壁板28と板状部材24との間の隙間Sは、平面部12の第2長辺12D側ほど狭く、第2長辺12D近傍ではほとんど設けられていないのに対し、第1長辺12U側では広がっている。
【0044】
また、延出部18Aにおいては、平面部12を撮像素子から剥離させるときに、第1連結部材16を本体部20とともに移動させるための溝18Lが形成されている。このように溝18Lを形成することにより、矢印Bの示すように、清掃器具10を撮像素子から遠ざけるときに本体部20に加えられる力は、第1連結部材16のみを介して平面部12に伝わる。これは、第1連結部材16が本体部20と一体的であるのに対し、第2連結部材18が本体部20に直接連結されておらず、なおかつ第1連結部材16が溝18Lに沿って移動可能であるためである。
【0045】
そしてさらに、上述の隙間Sを設けるように側壁板28が配置されていることから、第2リブ26の設けられていない本実施形態においても、平面部12は、第1長辺12Uに近い領域ほど優先的に、撮像素子表面32Sから順次剥離され、平面部12の第2長辺12D側の領域が優先的に、あるいは第1長辺12U側の領域と第2長辺12D側の領域とが同時に撮像素子表面から離れることが防止される。
【0046】
なお、上述の理由により、平面部12の第2長辺12D側を下側として清掃器具10を使用することが好ましいものの、本実施形態においては、延出部18Aが設けられていることから、清掃器具10の天地を示す表示は不要である。
【0047】
また、連結部14と本体部20とが同じ厚さであることから、本実施形態の清掃器具10は、一枚の金属性の薄板から製造することができる。すなわち、材料の金属板から、“T字型”の板材を切り出し、本体部20と第1連結部材16との間、第1連結部材16と第2連結部材18のそれぞれの中心部、および第2連結部材18と一対の側壁板28との間等を折り曲げることにより連結部14と本体部20は形成される。さらに、同一の金属板から平面部12の平板部13を切り出して本体部20に取付け、粘着シートを平板部13に貼付することにより、清掃器具10は製造可能である。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、より簡易な製造方法により、撮像素子表面上の異物を確実に除去できる清掃器具10を実現できる。
【0049】
図6は、第3の実施形態における、平面部12が押圧されていない状態の清掃器具の斜視図である。図7は、本実施形態における、平面部12が押圧された状態の清掃器具の斜視図であり、図8は、本実施形態における、平面部12が押圧された状態の清掃器具の側面図である。
【0050】
本実施形態においては、第1および第2連結部材16、18は、それぞれ一対ずつ設けられており、いずれも平面部12の左右の両端に連結されている。そして第2連結部材18には、第2連結部材18に沿って延びる穴36が設けられており、本体部20には、穴36を通って一対の第1連結部材16同士を連結する、平面部12に平行な軸部材34が含まれている。
【0051】
平面部12を撮像素子の表面に接触させるときには、軸部材34が穴36の粘着板側端部36Eまで移動し、このため本体部20から加えられた力は、第1および第2連結部材16、18を介して均等に平面部12に伝わる(図7および8参照)。
【0052】
そして、撮像素子表面に粘着した状態の平面部12を撮像素子表面から剥離させるために、平面部12に垂直な方向に本体部20に力が加えられると、軸部材34は、穴36の粘着板側端部36Eから保持部材側端部36Fに向かって移動する。
【0053】
ここで、本体部20に加えられた力は、穴36の保持部材側端部36Fに向かって移動する軸部材34によっては第2連結部材18に伝達されず、第1連結部材16のみを介して平面部12に伝えられる。このため、平面部12は、第1長辺12U側の領域から第2長辺12D側の領域にかけて順次、撮像素子表面から引き離される。
【0054】
以上のように本実施形態によれば、2つの第1連結部材16同士を連結させるリンク機構としての軸部材34と、第2連結部材18において軸部材34の通る穴36とを設け、第1および第2連結部材16、18への力の伝達を調整しつつ平面部12を撮像素子表面に対して垂直な方向に接触、剥離させることにより、撮像素子表面32S上にある異物を確実に除去できる。
【0055】
なお、平面部12、第1および第2連結部材16、18の形状等は、いずれの実施形態にも限定されず、撮像素子32等に応じて調整することができる。例えば、平面部12は、撮像素子表面32Sの全面を覆う横長の矩形状であることが好ましいが、これには限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施形態における清掃器具を前方から見た斜視図である。
【図2】本実施形態における清掃器具を後方から見た斜視図である。
【図3】本実施形態における、デジタルカメラに取付けられた状態の清掃器具の側断面図である。
【図4】第2の実施形態における清掃器具の斜視図である。
【図5】本実施形態における清掃器具の側面図である。
【図6】第3の実施形態における、平面部が押圧されていない状態の清掃器具の斜視図である。
【図7】本実施形態における、平面部が押圧された状態の清掃器具の斜視図である。
【図8】本実施形態における、平面部が押圧された状態の清掃器具の側面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 清掃器具
12 平面部
12U 第1長辺(第1の端部)
12D 第2長辺(第2の端部)
13 平板部
14 連結部
16 第1連結部材(第1の部材)
18 第2連結部材(第2の部材)
18L 溝
20 本体部
22 第1リブ
24 板状部材
26 第2リブ
28 側壁板(側壁)
36 穴
S 隙間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子に入射する光の受光面上にある異物を取り除く清掃器具であって、
長手方向に延びる本体部と、
前記本体部の前記長手方向の一端側に設けられ、前記異物を付着可能な粘着性を有する平面部と、
前記本体部と前記平面部とを連結する連結部とを備え、
前記連結部が、前記本体部を操作することにより、前記異物を付着させるために前記受光面に接触させた前記平面部の第1の端部と前記第1の端部とは反対側の第2の端部とのいずれか一方を他方よりも先に前記受光面から剥離させるための差動機構であることを特徴とする清掃器具。
【請求項2】
前記平面部が、平板部と、前記平板部上に載置され、前記受光面に面接触可能な粘着シートとを有することを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項3】
前記平面部が矩形状であり、前記第1の端部と前記第2の端部とが、前記平面部の輪郭を形成する長辺であることを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項4】
前記平面部が、前記長手方向に垂直であることを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項5】
前記連結部が、前記本体部の前記平面部側の端部と前記第1の端部とに連結された第1の部材と、前記本体部の前記平面部側の端部に接し、前記第2の端部に連結された第2の部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項6】
前記本体部と前記第1の部材とが、一体的に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項7】
前記本体部と前記連結部とが、一体的に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の清掃器具。
【請求項8】
前記平面部を前記受光面に接触させたときに前記本体部から加えられる力が前記第1の部材と前記第2の部材とを介して前記平面部に伝わり、前記平面部を前記受光面から剥離させるために前記本体部から加えられる力が前記第1の部材のみを介して前記平面部に伝わることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項9】
前記第1の部材と前記第2の部材とが、前記本体部を中心とした対称形であることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項10】
前記連結部が、前記本体部の前記平面部側の端部近傍において前記第1の部材に接し、なおかつ前記第2の部材に取付けられた第1リブを含むことを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項11】
前記連結部が、前記平面部の裏面に取付けられた板状部材と、前記板状部材上にて前記第1の端部側から前記第2の端部側に向かって延び、前記第1の端部側よりも前記第2の端部側が厚い形状を有する第2リブを含むことを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項12】
前記第2の部材において、前記第1の部材を前記本体部とともに移動させるための溝が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項13】
前記連結部が、前記平面部の裏面に取付けられた板状部材と、前記第2の部材から前記板状部材に接するように延びる側壁とをさらに有し、前記第1の端部の近傍において、前記側壁と前記板状部材との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項14】
前記連結部が、複数の前記第1の部材と、複数の前記第1の部材同士を連結させるリンク機構とを備えることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項15】
前記第1の部材が一対あり、前記リンク機構が、前記第2の部材に設けられた穴を通って一対の前記第1の部材同士を連結する軸部材を有し、前記平面部を前記受光面に接触させるときに前記軸部材が前記穴の前記平面部側の端部まで移動することにより、前記本体部から加えられた力が前記第1の部材と前記第2の部材とを介して前記平面部に伝わり、前記平面部を前記受光面から剥離させるときに前記軸部材が前記穴の前記本体部側に移動することにより、前記本体部から加えられた力が前記第1の部材のみを介して前記平面部に伝わることを特徴とする請求項14に記載の清掃器具。
【請求項16】
前記第1の部材が、前記平面部の両端に連結されていることを特徴とする請求項14に記載の清掃器具。
【請求項17】
前記第2の部材が一対あり、前記平面部の両端に連結されていることを特徴とする請求項14に記載の清掃器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−110204(P2007−110204A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296211(P2005−296211)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】