説明

撮像装置

【課題】放熱効率をより向上させた撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】前記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、熱伝導性材料によって形成されたバッテリ収納ケース204a、204bと、前記バッテリ収納ケース204a、204bの前面側に一端を支持された第1放熱板202と、前記バッテリ収納ケース204a、204bの背面側に一端を支持された第2放熱板205と、を備え、前記第1放熱板202と前記第2放熱板205は、互いに対向する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関するものであり、特には、放熱特性をより向上させた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子の大型化・高画素化によって撮像素子の発熱が問題になっている。また、デジタルカメラ等のスチルカメラにおいても動画撮影機能が求められるようになり、撮像素子の発熱の問題に拍車をかける。高品位の動画を撮影するために、撮像素子の駆動周波数は、高まる傾向にある。
【0003】
また、高画素の画像データや動画データを処理して記録するための制御LSIや信号処理LSIにおいても、高集積化が進み、駆動周波数も高まっている。したがって、これらのLSIからの発熱も無視することができない。
【0004】
このような状況にあっても、撮像装置の小型化・薄型化に対する要求は続く。したがって、撮像装置そのものを大きくすることなく、これらの発熱の問題を解決しなければならない。
【0005】
撮像素子の放熱については、撮像素子の背面に放熱板を取り付けることが一般的である。特許文献1には、撮像素子の背面に放熱板を取り付けた電荷結合デバイス用放熱装置が記載されている。特許文献2には、撮像素子の背面に放熱板を取り付けたカメラの放熱装置が記載されている。また、特許文献3には、放熱板に延設された放熱路によって、放熱板と放熱部を接続した撮像素子の放熱構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−128875号公報
【特許文献2】実開昭62−12897号公報
【特許文献3】特開2006−211091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、撮像素子の背面に取り付けた放熱板のみでは、撮像素子の発する熱を効率的に放熱することが困難な状況にある。加えて、撮像素子の他にも制御LSIや信号処理LSI等の発熱源が存在する。一方で、撮像装置の小型化・薄型化に対する要求は厳しく、また、携帯する装置であるがゆえに、安易に筐体へ放熱することは好ましくない。
【0008】
本発明は、前記課題を解決し、放熱効率をより向上させた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、熱伝導性材料によって形成されたバッテリ収納ケースと、前記バッテリ収納ケースの前面側に一端を支持された第1放熱板と、前記バッテリ収納ケースの背面側に一端を支持された第2放熱板と、を備え、前記第1放熱板と前記第2放熱板は、互いに対向する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、撮像装置の前面よりに配された第1放熱板と撮像装置の背面よりに配された第2放熱板を、熱伝導性材料によって形成されたバッテリ収納ケースによって、機械的かつ熱的に接続するので、放熱面積をより大きくすることができ、もって放熱効率をより向上させた撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観図
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの分解斜視図
【図3】マウントユニットとバッテリユニットを組み立てた状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
(1.外観)
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観図である。図1(a)は、前面図であり、図1(b)は、背面図である。
【0013】
本発明の実施の形態に係るデジタルカメラは、レンズ交換式のデジタルカメラであって、マウント101に様々な種類の交換レンズを取り付けて撮影を楽しむことができる。マウント101の内周の一部には、複数の電気接点102が円弧状に設けられている。交換レンズがマウント101に取り付けられると、電気接点102を介して、デジタルカメラと交換レンズの通信が可能になる。デジタルカメラは、交換レンズから交換レンズ固有の情報を取得するとともに、撮影条件に応じて、交換レンズの動作を制御する。レンズ取外しボタン103を押しながら、交換レンズを回転させると、交換レンズをマウント101から取り外すことができる。
【0014】
本発明の実施の形態に係るデジタルカメラは、いわゆる一眼レフ方式のデジタルカメラではないので、交換レンズからの入射光を撮像素子または光学ビューファインダーのいずれに導くかを切り換える可動式ミラーを備えない。したがって、マウント101の内部には、撮像素子104を直視することができる。ただし、撮像素子104の前面には、付着した塵埃を除去するための超音波フィルターや入射光の高周波成分を除去するための光学ローパスフィルターが配されている。
【0015】
デジタルカメラの上面には、撮影を指示するためのシャッターボタン105、撮影に関する各種設定を行うためのモードダイヤル106、107等の操作部材が配されている。また、デジタルカメラの上面には、ポップアップ式のストロボ108が内蔵されている。図1は、ストロボ108を格納した状態を示している。ストロボ108の上部には、より発光量の大きい外部ストロボ装置等を取り付けることができるホットシュー109が設けられている。デジタルカメラの左右には、ストラップを取り付けるための金具110が設けられている。
【0016】
デジタルカメラの背面には、可動式モニター111が配されている。可動式モニター111には、液晶モニター等の平面ディスプレイが採用される。可動式モニター111には、撮像素子104に結像した入射光に基づく画像が表示される。図1(b)に示す状態において、可動式モニター111の表示面は、デジタルカメラ側に閉じられている。可動式モニター111は、X軸を中心に図1(b)手前側に開くことができる。また、可動式モニター111は、Y軸を中心に回転することができる。したがって、撮影条件に応じて、可動式モニター111の位置を最も視認しやすい位置に調整することができる。
【0017】
本発明の実施の形態に係るデジタルカメラは、可動式モニター111に加えて、電子ビューファインダー112をも備える。電子ビューファインダー112は、小型液晶モニターと接眼光学系によって構成され、可動式モニター111と同様に、撮像素子104に結像した入射光に基づく画像を表示する。電子ビューファインダー112は、覗き込むタイプのファインダーであるから、外光が明るすぎて可動式モニター111の視認が難しい状況であっても、電子ビューファインダー112によって明瞭な画像を視認することができる。電子ビューファインダー112の近傍には、アイセンサー113が配されている。アイセンサー113は、電子ビューファインダー112に対する接眼を検知する。アイセンサー113が電子ビューファインダー112に対する接眼を検知すると、撮像素子104に結像した入射光に基づく画像の表示を、可動式モニター111から電子ビューファインダー112に切り換える。
【0018】
デジタルカメラの背面には、十字キーを含む各種操作ボタン114、操作ダイヤル115等の操作部材が配されている。これらの操作部材によって、撮影、再生等の詳細設定を行うことができる。デジタルカメラの背面から見て右側面には、メモリカードを挿入することができるスロットが設けられている。このスロットは、カバー116によって隠蔽されている。
(2.全体構成)
図2は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの分解斜視図である。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラは、前面側から、前面筐体201、第1放熱板202、マウントユニット203、バッテリユニット204、第2放熱板205、メイン基板206、背面筐体207の順に構成される。
【0019】
マウントユニット203は、アルミ等、熱伝導率と剛性の高い材料によって作られたフレームを基礎とする。マウントユニット203は、前面側から、電気接点102を備えたマウント101と、シャッターと、超音波フィルターと光学ローパスフィルターを備えた撮像素子104と、から構成される。撮像素子104は、発熱源となる。また、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラは、構図を決定するためのモニター表示中も動画撮影中もシャッターの開放を維持するので、シャッターの開放を維持するためにシャッター幕をソレノイドによって電磁的に固定する構成のシャッターを採用した場合、ソレノイドが発熱源になる場合がある。ソレノイドは、シャッターをチャージするためのステッピングモータ203a近傍に存在する。
【0020】
バッテリユニット204は、バッテリ収納ケースと底面板204dによって構成されている。バッテリ収納ケースは、前面側に配されたバッテリ収納ケース1・204aと背面側に配されたバッテリ収納ケース2・204bによって、バッテリ204cを包み込むように構成されている。バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bは、熱伝導率の高い金属によって作られている。バッテリ収納ケース1・204aは、その一部が折り曲げられてバッテリ収納ケース2・204bと機械的かつ熱的に接続されている。
【0021】
なお、バッテリ収納ケースは、バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bのみによって構成されている必要はない。バッテリ収納ケースは、一部に樹脂等を用いた部材を含んで構成されていてもよい。また、バッテリ収納ケースは、全体が樹脂等を用いた部材によって構成され、その周囲をバッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bによって取り囲むように構成されていてもよい。さらに、バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bは、一体であってもよい。要するに、バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bまたはこれらを一体化したバッテリ収納ケースによって、デジタルカメラの前面よりに配された第1放熱板202とデジタルカメラの背面よりに配された第2放熱板205を熱的に接続することができればよい。
【0022】
底面板204dは、熱伝導率の高い金属によって作られている。底面板204dは、その一部が第1放熱板202の底面側に折り曲げられた延伸部202bと機械的かつ熱的に接続されている。底面板204dは、その一部が第3放熱板208の底面側に折り曲げられた延伸部208aと機械的かつ熱的に接続されている。したがって、底面板204dによって、デジタルカメラの前面よりに配された第1放熱板202と背面筐体207の内側に配された第3放熱板208を熱的に接続することができる。底面板204dには、三脚等のネジを受けるネジ穴204eが取り付けられている。本実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、底面板204dを放熱に利用する。したがって、筐体の外部に露出するネジ穴204eに熱が伝わることがないように、ネジ穴204eは、熱伝導率の低い部材によって形成することが望ましい。
【0023】
なお、底面板204dは、その一部がバッテリ収納ケース1・204aおよび/またはバッテリ収納ケース2・204bと機械的かつ熱的に接続されていてもよい。さらに、底面板204dは、その一部が第2放熱板205と機械的かつ熱的に接続されていてもよい。本実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、底面板204dがバッテリユニット204に含まれることとしたが、第1放熱板202、第2放熱板205、第3放熱板208のいずれかまたは複数の一部を底面に折り曲げるようにして底面板を形成してもよい。また、底面板204dを放熱に利用しない構成も考えられる。底面板204dを放熱に利用しない場合は、ネジ穴204eを形成する部材の熱伝導率を考慮する必要がないから、ネジ穴204eをより剛性の高い部材によって形成することもできる。
【0024】
メイン基板206は、制御LSIと信号処理LSIを一体化したCPU206aを含む電気回路を実装したプリント基板である。動画撮影等によってCPU206aの負荷が増大した状態が継続すると、CPU206aは、発熱源となる。メイン基板206には、CPU206aの他に、メモリカードを挿入することができるスロット206b、外部のパーソナルコンピュータやプリンタやテレビ受像機等と本発明の実施の形態に係るデジタルカメラを接続するための端子群206c等が実装されている。
【0025】
バッテリユニット204と第1放熱板202と第2放熱板205は、マウントユニット203を包み込むように組み立てられる。マウントユニット203は、発熱源である撮像素子104、発熱源になる場合があるソレノイドを含んでいる。第1放熱板202は、バッテリ収納ケース1・204aと機械的かつ熱的に接続される。第1放熱板202とバッテリ収納ケース1・204aとの熱的な接続をより強固にするために、第1放熱板202には、バッテリ収納ケース1・204aと密着する延伸部202aが設けられている。第2放熱板205は、バッテリ収納ケース2・204bと機械的かつ熱的に接続される。第2放熱板205とバッテリ収納ケース2・204bとの熱的な接続をより強固にするために、第2放熱板205には、バッテリ収納ケース2・204bと密着する延伸部205aが設けられている。
【0026】
前面筐体201と第1放熱板202とマウントユニット203とバッテリ収納ケース1・204aは、ビスによって共締めされる。また、第2放熱板205とバッテリ収納ケース2・204bは、ビスによって共締めされる。但し、第1放熱板202の延伸部202aとバッテリ収納ケース1・204aの接続、第2放熱板205とバッテリ収納ケース2・204bの接続は、熱伝導性接着剤によって行なってもよいし、熱伝導性接着テープによって行なってもよい。また、ビスによって共締めする場合であっても、密着部に熱伝導性グリスを塗布する等してもよい。
【0027】
第1放熱板202は、それ単独では、マウントユニット203の基礎となるフレームを介して、撮像素子104やソレノイドの発生する熱を放熱することができるにすぎない。しかし、本実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、第1放熱板202がバッテリ収納ケースを介して第2放熱板205と熱的に接続されているから、第2放熱板205が吸収した熱をバッテリ収納ケースと第1放熱板202から放熱することができる。また、第2放熱板は、撮像素子104の背面側のみならず、ソレノイドの背面側にまで至るように作られている。これによって、第2放熱板205は、撮像素子104の発生する熱のみならず、ソレノイドの発生する熱をも吸収することができる。すなわち、第1放熱板202と第2放熱板205とバッテリ収納ケースは、相互に連関しながら、第1放熱板202が従たる吸熱を、第2放熱板が主たる吸熱を、バッテリ収納ケースが主たる放熱を担うのであるが、第1放熱板202と第2放熱板205は、従たる放熱も担う。
【0028】
このように、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの前面よりに配された第1放熱板202と背面よりに配された第2放熱板205を、バッテリ収納ケースを介して熱的に接続することによって、放熱面積をより大きくすることができる。バッテリ収納ケースは、重量物であるバッテリ204cを保持するために、金属によって構成することが好適である。したがって、金属によって構成されたバッテリ収納ケースを、第1放熱板202と第2放熱板205の熱的な接続に利用するとともに、バッテリ収納ケースそのものを放熱のために利用することができる。
【0029】
ここで、底面板204dを加えると、放熱面積をさらに大きくすることができる。底面板204dには、三脚等のネジを受けるネジ穴204eが取り付けられている。底面板204dは、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラを三脚等に強固に固定するために、金属によって作ることが好適である。したがって、金属によって作られた底面板204dを第1放熱板202の底面側に折り曲げられた延伸部202bに機械的かつ熱的に接続することによって、放熱面積をさらに大きくすることができる。また、底面板204dを第3放熱板208の底面側に折り曲げられた延伸部208aに機械的かつ熱的に接続することによって、第3放熱板208が吸収した熱を底面板204dと第1放熱板202から放熱することができる。第3放熱板208は、メイン基板206の背面側にあって、CPU206a等のメイン基板206に実装された発熱源が発生する熱を吸収する。
【0030】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラにおいては採用していないが、マウントユニット203の上部に、バッテリ収納ケースと機械的かつ熱的に接続された新たな放熱板を設けることとしてもよい。そうすると、放熱面積をより一層大きくすることができる。また、筐体内の空気中に発散された熱は上昇するので、マウントユニット203の上部に設けられた新たな放熱板によって、第1放熱板202、第2放熱板205、底面板204d、第3放熱板208に吸収されずに筐体内の空気中に発散された熱を効率的に吸収することができる。さらに、デジタルカメラの上面には多くの操作部材が配されるから、できるだけデジタルカメラの上面に熱が伝わらないようにするという効果がある。
【0031】
このとき、新たな放熱板は、重量物である外部ストロボ装置等を取り付ける可能性のあるホットシュー109の補強を兼ねるものとすれば、より効率的である。なお、新たな放熱板は、第1放熱板202、第2放熱板205、第3放熱板208のいずれかまたは複数と機械的かつ熱的に接続されていてもよい。また、第1放熱板202、第2放熱板205、第3放熱板208のいずれかまたは複数の一部をマウントユニット203の上部に折り曲げるようにして新たな放熱板としてもよい。
【0032】
第2放熱板205の背面側には、メイン基板206が配される。メイン基板206には、発熱源であるCPU206aが実装されている。第2放熱板205とCPU206aとの間には、熱伝導率が非常に高い材料であるりん青銅によって作られた板バネ206dと熱伝導シート206eが介在する。板バネ206dは、第2放熱板205に機械的かつ熱的に接続されている。板バネ206dの弾性力によって、熱伝導シート206eを介して板バネ206dそのものをCPU206aに押圧接触させる。これによって、CPU206aの発生する熱を効率的に第2放熱板205に導くことができる。
【0033】
また、バッテリユニット204と第1放熱板202と第2放熱板205は、剛性の高い材料によって作られたフレームを基礎とするマウントユニット203を包み込むように組み立てられる。そこで、第2放熱板205がCPU206aと直接密着するように構成すると、デジタルカメラの落下等による衝撃によってCPU206aが破壊される場合がある。また、CPU206aが破壊されなくとも、CPU206aをメイン基板206に接続する半田付け部にクラックが発生するおそれがある。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラのように、第2放熱板205とCPU206aとの間に板バネ206dを介在させることによって、このような問題を回避することができる。
(3.要部構成)
図3は、マウントユニットとバッテリユニットを組み立てた状態の斜視図である。図3(a)は、前面側から見た斜視図であり、図3(b)は、背面側から見た斜視図である。バッテリ204c、底面板204dその他、バッテリユニット204の要部以外の部分は省略している。
【0034】
マウントユニット203とバッテリユニット204を組み立てた状態において、発熱源である撮像素子104、発熱源になる場合があるソレノイドを含むマウントユニット203は、第1放熱板202と第2放熱板205によってサンドイッチにされる。そして、第1放熱板202と第2放熱板205は、バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bによって構成されるバッテリ収納ケースを介して熱的に接続されている。第1放熱板202と第2放熱板205とバッテリ収納ケースを上から見ると、略「コ」の字の形状をなし、その内部にマウントユニット203が取り込まれる。
【0035】
第1放熱板202は、マウントユニット203の基礎となるフレーム203bを介して、撮像素子104やソレノイドの発生する熱を吸収する。第2放熱板205は、撮像素子104の発生する熱のみならず、ソレノイドの発生する熱をも吸収する。また、第2放熱板205は、板バネ206dと熱伝導シート206eを介して、CPU206aの発生する熱を吸収する。第1放熱板202と第2放熱板205は、それ自体、熱を吸収するとともに放熱もするが、第1放熱板202と第2放熱板205が吸収した熱は、バッテリ収納ケース1・204aとバッテリ収納ケース2・204bによって構成されるバッテリ収納ケースからも放熱される。
【0036】
このように、撮像装置の前面よりに配された第1放熱板と背面よりに配された第2放熱板を、金属によって構成することが好適であるバッテリ収納ケースを介して、熱的に接続することによって、放熱面積をより大きくすることができる。また、バッテリ収納ケースは、近時の撮像装置の薄型化に伴って、撮像装置の前面よりから背面よりまでを占めることが多いし、発熱源から比較的離れた位置に存在する場合が多いから、第1放熱板と第2放熱板を熱的に接続するとともに、第1放熱板と第2放熱板が吸収した熱を効率的に放熱させるために好都合である。さらに、第2放熱板の背面側に、発熱源となる制御LSIや信号処理LSIを実装したプリント基板を配することによって、これらのLSIの発生する熱を第2放熱板に効率的に吸収させて、バッテリ収納ケースから放熱させることができる。さらに、マウントユニットの上部や下部に、バッテリ収納ケース、第1放熱板、第2放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続された新たな放熱板を設けてもよい。加えて、プリント基板の背面側に、バッテリ収納ケース、第2放熱板、マウントユニットの上部や下部に設けられた新たな放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続された第3放熱板を設けてもよい。
【0037】
要するに、本発明は、撮像装置の幅方向に配された複数の放熱板を撮像装置の奥行方向に配された熱伝導性の部材によって熱的に接続することを基本的な技術思想とする。
【0038】
撮像装置の幅方向に配された複数の放熱板は、発熱源を挟み込むように配されることが好ましく、本実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、第1放熱板202と第2放熱板205によって発熱源である撮像素子104とソレノイドを含むマウントユニット203を挟み込む。但し、第2放熱板205は、その背面に存在するメイン基板206に実装された発熱源であるCPU206aの発生する熱をも吸収することができる。このとき、デジタルカメラの落下等の衝撃によってCPU206aが破壊しないよう第2放熱板205とCPU206aとの間に熱伝導率の高い板バネ206dを介在させることを特徴とする。
【0039】
また、第2放熱板202と第3放熱板208によって発熱源であるCPU206aを実装したメイン基板206を挟み込む。さらに、底面板204dを放熱に利用することもできるし、底面板204dとマウントユニット203の上部に設けられた新たな放熱板によってマウントユニット203を挟み込むこともできる。マウントユニット203の上部に新たな放熱板を設けることによって、その他の放熱板によって吸収されず筐体内の空気中に発散された熱が上昇する性質を利用して、この熱を効率的に吸収することができる。
【0040】
一方、撮像装置の奥行方向に配された熱伝導性の部材は、撮像装置の前面よりに配された放熱板と撮像装置の背面よりに配された放熱板を熱的に接続することができればよい。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、バッテリ収納ケースを利用したが、必ずしもバッテリ収納ケースである必要はない。撮像装置の奥行方向の剛性を確保するための部材等が存在すれば、それを利用することもできる。また、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラにおいては、バッテリ収納ケースのみによって第1放熱板202と第2放熱板205を熱的に接続したが、複数の熱伝導性の部材によって複数の放熱板を熱的に接続する構造を採用することもできる。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラに関して例示すると、デジタルカメラを前面から見たときの左側において、第1放熱板202と第2放熱板205を熱的に接続するためにバッテリ収納ケースを利用し、デジタルカメラを前面から見たときの右側において、第1放熱板202と第2放熱板205を熱的に接続するために端子群206cのカバーの開口部を補強する板金等を利用することもできる。
【0041】
なお、本実施の形態のおいては、可動式ミラーを備えないレンズ交換式デジタルカメラに本発明を適用した場合を例示したが、本発明は、可動式ミラーを備えるいわゆる一眼レフ方式のデジタルカメラであっても適用することができるし、レンズ交換式でないデジタルカメラであっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、放熱効率をより向上させた撮像装置を提供することができるので、デジタルカメラ等の撮像装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
101 マウント
102 電気接点
103 レンズ取外しボタン
104 撮像素子
105 シャッターボタン
106 モードダイヤル
107 モードダイヤル
108 ストロボ
109 ホットシュー
110 金具
111 可動式モニター
112 電子ビューファインダー
113 アイセンサー
114 各種操作釦
115 操作ダイヤル
116 カバー
201 前側筐体
202 第1放熱板
202a 延伸部
202b 延伸部
203 マウントユニット
203a ステッピングモータ
203b フレーム
204 バッテリユニット
204a バッテリ収納ケース1
204b バッテリ収納ケース2
204c バッテリ
204d 底面板
204e ネジ穴
205 第2放熱板
205a 延伸部
206 メイン基板
206a CPU
206b スロット
206c 端子群
206d 板バネ
206e 熱伝導シート
207 背面筐体
208 第3放熱板
208a 延伸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性材料によって形成された接続部材と、
前記接続部材の前面側に熱的に接続された第1放熱板と、
前記接続部材の背面側に熱的に接続された第2放熱板と、
を備え、
前記第1放熱板と前記第2放熱板は、
互いに対向する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記接続部材は、
バッテリ収納ケースの全部または一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像素子、
をさらに備え、
前記撮像素子は、
前記第1放熱板と前記第2放熱板の間に配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
シャッター、
をさらに備え、
前記シャッターは、
前記第1放熱板と前記第2放熱板の間に配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
プリント基板、
をさらに備え、
前記第2放熱板は、
前記第1放熱板と対抗する面と反対の面において前記プリント基板に対向する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2放熱板は、
熱伝導性材料によって形成された弾性部材を介して前記プリント基板に実装された発熱源と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
熱伝導性材料によって形成された接続部材と、
前記接続部材の前面側に熱的に接続された第1放熱板と、
前記接続部材の背面側に熱的に接続された第2放熱板と、
前記接続部材と前記第1放熱板と前記第2放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続された第3放熱板と、
撮像素子と、
プリント基板と、
を備え、
前記第1放熱板と前記第2放熱板は、
互いに対向し、
前記第2放熱板と前記第3放熱板は、
互いに対向し、
前記撮像素子は、
前記第1放熱板と前記第2放熱板の間に配され、
前記プリント基板は、
前記第2放熱板と前記第3放熱板の間に配される、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記接続部材は、
バッテリ収納ケースの全部または一部である、
ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
底面放熱板、
をさらに備え、
前記底面放熱板は、
前記接続部材と前記第1放熱板と前記第2放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
上面放熱板、
をさらに備え、
前記上面放熱板は、
前記接続部材と前記第1放熱板と前記第2放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
底面放熱板、
をさらに備え、
前記底面放熱板は、
前記接続部材と前記第1放熱板と前記第2放熱板と前記第3放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項12】
上面放熱板、
をさらに備え、
前記上面放熱板は、
前記接続部材と前記第1放熱板と前記第2放熱板と前記第3放熱板のいずれかまたは複数と熱的に接続される、
ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−229046(P2011−229046A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98519(P2010−98519)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】