説明

撮像装置

【課題】 目隠し蓋等の通常ユーザーが使用ない蓋を、増やすことなく、内蔵不揮発性メモリに記録された撮影画像などの個人情報流出を防ぎ、柔軟な生産調整が可能な撮像装置を提供すること。
【解決手段】 撮影画像を記録する不揮発性メモリ基板と、前記不揮発性メモリ基板を撮像装置本体から着脱するための開口部と、前記開口部を塞ぐ蓋体を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に撮影画像を保存する不揮発性メモリと、時刻や設定状態を維持するためのバックアップ用2次電池を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影画像を記録する記録媒体として、本体から脱着可能なメモリーカードの他に、撮像装置本体に大容量のNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを内蔵したビデオカメラが商品化されている。(例えば非特許文献1)。
【0003】
この不揮発性メモリを内蔵したビデオカメラは、不揮発性メモリの容量を替えることで、価格を差別化し、製品のバリエーション展開を行う場合がある。
【0004】
また、一般にビデオカメラ等の撮像装置においては、一般に屋外にて使用する機会が多く、その主たる電源としては2次電池としてのバッテリを用いるのが一般的である。ビデオカメラには、マイクロコンピュータが内蔵されることによって、時刻や設定データが記憶されており、バッテリを取り代える毎に消滅したのではユーザーにとっては非常に使い勝手が良くないものになってしまうため、バックアップ用電源をもつのが一般的である。
【0005】
従来のバックアップ用電源としては、一般にリチウムボタン電池などの一次電池を用いたものがある。
【0006】
しかしながら、ビデオカメラにおいて、上述の如くバックアップ用電源として1次電池を用いたとしても、1年程度で電池消耗による寿命がくるため、その都度日時や撮影条件などの各種データの再設定操作が必要となる。
【0007】
そこで、交換式の1次電池にかえて、主電源の投入によって充電が行われる、リチウム-バナジウム2次電池などの2次電池をバックアップ用電源に用いることによって、バックアップ電池交換を不要とするビデオカメラが商品化されている。
【0008】
このバックアップ用2次電池は、近年、環境問題の観点から、2次電池のリサイクルに対する法律が施行され、廃棄時にユーザーが撮像装置本体から容易に取り外し、2次電池として個別に処分することが出来る構造が求められている。
【0009】
例えば、電子機器の外装内部に配設されたプリント基板上に2次電池を着脱可能に取付けておくとともに、2次電池に臨む外装部分に電池取出し用の開口を設け、この開口を蓋によって閉塞する構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【0010】
ところで、従来のビデオカメラでは、生産工場あるいはサービス拠点にて調整・点検を行うための専用のサービスコネクタもしくはチェックランドを有しているものがある。前述したサービスコネクタもしくはチェックランドは、本体の組ばらしを少なくして調整作業時間を減少し、調整費用のコストを減らすために、完成状態からなるべく少ない工程にて、サービスコネクタもしくはチェックランドにアクセスするような構成にすることが求められている。
【0011】
例えば、撮像装置の外装に前述したコネクタもしくはチェックランドにアクセス可能な開口を設け、この開口を蓋によって閉塞する構成にしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−255606号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「ビデオサロン」,玄光社,2008年,第55巻3号,p28-32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前述した不揮発性メモリに撮影画像を記録するビデオカメラでは、電源が供給されなくても不揮発性メモリに記録された撮影画像が保持され続けるため、例えば、撮像装置を廃棄する場合に、個人情報が流出してしまうといった問題があった。
【0015】
また、不揮発性メモリの容量違いで製品のバリエーション展開を行う場合、柔軟な生産調整が可能となる構成が好ましい。
【0016】
さらに、前述したバックアップ用2次電池の取出し用目隠し蓋や調整・点検を行うためのサービスコネクタ用目隠し蓋等、通常ユーザーが使用ない蓋は、極力数を少なくし、且つ外観上、目立たないように配置することが好ましい。
【0017】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、目隠し蓋等の通常ユーザーが使用ない蓋を、増やすことなく、内蔵不揮発性メモリに記録された撮影画像などの個人情報流出を防ぎ、柔軟な生産調整が可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮像装置において、撮影画像を記録する不揮発性メモリ基板と、前記不揮発性メモリ基板を撮像装置本体から着脱するための開口部と、前記開口部を塞ぐ蓋体を備えたことを特徴とした。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記不揮発性メモリ基板には、撮像装置の時刻や設定状態を維持するための電源を供給するバックアップ用2次電池が実装されていることを特徴とした。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、前記不揮発性メモリ基板には、撮像装置を調整・点検するためのコネクタが実装されていることを特徴とした。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか記載の撮像装置において、前記不揮発性メモリ基板と、前記開口部を塞ぐ蓋体を同一のビスで固定することを特徴とした。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか記載の撮像装置において、さらに撮像装置本体に対して開閉可能に設けられた表示部を備え、前記開口部を塞ぐ蓋体を、前記表示部を収納した状態において対向する位置に設けることを特徴とした。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか記載の撮像装置において、さらに撮像装置本体に電源を供給する着脱可能なバッテリを収納するバッテリ収納部を備え、前記開口部を塞ぐ蓋体を、前記バッテリ収納部に設けることを特徴とした。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか記載の撮像装置において、前記不揮発性メモリ基板に、容易に破壊が出来るようにするための切り欠き溝もしくは穴を設けたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、撮像装置において、不揮発性メモリ基板を撮像装置本体から着脱するための開口部と、開口部を塞ぐ蓋体を備えた構成とした。よって、撮像装置の廃棄時に、撮像装置から不揮発性メモリを容易に取り外すことが出来、個人情報の流出を防ぐことが可能となる。また、不揮発性メモリを生産工程の最終工程で取り付けることが可能となるので、不揮発性メモリの容量違いで製品のバリエーション展開を行う場合において、柔軟な生産調整が可能となる。
【0026】
また、不揮発性メモリ基板に、撮像装置の時刻や設定状態を維持するためも電源を供給するバックアップ用2次電池を実装する構成とした。よって、不揮発性メモリとバックアップ用2次電池をまとめて取り外すことが出来、それぞれ個別に取り出す手間を省くことが可能となる。
【0027】
また、不揮発性メモリ基板に、撮像装置を調整・点検するためのコネクタを実装する構成とした。よって、目隠し蓋をそれぞれ個別に設けずに、ひとつにまとめることが可能となり、部品点数の削減が出来る。
【0028】
また、不揮発性メモリ基板と開口部を塞ぐ蓋体を同一のビスで固定する構成とした。よって、それぞれに固定するためのビスを設ける必要が無いため、部品点数の削減が可能となる。
【0029】
さらに、開口部を塞ぐ蓋体を、表示部を収納した状態において対向する位置やバッテリ収納部に設ける構成とした。よって、開口部を塞ぐ蓋体を、外観上目立たなくすることが出来、撮像装置本体の美観を高めることが可能となる。
【0030】
また、不揮発性メモリ基板に、容易に破壊が出来るようにするための切り欠きもしくは穴を設ける構成とした。よって、不揮発性メモリ基板を容易に破壊することが可能となり、不揮発性メモリに記録されている個人情報の流出を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るビデオカメラの正面方向(被写体側)から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るビデオカメラのビデオカメラの後方(撮影者側)から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るビデオカメラの表示部を開いた状態の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るビデオカメラの目隠し蓋を取り外した状態の斜視図である。
【図5(a)】不揮発性メモリ基板のビデオカメラ本体への着脱を説明するための図である。
【図5(b)】不揮発性メモリ基板のビデオカメラ本体への着脱を説明するための図である。
【図6】バッテリ収納面に不揮発性メモリ基板を着脱する開口部及び開口部を塞ぐ目隠し蓋を設けた構成を説明するための図である。
【図7】不揮発性メモリ基板を容易に破壊できる構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの正面方向(被写体側)から見た斜視図、図2は同ビデオカメラの後方(撮影者側)から見た斜視図、である。
【0033】
図1において、1はビデオカメラ本体、2はビデオカメラ本体1の長手方向前方(被写体側)に設けられたレンズ部、3は撮影音声を集音するマイク部、4は撮影画像を確認するための表示部であり、2.7インチ程度の液晶パネルなどより構成される。また、表示部4は、ヒンジ機構によって開閉及び回転が可能である。
【0034】
図2において、5はズーム操作を行うためのズームツマミ、6は静止画の記録を行うフォトボタン、7は電源ボタン、8はモードダイヤルであり、ダイヤルを回動動作することで、動画撮影モード、静止画撮影モード、動画再生モード、静止画再生モードを切り替えることが可能である。
【0035】
9はトリガーボタンであり、押圧動作することで、動画撮影のスタート/ストップを行うことが可能である。
【0036】
10はビデオカメラ本体1に対して着脱可能な電源を供給するバッテリである。
【0037】
次に、本発明の特徴とする不揮発性メモリ及びバックアップ用2次電池、サービスコネクタの配置構成について、詳しく説明する。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの表示部4を開いた状態の斜視図、図4は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの目隠し蓋を取り外した状態の斜視図である。
【0039】
図3及び図4において、11は表示部4を閉じた状態で対向する位置に設けられた開口部を塞ぐための目隠し蓋、12は目隠し蓋11を固定するためのビス、13は目隠し蓋に指などを掛けて取り外すための凹部である。
【0040】
図4のように、目隠し蓋12は、ビス11を取り外し、凹部13に指などを掛けることで、取り外すことが可能である。
【0041】
14は、不揮発性メモリ基板であり、目隠し蓋12を取り外すことで、ビデオカメラ本体1に設けられた開口部15から露出し、ビデオカメラ本体1から取り外すことが可能となる。
【0042】
不揮発性メモリ基板14において、14aは、不揮発性メモリ基板14に実装された大容量のNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、撮影画像を記録する。14bは、不揮発性メモリ基板14に実装されたサービスコネクタであり、不図示の受け側のサービスコネクタと接続することにより、生産工場あるいはサービス拠点にて調整・点検を行うことが可能である。14cは、不揮発性メモリ基板14に実装されたバックアップ用2次電池であり、バッテリ10がビデオカメラ本体1から取り外された状態において、時刻や設定状態を維持するために、後述するメイン基板に電源供給を行う。
【0043】
次に、不揮発性メモリ基板14のビデオカメラ本体1への着脱について説明を行う。
【0044】
図5(a)及び図5(b)は、不揮発性メモリ基板14のビデオカメラ本体1への着脱を説明するための図である。
【0045】
図5(a)及び図5(b)において、15はビデオカメラ本体1に設けられた不揮発性メモリ基板14の着脱を行うための開口部、16はビデオカメラ本体1を動作させるための主要回路が実装されたメイン基板、17はビデオカメラ本体に設けられた不揮発性メモリ基板14及び目隠し蓋11を固定するためのホルダー板金である。
【0046】
不揮発性メモリ基板14は、ビデオカメラ本体1に設けられた開口部15より、メイン基板16に実装された接続コネクタ16aと不揮発性メモリ基板に実装された接続コネクタ14eを接続することで取り付けられる。
【0047】
開口部15は、目隠し蓋11を取り付けることによって塞がれる。
【0048】
また、ビス12を、目隠し蓋11に設けられたビス穴11a、不揮発性メモリ基板14に設けられたビス穴14dに貫通させ、ホルダー板金17に設けられたタップ穴に締め付けることで、不揮発性メモリ基板14及び目隠し蓋11が固定保持される。
【0049】
以上、説明したように、本発明の実施形態では、撮影画像を記録する不揮発性メモリとサービスコネクタ及びバックアップ用2次電池を同一基板に実装すると共に、表示部を閉じた状態で対向する位置に設けた開口部から着脱可能な構成とした。
【0050】
よって、ビデオカメラの廃棄時に、ビデオカメラ本体から不揮発性メモリを容易に取り外すことが出来、個人情報の流出を防ぐことが可能となる。
【0051】
また、不揮発性メモリを生産工程の最終工程で取り付けることが可能となるので、例えば、不揮発性メモリの容量違いで製品のバリエーション展開を行う場合において、柔軟な生産調整が可能となる。
【0052】
さらに、不揮発性メモリとバックアップ用2次電池が同一基板に実装されているため、廃棄時に、不揮発性メモリとバックアップ用2次電池をまとめて取り外すことが出来、それぞれ別個に取り外す手間を省くことが可能となる。
【0053】
また、不揮発性メモリ、サービスコネクタ、バックアップ用2次電池の目隠し蓋をそれぞれ別個に設けずに、ひとつにまとめ、目隠し蓋と基板を固定保持するためのビスを同一とした構成としたことにより、部品点数の削減が可能となる。
【0054】
また、開口部及び開口部を塞ぐ目隠し蓋を、外観上目立たない表示部を閉じた状態で対向する位置に設けることで、ビデオカメラ本体の美観を高めることが可能となる。
【0055】
本発明の実施形態では、開口部及び開口部を塞ぐ目隠し蓋を、外観上目立たない表示部を閉じた状態で対向する位置に設ける構成について説明したが、これに限るものではなく、例えば、図6のように、外観上目立たない、バッテリを取り外した時に露出するバッテリ収納面に開口部及び開口部を塞ぐ目隠し蓋を設ける構成としても良い。
【0056】
また、図7のように、不揮発性メモリ基板に切り欠き溝14f、14h、や穴14gを設けることで、不揮発性メモリ基板を容易に破壊できるようにすることで、不揮発性メモリに記録されている個人情報の流出を防ぐ構成としても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 ビデオカメラ本体
2 レンズ部
3 マイク部
4 表示部
5 ズームツマミ
6 フォトボタン
7 電源ボタン
8 モードダイヤル
9 トリガーボタン
10 バッテリ
11 目隠し蓋
11a ビス穴
12 ビス
13 凹部
14 不揮発性メモリ基板
14a 不揮発性メモリ
14b サービスコネクタ
14c バックアップ用2次電池
14d ビス穴
14e 接続コネクタ
14f, 14h 切り欠き溝
14g 穴
15 開口部
16 メイン基板
16a 接続コネクタ
17 ホルダー板金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像を記録する不揮発性メモリ基板と、前記不揮発性メモリ基板を撮像装置本体から着脱するための開口部と、前記開口部を塞ぐ蓋体を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記不揮発性メモリ基板には、撮像装置の時刻や設定状態を維持するための電源を供給するバックアップ用2次電池が実装されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリ基板には、撮像装置を調整・点検するためのコネクタが実装されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記不揮発性メモリ基板と、前記開口部を塞ぐ蓋体を同一のビスで固定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
さらに撮像装置本体に対して開閉可能に設けられた表示部を備え、前記開口部を塞ぐ蓋体を、前記表示部を収納した状態において対向する位置に設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
さらに撮像装置本体に電源を供給する着脱可能なバッテリを収納するバッテリ収納部を備え、前記開口部を塞ぐ蓋体を、前記バッテリ収納部に設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記不揮発性メモリ基板に、容易に破壊が出来るようにするための切り欠き溝もしくは穴を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−124626(P2012−124626A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272240(P2010−272240)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】