説明

撮像装置

【課題】被写体が自身の位置を測位すること、及び位置情報を送信することを必要とせず、被写体の位置情報を取得することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像部301は被写体を撮像する。位置情報取得部303は自端末の絶対位置を取得する。姿勢情報取得部304は自端末の撮像方向を推定する。通信部308及びアンテナ309は、外部端末から、被写体の絶対位置を示す第1の情報を受信する、又は、外部端末の絶対位置、外部端末の撮像方向、及び外部端末から被写体までの距離を示す第2の情報を受信する。処理部305は、自端末の絶対位置と、自端末の撮像方向と、受信した第1の情報又は第2の情報とに基づいて、自端末の撮像方向を制御する、又は、自端末の操作者に撮像方向の変更を促す情報を通知するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像範囲内に収めることを容易にする撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の被写体を常時撮像範囲内に収め続けることを容易にするための技術として、特許文献1に示される技術が開示されている。特許文献1には、撮影装置に具備されたGPS(グローバルポジショニングシステム)回路及び姿勢検出回路を利用して取得した撮影装置の位置情報及び姿勢情報と、被写体に装着した被写体位置検出部から無線により受信した被写体位置情報とに応じて撮影装置から被写体までの距離を演算し、撮影装置の撮影画面に対する被写体像の位置に応じて、リアルタイム映像或いはその近傍に、被写体の存在する位置や方向を表示するシステムが記載されている。なお、本明細書において「リアルタイム映像」とは、撮像部で撮像された映像であって、順次表示部に表示される映像のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−314851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被写体が自身の位置の測位を行うこと、及び測位した位置を示す位置情報を送信することができない場合、特許文献1で開示されている技術では、撮像装置から被写体までの距離を演算することは不可能となる。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、被写体が自身の位置を測位すること、及び位置情報を送信することを必要とせず、被写体の位置に基づく制御を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、被写体の位置に基づく制御に必要な情報を提供することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、被写体を撮像する撮像部と、自端末の絶対位置を取得する取得部と、自端末の撮像方向を推定する推定部と、外部端末から、前記被写体の絶対位置を示す第1の情報を受信する、又は、前記外部端末の絶対位置、前記外部端末の撮像方向、及び前記外部端末から前記被写体までの距離を示す第2の情報を受信する受信部と、前記取得部が取得した前記絶対位置と、前記推定部が推定した前記撮像方向と、前記第1の情報又は前記第2の情報とに基づいて、自端末の前記撮像方向を制御する、又は、自端末の操作者に前記撮像方向の変更を促す情報を通知するよう制御する制御部と、を有する撮像装置である。
【0007】
また、本発明の撮像装置は、前記撮像部が撮像した被写体の映像に基づいて被写体を認識する認識部と、前記認識部が認識した被写体に関する情報を前記外部端末へ送信する送信部と、を更に有する。
【0008】
また、本発明の撮像装置において、前記送信部は、前記認識部が認識した被写体の画像を前記外部端末へ送信する。
【0009】
また、本発明は、被写体を撮像する撮像部と、自端末の絶対位置を取得する取得部と、自端末の撮像方向を推定する推定部と、自端末から前記被写体までの距離を算出する算出部と、前記絶対位置、前記撮像方向、及び前記距離に基づいて算出される前記被写体の絶対位置を示す第1の情報を外部端末へ送信する、又は、前記絶対位置、前記撮像方向、及び前記距離を示す第2の情報を前記外部端末へ送信する送信部と、を有する撮像装置である。
【0010】
また、本発明の撮像装置は、前記外部端末から前記被写体の位置情報の取得要求を受信する受信部を更に有し、前記送信部は、前記取得要求を受信した後に前記第1の情報又は前記第2の情報を前記外部端末へ送信する。
【0011】
また、本発明の撮像装置は、前記外部端末から被写体に関する情報を受信する受信部を更に有し、前記算出部は、前記受信部が受信した情報に関連する被写体までの距離を算出する。
【0012】
また、本発明の撮像装置において、前記送信部は、前記第1の情報又は前記第2の情報を繰り返し送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自端末の絶対位置と、撮像方向と、外部端末から受信した、被写体の絶対位置を示す第1の情報、又は、外部端末の絶対位置、撮像方向、及び外部端末から被写体までの距離を示す第2の情報とに基づいて、自端末の撮像方向を制御する、又は、自端末の操作者に撮像方向の変更を促す情報を通知するよう制御することによって、被写体が自身の位置を測位すること、及び位置情報を送信することを必要とせず、被写体の位置に基づく制御を行うことができる。
【0014】
また、本発明によれば、上記第1の情報又は上記第2の情報を外部端末へ送信することによって、被写体の位置に基づく制御に必要な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施の形態における被写体位置通知システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態における位置情報提供端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態における位置情報表示端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態における位置情報提供端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第一の実施の形態における被写体の位置情報の演算方法を示す参考図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態における位置情報表示端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第一の実施の形態における被写体の位置表示情報の演算方法を示す参考図である。
【図8】本発明の第二の実施の形態における被写体位置通知システムの構成を示す構成図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態における位置情報表示端末の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第二の実施の形態における位置情報提供端末の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態における位置情報表示端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第二の実施の形態における位置情報提供端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第一の実施の形態における位置情報提供端末及び位置情報表示端末の変形例の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第一の実施の形態における位置情報提供端末の変形例の動作の手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第一の実施の形態における位置情報表示端末の変形例の動作の手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第二の実施の形態における位置情報提供端末及び位置情報表示端末の変形例の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第二の実施の形態における位置情報提供端末の変形例の動作の手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第二の実施の形態における位置情報表示端末の変形例の動作の手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第一及び第二の実施の形態における被写体位置通知システムの変形例の構成を示す構成図である。
【図20】本発明の第一及び第二の実施の形態における被写体位置通知システムの変形例の構成を示す構成図である。
【図21】本発明の第一の実施の形態における位置情報表示端末の変形例の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第二の実施の形態における位置情報表示端末の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(第一の実施の形態)
まず、本発明の第一の実施の形態を説明する。図1は、撮像範囲内に所望の被写体が存在しない場合に、所望の被写体が存在する位置や方向を操作者に通知する被写体位置通知システムの構成の一例を示している。この被写体位置通知システムでは、被写体101を撮像範囲内に捕捉している撮像装置である位置情報提供端末102から被写体の位置情報を常時受信し続ける撮像装置である位置情報表示端末103の撮像範囲内に被写体101が存在しない場合に、被写体101が存在する方向を示す情報が位置情報表示端末103のリアルタイム映像に重畳して表示される。
【0018】
図1(a)に示す例は、位置情報表示端末103の撮像範囲内に被写体101が存在する場合におけるリアルタイム映像の様子を示している。図1(b)に示す例は、位置情報表示端末103の撮像範囲内に被写体101が存在しない場合において、矢印104をリアルタイム映像に重畳して表示することで、被写体101が存在する方向を通知している様子を示している。
【0019】
なお、被写体101が存在する方向の通知方法として、図1(b)では矢印104により通知を行っているが、通知方法は矢印104のみに限定されるものではない。例えば、LEDの点滅や、LEDの色の変化による通知や、音声ガイダンスによる通知や、文字による通知等、この他にも様々な通知方法が挙げられる。
【0020】
図2は、第一の実施の形態における位置情報提供端末102の構成を示している。以下では、図2を用いて位置情報提供端末102の構成を説明する。第一の実施の形態における位置情報提供端末102は、撮像部201と、位置情報取得部202と、姿勢情報取得部203と、処理部204と、演算部205と、記録部206と、通信部207と、アンテナ208とを備える。なお、撮像部201が本発明における撮像部に対応し、位置情報取得部202が本発明における取得部に対応し、姿勢情報取得部203が本発明における推定部に対応し、演算部205が本発明における算出部に対応し、通信部207及びアンテナ208が本発明における送信部及び受信部に対応する。
【0021】
撮像部201は、被写体を撮像してリアルタイム映像を生成する一方、位置情報提供端末102から被写体までの距離を測距する。位置情報取得部202は、位置情報提供端末102の絶対位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部202は、例えばGPSセンサを用いて構成することが可能である。本明細書に記載されている他の位置情報取得部についても同様にGPSセンサ等を用いて構成することが可能である。姿勢情報取得部203は、位置情報提供端末102の姿勢情報を取得する。姿勢情報取得部203は、例えば地磁気センサと加速度センサを用いて構成することが可能である。本明細書に記載されている他の姿勢情報取得部についても同様に地磁気センサと加速度センサ等を用いて構成することが可能である。この姿勢情報に基づいて、位置情報提供端末102が被写体を撮像しているときの撮像方向、すなわち位置情報提供端末102から見た被写体の方向を推定することが可能となる。
【0022】
処理部204は、位置情報提供端末102の動作を制御する。演算部205は、位置情報提供端末102の位置情報,姿勢情報,及び被写体までの距離に基づいて、被写体の絶対位置を示す位置情報を演算する。記録部206は、位置情報提供端末102の位置情報,姿勢情報,位置情報提供端末102から被写体までの距離,及び被写体の位置情報等を記録する記録媒体を有する。通信部207及びアンテナ208は、位置情報表示端末103と無線通信を行う。
【0023】
図3は、第一の実施の形態における位置情報表示端末103の構成を示している。以下では、図3を用いて位置情報表示端末103の構成を説明する。第一の実施の形態における位置情報表示端末103は、撮像部301と、表示部302と、位置情報取得部303と、姿勢情報取得部304と、処理部305と、演算部306と、記録部307と、通信部308と、アンテナ309とを備える。なお、撮像部301が本発明における撮像部に対応し、位置情報取得部303が本発明における取得部に対応し、姿勢情報取得部304が本発明における推定部に対応し、通信部308及びアンテナ309が本発明における送信部及び受信部に対応し、処理部305が本発明における制御部に対応する。
【0024】
撮像部301は、被写体を撮像してリアルタイム映像を生成する一方、画角情報の取得を行う。表示部302は、リアルタイム映像を表示すると共に、操作者に撮像方向の変更を促すため、被写体が存在する方向を表示する。位置情報取得部303は、位置情報表示端末103の絶対位置を示す位置情報を取得する。姿勢情報取得部304は、位置情報表示端末103の姿勢情報を取得する。この姿勢情報に基づいて、位置情報表示端末103が被写体を撮像しているときの撮像方向を推定することが可能となる。
【0025】
処理部305は、位置情報表示端末103の動作を制御する。演算部306は、位置情報表示端末103の位置情報,姿勢情報,画角情報,及び位置情報提供端末102から受信した被写体の位置情報に基づいて、被写体が存在する方向を演算する。記録部307は、位置情報表示端末103の位置情報,姿勢情報,及び位置情報提供端末102から受信した被写体の位置情報を記録する記録媒体を有する。通信部308及びアンテナ309は、位置情報提供端末102と無線通信を行う。
【0026】
次に、図4を用いて、第一の実施の形態における位置情報提供端末102の動作を説明する。処理部204は、通信部207及びアンテナ208を経由して、位置情報表示端末103から被写体位置情報提供開始命令を受信すると、位置情報提供処理を開始する(ステップS401)。なお、第一の実施の形態における被写体位置情報提供開始命令とは、位置情報提供端末102に対し、位置情報提供処理を開始させる命令である。
【0027】
処理部204は、被写体位置情報提供開始命令を受け付けると、位置情報取得部202から位置情報提供端末102の位置情報を取得し、記録部206に記録する(ステップS402)。なお、第一の実施の形態においては、位置情報提供端末102が存在する緯度,経度,及び高度を少なくとも含む情報を位置情報提供端末102の位置情報とする。
【0028】
処理部204は、位置情報提供端末102の位置情報を記録した後、姿勢情報取得部203から位置情報提供端末102の姿勢情報を取得し、記録部206に記録する(ステップS403)。なお、第一の実施の形態においては、位置情報提供端末102が向いている方位、及び位置情報提供端末102の仰俯角を少なくとも含む情報を位置情報提供端末102の姿勢情報とする。
【0029】
処理部204は、位置情報提供端末102の姿勢情報を記録した後、撮像部201を制御して被写体にピントを合わせ、撮像部201の焦点距離とレンズ−撮像素子間の距離とに基づいて、位置情報提供端末102から被写体までの距離を測距し、記録部206に記録する(ステップS404)。
【0030】
処理部204は、位置情報提供端末102から被写体までの距離を記録した後、演算部205に対し被写体位置演算命令を発行する。なお、第一の実施の形態における被写体位置演算命令とは、演算部205に対し、被写体の位置情報の演算処理を開始させる命令である。
【0031】
演算部205は、被写体位置演算命令を受け付けると、記録部206に記録されている、ステップS402,ステップS403,ステップS404でそれぞれ取得した位置情報提供端末102の位置情報,位置情報提供端末102の姿勢情報,及び位置情報提供端末102から被写体までの距離を利用して、被写体の位置情報を演算し、記録部206に記録する(ステップS405)。なお、第一の実施の形態においては、被写体の緯度,経度,及び高度を少なくとも含む情報を被写体の位置情報とする。また、被写体の位置情報の演算方法に関しては後述する。
【0032】
演算部205は、被写体の位置情報を記録した後、処理部204に被写体位置演算完了通知を発行する。なお、第一の実施の形態における被写体位置演算完了通知とは、処理部204に対し、被写体の位置情報の演算が完了したことを通知するメッセージである。
【0033】
処理部204は、被写体位置演算完了通知を受け付けると、記録部206に記録されている被写体の位置情報を、通信部207及びアンテナ208を経由して位置情報表示端末103へ送信する(ステップS406)。
【0034】
処理部204は、被写体の位置情報を送信した後、位置情報表示端末103からアンテナ208及び通信部207を経由して被写体位置情報提供終了命令を受信しているかどうかの判定を行う(ステップS407)。被写体位置情報提供終了命令を受信していた場合、処理部204は位置情報提供処理を終了し、未受信の場合はステップS402から再度、被写体の位置情報の演算及び送信を行う。なお、第一の実施の形態における被写体位置情報提供終了命令とは、位置情報提供端末102に対し、位置情報提供処理を終了させる命令である。
【0035】
次に、演算部205がステップS406で演算する被写体の位置情報の演算方法に関して、図5を用いて説明する。図5におけるX,Y,Zは、それぞれ経度,緯度,高度である。また、図5における(X1,Y1,Z1)は、位置情報提供端末102の位置情報であり、ステップS402で取得した情報である。また、図5におけるθ,φは、それぞれ位置情報提供端末102の向いている方角,仰俯角であり、ステップS403で取得した位置情報提供端末102の姿勢情報である。また、図5におけるLは、位置情報提供端末102から被写体までの距離であり、ステップS404で取得した情報である。また、図5における(X2,Y2,Z2)は、被写体の位置情報であり、ステップS405で演算する対象である。
【0036】
図5に記載されている各パラメータから、被写体の位置情報は、(1)式〜(3)式に示す計算式で求められる。
X2=X1+Lcosφsinθ ・・・(1)
Y2=Y1+Lcosφcosθ ・・・(2)
Z2=Z1+Lsinφ ・・・(3)
【0037】
次に、図6を用いて、第一の実施の形態における位置情報表示端末103の動作を説明する。処理部305は、被写体位置情報表示開始命令を受け付けると、位置情報表示処理を開始する(ステップS601)。なお、第一の実施の形態における被写体位置情報表示開始命令とは、位置情報表示端末103に対し、位置情報表示処理を開始させる命令である。また、第一の実施の形態における被写体位置情報表示開始命令は、位置情報提供端末102と位置情報表示端末103とが同じネットワークに所属したことをトリガとして発行される命令であるが、命令が発行される条件はこの条件に限定されるものではなく、例えば、図3に示す位置情報表示端末103の構成にユーザインターフェース部を更に追加し、ユーザによる入力をトリガとして発行される条件にしても良く、この他にも様々な条件が考えられる。
【0038】
処理部305は、被写体位置情報表示開始命令を受け付けると、位置情報提供端末102に対し、通信部308及びアンテナ309を経由して、被写体位置情報提供開始命令を送信する(ステップS602)。
【0039】
処理部305は、被写体位置情報提供開始命令を送信した後、位置情報提供端末102から送信される被写体の位置情報を、通信部308及びアンテナ309を経由して受信するための受信待機状態となる(ステップS603)。被写体の位置情報を受信した場合、処理部305は被写体の位置情報を記録部307に記録した後、ステップS604で示される処理を行い、受信待機状態のまま所定の時間が経過した場合、処理部305はステップS610で示される処理を行う。
【0040】
処理部305は、被写体の位置情報を記録した後、位置情報取得部303から位置情報表示端末103の位置情報を取得し、記録部307に記録する(ステップS604)。なお、第一の実施の形態においては、位置情報表示端末103が存在する緯度,経度,及び高度を少なくとも含む情報を位置情報表示端末103の位置情報とする。
【0041】
処理部305は、位置情報表示端末103の位置情報を記録した後、姿勢情報取得部304から位置情報表示端末103の姿勢情報を取得し、記録部307に記録する(ステップS605)。なお、第一の実施の形態においては、位置情報表示端末103が向いている方位,及び位置情報表示端末103の仰俯角を含む情報を位置情報表示端末103の姿勢情報とする。
【0042】
処理部305は、位置情報表示端末103の姿勢情報を記録した後、撮像部301から位置情報表示端末103の画角情報を取得し、記録部307に記録する(ステップS606)。処理部305は、位置情報表示端末103の画角情報を記録した後、演算部306に対し被写体位置表示情報演算命令を発行する。なお、第一の実施の形態における被写体位置表示情報演算命令とは、演算部306に対し、位置情報表示端末103の位置及び姿勢を基準とした場合における被写体が存在する方向(以降は被写体位置表示情報と称す)の演算を開始させる命令である。
【0043】
演算部306は、被写体位置表示情報演算命令を受け付けると、記録部307に記録されている、ステップS603,S604,S605,S606で取得した、被写体の位置情報,位置情報表示端末103の位置情報,位置情報表示端末103の姿勢情報,及び位置情報表示端末103の画角情報を利用して、被写体位置表示情報を演算し、記録部307に記録する(ステップS607)。
【0044】
演算部306は、被写体位置表示情報を記録した後、被写体位置表示情報演算完了通知を処理部305に発行する。なお、第一の実施の形態における被写体位置表示情報演算完了通知とは、処理部305に対し、被写体位置表示情報の演算が完了したことを通知するメッセージである。また、第一の実施の形態においては、被写体が撮像範囲内に存在している場合は、被写体位置表示情報の記録は行わない。また、被写体位置表示情報の演算方法に関しては後述する。
【0045】
処理部305は、被写体位置表示情報演算完了通知を受け付けると、記録部307に被写体位置表示情報が記録されているかどうかの判定を行う(ステップS608)。この判定は、被写体が撮像範囲内に存在しているかどうかの判定と同等である。被写体位置表示情報が記録されていた場合、被写体が撮像範囲内に存在しておらず、処理部305はステップS609の処理を行う。また、被写体位置表示情報が記録されていない場合、被写体が撮像範囲内に存在しており、処理部305はステップS610の処理を行う。
【0046】
処理部305は、被写体位置表示情報が記録部307に記録されていた場合、記録部307から被写体位置表示情報を取得し、表示部302を制御して被写体位置表示情報をリアルタイム映像に重畳して表示する(ステップS609)。これにより、操作者に対して、被写体が存在する方向を通知し、撮像方向の変更を促すことができる。
【0047】
ステップS603で被写体の位置情報を受信しなかった場合,被写体位置表示情報が記録部307に記録されていなかった場合,或いは被写体位置表示情報のリアルタイム映像への重畳が完了した場合、処理部305は、被写体位置情報表示終了命令が発行されているかどうかの判定を行う(ステップS610)。被写体位置情報表示終了命令が発行されていなかった場合、処理部305はステップS603の処理を行い、被写体位置情報表示終了命令が発行されていた場合、処理部305はステップS611の処理を行う。
【0048】
なお、第一の実施の形態における被写体位置情報表示終了命令は、位置情報表示端末103に対し、位置情報表示処理を終了させる命令である。また、第一の実施の形態における被写体位置情報表示終了命令は、所属しているネットワークから離脱することをトリガとして、離脱する前に発行される命令であるが、命令が発行される条件はこの条件に限定されるものではなく、例えば、図3に示す位置情報表示端末103の構成にユーザインターフェース部を更に追加し、ユーザによる入力をトリガとして発行される条件や、ステップS603において所定の回数未受信となったことをトリガとして発行される条件にしても良く、この他にも様々な条件が考えられる。
【0049】
処理部305は、被写体位置情報表示終了命令が発行されていた場合、位置情報提供端末102に対し、通信部308及びアンテナ309を経由して、被写体位置情報提供終了命令を送信し、位置情報表示処理を終了する(ステップS611)。
【0050】
次に、ステップS607で演算部306が演算する被写体位置表示情報の演算方法に関して、図7を用いて説明する。図7(a)におけるX,Y,Zは、それぞれ経度,緯度,高度である。また、図7における(X2,Y2,Z2)は、被写体の位置情報であり、ステップS603で取得した情報である。また、図7における(X3,Y3,Z3)は、位置情報表示端末103の位置情報であり、ステップS604で取得した情報である。また、図7におけるθ1,φ1は、それぞれ位置情報表示端末103の向いている方角,仰俯角であり、ステップS605で取得した位置情報表示端末103の姿勢情報である。また、図7におけるθ2,φ2は、演算する対象である。
【0051】
演算部306は、(4)式及び(5)式を利用して、θ2及びφ2を演算する。
【0052】
【数1】

【0053】
演算部306は、θ2及びφ2を演算した後、位置情報表示端末103の位置及び姿勢を基準とした場合における被写体が存在する方位及び仰俯角を(6)式及び(7)式により演算する。
方位 θ2−θ1 ・・・(6)
仰俯角 φ2−φ1 ・・・(7)
【0054】
演算部306は、位置情報表示端末103の位置及び姿勢を基準とした場合における被写体が存在する方位及び仰俯角を演算した後、被写体が撮像範囲内に存在するかどうかの判定を、(8)式及び(9)式で示される条件が満たされるかどうかを確認することにより行う。なお、第一の実施の形態におけるステップS606で取得した画角情報は、図7(b)に示されるように、方位,仰俯角それぞれの方向に対し、θ3,φ3で示される情報である。
方位 θ1−θ3 < θ2−θ1 < θ1+θ3 ・・・(8)
仰俯角 φ1−φ3 < φ2−φ1 < φ1+φ3 ・・・(9)
【0055】
演算部306は、(8)式及び(9)式で示される条件を片方でも満たさない場合、位置情報表示端末103の向いている方向を示すベクトルの単位ベクトル(以降は姿勢ベクトルと称す),及び位置情報表示端末103の位置を基準とした場合における被写体の位置を示すベクトルの単位ベクトル(以降は被写体ベクトルと称す)を演算し、姿勢ベクトルの終点を始点とした場合における被写体ベクトルの終点を示すベクトル(以降は表示ベクトルと称す)を演算する。なお、姿勢ベクトル,被写体ベクトル,及び表示ベクトルは、それぞれ図7(c)において以下のように表されている。
【0056】
【数2】

【0057】
演算部306は、表示ベクトルを演算した後、図7(d)に示されるように、姿勢ベクトルと直交する平面(撮像部301の撮像面に相当)に表示ベクトルを投影したベクトルを演算し、記録部307に記録する。なお、記録部307に記録したベクトルが被写体位置表示情報である。また、被写体位置表示情報のベクトルは図7(d)において以下のように表されている。
【0058】
【数3】

【0059】
なお、第一の実施の形態における被写体位置表示情報の演算方法は上記の方法をとるが、被写体位置表示情報の演算が可能であれば、演算方法は上記演算方法に限定されるものではない。
【0060】
以上が本発明の第一の実施の形態である。第一の実施の形態によれば、被写体が位置情報の取得及び提供ができない状況下であっても、位置情報表示端末103において、位置情報提供端末102が捕捉している被写体の位置情報の取得、及び被写体の位置情報に基づく制御(第一の実施の形態では、被写体が存在する位置や方向の表示)が可能となる。また、位置情報提供端末102は、位置情報表示端末103が被写体の位置情報に基づく制御を行うのに必要な情報を提供することができる。
【0061】
また、第一の実施の形態によれば、位置情報表示端末103は、位置情報提供端末102から受信した被写体の位置情報に基づいて、操作者に撮影方向の通知を行えるため、被写体を位置情報表示端末103のリアルタイム映像に容易に収めることができるようになる。
【0062】
また、第一の実施の形態によれば、位置情報提供端末102では、被写体位置情報提供終了命令が受信されるまで、被写体の位置情報の送信が繰り返し行われるため、被写体の位置情報をリアルタイムに提供し続けることができる。
【0063】
また、第一の実施の形態によれば、位置情報提供端末102は、位置情報表示端末103から送信される被写体位置情報提供開始命令の受信をトリガとして被写体の位置情報の送信を行うため、所望のタイミングで被写体の位置情報の送信が行えるようになる。
【0064】
(第二の実施形態)
次に、発明の第二の実施の形態を説明する。図8は、所望の被写体が撮像範囲内からフレームアウトした場合にのみ、所望の被写体が存在する位置や方向を通知する被写体位置通知システムの構成の一例を示している。この被写体位置通知システムでは、撮像装置である位置情報表示端末802の撮像範囲内から被写体801がフレームアウトした場合にのみ、位置情報表示端末802において、撮像装置である位置情報提供端末803から被写体の位置情報が受信され、被写体801が存在する方向が位置情報表示端末802のリアルタイム映像に重畳して表示される。
【0065】
図8(a)は、位置情報表示端末802の撮像範囲内に被写体801が存在する場合におけるリアルタイム映像の様子を示している。図8(b)は、位置情報表示端末802の撮像範囲内から被写体801がフレームアウトした場合におけるリアルタイム映像の様子、及び位置情報表示端末802と位置情報提供端末803の通信の様子を示している。
【0066】
図8(c)は、被写体が存在する方向を示す矢印804が位置情報表示端末802のリアルタイム映像に重畳表示されている様子を示している。図8(d)は、位置情報表示端末802が再度被写体801を撮像範囲内に捕捉した場合におけるリアルタイム映像の様子、及び位置情報表示端末802と位置情報提供端末803の通信の様子を示している。
【0067】
なお、被写体801が存在する方向の通知方法として、図8(c)では矢印804により通知を行っているが、通知方法は矢印804のみに限定されるものではなく、例えばLEDの点滅や、LEDの色の変化による通知や、音声ガイダンスによる通知や、文字による通知等、この他にも様々な通知方法が挙げられる。
【0068】
図9は、第二の実施の形態における位置情報表示端末802の構成を示している。以下では、図9を用いて位置情報表示端末802の構成を説明する。第二の実施の形態における位置情報表示端末802は、撮像部901と、被写体識別部902と、表示部903と、位置情報取得部904と、姿勢情報取得部905と、処理部906と、演算部907と、記録部908と、通信部909と、アンテナ910とを備える。なお、撮像部901が本発明における撮像部に対応し、位置情報取得部904が本発明における取得部に対応し、姿勢情報取得部905が本発明における推定部に対応し、通信部909及びアンテナ910が本発明における送信部及び受信部に対応し、処理部906が本発明における制御部に対応し、被写体識別部902が本発明における識別部に対応する。
【0069】
撮像部901は、被写体を撮像してリアルタイム映像を生成する一方、画角情報の取得を行う。被写体識別部902は、記録部908に記録されている被写体識別情報に基づいて、リアルタイム映像に映っている被写体を識別する。表示部903は、リアルタイム映像を表示すると共に、操作者に撮像方向の変更を促すため、被写体が存在する方向を表示する。位置情報取得部904は、位置情報表示端末802の絶対位置を示す位置情報を取得する。
【0070】
姿勢情報取得部905は、位置情報表示端末802の姿勢情報を取得する。この姿勢情報に基づいて、位置情報表示端末802が被写体を撮像しているときの撮像方向、すなわち位置情報表示端末802から見た被写体の方向を推定することが可能となる。処理部906は、位置情報表示端末802の動作を制御する。演算部907は、位置情報表示端末802の位置情報,姿勢情報,画角情報,及び位置情報提供端末803から受信した被写体の位置情報に基づいて、被写体が存在する方向を演算する。記録部908は、位置情報表示端末802の位置情報,姿勢情報,被写体識別情報,及び位置情報提供端末803から受信した被写体の位置情報を記録する記録媒体を有する。通信部909及びアンテナ910は、位置情報提供端末803と無線通信を行う。
【0071】
図10は、第二の実施の形態における位置情報提供端末803の構成を示している。以下では、図10を用いて位置情報提供端末803の構成を説明する。第二の実施の形態における位置情報提供端末803は、撮像部1001と、被写体識別部1002と、位置情報取得部1003と、姿勢情報取得部1004と、処理部1005と、演算部1006と、記録部1007と、通信部1008と、アンテナ1009とを備える。なお、撮像部1001が本発明における撮像部に対応し、位置情報取得部1003が本発明における取得部に対応し、姿勢情報取得部1004が本発明における推定部に対応し、演算部1006が本発明における算出部に対応し、通信部1008及びアンテナ1009が本発明における送信部及び受信部に対応する。
【0072】
撮像部1001は、被写体を撮像してリアルタイム映像を生成する一方、位置情報提供端末803から被写体までの距離の測距を行う。被写体識別部1002は、位置情報表示端末802から受信する被写体識別情報に基づいて、リアルタイム映像に映っている被写体を識別する。位置情報取得部1003は、位置情報提供端末803の位置情報を取得する。
【0073】
姿勢情報取得部1004は、位置情報提供端末803の姿勢情報を取得する。処理部1005は、位置情報提供端末803の動作を制御する。演算部1006は、位置情報提供端末803の位置情報,姿勢情報,及び被写体までの距離に基づいて、被写体の絶対位置を示す位置情報を演算する。記録部1007は、位置情報提供端末803の位置情報,位置情報提供端末803の姿勢情報,位置情報提供端末803から被写体までの距離,被写体識別情報,及び被写体の位置情報を記録する記録媒体を有する。通信部1008及びアンテナ1009は、位置情報表示端末802と無線通信を行う。
【0074】
次に、図11を用いて、第二の実施の形態における位置情報表示端末802の動作を説明する。位置情報表示端末802は、被写体位置情報表示開始命令を受け付けると、位置情報表示処理を開始する(ステップS1101)。なお、第二の実施の形態における被写体位置情報表示開始命令とは、位置情報表示端末802に対し、位置情報表示処理を開始させる命令である。また、第二の実施の形態における被写体位置情報表示開始命令は、位置情報提供端末803と位置情報表示端末802とが同じネットワークに所属したことをトリガとして発行される命令であるが、命令が発行される条件はこの条件に限定されるものではなく、例えば、図9に示す位置情報表示端末802の構成にユーザインターフェース部を更に追加し、ユーザによる入力をトリガとして発行される条件にしても良く、この他にも様々な条件が考えられる。
【0075】
処理部906は、被写体位置情報表示開始命令を受け付けると、被写体識別部902に被写体識別命令を発行する。なお、第二の実施の形態における被写体識別命令とは、被写体識別部902或いは被写体識別部1002に対し、被写体識別情報で特定される被写体がリアルタイム映像に存在するかどうかの判定を行わせる命令である。
【0076】
被写体識別部902は、被写体識別命令を受け付けると、予め記録部908に記録されている被写体識別情報を取得し、撮像部901から取得されるリアルタイム映像に、被写体識別情報で特定される被写体が存在するかどうかの判定を行う(ステップS1102)。被写体がリアルタイム映像に存在する場合、処理部906に被写体存在通知が発行された後、ステップS1113で示される処理が行われ、被写体がリアルタイム映像に存在しない場合、処理部906に対し被写体不在通知が発行された後、ステップS1103で示される処理が行われる。
【0077】
なお、第二の実施の形態における被写体存在通知とは、処理部906或いは処理部1005に対し、被写体識別情報で特定される被写体がリアルタイム映像に存在することを通知するメッセージである。また、第二の実施の形態における被写体不在通知とは、処理部906或いは処理部1005に対し、被写体識別情報で特定される被写体がリアルタイム映像に存在しないことを通知するメッセージである。
【0078】
また、第二の実施の形態における被写体識別情報とは、例えば被写体を全方向から撮影した画像のような、被写体を全方向から識別できる情報であるが、被写体を全方向から識別できる情報であれば、被写体を全方向から撮影した画像に限定されるものではない。また、第二の実施の形態における被写体識別情報は、予め記録部908に記録されている情報であるが、被写体を全方向から識別できる情報であれば、撮像部901から取得した情報や、通信部909及びアンテナ910を介して取得した情報でも良い。
【0079】
処理部906は、被写体不在通知を受け付けると、位置情報提供端末803に対し、通信部909及びアンテナ910を経由して、被写体位置情報提供開始命令を送信する(ステップS1103)。なお、第二の実施の形態における被写体位置情報提供開始命令とは、位置情報提供端末803に対し、位置情報提供処理を開始させる命令である。
【0080】
処理部906は、被写体位置情報提供開始命令を送信した後、位置情報提供端末803に対し、ステップS1102で取得した被写体識別情報を、通信部909及びアンテナ910を経由して送信する(ステップS1104)。
【0081】
処理部906は、被写体識別情報を送信した後、位置情報提供端末803から送信される被写体捕捉情報を、アンテナ910及び通信部909を介して受信するための受信待機状態となる(ステップS1105)。受信した被写体捕捉情報が、位置情報提供端末803のリアルタイム映像に被写体が存在することを示す情報である場合、処理部906は、ステップS1106に示される処理を行い、受信した被写体捕捉情報が、位置情報提供端末803のリアルタイム映像に被写体が存在しないことを示す情報である場合、処理部906は、ステップS1112に示される処理を行う。なお、第二の実施の形態においては、位置情報提供端末803のリアルタイム映像に被写体識別情報で特定される被写体が存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報を被写体捕捉情報とする。
【0082】
処理部906は、ステップS1105で位置情報提供端末803のリアルタイム映像に被写体が存在することを示す被写体捕捉情報を受信した後、位置情報提供端末803から送信される被写体の位置情報を、アンテナ910及び通信部909を経由して受信するための受信待機状態となる(ステップS1106)。被写体の位置情報を受信した場合、処理部906は被写体の位置情報を記録部908に記録した後、ステップS1107で示される処理を行い、受信待機状態のまま所定の時間が経過した場合、処理部906は、ステップS1110で示される処理を行う。
【0083】
処理部906は、被写体の位置情報を受信すると、位置情報表示端末802の位置情報,姿勢情報,画角情報,及び被写体の位置情報に基づいて、被写体が存在する方向を演算する、被写体存在方向演算処理を行った後、被写体識別部902に被写体識別命令を発行する(ステップS1107)。なお、被写体存在方向演算処理は、第一の実施の形態の図6における、ステップS604からステップS607の処理を順に行う処理であり、ステップS604からステップS607における撮像部301,位置情報取得部303,姿勢情報取得部304,処理部305,演算部306,記録部307は、第二の実施の形態ではそれぞれ撮像部901,位置情報取得部904,姿勢情報取得部905,処理部906,演算部907,記録部908に該当する。
【0084】
被写体識別部902は、被写体識別命令を受け付けると、ステップS1102と同様の判定処理を行う(ステップS1108)。被写体がリアルタイム映像に存在する場合、処理部906に対し被写体存在通知が発行された後、ステップS1112で示される処理が行われ、被写体がリアルタイム映像に存在しない場合、処理部906に対し被写体不在通知が発行された後、ステップS1109で示される処理が行われる。
【0085】
処理部906は、ステップS1108で被写体不在通知を受け付けると、表示部903を制御し、記録部908に記録されている被写体位置表示情報をリアルタイム映像に重畳して表示する(ステップS1109)。
【0086】
処理部906は、被写体位置表示情報をリアルタイム映像に重畳して表示した後、被写体位置情報表示終了命令が発行されているかどうかの判定を行う(ステップS1110)。被写体位置情報表示終了命令が発行されていた場合、処理部906は、通信部909及びアンテナ910を経由して、位置情報提供端末803に対し被写体位置情報提供終了命令を送信(ステップS1111)して、位置情報表示処理を終了する。一方、被写体位置情報表示終了命令が発行されていない場合、処理部906は、ステップS1105で示される処理を行う。
【0087】
なお、第二の実施の形態における被写体位置情報表示終了命令とは、位置情報表示端末802に対し、位置情報表示処理を終了させる命令である。また、第二の実施の形態における被写体位置情報表示終了命令は、所属しているネットワークから離脱することをトリガとして、離脱する前に発行される命令であるが、命令が発行される条件はこの条件に限定されるものではなく、例えば、図9に示す位置情報表示端末802の構成にユーザインターフェース部を更に追加し、ユーザによる入力をトリガとして発行される条件や、ステップS1105において被写体捕捉情報が所定の回数未受信となったことをトリガとして発行される条件にしても良く、この他にも様々な条件が考えられる。また、第二の実施の形態における被写体位置情報提供終了命令とは、位置情報提供端末803に対し、位置情報提供処理を終了させる命令である。
【0088】
処理部906は、ステップS1105で位置情報提供端末803のリアルタイム映像に被写体が存在しないことを示す被写体捕捉情報を受信した場合、或いはステップS1108で発行される被写体存在通知を受け付けた場合、通信部909及びアンテナ910を経由して、位置情報提供端末803に対し被写体位置情報提供終了命令を送信する(ステップS1112)。
【0089】
処理部906は、ステップ1112で被写体位置情報提供終了命令を送信した後、或いはステップS1102で発行される被写体存在通知を受け付けた場合、被写体位置情報表示終了命令が発行されているかどうかの判定を行う(ステップS1113)。被写体位置情報表示終了命令が発行されていない場合、処理部906は、ステップS1102で示される処理を行い、被写体位置情報表示終了命令が発行されていた場合、処理部906は位置情報表示処理を終了する。
【0090】
次に、図12を用いて、第二の実施の形態における位置情報提供端末803の動作を説明する。位置情報提供端末803は、通信部1008及びアンテナ1009を経由して、位置情報表示端末802から被写体位置情報提供開始命令を受信すると位置情報提供処理を開始する(ステップS1201)。
【0091】
処理部1005は、被写体位置情報提供開始命令を受け付けると、位置情報表示端末802から送信される被写体識別情報を、通信部1008及びアンテナ1009を経由して受信するための受信待機状態となる(ステップS1202)。
【0092】
被写体識別情報を受信した場合、処理部1005は、被写体識別情報を記録部1007に記録した後、被写体識別部1002に対し被写体識別命令を発行する。被写体識別部1002は、被写体識別命令を受け付けると、記録部1007に記録されている、位置情報表示端末802から送信された被写体識別情報を取得し、撮像部1001から取得されるリアルタイム映像に、被写体識別情報で特定される被写体が存在するかどうかの判定を行う(ステップS1203)。被写体がリアルタイム映像に存在する場合、被写体識別部1002は、処理部1005に対し被写体存在通知を発行し、被写体がリアルタイム映像に存在しない場合、被写体識別部1002は、処理部1005に対し被写体不在通知を発行する。
【0093】
処理部1005は、被写体存在通知を受け付けると、被写体識別情報で特定される被写体が位置情報提供端末803のリアルタイム映像に存在することを示す被写体捕捉情報を、通信部1008及びアンテナ1009を経由して、位置情報表示端末802へ送信する(ステップS1204)。一方、処理部1005は、被写体不在通知を受け付けると、被写体が位置情報提供端末803のリアルタイム映像に存在しないことを示す被写体捕捉情報を、通信部1008及びアンテナ1009を経由して、位置情報表示端末802へ送信する(ステップS1208)。
【0094】
処理部1005は、被写体識別情報で特定される被写体が位置情報提供端末803のリアルタイム映像に存在することを示す被写体捕捉情報を位置情報表示端末802へ送信した後、位置情報提供端末803の位置情報,姿勢情報,及び位置情報提供端末803から被写体までの距離に基づいて、被写体が存在する位置情報を演算する、被写体存在位置演算処理を開始する(ステップS1205)。なお、被写体存在位置演算処理は、第一の実施の形態の図4における、ステップS402からステップS405の処理を順に行う処理である。また、ステップS402からステップS405における撮像部201,位置情報取得部202,姿勢情報取得部203,処理部204,演算部205,記録部206は、第二の実施の形態ではそれぞれ撮像部1001,位置情報取得部1003,姿勢情報取得部1004,処理部1005,演算部1006,記録部1007に該当する。
【0095】
処理部1005は、被写体存在位置演算処理が完了すると、記録部1007に記録されている被写体の位置情報を、通信部1008及びアンテナ1009を経由して、位置情報表示端末802へ送信する(ステップS1206)。処理部1005は、被写体の位置情報を送信した後、或いはステップS1208で被写体捕捉情報を送信した後、被写体位置情報提供終了命令を受信したかどうかの判定を行う(ステップS1207)。被写体位置情報提供終了命令を受信していない場合、処理部1005は、ステップS1203に示す処理を行い、被写体位置情報提供終了命令を受信している場合、処理部1005は位置情報提供処理を終了する。
【0096】
以上が本発明の第二の実施の形態である。第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態における効果に加え、被写体の指定を行うこと、及び指定した被写体がフレームアウトした状況でのみ位置情報の送受信を行うことが可能となる。
【0097】
また、第二の実施の形態によれば、位置情報提供端末803では、位置情報表示端末802から受信した被写体識別情報で特定される被写体までの距離の算出が行われるため、所望の被写体に関する被写体の位置情報の算出が行えるようになる。
【0098】
また、第二の実施の形態によれば、位置情報表示端末802では、操作者が所望する被写体が位置情報表示端末802のリアルタイム映像に存在するかどうかの判定、及び操作者が所望する被写体を特定する被写体識別情報の位置情報提供端末803への送信が行えるため、位置情報提供端末803に対し、操作者が所望する被写体を通知することができるようになる。
【0099】
(変形例)
本発明の実施の形態の説明は以上であるが、本発明は上記二つの実施の形態に限定されるものではない。
【0100】
(変形例1)
例えば、第一の実施の形態において、位置情報提供端末102及び位置情報表示端末103は共に、被写体の位置情報の演算,被写体の位置情報の送受信,及び被写体の存在する位置や方向の表示を全て行える構成にしても良い。また、位置情報表示端末及び位置情報提供端末を変形例1のように構成する場合、位置情報提供処理を行うか、位置情報表示処理を行うかを切り換える切換部1301を更に具備する構成(図13)にしても良い。この処理の切換の際、例えばユーザの入力を切換の条件としても良いし、被写体がリアルタイム映像内に存在するかどうかを切換の条件としても良いし、外部端末からの命令を切換の条件としても良い。
【0101】
(変形例2)
例えば、第一の実施の形態において、位置情報提供端末102及び位置情報表示端末103が複数台存在するシステムにしても良い。また、変形例2のようにシステムを構成する場合、ステップS406に示される被写体の位置情報の送信処理がマルチキャストで行われるようにしても良い。その場合、複数の位置情報提供端末102から受信した被写体の位置情報を全て記憶しておき、記録した情報の中からどの情報を利用するかの切替が行える切替部1301を具備する構成(図13)であっても良い。また、変形例2のようにシステムを構成する場合、位置情報表示端末103は、変形例1で示される機能を具備すると共に、被写体が存在する位置や方向の表示を行うのに使用する被写体の位置情報をどの位置情報提供端末102から受信するかの切換が行える切換部1301を具備する構成(図13)であっても良い。
【0102】
(変形例3)
例えば、第一の実施の形態における図4で示される位置情報提供処理は、被写体の位置情報が変化した場合にのみ被写体の位置情報の送信が行われる、ステップS1401を加えた図14に示される処理であっても良い。図14に示される位置情報提供処理では、処理部204は、被写体の位置情報が、前回演算した被写体の位置情報から変化したかどうかの判定を行う(ステップS1401)。ステップS1401で被写体の位置情報が変化したと判定された場合に、ステップS406で被写体の位置情報が送信される。
【0103】
また、位置情報提供処理が図14で示される処理の場合、図6で示される位置情報表示処理は、被写体の位置情報を未受信だった場合においても、位置情報表示端末に記録されている被写体の位置情報を利用して被写体の存在する位置や方向を表示する、ステップS1501及びステップS1502を加えた図15に示される処理であっても良い。図15に示される位置情報表示処理では、被写体位置情報の受信が行われ(ステップS1501)、被写体位置情報が受信された場合には、処理部305は被写体位置情報を記録部307に記録し、記録部307に被写体位置情報が記録されているかどうかの判定を行う(ステップS1502)。記録部307に被写体位置情報が記録されている場合、ステップS604の処理が行われ、記録部307に被写体位置情報が記録されていない場合、ステップS610の処理が行われる。
【0104】
(変形例4)
例えば、第二の実施の形態において、位置情報表示端末802及び位置情報提供端末803は共に、被写体の位置情報の演算,被写体の位置情報の送受信,及び被写体の存在する位置や方向の表示を全て行える構成にしても良い。また、位置情報表示端末802及び位置情報提供端末803を変形例4のように構成する場合、被写体がリアルタイム映像に存在する場合は位置情報提供処理を行い、被写体がリアルタイム映像に存在しない場合は位置情報表示処理を行う、動作の切り替えを制御する切換部1601を具備する構成(図16)にしても良い。
【0105】
(変形例5)
例えば、第二の実施の形態において、位置情報表示端末802及び位置情報提供端末803が複数台存在するシステムにしても良い。また、変形例5のようにシステムを構成する場合、ステップS1206に示される被写体の位置情報の送信処理はマルチキャストで行われるようにしても良い。その場合、複数の位置情報提供端末803から受信した被写体の位置情報を全て記憶しておき、記録した情報の中からどの情報を利用するかの切替が行える切替部1601を具備する構成(図16)であっても良い。また、変形例5のようにシステムを構成する場合、位置情報表示端末802は、変形例4で示される機能に加え、被写体が存在する位置や方向の表示を行うのに使用する被写体の位置情報をどの位置情報提供端末102から受信するかの切換が行える切換部1601を具備する構成(図16)であっても良い。
【0106】
(変形例6)
例えば、第二の実施の形態における図12で示される位置情報提供処理は、被写体の位置情報が変化した場合にのみ被写体の位置情報の送信が行われる、ステップS1701を加えた図17に示される処理であっても良い(図17)。図17では、処理部1005は、被写体の位置情報が、前回演算した被写体の位置情報から変化したかどうかの判定を行う(ステップS1701)。ステップS1701で被写体の位置情報が変化したと判定された場合に、ステップS1206で被写体の位置情報が送信される。
【0107】
また、位置情報提供処理が図17で示される処理の場合、位置情報表示処理は、被写体の位置情報を未受信だった場合においても、位置情報表示端末に記録されている被写体の位置情報を利用して被写体の存在する位置や方向を表示する、ステップS1801及びステップS1802を加えた図18に示される処理であっても良い。図18に示される位置情報表示処理では、被写体位置情報の受信が行われ(ステップS1801)、被写体位置情報が受信された場合には、処理部906は被写体位置情報を記録部908に記録し、記録部908に被写体位置情報が記録されているかどうかの判定を行う(ステップS1801)。記録部908に被写体位置情報が記録されている場合、ステップS1107の処理が行われ、記録部908に被写体位置情報が記録されていない場合、ステップS1110の処理が行われる。
【0108】
(変形例7)
例えば、第一の実施の形態及び第二の実施の形態において、位置情報表示端末或いは位置情報提供端末である端末1901が、位置情報,姿勢情報,位置情報提供端末から被写体までの距離,及び画角情報のいずれか或いは全てを、外部端末1902から通信部及びアンテナを経由して取得する図19に示される構成にしても良い。
【0109】
(変形例8)
例えば、第一の実施の形態及び第二の実施の形態において、位置情報表示端末は、自動で被写体をリアルタイム映像に収めるよう撮像方向の調整を行う自動調整部2002を具備する位置情報表示端末2001として構成しても良い(図20)。なお、変形例8における位置情報表示端末2001は、第一の実施の形態における位置情報表示端末103に対して、被写体位置表示情報に基づく処理部からの命令に基づいて撮像方向の調整を行う自動調整部2002と、自動調整部2002が接続されるインタフェース部2003とを備える構成となる(図21)。また、変形例8における位置情報表示端末2001は、第二の実施の形態における位置情報表示端末802に対して、自動調整部2002及びインタフェース部2003を備える構成となる(図22)。
【0110】
(変形例9)
例えば、第一の実施の形態及び第二の実施の形態において、位置情報提供端末から位置情報表示端末へ、位置情報提供端末の位置情報,姿勢情報,及び位置情報提供端末から被写体までの距離の全ての情報が送信され、位置情報表示端末で被写体の位置を演算し、演算した被写体の位置情報に基づいて、被写体の存在する位置や方向を通知するシステムにしても良い。
【0111】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0112】
102,803・・・位置情報提供端末、103,802,2001・・・位置情報表示端末、201,301,901,1001・・・撮像部、202,303,904,1003・・・位置情報取得部、203,304,905,1004・・・姿勢情報取得部、204,305,906,1005・・・処理部、205,306,907,1006・・・演算部、206,307,908,1007・・・記録部、207,308,909,1008・・・通信部、208,309,910,1009・・・アンテナ、302,903・・・表示部、902,1002・・・被写体識別部、1301,1601・・・切換部、2002・・・自動調整部、2003・・・インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
自端末の絶対位置を取得する取得部と、
自端末の撮像方向を推定する推定部と、
外部端末から、前記被写体の絶対位置を示す第1の情報を受信する、又は、前記外部端末の絶対位置、前記外部端末の撮像方向、及び前記外部端末から前記被写体までの距離を示す第2の情報を受信する受信部と、
前記取得部が取得した前記絶対位置と、前記推定部が推定した前記撮像方向と、前記第1の情報又は前記第2の情報とに基づいて、自端末の前記撮像方向を制御する、又は、自端末の操作者に前記撮像方向の変更を促す情報を通知するよう制御する制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部が撮像した被写体の映像に基づいて被写体を認識する認識部と、
前記認識部が認識した被写体に関する情報を前記外部端末へ送信する送信部と、
を更に有する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記認識部が認識した被写体の画像を前記外部端末へ送信する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体を撮像する撮像部と、
自端末の絶対位置を取得する取得部と、
自端末の撮像方向を推定する推定部と、
自端末から前記被写体までの距離を算出する算出部と、
前記絶対位置、前記撮像方向、及び前記距離に基づいて算出される前記被写体の絶対位置を示す第1の情報を外部端末へ送信する、又は、前記絶対位置、前記撮像方向、及び前記距離を示す第2の情報を前記外部端末へ送信する送信部と、
を有する撮像装置。
【請求項5】
前記外部端末から前記被写体の位置情報の取得要求を受信する受信部を更に有し、
前記送信部は、前記取得要求を受信した後に前記第1の情報又は前記第2の情報を前記外部端末へ送信する
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記外部端末から被写体に関する情報を受信する受信部を更に有し、
前記算出部は、前記受信部が受信した情報に関連する被写体までの距離を算出する
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記第1の情報又は前記第2の情報を繰り返し送信する請求項4に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−129843(P2012−129843A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280268(P2010−280268)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】