説明

撮像装置

【課題】装置全体の重心位置を改善し、操作性を向上させる。
【解決手段】外部の光を撮像素子33に導くレンズユニット2と、表示部及び操作部を有する表示操作ユニットとを有する撮像装置であって、前記レンズユニット2内に、前記撮像素子33により取得された情報及び前記操作部に加えられた操作に基づいて、前記表示部に画像を表示させる表示処理及び画像を記録する撮像処理を実行するための制御系部材23,24が集約されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の一形態として、いわゆる一眼デジタルカメラ等のように、長尺のレンズユニットと、ディスプレイ及び操作部を備える表示操作ユニットとから構成されるものがある。このような形態の撮像装置により撮像を行う際には、利用者は通常一方の手(左手)でレンズユニットをやや下方から支持し、他方の手(右手)で表示操作ユニットの一側面(右側面)を把持しながらシャッター、録画開始・停止ボタン等の操作部を操作する。そして、撮像結果の確認、設定操作等の際には、上記一方の手でレンズユニットを把持して撮像装置全体を支えながら、上記他方の手でボタン操作等を行う。
【0003】
レンズユニットと表示操作ユニット(本体ユニット)とが分離するレンズ交換式の撮像システムとして、特許文献1が開示されている。この撮像システムは、本体ユニットのファームウェアとレンズユニットのファームウェアとのバージョンを効率良く一致させることを課題として、各ユニットのファームフェアを1つに統合した統合ファームウェアを用い、統合ファームウェアを各ユニット間で通信し、最新の統合ファームウェアを保有しているユニットの統合ファームウェアを基準としてバージョンアップ処理を行うものである。特許文献1には、このようなシステムを実現するための構成として、本体ユニット及びレンズユニットのそれぞれに、CPU、メモリ等から構成される制御系部材を配置し、各ユニット内の各制御系部材により、上記統合ファームウェアのバージョンアップ処理、ユニット間の通信処理等を行う構成が開示されている。また、ディスプレイに画像を表示させる表示処理、画像を記録する撮像処理等の主要な処理は、基本的に本体ユニット側の制御系部材により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−15382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような一方の手でレンズユニットを把持しながら他方の手で操作を行う撮像装置においては、表示操作ユニットの重量が大きい場合に、上記一方の手による撮像装置の支持が不安定となり、上記他方の手による操作が困難となる。
【0006】
通常、表示操作ユニット(本体ユニット)には、特許文献1に開示される構成のように、バッテリの他、CPU、メモリ等の制御系部材が配置される。制御系部材の重量は、比較的大きいため、従来構造のように、表示操作ユニットにバッテリ及び制御系部材が共に配置されていると、表示操作ユニットとレンズユニットとの重量差が大きくなる。そのため、撮像装置の重心が表示操作ユニット側に偏り、上記一方の手による安定した支持及び他方の手による操作が困難となる。
【0007】
上記特許文献1に開示される構成においては、制御系部材がレンズユニット及び本体ユニットの両方に配置されている。そして、本体ユニット側の制御系部材が、上記バージョンアップ処理を含む主要な処理を行っている。従って、特許文献1に開示される構成においては、本体ユニットに制御系部材が配置されていることが必須となっている。このように、本体ユニット(表示操作ユニット)側に制御系部材が配置されていると、上記のような撮像装置の重心の偏りに起因する問題が生ずることとなる。
【0008】
そこで、本発明は、レンズユニット及び表示操作ユニットへの部材の配置を工夫することにより、装置全体の重心位置を改善し、操作性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決を図る本発明の一態様は、外部の光を撮像素子に導くレンズユニットと、表示部及び操作部を有する表示操作ユニットとを有し、前記レンズユニットは、前記撮像素子により取得された情報及び前記操作部に加えられた操作に基づいて、前記表示部に画像を表示させる表示処理及び画像を記録する撮像処理を実行するための制御系部材を有する撮像装置である。
【0010】
上記のように、撮像装置の主要な処理を実行するための制御系部材がレンズユニット側に集約されていることにより、表示操作ユニットが軽量化され、装置全体の重心をレンズユニット側に寄せることができる。これにより、利用者が一方の手でレンズユニットを把持して撮像装置を支持する行為、及び他方の手で表示操作ユニットを操作する行為を容易に行うことができるようになる。
【0011】
また、前記制御系部材には、中央処理装置と、前記表示処理及び前記撮像処理を制御するプログラムが格納された記憶装置とが含まれることが好ましい。
【0012】
また、前記レンズユニットには、更に、前記レンズユニットを把持する手(一方の手)により操作されるレンズ側操作手段、外部機器との接続を可能にする外部接続手段、電源を制御する電源回路、照明手段、外部メモリを収納する外部メモリスロット、マイク、スピーカー等が配置されていてもよい。これにより、重心を更にレンズユニット側に移動させることができるので、更に安定性及び操作性を向上させることができる。
【0013】
また、前記レンズユニットの重量は、前記表示操作ユニットの重量より大きいことが望ましい。これにより、上記一方の手により撮像装置を支持する時の安定性が高くなる。
【0014】
また、前記表示操作ユニットの筺体は、マグネシウム合金を含んで構成されることが望ましい。これにより、表示操作ユニットの軽量化を、剛性の低下を招くことなく果たすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、装置全体の重心位置をレンズユニット側に寄せることができるので、一方の手による装置の支持が容易となり、他方の手による操作性が向上する。また、表示処理及び撮像処理を含む主要な処理を行う制御系部材がレンズユニットに集約されているため、表示操作ユニットをサブユニットとして扱うことが可能となる。これにより、表示操作ユニットを、使用状況、利用者の嗜好等に応じて交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の全体的な構成を示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るレンズユニットの筺体内に配置される部材を示す右斜め上からの分解斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るレンズユニットの筺体内に配置される部材を示す左斜め上からの分解斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るレンズユニット及び表示操作ユニットのそれぞれに配置される部材を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る撮像装置1の全体的な構成を示している。撮像装置1は、レンズユニット2及び表示操作ユニット3を有している。
【0018】
レンズユニット2は、外部の光を撮像装置1内の撮像素子に導くものである。レンズユニット2は、円筒形の筺体10の内部に、レンズを含む光学的機構だけでなく、撮像装置1の機能を実現するための各種部材が配置されてなる。レンズユニット2の一端側には外部の光を取り込む開口部11が形成され、レンズユニット2の他端側は表示操作ユニット3に接続される。
【0019】
表示操作ユニット3は、撮像動作、データ管理等の各種機能を実行する際に、利用者の操作を受け付けると共に、利用者に状況を伝達するための部分である。表示操作ユニット3には、ディスプレイ15、操作部16、及びバッテリ17aが配置されている。ディスプレイ15は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、被写体、記憶された画像データ、設定情報、その他の情報を表示する。操作部16は、ボタン、レバー等からなり、シャッター操作、録画、再生、停止、早送り、巻き戻し、一時停止、データ消去、その他の各種命令に応じた操作を受け付ける。タッチパネル機能を備える場合には、ディスプレイ15が操作部16の一部となる。バッテリ17aは、撮像装置1の通常時の電源であり、表示操作ユニット3の筺体18に設けられた収納部17bに収納される。
【0020】
本実施の形態においては、レンズユニット2は、利用者が撮像装置1を構えた時に左手側にくるように配置され、操作部16及びバッテリ17aは、右手側にくるように配置されている。
【0021】
図2及び図3は、レンズユニット2の筺体10内に配置される部材を示している。同図に示すように、レンズユニット2には、光学機構部21、シャッター部22、メイン基板23、メモリ基板24、オペレーション基板25、及びジャック基板26が配置されている。
【0022】
光学機構部21は、複数のレンズ31,32、CMOS,CCD等の撮像素子33、各レンズ31,32の相対距離を変化させる駆動機構34等から構成される。
【0023】
シャッター部22は、開口部11、遮光板37、駆動機構等から構成され、光学機構部21の先端に位置するレンズ31と連結する。遮光板37は、シャッター部22の筺体36内で図示しない駆動機構と連結し、使用状況に応じて開口部11を開閉するように変位する。また、図1に示すように、シャッター部22の外縁部には、LED、電気回路等を含んで構成されるストロボユニット38が設けられている。
【0024】
メイン基板23は、各種機能を発揮する回路群41が搭載された基板である。回路群41には、制御系LSI42、電源回路等が含まれる。本実施の形態に係る制御系LSI42は、CPU、メモリ等を1つの半導体チップに集積した、いわゆるマイクロコントローラである。制御系LSI42に搭載されたメモリには、撮像装置1の主要な処理を制御するプログラムが格納されている。当該主要な処理には、上記ディスプレイ15に画像及びその他の情報を表示させる表示処理、静止画・動画(音声を含んでもよい)の記憶等を行う撮像処理が含まれる。また、上記電源回路は、バッテリ17a(図1参照)と接続し、各部材への電力供給を制御するものである。
【0025】
メモリ基板24は、ストロボ用コンデンサ45、外部メモリスロット46等が搭載された基板である。外部メモリスロット46は、例えばSDカード等の外部メモリを受け入れ、情報の読み書きを可能にするものである。
【0026】
オペレーション基板25は、レンズユニット2に設けられたレンズ側操作部50(図1参照)への操作を検知するセンサ51等が搭載された基板である。
【0027】
ジャック基板26は、外部機器との接続を可能にする端子類54が搭載された基板である。
【0028】
図4は、レンズユニット2及び表示操作ユニット3のそれぞれに配置される部材を機能ブロックとして示している。レンズユニット2には、電源回路43、制御系LSI42、光学機構部21、シャッター部22、ストロボユニット38、レンズ側操作機構25,50、外部接続機構26、マイク60、及びスピーカー61が配置されている。表示操作ユニット3には、バッテリ17a、操作部16、及びディスプレイ15が配置されている。
【0029】
電源回路43は、収納部17bに収納されたバッテリ17aと接続し、操作部16へ加えられたON/OFF操作等に応じて、バッテリ17aからの電力を制御系LSI42、ディスプレイ15、その他の必要な部材に供給し又は遮断する。制御系LSI42は、上記のように、表示処理及び撮像処理を含む主要な処理を制御するものであり、シャッター部22の制御、光学機構部21の駆動機構34の制御、ストロボユニット38の制御、撮像素子33により取得された情報の処理、ディスプレイ15の画像処理、マイク60及びスピーカー61の制御、バッテリ17aの状態管理、外部機器との接続処理等を行う。
【0030】
上記のように、本実施の形態に係る撮像装置1においては、レンズユニット2に表示処理及び撮像処理を含む主要な処理を実行する制御系部材(メイン基板23等)が集約されている。これにより、表示操作ユニット3が軽量化され、撮像装置1の重心が、従来の装置(表示操作ユニットに制御系部材が配置された装置)に比べ、レンズユニット2側に寄っている。
【0031】
利用者は、表示操作ユニット3の操作部16を操作する際に、左手でレンズユニット2を把持して撮像装置1全体を支えながら右手で操作部16を操作する。この時、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、撮像装置1の重心がレンズユニット2側に寄っているため、左手での撮像装置1の支持が楽になり、右手での操作部16の操作を安定して行うことができる。これにより、撮像装置1全体の重量を増加させることなく、操作性を大きく向上させることができる。
【0032】
レンズユニット2の重量は、表示操作ユニット3の重量より大きいことが好ましい。また、上述したようなレンズユニット2側への偏心化は、制御系部材をレンズユニット2側に集約させることだけでなく、ストロボユニット38、外部接続機構26、マイク60、スピーカー61等をレンズユニット2側に配置することによって促進される。
【0033】
また、表示操作ユニット3の筺体18を、マグネシウム合金を用いて構成することにより、剛性を低下させることなく、更なる軽量化を図ることができる。筺体18のうち、マグネシウム合金を用いるのに適した部分としては、レンズユニット2との接続部分、ディスプレイ15の背面の隔壁、バッテリ17aの収納部17b等が挙げられる。
【0034】
また、上記のように主要な処理を実行する制御系部材をレンズユニット2側に集約することにより、表示操作ユニット3側をサブユニットとして扱うことが可能となる。これにより、表示操作ユニット3にバリエーションを用意することにより、使用状況、利用者の嗜好等に応じて、適宜表示操作ユニット3を交換することが可能となる。例えば、ディスプレイ15のサイズ・性能、操作部16の形態、筺体18のデザイン、左利き用の形態(レンズユニット2を右手で保持し、操作部16を左手で操作可能な形態)等を適宜選択することが可能となる。
【0035】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能なものである。例えば、本実施の形態においては、上記主要な処理を実行するCPU、メモリ等を1つのメイン基板23に搭載しているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。この点は、メモリ基板24、オペレーション基板25、及びジャック基板26についても同様である。また、バッテリ17aが表示操作ユニット3に配置されているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。更に、撮像装置1は、レンズユニット2と表示操作ユニット3とを任意に交換できるものであってもよいし、両ユニット2,3の交換を前提としないものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 撮像装置
2 レンズユニット
3 表示操作ユニット
10 筺体
11 開口部
15 ディスプレイ
16 操作部
17a バッテリ
17b 収納部
18 筺体
21 光学機構部
22 シャッター部
23 メイン基板
24 メモリ基板
25 オペレーション基板
26 ジャック基板
31,32 レンズ
33 撮像素子
34 駆動機構
37 遮光板
38 ストロボユニット
41 回路群
42 制御系LSI
43 電源回路
45 ストロボ用コンデンサ
46 外部メモリスロット
50 レンズ側操作部
51 センサ
54 端子類
60 マイク
61 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の光を撮像素子に導くレンズユニットと、表示部及び操作部を有する表示操作ユニットとを有し、
前記レンズユニットは、前記撮像素子により取得された情報及び前記操作部に加えられた操作に基づいて、前記表示部に画像を表示させる表示処理及び画像を記録する撮像処理を実行するための制御系部材を有する、
撮像装置。
【請求項2】
前記制御系部材には、中央処理装置と、前記表示処理及び前記撮像処理を制御するプログラムが格納された記憶装置とが含まれる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記レンズユニットには、更に、前記レンズユニットを把持する手により操作されるレンズ側操作手段が配置される、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記レンズユニットには、更に、外部機器との接続を可能にする外部接続手段が配置される、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記レンズユニットには、更に、電源回路が配置される、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示操作ユニットはバッテリを収納する収納部を有し、
前記電源回路は前記バッテリからの電力に基づいて、前記レンズユニット内及び前記表示操作ユニット内の各部に電力を供給する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記レンズユニットには、更に、照明手段が配置される、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズユニットには、更に、外部メモリを収納する外部メモリスロットが配置される、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記レンズユニットには、更に、マイクが配置される、
請求項1〜8のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記レンズユニットには、更に、スピーカーが配置される、
請求項1〜9のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記レンズユニットの重量は、前記表示操作ユニットの重量より大きい、
請求項1〜9のいずれか1つに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−163849(P2012−163849A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25286(P2011−25286)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】