説明

撮像装置

【課題】被写体の動きの検出精度をより向上させた撮像装置の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、生成された画像中の複数の領域において、被写体の動きを検出する動き検出部と、動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて輝度を検出する輝度検出部と、動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて、検出した輝度に応じて、検出した動き検出量の重み付けを調整する調整部と、動き検出対象とする複数の領域の重み付け後の動き検出量に基づいて、被写体の動きを判定する判定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、被写体の動き検出が可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像センサから出力される画像信号に基づいて、被写体の動きを検出可能なデジタルカメラが知られている。例えば、特許文献1は、撮像した画面を領域分割した各領域毎に動きを検出する検出回路と、該検出された動きに応じて、撮像を制御する制御回路を備えたビデオカメラを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−38803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被写体の動きの検出結果に応じて撮像を制御するとき、検出結果の精度が問題となる。被写体の動きの検出精度が充分でないのにも関わらず、該検出結果に応じて撮像を制御した場合、予期しない誤動作が発生する恐れがある。そのため、被写体の動きの検出精度をより向上させることが課題となっている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、被写体の動きの検出精度をより向上させた撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、生成された画像中の複数の領域において、被写体の動きを検出する動き検出部と、動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて輝度を検出する輝度検出部と、動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて、検出した輝度に応じて、検出した動き検出量の重み付けを調整する調整部と、動き検出対象とする複数の領域の重み付け後の動き検出量に基づいて、被写体の動きを判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被写体の動きの検出精度をより向上させた撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デジタルカメラ100の前面構成図
【図2】デジタルカメラ100の背面構成図
【図3】デジタルカメラ100の電気的構成図
【図4】動き検出量判定のブロック図
【図5】ブロックメモリに対応した動き検出枠の配置を示す図
【図6】動き検出制御の説明図
【図7】輝度検出部301の機能の概要を説明する図
【図8】輝度に応じた動き検出量の重み付け調整を示す図
【図9】動きベクトルの示す移動量への重み比率の乗算を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施の形態1〕
実施の形態1のデジタルカメラ100は、CCD120より取得されたRAWデータに基づく輝度情報の検出と、RAWデータに基づく動き検出量による被写体の動き量の調整を行う。これによりデジタルカメラ100は、輝度の状態に応じた適切な動き量の制御を行うことができる。
以下、デジタルカメラ100の構成および動作を説明する。
【0010】
〔1.構成〕
以下図を用いてデジタルカメラ100の構成を説明する。
【0011】
〔1−1.デジタルカメラ100の構成〕
図1は、デジタルカメラ100の前面構成図である。デジタルカメラ100は前面に光学系110を納める鏡筒や、フラッシュ160を備える。また、デジタルカメラ100は上面にレリーズ釦201やズームレバー202、電源釦203などの操作釦を備える。
【0012】
図2は、デジタルカメラ100の背面構成図である。デジタルカメラ100は背面に液晶モニタ123や、中央釦204や十字釦205などの操作釦を備える。
【0013】
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をCCDイメージセンサ120で撮像する。CCDイメージセンサ120は撮像した被写体像に基づく画像情報を生成する。撮像により生成された画像情報は、AFE(アナログ・フロント・エンド)121や画像処理部122において各種処理が施される。生成された画像情報はフラッシュメモリ142やメモリカード140に記録される。フラッシュメモリ142やメモリカード140に記録された画像情報は、使用者による操作部150の操作を受け付けて液晶モニタ123上に表示される。以下で、図1から図3に示す各構成の詳細を説明する。
【0014】
光学系110は、フォーカスレンズ111やズームレンズ112、絞り113、シャッタ114等により構成される。図示していないが、光学系110は、光学式手ぶれ補正レンズOIS(Optical Image Stabilizer)を含んでいてもよい。なお、光学系110を構成する各種レンズは何枚から構成されるものでも、何群から構成されるものでもよい。
【0015】
フォーカスレンズ111は被写体のフォーカス状態の調節に用いられる。ズームレンズ112は被写体の画角の調節に用いられる。絞り113は、CCDイメージセンサ120に入射する光量の調節に用いられる。シャッタ114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113、シャッタ114は、それぞれに対応したDCモータやステッピングモータ等の駆動手段により、コントローラ130から通知された制御信号に従って駆動される。
【0016】
CCDイメージセンサ120は、光学系110を通して形成された被写体像を撮像して画像情報(RAWデータ)を生成する。CCDイメージセンサ120の受光面には多数のフォトダイオードが2次元的に配列されている。また、各フォトダイオードに対応してR、G、Bの原色カラーフィルタが所定の配列構造で配置されている。撮像対象となる被写体からの光は、光学系110を通過した後に、CCDイメージセンサ120の受光面に結像される。結像された被写体像は、各フォトダイオードへ入射した光量に応じてR、G、Bに仕分けられたそれぞれ色情報に変換される。その結果、被写体像を示す全体の画像情報(RAWデータ)が生成される。各フォトダイオードは、CCDイメージセンサ120の画素に対応する。しかし、各フォトダイオードから実際に出力される色情報は、R、G、Bのいずれかの原色情報である。そのため、各画素のそれぞれで発現させるべき色は、後段の画像処理部122において、各画素に対応するフォトダイオードおよび、その周辺のフォトダイオードから出力される原色情報(色、光量)に基づき生成される。以下の説明において、各画素のそれぞれで発現すべき色を構成するR、G、Bの組合せを(R、G、B)と表記することにする。このとき、(R,G,B)の各成分のR、G,Bは、それぞれの原色の組合せ度合を示す。
【0017】
また、CCDイメージセンサ120は、デジタルカメラ100の動作モードに対応した幾つかの駆動モードに基づいて動作する。デジタルカメラ100の動作モードとしては、静止画撮影動作モード、動画撮影動作モード、スルー画像撮影動作モードなどがある。静止画撮影動作モードは、CCDイメージセンサ120により静止画像を撮像するときの動作モードである。静止画撮影動作モードにおいて、コントローラ130は、撮像する静止画像の画質を優先するよう、CCDイメージセンサ120の蓄積電荷の読出し動作を実行させる。動画像撮影動作モードは、CCDイメージセンサ120により動作画像を撮像するときの動作モードである。動画撮影動作モードにおいて、コントローラ130は、撮像する動画像に要求される画質を確保しつつ、メモリカード140への記録速度等に対応するようCCDイメージセンサ120の蓄積電荷の読出し動作を実行させる。スルー画像撮影動作モードは、CCDイメージセンサ120によりスルー画像を撮像するときの動作モードである。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成される新しいフレームの画像を連続して表示する画像である。スルー画像撮影動作モードにおいて、コントローラ130は、撮像するスルー画像に要求される画質を確保しつつ、液晶モニタ123への表示速度に対応するようCCDイメージセンサ120の蓄積電荷の読出し動作を実行させる。
【0018】
AFE121では、CCDイメージセンサ120から読み出された画像情報(RAWデータ)に対して相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるISO感度値に基づくゲインの乗算、ADコンバータによるAD変換が施される。その後、AFE121は画像情報を画像処理部122に出力する。
【0019】
画像処理部122は、AFE121から出力された画像情報(RAWデータ)に対して各種の処理を施す。各種処理としては、被写体の動き検出、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。詳細は後述するが、画像処理部122は、動き検出部300、輝度検出部301、調整部302、判定部303の機能を有する。画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。またコントローラ130などとともに1つの半導体チップで構成してもよい。
【0020】
液晶モニタ123は、デジタルカメラ100の背面に備わる。液晶モニタ123は、画像処理部122にて処理された画像情報(YCデータ)に基づく画像を表示する。液晶モニタ123が表示する画像には、スルー画像や記録画像がある。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成される新しいフレームの画像を連続して表示する画像である。通常は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるときに、画像処理部122がCCDイメージセンサ120の生成した画像情報からスルー画像を生成する。使用者は、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影できる。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、メモリカード140等に記録された高画素の画像を液晶モニタ123に表示するために低画素に縮小した画像である。メモリカード140に記録される高画素の画像情報は、使用者によるレリーズ釦201の操作を受け付けた後に、CCDイメージセンサ120が生成した画像情報に基づいて画像処理部122により生成される。
【0021】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、マイクロコンピュータなどで構成してもよい。また、画像処理部122などと共に1つの半導体チップで構成してもよい。
【0022】
フラッシュメモリ142は、画像情報等を記録するための内部メモリとして機能する。また、フラッシュメモリ142は、オートフォーカス制御(AF制御)や自動露出制御(AE制御)、フラッシュ160の発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムを格納している。
【0023】
バッファメモリ124は、画像処理部122やコントローラ130のワークメモリとして機能する記憶手段である。バッファメモリ124はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などで実現できる。
【0024】
カードスロット141は、メモリカード140を着脱可能な接続手段である。カードスロット141は、メモリカード140を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット141は、メモリカード140を制御する機能を備えてもよい。
【0025】
メモリカード140は、内部にフラッシュメモリ等の記録部を備えた外部メモリである。メモリカード140は、画像処理部122で処理される画像情報などのデータを記録可能である。
【0026】
操作部150は、デジタルカメラ100の外装に備わっている操作釦や操作ダイヤルの総称であり、使用者による操作を受け付ける。例えば図1や図2に示したレリーズ釦201や、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205などがこれにあたる。操作部150は使用者による操作を受け付けると、コントローラ130に種々の動作指示信号を通知する。
【0027】
レリーズ釦201は、半押し状態と全押し状態の二段階押下式釦である。レリーズ釦201が使用者により半押しされると、コントローラ130は、AF(Auto Focus)制御や、AE(Auto Exposure)制御を実行し撮影条件を決定する。続いて、レリーズ釦201が、使用者により全押しされると、コントローラ130は、全押しのタイミングに撮像された画像情報を記録画像としてメモリカード140等に記録する。
【0028】
ズームレバー202は画角調節についての広角端と望遠端を有する中央位置自己復帰式のレバーである。ズームレバー202は、使用者により操作されるとコントローラ130にズームレンズ112を駆動するための動作指示信号を通知する。すわなち、ズームレバー202が広角端に操作されると、コントローラ130は、被写体を広角で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。同様に、ズームレバー202が望遠端に操作されると、コントローラ130は、被写体を望遠で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。
【0029】
電源釦203は、デジタルカメラ100を構成する各部への電力供給をON/OFFするための押下式釦である。電源OFF時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130はデジタルカメラ100を構成する各部に電力を供給し、起動させる。また、電源ON時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130は各部への電力供給を停止する。
【0030】
中央釦204は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、中央釦204が使用者により押下されると、コントローラ130は液晶モニタ123にメニュー画面を表示する。メニュー画面は、撮影/再生のための各種条件を設定するための画面である。各種条件の設定項目が選択されているときに押下されると、中央釦204は決定釦としても機能する。
【0031】
十字釦205は、上下左右方向に設けられた押下式釦である。使用者は、十字釦205のいずれかの方向を押下することにより、液晶モニタ123に表示される各種条件項目を選択することができる。
【0032】
フラッシュ160は、キセノン管と、コンデンサと、昇圧回路と、発光トリガ回路などから構成される。デジタルカメラ100は、被写体に対して撮像時に瞬間的にフラッシュ160を発光させることによって、被写体の明るさを補った撮影ができる。
【0033】
〔1−2.動き検出量判定について〕
デジタルカメラ100の動き検出量判定動作について図4を用いて概要を説明する。図4は、動き検出量判定のブロック図である。図4に示すように、動き検出量判定は、動き検出部300、輝度検出部301、調整部302、判定部303から構成される。
【0034】
動き検出部300は、RAWデータを入力情報として、デジタルカメラ100が予め認識している動き検出枠内において注目点を定め、その注目点と、動き検出枠内の各領域の輝度情報をフレーム間で比較することにより、被写体の動きベクトル(移動量と移動方向)を算出することができる。
【0035】
輝度検出部301は、RAWデータを入力情報として、RAWデータが示す画像を複数に分割した領域の輝度情報を取得することができる。
【0036】
調整部302は、デジタルカメラ100が予め認識している動き検出枠の位置に対応する分割領域毎について、輝度検出部301から取得した輝度情報を演算することができる。また、調整部302は、演算した輝度情報に基づいて、動きベクトルが示す移動量に乗じる重み比率を演算することができる。
【0037】
判定部303は、動き検出部300で取得した動きベクトルが示す移動量に対して、調整部302より取得した重み比率を乗算して、重み付け後の動きベクトル(移動量と移動方向)を演算することができる。判定部303は、各動き検出枠それぞれの重み付け後の動きベクトルに基づいて、他の撮影制御に使用するための最終的な動きベクトルを演算する。
【0038】
続いて、ブロックメモリに対応した動き検出枠の配置について説明する。図5は、ブロックメモリに対応した動き検出枠の配置を示す図である。図5に示すように、RAWデータが示す画像は、例えば、縦12×横12の144個のブロックに分割される。画像処理部122は、分割された144個のブロックそれぞれについて、演算対象とするブロックの輝度情報(以下、BMデータと呼ぶことにする。)を取得することができる。画像処理部122は、輝度情報を取得したブロックについて、演算を実行することができる。
【0039】
コントローラ130は、分割された144個のブロックのいずれが、動き検出枠の位置に対応しているかを示す情報(以下、対応情報と呼ぶことにする)を画像処理部122に通知する。対応情報は、例えば、フラッシュメモリ142に格納されており、必要に応じて適宜コントローラ130に読み出される。また、本実施の形態1にかかるデジタルカメラ100においては、動き検出枠として8個設定している。すなわち、図5に示すように、144個のブロックメモリに対応するように、動き検出枠がA〜H設定されている。画像処理部122は、対応情報を参照することにより、演算対象として取得した144個のBMデータのうち、動き検出枠A〜Hに対応した輝度情報を取得することができる。例えば、動き検出枠Aにおいては分割した画像領域26、27、28、38,39、40の輝度情報を取得することができる。動き検出枠B〜Hについても同様に、輝度情報を取得することができる。
【0040】
続いて、図6を用いて、動き検出部300の動作について説明する。図6は、動き検出制御の説明図である。図6(A)は、フレームAについてのRAWデータにおいて、動き検出枠Dに対応する画像領域を示している。図6(B)は、フレームAに続くフレームBについてのRAWデータにおいて、動き検出枠Dに対応する画像領域を示している。図6に示すように、動き検出部300は、フレーム間の注目領域の動きベクトル(移動量と移動方向)を求める動き検出制御を行う。注目領域は、図6(A)に示す画像領域の任意の領域に設定される。例えば、注目領域は、図6に示す画像領域の中央付近の領域に設定される。動き検出部300は、まずフレームAにおいて、注目領域Aの輝度情報を取得する。次に、動き検出部300は、フレームBにおいて、フレームAで取得した注目領域Aの輝度情報との差分が最も小さくなる注目領域Bを検出する。そして、動き検出部300は、動きベクトル(移動量と移動方向)を演算する。ここでは、一例として動き検出枠Dの場合を説明したが、他の動き検出枠についても演算処理動作を同様に行う。その結果、動き検出枠A〜Hのそれぞれについて、動きベクトルが演算される。画像処理部122は、CCDイメージセンサ120により新しいRAWデータ(新しいフレーム)が生成される度に、動き検出枠A〜Hのそれぞれについて、動きベクトルを演算する。
【0041】
図7を用いて、輝度検出部301の動作について説明する。輝度検出部301は、入力された画像情報に対してBMデータを生成するために、画像処理部122に有する回路である。図7は、輝度検出部301の機能の概要を説明する図である。図7に示すように、輝度検出部301は、入力された同一フレームの画像情報(RAWデータ)を、例えば、縦12×横12の144個のブロックに分割する。ここで、図7に示すように、分割された各ブロックは、R,G,Bの各原色情報をブロック内に含まれる画素数分有する。続いて、輝度検出部301は、各ブロックにおいて、ブロック内に含まれる画素数分のR,G,Bの各チャネルの値を積算し、ブロック内のR,G、Bの平均値を算出する。算出された各ブロック内のR,G、Bの平均値は、ブロック毎にメモリ(不図示)に格納され、必要に応じて取り出される。輝度検出部301は、各ブロック内のR,G、Bの平均値のそれぞれについて、輝度調節のための係数を乗算した後に足し合わせて、各ブロック単位の輝度情報を演算する。なお、輝度検出部301は、対応情報を参照することにより、演算対象として取得した144個のBMデータのうち、動き検出枠A〜Hに対応した輝度情報を演算する。
【0042】
図8を用いて、調整部302の動作について説明する。図8は、輝度に応じた動き検出量の重み付け調整を示す図である。調整部302は、輝度検出部301が演算した各ブロック単位の輝度情報を取得する。輝度に応じた動きベクトルの示す移動量の重み付け調整とは、輝度情報の示す値の高低によって動きベクトルの示す移動量の重み比率を変化させる調整である。例えば、低輝度の0からY1においては、調整部302は、動きベクトルの示す移動量の重み比率を0%とする。輝度がY1よりも高くなると、調整部302は、動きベクトルの示す移動量の重み比率が0%から大きくなるように調整する。そして、中輝度のY2においては、調整部302は、重み比率を50%とする。輝度がY2よりも高くなり、高輝度のY3に至ると、調整部302は、重み比率を100%とする。ここで、低輝度になるに従って重み比率を小さく調整する意義について説明する。低輝度ではノイズ量が占める割合が画像情報に対して高い。そのため、輝度情報の変化が被写体の動きによるものか、ノイズ変化によるものかを判別するのが困難となり、動きベクトルを誤検出する可能性が高くなる。実施の形態1にかかるデジタルカメラ100においては、低輝度になるに従って、動きベクトルの示す移動量に乗じる重み比率を小さく調整することで、低輝度時の動きベクトルの誤検出を防止することができる。
【0043】
図9を用いて、判定部303の動作について説明する。図9は、動き検出量の決定を説明する図である。判定部303は、動き検出部300から取得した被写体の動きベクトル(移動量、移動方向)と、調整部302より取得した重み比率により、最終的に採用する動きベクトルを決定する。具体的には、判定部303は、動き検出枠A〜Hに対応した各動きベクトルの示す移動量に対して、調整部302によって決定された重み比率を乗算する。例えば、動き検出枠Aに対応する移動量aに対して、調整部302によって決定された重み比率を乗算することで、移動量Aを得る。判定部303は、他の動き検出枠B〜Hについても、同様に乗算演算を行い、移動量B〜移動量Hを得る。判定部303は、演算後の各動き検出枠において平均化した動きベクトルを、最終的に採用する動きベクトルとして判定する。
【0044】
最終的に決定された動きベクトルの示す移動量に基づいて、デジタルカメラ100は被写体ブレを防止するための露出制御をすることが可能となる。例えば、デジタルカメラ100は、動きベクトルの示す移動量に基づいて、被写体に動きがあると判定した場合、撮影感度を上げてシャッタ速度を高速とする制御をすることができる。
【0045】
また、デジタルカメラ100は、被写体が動いているときには、コントラストAFの誤判定することがある。一方、デジタルカメラ100は、動きベクトルの示す移動量に基づいて、被写体に動きがないと判定した場合にはコントラストAFの誤判定の恐れがないため、ユーザのレリーズ釦操作を受け付ける前であっても、コントラストAF制御を開始することができる。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザにより撮影指示が為されると、すぐに撮影動作に入ることができる。
【0046】
〔2.他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の実施形態が考えられる。以下、本発明の他の実施の形態についてまとめて記載する。
【0047】
上記実施の形態において、CCDイメージセンサ120を、撮像部の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、CMOSイメージセンサや、NMOSイメージセンサなど他の撮像素子であっても本発明に適用可能である。
【0048】
上記実施の形態においては、動き検出枠を8個としたが、本発明はこれに限定されない。同様に、ブロックメモリの分割数を144個としたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、動き検出枠の個数および、ブロックメモリの分割数は適宜設計変更されたとしても、本発明の範囲内である。
【0049】
上記実施の形態においては、動き検出部300や、輝度検出部301に入力する画像情報として、RAWデータを入力する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。すあわち、動き検出処理や、輝度検出処理が可能な画像情報であれば、YCデータなど、他のデータ形式であっても本発明に適用可能である。
【0050】
上記実施の形態においては、動き検出枠の配置を図5に示すような配置としたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、被写体の動き検出対象の画像領域について、輝度情報が検出できる構成であれば、動き検出枠は、画像領域のいずれに配置してもよい。
【0051】
上記実施の形態においては、画像処理部122は、対応情報を参照することにより、演算対象として取得した144個のBMデータのうち、動き検出枠A〜Hに対応した輝度情報を取得するようにしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、動き検出枠A〜Hの範囲内における輝度情報を取得できる構成であれば、ブロックメモリによる輝度情報取得ではなくても、本発明の範囲内である。
【0052】
上記実施の形態においては、低輝度の0からY1においては、調整部302は、動きベクトルの示す移動量の重み比率を0%としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、低輝度の0からY1においては、動きベクトルの示す移動量の重み比率を0%までにはしなくとも、高輝度領域における重み比率よりも小さい重み比率であればよい。更には、重み比率を0%とする輝度領域を設けず、輝度が0からY3へと高くなるにつれて、重み比率が0%から100%へと大きくなるようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態においては、Y3よりも高輝度の輝度領域においては、重み比率を100%にするようにしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、Y3よりも高輝度の領域については、更に高輝度になるにつれて、重み比率を小さくするようにしてもよい。これは、輝度が高輝度となり飽和してくると、動きベクトルの演算対象とする輝度情報として、意味を成さなくなってくるからである。これにより、意味のなさない輝度情報の採用に起因する動きベクトルの誤判定を回避することができる。
【0054】
上記実施の形態において、判定部303は、演算後の各動き検出枠において平均化した動きベクトルを、最終的に採用する動きベクトルとして判定したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、判定部303は、演算後の各動き検出枠における動きベクトルのうち、最大の移動量の動きベクトルを、最終的に採用する動きベクトルとして判定してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態において、各動き検出枠において、輝度が所定の値よりも低いブロックメモリが存在する場合は、該ブロックメモリ以外のブロックメモリからの輝度情報に基づいて、動き検出処理や、輝度情報検出処理の演算を行うようにしてもよい。これにより、輝度が所定の値よりも低いブロックメモリが存在することに起因する、処理結果精度の低下を回避することができる。
【0056】
また、上記実施の形態において、画像処理部122は、注目点と、動き検出枠内の各領域の輝度情報をフレーム間で比較することにより、被写体の動きベクトル(移動量と移動方向)を算出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。画像処理部122は、注目点と、動き検出枠内の各領域の色情報(R成分、G成分、B成分の少なくとも一つ)をフレーム間で比較することにより、被写体の動きベクトルを算出するようにしてもよい。
【0057】
なお、本発明は、レンズ一体型のカメラであっても、レンズ着脱式のカメラであっても適用可能である。
【0058】
以上のように、本発明によれば、被写体の動きの検出精度をより向上させた撮像装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明はデジタルカメラ100への実施に限定されない。すなわち、ムービーカメラやカメラ付き情報端末など、被写体の動き検出を行う撮像装置に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 デジタルカメラ
111 フォーカスレンズ
112 ズームレンズ
113 絞り
114 シャッタ
120 CCDイメージセンサ
121 AFE(アナログ・フロント・エンド)
122 画像処理部
123 液晶モニタ
124 バッファメモリ
130 コントローラ
140 メモリカード
141 カードスロット
142 フラッシュメモリ
150 操作部
160 フラッシュ
201 レリーズ釦
202 ズームレバー
203 電源釦
204 中央釦
205 十字釦
300 動き検出部
301 輝度検出部
302 調整部
303 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、
前記生成された画像中の複数の領域において、被写体の動きを検出する動き検出部と、
前記動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて輝度を検出する輝度検出部と、
前記動き検出対象とする複数の領域のそれぞれにおいて、前記検出した輝度に応じて、前記検出した動き検出量の重み付けを調整する調整部と、
前記動き検出対象とする複数の領域の前記重み付け後の動き検出量に基づいて、前記被写体の動きを判定する判定部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記検出した輝度が第一の閾値と、前記第一の閾値よりも高い第二の閾値との間にあるときは、該輝度が低くなるにつれて、重み付けを低くするよう調整する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記検出した輝度が第一の閾値よりも低い場合は、該検出対象の領域における動き検出量を使用しないよう重み付けを調整する、
請求項1又は2に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−199858(P2012−199858A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63810(P2011−63810)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】