説明

撮像装置

【課題】使用時等にカメラ本体を手等で把持したユーザに熱による違和感を与えることなく、カメラ本体の内部の熱源で発生した熱を効率よく拡散させてカメラ本体の内部での局所的な温度上昇を抑えることができるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラは、カメラ本体のグリップ部の内部に配置され、カメラ本体1の内部の熱源で発生した熱が伝導される蓄熱部材9と、グリップ部から離れたストロボ装置12側でカメラ本体1の内部に配置され、カメラ本体1の内部の熱源で発生した熱が伝導される蓄熱部材11とを備える。そして、ストロボ装置12側での外装カバーの内面と蓄熱部材11との間の距離を、グリップ部側での外装カバーの内面と蓄熱部材9との間の距離より短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置では、近年の高性能化に伴い、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子や撮像素子以外の電子部品の発熱量が増えている。そのため、撮像素子や撮像素子以外の電子部品で発生する熱を拡散させて、カメラ内部での温度上昇を抑えることが必要となっている。
【0003】
そこで、撮像素子や液晶表示部等が取り付けられた取付板を熱伝導片を介して背面側の外装カバーの内面に当接させることで、撮像素子や液晶表示部等で発生した熱を外装カバーから外部に放熱する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、撮像素子、回路基板及び液晶表示部等が一体に固定された放熱板を正面側及び背面側の外装カバーにねじ等により固定することで、撮像素子、回路基板及び液晶表示部等で発生した熱を外装カバーから外部に放熱する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−271571号公報
【特許文献2】特開2004−104632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1及び2では、いずれも熱源で発生した熱が熱伝導片や放熱板から外装カバーに直接伝導されるため、ユーザが使用時等にカメラ本体、特にグリップ部を手等で把持した際に、ユーザに熱による違和感を与えてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、使用時等に装置本体を手等で把持したユーザに熱による違和感を与えることなく、装置本体の内部の熱源で発生した熱を効率よく拡散させて装置本体の内部での局所的な温度上昇を抑えることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、装置本体のグリップ部の内部に配置され、前記装置本体の内部の熱源で発生した熱が伝導される第1の蓄熱部材と、前記グリップ部から離れた位置で前記装置本体の内部に配置され、前記装置本体の内部の熱源で発生した熱が伝導される第2の蓄熱部材と、を備え、前記第2の蓄熱部材と前記グリップ部から離れた位置での前記装置本体の外装カバーの内面との間の距離を、前記第1の蓄熱部材と前記グリップ部の外装を形成する外装カバーの内面との間の距離より短くした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用時等に装置本体を手等で把持したユーザに熱による違和感を与えることなく、装置本体の内部の熱源で発生した熱を効率よく拡散させて装置本体の内部での局所的な温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラのレンズ鏡筒が撮影位置に繰り出し、ストロボ装置が開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラを背面側から見た斜視図である。
【図4】図1に示すデジタルカメラから正面側及び背面側の外装カバー、表示部及び操作ボタン群等を取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図4の状態から上面側の外装カバー、レンズ鏡筒、モードダイヤル、ズームダイアル、レリーズボタン、ストロボ装置等を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図4を背面側から見た斜視図である。
【図7】図5を背面側から見た斜視図である。
【図8】図1に示すデジタルカメラのグリップ部側の断面図である。
【図9】図1に示すデジタルカメラのストロボ装置側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た斜視図、図2は図1に示すデジタルカメラのレンズ鏡筒が撮影位置に繰り出し、ストロボ装置が開いた状態を示す斜視図である。
【0013】
本実施形態のデジタルカメラは、図1及び図2に示すように、外装カバー20により本発明の装置本体の一例であるカメラ本体1の外装が形成されており、カメラ本体1の正面側(被写体側)には、レンズ鏡筒2が設けられている。カメラ本体1の正面側から見てレンズ鏡筒2の左側部には、撮影時等にユーザが手等で把持するグリップ部8が配置されている。
【0014】
カメラ本体1の上面部の略中央部には、風景モード、人物モード、動画モード等、各種撮影モードの切り替えを行うモードダイヤル3が設けられている。また、カメラ本体1の上面部において、モードダイヤル3のグリップ部8側には、レリーズボタン5が設けられ、モードダイヤル3のグリップ部8から離間する側には、ストロボ装置12が設けられている。レリーズボタン5の周囲には、画角を調整するためのズームダイアル4が設けられている。
【0015】
図3は、図1に示すデジタルカメラを背面側から見た斜視図である。図3に示すように、カメラ本体1の背面側には、LCD等の表示部6が設けられ、ユーザは表示部6を見ることで、撮影時のスルー画像や撮影プレビュー画像、また、再生時の撮影画像等を確認することができる。
【0016】
また、カメラ本体1のグリップ部8の背面側には、操作ボタン群7が表示部6に隣接して設けられている。操作ボタン群7には、撮影時にストロボ発光モード、AFモード、ドライブモード等の切り替え操作を行うボタンや、再生時に表示部6に表示する撮影画像の送りや画像データの削除等の操作を行うボタン等が配置されている。
【0017】
図4は、図1に示すデジタルカメラから正面側及び背面側の外装カバー20、表示部6及び操作ボタン群7等を取り外した状態を示す斜視図である。図5は、図4の状態から上面側の外装カバー20、レンズ鏡筒2、モードダイヤル3、ズームダイアル4、レリーズボタン5、ストロボ装置12等を取り外した状態を示す斜視図である。
【0018】
図4及び図5に示すように、カメラ本体1の内部には、グリップ部8側に熱伝導率の高いアルミニウム製の板材等で形成された蓄熱部材9が配置され、ストロボ装置12側に同じく熱伝導率の高いアルミニウム製の板材等で形成された蓄熱部材11が配置されている。ここで、蓄熱部材9は、本発明の第1の蓄熱部材の一例に相当し、蓄熱部材11は、本発明の第2の蓄熱部材の一例に相当する。
【0019】
蓄熱部材9の背面側には、メイン基板17が配置されており、メイン基板17には、デジタルカメラの駆動時に熱源となる電源回路部17−1が実装されている。電源回路部17−1には、熱伝導率の高い銅等で形成された伝熱板10の一端が弾性を有する不図示の熱伝導シートを介して接続され、伝熱板10の他端は、蓄熱部材9に接続されている。これにより、電源回路部17−1で発生した熱は伝熱板10を介して熱容量の大きい蓄熱部材9に伝導して拡散され、この結果、グリップ部8の内部に配置された電源回路部17−1での局所的な温度上昇を抑えることができる。
【0020】
蓄熱部材11は、レンズ鏡筒2や表示部6等を保持するシャーシの役割を果たす伝熱板16に一体に固定されており、伝熱板16は、アルミニウム等の熱伝導率が高い板材で形成されている。伝熱板16の正面側中央部には、デジタルカメラの駆動時に熱源となるCCDセンサ等の撮像素子14が配置されている。
【0021】
撮像素子14は、伝熱板18に固定されており、伝熱板18は、弾性を有する不図示の熱伝導シートを介して伝熱板19に接続され、伝熱板19は、蓄熱部材11に固定されている。これにより、撮像素子14で発生した熱は伝熱板18及び伝熱板19を介して熱容量の大きい蓄熱部材11に伝導して拡散され、この結果、撮像素子14での局所的な温度上昇を抑えることができる。
【0022】
図6は図4を背面側から見た斜視図、図7は図5を背面側から見た斜視図である。図6及び図7に示すように、メイン基板17の背面側には、デジタルカメラの駆動時に熱源となるエンジン部15が実装されている。
【0023】
エンジン部15は、弾性を有する不図示の熱伝導シートを介して伝熱板16に接続されている。これにより、エンジン部15で発生した熱は、伝熱板16を介して該伝熱板16に一体に固定された熱容量の大きい蓄熱部材11に伝導して拡散され、この結果、エンジン部15での局所的な温度上昇を抑えることができる。
【0024】
図8は、図1に示すデジタルカメラのグリップ部8側の断面図である。図8に示すように、蓄熱部材9は、グリップ部8の正面側の外装を形成する外装カバー20の内面から離れた位置に配置されて、蓄熱部材9と外装カバー20の内面との間に空間23が設けられている。これにより、蓄熱部材9に蓄積された高温の熱がグリップ部8の外装に直接伝わらないようになっている。
【0025】
また、蓄熱部材9とメイン基板17との間には、デジタルカメラの電源となる電池21を収納するための電池収納部22が設けられている。電池収納部22の壁部は、蓄熱部材9より熱伝導率の低い樹脂等の部材で形成されており、該壁部の一部は、蓄熱部材9に形成されたスリット9aを挿通して外装カバー20側に突出し、その突出端が外装カバー20の内面に当接している。これにより、グリップ部8の外装カバー20に加わる外力を電池収納部22の壁部の一部で支持して必要な強度を確保することが可能となる。
【0026】
図9は、図1に示すデジタルカメラのストロボ装置12側の断面図である。上述したように、蓄熱部材11には、撮像素子14で発生した熱が伝熱板18,19を介して伝導され、また、エンジン部15で発生した熱が伝熱板16を介して伝導される。
【0027】
ここで、ストロボ装置12側の外装は、デジタルカメラの使用時にユーザが触りにくい部分であり、また、発熱量の高いメイン基板17から離れているため、グリップ部8側ほど高温になりにくい。
【0028】
このため、本実施形態では、蓄熱部材11は、カメラ本体1のストロボ装置12側の側部の外装を形成する外装カバー20の内面に接触した状態で配置されている。これにより、蓄熱部材11に蓄熱された熱を外装カバー20にも伝えることができるので、より効果的に熱を拡散させることができ、また、必要な強度も確保することが可能となる。
【0029】
更に、本実施形態では、ストロボ装置12は、撮影時に自動的にポップアップ(開動作)するようになっている。ストロボ装置12がポップアップした状態でデジタルカメラに落下等による衝撃力が加わると、ストロボ装置12を開閉自在に収納する空間とカメラ本体1のストロボ装置12側の側部との間の稜線部24(図2参照)が変形してしまう場合がある。
【0030】
この場合、ストロボ装置12のポップアップ動作が正常に行われなくなる可能性があるため、本実施形態では、稜線部24の外装内部に蓄熱部材11を隙間なく配置することで、十分な強度を確保して、落下等による衝撃力で稜線部24が変形するのを防止している。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、電源回路部17−1で発生した熱がグリップ部8側の蓄熱部材9に伝導して拡散され、エンジン部15及び撮像素子14で発生した熱がストロボ装置12側の蓄熱部材11に伝導して拡散される。これにより、カメラ本体1の内部の熱源で発生した熱を効率よく拡散させてカメラ本体1の内部での局所的な温度上昇を抑えることができる。
【0032】
又、本実施形態では、電源回路部17−1からグリップ部8側の蓄熱部材9までの熱伝導経路と電源回路部17−1とは異なる熱源であるエンジン部15及び撮像素子14からストロボ装置12側の蓄熱部材11までの熱伝導経路とが重ならないように配置している。このため、カメラ本体1の内部の熱源で発生した熱をより効果的に拡散させることができる。
【0033】
更に、本実施形態では、グリップ部8の外装を形成する外装カバー20と蓄熱部材9との間に空間23を設けて、蓄熱部材9に蓄積された高温の熱がグリップ部8の外装に直接伝わらないようにしている。これにより、デジタルカメラの使用時等にカメラ本体1のグリップ部8を手等で把持したユーザに対して熱による違和感を与えるのを防止することができる。
【0034】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、ストロボ装置12側の蓄熱部材11を外装カバー20の内面に接触させて場合を例示したが、必ずしもこのようにする必要はなく、グリップ部8側の蓄熱部材9と同様に、蓄熱部材11と外装カバー20との間に空間を設けてもよい。
【0036】
この場合、上述したように、ストロボ装置12側はグリップ部8側ほど高温になりにくいため、蓄熱部材11と外装カバー20との間の距離は、グリップ部8側の蓄熱部材9と外装カバー20との間の距離に比べて短くすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 カメラ本体
8 グリップ部
9 蓄熱部材
10 伝熱板
11 蓄熱部材
14 撮像素子
16 伝熱板
17 メイン基板
18 伝熱板
19 伝熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体のグリップ部の内部に配置され、前記装置本体の内部の熱源で発生した熱が伝導される第1の蓄熱部材と、
前記グリップ部から離れた位置で前記装置本体の内部に配置され、前記装置本体の内部の熱源で発生した熱が伝導される第2の蓄熱部材と、を備え、
前記第2の蓄熱部材と前記グリップ部から離れた位置での前記装置本体の外装カバーの内面との間の距離を、前記第1の蓄熱部材と前記グリップ部の外装を形成する外装カバーの内面との間の距離より短くした、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
熱源から前記第1の蓄熱部材に伝導される熱の伝導経路と、熱源から前記第2の蓄熱部材に伝導される熱の伝導経路とが重ならないように配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の蓄熱部材及び前記第2の蓄熱部材に伝導される熱は、異なる熱源で発生した熱である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の蓄熱部材は、前記グリップ部から離れた位置での前記装置本体の外装カバーの内面に接触した状態で配置される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の蓄熱部材と前記グリップ部の外装を形成する外装カバーの内面との間に、前記第1の蓄熱部材より熱伝導率の低い部材が前記外装カバーの内面に当接した状態で配置される、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記部材は、前記第1の蓄熱部材の前記外装カバーの内面から離間する側に配置された電池収納部の壁部の一部であり、前記第1の蓄熱部材に形成されたスリットを挿通して前記外装カバーの内面に向けて突出する、ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−4780(P2012−4780A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137019(P2010−137019)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】