説明

撮像装置

【課題】樹脂製の筐体を採用した場合であっても、簡易な構成で、撮像装置の設置位置によらず放熱を行うことのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】外部電源及び外部機器のうち少なくともいずれか一方とケーブル30を介して電気的に接続される撮像部20を筐体10内に収容した撮像装置100において、ケーブル30が挿通される金属製のケーブルブッシュ40と、撮像部20の動作に伴い発生した熱をケーブルブッシュ40に伝達する伝熱部材50とを備え、当該ケーブルブッシュ40は筐体10に設けられた挿入口13に挿入された状態で筐体10に固定されており、このときケーブルブッシュ40の少なくとも一部が筐体10の外側に露出させた撮像装置を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、撮像装置に関し、特に、監視用の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯等の理由から、商業施設、娯楽施設、或いは、集合住宅等の各所に監視カメラ(撮像装置)が設置されている。監視カメラは、外部電源から電力の供給を受け、常時、被撮像領域を撮像する。また、監視カメラは、防犯管理センター等に設置された制御装置又はモニター等の外部機器と接続されており、監視カメラにより撮像された画像データはこれらの外部機器に送信される。これにより、防犯管理センター等では、管理員等が監視カメラで撮像された映像をモニター等を介して、常時、確認することができるようになっている。
【0003】
近年、監視カメラの小型化及び高性能化が進んでいる。これに伴い、監視カメラに搭載される回路基板についても小型化及び高密度化が進み、信号処理も高速に行われるようになってきている。このため、監視カメラ内部における発熱量は増加傾向にある。一方、監視カメラの小型化に伴い、筐体内は各種部品が高密度に配置されているため、筐体内部に十分な放熱スペースを確保することは困難である。
【0004】
そこで、例えば、回路基板において発生した熱を伝熱シートを介して金属製の筐体に伝達し、筐体を介して外気に熱を放散させるようにすることが行われている(例えば、「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−124784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の監視カメラ(例えば、「特許文献1」)では、金属製の筐体を採用しているため、監視カメラを軽量化することが困難である。また、金属製の筐体を採用する場合、例えば、押し出し成形等により成形することになる。しかしながら、押し出し成形では、成形可能な形状に制限があり、デザインの自由度が低いという課題がある。さらに、成形後に切削、塗装等の後加工が必要となり、筐体の高コスト化につながるといった課題もある。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の監視カメラは、天井面又は壁面に取り付けられた支持具により筐体が中空に位置するように設置されるため、筐体は、常に、外気と接触する。しかしながら、近年、より小型で、撮像範囲がより広角な監視カメラが採用されるようになってきている。このような広角タイプの監視カメラは、天井面又は壁面等に筐体の背面が面するようにして、筐体が直接天井面又は壁面等に固定される。この場合、筐体の背面側は天井面又は壁面等に面接触するため、筐体の背面を介して放熱することは困難になる。さらに、監視カメラには、破壊行為等の防止のため、筐体全体を樹脂製のクリアカバー等で覆う場合がある。樹脂製のクリアカバー等で覆われた場合、筐体と外気との接触が妨げられるため、筐体を介して放熱することができなくなる。
【0008】
一方、樹脂製の筐体を採用すれば、監視カメラを軽量化することができ、デザインの自由度が増し、加工成形も容易になる。しかしながら、特殊な樹脂を除いて、一般に樹脂の熱伝導度は、金属の熱伝導度よりも低い。このため、樹脂製の筐体を介して内部の熱を外気に放散することは困難である。
【0009】
そこで、樹脂製の筐体に開口部を形成し、ヒートシンク等の放熱部材を設けて、内部の熱をヒートシンクに伝え、放熱部材を介して放熱することも考えられる。しかしながら、放熱部材を別途設けることは、コスト増につながる。また、監視カメラを天井面又は壁面等に直接設置する場合、上記と同様の理由から、放熱部材が設けられる位置によっては放熱が妨げられる場合がある。また、放熱部材を筐体の前面側に配置した場合、監視カメラの審美性が低下する恐れがある。さらに、放熱部材を前面側に配置した場合、回路基板とヒートシンクとの間の伝熱構造が複雑化する恐れがある。
【0010】
本件発明の課題は、樹脂製の筐体を採用した場合であっても、簡易な構成で、撮像装置の設置位置によらず、確実に放熱を行うことのできる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、監視カメラは、外部電源及び遠隔地にある制御装置等の外部機器のうち少なくともいずれか一方とケーブルを介して接続されて使用されることからケーブルブッシュを利用した放熱構造を採用することで上記課題を達成するに到った。
【0012】
本件発明に係る撮像装置は、外部電源及び外部機器のうち少なくともいずれか一方とケーブルを介して電気的に接続される撮像部を筐体内に収容した撮像装置において、前記ケーブルが挿通される金属製のケーブルブッシュと、前記撮像部の動作に伴い発生した熱を当該ケーブルブッシュに伝達する伝熱部材とを備え、当該ケーブルブッシュは、前記筐体に設けられた挿入口に挿入された状態で前記筐体に固定されており、このとき当該ケーブルブッシュの少なくとも一部が前記筐体の外側に露出することを特徴とする。
【0013】
本件発明に係る撮像装置において、前記ケーブルブッシュは、前記ケーブルが挿通される筒状部と、当該筒状部の外周面に設けられると共に、当該筒状部が前記挿入口に挿入されたときに、筐体の外側において前記挿入口の周囲を被覆する鍔部を備えるものであることが好ましい。
【0014】
本件発明に係る撮像装置において、前記ケーブルブッシュの前記挿入口に挿入される側には、ネジ山又はネジ溝が設けられており、前記伝熱部材として、当該ケーブルブッシュと前記筐体の内側で螺合して、当該ケーブルブッシュを前記筐体に固定するためのナットと、当該ナットと前記撮像部の発熱領域とに当接される伝熱シートとを用いることが好ましい。
【0015】
本件発明に係る撮像装置において、前記筐体の外側において、前記ケーブルブッシュに取り付けられ、ケーブルブッシュに伝達された熱を放熱する放熱部材を備えることが好ましい。
【0016】
本件発明に係る撮像装置において、前記ケーブルブッシュの内周面と、前記ケーブルの外周面とに圧接可能なケーブル抜け止めブッシュを備え、前記放熱部材は、前記ケーブルブッシュの前記筐体から露出する側に形成されたネジ山又はネジ溝に螺合し、当該ケーブル抜け止めブッシュを前記ケーブルブッシュの内周面と前記ケーブルの外周面とに圧接させた状態に維持する締め付けナットであることが好ましい。
【0017】
本件発明に係る撮像装置において、前記ケーブルブッシュの外周面と前記挿入口の内周面との間を水密状態にする第一の水密部材を備えることが好ましい。
【0018】
本件発明に係る撮像装置において、前記ケーブルブッシュの内周面と前記ケーブルの外周面との間を水密状態にする第二の水密部材を備えることが好ましい。
【0019】
本件発明に係る撮像装置において、前記筐体は樹脂製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本件発明に係る撮像装置によれば、伝熱部材により、撮像部の動作に伴い発生した熱が金属製のケーブルブッシュに伝達される。当該ケーブルブッシュの少なくとも一部は、筐体の外側に露出しているため、この筐体の外側に露出した部分を介して筐体の外側に筐体内の熱を伝えることができる。ここで、撮像装置が天井面又は壁面等に直接設置される場合、天井面又は壁面にはケーブル配線のための穴が設けられる場合が多い。従って、筒状部の少なくとも一部はケーブル配線のための穴を介して外気と接触し、ケーブルブッシュに伝達された熱を外気に放散することができる。
【0021】
このように、ケーブルブッシュを放熱部材として採用することにより、撮像装置の設置位置によらず、放熱部材が外気と接触する機会を確保することができ、確実に放熱することができる。また、放熱のためには、ケーブルブッシュのみを金属製とすればよいため、筐体を樹脂製とすることができる。従って、監視カメラを軽量化することができる。また、樹脂性の筺体を採用することにより、加工成形が容易になり、デザインの自由度も増す。また、これにより、金属製の筺体を採用する場合に比して、材料自体のコストあるいは加工成形に要するコストを低減することができる。さらに、ヒートシンク等の放熱用の部材を別途設ける必要がなく、部品点数の増加を防止することができる。また、ケーブルブッシュは、ケーブル配線のため筐体の設置面側に配置することができる。このため、監視カメラの審美性に影響を与えることがなく、放熱のための伝熱構造もシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本件発明に係る撮像装置の外観構成例を示す斜視図である。
【図2】本件発明に係る撮像装置の放熱構造の構成例を示す断面図である。
【図3】本件発明に係る撮像装置の放熱構造の構成例を示す分解斜視図である。
【図4】本件発明に係る撮像装置の放熱構造の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る撮像装置100の好ましい実施の形態を説明する。図1に、本実施の形態の撮像装置100の外観構成例を示す。本実施の形態の撮像装置100は、図1に示すように、扁平な箱状を呈する樹脂製の筐体10の内側に撮像部20(図2〜図4参照)を収容したものであり、筐体10の前面側にはレンズ11を備えるレンズ鏡筒部12が設けられている。本実施の形態の撮像装置100は、レンズ11として、魚眼レンズを採用した全方位カメラであり、撮像範囲は360度に及ぶ。当該撮像装置100は、施設の天井面又は壁面等に設置され、監視カメラ(防犯カメラ)として使用される。
【0024】
撮像装置100は、図示しない外部電源から電源ケーブル31を介して電力の供給を受け、常時、被撮像領域の撮像を行う。また、撮像装置100は、施設内又は遠隔地にある制御装置或いはモニター等の外部機器と通信ケーブル32等を介して接続されており、これらの外部機器に対して画像データを送信したり、これらの外部機器との間で各種制御信号の送受信を行うことができる。これらのケーブル30(以下、電源ケーブル31及び通信ケーブル32を指して、「ケーブル30」と称する。)は、ケーブル外装材30aにより一つに束ねられ、筐体10の背面に形成された挿入口13(図2〜図4参照)に挿入されたケーブルブッシュ40を介して、筐体10内に挿入される。なお、図示例では、ケーブル30には、フェライトコア33が取り付けられており、当該フェライトコア33により高周波ノイズが吸収される。
【0025】
次に、図2を参照して、本実施の形態の撮像装置100の内部構成を説明する。まず、当該撮像装置100の撮像部20に関する構成を説明する。撮像部20は、撮像装置100の主たる機能である撮像動作を行うものであり、筐体10の内側に収容される。撮像部20は、レンズ11の光軸上に、当該光軸と直交するように配置される第一の回路基板21と、この第一の回路基板21と基板面が互いに平行になるように設けられ、且つ、第一の回路基板21に対して筐体10の背面側に這いたいされる第二の回路基板22とを有している。第一の回路基板21と第二の回路基板22とは、コネクタ23を介して電気的に接続される。
【0026】
第一の回路基板21には、レンズ11を介して入射した光を電気的信号に光電変換して画像信号を生成するCCD素子等の撮像素子24が搭載されている。また、第二の回路基板22には、撮像素子24により生成された画像信号に基づいて、画像データを生成する画像データ生成部(図示略)と、上記外部機器と通信ケーブル32を介して接続されて、外部機器との間で画像データや各種制御信号の入出力をおこなう信号入出力部(図示略)と、これら撮像部20内の各部を制御する制御部(図示略)と、外部電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換して、これら各部にの所定の作動電圧を印加する電源回路部25とを備えている。第二の回路基板22には、上記電源ケーブル31及び通信ケーブル32が接続されており、回路に設けられた配線パターンにより、電源ケーブル31は電源回路部25に接続され、通信ケーブル32は信号入出力部に接続される。なお、図2において、第二の回路基板22とケーブル30との接続構造は図示略している。
【0027】
ここで、撮像部20の撮像動作に伴い、第二の回路基板22は発熱する。これは、第二の回路基板22は、撮像部20の撮像動作に伴い、常時、上述した電圧変換動作を行う電源回路部25や、信号処理に伴い高速で電気信号が流れる制御部等を備えることに起因する。本実施の形態の撮像装置100では、金属製のケーブルブッシュ40を採用し、第二の回路基板22において発生した熱を、後述する伝熱部材50を介して、ケーブルブッシュ40に伝達し、ケーブルブッシュ40を介して、筐体10の外側に熱を放散するようにしたことを特徴としている。
【0028】
まず、本実施の形態における放熱構造の主たる構成要素である、ケーブルブッシュ40について説明する。ケーブルブッシュ40は、図3及び図4に示すように、ケーブル30が挿通される筒状部41と、この筒状部41の外周面に設けられる鍔部42とを有している。ここで、鍔部42を境界とした場合、筒状部41は、筐体10に設けられた挿入口13に挿入される挿入側43と、筐体10の外側に突出する突出側44とに大別することができる。
【0029】
筒状部41の挿入側43の外周面にはネジ山又はネジ溝が設けられており、筐体10の内側において金属製の平面ナット51が螺合する。ケーブルブッシュ40を挿入口13に挿入し、この筒状部41の挿入側43に平面ナット51をネジ止めすることにより、鍔部42は挿入口13の周囲に面接触すると共に、挿入口13の周囲を被覆し、平面ナット51と鍔部42とにより筐体10が挟み込まれ、ケーブルブッシュ40が筐体10に固定される。また、筒状部41の挿入側43及び筐体10の挿入口13は、それぞれ図3及び図4に示すようにD字形状を呈している。これにより、筒状部41を挿入口13に挿入したときに、ケーブルブッシュ40が廻るのを防止することができる。
【0030】
また、筒状部41の突出側44についても、ネジ山又はネジ溝が設けられている。そして、筒状部41の突出側44には、ケーブルブッシュ40と共に放熱部材として機能する金属製の締め付けナット60が取り付けられる。
【0031】
次に、第二の回路基板22において発生した熱をケーブルブッシュ40に伝達するための伝熱部材50について説明する。本実施の形態では、伝熱部材50として、上記平面ナット51と、伝熱シート52とを採用している。平面ナット51は、上述した通り、金属製のものを用い、筒状部41に螺合することで、平面ナット51に伝達された熱をケーブルブッシュ40に伝達することができる。
【0032】
伝熱シート52は、シート状若しくは平板状の伝熱部材50であり、第二の回路基板22の発熱領域、すなわち、本実施の形態では電源回路部25等が搭載された領域と、平面ナット51及びケーブルブッシュ40とに当接される。伝熱シート52は、シート状若しくは平板状の伝熱部材50であり、少なくとも一方の面に粘着性を有するものであることが好ましい。この粘着性を有する面を電源回路部25等に粘着させることにより、伝熱シート52を電源回路部25等に簡易に貼付することができる。また、伝熱シート52は弾性変形可能な材料から成り、その厚みは第二の回路基板22と平面ナット51との間の隙間よりも若干大きいことが好ましい。これにより、第二の回路基板22と平面ナット51とにより挟み込まれたときに、伝熱シート52は第二の回路基板22の電源回路部25等と、平面ナット51とに押圧されて、これらの間に固定される。さらに、伝熱シート52は、絶縁材料であり、且つ、熱伝導度の高い樹脂系材料から成ることが好ましい。具体的には、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂の伝熱シート52、或いはゲルシートを採用することができる。このような伝熱シート52を採用することにより、第二の回路基板22と金属製の平面ナット51との絶縁を図ることができる。また、第二の回路基板22と金属製の平面ナット51との接触面積をそれぞれ確保することができるため、第二の回路基板22において発生した熱をゲルシートと平面ナット51とにより、効率良くケーブルブッシュ40の筒状部41の挿入側43に伝達することができる。
【0033】
そして、以上の伝熱部材50により、ケーブルブッシュ40の筒状部41の挿入側43に伝達された熱は、筐体10の外部に露出する鍔部42、筒状部41の突出側44及び、締め付けナット60に伝達される。このように筐体10の外側に伝達された熱は、これらの放熱部材を介して外気に放散される。
【0034】
次に、上記ケーブルブッシュ40におけるケーブル30の係止構造について説明する。本実施の形態では、筒状部41の突出側44において、筒状部41の内周面と、筒状部41に挿通されたケーブル30の外周面とに圧接可能なケーブル抜け止めブッシュ70を備えている。ケーブル抜け止めブッシュ70は、例えば、ケーブル30が挿通する幅広のリング状に形成されており、ケーブル30の挿通方向と同じ方向に複数の切り欠き71が所定の間隔を開けて設けられている。この切り欠き71により、ケーブル抜け止めブッシュ70はその外径及び内径を縮径可能に構成されている。また、ケーブル抜け止めブッシュ70の内周面には、周方向に沿って溝が複数形成されている。
【0035】
当該ケーブル抜け止めブッシュ70に負荷が加えられていない状態では、ケーブル抜け止めブッシュ70の外径はケーブルブッシュ40の内径よりも大きく形成されている。そして、ケーブル抜け止めブッシュ70をケーブルブッシュ40内に押し込むことにより、ケーブル抜け止めブッシュ70の外径が縮径し、ケーブルブッシュ40内にケーブル抜け止めブッシュ70が収容される。このとき、ケーブル抜け止めブッシュ70には、縮径方向の力が加わるため、作用・反作用の法則により、拡径方向の力が生じ、ケーブルブッシュ40の突出側44の内周面にケーブル抜け止めブッシュ70の外周面が圧接される。また、ケーブル抜け止めブッシュ70の内径も縮径することから、ケーブル抜け止めブッシュ70の内周面はケーブル30の外周面に圧接される。そして、ケーブル抜け止めブッシュ70の内周面に設けられた溝とケーブル30の外周面との摩擦力により、ケーブル30がケーブルブッシュ40に係止される。このとき、締め付けナット60がケーブルブッシュ40の突出側44に取り付けられることにより、ケーブル抜け止めブッシュ70の外周面をケーブルブッシュ40の内周面に圧接し、ケーブル抜け止めブッシュ70の内周面をケーブル30の外周面に圧接した状態で維持することができる。
【0036】
次に、本実施の形態で採用したケーブルブッシュ40周りの防水構造について説明する。当該撮像装置100は、施設内の天井面又は壁面等に設置される場合は、必ずしも防水構造を採用する必要はない。しかしながら、当該撮像装置100を屋外、あるいは、多湿環境下に設置する場合は、防水構造を有することがより好ましい。また、屋内に設置される場合であっても、撮像装置100は精密機械であり、湿気を嫌うため、筐体10内に水分が進入しないようにすることが好ましい。そこで、本実施の形態の撮像装置100では、ケーブルブッシュ40の筒状部41の挿入側43において、その外周面と、筐体10に形成された挿入口13の内周面との間を水密状態にする第一の水密部材81を備えている。また、本実施の形態の撮像装置100では、ケーブルブッシュ40の筒状部41の突出側44において、その内周面とケーブル30の外周面との間を水密状態にする第二の水密部材82を備えている。
【0037】
第一の水密部材81は、ゴム等の撥水性又は疎水性の弾性材料からなるO−リングを採用することができる。このような弾性材料から成るO−リングを採用することにより、第一の水密部材81をケーブルブッシュ40の筒状部41の挿入側43に簡易に装着させることができる。そして、筒状部41の挿入側43に第一の水密部材81を装着させた状態で、ケーブルブッシュを挿入口13に固定すると、O−リング等から成る第一の水密部材81は、筒状部41の外周面と、挿入口13の周囲とに押圧されて、弾性変形し、ケーブルブッシュ40の筒状部41の外周面と挿入口13の内周面との間の隙間を埋めることができる。これにより、ケーブルブッシュ40の筒状部41と挿入口13との間から水が筐体10の内部に侵入するのを防止することができる。また、本実施の形態では、挿入口13の周囲には、筐体10の背面から立設すると共に、挿入口13の周囲を囲む立壁部14が設けられている。そして、この立壁部14の外径は、鍔部42の外径よりも小さく、立壁部14は鍔部42により完全に被覆されている。このように、本実施の形態では、まず、鍔部13及び立壁部14により、筐体10の内部に水が侵入するのを防止した上で、第一の水密部材81を設けることにより、挿入口13を介して筐体10の内部に水が侵入するのを完全に防止することができる。
【0038】
また、第二の水密部材82についても、第一の水密部材81と同様に、ゴム等の撥水性又は疎水性の弾性材料から成るO−リングを採用することができる。これにより、第一の水密部材81と同様にケーブルブッシュ40の突出側44及びケーブルブッシュ40とケーブル30との間の隙間に密着させて、水が筐体10の内部に侵入するのを防止することができる。ここで、挿入側から順に第二の水密部材82、ケーブル抜け止めブッシュ70、締め付けナット60の順に挿通されたケーブル30がケーブルブッシュ40に挿通されて、組み付けられる。筒状部41の内部には、第二の水密部材82を鍔部42よりも挿入側に移動しないようにするためのリング状の係止面41aが設けられている。このため、ケーブル抜け止めブッシュ70を筒状部41の内側にスラスト方向に押し込み、締め付けナット60を筒状部41に螺合させると、第二の水密部材82は、係止面41aと、ケーブル抜け止めブッシュ70とに押圧されて、ラジアル方向に変形し、筒状部41の内周面と、ケーブル30の外周面と、係止面41aとの間の隙間を完全に埋めることができる。これにより、筐体10の内部に水が侵入するのを確実に防止することができるようになっている。
【0039】
以上説明した上記実施の形態の撮像装置100によれば、伝熱部材50により、撮像部20の動作に伴い発生した熱を金属製のケーブルブッシュ40に伝達し、筐体10の外側に露出する鍔部42及び筒状部41の突出側44を介して、筐体10の外側に筐体10内の熱を伝えることができる。ここで、撮像装置100が天井面又は壁面等に直接設置される場合、天井面又は壁面にはケーブル配線のための穴が設けられ、この穴にケーブル30を引き込み、外部機器又は外部電源と接続する場合が多い。従って、筐体10の背面を天井面又は壁面に面接触させた状態で、撮像装置を設置する場合であっても、筒状部41の突出側44及び鍔部42は、ケーブル30配線のための穴を介して外気と接触し、外気と熱交換を行って、ケーブルブッシュ40に伝達された熱を外気に放散することができる。
【0040】
従って、本実施の形態の撮像装置100によれば、金属製のケーブルブッシュ40を放熱部材として採用することにより、撮像装置100の設置位置によらず、放熱部材を確実に外気側に露出させることができ、筐体10内の熱を確実に外気に放散することができる。また、放熱のためには、ケーブルブッシュ40が金属製であればよく、筐体10の材質に特に限定はない。このため、樹脂製の筐体10を採用することができ、監視カメラの軽量化を図ることができる。また、樹脂製の筐体10を採用することにより、加工成形が容易になり、デザインの自由度も増す。また、筐体10を樹脂製とすることにより、筐体10を金属製とする場合に比して、材料に要するコスト及び加工成形に要するコストを低減することができる。さらに、ヒートシンク等を別途設ける必要がなく、部品点数の増加を防止することができる。また、筐体10の設置面側(背面側)に、このケーブルブッシュ40を配置することができるため、監視カメラの審美性に影響を与えることがなく、放熱のための伝熱構造もシンプルにすることができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、伝熱部材50として、平面ナット51と、伝熱シート52とを採用したことにより、簡易な構成でケーブルブッシュ40に撮像部20において発生した熱を効率良くケーブルブッシュ40に伝達することができる。また、平面ナット51及び伝熱シート52は、いずれも厚みが薄く、嵩張らないため、撮像装置100をより小型化することができ、或いは、撮像装置100の厚みを薄くすることができる。
【0042】
さらに、上記実施の形態では、ケーブル抜け止めブッシュ70により、簡易な構成でケーブル30をケーブルブッシュ40に係止することができる。また、O−リング等の水密部材により、筐体10に設けられた挿入口13とケーブルブッシュ40の筒状部41の外周面との間の隙間、ケーブルブッシュ40の筒状部41の内周面とケーブル30との間の隙間を密閉することができ、簡易な構成で防水を図ることができる。
【0043】
以上、説明した本実施の形態は、本件発明の一態様であり、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、上記実施の形態では、撮像部20の発熱領域として、電源回路部25等を有する第二の回路基板22を例に挙げて説明したが、撮像装置100に設けられる撮像部20の具体的な構成例は、上記実施の形態に限定されるものではない。また、撮像部20には、電源ケーブル31及び通信ケーブル32が接続されるものとして説明したが、これに限るものではない。撮像部20には外部電源及び外部機器の少なくともいずれか一方と電気的に接続するためのケーブルが接続されればよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、伝熱部材50として、平面ナット51と、伝熱シート52を採用したが、伝熱部材50はこれらに限定されるものではない。熱伝導率の高い材料からなり、撮像部20において発生した熱を金属製のケーブルブッシュ40に伝達可能な材料及び形状であれば、どのような材料及び形状を採用してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、筐体10の外側においいてケーブルブッシュ40の筒状部41に締め付けナット60を取り付け、締め付けナット60を放熱部材として用いたが、放熱部材の形状等は特に限定されるものではない。また、締め付けナット60に放熱フィン等を設ける構成としてもよい。しかしながら、締め付けナット60を金属製とし、放熱部材として利用することにより、部品点数を増加させずに、放熱面積を拡大することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本件発明に係る撮像装置は、外部電源又は外部機器と接続されるケーブルを挿通するケーブルブッシュを放熱部材として採用することにより、撮像装置の設置位置によらず、放熱部材が外気と接触する機会を確保することができ、筐体内の熱を確実に外気に放熱することができる。このため、当該撮像装置を天井面又は壁面に設置される監視カメラとして好適に用いることができる。また、放熱のためには、ケーブルブッシュのみを金属製とすればよいため、筐体を樹脂製とすることができる。従って、監視カメラを軽量化することができ、デザインの自由度が増し、加工成形も容易になる。また、筐体を樹脂製とすることにより、コストを低減することができる。さらに、ヒートシンク等を別途設ける必要がなく、部品点数及びの増加を防止することができる。また、筐体の設置面側に配置することができるため、監視カメラの審美性に影響を与えることがなく、放熱のための伝熱構造もシンプルにすることができる。
【符号の説明】
【0047】
10・・・筐体
13・・・挿入口
20・・・撮像部
30・・・ケーブル
31・・・電源ケーブル
32・・・通信ケーブル
40・・・ケーブルブッシュ
41・・・筒状部
42・・・鍔部
50・・・伝熱部材
51・・・平面ナット
52・・・伝熱シート
60・・・締め付けナット(放熱部材)
70・・・ケーブル抜け止めブッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源及び外部機器のうち少なくともいずれか一方とケーブルを介して電気的に接続される撮像部を筐体内に収容した撮像装置において、
前記ケーブルが挿通される金属製のケーブルブッシュと、
前記撮像部の動作に伴い発生した熱を当該ケーブルブッシュに伝達する伝熱部材と、
を備え、
当該ケーブルブッシュは、前記筐体に設けられた挿入口に挿入された状態で前記筐体に固定されており、このとき当該ケーブルブッシュの少なくとも一部が前記筐体の外側に露出することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ケーブルブッシュは、前記ケーブルが挿通される筒状部と、当該筒状部の外周面に設けられると共に、当該筒状部が前記挿入口に挿入されたときに、筐体の外側において前記挿入口の周囲を被覆する鍔部を備えるものである請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ケーブルブッシュの前記挿入口に挿入される側には、ネジ山又はネジ溝が設けられており、
前記伝熱部材として、当該ケーブルブッシュと前記筐体の内側で螺合して、当該ケーブルブッシュを前記筐体に固定するためのナットと、
当該ナットと前記撮像部の発熱領域とに当接される伝熱シートと、
を用いる請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記筐体の外側において、前記ケーブルブッシュに取り付けられ、ケーブルブッシュに伝達された熱を放熱する放熱部材を備える請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ケーブルブッシュの内周面と、前記ケーブルの外周面とに圧接可能なケーブル抜け止めブッシュを備え、
前記放熱部材は、前記ケーブルブッシュの前記筐体から露出する側に形成されたネジ山又はネジ溝に螺合し、当該ケーブル抜け止めブッシュを前記ケーブルブッシュの内周面と前記ケーブルの外周面とに圧接させた状態に維持する締め付けナットである請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ケーブルブッシュの外周面と前記挿入口の内周面との間を水密状態にする第一の水密部材を備える請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ケーブルブッシュの内周面と前記ケーブルの外周面との間を水密状態にする第二の水密部材を備える請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記筐体は樹脂製である請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−34082(P2013−34082A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168885(P2011−168885)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】